NATURE DIARY

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20110504 新緑の散歩道:ハンノキカミキリなど

Nature Diary #386

朝起きて食事しながらNHKの連ドラ「おひさま」を見た後、コーヒーを飲みながら窓の外を見るととても天気が良い。本日は完全休養日にしようと思っていたのだが(昨日は白馬村行だったので)、この素晴らしい天気では落ち着いてもいられない。結局、近くの里山にフィールド散歩に出かけることにした。

風薫る五月の山は青々とした若葉の緑(新樹)に包まれ、耳を澄ませばすでにハルゼミの声も聞こえる。-



» ハンノキカミキリ ; Cagosima sanguinolenta

蝶の姿が無いので、葉上の昆虫に注意しながら歩いていると、ヒメヤシャブシと思われる低木の葉でハンノキカミキリを見つけた。このカミキリは虫林が好きなフトカミキリ亜科トホシカミキリ族で、北海道から九州まで広く分布する。属名が Cagosima となっているが、これは 鹿児島県 の意味だろうか?

とにかく黒地に赤い縁取りがとても美しいフォトジェニックな甲虫だ。

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ヒメヤシャブシ葉上のハンノキカミキリ♂ (甲府市, 5月4日)

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Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400, 外部フラッシュ(Canon Speedlight 430EXII)


このカミキリは名前のようにハンノキ類やヤシャブシ類の木の葉を葉脈に沿って後食する。発生する期間が短いので意外に目にすることが少ないが、それほど稀な種類ではない。

1頭見つけたので、周囲のヒメヤシャブシの木を少しゆっくりと調べてみた。すると他の木からも数頭(4頭)の個体を発見することができた。良く見ると、このカミキリの食樹であるハンノキやヤシャブシは周囲に沢山あった。でも、ハンノキカミキリはごく一部の木にだけ観察できた。

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ヒメヤシャブシ葉上のハンノキカミキリ♂ (甲府市, 5月4日)

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Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




» ネジロカミキリ ; Pogonocherus seminiveus

タラノキを見るとネジロカミキリが静止していた。ネジロカミキリは成虫で越冬するので、冬期にも探してみたことがあるが、さすがに見つけることができなかった。やはり初夏に出てくるカミキリムシなのだろう。

山菜(タラの芽)を探しながら撮影できる甲虫だ。

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タラノキのネジロカミキリ (甲府市, 5月4日)

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Canon EOS 60D, Sigma 10mm F2.8 EX DC FISHEYE HSM, Kenko C-AF 1.4X Teleplus MC4, ASA400, 外部フラッシュ(Canon Speedlight 430EXII)



このカミキリムシはあまり動き回らないので、改造ズームレンズを用いて拡大撮影してみたところ、脚に大きなトゲトゲがあってなかなか面白い。

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タラノキのネジロカミキリ (甲府市, 5月4日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm F3.5-5.6 改造, ASA400、外部フラッシュ(Olympus FL-14)




» アシナガオトシブミ ; Phialodes rufipennis

コナラの葉を巻くアシナガオトシブミを見つけた。

このアシナガオトシブミは大型のオトシブミでは最も早く現れる。このオトシブミは葉の主脈を残し横一直線に切り、それを両側からたたんで上に向かって巻いていく(両裁型揺籃)。一生懸命に葉を巻く様子が面白くてしばらく見入ってしまった。

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コナラの葉を巻くアシナガオトシブミ♀ (甲府市, 5月4日)

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Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



揺籃作りがほぼ終了したら、突然♂がやってきて交尾した。

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交尾するアシナガオトシブミ♀ (甲府市, 5月4日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm F3.5-5.6 改造, ASA400、外部フラッシュ(Olympus FL-14)




» ドロハマキチョッキリ ; Byctiscus puberulus regalis

美しい金緑色に輝くドロハマキチョッキリを見つけた。本種の西日本型は紅色を帯びてベニホシハマキチョッキリともよばれている。今回見つけた個体はベニホシ型だ。

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(ベニホシ)ドロハマキチョッキリ (甲府市, 5月4日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm F3.5-5.6 改造, ASA400、外部フラッシュ(Olympus FL-14)




» ヒゲナガオトシブミ ; Paratrachelophorus longicornis

首がキリンのように長いヒゲナガオトジブミの♂も発見することができた。

このオトシブミは大きい上にとてもユニークな形態なのでいつも格好の撮影対象になる。この個体はかなり色が黄色いのでキイロクビナガオトシブミをよんでも矛盾しない。ヒゲナガオトシブミとキイロヒゲナガオトシブミは姿、形は良く似ているが別種とする意見も根強くあるようだ。

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ヒゲナガオトシブミ♂ (甲府市, 5月4日)

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Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400, 外部フラッシュ(Canon Speedlight 430EXII)



本種のメスは首が普通のオトシブミと同じくらいであまり特徴がない。

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ヒゲナガオトシブミ♀ (甲府市, 5月4日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm F3.5-5.6 改造, ASA400、外部フラッシュ(Olympus FL-14)




» キバネツノトンボ ; Ascalaphus ramburi

草原を歩いたら綺麗なキバネツノトンボを見つけた。

ツノトンボの幼虫はアリジゴク(ウスバカゲロウの幼虫)に似ているが、アリジゴクのように砂地にすり鉢状の窪みを作らず、石の下などに棲息して小昆虫などを捕食するらしい。数年前、閉鎖したゴルフ場の跡地で大発生して驚いたのを記憶している。

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キバネツノトンボ (甲府市, 5月4日)

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Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



トンボという名前の割には飛翔速度が遅いので、飛翔写真を撮影してみた。飛翔しているときは触角を伸ばし、頭部の毛が立って面白い恰好だ。以前に見かけた時はしばしば空中停止(ホバリング:hovering)をしていたが、今回はホバリングしなかった。

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飛翔するキバネツノトンボ (甲府市, 5月4日)

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Canon EOS 60D, Sigma DC 17-70mm F2.8-4 Macro HSM, ASA400, 外部フラッシュ(Canon Speedlight 430EXII)




§ Afterword §

あらかじめ目的の種を決めてピンポイントで発生地を訪れるのも良いが、種を特定せずにうらうらと気ままに散歩するのも好きだ(虫林はむしろこの方が多い)。今回は白馬行の後で完全休養日のつもりだったが、あまりに天気が良いので近くのフィールドに出かけてしまった。

残念ながら、蝶の姿はあまり見なかったが、甲虫はなかなか面白い種類を観察することができたと思う。これから季節はぐんぐん進んで、楽しい散歩道になっていくことだろう----楽しみだ。





以上、 by 虫林花山
Commented by himeoo27 at 2011-05-06 21:05
甲虫類は蝶以上に多彩な形状で楽しみました。このメンバーでは「オトシブミ」の仲間がとっても可愛いですね!
Commented by 虫林 at 2011-05-07 17:19 x
ヒメオオさん、
コメント有難うございます。
オトシブミは大好きな甲虫で、この時期はいつも葉っぱの上を見ながら歩いています。これからまでシーズンが続きますので楽しみです。
Commented by kmkurobe at 2011-05-08 19:33
ネジロカミキリの特殊撮影迫力有りますね。ハンノカミキリ去年も会えなかったので今年こそなんとか撮影したいと思っています。
Commented by 虫林 at 2011-05-11 00:02 x
kmkurobeさん、
コメント有難うございます。
ハンノキカミキリは今まで偶然にしか見ることができませんでしたが、今回はやっと確実にみることができる場所が発見できました。
ネジロカミキリも何とか撮影でいる場所が分かったので、これから少し楽しみにしています。
by tyu-rinkazan | 2011-05-06 20:45 | Comments(4)