NATURE DIARY

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20090807 小雨の散歩道:クロモとミヤカラ (山梨県)

Nature Diary #0271
Date: August 7th (Friday), 2009
Place: Hokuto-shi, Yamanashi Pref.
Weather: Cloud and Rain



<立秋>
いつのまにか暦の上では秋になってしまった。

立秋は夏至と秋分のちょうど中間にあたり、秋の気配が現れてくる頃といわれている。この秋の気配とは、朝晩の涼しさや空の雲など人によって様々だろう-----ナチュラリスト虫林にとっては「ツクツクホーシの鳴き声」だ。

今、甲府市内はアブラゼミ、ミンミンゼミが盛んに鳴いているが、まだツクツクホーシの声は聞こえてこない。虫林の「立秋」はもう少し先のようだ。


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§ Diary §

週間天気予報では金曜日が晴れマークだったので、夏休み休暇を一日とることにした。このところ仕事がとても忙しくて「虫の息」 状態だった(笑えない)。標高の高い場所でゆっくりと撮影を楽しみたいと思ったいたのだ。

しかし、金曜日の朝起きて外をみたらなんと雨------ウーム、き~しょう~ちょう。


クロヒカゲモドキ; Marginalis Treebrown

林道に到着した時には小雨が降っていたが、雨傘をさしながら奥に向かって歩いた。この林道は以前は伐採された材木を運ぶ運搬用につくられたもののようで、伐採が既に終了した現在では、荒れてしまい、道の真ん中まで雑草が生えていて歩きにくい。

先週クロモを見つけた場所を過ぎて、明るい伐採地から暗い林に入る手前で、林道脇のブッシュから褐色のチョウが飛び出した。このチョウは短く飛んでは葉上に静止する。

慎重に近づいて、ススキの葉上のチョウを目で確認して見ると、クロモのオスだった。

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ススキの葉上に静止したクロヒカゲモドキ♂(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Marginalis Treebrown perching on the pampas grass.
Canon Power Shot G10

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クロヒカゲモドキ♂(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Marginalis Treebrown perching on the pampas grass. Please note three spots lining on the underside of forewing.
Olympus E-3, ZD 50mm Macro, EC-14


Canon Power Shot G10で下から超接近撮影した。

このG10はコンデジとしては異常に重く大きいので、最近は出番がめっきり少なくなった(何しろポケットに入らない)。かわってPanasonic DMC-LX3を使用していたが、このLX3が故障してドッグ入りしてしまったのだ。保証期間中修理とはいっても、お盆休みが間に入るので、LX3を再び手にするのは8月末になってしまうとのことだった。

久しぶりに使用するG10は起動時間が短く、フォーカス速度も速い。

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クロヒカゲモドキ♂(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Marginalis Treebrown perching on the pampas grass.
Canon Power Shot G10


オスを発見した場所のすぐ傍で、もう1頭のクロモが飛び出し、比較的低い位置の木の葉の上に静止した。みると、オスよりも翅の形が丸いのでメスだ。

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葉上で静止したクロヒカゲモドキ♀(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Marginalis Treebrown perching on the leaf.
Canon Power Shot G10

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葉上で静止したクロヒカゲモドキ♀(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Marginalis Treebrown perching on the leaf.
Olympus E-3, ZD 50mm Macro, EC-14


葉上に静止したメスを撮影していると、突然、雨脚が強くなってきた。ゲリラ豪雨ほどではないが、結構強い。しかし、クロモのメスはどこかの茂みに移動して雨宿りをするかも知れないと思ったが、雨の中でも一向に動く気配を見せない----チョウは雨に強いのだ。

本日はメスの開翅シーンをもう一度しっかりと撮影してみたかったので、傘をさしながら雨があがるのをじっと待つことにした。

幸いなことに雨は20分ほどであがり、さらにしばらくすると周囲が明るくなってきた。期待を込めて(念力を加えながら)見守っていると、翅を60度ほど開いた後に、ほぼ全開に近いように感じる130度くらいまで開いてくれたのだ。

残念ながら、先週の個体に比べて古いようである。

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開翅したクロヒカゲモドキ♀(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Marginalis Treebrown perching on the leaf with the wings opened..
Canon Power Shot G10

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開翅したクロヒカゲモドキ♀(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Marginalis Treebrown perching on the leaf with the wings opened..
Olympus E-3, ZD 50mm Macro, EC-14



ミヤマカラスアゲハ; Maackii Peacock

クロモポイントからの帰途、アゲハの仲間が集まるクサギの花が多い林道に入ってみた。クサギの花はちょうど咲き始めのようで、アゲハの来集は少なかった。しかし、雨後で濡れたコンクリートの壁には、吸水に訪れた数頭のミヤマカラスアゲハを見つけた。

この壁は通常は乾いているが、雨後で濡れたことが幸いしたようだ。同じような環境は他にもあるのだが、なぜここだけに集まったのかは説明しにくい。

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吸水するミヤマカラスアゲハ♂(2009年8月7日、北杜市)

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Two males of Maackii Peacock are attracted to a damp patch on the wall due to obtain moisture and minerals.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


ミヤマカラスアゲハの分布は、カラスアゲハよりも山地にシフトしている。このあたりは、両種が混在してみられるが、今回吸水している個体は全てミヤマカラスのようだ。

吸水していた1頭が、翅を全開した。飛び去る気配が無いので、ゆっくりと撮影した。

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吸水するミヤマカラスアゲハ♂(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Maackii Peacock feeding on the salt in wet wall.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


全開したミヤマカラスの翅表は、青色から緑色へのグラジゥエーションを示し、前翅から後翅にかけて明るい青紫の線状紋がまるで天の川のように流れている。

ウーム、見事なまでに美しい。

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吸水するミヤマカラスアゲハ♂(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Maackii Peacock feeding on the salt in wet wall.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


近づいて良く見ると、ときどき腹端から放水していた。この生態は、以前に海野和夫氏の「小諸日記」の記事の中で何度か見たことがある。

そこで、この放水シーンを海野氏のように撮影しようと思ったが、これが意外に難しいのだ。虫林は20枚ほど撮影したのだが、満足いくショットは1枚も無かった。

下の写真はかろうじて腹端の水滴が写っている(矢印)。

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放水するミヤマカラスアゲハ♂(2009年8月7日、北杜市)

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A male of Maackii Peacock drainning water off from the tip of abdomen. Please note a water drop on the tip (arrow)
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



オナガアゲハ; Long Tail Spangle

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オナガアゲハ♀(2009年8月7日、北杜市)

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A female of Long Tail Spangle perching on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

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オナガアゲハ♀(2009年8月7日、北杜市)

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A female of Long Tail Spangle perching on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

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§ Afterword §

せっかく夏休みをとったのに、一日中、雨が降ったり止んだりの生憎の天気だった。でも、この不安定な天気がクロヒカゲモドキの開翅やミヤマカラスアゲハの吸水の観察に幸いしたのかも知れない。フィールド観察では何が幸いするかわかないものだ。

クロヒカゲモドキは先週は新鮮なメスをみたが、今週は雌雄ともに古い個体で、時期的にはそろそろ限界かなと思う。反対にミヤマカラスアゲハの夏型はいずれも新鮮で美しいものばかりだったので、これからシーズンインといったところのようである。

甲虫も少し撮影したので、後日アップしたいと思うが-------。



以上、 by 虫林花山
Commented by maeda at 2009-08-09 16:24 x
クロヒカゲモドキ、何処で雨宿りするか興味深かったですが、それは叶わぬ夢でした。
それにしても開翅のオンパレードですね。どれも素晴らしいです。
Commented by banyan10 at 2009-08-09 17:21
クロモの雌の開翅は見事ですね。
僕が行ったのは早過ぎたようですね。
雌狙いで8月に入ってから一度探してみたいと思います。
Commented by clossiana at 2009-08-09 21:21
クロヒカゲモドキは翅の丸っこい♀はクロモらしくて、写真で多く見かけるのは♀のような気がします。一方♂はやたら人の気配に敏感でなかなか近寄らせてもらえないという印象なのですが、♂♀とも見事に撮られていて凄いと思いました。雨の中の強行の成果ですね。一方私の方は雨の日は雨の日なりの成果しか、つまり何も撮れずにすごすごとひきあげてきました。この差は一体何なんでしょうね。やはり日頃の行いのせいでしょうか。
Commented by 虫林 at 2009-08-10 09:16 x
maedaさん、
ありがとう御座います。
クロヒカゲモドキの雨宿りは、けっこう強い雨脚にもかかわらず葉の上でじっとしているだけでした。通常では林の中か葉の陰にでも移動するのかと思いましたが、まったく動きませんでしたね。
でも、まった甲斐があって、翅を開いてくれたときには嬉しかったです。傘を差しながら、じっと見守るのはつらかったです。
Commented by 虫林 at 2009-08-10 09:22 x
banyanさん、
コメントありがとう御座います。
時期的にはさすがに少し遅いようで、♂♀とも翅がスレていたのが残念でした。この場所は、先週見つけたのですが、採集者などもこないのでゆっくりと撮影できました。でも、個体数はやはり多くないかも知れません。
♀狙いであれば、8月に入ってからが良いと思いますが、うまく見つかると良いですね。
Commented by 虫林 at 2009-08-10 09:28 x
clossianaさん、
いつも暖かいコメントありがとう御座います。
オスは仰るとおりで、かなり敏感で近づくのに苦労しますが、今回は小雨の中ということも幸いしたのでしょうか、超接写まで許してくれました。
本日は天気が悪いので、僕もボーズ覚悟で出かけたのですが、幸いにして撮影できました。でも、クロヒカゲモドキは先週も曇り空の中で見つけていますので、かって知ったるチョウということですから撮影できたのだと思います。新鮮なミヤマカラス♂の吸水の方は、雨上がりが幸いして、地面ではなく、撮影しやすい壁でしたのでとてもラッキーでした。
Commented by 霧島緑 at 2009-08-10 21:04 x
クロモ、素晴らしいですね。
雨が止むまで待った甲斐が十分ありましたね。
ピーカンの天気より雨上がりなどの方が、撮影には却って好都合な時が往々にしてありますね。ミヤマやオナガもこんなにゆったりしてくれることは少ないような。
雨を恐れず、フィールドに出るべし!ですね。
Commented by 虫林 at 2009-08-11 07:14 x
霧島緑さん、
コメント有難うございます。
雨が止むのを傘をさしながらじっと待つのは少しつらかったですね。
でも、この雨はおっしゃるとおりで、撮影には良かったかもしれません。
雨にもめげずにフィールドにでた甲斐がありました。
by tyu-rinkazan | 2009-08-09 06:20 | Comments(8)