NATURE DIARY

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20110503 姫川流域のヒメギフチョウ

Nature Diary #384

GWの前半は横浜での学会で潰れたが、やっと虫林も休みになった。そこで、蝶写友のkmkurobeさん(安曇野の蝶と自然)とご一緒して姫川流域のギフ、ヒメギフ混生地に行くことにした。kmkurobeさんとは越中でのギフ撮影行以来だ。嬉しいことに、後からcactussさん(蝶の玉手箱)も合流した。

kmkurobeさんによれば、今年は明らかに季節の歩みが遅れているそうだ。確かにこの時期にまだ雪が残っているのには驚いた。でも、残雪の周りは沢山の食べ頃フキノトウが出ていたので、自分で毎年つくる「蕗味噌」の材料として少量をいただいた。ウーム、蕗味噌は春の味だね。

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残雪とフキノトウ (小谷村, 5月3日)

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Many butterbur sprouts around the remaining snow
Canon. EF300mm, ASA400


斜面には綺麗なショウジョウバカマの花を見つけた。

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ヒョウジョウバカマ (小谷村, 5月3日)

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Canon. EF300mm, ASA400



» ヒメギフチョウ ; The Small Luehdorfia

しばらく3人で蝶談義しながら飛来を待ったが、ギフ、ヒメギフとも飛んでくる気配が無い。そこで、歩いて探索してみることにした。うらうらと一人で歩いて行くと、畑仕事しているご夫婦の傍に1頭のヒメギフチョウが飛んだ。慌てて追いかけたところ、うまい具合に地面の枯れ葉に静止してくれた。

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枯葉に静止するヒメギフチョウ (小谷村, 5月3日)

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Canon. Sigma 10mm Fisheye, kenko X1.4, ASA400



このヒメギフチョウは翅を開くと後翅表面の外縁に赤い大きな紋が発達していた。これは以前にkmkurobeさんのブログで紹介されていた「赤上がり」というタイプの変異だろう。どちらかといえば、ギフチョウに比べてヒメギフチョウはアッサリ系の印象が強いが、赤上がりはとても艶やかに感じる。どことなく、「赤城ヒメ」にも似ているかもね。

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赤上がりのヒメギフチョウ♀ (小谷村, 5月3日)

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Canon 7D. EF300mm, ASA400



本日撮影したヒメギフチョウの紋を並べてみた。一番上から、「赤無しタイプ」、「ちょい赤タイプ:通常型」、「赤上がりタイプ」である(注:前2タイプの名前は適当につけた)。拡大してみると、赤い紋に黒い紋が接しているが、この黒い紋の発達も赤上がりタイプでははっきりしているようだ。

この「赤上がり」は、ヒメギフでは時々出るものらしい。

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ヒメギフチョウの赤紋変異 (小谷村, 5月3日)

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Canon 7D. EF300mm, ASA400



その後、別な混生地に移動した。

車を止めて急な斜面をハフハフしながらしばらく登ると(日頃の不摂生を反省)、カタクリやキクザキイチゲの花が一面に咲いた場所に到着した。そこでは日本海側に多いユキツバキ(雪椿)の花まで咲いていて、まるで別世界のようだった。昔、 秘密の花園 The Secret Garden という映画(バーネットの小説を映画化したもの)を見たことがあるが、どういうわけかそのタイトル名が頭をよぎった。

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秘密の花園 (糸魚川市, 5月3日)

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Canon 60D. Sigma 10mm Fisheye, kenko X1.4, ASA400



こんな場所でギフやヒメギフを撮影出来たら最高だなと思いながらしばらく散策したが、なかなか飛来してくれなかった。1時間ほど経ってモティベーションも維持できなくなってきた頃、昨年白馬でお会いした方と偶然再会し、彼と一緒に少し離れた地点に移動してみた。

そこではヒメギフチョウが三々五々に飛来してくれたが、すでに食事の時間は過ぎてしまったのだろうか一向にカタクリの花で吸蜜してくれない。でも、何とか下草に静止したところを撮影できた。

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開翅したヒメギフチョウ (糸魚川市, 5月3日)

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Canon 7D. EF300mm, ASA400

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翅を閉じたヒメギフチョウ (糸魚川市, 5月3日)

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Canon 7D. EF300mm, ASA400



一度だけカタクリで吸蜜してくれたが、手前の枝が邪魔をしてうまく撮影できなかった。

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カタクリで吸蜜するヒメギフチョウ (糸魚川市, 5月3日)

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Canon 7D. EF300mm, ASA400



» スギタニルリシジミ ; The Sugitani's Hedge Blue

こちらではスギタニルリシジミは多くないらしい。車を止め準備している時に、スギタニのメスを見つけたところ、静止した時に翅を少しだけ開いてくれた。

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スギタニルリシジミ♀半開翅 (糸魚川市, 5月3日)

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Canon 7D. EF300mm, ASA400



§ Afterword §

少し曇ってきたので、お昼過ぎには引き上げた。

なお、Secret Garden から降りてきて帰る準備をしている時に、中学生と思われるネットを持った2人組の採集者の姿を見かけた。彼らを見ると、中学時代に友人と一緒に採集旅行に行った時の自分をふと思い出した。その頃はもちろん車も無く、お小遣いをためての旅行だったが、とても充実した楽しい日々だったと思う。kmkurobeさんと顔を見合わせて「彼らは幸せだな」と呟いた。

今回も kmkurobe さんには色々とお世話になりました。撮影後のコーヒーとパンは美味しかったですね。また近いうちにご一緒しましょう。また、cactussさんともご一緒出来て本当に楽しい一日でした。感謝。



以上、 by 虫林花山
Commented by 22wn3288 at 2011-05-04 20:28 x
ヒメギフチョウの赤紋変異、比べて見せて頂いたので良く分かります。私も機会があれば見てみます。(機会を作りたいと思っています。)
気持ちの良い場所のようですね。
Commented by yoda-1 at 2011-05-04 20:37
ヒメギフチョウの比較画像、大変勉強になりました。
このように3個体も正対できたことは、初物で素晴らしいのではないでしょうか。
Commented by 蘭丸 at 2011-05-04 20:55 x
こんばんは。
ヒメギフの赤紋変異、面白く拝見させていただきました。
今年も、ギフ・ヒメギフ共に、出逢えそうにありません・・・(泣
スギタニsan のチョイ開翅も意外と珍しいのではないでしょうか。
素晴らしい写真を見せて頂けありがとうございました。
Commented by cactuss at 2011-05-04 22:07
当日は大変お世話になりました。
斜面を登ったカタクリが一面に咲く場所はすばらしい所でしたね。
あの場所でカタクリバックに広角で撮影出来たらと思いました。
でも、あんな条件でずいぶんたくさん撮影されたのですね。恐れ入りました。
Commented by bjynp at 2011-05-04 23:54
虫林さん、こんんちは
カタクリのすごい群生ですね。まさに秘密の花園ですね。松田聖子の歌を思い出しました。
山の花は開花がすごく遅れてますね。雪国の山では2週間以上遅れてます。が、GW以降もまだ楽しめそうです。
アッキーマッキー
Commented by himeoo27 at 2011-05-05 17:08
私のヒメギフのイメージは、フワフワ飛び回るばかりなかなか止まらないです。それを半日で上手く数頭色違いを撮り分けているところが素晴らしいですね!
Commented by maximiechan at 2011-05-05 21:34
「本日撮影したヒメギフチョウの紋を並べてみた」の写真比較は素敵です。こんなのを見せられるとやっぱりそっちに行って色々撮ってみたくなりますね。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 06:54 x
22wn3288さん、
コメント有難うございます。
気温が低かったのでヒメギフチョウの数はあまり見ることができませんでしたが、赤上がりを撮影できたのはラッキーでした。
他の場所でも赤上がりは出るみたいですが、頻度は姫川流域が多いのかもしれません。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 06:56 x
yoda-1さん、
コメント有難うございます。
毎年、姫川流域には行っているのですが、ヒメギフの赤上がりは初めてでした。あまりヒメギフをまじめに撮影していなかったためでしょう。反省しています。ヒメギフも変異があって面白そうです。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 06:59 x
蘭丸さん、
コメント有難うございます。
そうですか、なかなか行くことができなくて残念ですね。でも、ヒメギフ、ギフだけでなく、自分の周りのチョウや昆虫たちをしっかりと見ることも大事ですよね。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 07:04 x
cactussさん、
ご一緒で来て楽しい一日でした。
カタクリが咲く上の場所では、僕のいた場所が蝶道になっていたようで、待っていたら三々五々にやってきました。でも、撮影できたのは数頭です。気温がいまひとつ上がらなかったのが残念でした。
またご一緒したいものです。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 07:06 x
アッキーマッキーさん、
コメント有難うございました。
今年は遅れているのですが、雪の影響もあって、季節の進行度が読みにくいですね。でも、暖かい日が続けば、蝶たちや花も一気に出るでしょう。これからが楽しみです。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 07:08 x
ヒメオオさん、
コメント有難うございます。
今回言った場所はヒメギフはかなりの個体数がいる場所です。でも、静止してくれないと焦りますよね。
まあ、それでも何とか比較できるくらいの数は撮影できました。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 07:12 x
maximiechanさん、
コメント有難うございます。
姫川流域のヒメギフは個体変異の幅が他の地域よりも広いのかもしれません(ようわかりませんが)。初めに赤上がりを撮影できたので、そんな目で他の個体も撮影しました。こういう観察もたまには面白いものです。姫川流域はギフ、ヒメギフともともて良いところです。
Commented by ダンダラ at 2011-05-06 14:20 x
今年はどこでも発生が読みにくいようですが、無事ヒメギフのカタクリ吸蜜を撮影されていてさすがですね。
ヒメギフの赤紋もきちんと雌で比較されていて、当たり前と言えば当たり前ですけど、うっかりしがちなところもちゃんと押さえられていますね。
Commented by 虫林 at 2011-05-06 20:38 x
ダンダラさん
お帰りなさい。南は天候があまり良くなさそうなので少し心配していました。ヒメギフは今年やっと撮影できました。以前にダンダラさんがハイブリッドを見つけた場所のようです。ここは良いところですね
恥ずかしながら、Genderは意識していませんでした----汗
Commented by kmkurobe at 2011-05-10 07:01
お疲れさまでした。なぜかハンノキカミキリのページにリンクされてしまってコメント遅くなりました。あの赤上がりの個体はこうしてみると綺麗ですね。翌日も出掛けましたが棚田のポイントにはまったく飛んできませんでしたるどうしてしまったのかわかりませんが、心配ですね。ギフチョウは確実にあちらの方が多かったんですが。
Commented by 虫林 at 2011-05-11 00:00 x
コメント有難うございます。
赤上がりは今まであまり意識していなかったのですが、撮影してみるととても綺麗なので驚きました。あそこのポイントは食草は申し分ないのに数が減ってしまった原因の解釈はなかなか難しそうですね。
でも、まだギフ蝶はいるはずなので、望みは来年に持ち越しですね。
by tyu-rinkazan | 2011-05-04 18:56 | Comments(18)