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20120408 県南散歩:スギタニルリシジミ開翅ほか


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Nature Diary 7(17):#442

午後に所用があるので、本日(日曜日)のフィールド散歩は午前中だけ。

時期的には、そろそろ富士川流域のギフチョウが気になるのだが、今年のサクラの開花を考慮するとまだ少し早いかもしれないな。そこで、先週訪れた県南部の林道をまたのんびりと歩いてみることにした。

晴れているが、気温が低くて風も強い。こういう天候を 「花冷え」 というのだろう。

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富士川土手の桜並木(南部町)

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富士川の土手は、この時期に薄桃色の桜の花に縁どられていた。桜の花は 「日本の春の象徴」 で、世の中を明るくする不思議な力があるように思う。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



コツバメ; The Tailless Hairstreak

コツバメはこの林道では決して少なくないが、常時見ることが出来る場所は一部に限られる。そこは最も日当たりが良く、背の低い灌木が茂って他の昆虫たちも多い。ただ、似たような場所は他にもあるのだがそこには見られないのが不思議だ。コツバメに理由を聞いてみたいものだな。

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コツバメ(南部町)

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午前10時を過ぎるとどこからともなく現れて、林道の地面や葉上で日光浴(テリ張り)をしていた。歩くとすぐに飛び出すがまた静止する。広角(上)と100㎜マクロレンズで撮影。
上:Canon 60D, Sigma 10mm + X1.4 Telecon, ISO200、下:Canon 7D, EF 100mm F2.8L, ISO400


昼近くなって気温が上がってくると、キブシの花やその周りには多くのコツバメやスギタニルリシジミが集まってきた。チョウたちにとってこのキブシの花はさしずめ「大人気の大衆食堂」なのだろうか。

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コツバメ(南部町)

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キブシの花に乗るコツバメ。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



スギタニルリシジミ; The Sugitani's Hedge Blue

あらためて見直してもここのスギタニルリシジミは大きい。

ここにはスギタニルリの一般的な食樹であるトチノキはないが、林道で出会わせた同好の方によれば、ここのスギタニルリはフジかキハダが食樹ではないかということだった。ここは個体数は少なくないので、いつかスギタニルリの産卵などが観察できたら良いなと思う。

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スギタニルリシジミ(南部町)

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スギタニルリは地面の近くをチラチラと飛んで湿った地面や石の上に静止する。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400

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スギタニルリシジミ(南部町)

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湿った石の上に静止するスギタニルリシジミをアップ。ルリシジミに比較して、翅裏の地の色は灰色がかっていて、斑紋の周りに白い縁取りがある。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400


<開翅>
スギタニルリシジミはなかなか開翅しないチョウだ。

過去に2回ほどスギタニルリの♀開翅を撮影したことがある。いつか♂の開翅も撮影したいと思っていたが、なかなかそのチャンスは無かった。今回は幸いなことに、3個体もの♂が翅を開いてくれた。

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スギタニルリシジミ(南部町)

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キブシの横の灌木の葉に静止した個体がおもむろに翅を開いてくれた。残念ながら目線よりも高い位置だったので、見下ろす形で上から翅全体を撮影できなかった。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400


縁毛幻光; Brilliance blue rim of wing

コツバメは翅縁に青い幻光が出現するときがある。逆光の限られた角度でしか見られない現象だ。スギタニルリもコツバメほどではないが、翅縁に青い幻光が現れた。そこで、両者を並べて掲載してみた。

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コツバメとスギタニルリシジミの青く輝く縁毛(南部町)

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両種とも翅の縁毛が青く輝いていたが、輝きの度合いはコツバメに軍配が上がる。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



ニッポンヒゲナガミツバチ; Tetralonia nipponensis

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ニッポンヒゲナガミツバチ♂(南部町)

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ニッポンヒゲナガミツバチは春に出現する。本種のオスの触角は体長以上もあってとても長い。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



シロジュウシホシテントウ; Calvia quatuordecimguttata

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シロジュウシホシテントウ(南部町)

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この小さなテントウムシを撮影しようとして眼鏡を壊した。因縁の甲虫になった。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L, ISO400



ニホンカモシカ;

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ニホンカモシカ(南部町)

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斜面から小石が落ちてきたので見上げるとカモシカがこちらを見ていた。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



§ Afterword §

花冷えの一日。本日は午後2時から所用があったので、現地をお昼近くには離れた。撮影中に眼鏡の片方のレンズが取れてしまい困った。車の中に偏光レンズのサングラスがあったので運転には問題がなかったもののメガネのスペアは持ちあるいていた方が無難。

今回は何と言ってもスギタニルリシジミの♂開翅が撮影できたことが嬉しかったが、気温や日照などの条件が揃った時だけ翅を開いてくれるのだろう。

そろそろギフチョウに対する禁断症状が出てきそうだ。





以上、 by 虫林花山


Commented by kmkurobe at 2012-04-09 00:02 x
そちらもまだまだ寒いようですね。
シロジュウシホシテントウ闇色型これ一度見たかったんですよ。
実は予芸でテントウムシも集めていました。
うーんこれはいいですねえ・・・・・
Commented by yoda-1 at 2012-04-09 18:36
ニッポンヒゲナガミツバチに目が点になりました。
この蜂も社会性があって集団で巣作りしているのでしょうか?
シロジュウシホシテントウ闇色型の希少性と併せて、この蜂にも逢ってみたい昆虫になりました。
Commented by 蘭丸 at 2012-04-09 19:54 x
ごぶさたしております。

コツバメとスギタニルリの幻光とても綺麗ですね。
私も今日はコツバメを撮影しましたが、幻光は現れきれてくれませんでした。
コツバメも翅を開いてくれると嬉しいのですが、やっぱり開きませんね。
Commented by naoggio at 2012-04-09 21:09 x
スギルリ♂開翅、撮影できたんですね ! おめでとうございます。
2枚の幻光、いいですね。2枚並んでいる所がまたいいです。
ニッポンヒゲナガミツバチやシロジュウシホシテントウ、貴重な写真を拝見させて頂きありがとうございました。
Commented by himeoo27 at 2012-04-09 21:38
ニホンカモシカのカメラ目線の惚けた顔が可愛いですね!

昨日、私も神奈川県でスギタニルリシジミの開翅を目撃
しました。
何時ものようにジッと観察したので撮り漏らしてしまいました。
Commented by 虫林 at 2012-04-09 23:22 x
kmkurobeさん、
今年は桜の花は遅れが5日ほどですが、チョウの方はもうすこし遅れがあるように思えます。読みにくい年ですね。
テントウに興味をお持ちだったのですね。このテントウムシにカメラを向けた途端、メガネを壊してしまいました。ですから、このテントウムシは僕にとって思いで深いものになりました。
Commented by 虫林 at 2012-04-09 23:26 x
yoda-1さん、
ニッポンヒゲナガミツバチは以前はミツバチの仲間だったのですが、現在は他の仲間に入れられているように認識しています。一般的に、集団行動は示さず、社会性も乏しいようです。
とにかく、長い触角がクールですよね。
Commented by 虫林 at 2012-04-09 23:41 x
蘭丸さん、
こちらこそご無沙汰でした。
コツバメの幻光は逆光での限られた角度で見ることができました。肉眼でもハッキリとわかるので試してみられたら良いかもしれません。これまでコツバメの開翅は見たことがありません。飛翔で撮影するしかないかも。
Commented by 虫林 at 2012-04-09 23:47 x
naoggioさん、
ありがとう御座います。
スギルリの♂開翅はとても嬉しかったのですが、ちょっと目線よりも高い場所だったので、写真としては満足いけるものではありませんでした。チョウ以外の昆虫にも興味があるので、面白い虫を見つけると撮影してしまいます。
Commented by 虫林 at 2012-04-10 01:29 x
ヒメオオさん、
スギルリの開翅を観察できたのですね。この蝶の開翅の条件はよくわかりませんが、次回に出会えた時はしっかりと撮影できると良いですね。
Commented by ダンダラ at 2012-04-10 11:31 x
スギタニルリの開翅はブルーも濃くて渋くて良いですよね。
そろそろこちらも撮影しないといけないですが、ギフが始まってしまうとなかなか日程を避けないのがつらいです。
コツバメの幻光はきれいな感じで出ていると思います。
幻光はスギタニでも出るんですね。
今度注意してみてます。
Commented by 虫林 at 2012-04-10 20:50 x
ダンダラさん、
コメントありがとう御座います。
スギタニは開翅を狙ってみると、何とか撮影できるみたいですよ。まだ発生期は残っていますので、何かのついでにでも撮影できるかもしれませんね。
幻光はやはりコツバメの方が強いみたいですが、スギタニも光っていました。
Commented at 2012-05-03 22:58
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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by tyu-rinkazan | 2012-04-08 23:46 | Comments(13)

Photographic Adventures for Insects and Flowers


by 虫林花山
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