NATURE DIARY

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20090809 ありんこ「ポンス」と山のロザリア (山梨県)

Nature Diary #0273
Date: August 9th (Sunday), 2009
Place: Hokuto-shi, Yamanashi Pref.
Weather: Cloud



<天災>
お盆に入ってやっと夏らしい天候になってきた。
しかし、このところの日本は大雨、台風、地震と連チャンで天災にみまわれ、各地で被害が出ているようである。とにかく、被災された方々には、心からのお見舞いを申し上げたい。

「天災は忘れてなくてもやってくる」

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§ Diary §

虫林はチョウ以外の昆虫も好きなので、折を見ては撮影している。

しかしブログに掲載する写真枚数には限りがあるのとフィールド散歩はチョウを目的とすることが多いので、チョウ以外の昆虫が ND(Nature Diary) にアップされることは少ない。

本日(8月13日)は仕事で東京に出張した際に、往復の車中時間(片道1時間40分)を利用して、チョウ以外の昆虫に関するNDを作成した。



ムネアカオオアリとクロヤマアリの戦い; battle of ants

ありんこポンスの童話を御存じか?

この物語は知名度がイマイチなので知らない方も多いと思うが、ポンスという名前の小さくても勇敢なアリンコが、困難に立ち向かいながら世界中を旅する物語だ。

決まり文句は「2mmの虫にもでっかい魂、僕は負けないアリンコさ」


山の伐採現場でカミキリムシを探していたら、広葉樹の材の上でムネアカオオアリとクロヤマアリ(?)が戦っているのを見つけた。いつもなら、アリンコの戦いなどOut of 眼中の虫林なのだが、その時は何気なく見入ってしまった。

はじめはアリの大きさが違いすぎるので、この戦いは簡単に決着がつくと思っていた。しかし、あに図らんや、小さな方のクロヤマアリはなかなかしぶとく、ムネアカオオアリの触角を噛んで離さない-------触角は昆虫(アリ)の急所かな?

小さなクロヤマアリは、まるで童話の主人公の「ポンス」だ。

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ムネアカオオアリの触角を噛むクロヤマアリ(2009年8月7日、北杜市)

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The fight of ants.
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, Gyorome, 内部ストロボ


小さなアリたちとはいえ、虫の眼レンズで超拡大してみると、彼らは驚くほどに生き生きして見えるから面白い。下の画像でも、小さなクロオオアリのポンスが仰向けになりながらも、ムネアカオオアリの触角を噛んでいるのがわかるだろう。

ちいさなポンスよ頑張れ!-------と心の中で祈ってしまった。

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ムネアカオオアリとクロヤマアリの戦い(2009年8月7日、北杜市)

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The battle of ants
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, Gyorome-8, 内臓ストロボ


クロヤマアリもムネアカオオアリも基本的にはおとなしい性格だ。とくに、クロヤマアリなどは、ヘイタイアリに捕えられ、奴隷として働かされることが知られているくらいだ。

この戦いは一体何が目的なのだろうか?

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ムネアカオオアリとクロヤマアリの戦い(2009年8月7日、北杜市)

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The battle of ants
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, Gyorome-8, 内臓ストロボ



蟻のような蜂:トゲムネアリバチ; Bischoffitilla ardescens

「ハチとアリはどこが違うの?」---------分類学上は、両者とも同じ膜翅目に入っていて、アリはハチの中の1分類群である。

しかし、一般的な観点から両者を分けるとすれば、ハチには翅あり、アリは通常翅をもたない----といえる。ところがどっこい、ハチの仲間でも翅が無いものもいるから困る。
そう、翅のないハチが アリバチ なのだ。

アリバチは、翅が無いのが♀で、♂には翅がある。

先日、富士山麓の草原を歩いていたら、下草の葉上に綺麗なアリバチを見つけた。アリバチは今まで見たことが無かったので喜んで撮影した。

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トゲムネアリバチ(2009年8月9日、富士山麓)

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A bee mimicking ant
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14



山のロザリア:ルリボシカミキリ; Rosalia batesi

北杜市の山間部を車で走っていたら、林道脇に材木が積まれているのを見つけた。

何気なく目をやってみると、そこにはルリボシカミキリが何頭もついていた。今年はどういうわけかルリボシカミキリを見る機会が例年になく多いみたいだ。

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林道脇の材木(2009年8月9日、北杜市)

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Woodpile by the road
Canon Power Shot G10


ルリボシカミキリの属名にはRosalia(ロザリア)という女性の名前が付いている。
ロザリア------ウーム、そうだ、これは虫林の大好きな歌 「山のロザリア」の乙女だ。

山のロザリア(歌を聞く方は左の歌名をクリックしてください。)

♪♪ 山の娘ロザリア いつも一人歌うよ-------------涙流し別れた 君の姿よ ♪♪


美しいブルーの翅を持ったルリボシカミキリは、決して少ない種類ではないが、いつ見ても、何度見ても心ときめく------それは山のロザリアだからかも。

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ルリボシカミキリ(2009年8月9日、北杜市)

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Rosalia batesi
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14


このロザリアの美しいブルーは死ぬと色を失う。

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ルリボシカミキリ(2009年8月9日、北杜市)

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Rosalia batesi
Canon Power Shot G10



処女生殖:トビナナフシ; Micadina phluctaenoides sperdina

本州のトビナナフシはほとんどがメスで、処女生殖で繁殖するらしい。

このように処女生殖する生物には昆虫の他にも魚類、鳥類などでも知られている。また、近年では哺乳類(マウス)でも、実験的に処女生殖に成功しているようだ。

処女生殖では卵子が受精すること無しに細胞分裂するので、子孫が全て同じ遺伝子を持つことになる(?)。つまり、同じ個体ができるということになるのだ-------将来、人間が処女生殖できるようになると、世の中は一体どうなるのだろう.
注:単為生殖fでも、子孫の遺伝子は微妙に異なるようです。

考えると恐ろしい気がする。

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トビナナフシ(2009年8月9日、北杜市)

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Micadina phluctaenoides sperdina
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14



その他; Miscellaneous

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ウスイロトラカミキリ(2009年8月9日、北杜市)

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Xylotrechus cunepiennis
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, Gyorome-8、内臓ストロボ

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トゲバカミキリ(2009年8月9日、北杜市)

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Eryssamena sperdina
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14

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味の良いタマゴタケ(2009年8月9日、北杜市)

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Amanita hemibapha

Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


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§ Afterword §

今年のお盆は、結局仕事で終わりそうだ。
来週に出張を控えているので、今はとても忙しいがしょうがない。

チョウの撮影も面白いが、他の昆虫も面白い。しかし、チョウを目的としてフィールド散歩を行うのが多いので、カミキリムシなどはどうしても中途半端になって欲求不満が消えない。以前、採集していたときには、ハナカミキリはネットでスィーピングし、枯れ枝は白い布でビーティングしていた。撮影ではルッキングだけなので、どうしても難しい場面が多いのが残念である。

これからもチョウ以外のNDもアップしていきたいと思う。





以上、 by 虫林花山
Commented by ze_ph at 2009-08-13 23:00 x
チョウ以外の記事、大歓迎です。知らないことが多く、わくわくします。
タマゴタケはよく見かけるし、色々な方から美味しいという話を聞くのですが、なんだか色が怖くて実際に食べたことがありません。
ところで、種にも寄るのだと思いますが、大抵の場合、単為生殖は同じ個体を生みだすわけではなかったはずです。一度減数分裂した後、核が再融合して、遺伝的には微妙に異なる個体を産み出していたと思います。
Commented by 虫林 at 2009-08-13 23:15 x
ze_ph さん、
有難うございます。僕は遺伝の専門ではないので、?をつけていたのです。通常の有性生殖では受精することによって、遺伝的に異なる子孫ができますが、単為生殖でも減数分裂した後、核が再融合したときに、遺伝的に違ってくるのですね。違ってくるといっても、有性生殖ほどの違いは無さそうですね。でも、これは多分、正しいのかもしれません、同一の遺伝子の個体ばかりだと、絶滅する危険が増えますからね。
貴重なご意見を有難うございました。
Commented by clossiana at 2009-08-14 02:05
山の娘ロザリア。。。久々に思い出しました。確かスリーグレーセスとか、何とかアンジェリカが歌っていましたね。今年初めて、このロザリアに会うことができたのですが、捕まえたらキィキィと鳴いて(泣いて)嫌がっていましたが、今ようやくその理由がわかりました。娘だったのですね。。無理もないなぁ。。。ところで、トゲムネアリバチにも感動です。こんな格好のハチがいるとは。。絶句です。今年アリグモを見てその姿にびっくりしたのですが、この自然の多様性は一体何なんだって思いです。最後の方に何気にアップされている2種のカミキリも私なら大騒ぎするところです。凄い。。
Commented by chochoensis at 2009-08-15 07:19 x
虫林さん、造詣の深い虫林さんならではの素晴らしい記事に驚嘆しました・・・すばらしい文章ですね・・・「ありんこポンス」の話・・・読んでみたいです。「トゲムネアリバチ」はじめて拝見しました!!!翅の無い=アリバチ=なんて居るんですね・・・繁殖期のアリには翅が生えるし難しいですね・・・ますます混乱します・・・有意義な話、これからも教えてください・・・。
Commented by ヘムレン at 2009-08-16 09:58 x
蟻の喧嘩・・・必ず触覚に噛み付いて引っ張っていますよね。
子供の頃、蟻の触覚をとって(残酷ですが・・)はなすと、くるくる回って歩けなくなるのを観察したことがあります(^^;)。。(よい子は真似しないでください)
アリバチ・・・面白いですね。ハチだとは気づきませんね。
カミキリも、その広角の絵も素敵ですね。
ロザリアの面白い話も興味をそそられます。そうなんですね・・・。(^^)
でも、やっぱりタマゴタケ・・・・じゅるっ。。(^^;)
Commented by 虫林 at 2009-08-16 21:56 x
clossianaさん、
コメント有難うございます。
ロザリアは「山のロザリア」の娘をイメージしてしまいました。相考えるとロマンチックに感じますね。ロザリアの仲間には南方のベニボシカミキリという稀種がいますが、これも綺麗です。
アリバチは意外に面白いですよね。
Commented by 虫林 at 2009-08-16 21:59 x
chochoensisさん、
有難うございます。
アリンコポンスは昔、我が家の子供達が好きだった物語です。毎日、読んで聞かせていました。でも、今はその本が何処に行ったかもわかりません。
アリバチは僕もはじめてみましたが、なかなか綺麗でしたよ。
Commented by 虫林 at 2009-08-16 22:03 x
ヘムレンさん、
有難うございます。
蟻は同じ仲間かどうかを触角で触って嗅いでいるみたいですね。ですから、触角をやられると、仲間同士の認識もできなくなってしまいます。やはり、もっとも大事な急所なのでしょう。
アリバチはなかなか面白かったです。僕も始めてみました。
タマゴタケは吸い物にしても美味しいですね。
by tyu-rinkazan | 2009-08-13 22:26 | Comments(8)