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20120622 ベトナムの散歩道:キアネハレギチョウなど

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Nature Diary vol.7(32):#457


ベトナム南部の都市ホーチミン市(サイゴン)に公務出張。
ホーチミンへは成田から6時間強のフライト。


<ホーチミン市内>
日本の交通渋滞は車だが、ホーチミンシティの渋滞はオートバイ。

信号待ちしているオートバイの群れが一斉に動き出すと、堰き止められていた水がいっせいに流れ出したかのようで壮観だ。バイクには3人乗り、4人乗りは当たり前、ヘルメットもカラフルで見ているだけで楽しい。

ベトナムはオートバイ天国なのだ。

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オートバイの群れ

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Troop of motorbikes
Canon 7D, Sigma 17-70mm, ISO400 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



天秤棒で物を運ぶ女性の姿。
よく見ると荷物はフランスパン------そういえば、ベトナムは過去フランスが統治

戦争と平和、独立と自由、民族と社会、個人と国家----ベトナムには難しい過去がある。

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ホーチミン市の街角にて

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A landscape of Ho Chi Minh City
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



夜はレストランではなく街角の「めし屋」に行った。

公共の道路上に置かれた粗末なテーブルで、汗を拭きながらベトナム料理(鳥の空揚げ風のものと炒めごはんなど)を賞味した。どれも独特の香草がきいていて美味い。

「サイゴンビール」や「タイガービール」は当地の気候に合って爽やかな薄味だ。

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街角のめし屋

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Domestic restaurant in Ho Chi Minh City
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


露店ではマンゴスチン、ライチ、ジャックフルーツなどをしこたま買い込んだ。これら果物を袋一杯につめて、値段は40000ドンの請求。4万と聞くと、えらく高いように感じるかもしれないが、実は日本円に換算すると160円ほどなのでとても安い。

果物の王様といわれる立派なドリアンも並んでいたが、切り身の匂いでNG。

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ドリアン売り

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A durian seller
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


夜店が立ち並ぶ中心街。

すぐに物売りが袖を引く。中には10歳くらいの子供の袖引きもいて、片言の日本語で話しかけてくる。断ってもしつこく100mほどついてくる子もいた。少し微妙な気持ちになった。

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夜の露店

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Street booths in the night
Canon 7D, Sigma 17-70mm, ISO400 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



キアネ(ツマグロ)ハレギチョウ; Cethosia cyane

留学に来ることになったベトナム人のShin君が、我々を郊外の公園(ザンディーン・ウォーターフォール公園)に車で案内してくれた。この整備された公園内には滝があって、その周りの散策路には花もありチョウの飛ぶ姿も多くみられた。


黄色い花で大きなオレンジ色の蝶が吸蜜。
遠目でカバマダラとたかをくくっていた。

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吸蜜するオレンジ色の蝶

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Cethosia cyane
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


近くでみると翅裏辺縁のジグザグ模様はまごうことなきハレギチョウ。
翅の模様から調べてみると、キアネハレギチョウらしい。

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キアネハレギチョウ

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Cethosia cyane
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


キアネハレギチョウの開翅した様子は、やはりカバマダラに似ている。
比較のために、下の写真の下に日本で撮影したカバマダラを掲載した。

<ミューラー型擬態>
カバマダラの幼虫は毒植物のトウワタの葉を食べる。一方、ハレギチョウも毒草のトケイソウの仲間が食草だ。両種とも成虫の体内には毒を持つので、鳥たちには襲われない。この毒蝶どうしの関係をミューラー型擬態という。

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キアネハレギチョウ(上)のカバマダラ(下)への擬態?

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Cethosia cyane
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



その他の蝶; Other butterflies

他にも沢山のチョウたちに会うことができた。詳細は別の機会に譲ることにして、ここではそのうちの何種類かを組み写真で掲載することにする。

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ヘリグロホソチョウ、リュウキュウムラサキ、ルリボシタテハモドキ、ウスキシロチョウ

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Other buttterflies
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



クラッシコミスクビナガハンミョウ; Neocollyris crassicomis

眼の前の葉上で、樹上性のクビナガハンミョウを見つけた。
このハンミョウは図鑑では知っていたが、実際に見るのは初。

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クラッシコミスクビナガハンミョウ

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Neocollyris crassicomis
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


一般的なハンミョウとは異なる体型で面白い。
この仲間は日本では沖縄に一種類だけ分布しているらしい。

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クラッシコミスクビナガハンミョウ

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Neocollyris crassicomis
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



ハンミョウ; Cicindela chinensis, Tiger beetle

道を歩くと足元からハンミョウが飛んだ。
日本のハンミョウにも似ているが、模様が異なる。

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ハンミョウ

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Cicindela chinensis
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


川の脇の湿地でニワハンミョウの仲間を発見。
地味だが渋い美しさ。

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ハンミョウの一種

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Tiger beetle
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



フチトリベッコウトンボ; Neurothemis sp.

南国ではフチトリベッコウトンボは良く見る。
翅の網目模様が面白いので、クローズアップで撮影した。

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フチトリベッコウトンボ

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Neurothemis sp.
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



セミの一種; cicada

セミが鳴いていた。
撮影してみると日本のヒグラシに似ていた。

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セミの一種

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cicada
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



§ Afterword §

滞在最終日、帰りの飛行機の出発時間が夜中12時だったので、その日は数時間だけだがフィールド散歩をさせてもらった(いつも強引)。ご配慮いただいた同行者の皆さんに感謝したい。

今回散歩した公園はかなり整備されているので、危険性はなく、蝶も撮影しやすかった。しかし、整備され過ぎているためか、実は今回のベトナム行で撮影したかったツノゼミの仲間は全く見ることが出来なかったのが心残りとなった。




以上、 by 虫林花山




Commented by kmkurobe at 2012-06-26 11:13 x
樹上性のハンミョウ綺麗ですね。コルリクワガタに通じる繊細さも持ち合わせていますね。
ハンミョウもなるほど頭部や脚部まで綺麗に模様がはいっていますね。
Commented by ダンダラ at 2012-06-26 14:48 x
ワォ、このハレギチョウ、写真を見ていつか撮影してみたいと思っていた種類です。
そうですか、こんなところにいたんですね。
うらやましいです。
Commented by yoda-1 at 2012-06-27 05:18
ハレギチョウが大きく撮影されていて、東南アジアですね。
ベッコウトンボの画像の秀逸さに感動ですが、これでどのくらい絞っていられるのでしょうか。
ハレギチョウですが、C.biblis ではなくて、C.hypsea(シロオビハレギチョウ)の方だと思います。
Commented by 虫林 at 2012-06-27 06:27 x
kmkurobeさん、
樹上性のハンミョウの写真を撮影するのはこれが初めてでした。
とても嬉しかったです。
ハンミョウは体中に入れ墨みでもしたみたいですよね。
Commented by 虫林 at 2012-06-27 06:29 x
ダンダラさん、
このハレギチョウは個体数はかなりいました。
この公園では最も多い種類だったように思います。
時間が無いので、慌てて撮影したのですが、次回行くことがあれば、ゆっくりと撮影してみたいです。
Commented by 虫林 at 2012-06-27 06:57 x
yoda-1さん、
有難うございます。
日本名をキアネ(ツマグロ)ハレギチョウと書いておきながら、どういうわけか学名をCethosia biblisと誤記しました。まったく困ったものです。

僕の調べたはネットのサイト(http://www5c.biglobe.ne.jp/%257emmmworld/s2/s2s3/s2s3s2/s232_ttCeth1.html)や(http://www.pbase.com/turnstyle/image/124352863)で見た限りでは、C. hypseaよりもC. cyaneにほうに色彩や紋が似ていました。でも、ネットの記載がまちがっていれば、アウトですけどね。
そろそろ図鑑を購入しようかな。
Commented by yoda-1 at 2012-06-27 13:08
C. biblisではないと思い、取り急ぎコメントしましたが、確かにC. cyaneでござました。
お騒がせしました。
しかし、翅表のデザインはそっくりでありました。とは言い訳で、今後慎重にしなくてはと、反省しています。
Commented by naoggio at 2012-06-27 15:12 x
いつもいつも羨ましい。
このハレギチョウ、ウィーンの「蝶の家」で見た時に調べたので
C.cyane で間違いないと思います(拙ブログ5月20日の記事に写真があります)。
表は本当にカバマダラにそっくりですね。
ホソチョウやベッコウトンボなど魅力たっぷりです。
Commented by 虫林 at 2012-07-02 22:08 x
yoda-1さん、
いえいえ、僕の方こそ間違えることが多いので、今後とも宜しくお願いします。
Commented by 虫林 at 2012-07-02 22:10 x
naoggioさん、
コメント有難うございます。
遅レスで申し訳ありません。
C. cyaneで間違いなさそうですね。
毒蝶が毒蝶に擬態する関係は不思議です。
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by tyu-rinkazan | 2012-06-26 01:29 | ● Vietnum | Comments(10)

Photographic Adventures for Insects and Flowers


by 虫林花山
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