NATURE DIARY

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20121223 雑木林の散歩道:フユシャクなど


Nature Diary vol.7(62): #487


フユシャクという蛾の仲間は冬の最中に羽化するというユニークな昆虫です。フユシャクのメスは翅が小さかったりほとんど無くなっていたりして飛ぶことができません。そんなフユシャクのメスも蛹の段階では一度は翅が形成されるのですが、アポトーシス(apoptosis)によって縮んでしまうのです。ちなみに、アポトーシスとは個体をより良い状態に保つための管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のことです。

この生体の大事な機構を最初に提唱したのはイギリス人の病理学者Kerr教授です。
嬉しいことに、Kerr教授は「とても熱心な蝶屋」であることを彼のもとに留学した友人から教えてもらいました。

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Diary

午後からフィールド散歩。冬至を過ぎたばかりで日差しは弱々しく頼りない。

クヌギが主体の雑木林も今は冬枯れて静寂の時。
そんな雑木林を散歩してみると、綿毛についた霜が融けて水滴となって輝いていた。

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クヌギの雑木林 .

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi

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綿毛に水滴 .

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



チャバネフユエダシャク Erannis golda

桜の幹でチャバネフユエダシャクのメスを発見。

ヒメオオさんのブログで、この虫は「ホルスタイン」と呼ばれていることを知りました。確かに言われてみればホルスタインとは面白い表現です。他の候補としてはディズニーの「百一匹ワンちゃん」のダルメシアンにも模様が似ているかなと思いました。

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チャバネフユエダシャク . Erannis golda

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi

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チャバネフユエダシャク . Erannis golda

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi

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捕食された(?)チャバネフユエダシャク . Erannis golda

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



クロテンフユシャク Inurois membranaria

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クロテンフユシャク . Inurois membranaria

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



イチモジフユナミシャク Operophtera rectipostmediana

工事現場のバラックの壁でイチモンジフユエダシャクを発見。
少し刺激したら不器用にひらひらと飛んで行ってしまった。

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イチモジフユナミシャク . Operophtera rectipostmediana

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



キノカワガ Blenina senex

キノカワガを見ることができるケヤキに立ち寄ってみたが、どいうわけか見ることができなかった。しかし、大きな桜の幹に静止していた1頭を発見することができました。

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キノカワガ . Blenina senex

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



Afterword

今週は近くの雑木林でフィールド散歩ができました。
フィリピン、中国での記事が続いていたので、国内記事のアップは久しぶりになってしまいました。

午後から出かけたものの、冬至が過ぎてまだ間もないので、午後3時過ぎには陽が傾いてしまいます。フユシャクの仲間は少し薄暗い方が観察しやすいのですが、薄暗い中で一人で活動したくないのと、寒いので早々に引き揚げてしまった。根性なしの虫林だが、フユシャクの仲間はもっと観察してみたい昆虫たちだ。


以上、by 虫林花山







Commented by naoggio at 2012-12-25 06:48 x
身近な自然の探索も楽しいものですね。
タンポポの綿毛は本当にきれいです。
フユシャク達も我が世の春を謳歌しているのですね。
反面、こんな冬でも捕食者の脅威はあるのだなあとしみじみ思いました。
先日の鉄観音、おいしそうでしたね。ワインに匹敵する香りというと中国茶(主に少し醗酵させた方ですが)かなと思っている私としては羨ましい限りでした。
緑茶も本場で飲むとさぞおいしい事でしょうね。
Commented by otto-N at 2012-12-25 10:14 x
蛾は守備範囲外ですが、フユシャクのメスがアポトーシスとは全く知りませんでした。以前の仕事柄、アポトーシスのメカニズムについてはさんざん勉強させられましたが、フユシャクは見事な実例ですね。
いつも、学会とチョウ(ムシ)の記事を楽しませてもらっています。新しい記事がしばらくないときは、今度はどこだろうか、とても期待しています。
Commented by namiheiii at 2012-12-25 10:17
昆虫にお詳しいのですね。虫たちはもう冬眠とばかり思っていました。虫たちの周囲の環境も撮り入れて素敵な風景写真になっていますね。
僭越ながらリンクさせていただきました。
Commented by kmkurobe at 2012-12-25 16:36 x
ご無沙汰してます。
↓の記事を拝見いたしましたが、相変わらずお忙しい日々をお過ごしなのですね。
今年は当地の積雪が早くて一面銀世界。
ゼフの卵くらいしか撮影できません。
そちらの林はいかにも暖かそうな感じがしますね。
Commented by Sippo5655 at 2012-12-25 21:42
フユシャクの生態、、
「調節された細胞の自殺」
この言葉、すごく脳裡に響きました。
これを、ロマンと呼んでは酷だろうか、、
人間だけで物事判断してはいけませんね。
私も、いろいろと探してみたくなりました。
ダルメシアン^^これもいいですね☆
この冬はどうにも寒くて、私も凍えがちですが
探索に精を出さなくては。
Commented by OTTO at 2012-12-26 16:29 x
冬枯れの雑木林を散歩するのも楽しいですね。
若い頃とは違って、北風が少々身に応えますが。
フユシャクの♀はほんと面白いと思いますが、こんな羽の退化がガだけに見られて蝶にはいないのは何故でしょうね。
カイコなんかでも、雌の羽の退化はだいぶ進んでいますがこれは、人間の家畜と化しつつある特性からでしょうか。
自然界というのはなんとも面白いものですね。
Commented by 虫林 at 2012-12-26 19:00 x
naoggioさん、
国外も面白いですが、やはり自分の周りの自然をリポート
してみたいと思っています。この時期ですと、チョウの姿も
見ることができませんが、フユシャクたちは元気ですので
探してみたくなります。
中国茶はたしかにおいしいですね。
Commented by 虫林 at 2012-12-26 19:03 x
otto-N さん、
遅レスですいません。
フユシャクの蛹がアポトーシスによって翅を失うのがどういう
意味なのかよくわかりません。ガの仲間では夏に出るものは
翅がしっかりあって、冬に出るものは翅が無いものがあるそ
うです。そうすると温度との関係があるのかもしれませんね。
自然界は疑問だらけです。
Commented by 虫林 at 2012-12-26 19:05 x
namiheiii さん、
リンク有難うございます。
僕の方も是非ともリンクさせてくださいね。
少し時間がかかるかもしれませんが-----。
namiheiii さんのブログは特色があってとても格調が高い
ですね。
今後ともどうぞ宜しくお願いします。
Commented by 虫林 at 2012-12-26 19:08 x
kmkurobeさん、
そちらは大雪で大変ですね。
こちらは雪はありませんが、今年は寒いです。
また、白馬で一緒にチョウを追えることを楽しみにしています。
来年も是非ともご一緒ください。
Commented by 虫林 at 2012-12-26 19:12 x
Shippoさん、
コメント有難うございます。
今年も残り少なくなりましたね。
出版記念会でお会いできたのは本当にうれしく思いました。
人間の体の細胞は生まれた時から死ぬことがプログラム
されていて、歳とともにアポトーシスによって脱落していき
ます。最近、そんなことが自覚できるかな-----。
寒くても元気でフィールドにでましょう。
Commented by 虫林 at 2012-12-26 19:15 x
OTTOさん、
有難うございます。
自然界は本当にわからないことだらけですね。
文明が発達して、いろいろなことが知られてきている現在
でもまだわからないことの方が格段に多いと思います。
でも、それだからフィールド散歩は楽しいのかもしれません
ね。色々と教えてください。
Commented by himeoo27 at 2012-12-26 20:47
拙ブログの引用ありがとうございます。
冬尺蛾は超初心者ですが、皆様に教えていただきながら
近所のポイントを中心に探してみます。
by tyu-rinkazan | 2012-12-24 20:20 | ■他の昆虫 | Comments(13)