NATURE DIARY

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20110402 春の県南散歩:スギタニルリシジミとトラフシジミ

ND#379

低山では茶褐色一色だった山肌に、桜の花が白色から淡いピンクのアクセントを添えています。
こんな春の景色は幾つになっても何度みても嬉しいものですね。

桜の花が咲き始めると「春の女神」と称されるギフチョウに会いたくなります。まだ少し早いかなとは思ったのですが、本日は天気が良さそうなので毎年訪れている県南の富士川流域を訪れてみることにしました。


» スギタニルリシジミ ; The Sugitani's Hedge Blue

ギフチョウはやはりちょっとフライングだったようで、飛来は1頭もありませんでした。そこで近くの林道にこの時期出現しているはずの スギタニルリシジミ を見に行くことにしました。スギタニルリシジミは地味な蝶ですが、山地に春を告げるれっきとした スプリングエフェメラル(春告蝶)なのです。

僕がスギタニルリシジミを見るために訪れるポイントは、崖からの湧水で湿った林道です。そこは上からの落石の危険がありますが(かなり危ない)、この時期、スギタニルリシジミが吸水に訪れているのでおそるおそる立ち寄ってみました。案の定、到着してすぐにちらちら飛ぶブルーを見つけることができました。

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吸水するスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA800


スギタニルリシジミの幼虫はトチノキの花穂を食べて成長します。しかし、この林道にはトチノキが無いので以前から不思議に思っていました。そこで調べてみると、トチノキが無い地域ではミズキ、キハダ、マメ科植物の花蕾を食することが記載されていました。ここもそれらを食樹にしているのかな。

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静止するスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


ここでもスギタニと通常のルリシジミが混在していますが、慣れると飛んだ時の色合いで両者を鑑別できます。でも、厳密には裏面の紋が決め手になるようです(特に九州産)。ルリに比べてスギタニは地色が暗色で、翅裏の黒紋が大きく、後翅には綺麗な「く」の字が見られます。

地面に静止するチョウを横から撮影するときには、やはり バリアングルファインダー があるととても便利です(虫林は屈むとお腹が苦しい---オーバーウェイト)。こんな時には、以前使用していたオリンパスE-3にするか、キャノンであれば60D か新発売のKiss X5が欲しくなってしまいます。

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吸水するスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400


ルリシジミに比較してスギタニの翅表はやや暗い青色です。でもスギタニはなかなか開翅しないので、飛翔写真を撮影してみました。下の2枚目の写真は、翅表の色合いがややルリっぽくて明るい青色に写っていますがやはりスギタニだと思います。いずれもトリミング拡大しています。

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飛翔するするスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA800, Trimming (+)

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飛翔するするスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA800, Trimming (+)



» トラフシジミ ; The Japanese Flash

林道脇のアブラチャンの黄色い花を見ていたら、突然、暗青色のシジミチョウが現れて吸蜜し始めました。コツバメかなと思って目を向けると、トラ模様が鮮やかなトラフシジミでした。

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吸蜜するトラフシジミ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


トラフシジミが吸蜜し始めると、コツバメが突然現れてボディコンタクトしてきました。初めは間違えて求愛行動でもしているのかなと思いましたが、どうやらそのコツバメはその木をテリトリーにしていたみたいで、邪魔者を排除しにやってきたみたいでした。なかなか気が強いやつです。

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吸蜜するトラフシジミ にアタックしてきたコツバメ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



» ミヤマセセリ ; The Spring Flat

スギタニが飛ぶ湿地には、ミヤマセセリも三々五々に訪れて吸蜜していました。

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吸水するミヤマセセリ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA400

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吸水するミヤマセセリ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



» コツバメ ; The Spring Flat

コツバメが枝先に静止しましたが、逆光で縁毛が青く光っていました。今まであまり注意していなかったのですが、確かに青い光の縁毛はとても綺麗でした。これを見ると、写真仲間の縁毛の輝きへのこだわりが良く理解できました。これからはもっと注意して撮影していきます。

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逆光で静止するコツバメ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



» その他 ; Miscellaneous

道路脇のミツマタの花でアカタテハ、ルリタテハ、テングチョウなどの越冬タテハ類が吸蜜に訪れていました。とくにアカタテハはミツマタの花がお気に入りのようで、かなりの数を見ることが出来ました。

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ミツマタの花で吸蜜するアカタテハ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA400


先週甲府市内でヤマトシジミのオスを初見しましたが、県南ではすでにメスが出ていました。

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枯れ草に静止して半開翅したヤマトシジミ♀ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



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§ Afterword §

今回は残念ながらギフチョウを見ることが出来ませんでした。桜の開花状況などをみると、やはり季節の歩みが例年よりも1週間ほども遅れているのかも知れませんね。スギタニルリシジミもまだ個体数は少なくて数頭がちらちらと飛ぶくらいでしたが、やはりこの蝶も春の使者ですので見るとホッとします。

いよいよ楽しい季節になってきましたが、山梨県では依然として東電による計画停電が行われています。これから電気の消費量が大きくなる季節に向かいますが一体どうなることやら少し心配です。

先日、ハービー山口さんという写真家の写真集 「雲の上はいつも青空」 を見る機会がありました。彼の写真は人間に対する愛情に満ち溢れていて、見ているだけでとても仄々とした気持ちになることが出来ました。その本のサブタイトルが、 Hope is always in your hand. というものでした。大震災・大津波の被災者の方たちが、是非とも希望をもって生きてほしいと願っています。



以上、 by 虫林花山
Commented by himeoo27 at 2011-04-03 16:55
被災地ではありませんが、埼玉県でも余震が続いており、計画停電で信号機も止まるので落ち着かない日々が続いています。早く余震も収まり、被災地も復興して欲しいものです。

チョウや昆虫たちは地震にもかかわらず、その姿を次々に見せてくれるのでとても和むことが出来ます。これからも自然とのふれあいを引き続き大切にしていきたいです。
Commented by ダンダラ at 2011-04-03 17:42 x
ギフチョウは残念でしたが、それ以外の春の蝶は充分楽しまれたようでなによりです。
トラフはこちらでも昨日確認し、コツバメのブルーラインも同様に撮影しました。
コツバメのブルーラインはきれいでビックリしました。
同じものを違う場所でそれぞれ観察していたんですね。
Commented by cactuss at 2011-04-03 18:38
今年は桜の開花も遅いし、確かに季節の進みが1週間以上遅れている感じがしますね。
ギフチョウは残念でしたが、スギタニ、トラフ、コツバメと楽しまれましたね。特にトラフへのコツバメのアタックはあまり見たことがない生態で、雑誌に投稿する価値があると思います。
今年もまた、どこかでお会いすると思いますが、よろしくお願いします。
Commented by banyan10 at 2011-04-03 20:44
ギフは残念でしたが、他の早春の蝶は勢揃いですね。
アブラチャンは蝶が好みそうな花なのですが、吸蜜は観察したことがありません。トラフの吸蜜、コツバメとのツーショットと貴重なシーンですね。
Commented by naoggio at 2011-04-03 20:48 x
ギフチョウは残念でしたね。
でもその他の蝶の写真、素晴らしいです。
スギタニの飛翔の2枚目は、背景の濡れた岩が周囲の環境を物語っていてナイスです。
トラフとコツバメの2ショット、これはギフチョウより遥かに貴重なショットではないでしょうか。
それと、いつか thecla さんと3人でご一緒したもう少し南の峠では、先週から発生が始まっているようなので、虫林さんの行かれた方ですと来週後半くらいからになると思います。
Commented by 虫林 at 2011-04-03 20:56 x
ヒメオオさん
コメント有難うございます。
日本国中に重苦しいムードが覆っていますが、蝶たちは元気に出てきているようでほっとしますね。被災者の方々にも希望を持って暮らしていただけるようになれば良いと願っています。
Commented by 虫林 at 2011-04-03 20:59 x
ダンダラさん、
コメント有難うございます。
こちらのポイントでは、発生は未だのようでした。でも、土曜日は天気が良かったので、のんびりと蝶たちの撮影を出来て良かったです。もう少し気温が上がればこれからどんどん出てきますね。楽しみにしています。トラフとコツバメも同じように撮影されていたのですね。
Commented by 虫林 at 2011-04-03 21:01 x
cactussさん、
コメント有難うございます。
僕はギフのポイントをあまり知らないので、毎年同じ場所ばかり通っています。今年はこれからのようですが、楽しみです。コツバメのアタックは驚きました。かなりしつこくトラフを追い出そうとしていたようです。面白い行動で楽しかったです。
Commented by 虫林 at 2011-04-03 21:05 x
banyanさん、
コメント有難うございます。
ギフチョウは未だのようでしたが、その他の蝶はおっしゃる通りで、しっかりと発せしていました。コツバメとトラフには驚かされました。コツバメは小さな蝶ですが、テリトリーのキープには必死なのですね。
Commented by 虫林 at 2011-04-03 21:10 x
naoggio さん、
コメント有難うございます。
僕はnaoggio さんと出会ったポイントに毎年通っていますが、年々少しずつ個体数が減ってくるのが気になります。以前にご案内頂いた場所ではすでに出ているのですか。またご一緒したいものです。
コツバメとトラフの闘争は見ていてドキドキしましたよ。
Commented by yoda-1 at 2011-04-04 12:54
コツバメとトラフシジミのツーショットは、個人的にはもちろんありませんが、他の方の画像でも見たことないもので、衝撃的です。
コツバメの縁毛の輝きですが、YODAは昨年スギタニルリシジミで体験し、他の蝶でもその再現が待ち遠しいですが、いろいろ光線の差し具合もあるように感じました。
この画像は時刻としてはいつだったのでしょうか。
Commented by 虫林 at 2011-04-04 15:08 x
yoda-1さん、
コメント有難う御座います。
トラフシジミへのコツバメのアタックは、僕も初めて見ました。もう少し臨場感が出せたらよかったのですが、一瞬あっけにとられてしまったのが残念です。見ていて何をしているのかを考えてしまいました。コツバメの縁毛の輝きは、肉眼で見ても明らかに青く光っていて、今までも何度か逆光で縁毛は撮影していたのですが、これほど輝いたのを見たのは初めてでした。時間的には午前10時40分くらいです。光(時間)の関係もあるかもしれませんね。
Commented by 蘭丸 at 2011-04-04 21:49 x
虫林san、こんばんは。
スギタニの飛翔も見事ですし、コツバメとトラフのツーショット好いですね。
コツバメの逆光画像は唸らされてしまいました。
私はというと、本日ヨウヤク、ベニシジミに逢う事ができました。
今年の春は遅いですね。
Commented by kenken at 2011-04-04 23:54 x
もうトラフ飛んでいましたか!コツバメとの異種共演は意外ですねぇ~これは面白いです。確かに「記録」に値するシーンだと思いますよ。
コツバメの「幻光」、青が綺麗にでています。fanseab流の表現ですね。
Commented by たにつち at 2011-04-05 12:49 x
ギフチョウはまだということですが、色々なチョウが!
さすがに自然が豊かですね。
そちらの計画停電、緊急時もあるだけに、ご苦労のこと拝察いたします。
Commented by 虫林 at 2011-04-05 18:27 x
蘭丸さん、
コメント有難う御座いました。
確かに今年の春は遅いようで、一週間以上例年に比べて遅れているかもしれません。でも、春はかならず進みますので、これからもっと楽しい季節になりますね。
ベニシジミもこの時期は僕にとってはスターの蝶です。
Commented by 虫林 at 2011-04-05 18:30 x
kenkenさん、
コメント有難う御座います。
トラフのほうが大きいのに、コツバメは果敢にアタックを仕掛けていたように記憶しています。自然界の縮図を見たような気持ちがして何となく嬉しくなりました。
コツバメにこれほどの幻光が出るとは知りませんでした。Fanseabさんはじめ皆さんが興奮する意味を理解できたように思います。
Commented by 虫林 at 2011-04-05 18:33 x
たにつちさん、
コメント有難う御座います。
ギフチョウは僕のポイントでは、今週末か来週以降になりそうです。わかっていても待ちきれずにフライングしてしまいました。シーズンしょっぱなから「やってもうた」ですね(笑)。でも近くの林道は期待を裏切りませんでした。
Commented by kmkurobe at 2011-04-09 10:16
ご無沙汰致しております。いつもの林道にお出かけになったのですね。コツバメとトラフシジミのツーショットおもしろい構図になっていますね。
昨年ご一緒した場所は今年はさらに1週遅れとなってます。
ことしもいろいろとご一緒できるといいですね。
Commented by 虫林 at 2011-04-09 20:57 x
kmkurobeさん、
こちらこそご無沙汰していました。
コメント有難うございます。
毎年訪れている林道に行きましたが、コツバメやトラフが出てきて楽しめました。またご一緒できますことを楽しみにしています。
どうぞ宜しくお願いします。
by tyu-rinkazan | 2011-04-03 16:02 | Comments(20)