NATURE DIARY

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20100919 県南の散歩道:ツマグロキチョウほか

Nature Diary #0349
Date: September 19 (Sunday), 2010
Place: Yamanashi
Weather: Cloudy and Fine



<馬肥える秋、収穫の秋>

この時期は生理的に食欲が増すので「天高く、馬肥える秋」と言われているが、馬の代わりに「虫林肥える秋」ではいただけない.ウーム、このところ会食が続いているので、フィールド散歩でもしなければ------ということで、今週末もフィールドへ(言い訳がましいな)。


ところどころで「稲刈り」を見かける。

家族で行う稲刈りの風景は、どこか平和で、どこか豊かで、見ていると何故か幸せな気分になる。写真の中の一人はマネキン人形で多分、案山子の役割なのだろうだ。

収穫(Harvest)の秋、日本の秋。

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#1: 収穫の季節
Harvest season

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§ Diary §

虫林は秋型(低温型)のツマグロキチョウが好きで、毎年、この時期になるとツマグロキチョウに会いに出かける。

そういえば、そろそろ秋型のツマグロキチョウが出現しているはずだ。
この蝶は県南の河原に多いので、本日は一路南下してみよう。



ツマグロキチョウ; Eurema laeta, Angulated Grass Yellow

食草のカワラケツメイが多い河原に到着すると、早速、ゆっくりと飛翔する本種が出迎えてくれた。慣れてくると、飛翔していても本種であることがわかる。

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#2: 飛翔するツマグロキチョウ

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A flying feature of Angulated Grass Yellow
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, EC-14, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



ツマグロキチョウはすぐに静止してくれるので、キチョウよりも撮影が楽だ。

ツマグロキチョウはキタキチョウに比べて少し内向的な性格なのだろうか、なかなかオープンスペースで出てこないで、繁みの中や葉の裏に静止することが多い。そういえば枯葉にも好んで止まるようだ。

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#3: 葉上に静止するツマグロキチョウ

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An Angulated Grass Yellow resting on the leaf.
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, EC-14, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



ツマグロキチョウに限らず、黄色いチョウは逆光で撮影するのが好きだ。とくにツマグロキチョウでは、少しだけ褐色を帯びた黄色い翅フィルターの透過光がとても優しく美しい。

逆光効果の強さは、太陽の位置と翅の向きとの関係によって決まる。

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#4: ツマグロキチョウ

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An Angulated Grass Yellow resting on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



カワラケツメイの黄色い花が咲いていたので、食草での吸蜜を期待したのだが、ツマグロキチョウはカワラケツメイの花には関心が無く、おもにメドハギやクズの花で吸蜜していた。

下の写真は、クズの花で吸蜜するツマグロキチョウのアップ。

クズの花の花弁はあたかも赤い日傘のようで、花弁を通過した陽の光が、一心不乱に吸蜜している蝶の頭部をほのかに赤く染めているのが面白い

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#5: 花弁の日傘とツマグロキチョウ

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An Angulated Grass Yellow feeding nectar from the follower.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



ウラナミシジミ; Lampides boeticus, Pea Blue

いつの間にか、旅蝶ウラナミシジミの数が増えたようだ。

ミカン類の葉の上に静止しているウラナミシジミを見ると、とても元気に見えるが、ここでは越冬できなくて死滅してしまう運命なのだ。

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#6: ミカンの葉上に静止するウラナミシジミ

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A female of Pea Blue resting on the orange leaf.
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, EC-14, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



この蝶たちは、温暖な地から世代を重ねながら北上していく。
たぶん本籍(生まれた場所:土着地)は伊豆半島あたりだろうか。

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#7: ウラナミシジミ

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A female of Pea Blue resting on the orange leaf.
Olympus E-620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



ウラギンシジミ; Curetis acuta, Angled Sunbeam

林道を歩くと、しばしばウラギンシジミが足元から飛び出した。

飛び出した彼らは、銀白色の翅裏を点滅させながら旋回し、また元の場所に戻る。今年、初めてキリシマミドリシジミを見ることができたが、キリシマミドリが飛翔している姿は、大きさといい、銀白色の点滅といい、跳ぶスピードさえも本種と似ているように思えた。

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#8: ウラギンシジミ

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A male of Angled Sunbeam resting on the leaf with the wings opened.
Olympus E-620, ZD8mm Fisheye, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



新鮮なオスが葉上に静止たかと思うとおもむろに翅をひろげた。
大きなオレンジ紋が美しい。

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#9: ウラギンシジミ

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A male of Angled Sunbeam resting on the leaf with the wings opened.
Olympus E-620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



ナガサキアゲハ; Papilio memnon, Great Mormon

先週、アカジマトラカミキリの撮影に長野県を訪れた時に、下諏訪神社の境内でナガサキアゲハのメスを見た。諏訪湖のような内陸での本種との出会いはとても意外で驚いた(残念ながら証拠写真すら撮影できなかった)。

ここ山梨県南部では、すでに何年も前から連続してナガサキアゲハを見ている。

本日は道路脇に栽培されているキバナコスモスの花に三々五々に訪れていた。この花は蜜が少ないためか吸蜜時間は短く、また、花の大きさに比較してこの蝶の図体が大きいので、吸蜜すると花茎が曲がってしまい、あまり格好の良い写真が撮影できなかった。

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#10: キバナコスモスで吸蜜するナガサキアゲハ♀

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A female of Great Mormon feeding nectar from the flower of cosmos.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



ハンミョウ; Tiger Beetle

ハンミョウはとても美しい甲虫だ。
多分、甲虫の中ではベスト5には入る美しさだろう。

残念ながら、本種は甲府市内ではあまり見かけることができないが(知らないだけかも)、ここ県南部ではかなり普通に見ることができるのが嬉しい。

ハンミョウは狩猟性の肉食甲虫だけあって、その動きは結構俊敏だ。

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#11: ハンミョウ

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Tiger Beetle
Olympus E-620, Sigma 150mm Macro, ASA400, Trimming (+)
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)



ハンミョウの仲間は警戒すると、地面に伏して低い姿勢をとるようだ。

通常は写真のように長い脚をもっと伸ばして活発に歩き回り、少し背伸びするように大きな目を駆使して獲物を探がすみたいだ。体は美しいが、牙が大きくて少し怖い。

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#12: ハンミョウ

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Tiger Beetle
Olympus E-620, Sigma 150mm Macro, ASA400, Trimming (+)
(2010-September-19, Nanbu-cho, Yamanashi)


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§ Afterword §

猛暑もさすがに一段落し、朝晩は過ごしやすくなってきた。

でも、日中はまだ夏の気配が色濃いが、ゆっくりとリラックスできるこの時期のフィールド散歩は精神衛生上とてもありがたいものだ。ちょうど、秋の蝶たちの数が一気に増したようで、どこにいってもゆく夏を惜しむかのように蝶たちの姿が目立った。

すでに、秋の主役たちは出そろった。



以上、 by 虫林花山
Commented by himeoo27 at 2010-09-20 19:38
毎回のことですが、今回も充実した「見ごたえ、読みごたえ」のある内容で山梨県の昆虫たちを堪能いたしました。
その中でも「花◎」は、オレンジ色の鮮やかな「ウラギンシジミ」♂の開翅シーンですね!とても良い味わいです。
Commented by thecla at 2010-09-20 22:48 x
そろそろツマグロキチョウ秋型など秋のチョウの季節になってきましたね。
そろそろ山梨のシジミ巡りでぐるっと一周したくなってきました。
ナガサキ♀は結構白いですね。
Commented by 虫林 at 2010-09-21 00:06 x
ヒメオオさん、
コメント有難うございます。
ウラギンシジミですが、この個体は葉上で見つけた時からドキッとするくらい美しかったです。花◎をいただき光栄です。
Commented by 虫林 at 2010-09-21 00:08 x
theclaさん、
コメント有難うございます。
すでに秋の蝶たちが出そろった感があります。
山梨シジミめぐりにどうぞおいでになってください。
昨年はクロツでの異常個体はすごかったですね。僕もあやかりたいものです。
Commented by yoda-1 at 2010-09-22 12:47
コメントがいつも同じになりますが、素晴らしい画像の連続です。
ツマグロキチョウの飛翔画像、農作業の風景、ハンミョウの立ち姿勢、など・・・。
ナガサキアゲハは、学生のときに田舎(下関市)ではいやというほど見ましたが、関東ではなかなか撮影機会がないので、この画像はまた別の意味でうらやましいです。
Commented by 虫林 at 2010-09-22 18:35 x
コメント有難うございます。
秋の昆虫たちが出そろいましたね。これから、短いシーズンを楽しみたいものです。
ナガサキアゲハは、この時期、県南部ではクロアゲハよりも数を増しているかもしれません。もう少し突っ込んで調べられたら良いのですが、なかなかね。
Commented by cactuss at 2010-09-23 09:00
青い空を入れたツマグロキチョウの飛翔写真はすばらしいですね。
こんな写真が撮りたいものです。
ウラギンシジミの開翅写真もオレンジが広がった個体できれいです。
Commented by kenken at 2010-09-23 09:02 x
私もね、ツマグロキチョウは、圧倒的に秋型が好きです。この翅裏の微妙な黒条がなんともえぇもんで。この季節、ツマグロキチョウは、結構分散するように思います。飛翔写真の濃いめの黄色、綺麗ですねぇ~空の青とマッチしていて黄色が際立ちます。

秋の蝶撮影、なぜか私も、初夏とは違って、のんびりリラックスしながら楽しむことができます。
Commented by ダンダラ at 2010-09-23 17:31 x
風景を取り込んだ広角画像が良いですね。
魚眼と言うことですが、そんなことを感じさせない写真ですね。
これはフォーサーズの関係などもあるんでしょうか。
Commented by 虫林 at 2010-09-23 20:55 x
cactussさん、
コメント有難うございます。
ツマグロキチョウの飛翔は比較的少ないので、意外に上手くいきます。
僕は下から撮影することが多いので、空が入るのかな(ご存じのように。
Commented by 虫林 at 2010-09-23 20:57 x
kenkenさん、
コメント有難うございます。
ツマグロキチョウはやはり秋型が特徴があって良いですよね。それに秋に出てくるとよりいとおしく感じますから。
夏の緊張感ある撮影も良いですが、のんびりとリラックスできる秋の散歩も大好きです。
Commented by 虫林 at 2010-09-23 21:00 x
ダンダラさん、
コメント有難うございます。
魚眼の8mmだけだと魚眼効果が強く出すぎますので、X1.4倍のテレコンバーターをかましてより自然な写真になるようにしています。さらにテレコンをかますことで、対象がより大きくできることも利点ですね。ときどき、8mm魚眼だけでの撮影も楽しんでいます。
Commented by bjynp at 2010-09-23 21:07
虫林さん、こんにちは
チョウがまた多く飛ぶ季節になりましたね。日曜日に近くの森に出かけたら、ムラサキシジミがいっぱいいました。蚊にいっぱいさされながら撮影しました(笑)。もしかしてルーミスかもとも思いましたが、やっぱり違ってました。ブログには今週末くらいにアップの予定です。
by tyu-rinkazan | 2010-09-20 18:33 | Comments(13)