NATURE DIARY

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20111113 立冬の候:キノカワガとオオムラサキ幼虫

<立冬の候>
暦の上では冬になってしまった。立冬とは太陽黄経が225度のときだというが、これでは何だかチンプンカンプンだ。どうやら、黄道(天球上における太陽の見かけの通り道)上で、春分の日を黄経0度としたときに、秋分が180度、立冬は225度ということらしい。とにかく、ここから冬が始まる。この頃、たしかに日暮れが早くなって朝夕には空気の冷たさを感じる。虫屋の虫林もそろそろ冬眠かなと思うが-------。

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Nature Diary #419

本日は天気が良いので、散歩がてらまたオオムラサキの幼虫でも探しに近くの雑木林に行ってみることにする。先週は複数観察できたが、今週はまだ見れるだろうか興味がある。

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雑木林の小道 (甲府市、11月13日)

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Canon 60D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400



» キノカワガ;

大きなエノキの幹に何気なく目をやると、そこにキノカワガを見つけた。昆虫たちは保護色や擬態を駆使して捕食者から身を守るが、キノカワガの保護色はとりわけ巧みだ。「樹皮化け名人」だね。

目を離すと存在が消えてしまう。

下の写真は幹に静止したキノカワガ。
そのままでは分かり難いので黄色い矢印(→)を付けた。

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エノキの幹に静止するキノカワガ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


この木にはキノカワガ多く、ゆっくりと見てみると計6頭も見つけることができた。

キノカワガが静止しているのは、幹の東からやや南側だけだった。さらに、不思議なことにこの木以外にはこの蛾を見つけることができなかった。昆虫を探しているとこういうことは良くあることで、昆虫たちが集まる木には我々が認識できない特別な条件があるのだろう。

組み写真の下にキノカワガの輪郭を黄色く囲った。

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エノキの幹に静止するキノカワガ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


キノカワガの色彩、模様は個体差があって面白い。

巧みに黒っぽい色彩の個体は暗色の樹皮に、白っぽい色彩の個体は樹皮の白っぽい部分に静止していた。そんな様子を観察すると、彼らは自分の色彩がわかっているようにも思えてくる。

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エノキの幹に静止するキノカワガ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



» オオムラサキの幼虫; A caterpillar of the Great Purple

先週、オオムラサキの幼虫を見つけたので、今週は少し探索範囲を広げて歩いてみた。

今まで気づかなかったが、雑木林にはずいぶん沢山のエノキがあるのに驚いた。観察可能なのは目が届く範囲なので、せいぜい2-4mくらいの範囲なのだが、ぽつぽつと葉上に幼虫の姿を見つけることができた。ただ、すでに黄葉してしまっている木では、食痕があっても幼虫はみられず、まだ青い葉が残っている木で見つけることができた。この時期の幼虫探しは、宝探しのようでなかなか面白い。

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オオムラサキの幼虫 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


幼虫は例外なく葉の表面に静止しているので、下から見るとシルエットになっている。

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オオムラサキの幼虫のシルエット (甲府市、11月13日)

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Canon7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400


オオムラサキの幼虫の色彩は多様で、緑色一色のものから褐色のものまで認められた。さらに緑色の個体はふくよかに見えるが、褐色の個体はすっきりとやせて見える。越冬している個体が例外なく褐色であることを考えると、幼虫たちはこの時期に体重を落とし色彩を変化させて越冬に備えていくのだろう。

ほとんど緑色、中間、褐色個体を組み写真にした。
体の前半分を持ちあげているのは、ヤマビルにでも擬態しているのだろうか?

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オオムラサキ幼虫の色彩変化 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


定番であるがオオムラサキの幼虫の顔は可愛い。

でも、オオムラサキの幼虫は小さくて、顔をアップするにはかなりの近接撮影になる。以前はPanfocusになるgyorome8を用いたことがあるが、最近はこのレンズを持参していないので、被写界深度が深く1㎝まで寄れるリコーGXR S10を用いた。さらにトリミング拡大している。 

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オオムラサキの幼虫の顔 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
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オオムラサキの幼虫の顔 (甲府市、11月13日)

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Ricoh GXR, S10 24-72mm, ASA100



» ゴマダラチョウの幼虫; A caterpillar of the Japanese Circe

背中の突起が3対(オオムラサキは4対)のゴマダラチョウの幼虫も3頭ほど見つけた。
全てが緑色で、褐色になった個体はなかった。

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ゴマダラチョウの幼虫 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400



» その他; Miscellaneous

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ネットに静止したヤマトシジミ青♀ (甲府市、11月12日)

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Ricoh GXR, S10 24-72mm, ASA100

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ウラギンシジミ♀ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400

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アシグロツユムシ (甲府市、11月13日)

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Canon 60D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400



§ Afterword §

すでに立冬をすぎたとはいえ、とても暖かく穏やかな1日だった。半日だけとはいえ、こんな気持ちよく晴れ渡った日にフィールドをのんびりと散歩できたのは嬉しい。

来週はまた忙しくなる。




以上、 by 虫林花山
Commented by himeoo27 at 2011-11-13 19:29
キノカワガ達こんなに樹皮に似たのもいるのですね!
私も昨日、埼玉県中部の公園で探してみましたが、見つかったのはたった1頭だけでした。↑のような個体ばかりだったら全滅だったかもしれません。
オオムラサキの幼虫は、まだ今シーズン探していません。越冬個体を見つけに埼玉県北部~群馬県にでも出かけてみようかな?
Commented by 虫林 at 2011-11-13 21:46 x
ヒメオオさん、
コメントありがとう御座います。
キノカワガを昨日観察できたのですね。
この蛾は1頭見つけると、よく見ると何頭か複数の個体が同時に見れるような気がします。今回は6頭もいたので驚きました。
オオムラサキの成虫が夏に観察される林では、エノキの木を見ていけば見つけることが出来ると思います。僕も越冬前の個体は初めてですが、わかると意外に楽ですよ。
Commented by tamayam2 at 2011-11-14 09:17
晩秋にも見る人が見ればキノカワガをはじめ、昆虫の姿が
見えるのですね。私の目は節穴のよう・・・
Commented by naoggio at 2011-11-14 11:30 x
キノカワガ、凄いです。全く分かりませんでした。
最初の写真を見た時は(私だいたい先に写真を見ますので)虫林さんが紅葉した蔓草の絡んだ樹の幹を芸術的に表現されたのだと思ったのですが・・・ん? 矢印? で、タイトルと解説を呼んだのですが、ん?ん?
こんな感じでした。多分野外では私には絶対見つからないと思います。
オオムラサキ幼虫の1枚目、6枚目、いい写真ですね。
Commented by 虫林 at 2011-11-16 11:37 x
tamayam2 さん、
コメントありがとう御座います。
キノカワガは偶然見つけることができました。
でも、やはり意識的に目で探さないと見つけることが出来ないでしょう。昨年別の場所で見つけているので、今回も見つけることができたと思います。僕の目も結構節穴ですよ。
Commented by 虫林 at 2011-11-16 11:45 x
naoggioさん、
コメントありがとう御座います。
キノカワガはそれ程少ない種類ではないので、意識して探せば見つかるかもしれません。幼虫は柿の葉を食べるので、柿の木がある場所で探せば良いでしょう。でも、樹皮化けの名人ですので、ゆっくりと見ると良いでしょう。
オオムラサキの幼虫は偶然に見つけることができましたので、とても嬉しかったです。
Commented by ダンダラ at 2011-11-17 13:20 x
キノカワガは野外では絶対見つけられそうもありません。
見つけられるかどうか以前に根気が続きそうもないです。
オオムラサキの幼虫は、確かに茶色になるにしたがつてスリムになりますね。
体液が低温用に変化していったりするんでしょうか。
Commented by 虫林 at 2011-11-21 21:30 x
ダンダラさん、
レスが遅くなって申し訳ありませんでした。
このところ多忙を極めていて、困っています。
キノカワガは偶然や飛んでいるところを目にする以外には、
なかなか見つけるのが困難かもしれませんね。でも、一回いる場所を見つければ、また来年も見ることができると思っています。今回の場所には期待しています。
オオムラサキの幼虫は、体全体の代謝を低下させて越冬にはいるので、体をスリムにして、代謝を低めているのでしょう。茶色になるのもそれと関係していると考えています。多分、温度に関係した体内物質がでるのかな。
by tyu-rinkazan | 2011-11-13 17:23 | Comments(8)