NATURE DIARY

tyurin.exblog.jp

201100731 クヌギ林の散歩道:クロヒカゲモドキほか

Nature Diary #403

週末は天気が思わしくないので、遠出をせずに近くのクヌギ林を散策してみました。

伐採されてから2年ほど経った林の斜面に、良く目立つ綺麗なキキョウ(タイトルトップ)の花を見つけました。キキョウは山上憶良が詠んだ秋の七草のひとつで、夏の終わりが近づいていることの証です。この花を見ると、虫屋はどこか寂しくどこか侘しくなってしまいます。

きりきりしやんとしてさく桔梗哉(一茶)



» オオムラサキ; The Great Purple

クヌギ林ではまだオオムラサキたちが元気に飛び回っていました。しばらく見ていると、オスとメスが一緒に近くの木の枝に静止しました--------求愛行動です。そこに別のオスも訪れて、偶然一緒に写ってしまいました。何となく「突然のライバル出現」というようなシーンですよね。

d0090322_23323645.jpg
オオムラサキの求愛 (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400




» クロヒカゲモドキ; The Marginalis Treebrown

曇っていて、雨がちらつくような時には「日陰者」といわれるジャノメチョウ科のチョウたちが日中でも活動します。そこで、本日は近年個体数が減っているクロヒカゲモドキを探してみようと思いました。

ゆっくりと道の脇の草の上に注意しながら歩を進めていくと、蛇の目紋が目立つ大きな灰色のチョウを見つけました。そっと近づいて、前翅裏に並ぶ3つの同大の紋が確認できました-----目的のクロヒカゲモドキです。この3個の蛇の目紋は、水戸黄門様の御印籠のようなものですね。

d0090322_23325245.jpg
葉上に静止するクロヒカゲモドキ♀ (北アルプス、7月23日)

.
Upper: Canon EOS 60D, Sigma 10mm Fisheye, ASA400、Lower: Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400



しばらくクロヒカゲモドキを観察していたら、おもむろに翅を開いてくれました。今までこのチョウの開翅は何度か撮影しているのですが、翅を開く瞬間はいつも胸が高鳴ってしまいます。もう少し、別な角度からもゆっくりと撮影したかったのですが、動いた瞬間に翅を閉じてしまいました。

d0090322_23331062.jpg
開翅するクロヒカゲモドキ♀ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400




» ホソバセセリ; The Silver-spotted Skipper

ホソバセセリは地味なセセリチョウの仲間ですが、明るい茶褐色の翅裏には星を散りばめたような白斑がちらばってなかなか綺麗です。全国的には局所的な分布を示すチョウのようですが、この時期にはかなり個体数が多いので撮影することは難しくありません。

d0090322_23332539.jpg
ホソバセセリ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400



ホソバセセリが笹の葉の上に腹端をくっつけて何やら不可解な行動をしていました。
もしかして産卵かなと思い観察していたら、実際に卵を産み付けました(写真下)。ホソバセセリの産卵行動を見たのはこれが初めてでしたので興味深く観察しました。

d0090322_23333923.jpg
産卵行動を示すホソバセセリ♀ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400




» スジグロチャバネセセリ; The Leoninus Skipper

小さな褐色のセセリが吸蜜に訪れていました。どうやらスジグロチャバネセセリかヘリグロチャバネセセリのようです。両者の♀は非常に良く似ているので、鑑別にはいつも頭を悩ませています。中室外方の黒斑が第4室にもかかっているように見えますので、スジグロチャバネセセリの♀でしょうか---自信がありません。

d0090322_23335466.jpg
スジグロチャバネセセリ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400




» オナガシジミ; The Walnut Hairstreak

何となくオニグルミの葉を見ていたら、そこにオナガシジミを偶然に発見しました。そういえば今年はまだオナガシジミを見ていませんでした。オナガシジミの食樹であるクルミの木はどこにでもあるのに、オナガシジミはそう簡単には見ることができません。多分、発生木の条件があるのでしょう。

少し周囲が明るくなってきたら、突然、全開翅してくれたのには驚きました。

d0090322_2334934.jpg
スジグロチャバネセセリ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400




» ミドリシジミ; The Green Hairstreak

そろそろ山梨県でもミドリシジミが最盛期のはずですので、以前の記憶をたよりにミドリシジミが棲息するハンノキ林に移動しました。到着して大きなハンノキを見ていた時に、突然、強い雨が降ってきました。雨は20分ほどであがりましたが、下草の水滴でズボンが濡れてしまいました。

少しハンノキを叩いてみると、数頭のミドリシジミが飛び出し、下に降りてきた個体を撮影できました。

d0090322_23342522.jpg
ミドリシジミ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400




» ジャコウアゲハ; The Chinese Windmill

ジャコウアゲハのオスがねぐらを探して、フラフラと飛んでいました。

d0090322_23344093.jpg
葉上に静止したジャコウアゲハ♂ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400




» アカマダラコガネ; The Alpine Clouded Yellow

このハナムグリは、晩夏に発生しまが、その分布は非常に局地的で、山梨県以外ではなかなか見ることが出来ない甲虫です。面白いことに、この虫の幼虫はワシタカ類の巣の中で生活することがわかってきました。

d0090322_23345819.jpg
アカマダラコガネ (山梨県、7月31日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400



§ Afterword §

草原にはキキョウの花が咲き、林ではセミたちの声が響き、山の小道ではオニヤンマが旋回する季節になりました。夏もあと僅かですのでもう少しフィールド散歩をしようと思いますが、生憎、来週は忙しくて休みをとることもできません。残念ですが、仕事ですので仕方がありません。

でも忙中閑ありで、時間を見つけて散歩したいと思います。



以上、 by 虫林花山
Commented by banyan10 at 2011-08-02 07:27
クロモ雌の開翅は素晴らしいですね。
こんなのが撮りたいです。
ホソバセセリは数が多くても交尾や産卵は観察したことがありません。産卵も貴重なシーンですね。
Commented by yoda-1 at 2011-08-02 20:22
クロヒカゲモドキの開翅、ホソバセセリの産卵シーン、オナガシジミの間近での撮影など、素晴らしい画像が並びますね。
とても一日でこれだけの成果を上げることができません。
縁毛が特に黄色でないですが、スジグロチャバネセセリ♀雌で正解だと思いました。御指摘のポイントもありますが、へりの濃さと翅形などからも)
今期、YODAもこのセセリの♀雌の開翅画像を撮るのが最優先課題です。
Commented by 虫林 at 2011-08-02 23:17 x
Banyanさん、
有り難うございます。
クロモはメスだったのでまだ新鮮な個体でラッキーでした。
翅表が暗色のチョウは、キズが目立つので気を使いますね。
ホソバセセリの産卵シーンは僕も初めてだったのでびっくりしました。出来れば交尾シーンも撮影したいものです。
Commented by 虫林 at 2011-08-02 23:24 x
Yodaさん、
有り難うございます。
雨が時どき降っていたわりに良いシーンが撮影出来ました。
とくにクロヒカゲモドキは最近個体数が少なくなっているので良かったと思います。
スジグロチャバネセセリで良いようですね。本当にこのセセリの同定には頭を痛めてしまいます。スジグロチャバネのメスの開翅が撮影出来ると良いですね。
Commented by dragonbutter at 2011-08-02 23:29
もちろん長年の経験の賜物なんでしょうが、遠出をせずにこれだけの成果が上がるというのはうらやましい限りです。
何といってもクロヒカゲモドキの開翅にクラっときました。
Commented by 虫林 at 2011-08-03 21:52 x
dragonbutterさん、
有り難うございます。
目的の種類のチョウをいつも撮影できるわけではありません。
今回はクロヒカゲモドキが撮影出来たのはラッキーでした。

Commented by ダンダラ at 2011-08-05 19:14 x
おっとクロヒカゲモドキですね。
しかも開翅ですか・・素晴らしいです。
これは先日お話しした場所とは違う所でしようか。
撮影日と撮影場所が少し違っているようですが・・・
Commented by naoggio at 2011-08-05 19:30 x
クロヒカゲモドキの♀、開翅するとこんなに奇麗なんですね。知りませんでした。
その他一連の写真、生態写真としてもアートとしても素晴らしいクォリティーで瞠目致しました。
アカマダラコガネの幼虫、ワシタカの巣で育つんですか。おこぼれが多いことを知っての仕業?面白いですね。
Commented by Akakokko at 2011-08-05 23:13 x
クロヒカゲモドキ羨ましいです。
関西出張先の近くにもいるという情報を見つけたので、何度か探しましたが見つけられませんでした。
アカマダラコガネは横浜で何度か見たことがあります。
初めて見た時は、油まみれで汚いコガネ なんて思いましたが、絶滅危惧種なんですよね。
Commented by 虫林 at 2011-08-06 06:33 x
ダンダラさん、
ほんとだ、北アルプスになっていますね。
ご指摘有り難うございました。
ブログの記事を作成するときに、その前の文章をテンプレートにしているのでこのような間違いが起こったようです。クロモの[先日お話しした場所]というのがよくわかりませんが、多分、違う場所と思います。今年はクロモが少ないようです。
Commented by 虫林 at 2011-08-06 06:40 x
naoggioさん
有り難うございます。クロモのメスは開翅すると後翅に大きな黒紋が並んでいて綺麗です。
アカマダラコガネの生態に関してはあまり知られていなかったようですが、上記のようなことが報告されたようです。見かけ同様に少し怪しげなところが魅力的です。
Commented by 虫林 at 2011-08-06 06:48 x
Akakokkoさん
コメント有り難うございます。
クロヒカゲモドキは関西にもいますが、ぼくは良くわかりません。今年は少ないようで、これが初めてのクロヒカゲモドキでした。なかなか神出鬼没なやつですね。
アカマダラコガネは横浜ですとかなり少ないように思えます。もしもご覧になったとすれば、すごいです。このハナムグリは初の終わりの8月下旬から発生するようです。
by tyu-rinkazan | 2011-08-01 23:41 | Comments(12)