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20100703 梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか

Nature Diary #0332
Date: July 3rd and 4th (Saturday and Sunday), 2010
Place: Yamanashi and Shizuoka
Weather: Cloudy with intermittent rain



<梅雨の候>

梅雨の時期に雨を気にしても仕方が無い。

この時期、大雨はノーチャンスだが、小雨であれば昆虫の観察も何とかなることが多い----雨など気にせずに雨対策をしてフィールドに出ることにしよう。虫林はピーカンよりも、曇り時々晴れのち雨といった変化の多い天気が好きだ。

♪♪ 雨雨降れ降れ、ちょっと降れ、私のいい虫つれて来い ♪♪---かな?

でも、やはり雨が降ると外に出るのが億劫になるな。


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§ Diary §

今年はどういうわけか、この時期でもウスバシロチョウを見かけます。

先週の岩手でもまだ元気な個体が沢山ヒラヒラと飛んでいたし、ボロイながらもコツバメさえ見かけました。今週は信州の標高1000mほどの高原にいきましたが、そこでもウスバシロチョウを何頭も目撃しました------やはり、今年の季節推移は異常なのかもしれませんね。


ウスバシロチョウ; Glocial Parnaassius

下の写真は雨の中で濡れそぼって静止しているウスバシロチョウの姿です。

翅もヨレヨレで、これでは雨があがっても再び飛ぶこともできないかもしれません。
「濡れネズミ」ならぬ「濡れウスバ」ですな。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_22575394.jpg
#1: 雨に濡れるウスバシロチョウ

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A Glocial Parnaassius getting soaking wet.
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-July-3, Nagano)



ウラジャノメ; Woodland Brown

ウラジャノメは高原のジャノメチョウです。
土曜日に訪れたこの高原では、林縁を歩くとこのチョウが何度も飛び出してくれました。

少し離れた枝に静止したので、Nikon Coolpix P100の最高倍率(678mm相当)で手持ち撮影しました。やや薄暗い場所でしたが、何とか手振れせずに写っているのに驚きです。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_2258950.jpg
#2: ウラジャノメ

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A Woodland Brown resting on the leaf.
Nikon Coolpix P100
(2010-July-3, Nagano)



開翅するウラジャノメを久しぶりにじっくりと撮影できました。フィールド図鑑用のアングルで、少し絞りを入れて撮影しました。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_22582232.jpg
#3: ウラジャノメ

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A Woodland Brown resting on the leaf. with the wings opened.
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-July-3, Nagano)



ヒメシジミ; Silver-studded Blue

この高原では、ヒメシジミとアサマシジミが混在しています。

両者が混在すると、ヒメとアサマを区別しなければなりません。基本的には両者の区別は翅裏の黒い紋の形が決め手になりますが、もっと手っ取り早い区別点は翅の辺縁に並ぶ白い毛の長さですね(白い毛が長いのがヒメで、短いのがアサマ)。

アヤメの花に静止しているヒメシジミをCoolpix P100で撮影しました。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_22583735.jpg
#4: アヤメの花上のヒメシジミ♂

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A male of Silver-studded Blue resting on the flower of Iris sanguinea.
Nikon Coolpix P100
(2010-July-3, Nagano)


この写真だけを見ると、一見アサマシジミのようにも見えますが、縁毛の純白で長い毛をみると、やはりヒメシジミです(裏面確認済み)。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_22585092.jpg
#5: 葉上で開翅するヒメシジミ♂

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A male of Silver-studded Blue resting on the leaf with the wings opened..
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-July-3, Nagano)

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_2259218.jpg
#6: 葉上で開翅するヒメシジミ♀

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A female of Silver-studded Blue resting on the leaf with the wings opened..
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-July-3, Nagano)




アイノミドリシジミ; Brilliant Hairstreak

明けて4日(日曜日)は朝8時過ぎに起床。

この時期にこんなに遅く起きてはゼフィリスト(ミドリシジミの仲間が好きなヒトのこと)としては完全に失格ですね---反省。

ゆっくりと食事をしていると、Banyanさんから電話が入り、甲府市北の山 (O山) の上にあるアイノミドリのテリ張りポイントに来ているとのことでした。そこで、早速、合流してみましたが、木が大きくなりすぎたため、アイノミドリの姿は下からのシルエットしか撮影できませんでした。

Nikon Coolpix P100の678mm相当の超望遠は、色味などは別にして使用可能です。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_22591652.jpg
#7: 樹上の葉でテリトリーを張るアイノミドリシジミ♂

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A male of Brilliant Hairstreak perching on the wood leaf.
Nikon Coolpix P100
(2010-July-4, Yamanashi)



ハヤシミドリシジミ; Hayashi Hairstreak

午後からはウラクロシジミの撮影に行きました。

現地では静岡のKさんも加わり、ウラクロを待ちながらチョウ談義で時間をつぶしました。残念ながら待てどもウラクロは見ることができず、午後3時を回ったところで諦めて、富士山麓のハヤシミドリのマイポイントにご案内しました。


ポイントに到着してしばらくすると、♂X♂2頭での巴卍飛翔が突然始まりました。

この巴卍飛翔は、もともとカシワの木の上の方で始まりましたが、次第に下に降りてきて地上50cmくらいの高さでかなり長い間クルクルと絡みながら持続していました。

広角レンズを車に忘れてきた虫林は、マクロレンズでその様子を撮影しましたが、banyanさんの足元やKさんが撮影するレンズのちょっと前で巴卍飛翔が行われている様子を撮影することが出来ました------ウーム、広角で撮影すべきだった。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_610402.jpg
#8: Banyanさんの足元で巴卍飛翔するハヤシミドリ

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A pair of Hayashi Hairstreak flying in a tangle and Mr. Banyan.
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-July-4, Shizuoka)

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_22594364.jpg
#9: 巴卍飛翔するハヤシミドリ

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A pair of Hayashi Hairstreak flying in a tangle.
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400, Trimming (+)
(2010-July-4, Shizuoka)




ヒメリンゴカミキリ; Oberea hebescens

オトシブミがいる葉にヒメリンゴカミキリが静止しました。
2匹の虫がお互いに見合っているようにも見えますね。

未知との遭遇とは大げさかな?

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_22595857.jpg
#10: 未知との遭遇:オトシブミとヒメリンゴカミキリ

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Oberea hebescens
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-July-4, Yamanashi)

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_23013100.jpg
#11: ヒメリンゴカミキリ

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Oberea hebescens
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400, Flash (+)
(2010-July-4, Shizuoka)



ムネアカクロハナカミキリ; Leptura aethiops

ムネアカクロハナカミキリが小さな池の傍に咲くアザミの花を訪れていました。

前胸背の赤いムネアカクロハナカミキリでは、赤いのは♀だけで、♂はクロハナカミキリと同じで真っ黒くなります。クロハナカミキリの♀でもたまに前胸背が赤い個体が出現するのでとても紛らわしいですね。

この個体は、一応ムネアカクロハナカミキリとしておきます。

20100703  梅雨空の散歩道:ウラジャノメほか_d0090322_2302816.jpg
#12: ムネアカクロハナカミキリ

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Leptura aethiops
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-July-3, Nagano)


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§ Afterword §

虫屋という人種は、見かけたチョウの種類、性、数などで季節の歩みを日単位で敏感に感じ取ることが出来ます。この感覚は虫屋が経験してきたチョウに関する長年のデータが脳にインプットされているためなのです。この時期にウスバシロチョウがまだ多く見られるのはやはり今年は普通ではなさそうです---何となく不安な気持ちになってしまいます。


今週末は別なチョウの撮影を予定していましたが、天気が悪くてあきらめざるを得ませんでした。
来年以降にその楽しみが延びたということで理解しましょう。


こう暑いと、来週あたりから山に登りたくなってしまいます。



Banyanさんお付き合いいただき有難うございました。




以上、 by 虫林花山
Commented by fanseab at 2010-07-06 07:32
アヤメにヒメシジミの構図が素晴らしいです。コンデジのやや派手目な発色が梅雨空にはむしろピッタリですね。ハヤシの卍は広角でなくて残念でした。
Commented by banyan10 at 2010-07-06 09:10
お疲れ様でした。
ウラジャノメの開翅は見事ですね。僕はまだ綺麗な個体で撮影できていません。
ヒメシジミとアヤメもいいですね。
ハヤシが最後に出てくれてよかったです。あの状況では広角まで準備するのは難しかったですね。取りに行って失敗かと思いましたが、再度チャンスがあって幸運でした。
Commented by ヘムレン at 2010-07-06 21:18 x
ウラジャノメの開翅・・・見事ですね。
ヒメシジミとアサマシジミは、個体によっては、未だに迷うことがあります。恥ずかしい次第です(^^;)。。遠くに山が入って、高原の雰囲気がいいですね。
ハヤシ・・・こんなに足元で・・すごいですね。素晴らしい場所ですね(^^)
Commented by himeoo27 at 2010-07-06 21:32
この時期の「濡れウスバ」は、蒸し暑いさいたま市内のマンションのパソコンで見ていて、悲哀を感じたヒメオオです・・・。
Commented by 蝶山人 at 2010-07-06 23:10 x
ウラジャ素晴らしいです。
コンデジも使いこなして
虫の目虫林火山ワールド全開ですね。
Commented by 虫林 at 2010-07-07 06:42 x
fanseabさん、
コメント有難うございます。
ヒメシジミはアヤメの花が好きみたいですので、この花との組み合わせを狙ってみました。
やはり、広角レンズはポケットに入れておくべきですね。反省しています。
Commented by 虫林 at 2010-07-07 06:45 x
banyanさん、
コメント有難うございます。
ウラクロは残念でしたが、ご一緒で来て楽しかったですよ。
ハヤシミドリの卍飛翔は嬉しかったですね。広角レンズはいつもポケットに入れておくことにします。
Commented by 虫林 at 2010-07-07 06:47 x
ヘムレンさん、
コメント有難うございます。
アサマだけだと楽なのですが、ヒメと混在していると紛らわしいですね。
大体、ヒメがアサマに見えてしまいます(笑)。
ハヤシミドリの場所は気持ちが良いですよ。
Commented by 虫林 at 2010-07-07 06:49 x
ヒメオオさん、
コメント有難うございます。
ヌレウスバの他にボロウスバなどもみましたが、確かに悲哀を感じてしまいますね。これが自然の現実ですので、写してみました。
Commented by 虫林 at 2010-07-07 06:52 x
蝶山人さん、
コメント有難うございます。
ウラジャはこれまで翅表開翅写真を撮影できていなかったので良かったです。でも、けっこう開翅はすぐにする蝶みたいでした。
コンデジは色味がね-----。
Commented by 蝶山人@昼休み at 2010-07-07 12:53 x
失礼しました。
虫林「花」山が「火」山と誤変換されてました。
以後気を付けます。
Commented by kmkurobe at 2010-07-07 15:21
そちらそれなりのお天気だったのですね。ウラジャノメ見事なまでに綺麗に撮影されていますね。
GXRでの飛翔撮影はできるのですが、貴殿のISO400での画像を見ると解像度の差は歴然。飛翔専用に一台欲しくなってしまいました。
Commented by maeda at 2010-07-07 20:51 x
まだ十勝では光るゼフは出ていませんが、私が毎年テリ張りを撮るジョウザンポイントは同じような草地です。
今年はもっと草が刈り込んであるので、いつもより地面に近いところで開翅しそうです。
Commented by tamayam2 at 2010-07-08 16:30
初めてご挨拶申し上げます。もうずっと前から虫林さんの
BlogのFanです。私もときどき信州にでかけ、ときどき外国
にでかけます。もし時間があれば、植物園、動物園、できれば
昆虫館のあるところに出かけたいと思っています。なかなか
思うようにはなりませんが・・・(涙)虫林さんが3月に行かれた
WashingtonDCの自然史博物館の中の昆虫展、私も
昨年4月に見ました。あそこのZooにも昆虫館があり、すっかり
チョウのとりこになりました。リンクをいただきました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
Commented by 虫林 at 2010-07-09 11:25 x
蝶山人さん、
まったく気にしなくてよいですよ。
お気楽にお呼びください。
お気遣い有難うござます。
Commented by 虫林 at 2010-07-09 11:27 x
kmkurobeさん、
有難う御座います。
ジャノメの仲間では、このウラジャノメは好きなチョウです。
表は意外と綺麗なので、再認識しました。
GXRはいいなあ~。
Commented by 虫林 at 2010-07-09 11:28 x
maedaさん、
北海道は今が一番よい時期のようですね。
ジョウザンのテリ張りの広角写真を期待しています。
Commented by 虫林 at 2010-07-09 11:41 x
tamayamさん、
始めまして。コメントいただき有難う御座います。
海外にお住まいだったみたいで、シアトルの記事も楽しく見せて頂きました。小生もシアトルは仕事で行ったことがありますが、大学構内だけであまり市街地には出ませんでしたが、ブルースリーのお墓は行きましたよ。
こちらにも後ほどリンクさせて頂きます。
こちらこそ宜しくお願いします。
Commented by chochoensis at 2010-07-10 11:10
この=ウラジャノメ=の写真を拝見して、そろそろ山のほうに行ってみたくなりました・・・=ハヤシ=も凄いですね・・・足元ですか!
Commented by cactuss at 2010-07-11 13:51
ウラジャノメは図鑑用にぴったりですね。
ヒメシジミ、ゼフと美しいですね。
広角以外のレンズではうまく飛翔は撮った事はないですが、ハヤシミドリの飛翔は見事ですね。
静岡のKさんは小生の知っているKさんでしょうか。
Commented by 虫林 at 2010-07-12 11:33 x
chochoensisさん、
コメント有難う御座います。
最近、蒸し暑いですね。
ウラジャノメは涼しい高原のチョウですから、是非とも高原のほうで観察されると良いですね。この場所はスキー場でなかなか気持ちがよいところですよ。
Commented by 虫林 at 2010-07-12 11:36 x
cactussさん、
飛翔写真は広角以外では、なかなか難しいと思いますが、望遠でうまくいくと背景がぼけて蝶が強調されますんで、時々試しています。でもなかなかね---(笑)。
静岡のKさんは、cactussさんが良くご存知の方です。偶然に通りがかって、合流されました。とても良い方ですね。
Commented by yoda-1 at 2010-07-12 23:57
こんな低い位置での卍巴飛翔があるとは驚きです。
皆さん、さどかし楽しかったことでしょう。
オトシブミとヒメリンゴカミキリの遭遇が愉快ですね。
お互いに、先制攻撃すべきか、退散すべきか迷っているとしたら
面白いです。
(虫林さんの過去ログに刺激されて、秋吉台に行ってきました)
Commented by 虫林 at 2010-07-13 09:13 x
yoda-1さん、
コメント有難う御座います。
この時は地上50cmくらいでクルクルと回っていました。
広角レンズで飛翔が撮影できずに残念でした。
ブログ拝見しました、本州のオオウラギンの撮影、おめでとう御座います。後ほど、コメントさせて頂きます。
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by tyu-rinkazan | 2010-07-05 23:04 | ▣ウラジャノメ | Comments(24)

Photographic Adventures for Insects and Flowers


by 虫林花山
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