NATURE DIARY

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20091018 晩秋の河原散歩:クロツとコニワハンミョウ

Nature Diary #0285
Date: October 18th (Sunday), 2009
Place: Minobu-cho, Yamanashi Pref.
Weather: Fine



§ Diary §

日曜日の朝は、目が覚めても布団の中でほっこりとしていたい。

-----が、窓からの光に促されるように起床してしまった。「春眠暁を覚えず」という言葉があるが、虫林にとっては秋の眠りも後を引いてしまうのだ。とくに、二度寝はいいですな~。

家の近くではキンモクセイ(金木犀)のオレンジ色の花が満開で、独特の香りが漂ってくる。しかし、困ったことに虫林はキンモクセイの花の香りはトイレを連想してしまうのだ。なぜ、トイレの消臭剤はキンモクセイの香りが多いのだろう。



クロツバメシジミ; Black Cupid

クロツバメシジミ(以下クロツ)は、局所的な分布を示す蝶で、山梨県では数か所のポイント(虫林の知る)が飛び石のように見られる。毎年秋になるとこのクロツの撮影が楽しみだ。

今回訪れたクロツポイントは、富士川の河原にほど近い石積みの土手で、この蝶の食草である「ツメレンゲ」の花で薄いピンクに染まっていた。良く見るとツメレンゲはまだ6-8分咲きのようだが、蕾のほうが赤みが強いのでかえって綺麗にみえる。

この時期でもクロツはかなり個体数が多くて驚いたが、やはり古いものが目立つ。そこで、比較的新しい個体を選んで撮影することにした。

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ツメレンゲで吸蜜するクロツバメシジミ(10月18日、身延町)

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A black cupid feeding on the flowers
Canon Power Shot G10, f5, 1/800, EV-1.33, ISO100


この土手は滑り易いので足場にかけた足を目いっぱい踏ん張って体を支えなければならない。実際、数回ほど土手から滑り落ちてしまった----幸いにして怪我はしなかったが、薔薇のとげを手のひらに刺してしまいとても痛かった。

猿も木から落ちるのだから、虫林が土手から落ちてもなんら不思議は無いのだ。

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ツメレンゲで吸蜜するクロツバメシジミ(10月18日、身延町)

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A black cupid feeding on the flowers with the wings opened.
Canon Power Shot G10, f5, 1/500, EV-1.0, ISO100


クロツの翅表は確かに黒いのだが、ただ黒いだけではなくて怪しい青みを帯びている。

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開翅するクロツバメシジミ(10月18日、身延町)

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A black cupid resting on the stone with the wings opened.
Olympus E-3, Sigma 150 Macro, f5.6, 1/1000, EV -0.7, ISO400


ツメレンゲで吸蜜するクロツを逆光で撮影してみた。

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ツメレンゲで吸蜜するクロツバメシジミ(10月18日、身延町)

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Backlight view of black cupid feeding on the flowers
Olympus E-3, Sigma 150 Macro, f2.8, 1/2000, EV +0.3, ISO400


コケで吸水するクロツを魚露目で超近接撮影してみた。クロツの顔はシジミチョウの中でもとりわけ可愛いので、英名のBlack cupid という名前が良く似合う。

ストローはとても細いのがわかるね。

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吸水するクロツバメシジミ(10月18日、身延町)

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A black cupid feeding water on the moss
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, f22, 1/160, EV-3, gyorome-8, ISO400、内部ストロボ


産卵するクロツを魚露目で超近接撮影してみた。

クロツは産卵するときに、ツメレンゲの葉の間に潜るのでそのシーンを鮮明に写すのは結構骨が折れるのだ。しかし、「待てば海路の日和あり」だ。

しばらくすると、クロツのメスが前脚を枯れ草にしっかりとかけて産卵するシーンが見られたのだ。さっそく、魚露目レンズで超近接の虫の目撮影することにした。後で写真をよく見てみると、腹端から卵が少しでているようだ。

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産卵するクロツバメシジミ(10月18日、身延町)

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A black cupid egg-lying on the feeding plant.
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, f22, 1/160, EV-3, gyorome-8, ISO400、内部ストロボ

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ツメレンゲで吸蜜するクロツバメシジミ(10月18日、身延町)

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A black cupid feeding on the flowers.
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, gyorome-8, f22, 1/160, EV-3, ISO400、内部ストロボ



チャバネセセリ; Small Branded Swift

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吸蜜するチャバネセセリ(10月18日、身延町)

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A Small Branded Swift feeding on the flowers.
Olympus E-510, ZD8mm, EC-14, f16, 1/125, EV0.0, ISO200



コニワハンミョウ; Cicindela transbaicalica

河原をブラブラと歩いてみると、草が倒れて泥や砂を被っているのがめだつ。これは先週の台風18号による増水で冠水したためだろう。

しばらくして、草が無い砂地に差し掛かると、足もとから黒っぽい昆虫が飛び立って数メートル先の地面に静止した。ウーム、コニワハンミョウのようだ。注意してみると、あちらこちらで本種を見ることができた。

今年はどうもハンミョウの仲間と縁があるようだ。

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河原のコニワハンミョウ (10月18日、甲府市)

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A tiger beetle, Cicindela transbaicalica, on the sandy ground of river side.
Olympus E-510, ZD8mm FISHEYE, F9.0, 1/200, EV0.0, ISO200


とにかくコニワハンミョウは敏捷でなかなか広角写真を撮影する距離(10cm以内)にまで近寄らせてくれない。まして正面からの撮影は到底不可能かと思われた。

しかし、虫林のチーター捕獲作戦応用戦術によるしつこい追跡には、さすがのコニワハンミョウもとうとう根負けしてしまい、最後にはこちらを向いて微笑んでポーズをとってくれたのだ。

昆虫写真の極意は「念ずれば通じる」と見つけたり!

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河原のコニワハンミョウ (10月18日、甲府市)

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A tiger beetle, Cicindela transbaicalica, on the sandy ground of river side.
Olympus E-510, ZD8mm FISHEYE, F9.0, 1/200, EV0.0, ISO200


この場所は今までこのハンミョウを見た覚えがない----不思議だ。

今回見ることができた個体は、台風による増水で他所から運ばれてきた可能性も否定はできないが、まあ今まで見逃していたと考えるほうが自然だろうと思われる。

人間の目というものは、見ようとしなければ見えないものだから。

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河原のコニワハンミョウ (10月18日、甲府市)

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A tiger beetle, Cicindela transbaicalica.
Olympus E-3, Sigma150mm MACRO, F5.0, 1/4000, EV-0.3, ISO400


ハンミョウの仲間は毛深いものが多いが、コニワハンミョウの体も剛毛をまとっている。肉眼的には褐色一色にみえるが、レンズで拡大してみると、脚や胴体の一部には虹色を帯びていて意外に美しい。

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河原のコニワハンミョウ (10月18日、甲府市)

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A tiger beetle, Cicindela transbaicalica.
Olympus E-3, Sigma150mm MACRO, F9.0, 1/500, EV0.0, ISO400, Trimming (+)

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河原のコニワハンミョウ (10月18日、甲府市)

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A tiger beetle, Cicindela transbaicalica.
Olympus E-3, Sigma150mm MACRO, F9.0, 1/320, EV-0.3, ISO400, Trimming (+)


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§ Afterword §

今年のクロツは白馬のポイントで撮影していたが、山梨の地元では今回が初めてになった。ここはいつも遅くまでクロツが残っているので、虫林にとってはとても有難いポイントなのだ。それに、今年は食草のツメレンゲの成長も良好だったみたいでとても嬉しい。

クロツはやはり小さくて可愛い蝶であることを今回も再認識した。もしかしてtheclaさんのように異常型でも発見できるかもしれないと思ったが、やはり世の中はそう甘くはなさそうだ。

ハンミョウの仲間は興味ある甲虫のグループで、散歩道で出会うとカメラを向けてしまう。コニワハンミョウは以前にシルビアシジミのポイントの近くで生息地を見つけたが、こんなに近くにも本種が棲息していたとは迂闊だった。灯台もと暗しだね。



来週末はある学会を主催するので、フィールド散歩に出ることはできない。まあ残念だが、そちらが本職なのだから仕方がないのだ。



以上、 by 虫林花山
Commented by 蘭丸 at 2009-10-19 08:31 x
虫林san、おはようございます。
クロツの開翅、妖しく青黒く、しかもメタリック調の様であり、それも強調しすぎず、
ナントモ、妖艶と云う感じですね!!!
なのに、翅裏は愛らしく、逆光写真は特に愛らしく感じました。
昨日は、所用のついでに、都内で クマソ を探しましたが、食痕はたくさん見つかるモノの、
成虫はオロカ、幼虫も蛹も見つかりませんでした。。。
Commented by kmkurobe at 2009-10-19 20:54
まだまだツメレンゲの花穂が綺麗ですね。クロツの翅表は光線の具合で青緑からブロンズ色まで変化して見え本当に渋い感じがいいですね。
コニワハンミョウ私も前回トライしたのですがとても広角は無理でした。
いやいや凄い努力をされたのですね・・・・・恐れ入りました。
Commented by himeoo27 at 2009-10-19 22:04
クロツの眼は、本当に愛くるしいですよね!
裏翅の少し黒の混じった銀色の輝きも、
表翅のビロード風の鱗粉の光いずれも素晴らしいです。
Commented by 虫林 at 2009-10-20 06:41 x
蘭丸さん、
コメント有難うございます。
クロツの翅表はよく見ると怪しい輝きを持っていますよね。
そういえば、今年は都内でクマソが発生しているそうですが、見つからなかったのですね。不思議ですね。たぶん発生は1時的なものなのですかね。
Commented by 虫林 at 2009-10-20 06:45 x
kmkurobeさん、
有難うございます。9月の白馬のクロツではお世話になりました。
ここのツメレンゲは比較的小型なのですが、花の時期が他の地域よりも遅くて、まだ満開にもなっていません。クロツももっとも遅くまで残るみたいで嬉しいです。
コニワハンミョウの近接撮影は疲れました(笑)。
Commented by 虫林 at 2009-10-20 06:49 x
ヒメオオさん、
有難うございます。
クロツの顔は蝶の中でも可愛いものの一つですね。
クロツは渋くて地味な蝶ですが、マニアックな人気があるのがなんとなくわかるような気がします。
Commented by clossiana at 2009-10-20 08:25
先日、以前に教えて頂いた場所へ行ってきました。ツメレンゲは八分咲きといったところで絶好の撮影日和でしたが、肝心のクロツの方はすれが多かったです。産卵シーンは割と沢山見られましたが仰られていますように潜り込むので顔がなかなか写せずに苦労しました。幸いにして石垣から滑り落ちることは皆無でしたが真剣味が足りなかったからかな?
Commented by kenken at 2009-10-20 12:11 x
ご無沙汰ですが、いつも拝見していますよ~
クロツは、少しでも傷んでいると目だってしまいますが、開翅写真の個体は傷みもなく、水色っぽい光沢も綺麗に表現できていてえぇですね。
ツメレンゲの花と新鮮な成虫、こちらではなかなか時期が一致せず、まだきちんと撮れていません。やはり、蝶はその食草の花で吸蜜するシーンをカメラに収めたいものです。
私も以前、和歌山クロツで転落して捻挫したことがあります。お互いに、気をつけましょうね。
Commented by ダンダラ at 2009-10-20 16:37 x
この時期はがむしゃらにがんばっておきる必要がないくらいのチョウしかいないので休日の朝はうれしいですね。
金木犀の香りは私は大好きです。やはり自然の香りは気持ちも明るくしてくれるように思います。
身近なところでクロツが撮影できるのはうらやましいです。(身延だと身近でもないかな)
それぞれのシーンが迫力いっぱいに写っていますね。
Commented by 虫林 at 2009-10-20 20:05 x
clossianaさん、
以前にご一緒した石積みにいかれたのですね。あそこのツメレンゲはとても立派で、ツメレンゲはピカイチだと思います。最近は少しクロツの少ないようなので心配しています。今回の場所は規模的には小生の知る中でかなり大きい場所です。いつか機会がありましたらご一緒しましょう。
産卵は動きながらやるみたいですので綺麗に写すのは結構苦労しました。
Commented by 虫林 at 2009-10-20 20:09 x
kenkenさん、
ツメレンゲの花と成虫の発生時期が一致しないことはよくありますよね。またツメレンゲの花が立派でもクロツがなかなか吸蜜してくれないことも多いようです。ここでは、しばしば吸蜜してくれたのでゆっくりと撮影できました。
僕は撮影に集中すると、周りが見えなくなるみたいで時々危ないことがありました。最近、足腰がへたってきているようなのでトレーニングでもしてみようかと思っています。
Commented by 虫林 at 2009-10-20 20:14 x
ダンダラさん、
確かにトイレの香りと違って、自然の金木犀の香りは確かに気持ちが良いですよね。
今回のクロツポイントは僕の知るポイントの中では最大級の場所で、クロツの数も多いようです。なかなか良いところですが、斜面にツメレンゲがあるので、ずり落ちてしまうことがあります。ダンダラさんの足腰だったら大丈夫と思います。
Commented by chochoensis at 2009-10-21 08:19 x
虫林さん、=クロツ=の産卵シーンに憧れています・・・いまだに撮影出来ないでいます・・・素晴らしいですね。いつかチャレンジしたいと思っています・・・。
Commented by 虫林 at 2009-10-23 06:38 x
chochoensisさん、
コメント有難うございます。クロツの産卵行動は稀ではありません。
チャレンジすればかなりの確率で見ることが可能です。
是非ともトライしてみてください。
Commented by chochoensis at 2009-10-25 07:16 x
虫林さん、「海外の学会出張遠征記」拝見しました・・・最初はやはり・・・アメリカ・・・アトランタのDay Butterfly Center・・・素晴らしいですね。
この都市も訪れましたが、仕事が忙しくて全然知らなかったです、惜しいことをしました、素敵な写真に痺れました・・・。ありがとうございます。他の外国の遠征地もゆっくり拝見します。楽しみです・・・。
Commented by thecla at 2009-10-25 22:57 x
ここのツメレンゲはあまり大きくないですが、本当に良い感じですね。
広角画像は本当にこの産地の雰囲気が良く出ていると思います。見覚えのある物体が広角で写っていますし・・・(笑)
Commented by 愛野緑 at 2009-10-26 08:55 x
ニワハンミョウって、いくつか種類があるのですね。たしか近所ででも茶色いハンミョウを見たことがありますが、はたしてナニハンミョウなのか?

茶色いハンミョウも見方によっては綺麗に光るのですね、初めて知りビックリです。今度見つけたら良く観察してみたいと思います。
Commented by 虫林 at 2009-10-26 23:12 x
chochoensisさん、
有難うございます。ホームページのTrip Oversease を見ていただいたのですね。いつも別な所用で行っているので、蝶の撮影は二の次で中途半端になっています。さらにご覧になっていただければ幸いです。
Commented by 虫林 at 2009-10-26 23:16 x
theclaさん、
有難うございます。ここのツメレンゲは特殊ですので、訪れた人はわかりますね。例の異常型ももしかして---と思いました。ここは個体数が良いのとクロツもやはり他と少し違う印象を持っています。
ただ壁を登ると滑るのが難点です(笑)。
Commented by 虫林 at 2009-10-26 23:19 x
愛野緑さん、
コメント有難うございました。
コニワハンミョウは河原の砂地に棲んでいますので、そういう所でないと見つかりませんが、いるところにはかなりいるみたいです。
そちらの近所で見つけたとなると、ニワハンミョウの可能性が高いように思えます。目で見るとなかなかわかりませんが撮影で拡大してみると、綺麗でした。
by tyu-rinkazan | 2009-10-18 22:47 | Comments(20)