20111210 県南の散歩道:初冬のチョウたち
2011年 12月 11日
<初冬のチョウたち>
12月に入って「チョウの撮影に行くよ」というと、周りは「え~、寒いのにチョウがいるの?」とびっくりする。内陸の山梨県では、さすがに1月の声を聞くと飛んでいるチョウを見るのはなかなか難しくなるが、初冬のこの時期なら、天気さえよければ、越冬するチョウたちが日光浴に出てくるし、越冬しないチョウでも生き残りの個体が飛んでいるのだ。初冬に見るチョウは、どれもとてもいとおしく感じるな。
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Nature Diary #422
本日は朝の冷え込みが厳しいが、天気はすこぶる良くて晴れ渡っている。ひさ~しぶりにフリーの週末なので、ウキウキしながら県南の散歩道にむかって車を走らせた。
ところが、本道から側道に左折した時に、いつのまにかパトカーが後ろについてきた。恐る恐る車を止めてみると、案の定、出てきたお巡りさんが「一時停止違反ですよ」。オーマイガッ! ウーム、またやってもうた。大体、入れ込んで出かける時には、今までもろくなことがない。とにかく、違反は違反---反省。でも、物陰に隠れて見張るなんて、「罠」か「落とし穴」にでもはまった気分だな。
散歩道のお宮の境内はイチョウの葉の絨毯。
► イチョウの絨毯
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400
» ムラサキツバメ; The Powdered Oakblue
この時期には、チョウの姿を拝めただけでも御の字だな。
そんなことをブツブツと呟きながらお宮に続く小道に沿って歩いて行くと、突然、脇から褐色のシジミチョウが飛び出した。見失わないように目を凝らしてその飛翔を見ていると、少し旋回した後、ススキの葉上に静止した。慌てて駆け寄ってみると、どうやらムラサキツバメのようだ。
子供の頃には、このチョウはまさしく南国の蝶で、その大きくて力強い姿に憧れていたものだ。でも、最近ではこのチョウの他にもいくつかの南国蝶たち(ツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハなど)が関東でも普通に見ることができるようになってきた。隔世の感がある。
ムラサキシジミの数は、内陸の山梨県ではまだ多くは無いようだが、数週間前に甲府市内でも観察できたので、多分、すでに山梨県内でも土着してしまっているのかも知れないな。
► 葉上に静止するムラサキツバメ The Powdered Oakblue
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400
► 葉上に静止するムラサキツバメ The Powdered Oakblue
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
少し気温が上昇してくると、翅を開いて日光浴を始めた。暗い藍色の翅表は♂であることを示している。この♂の翅表の色表現はなかなか難しい。おおむね綺麗には撮影できないが、角度によってはもう少し鮮やかな色が出るのかも知れない。肉眼的はこの写真の色が忠実だと思う。
► 開翅したムラサキツバメ♂ The Powdered Oakblue
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400
► 開翅したムラサキツバメ♂ The Powdered Oakblue
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
» ムラサキシジミ; The Japanese Oakblue
前述した草叢では、ムラサキシジミも観察できた。翅表はムラサキツバメに似ているが、飛んでいると大きさが明らかに小さいのですぐわかる。実は本日の本命はこのチョウだったのだ。
► ムラサキシジミ The Japanese Oakblue
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
このチョウの夏型は樹上にすんでいて、他のチョウの観察に訪れた場所で、偶然目にすることがあるが、実にせかせかと落ち着きがなくて、静止してもすぐに飛び去ってしまう。でも、秋になるとその数が増して、この時期には葉上で日光浴をする個体をよく目にするようになる。
翅を開くと、輝くような濃い青紋が目に飛び込んでくる。この青色は他のチョウには無いもので、ムラサキシジミの♂だけの色合いのように思う。何度見ても美しいな。
► 開翅するムラサキシジミ♂ The Japanese Oakblue
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
» ヤマトシジミ; The Pale Grass Blue
ヤマトシジミというチョウは、夏には見向きもしないが、この時期になるととても愛おしく思えてくる。今回は5頭の♂と1頭の♀を観察できた。今まで、12月下旬でも見たことがあるが、年を越えた個体は観察できていない。1月はこのシジミを探して、南部を徘徊しようかな。
► ヤマトシジミ The Pale Grass Blue
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
► ヤマトシジミ♂(上)♀(下) The Pale Grass Blue
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
» その他; Others
上記の種類のほかに、撮影できたのはアカタテハ、ウラナミシジミ、ベニシジミ、アキアカネがある。さらに観察で来たけど撮影できなかったのは、ヒメアカタテハ、モンキチョウだ。12月にこれほど多種類のチョウが観察できるとは思わなかったので驚いた。
► アカタテハ(上左)、ウラナミシジミ(上右)、ベニシジミ(下左)、アキアカネ(下右)
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
§ Afterword §
先週の月曜日に山梨科学アカデミーの集会で(僕も会員)、稀代の虫屋「奥本大三郎氏」が講演された。タイトルは、「虫と風土と人とのかかわり」だったように思うがどうも最近記憶力が悪くなり定かではない。とにかく、講演後のパーティでは、奥本氏と少しゆっくりとお話しすることができた。とても気さくな方だった。ちょうどその時間帯は別な会議があったのだが、それをすっぽかしてきただけのことがあったように思う。その時、T大学の同好の方ともお話ができて、こちらも嬉しかった。
そういえば、今まで趣味関係の名刺を作ってこなかったので、初めてお会いして名刺を渡された方に、お返しすることが出来ずに、これまで大変失礼をしてきたように思う。この冬の間に、虫林も趣味の名刺でも作ってみようかなと思っているが---どうなることやら。
来週の週末は、斑会議に出席するために神戸に出張だ。
フィールドに出たいが、難しいかな。
以上、 by 虫林花山
12月に入って「チョウの撮影に行くよ」というと、周りは「え~、寒いのにチョウがいるの?」とびっくりする。内陸の山梨県では、さすがに1月の声を聞くと飛んでいるチョウを見るのはなかなか難しくなるが、初冬のこの時期なら、天気さえよければ、越冬するチョウたちが日光浴に出てくるし、越冬しないチョウでも生き残りの個体が飛んでいるのだ。初冬に見るチョウは、どれもとてもいとおしく感じるな。
Nature Diary #422
本日は朝の冷え込みが厳しいが、天気はすこぶる良くて晴れ渡っている。ひさ~しぶりにフリーの週末なので、ウキウキしながら県南の散歩道にむかって車を走らせた。
ところが、本道から側道に左折した時に、いつのまにかパトカーが後ろについてきた。恐る恐る車を止めてみると、案の定、出てきたお巡りさんが「一時停止違反ですよ」。オーマイガッ! ウーム、またやってもうた。大体、入れ込んで出かける時には、今までもろくなことがない。とにかく、違反は違反---反省。でも、物陰に隠れて見張るなんて、「罠」か「落とし穴」にでもはまった気分だな。
散歩道のお宮の境内はイチョウの葉の絨毯。
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400
» ムラサキツバメ; The Powdered Oakblue
この時期には、チョウの姿を拝めただけでも御の字だな。
そんなことをブツブツと呟きながらお宮に続く小道に沿って歩いて行くと、突然、脇から褐色のシジミチョウが飛び出した。見失わないように目を凝らしてその飛翔を見ていると、少し旋回した後、ススキの葉上に静止した。慌てて駆け寄ってみると、どうやらムラサキツバメのようだ。
子供の頃には、このチョウはまさしく南国の蝶で、その大きくて力強い姿に憧れていたものだ。でも、最近ではこのチョウの他にもいくつかの南国蝶たち(ツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハなど)が関東でも普通に見ることができるようになってきた。隔世の感がある。
ムラサキシジミの数は、内陸の山梨県ではまだ多くは無いようだが、数週間前に甲府市内でも観察できたので、多分、すでに山梨県内でも土着してしまっているのかも知れないな。
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
少し気温が上昇してくると、翅を開いて日光浴を始めた。暗い藍色の翅表は♂であることを示している。この♂の翅表の色表現はなかなか難しい。おおむね綺麗には撮影できないが、角度によってはもう少し鮮やかな色が出るのかも知れない。肉眼的はこの写真の色が忠実だと思う。
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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
» ムラサキシジミ; The Japanese Oakblue
前述した草叢では、ムラサキシジミも観察できた。翅表はムラサキツバメに似ているが、飛んでいると大きさが明らかに小さいのですぐわかる。実は本日の本命はこのチョウだったのだ。
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
このチョウの夏型は樹上にすんでいて、他のチョウの観察に訪れた場所で、偶然目にすることがあるが、実にせかせかと落ち着きがなくて、静止してもすぐに飛び去ってしまう。でも、秋になるとその数が増して、この時期には葉上で日光浴をする個体をよく目にするようになる。
翅を開くと、輝くような濃い青紋が目に飛び込んでくる。この青色は他のチョウには無いもので、ムラサキシジミの♂だけの色合いのように思う。何度見ても美しいな。
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
» ヤマトシジミ; The Pale Grass Blue
ヤマトシジミというチョウは、夏には見向きもしないが、この時期になるととても愛おしく思えてくる。今回は5頭の♂と1頭の♀を観察できた。今まで、12月下旬でも見たことがあるが、年を越えた個体は観察できていない。1月はこのシジミを探して、南部を徘徊しようかな。
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
» その他; Others
上記の種類のほかに、撮影できたのはアカタテハ、ウラナミシジミ、ベニシジミ、アキアカネがある。さらに観察で来たけど撮影できなかったのは、ヒメアカタテハ、モンキチョウだ。12月にこれほど多種類のチョウが観察できるとは思わなかったので驚いた。
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
§ Afterword §
先週の月曜日に山梨科学アカデミーの集会で(僕も会員)、稀代の虫屋「奥本大三郎氏」が講演された。タイトルは、「虫と風土と人とのかかわり」だったように思うがどうも最近記憶力が悪くなり定かではない。とにかく、講演後のパーティでは、奥本氏と少しゆっくりとお話しすることができた。とても気さくな方だった。ちょうどその時間帯は別な会議があったのだが、それをすっぽかしてきただけのことがあったように思う。その時、T大学の同好の方ともお話ができて、こちらも嬉しかった。
そういえば、今まで趣味関係の名刺を作ってこなかったので、初めてお会いして名刺を渡された方に、お返しすることが出来ずに、これまで大変失礼をしてきたように思う。この冬の間に、虫林も趣味の名刺でも作ってみようかなと思っているが---どうなることやら。
来週の週末は、斑会議に出席するために神戸に出張だ。
フィールドに出たいが、難しいかな。
以上、 by 虫林花山
Commented
by
himeoo27 at 2011-12-11 20:40
師走に入っても今年の山梨県の南部は結構チョウが舞っているのですね!
私もムラサキ3兄弟の中では「ムラサキシジミ」の紫が一番好きです。
私もムラサキ3兄弟の中では「ムラサキシジミ」の紫が一番好きです。
0
そちらでもムラサキシジミとムラサキツバメは見ることが出来るようになってきましたね。
数が増えたと言うより、知識の蓄積が出来てきたと言うことですね。
この時期に両種を撮影できるとずいぶん楽しみが増えますよね。
奥本先生の講演は、他の会議をキャンセルした甲斐があったようですね。
数が増えたと言うより、知識の蓄積が出来てきたと言うことですね。
この時期に両種を撮影できるとずいぶん楽しみが増えますよね。
奥本先生の講演は、他の会議をキャンセルした甲斐があったようですね。
ヒメオオさん、
コメント有難う御座います。
結構多くの蝶たちをみることができて僕も驚きました。
ムラサキ3兄弟では僕もムラシが好きです。
近くにもっと良い観察場所が発見できたらいいのになと思っています。
コメント有難う御座います。
結構多くの蝶たちをみることができて僕も驚きました。
ムラサキ3兄弟では僕もムラシが好きです。
近くにもっと良い観察場所が発見できたらいいのになと思っています。
ダンダラさん、
コメント有難う御座います。
そうですね、知識の蓄積の効果と大きいですね。何とか両種を撮影できて嬉しかったです。
奥本先生は気さくでとてもよい方でした。今回はゆっくりとお話も出来ました。山梨にいるとあまり同好のかたとお話しする機会がありませんが、たまにお話しすると色々と刺激を受けますね。
コメント有難う御座います。
そうですね、知識の蓄積の効果と大きいですね。何とか両種を撮影できて嬉しかったです。
奥本先生は気さくでとてもよい方でした。今回はゆっくりとお話も出来ました。山梨にいるとあまり同好のかたとお話しする機会がありませんが、たまにお話しすると色々と刺激を受けますね。
翅が透けかかったヤマトシジミ、何ともいえません。
東京でも、一雨ごとに、数が減っています。
今、ムラサキツバメに時間をとられ、ヤマトシジミがおろそかになっていますが、最後まで見とどけたいと思います。
東京でも、一雨ごとに、数が減っています。
今、ムラサキツバメに時間をとられ、ヤマトシジミがおろそかになっていますが、最後まで見とどけたいと思います。
22wn3288 さん、
ムラツは山梨県でも多分土着しているのでしょう。ここ数年は僕でも見ることができました。もう少し数が多いと撮影が楽ですけどね。
ムラサキシジミの好きな方はやはり多いようで嬉しいです。
ムラツは山梨県でも多分土着しているのでしょう。ここ数年は僕でも見ることができました。もう少し数が多いと撮影が楽ですけどね。
ムラサキシジミの好きな方はやはり多いようで嬉しいです。
otto-Nさん、
この時期のヤマトシジミは本当に白っぽくてとても特徴的な感じがしますね。この時期になると、ヤマトの姿を見るとほっとしています。今年は年越しヤマトに挑戦してみたいと思っています。
この時期のヤマトシジミは本当に白っぽくてとても特徴的な感じがしますね。この時期になると、ヤマトの姿を見るとほっとしています。今年は年越しヤマトに挑戦してみたいと思っています。
by tyu-rinkazan
| 2011-12-11 18:25
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Comments(10)