20110313 早春の小径:ミヤマセセリ初見
2011年 03月 13日
金曜日は会議で京都に出張していました。会議中に小さな揺れを自覚しましたが、後に東北地方太平洋沖で マグニチュード9.0 もの巨大地震が発生したことを知って唖然としました。結局、その日は東海道新幹線も在来線もストップしてしまい、京都のホテルに宿泊せざるをえませんでした(ホテルが取れただけでもラッキー)。次の日(土曜日)も交通はまだ回復していなかったので、京都を朝出発したものの名古屋から塩尻を経由して甲府の自宅に着いたのは夜でした。我々人間の社会とは脆くてとても弱いものなのですね。
テレビでは終日、地震とともに津波による甚大な被害が放映されています。以前に岩手県盛岡市で生活したことのある僕には、その悲惨な映像を目にすると本当に胸が締め付けられる思いがします。彼の地の友人たちの無事を祈るとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げる次第です。
Nature Diary #0376
日曜日の天気予報では、甲府市は気温が18℃くらいまで上がるとのこと。
そこで、近くの武田の杜にミヤマセセリを見に行くことにしましたが、家から車を出そうとしたら何と前のタイヤが完全にパンクしているのに気づきました。早速、車ディーラーに電話して、タイヤ交換とともに車検も兼ねて代車を出してもらいました。そんなドタバタで、武田の杜に到着したのは午前11時をまわってしまいました。でも、この時期のチョウたちは活動時刻が遅いのであまり問題になりませんね(常にポジティブ)。
とにかく、陽の当たる雑木林の小径を歩けるだけでも嬉しいものです。
» テングチョウ The European Beak;
落ち葉の絨毯を踏みしめながらゆっくり歩いて行くと、足元からテングチョウが飛び出しました。寒くて長い冬を越えたテングチョウたちは、地面の上や枝先などに静止して気持ちよさそうに日光浴をしていました。
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Konko X1.4, ASA200
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
» ミヤマセセリ The Spring Flat;
地面が湿った場所にさしかかると、やや黒っぽいセセリチョウが飛び出しました。少し先の地面に降りたので、注意深く近づいて確認すると、やはり目的のミヤマセセリでした。今年はまだ少し早いかなと思っていましたが、やはりミヤマセセリは発生していたのです。
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
ミヤマセセリの飛ぶ後を追っていたら、犬の糞で吸汁し始めました。
他のセセリチョウもしばしば糞で吸汁するので、ミヤマセセリが犬の糞で吸汁しても何ら不思議ではありません。でも、今までミヤマセセリのそのようなシーンを見たことがなかったので少し驚きました。
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA200
» ヒオドシチョウ The Large Tortoisshell;
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
» キタテハ The Chinese Comma;
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
» ニホンセセリモドキ; Hyblaea Fabricius
ニホンセセリモドキを見つけました。
この小さくて可愛いニホンセセリモドキは早春に見る蛾で、毎年、ミヤマセセリを探して雑木林を散歩すると見かけます。アップで見ると、かなり翅がスレていますが、実はこの蛾は昨年の7月頃に羽化するらしいのです。羽化後、行動せずにそのまま年を越し、この時期になって活動を開始するということです。だから、翅がスレているのもうなずけます。
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
面白いことに翅の模様がミヤマセセリに似ています。
ミヤマセセリの幼虫は無毒な植物を食べますが、このニホンセセリモドキの幼虫は、毒成分を含むと考えられるクマツヅラ科の植物を食します。ということは、ミヤマセセリがこの蛾に擬態したのかも知れませんね(ミューラー擬態)。
体の脇のヘアーペンシル(長い毛) からフェロモンを発散しているようです。
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
近くのメスを見つけて求愛行動を示しました。
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
蝶と同じで、盛んにディスプレーをしながら近づいて交尾しました。
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Canon 7D, EF300mm, ASA400
§ Afterword §
東北が大惨事に見舞われているときに、呑気に散歩でもないだろうが、じっとテレビの被害情報を見ているのも忍びないのでフィールドに出ることにしました。本日は気温もかなり上がって、目的のミヤマセセリも顔を見せてくれ、またニホンセセリモドキも複数観察できました。そろそろ春も本格化してきて、これから日を追って色々な種類の蝶たちが出現してくるでしょう。楽しみです。
なお、金曜日に京都から帰宅できずに、ホテルに宿泊しましたが、夜にやることもないので、ブログのスキンを新しくしてみました。ブログを始めてからすでに5年になりますが、スキンを変更するのは今回が初めてです。エキサイトブログの出来合いスキンをアレンジしたものですが、以前に比べて写真を少し大きく掲載できるようになりました。
以上、 by 虫林花山
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himeoo27 at 2011-03-13 20:55
最後の交尾する「ニホンセセリモドキ」の翅の動きが蛾と思えないくらいに早く面白い画像ですね!
0
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bjynp at 2011-03-13 21:04
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yoda-1 at 2011-03-13 21:47
虫林さんも、ご無事でよかったです。
ミヤマセセリが発生する地が近くにあるようでうらやましいです。
無責任な飼い主の犬の糞もたまには役立つもですね。
ニホンセセリモドキは知りませんでしたが、一気に交尾画像までのご紹介とは恐れ入りました。
ミヤマセセリが発生する地が近くにあるようでうらやましいです。
無責任な飼い主の犬の糞もたまには役立つもですね。
ニホンセセリモドキは知りませんでしたが、一気に交尾画像までのご紹介とは恐れ入りました。
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dragonbutter at 2011-03-13 22:38
奇しくも私も今日がミヤマセセリの初見でした。
山梨はモンキチョウといいミヤマセセリといいとても早いですね。
山梨はモンキチョウといいミヤマセセリといいとても早いですね。
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banyan10 at 2011-03-14 08:58
関西にいても影響で動けないこともあるのですね。
ミヤマセセリは僕も探したのですが、まだでした。
キタテハ、テングよりも時期が遅い印象のヒオドシも活動しているのですね。
セセリモドキは探しているのですが、見たことがありません。
ミヤマセセリは僕も探したのですが、まだでした。
キタテハ、テングよりも時期が遅い印象のヒオドシも活動しているのですね。
セセリモドキは探しているのですが、見たことがありません。
Yoda-1さん、
有難う御座います。
そちらのほうが地震の影響が強かったみたいですね。
でも、被害が少なくてよかったです。
ニホンセセリモドキは、ミヤマセセリに良く似た蛾で、こちらでは同時期に見られます。なかなか面白い蛾ですので、これからも少し観察してみようと思っています。
有難う御座います。
そちらのほうが地震の影響が強かったみたいですね。
でも、被害が少なくてよかったです。
ニホンセセリモドキは、ミヤマセセリに良く似た蛾で、こちらでは同時期に見られます。なかなか面白い蛾ですので、これからも少し観察してみようと思っています。
dragonbutter さん、
そちらでもミヤマセセリが発見できたのですね。
こちらでは、この1頭だけでしたが、何とか観察することができました。やはり、ミヤマセセリを見ると、里山の春を実感できますね。
そちらでもミヤマセセリが発見できたのですね。
こちらでは、この1頭だけでしたが、何とか観察することができました。やはり、ミヤマセセリを見ると、里山の春を実感できますね。
Banyanさん、
京都から帰るのにジタバタしましたが、結局は帰れませんでした。本当に交通が乱れると手も足も出なくなることが良くわかりました。
ミヤマセセリはこちらでも出始めで、1頭だけでした。
来週あたりは、もう少し楽に見れるようになれば良いと思っています。ニホンセセリモドキはこちらでは、かなりの確率で見ることができます。小さいので見失うこともあります。
京都から帰るのにジタバタしましたが、結局は帰れませんでした。本当に交通が乱れると手も足も出なくなることが良くわかりました。
ミヤマセセリはこちらでも出始めで、1頭だけでした。
来週あたりは、もう少し楽に見れるようになれば良いと思っています。ニホンセセリモドキはこちらでは、かなりの確率で見ることができます。小さいので見失うこともあります。
お疲れ様でした。
大変でしたね。
ミヤマセセリはこちらでもそろそろかなと思うのですが、いつもの発生地までは出かける気になれません。
近場で探してみることにしますが、そちらは多分まだでしょう。
タイトル画面は素晴らしいですね。
こんな写真も撮られていたんだと感心しました。
大変でしたね。
ミヤマセセリはこちらでもそろそろかなと思うのですが、いつもの発生地までは出かける気になれません。
近場で探してみることにしますが、そちらは多分まだでしょう。
タイトル画面は素晴らしいですね。
こんな写真も撮られていたんだと感心しました。
ダンダラさん
こちらは大したことがありませんでしたが、やはり家内の実家はかなり揺れたみたいです。現在は交通が混乱していて色々と難しいですね。
タイトル画像は、多分未掲載の写真ですが、僕自身は広がりがあるので気に入っています。お褒めいただき有難うございます。
こちらは大したことがありませんでしたが、やはり家内の実家はかなり揺れたみたいです。現在は交通が混乱していて色々と難しいですね。
タイトル画像は、多分未掲載の写真ですが、僕自身は広がりがあるので気に入っています。お褒めいただき有難うございます。
ミヤマセセリも出ましたか。いよいよ本格的な春の始まりですね。
テングチョウの2枚目、シンプルで美しい画像です。見ているとなんだか吸い込まれそうな気がします。
ヒオドシチョウも越冬とは思えない美しさです。
セセリモドキはやはりミヤマセセリと擬態関係にあるのでしょうか。でも、そう考えるとミヤマセセリがセセリチョウ科の中でちょっと変わった模様をしているのもうなずける気がします。
テングチョウの2枚目、シンプルで美しい画像です。見ているとなんだか吸い込まれそうな気がします。
ヒオドシチョウも越冬とは思えない美しさです。
セセリモドキはやはりミヤマセセリと擬態関係にあるのでしょうか。でも、そう考えるとミヤマセセリがセセリチョウ科の中でちょっと変わった模様をしているのもうなずける気がします。
naoggioさん、
コメント有難うございます。
ミヤマセセリもやっと確認できて、里山の春を確認できました。テングチョウはアメリカのサンアントニオでも見かけましたが、やはり日本のテングチョウがきれいですね。
ヒオドシチョウも1頭のみが見られましたが、越冬個体とは思えないくらいきれいでした。
ニホンセセリモドキは、ミヤマセセリが擬態しているようで面白い蛾です。
コメント有難うございます。
ミヤマセセリもやっと確認できて、里山の春を確認できました。テングチョウはアメリカのサンアントニオでも見かけましたが、やはり日本のテングチョウがきれいですね。
ヒオドシチョウも1頭のみが見られましたが、越冬個体とは思えないくらいきれいでした。
ニホンセセリモドキは、ミヤマセセリが擬態しているようで面白い蛾です。
by tyu-rinkazan
| 2011-03-13 20:48
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Comments(14)