NATURE DIARY

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20100110 真冬の散歩道;コナラ林のダッコちゃん

Nature Diary #0299
Date: January 10th (Sunday), 2010
Place: Kofu-shi, Yamanashi Pref.
Weather:Fine



<New Year Concert>
「成人の日」の午前中、家内が見ている ウィーンフィルニューイヤーコンサート2010 の再放送を、横から聞くとはなしに聞いた。クラシック音楽に疎い虫林ではあるが、最後のアンコールで演奏される ラデツキー行進曲 はいつ聞いても元気になるな。

ところで、今年のコンサート指揮者の ジョルジュ・プレートル Georges Prêtre というフランス人はなんと 御年85歳 だ。彼は動きも物腰もしっかりしていて、到底その年齢には見えない。ちなみに同じく世界的指揮者の 小沢征爾 も、表情が豊かで年齢を感じさせない。人間の細胞の染色体末端には テロメア(Telomere) という部分があって、分裂するたびに短縮し、ある程度まで短くなると、細胞は分裂できなくなって アポトース(apoptosis) により脱落していく。つまりこれが老化の本質であり、細胞老化は出生時にすでにプログラムされたものなのだ。

しかし、プレートル氏や小沢氏をみると、細胞老化と実年齢には関係ないようにも見えるな。



§ Diary §

小寒が過ぎてもうすぐ大寒。
厳しい冬があればこそ、春が嬉しく、夏が楽しく、秋がもの哀しい (虫林)。


うらうらとコナラ林を歩いてみた。

木々の間を縫うようにゆっくり歩を進めると、葉を落として明るくなった林の中は風もなく、陽だまりに佇むと冬の弱い日差しにも拘わらず意外に温かい。近くのコナラの枝にカラ類の小鳥たちの群れが賑やかに訪れては去ってゆく。

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冬のコナラ林(甲府市、1月10日)

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A landscape of Japanese oak woods in midwinter.
Olympus EP-1, EC-14, ZD8mm Fisheye



ゼフィルスの越冬卵; Overwintering eggs of Zephyrus

この雑木林では、夏になると5種のゼフィルス(ミドリシジミの仲間)が観察できる。

オオミドリシジミ(オオミドリ)の母蝶はコナラのしょぼい細枝の分岐部に好んで卵を産み付ける。そんな細枝のあるコナラの木をゆっくりと見ていけば、越冬卵は意外に楽に見つかる.
(数年前まで苦労していたくせに)。

少し大きなコナラの小枝の分岐部では、同時にミズイロオナガシジミ(ミズイロオナガ)の越冬卵も見つけた。下の写真の円形挿入部は、上がオオミドリの越冬卵で、下がミズイロオナガの越冬卵

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ゼフィルスの越冬卵(上円内:オオミドリ、下円内:ミズイロオナガ)

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Overwintering eggs of Zephyrus in the small branch of Japanese oak,
Olympus EP-1, MMC-1, EC-14, ZD35mm Macro



ホオジロアシナガゾウムシ; Mecysclobus erro

数年前、「ゼフの越冬卵」を探して雑木林を歩いていたら、たまたまコナラの細い枝でカシアシナガゾウムシやホオジロアシナゾウムシを見つけた。虫林はもともと甲虫にも興味があったので(以前は天牛屋)、以来、冬になるとこのゾウムシに会いたくて、林の中を徘徊している。


しかし、意識して探そうとするとこのゾウムシたちはなかなか姿を現してくれない。とくにホオジロアシナガゾウの方が個体数は少ないようで、その姿を見つけることは少ない。

何気なく見つめた近くのコナラの小枝に小さな黒っぽい甲虫を見つけた。

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ホオジロアシナガゾウムシ(甲府市、1月10日)

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A winterpassing elephant beetle, Mecysclobus erro, tightly holding the small branch with the long legs.
Olympus EP-1, MMC-1, EC-14, ZD35mm Macro


近寄って確認すると、そこには長い前脚と中脚を揃えてしっかり枝につかまっているホオジロアシナガゾウムシの姿があった。やっと今年も会うことができた。

枝につかまるこのゾウムシの姿はどこかユーモラスで面白い。

以前、ブログ「ふしあな日記」のspaticaさんが、このゾウムシたちの越冬する姿を「ダッコちゃん」と称した(ダッコちゃんは昔大流行したビニールのお人形)。その表現はまことに当を得たもので、細枝につかまるホオジロアシナガゾウの姿は、まさしくコナラ林の 「ダッコちゃん」 と呼ぶにふさわしい姿だ。

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ホオジロアシナガゾウムシ(甲府市、1月10日)

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A winterpassing elephant beetle, Mecysclobus erro, tightly holding the small branch with the long legs.
Olympus EP-1, MMC-1, EC-14, ZD35mm Macro


しばらく撮影していたら、とうとう動きだしてしまった。

拡大してみると、このゾウムシは目がまんまるで、鼻も適度に長くて太い。
これだけ愛嬌があれば「ゆるキャラ」としても使えるかな。

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ホオジロアシナガゾウムシ(甲府市、1月10日)

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Mecysclobus erro
Olympus EP-1, MMC-1, EC-14, ZD35mm Macro



カシアシナガゾウムシ; Mecysclobus piceus

コナラの枝で越冬するゾウムシには、ホオジロアシナガゾウムシとカシアシナガゾウムシがある。どちらも体形が良く似ているが、模様が明らかに異なるので両種の区別は容易だ。

コナラの林の別の「ダッコちゃん」だ。

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カシアシナガゾウムシ(甲府市、1月10日)

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A winterpassing elephant beetle, Mecysclobus piceus, tightly holding the small branch with the long legs.
Olympus EP-1, ASA200, Flash (+)

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カシアシナガゾウムシ(甲府市、1月10日)

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Mecysclobus piceus
Olympus EP-1, ASA200, Flash (+)

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カシアシナガゾウムシ(甲府市、1月10日)

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Mecysclobus piceus
Olympus EP-1, ASA200, Flash (+)



キイロテントウムシ; Illeis koebelei

やはりコナラの細枝の分岐部で小さなキイロテントウムシを見つけた。このクリームイエロのヘルメットは隠れているようでも良く目立つ。

ナナホシテントウはアブラムシなどを食べるが、キイロテントウはブドウやバラなどの病気であるウドン粉病(葉や茎がウドン粉をかけたように白くなる)の菌体(カビの一種)を幼虫、成虫ともに食べる。キイロテントウムシは人間にとっては益虫なのだ。

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キイロテントウムシ(甲府市、1月10日)

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Illeis koebelei
Olympus EP-1, ASA200, Flash (+)


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§ Afterword §


今週末は成人の日で連休になったので、のんびりと近場のコナラ林を散歩した。冬のコナラ林は、ダッコちゃんを見るのが楽しみだ。


オリンパスのEP-1は軽いので、冬の時期ののんびり散歩には最適なカメラだ。ただ、気軽に散歩するのであれば、ネックストラップよりも、ハンドストラップの方が使いやすいと思う。そこで、現在、EP-1純正のハンドストラップを注文している。

冬の間に、今年のハイシーズンに向けてゆっくりと準備したいものだ。





以上、 by 虫林花山
Commented by thecla at 2010-01-11 17:54 x
ゾウムシの仲間はこんな風に枝に摑まって越冬するのですね。
何ともユニークで愛嬌があって冬の雑木林散策の楽しみになりそうです。
RICHOの新しいGXR、GX200の後継というよりEP-1の競合機のようにも感じます。価格が高いのでためらい中です。
そういえば、以前はGR-Dも使っておられたようですが、使い具合はいかがでしたでしょうか。
Commented by spatica at 2010-01-11 18:43 x
こんにちは。
アシナガゾウたちの越冬はなんでこんな所で?という感じですよね。
ダッコちゃんの呼称は実は私がオリジナルではなく、新開孝さんの文中より引用させていただいたものです。
確か古いインセクタリウムだったような気がするのですが…。
冬場の昆虫探しは宝探しのようで、手間暇かかりますがその分の喜びは大きいですね。
Commented by himeoo27 at 2010-01-11 19:44
オオミドリシジミの卵を昨日やっと見つけました。
シーズン中に蝶の成虫に出会うのはとても喜びで
すが、越冬蛹、幼虫、卵を発見した時は私にとって
感激ものです。
Commented by 虫林 at 2010-01-13 08:14 x
theclaさん、
このゾウムシは本当にユニークなので、冬の楽しみのひとつです。でも、探してみると、実はそう簡単には見つからないのです。
以前使用していたGR-Dは、不具合が生じたので、現在はお蔵入りしていますが、使用感は素晴らしく良かったです。とくに携帯していて楽な大きさは有難いですね。
Commented by 虫林 at 2010-01-13 08:16 x
spaticaさん、
有難うございます。
だっこちゃんという表現は、当を得ていて、素晴らしいと思いました。このゾウムシ探しは、見つけた時にはとても嬉しいですね。
Commented by 虫林 at 2010-01-13 08:18 x
ヒメオオさん、
オオミドリの越冬卵の発見、よかったですね。見つけてしまえば、次からは楽になりますが、初めて見つけた時にはとても嬉しいものですよね。
僕は、幼虫とかは疎い方ですが、勉強したいと思っています。
Commented by ダンダラ at 2010-01-15 10:43 x
カシアシナガゾウムシの2枚目は魚露目ですか?
こういった画像が簡単に写せるのは素晴らしいですね。
Commented by 虫林 at 2010-01-15 18:29 x
ダンダラさん、
有難う御座います。
蝶と違って小さな甲虫は、拡大してみると驚くことが多いようです。
Gyoromeも画質がもう少しよければいいのですがね-----。
by tyu-rinkazan | 2010-01-11 15:45 | Comments(8)