NATURE DIARY

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20120728 山上の妖精たち:タカネキマダラセセリとヤリガタケシジミ

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Nature Diary vol.7(38):#463

気候がやっと安定したこの時期(毎日暑い)は山に登りたくなる。
といっても、ハードな登山は体力が無いので不可。
そこで、週末(土曜日)は高山蝶のワンダーランド(上高地)を散歩。

通常の山登りでは山頂は目指すところであり、峠は越えるところである。
しかし、僕にとってはそこに蝶がいるから山に登る。山頂も峠も関係ない。



タカネキマダラセセリ(以下タカネキ)が棲む高所のお花畑に到着した時には上部は雲に覆われていた。しかし、しばらくすると雲が切れて陽が差したと同時に奥穂の険しい稜線が姿を現した。

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奥穂高岳

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A landscape of Mt. Okuhodaka
Olympus E-3, ZD50-200mm, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)



タカネキマダラセセリ; The Checkered Skipper

笹の葉やイワノガリヤスの葉上で日光浴するタカネキの姿----今年も出会えた。

ちょうど蝶を探している方がいたので声をかけてみると、東京から来られたKさんで、小生の拙ブログをご覧になってくれているとのことだった。一緒に撮影を楽しむことにした。

背景の景色が入りそうな葉の上で翅を開いたので広角撮影。

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開翅するタカネキマダラセセリ

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Wide angle view of the Checkered Skipper.
Olympus E-3, 8mm Fisheye, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


この時期だとすでに古くなった個体が多かった。
比較的新鮮なタカネキ♀がコカラマツの小さな花に静止して翅を開いた。

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コカラマツの花に静止するタカネキマダラセセリ

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A female of the Checkered Skipper resting on the grass leaf..
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


タカネキは小型のセセリチョウで、翅に黄色い紋がある。翅裏のチェック模様もなかなか面白い。セセリチョウにしては飛び方もゆるやかで愛らしく、僕には「山の妖精」というイメージがある。

今回はゆっくりと撮影を楽しめた。

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タカネキマダラセセリ

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The Checkered Skipper.
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


タカネキはフウロソウ科(ここではグンナイフウロやハクサンフウウロ)やクガイソウの花がお気に入りで、待っているとしばしば吸蜜に訪れてくれた。

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グンナイフウロの花で吸蜜するタカネキマダラセセリ♀

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A female of the Checkered Skipper.nectar-suckling on the flower.
Olympus E-3, ZD8mm+ X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)

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グンナイフウロで吸蜜するタカネキマダラセセリ♀

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A female of the Checkered Skipper.nectar-suckling on the flower..
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


登山道には数少ないがハクサンフウウロも咲いていた。

以前に訪れた時にはこの花での吸蜜は観察できたが、まともな写真は撮影できなかった。このピンクの花で吸蜜する姿を撮影することが今回の目的。

ハクサンフウロのピンクの花と可愛いタカネキのコンビネーションは好ましい。

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ハクサンフウウロで吸蜜するタカネキマダラセセリ♂

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A male of the Checkered Skipper.nectar-suckling on the flower.
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


一緒に撮影していたKさんが、タカネキの求愛シーンを見つけてくれた。
残念ながら、交尾にまでは至らず、しばらくすると別れてしまった。

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求愛するタカネキマダラセセリ

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A courtship behavior of the Checkered Skipper.
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)



ヤリガタケシジミ; The Sky Blue

皆さんが山を降りた後、一人でヤリガタケシジミの調査。

現在、非常に数が少なくなってしまったヤリガタケシジミ。
このD沢に確実に棲息しているという話を複数の方から聞いたことがある。

しかし、いったいどこに?



とにかく注意しながらズルズルと崖を降りてみることにした(ここの崖は崩れやすくて下降するのはとても危険だ)。高所とはいえ、遮るものもないガレ場では夏の太陽が容赦なく照りつける。

暑さに閉口したが(脱水になりそう)、幸運にも食草のイワオウギの群落を見つけた。
しばらくすると青いチョウの姿を見かけたので、必死で追いかけた。

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イワオウギの花で吸蜜するヤリガタケシジミ♂

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A male of the Sky Blue.
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


この写真では、ヒメとの鑑別に必要な前翅裏の黒点(黄色い矢印)が見えている。
長楕円形をしているので、アサマシジミの可能性が高いと考えた。

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イワオウギの花で吸蜜するヤリガタケシジミ♂

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A male of the Sky Blue
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


日が陰ると、とうとう翅を開いてくれた。

下の写真のように、やや暗い青燐が発達し、翅脈がはっきりと見えている。
これでヤリガタケシジミであることが確信できた。

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吸蜜するヤリガタケシジミ♂

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The Sky Blue.
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)

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開翅するヤリガタケシジミ♂

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A male of the Sky Blue resting with the wings opened..
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi))


今回観察できたヤリガタケシジミは数頭で全て♂だった。
やはり個体数は少ない。

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開翅するヤリガタケシジミ♂

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A male of the Sky Blue resting with the wings opened..
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi))




その他; Miscellaneous

ここにはヒメシジミを混在して見られた。とても明るい高地型(黒点型)で美しいが、ヤリガタケシジミとは翅表を見れば一目瞭然に区別できる。

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ヒメシジミ

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The Silver-studded Blue.
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi)


d0090322_18561063.jpg
クモマベニヒカゲ

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The Arran Brown.
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi))

d0090322_18562498.jpg
クモマハナカミキリ

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Evodinus borealis
Olympus E-3, 50mm Macro + X1.4 Telecon, ISO400 (2012-July-28, Kamikochi))



§ Afterword §

タカネキはいつ見ても可愛い蝶。
今回の目的の一つは、ハクサンフウロのピンクの花で吸蜜する姿をカメラに収めることだったが、比較的新鮮な個体が訪れてくれたので良かった。

一方、現在では数が少なく「幻の蝶」になってしまったというヤリガタケシジミの棲息場所に何とかたどり着くことができた。確認できたのは数頭の♂だけだったので数は少ないようだ。やはり、ほそぼそと生き残っている状況かな。

今回はその棲息を確認できただけでも良しとしよう。

ヤリガタケシジミは数は少ないうえに、ポイントまでのアプローチもけっこう危険
他の方には決してお勧めできる場所ではないな。



本日、現地では東京のKさんや神奈川のゴマさん、Akakokkoさん、Midoriさんたちとお会いできました。しばしの間、一緒に撮影を楽しむことができて良かったです。








以上、 by 虫林花山




Commented by himeoo27 at 2012-07-29 19:37
昨日、タカネキマダラセセリを目指して午後から
登攀してみました。神奈川チームと情報交換して
の探索で、何とか撮影することが叶いました。
↑の記述の通り高山の妖精ですね!
とっても可愛かったです。
Commented by naoggio at 2012-07-29 21:44 x
タカネキ、暫くお目にかかっていません。
やはり魅力的な蝶ですね。
D沢のヤリ、今年は狙おうかと思ったのですが無精をして川沿いで済ませようと思ったのですが、いやはや・・・
落石等なかったですか?虫林さんはすごいです。
Commented by 22wn3288 at 2012-07-30 08:44 x
タカネキマダラセセリの生息地の様子が良く分かりました。
白やピンクの花に来たチョウは特に綺麗ですね。
ヤリガタケシジミの画像は貴重な写真ですね。
Commented by yoda-1 at 2012-07-30 12:56
ハクサンフウロでの吸蜜シーンの目標達成、おめでとうございます。
目標どおりになったときほどうれしいことはないですよね。
しかもあの地のヤリガタケも撮影されるとは、もう蝶撮影のためには命も惜しくないように見受けられました。
川沿いのと比較して、少し青みが弱いような印象はなかったですか?
Commented by banyan10 at 2012-07-30 18:25
タカネキはグンナイフウロが広角もマクロもいいですね。
ここのヤリガタケははっきり確認できる写真は初めてでしょうか。
ご一緒したときの雄に比べると青が少し薄い印象ですね。
Commented by midori at 2012-07-30 20:40 x
その節は、大変お世話になりました。ありがとうございます。ハクサンフウロでの吸蜜シーンが撮れてよかったです(*^^*)。きれいで、かわいい花なので大好きです。あの後、ヤリガタケ撮に向かったのですね…目的達成おめでとうございます。また、どこかでお世話になると思いますが、宜しくお願い致します。
Commented at 2012-07-30 23:47 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 虫林 at 2012-07-31 06:19 x
ヒメオオさん、
ニアミスでしたね。
おあいできればよかったのですが、残念でした。
でも、タカネキを撮影できて良かったよかった。
次回はご一緒したいものです。
Commented by 虫林 at 2012-07-31 06:22 x
Naoggioさん、
コメントありがとう御座います。
タカネキはやはり山の妖精と呼ぶのに相応しい蝶だと思いますよ。
撮影していてもそんな気持ちになってしまいます。
D沢のヤリはラッキーでした。
でも、個体数は少なかったな。
Commented by 虫林 at 2012-07-31 06:25 x
22wn3288さん、
コメントありがとう御座います。
今回はハクサンフウロのピンクの花で吸蜜シーンを撮影したい
と思っていました。何とか撮影できて良かったです。
ヤリは今や幻の蝶になりつつありますね。
ラッキーでした。
Commented by 虫林 at 2012-07-31 06:27 x
yodaー1さん、
コメントありがとう御座います。
やはり目的を持って撮影すると良い写真が撮影できるように
思います。うまく撮影出来て良かったです。
ヤリは崖を降りなければならないので胆を冷やしました。
でも、運よく撮影できて良かったです。
Commented by 虫林 at 2012-07-31 06:30 x
banyanさん、
コメントありがとう御座います。
グンナイフウロもこのチョウが好む花ですので、その前で待って
いればさんさん午後に飛んできました。
D沢のヤリは初めてかもしれませんが、噂は聞いていました。
ラッキーでした。
Commented by 虫林 at 2012-07-31 06:32 x
midoriさん、
コメントありがとう御座います。
ハクサンフウロやグンナイフウウロの花で一緒に撮影できて
良かったです。ヤリはダメもとでチャレンジしたのですが、
うまく撮影出来てラッキーでした。
またご一緒したいものですね。
Commented by 虫林 at 2012-07-31 06:40 x
非公開コメントさん、
こちらこそご一緒出来て楽しかったです。
貴重な情報をありがとうございました。
例の場所でオスとメスを同時に撮影されたとは羨ましい
です。今年はいろいろと忙しいのでどうなるかわかりませんが、
いってみたいなと思います。
ヤリはラッキーでした。
Commented by grassmonblue at 2012-08-01 22:04 x
いろいろなタカネキの様子、楽しく拝見しました。
自分が観察した時とは何となく雰囲気が違うのも面白いと思いました。
時期、天候の関係でしょうね。
クモベニが少ないと聞いていましたが、時期的な問題でしょうか、それとも今年は不作年でしょうか。
ヤリガタケシジミはその通りのアドバイスを受けてはなからパスしましたが、やっぱり心配ですね。
Commented by Akakokko at 2012-08-02 01:57 x
その節はお世話になりました。
久しぶりにお会いできて嬉しかったです。
フウロソウのタカキマ、奇麗なボケで素敵ですね。
ヤリガタケも見つけてしまう何で凄いです。
来年は、探してみたいと思います。
Commented by Sippo5655 at 2012-08-03 21:53
アサマシジミのことでしたか。
ここにいるのは、ヤリガタケシジミって呼ばれているのでしょうか。
出会えて 本当に良かったですね!
フウロソウとタカネキマダラセセリの絵にうっとりしてます(^-^*)
Commented by ダンダラ at 2012-08-04 18:01 x
フウロでのタカネキマダラ、良いですね。
ヤリガタケシジミもとうとうD沢の個体を撮影されたのですね。
おめでとうございます。
探究心旺盛な虫林さんならではの成果ですね。
Commented by 虫林 at 2012-08-06 01:17 x
grassmonblue さん、
コメント有難うございます。
タカネキに限らず天候などにより雰囲気はかなり異なるようです。
クモベニはここでは決して少なくありませんでしたよ。
でも、クモベニがでると蝶の季節は最後のベニヒカゲに移っていくようで少しさびしく思います。
Commented by 虫林 at 2012-08-06 01:19 x
Akakokkoさん、
コメント有難うございます。
久しぶりにお会いできて嬉しかったです。
お仲間と楽しそうでよいですね。
フウロでの吸蜜シーンは今回の目的だったので、お褒め頂くと大変うれしく思います。有難うございました。
ヤリガタケはきっと見つかると思いますが、崖を降りるときは注意が必要ですよ。
Commented by 虫林 at 2012-08-06 01:22 x
Shippoさん、
コメント有難うございます。
ヤリガタケは以前はアサマシジミとは別種で、高山蝶の一つに数えられていましたが、現在はアサマシジミの高地型に位置付けられています。アサマシジミとは食草も異なります。
以前は上高地でも良く見られたそうですが、現在ではほそぼそと
棲息していて見つけるととても嬉しく思います。
Commented by 虫林 at 2012-08-06 01:25 x
ダンダラさん、
コメント有難うございます。
フウロでの吸蜜は以前にも狙っていたのですが、今回は上手く撮影できたようで嬉しく思います。有難うございました。
D沢のヤリガタケシジミの環境は、以前にご一緒した場所よりも数段こちらが上です。でも、個体の美しさは以前の場所の方が上のように思われます。もう少し本格的に調査してみたいと思います。
by tyu-rinkazan | 2012-07-29 19:20 | Comments(22)