NATURE DIARY

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20100403 武田の杜散歩:ミヤマセセリの小径

Nature Diary #0314
Date: April 3rd (Saturday), 2010
Place: Kofu-shi, Yamanashi Pref.
Weather: fine



§ Diary §

本日(土曜日)は朝からとても天気が良い。
そこで、のんびり、ほっこり、うらうらと家の近くの「武田の杜」を散歩した。

このところの学会出張続きで、フィールド散歩は実に3週間ぶり。


いつもの場所に車を止めて小径に歩を進めると、道のわきにはタチツボスミレ、アカネスミレ、スミレが咲き、タンポポの数もいつの間にか増えていた。すでにコブシの花は終わり、今はキブシや山桜の花が満開だ。

この時期の里山は、いたるところ生命の輝きに満ちていてとても気持が良い。
今年は季節が1週間ほど遅れているように思うが、すでに春爛漫で蝶のシーズンインだね。

振り返ると、駐車した虫林の車が山桜に埋もれてしまっているようだ。

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山桜の花満開

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The season was probably 1 week behind normal. Thankfully, the mountain cherry are now in full bloom, representing a more productive time to start looking for newly emerged butterflies.
Panasonic DMC-LX3, ASA200
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)



フジサクラ; Prunus incisa

フジザクラの花------山梨県の県花

フジザクラは小型のサクラ(マメザクラ)で、富士山近郊や箱根近郊などに自生する。木はあまり大きくならず、花も小型(1-2cm)で下向きに咲くのが特徴。


この花を見ると、山梨県甲府市出身の大相撲力士「富士桜関」を思い出す。

富士桜関は20年以上前に活躍した力士で、体は小さいが、突き押しだけにこだわり、その愚直にもみえるようなひたむきな土俵姿はとても人気があった。当時、「突貫小僧(後に突貫おじさん)」という愛称で呼ばれていた。
今、こんな名が付く力士がいるだろうか。

虫林は当時の「突貫小僧」の相撲がとても好きだったな。

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フジザクラの花

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Prunus incisa
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)



ミヤマセセリ; Spring Flat

ミヤマセセリは蝶を知らない人がみれば「蛾」と思ってしまうに違いない地味な蝶ではあるが、「侘び寂び」を解する虫林にはとても美しく見える(本当かい?)

年1回この時期だけに出現するスプリングエフェメラル-----春告蝶。


「ミヤマセセリの小径」と勝手に名付けた南斜面の小道を辿ると、すぐに何頭もの本種を見つけることができた。ここはいつ訪れてもミヤマセセリが多い。

面白いことに、少し前まであれだけいた越冬明けのテングチョウはほとんど姿を消し(不思議だが)、今はミヤマセセリばかりが目につくようになった。

ミヤマセセリ♂は地面に静止して日光浴をしながらテリトリーを形成。

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日光浴をするミヤマセセリ♂

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A male of Spring Flat basking on the branch with the wings opened.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)


飛びまわったり、日光浴したりと活動しているミヤマセセリの大部分はオスだが、メスも1割程度見ることができた。ミヤマセセリはメスの方が格段に美しい。


1頭のメスが道脇の石に静止したので、心の中で「freeze!」と呟いた(なぜか英語?)。

ゆっくりと近づいて、パナのコンデジ(DMC-LX3)の広角24mmで撮影。
このくらい寄れれば、多分、カメラと蝶の間の距離は5cm程度かな?

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日光浴をするミヤマセセリ♀

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A male of Spring Flat basking on the stone with the wings opened.
Panasonic DMC-LX3, ASA200
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)


メスが出現すると、いろいろな興味深い行動を目にすることが多い。

オスとメスが2頭でクルクルと追尾飛翔した後に、同じ場所に静止した。
多分オスのディスプレイ行動なのかもしれないな。

2頭はしばらくじっとしていたが、このメスはオスに対して全く無関心だったみたいで、しばらくするとオスはすごすごとメスが静止する石の上から立ち去った。

石の上にも3年ではなくて、30秒ほどだった。

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石の上のミヤマセセリ♂♀

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A pair of Spring Flat resting on the stone.
Panasonic DMC-LX3, ASA200
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)


飛んできたメスを目で追っていると、湿った地面で吸水を始めた。

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吸水するミヤマセセリ♀

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A female of Spring Flat feeding water on the wet ground
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400, 外部ストロボ
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)



<飛翔>

ミヤマセセリの飛翔速度は速くはない。セセリチョウの仲間ではむしろ遅い部類に属するだろう。ただ不規則な飛翔経路を辿るので、飛翔写真を撮影するのは容易ではない。


とにかく黒く見えるので、E-3にシャッター速度全速同調するストロボを用いて撮影した。

背景の露出を少しアンダー気味にしているので、ストロボ光に当てられたミヤマセセリが強調されている。意外に面白い写真になったと思う。

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ミヤマセセリ♂の飛翔

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A male of Spring Flat flying in the walking path
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, EC-12, ASA640, 外部ストロボ
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)


オオイヌフグリの花が沢山咲いている場所では、三々五々にミヤマセセリが吸蜜に訪れた。
少し離れた場所から望遠飛翔を撮影した。

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ミヤマセセリ♀の飛翔

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A female of Spring Flat flying in the grass
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA640, Trimming (+)
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)

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ミヤマセセリ♀の飛翔

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A female of Spring Flat flying in the grass
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA640, Trimming (+)
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)



ヤマトシジミ; Pale Grass Blue

何頭かのヤマトシジミも見つけた。

この時期のヤマトシジミは低温期型なので、全体に白っぽく見えて、夏に出現するものに比べるとまるで別人(別蝶)だ。翅裏の黒い紋も少し違和感を感じる。

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ヤマトシジミ♂

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A male of Pale Grass Blue resting on the leaf
Panasonic DMC-LX3, ASA200
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)



ツバメシジミ; Short Tailed Blue

羽化後間もないと思われるピンシャンのツベメシジミが枯れ枝の先に静止した。
逆光で翅の縁毛が光ってとてもきれいだ。

ツバメシジミは翅裏の地色が独特の純白。

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ツバメシジミ

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A male of Short Tailed Blue resting on the branch
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA640
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)



ルリシジミ; Holly Blue

ルリシジミがどこからともなく飛んできて目の前の枯葉の上に静止した。写真では大きさがわからないが、この個体は非常に小型で、初めスギタニルリかなとも思った。

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ルリシジミ

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A male of Holly Blue resting on the dry leaf
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA640
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)



シュンラン; Spring Orchid

この時期の林の中ではあちらこちらでシュンランの花を見つけた。おおむね花茎は1本ないし2本のものが多いが、なかには大株になっているものあった。

シュンランは伐採後に大株になるらしいが、この写真の株も伐採された場所でみられた。

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シュンラン

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Spring Orchid
Olympus E-510, EC-14, ZD8mm Fisheye, ASA200, 外部フラッシュ
(2010-April-03, Kofu-shi, Yamanashi)


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§ Afterword §

本日、観察した蝶は、ミヤマセセリ多、テングチョウ数頭、ヒオドシチョウ数頭、キタテハ2頭、ルリシジミ2頭、ヤマトシジミ10頭、ツバメシジミ1頭、ベニシジミ2頭、スジグロシロチョウ1頭、スジボソヤマキチョウ数頭、キタキチョウ数頭だった。さらにナミアゲハも1頭飛来したが、残念ながら撮影はできなかった。

顔ぶれをみると、春の蝶が出そろった感じだね。


今週末はそろそろギフチョウの話題が出てくると思う。虫林も県南の富士川流域に様子を見に行きたかったが、午後に用があって近場の散歩にした。今年の春の歩みからすると、ギフチョウシーズンは来週くらいからかな-----楽しみだ。




以上、 by 虫林花山
Commented by ma23 at 2010-04-04 20:05 x
2つのミヤマセセリ、なんてぜいたくなんでしょう。飽きるほど楽しみたい蝶です。ツバメシジミもでてるのですね。
Commented by himeoo27 at 2010-04-04 21:09
石の上のミヤマセセリ♂♀の写真いいですね!

ツバメシジミの眼とてもチャーミングです。
Commented by dragonbutter at 2010-04-04 21:25
150mmでミヤマセセリの飛翔、神業ではないでしょうか。
石の上にも30秒、、笑えました。
Commented by Celastrina at 2010-04-04 22:18 x
オオイヌノフグリの上を舞うミヤマセセリ、うなりました。いいですねぇ。石の上のミヤマセセリ♂♀も、なかなか撮れない画像です。
Commented by 虫林 at 2010-04-05 01:32 x
ヒメオオさん、
石の上の♂♀はちょうど良いチャンスに恵まれました。
今までこのようなことが無かったので、とても嬉しかったです。
ツバメシジミは良く見ると、なかなかチャーミングですよね。
Commented by 虫林 at 2010-04-05 01:34 x
dragonbutterさん、
150mmでの飛翔写真は神業でも無いですよ。
はじめはやはり100mmくらいでやる方が楽ですが、挑戦してみると以外に上手くいくものです。是非とも試してください。
Commented by 虫林 at 2010-04-05 01:37 x
Celastinaさん、
望遠での飛翔は上手くいく確率は少ないですが、シャッター速度さえ確保できれば意外に上手くいくものですね。お褒めいただき有難うございます。
石の上の♂♀は初めての経験で、ラッキーでした。
Commented by 虫林 at 2010-04-05 01:39 x
ma23さん、
レスの順番が前後してしまって、失礼しました。
石の上の♂♀は、見たときに驚きました。上手く撮影できたときにはとても嬉しかったです。
ツバメシジミは1頭だけが突然目の前に飛んできたので、発生状況などは良く分かりませんが、なかなかチャーミングな蝶ですね。
Commented by cicada_nana at 2010-04-05 17:56 x
石の上で2頭並ぶ姿は目にした事がないので、こうしてペアが誕生するのかなと想像しました。
ミヤマセセリもこちらでも出て居るそうですが、まだ私は確認出来ていないので、早くこんな綺麗な写真を撮りたいと想います
いつもても素晴らしいお写真で感動させられています
Commented by 虫林 at 2010-04-05 20:22 x
cicada_nana さん、
ペアのミヤマセセリは僕も気に入った写真になりました。
やはり、メスが出現すると、時として生態的に面白い写真が撮影できるようです。これからが楽しみです。そちらでも、きっとミヤマセセリの良い写真が撮影できますよ。
Commented by ダンダラ at 2010-04-05 22:56 x
ミヤマセセリの配偶行動は何年か前に同じようなシーンを撮影しましたが、やはり♂はふられてしまいました。
でもなかなか見られないシーンだと思うので、素晴らしいです。
それに望遠マクロでの飛翔写真には恐れ入りました。
チャレンジしようとも思わないハイレベルの写真ですね。
Commented by 蘭丸 at 2010-04-06 04:33 x
虫林san、おはようございます。
ミヤマセセリのペアリング&飛翔。すばらしいですね!!!
私は、昨年、ミヤマセセリの卍を撮る際、モードの切り替えを忘れ、入っているのに写ってイナイ・・・
屈辱をリベンジしたく思います。
ギフシーズンも到来ですね。チョウの撮影を再開(Digiになって)してから、
以前通っていた場所が、数か所無くなってしまった為、ギフは撮れていません。。。
今年はドコカ見つけられるとヨイノデスガ・・・・・。
Commented by furu at 2010-04-06 20:19 x
富士桜関は「突貫おじさん」になってから知りましたが好きな力士でした。麒麟児との相撲史に残る突っ張り合い(どつき合い)は凄かったですね。引退して中村親方になった時、「普通の名前やん!」と家族みんなで突っ込みました。
Commented by banyan10 at 2010-04-06 21:20
ミヤマセセリのペアは交尾以外でツーショットは貴重ではないでしょうか。
もちろん交尾も未撮影なので撮りたいところです。
飛翔も撮影は難しいと思いますが見事です。
「突貫小僧」はコツバメを連想してしまいます。(^^;
Commented by mtana2 at 2010-04-06 23:30 x
豪華絢爛に咲き誇るサクラもよいですが、山の中でひっそりと咲くマメザクラも風情があって好きです。
こちらで見られるのはヤブザクラとのことですが。
Commented by 虫林 at 2010-04-07 21:26 x
ダンダラさん、
コメント有難うございます。
やはり♀が出現すると、求愛シーンなど面白い場面に出会うチャンスがありますね。このような状態で交尾が成立したのを見たことがありません。
望遠マクロはたまたま思いついて撮影してみましたが、なんとなく上手くいきました。チャレンジしてみるものですね。
Commented by 虫林 at 2010-04-07 21:28 x
蘭丸さん、
コメント有難うございます。
設定し忘れて飛翔が上手く撮影できなかったことは僕も何回もありますよ。でも、デジタルではすぐに確認できるのが便利ですね。その失敗は少し最近では少なくなりました。
ギフはいつかご一緒できればと思いますが、今週末の日曜日はあまり天気が良くなさそうで心配しています。
Commented by 虫林 at 2010-04-07 21:31 x
furuさん、
コメント有難うございます。
「突貫おじさん」は体が小さいのに、元気で、突き押しにこだわっていたのが見ていてとてもよかったです。こんな力士はこれからもなかなか出ないですよね。麒麟児との対戦は血まで流れてすごかったですね。
Commented by 虫林 at 2010-04-07 21:34 x
banyanさん、
コメント有難うございます。
求愛ペアはうまい具合に石の上に並んでくれて嬉しかったです。僕はミヤマセセリの交尾が撮影できていないのでこれからの課題です。
望遠の飛翔はたまたま思いついたので頑張ってみました。
んるほど、そう言われてみれば、富士錦はコツバメという表現がぴったりきますね。
Commented by 虫林 at 2010-04-07 21:39 x
mtanaさん、
コメント有難うございます。
豆桜はなかなか群生しないので、写真としては絵になりにくい桜ですね。でも、楚々としたところが好きです。ヤブザクラもマメサクラ系で、とても綺麗ですので、見てみたいです。
Commented by kmkurobe at 2010-04-08 19:24
今シーズンも相変わらずレベルが高い絵が並んでいますね。ミヤマジミは当地では個体数が多くないので、なかなかいい写真が撮れません。ペアの求愛すばらしいですね。
Commented by 虫林 at 2010-04-09 23:27 x
kmkurobeさん、
コメント有難うございます。
ミヤマセセリはそちらではあまり多くないのですね。意外です。
白馬もそろそろ春の様子で、これからが楽しみですね。
Commented by maeda at 2010-04-10 11:43 x
ミヤマセセリの飛翔が素晴らしいですね。私も去年狙いましたが、これがなかなか難しいです。速いものだから、テリを張っているコースで待ち伏せしかないように思い、実際そのようにして何枚か撮れましたが、相当に疲れました。
Commented by chochoensis at 2010-04-10 18:24 x
虫林さん、石の上の=ミヤマセセリ=が素晴らしいですね・・・こういうシーンに出会ったら興奮してしまいそうです!!!すばらしいです。
Commented by 虫林 at 2010-04-11 21:15 x
maedaさん、
コメント有難うございます。
ミヤマセセリは飛翔速度が結構それでも速いですから骨が折れますが、上手く撮影できると嬉しいので挑戦しました。個体によってはフレンドリーなものもいますので、それを見つければOKですね。
Commented by 虫林 at 2010-04-11 21:16 x
chochoensisさん、
コメント有難うございます。
石の上の♂♀は僕も興奮しました。さらに、あまり動いたりしないので撮影も楽でしたよ。chochoensisも見ることができれば良いですね。
by tyu-rinkazan | 2010-04-04 19:20 | Comments(26)