NATURE DIARY

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20150711 山里のお寺散歩:吸い戻しするオオムラサキ

DIARY Vol.10 (672): #34, 2015 :  

梅雨のこの時期は週末になると「どんよりと雲におおわれた空」を見ながら何度も深いため息をついてきました。でも、今週末は綺麗に晴れて青空が広がりました。「青い空を忘れた哀れな虫屋」の虫林には、久々の青い空と夏の太陽が嬉しくて、眩しくて、楽しくて、思わず目から涙があふれ出てしまいます----ウソつけ!

本日(土曜日)は甲府市郊外にある「お寺」を散歩することにしました。
そのお寺の境内には樹液を出す木(クヌギやコナラなど)がありません。
にもかかわらず、オオムラサキが沢山集まるとのことです。
何ともミステリアスで不思議な話(ウルトラQ?みたい)です----心惹かれます。


オオムラサキが飛び回るお寺にて

お寺の入り口には大きな門(仁王門というらしい)がある。
門の両脇には運慶作いう立派な仁王像が収められている。
このお寺は建立後900年も経っているらしい。

門には沢山の草鞋(ワラジ)が掛けられている(下の写真)。
その草鞋は「死後の旅の安全祈願」なのだろうか?

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---- お寺の門-Temple Gate

-----(Yamanashi, 11/July/2015, Canon 70D + EF24-70mm 4L


道路から階段を少し登ると、まもなく門の周囲に大きなタテハチョウ(オオムラサキ)が何頭も旋回しながら飛び回っているのが確認できた。見たところ、お寺の庭には樹液を出すような木が無いから不思議。

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---- 飛び回るオオムラサキ- A male of the giant purple

-----(Yamanashi, 11/July/2015, Canon 70D + EF8-12mm 4L Fisheye)



草履のオオムラサキ

門にかけられた沢山の草履にオオムラサキが止まった。

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---- オオムラサキ- A male of the Giant Purple

-----(Yamanashi, 11/July/2015, Canon 70D + EF100mm 2.8L Macro, Canon 6D + EF8-12mm 4L Fisheye



境内のオオムラサキ

オオムラサキは境内の色々な場所で翅を休めた。

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---- オオムラサキ- A male of the Giant Purple

-----(Yamanashi, 11/July/2015, Canon 6D + EF100mm 2.8L Macro, Canon 70D + EF24-70mm



オオムラサキの吸い戻し

境内に静止したオオムラサキは口吻を出していた。

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---- 口吻を出すオオムラサキ- A male of the giant purple

-----(Yamanashi, 11/July/2015, Canon 70D + EF100mm 2.8L Macro



見ると口吻の先の板が部分的に濡れている。
これは「吸い戻し行動 puddling behavior」に違いない。

「吸い戻し」とはセセリチョウやタテハチョウの仲間に見られる習性で、通常はオシッコをしてそこにミネラルなどの栄養分を溶かし、それを口吻で吸い戻す行為のことをさす。今回の場合はオシッコよりも口吻から水分を出して吸い戻しているようだった。

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---- 吸い戻すオオムラサキ- A male of the giant purple

-----(Yamanashi, 11/July/2015, Canon 70D + EF100mm 2.8L Macro



??虫眼鏡ノート

d0090322_2356038.jpg本日のニュースによれば、甲府市の日中最高気温は34℃を越えたそうです。さすがに暑くて、汗を拭き拭き撮影しました。でも、「オオムラサキの吸い戻し」を見るのは初めてでしたので(セセリチョウの仲間では過去に何度も見たことがある)、喜んで撮影しました。

この古いお寺の草履や壁、地面などには、オオムラサキたちが必要とするミネラルや栄養分が多いのかもしれません。つまり、オオムラサキたちは「食事(吸い戻し)」のためにこのお寺に集まってきているのでしょう。オオムラサキがこのお寺に集まる謎が少し解けたように思いました




Written by 虫林花山





Commented by 22wn3288 at 2015-07-13 08:15
お寺にオオムラサキは不思議な取り合わせですね。
とても面白い情景です。
もしかすると、これが古くからの当たり前の情景だったのでしょうか。
Commented by tamayam2 at 2015-07-13 09:51
まぁ!すばらしい。こういう古式ゆかしきお寺に舞う
オオムラサキ、何という美しい光景でしょう!
絹地の上に、つるされたワラ草履の上に、
おっしゃるようにミネラル分があるのかも
しれませんね。それを、どうして蝶が知って
いるのでしょうね。
Commented by namiheiii at 2015-07-13 11:14
そう言えばこのような古い神社仏閣には独特の香りがあるような気がします。蝶は敏感にその匂いを嗅ぎ分けるのかもしれませんね? 吸い戻しという行為は初めて知りました。面白いですね。でも寺の古い文化財にシミが付くのではないかと心配になります。
オオムラサキは自然のものなのでしょうね。それとも北杜市の飼育センターのものと何か関係があるのでしょうか?
Commented by yurinBD at 2015-07-13 22:49
お寺にこんなにたくさんのオオムラサキがっ!
驚きました~。
蝶景としてもとても不思議で面白いですね~♪
吸い戻しの様子も興味深いですね、
くっつくぐらい接近されて撮影されているように
見えますが、オオムラサキは夢中なのでしょうね!
Commented by Sippo5655 at 2015-07-14 21:39
日本古来の、
様々な生物との共存、、
こんなところにも、あったのでしょうか。
この蝶が「国蝶」と意識すると
なおのこと 感慨深いです!!
人と、昆虫や動物や、樹木や草木と、
会話し合って生きてきた時代の・・・
Commented by ダンダラ at 2015-07-14 21:59 x
タテハ類の吸い戻しは、かなり知られるようになってきましたけど、その様子がよくわかる貴重な写真ですね。
これだけ濡れるとなると、どこかで水分を補給してこないといけないように思いますが、樹液を吸うのは見たことあっても、吸水シーンは見たことありません。
このあたりのメカニズムはどうなっているのか、そんなことも考えさせられました。
Commented by 虫林 at 2015-07-16 18:44 x
旅友さん
コメント有難うございます。
このお寺にオオムラサキがいつから集まり始めたのかはわかり
ません。でも、お寺とオオムラサキの組み合わせは面白いかな
と思いました。
Commented by 虫林 at 2015-07-16 18:48 x
tamayamさん、
コメントありがとう御座います。
おっしゃるとおりで、なぜこのお寺にオオムラサキが集まるの
かは正直なところ謎です。このような古刹にオオムラサキの組
合わせは不思議な気もします。継続して観察してみたいなと思
います。
Commented by 虫林 at 2015-07-16 20:54 x
namiheiiさん、
コメントありがとう御座います。
このお寺のオオムラサキは養殖されたものではありませんよ。
おっしゃるとおり、僕も神社の匂いに誘引されて集まったのか
も知れないなと思いました。お線香の香りがしていました。
Commented by 虫林 at 2015-07-16 20:56 x
yurinさん、
コメントありがとう御座います。
吸い戻ししているオオムラサキは、近ずいてもあまり逃げませ
ん。そこで、ゆっくりと撮影することができました。
Commented by 虫林 at 2015-07-16 20:59 x
Shippoさん、
コメントありがとう御座います。
国チョウと古刹の組み合わせは、どこか思わせぶりで良いです
ね。僕も気に入りました。大昔からの環境がどのくらい残って
いるのかが気になります。
Commented by 虫林 at 2015-07-16 21:05 x
ダンダラさん、
コメントありがとう御座います。
タテハの吸い戻しの中でも、オオムラサキは水分が多いせいか
撮影しやすい対象でした。おっしゃるとおりで、水分の補給が
必要だと思います。多分、湿った地面で吸った水分を、草鞋や
境内で吸い戻しているのだと思われました。
Commented by parnassus at 2015-07-18 09:58
おはようございます。話題のタテハチョウ科の吸い戻しですか!
ストローの先が濡れていますね。それが噴き出して濡れていたのだとは、、さすがの観察力です。
そして、写真がますますシャープですね。
大きな草鞋との対比で、オオムラサキがますます大きく感じられます。すごい。
Commented by tyu-rinkazan at 2015-07-23 04:04
parnassusさん、
ごぶさたです。
コメントありがとう御座います。
吸い戻し行動はタテハでも知られてきましたが、
これまで良い状態で観察できませんでした。
今回はそれが撮影できて嬉しいです。
by tyu-rinkazan | 2015-07-12 23:42 | ▣オオムラサキ | Comments(14)