NATURE DIARY

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060923 シルビア、クロツの秋 (山梨県南アルプス市)

数日前の朝日新聞で、今までシルビアシジミとされていた南西諸島の個体が、「ヒメシルビアシジミ」として新種記載されたという記事がのった。

詳細は不明であるが、記事によると、DNA解析と形態を再検討した結果、系統が全く異なるそうだ。
これで、本土産のシルビアシジミは固有腫ということになり、それを保護する必要性がさらに高まったことを新聞では報じている。

ならば、本土産(山梨県産)のシルビアシジミの撮影に行こう。


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朝食前の2時間を利用して訪れた。
ポイント到着後、前回、ダンダラさんと一緒にシルビアシジミの写真を撮影した場所に先ず向かってみた。
しかし、そこは草刈が入った後で、前回の撮影場所がなかなか特定できない。

でも、何となく周りの雰囲気からそれらしい場所を歩いてみた。
すると何頭かのヤマトシジミやツバメシジミを見かけた後、やや小型のブルーが飛び出した。
ウーム、もしかして------シルビア?

静止した小さなブルーは、紛れもなくシルビアシジミだった。



◆葉上で休む小さなシルビアシジミ Lesser Grass Blue
d0090322_20485383.jpg
= Pentax istDS Pentax D 10-17mm FISHEYE, ASA200 =



シルビアシジミのシルビアという名前の由来について、以前に北海道のFieldさんからご教示いただいた。

それはこの蝶の命名者である著名な昆虫家の御令嬢の名前らしい。
さらに、シルビアと名づけられた娘は、幼くして亡くなり(生後7ヶ月)、彼は娘をしのんで、この小さなシジミチョウに、娘の名前をつけたということだ。



◆シルビアシジミ Lesser Grass Blue のクローズアップ◆
d0090322_20495167.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



天気が良いので、昼食後にもう一度シルビアシジミの撮影に行った。

実は朝に訪れたときに、シルビアシジミを見つけた土手の反対側斜面に食草のミヤコグサの群落を見つけたからだ。その場所は、朝は日陰になっていたが、午後には日が当たり、シルビアシジミが訪れるかも知れないと思われた。

朝に目をつけたその場所に到着してまもなく、交尾したシルビアシジミを見つけた。
驚いた-----。



◆シルビアシジミ Lesser Grass Blue の交尾◆
d0090322_20501220.jpg
= Pentax istDS Pentax D 10-17mm FISHEYE, ASA200 =



再びシルビアシジミの交尾に出会えるとは、なんと虫林は運が良いのだろうか。
幸運に感謝しながら、西日の直射による暑さも忘れ、ゆっくりと撮影した。

交尾は虫林がその場所に滞在した1時間以上にわたって持続していた。



◆シルビアシジミ Lesser Grass Blue の交尾◆
d0090322_20503012.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



午後の日差しの中で、チョウたちは一向に静止してくれない。

ヤマトシジミより小型のシジミが現れたので、しつこく追いかけて、やっと静止したところをみたらシルビアシジミの♀だった。

見ていると、そのメスは開翅してくれた。
残念ながら擦れた個体であるが、シルビアシジミの秋型の特徴である前翅表面の基部に発達した青鱗がなかなかおしゃれである。



◆シルビアシジミ♀ Lesser Grass Blue の開翅◆
d0090322_20504711.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



一応、この♀で飛翔写真に挑戦してみた。



◆シルビアシジミ Lesser Grass Blue の飛翔◆
d0090322_205121.jpg
= Pentax istDS Pentax D 10-17mm FISHEYE, Flash+, ASA200 =


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以前の日記で、シルビアシジミとヤマトシジミの目の色の違いについて書いた。

今回、目に注目して撮影してみたが、驚いたのはヤマトシジミの目の色には微妙な個体差があることだった。つまり、ヤマトシジミの目は基本的には青灰色であるが、時に褐色調を帯びる事があるようだ。

次写真の個体の目の色は、ヤマトシジミでは典型的な青灰色である。



◆青灰色の目を持つヤマトシジミ Pale Grass Blue
d0090322_20511783.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



一方、次写真の個体は、目の色がシルビアシジミの目の色に近く、褐色だ。

この個体は、翅裏面の外縁にならぶ紋も、シルビアシジミのような褐色を呈している。
まさか雑交による個体ではないと思うが、ヤマトシジミの目の色は、翅裏の紋の色と同調しているかのようにみえる。

ウーム、面白い。

結論は、目の色での判断は難しい場合があるということだ。



◆褐色の目を持つヤマトシジミ Pale Grass Blue
d0090322_20513361.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =


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次に、クロツバメシジミポイントに立ち寄ってみることにした。
ツメレンゲの花の状態をみるためだ。

花は部分的に咲いてはいるものの、まだ一分咲き程度で、満開からは程遠い状態だ。



◆石の上で休むクロツバメシジミ Black Cupid
d0090322_20563549.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



クロツバメシジミは、英名をBlack Cupidという。
「黒いキューピット」、なかなか可愛い名前じゃないか。

実際に拡大してみると、クロツは可愛い顔しているので、黒いキューピットという名前がぴったりとくる。



◆クロツバメシジミ Black Cupid のクローズアップ◆
d0090322_20592373.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



1頭のクロツが食草のツメレンゲに止まった。
どうやら、産卵しているみたいだ。



◆クロツバメシジミ Black Cupid の産卵◆
d0090322_20595340.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =




翅表は全体に黒色で、後ろ翅の外縁に小さな青色の紋が並ぶ。
この青いスジは、関東の個体では発達が乏しいそうだ。



◆クロツバメシジミ Black Cupid の開翅◆
d0090322_2101519.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



◆クロツバメシジミ Black Cupid の吸蜜◆
d0090322_2105816.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



◆クロツバメシジミ Black Cupid の飛翔◆
d0090322_2111219.jpg
= Pentax istDS Pentax D 10-17mm FISHEYE, ASA200, Flash+ =



◆クロツバメシジミ Black Cupid の飛翔◆
d0090322_2112855.jpg
= Pentax istDS Pentax D 10-17mm FISHEYE, ASA200, Flash+ =



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モンキチョウの交尾写真を撮影していたら、1頭のオスが交尾個体にちょっかいを出しに訪れた。



◆モンキチョウ Pale Clouded Yellow の交尾◆
d0090322_2114262.jpg
= Pentax K100D Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200 =



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南アルプス市のクロツポイントに到着して観察していると、隣接した民家のご主人が声をかけてくださった。
虫林がそのご主人と会ったのは5年前で、それ以後、このポイントにくるとたびたびお会いしている。

いつも笑顔で話しかけてくれるので、ご主人とお会いするのが楽しみにもなっているのだ。

ご主人の話によれば、来週、この場所に草刈が入るそうだ。
クロツのポイントは雑草がはびこっても困るので、適切な草刈はむしろ歓迎かもしれない。

ご主人は、草刈のときにツメレンゲを刈らないようにと業者に注意してくれるとのことだ。
ありがとうございます。
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Commented by kasya5 at 2006-09-24 20:46
シルビアシジミにクロツバメシジミ
どの写真も素晴らしいですが青空がバックの交尾写真が最高です。
本州方面はまだまだ蝶が楽しめて羨ましい!!
Commented by chochoensis at 2006-09-24 22:02 x
虫林さん、シルビアシジミ交尾素敵ですね・・・いつか行きますから、その時には宜しくね!「ヒメシルビアシジミ」情報を得ていませんでした。
調べたら、亜種が種に昇格したのですね!まだ、記載論文を見て居ないので、良く判りませんが、楽しみが増えました。
朝日新聞の朝刊しかとって居ないので見落としでした・・・。名前の由来もついでに調べましたが、良く判りませんでした・・・。ありがとうございます。
Commented by banyan10 at 2006-09-24 22:18
またまたシルビアの交尾ですか。参りました。(^^;
川と反対側のミヤコグサはいつも注意して見ている場所ですが、ここでは一度も見たことないのです。
クロツの飛翔は見事です。花が咲いたら吸蜜と合わせて挑戦に行きます。
Commented by 虫林 at 2006-09-24 23:06 x
Mamoさん、有難うございます。
交尾は一旦見つけると、ほとんど自由に撮影させてくれますので、色々考えながら撮影できます。この写真はほとんどレンズの前1cmくらいの場所まで接近して撮影してます。
シルビアはやはり擦れた個体が多いようですが、クロツはあと1ヶ月以上はいけるでしょう。ゆっくり観察するには良い時期です。
Commented by 虫林 at 2006-09-24 23:14 x
chochoensisさん、
シルビアシジミの撮影に是非ともお越しください。その時はダンダラさんにご一報くださいますようお願いします。お待ちしていますよ。
シルビアシジミの名前の由来はもう少し詳しく書きますと。シルビアシジミのシルビアとはこの蝶の命名者の故・中原和郎博士(前国立がん研究所長)のご令嬢の名前ということだ。彼が米国に留学中にドロシーという女性と結婚し、生まれたのがシルビアです。さらにSylviaは生後7ヶ月で亡くなり、中原氏はこの小さなシジミにシルビアという名前を与えたのだとそうです。北海道のフィールド氏からこのことをお聞きして感激しました。
Commented by ダンダラ at 2006-09-24 23:19 x
シルビア無事でしたか。
クロツの飛翔も素晴らしいです。
ヤマトの目の色は自分の写真を見た時に褐色気味だったので??と思っていましたが、これで納得がいきました。
明日は文化祭の休日出勤の代休なので、家内の実家の墓参りに行きますが、ついでにミヤマシジミの場所も含めて寄らせてもらいます。
Commented by 虫林 at 2006-09-24 23:20 x
ダンダラさん、やはりシルビアシジミの個体数は少ないようですね。
交尾個体は本当にラッキーでした。
交尾個体の見られたポイントはかなり小さいのですが、なかなかよさそうではあります。幼虫も探しましたが、見つかりませんでした。
Commented by 虫林 at 2006-09-24 23:26 x
Banyanさん、混乱して失礼しました。
ツメレンゲの開花は10月の上旬から中旬頃がよさそうですね。
多分、月曜日に草刈が入りますので、歩きやすくなっていると思いますよ。
Commented by furu at 2006-09-24 23:55 x
シルビアの交尾いいですねぇ。今年は奄美でシルビアを撮ったので本州では撮れなくてもいいか、と思ってましたが、撮ったのがヒメシルビアとなるとナミシルビア(?)をもう一度撮りに行きたくなってきました。
Commented by maeda@仕事中 at 2006-09-25 06:06 x
本土のシルビアと島が別物となりましたが、本土のシルビアが採集圧にさらされないことを祈るばかりです。節度ある採集を望みます。
ヤマトの目の色の話は「ほー」と感心していたのですが、そんなに単純じゃなさそうですね。
でも目をじっくり見ることは無かったので着眼点が面白い話でした。
Commented by 虫林 at 2006-09-25 06:10 x
furuさん、
以前、furuさんの奄美のシルビアの記事で、本土のシルビアと奄美のシルビアがかなり形態的に異なることが書かれていましたが、別種までなってしまうとは驚きました。
こちらのナミシルビアはまだ出ていますのが、やはり個体数は少ないようです。
Commented by 虫林 at 2006-09-25 06:14 x
maedaさん、そうですね。かえって注目されて、本土のシルビアの採集圧が高くなるのが怖いですね。
ヤマトの目の色はなかなか難しいようで、紋との関係がありそうですね。遺伝的にどのようになっているのか分かりませんが、多様です。もう少し観察してみたいと思います。
Commented by fanseab at 2006-09-25 21:08
シルビアの交尾画像、小生まだ撮影できていないので、羨ましいです。
4枚目の右の個体を見ると、黒々としていて、南アジア産亜種とは全く異なる色調だと実感できますね。
クロツの飛翔も情景描写が素晴らしいですね。
Commented by 虫林 at 2006-09-25 21:33 x
fabseabさん、有難うございます。
シルビアの交尾はラッキーでした。今回は草刈の後で、あまり期待していなかっただけにとても嬉しく思いました。
シルビアは色については、春型に比べて、秋型の裏面の地色は濃いみたいですが、その傾向が顕著に現れたのかも知れませんね。
Commented by nomusan at 2006-09-25 21:53 x
シルビア、クロツ綺麗です。それにしてもまたまたシルビアの交尾画像ですかぁ、凄いですね。「眼の話し」は興味深く読ませていただきましたが、なかなか、奥が深そうですね。面白いです。
Commented by Noreen05 at 2006-09-25 22:07
やはり、虫林さんは強運の持ち主であることが証明されましたね。
シルビアシジミの交尾画像素晴らしいですね。
ちいさなシジミ蝶の飛翔写真もバッチリで羨ましいです~♪
Commented by 虫林 at 2006-09-25 22:34 x
nomusanさん、有難うございました。
目の色はこれからさらに注目していこうと思っています。
蝶の種類、雌雄、個体差などなどいろいろですが、面白いかもしれませんよ。カメラのファインダーを覗くときしか注目しない部分ですから、昆虫写真のすきな人には可能ですね。
Commented by 虫林 at 2006-09-25 22:38 x
Noreenさん、有難うございます。
交尾写真は本当にラッキーでした。しかし、そのラッキーには、色々な背景がありまして。とくに、ダンダラさんに教えてもらったポイントが大きな役割を果たしています。
小さなシジミチョウは飛ぶのもそれほど速くないので、私でも写せるみたいです。
Commented by KAZ at 2006-09-25 22:52 x
こんばんは、KAZです。
2時間でシルビア撮影ですか、虫林さんは近くに色々蝶がいて幸せですね。
私も先日栃木でシルビアを撮影してきましたが、やはり目は茶色でしたね。
きれいな♂の開翅も撮影できましたので、お越し下さい。
深夜0時にUP予定です。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2006-09-25 23:09
シルビア、クロツと秋の蝶満載ですね。私も10月からボチボチ狙いに行きたいと思っています。シルビア♂の全開も頑張ってくださいませ。
Commented by 虫林 at 2006-09-25 23:11 x
KAZさん、栃木のシルビアですか、北限のシルビアですね。
いいですね~
オスの開翅も見てみたいです。
ぜひお伺いさせていただきます。
有難うございます。
Commented by 虫林 at 2006-09-25 23:43 x
nozomuさん、
有難うございます。
沖縄の蝶を楽しみにしています。
おっしゃるとおり、シルビア♂の全開写真も撮りたいですね。
Commented by thecla at 2006-09-26 00:14 x
秋の青空とシルビアの交尾素晴らしいですね。シルビアシジミの名前が命名者の娘さんの名前からとったとは聞いていましたが、娘さんが生後まもなく亡くなっていたとは知りませんでした。
そんな背景を聞くと、なおのこと節度ある採集を望みたいですね。でも最近無理やり「種」を増やす傾向があるようなのは気のせいでしょうか。
Commented by 虫林 at 2006-09-26 01:02 x
theclaさん、コメント有難うございます。
シルビアシジミの命名の裏には訳があったということです。それを知る事で、この小さな地味なシジミチョウに何となく愛着がわいてきました。
そうですね、最近、DNA解析などを用いて、種を分けることが多くなりましたね。でも、この種の判定と解析法についての説明がないのが残念です。
Commented by mtana2 at 2006-09-26 12:12 x
虫林さんは、いとも簡単にシルビアシジミを撮られているように思えますが、実際は数が少ないということは、「強運」と「地の利」ということでしょうか。羨ましいです。
クロツの飛翔もよく撮られていて、すばらしいです。
Commented by kenken at 2006-09-26 12:41 x
シルビアにクロツ・・・秋のシジミは季節感たっぷりですね。
シルビアの交尾は抜けるような青空が印象的です。
いつまでも見られることを祈るばかりです。
クロツは開翅撮るの、本体が黒いので、露出設定難しいですよね。
飛翔写真はばっちり決まっています。
Commented by 虫林 at 2006-09-26 21:59 x
mtanaさん、シルビアシジミはこの時期は草刈の後になるので、結構みることすら大変です。でも、今回は運良く撮影する事が出来ました。
強運というよりは「地の利」の方だと思っています。
クロツももう少しでツメレンゲの花が咲きますので、楽しみにしています。
Commented by 虫林 at 2006-09-26 22:02 x
kenkenさん、有難うございます。
シルビアの交尾の時は、炎天下の中、地面に這い蹲り、色々な角度から撮影しましたので、汗びっしょりになってしまいました。でも満足のいく写真が撮れてよかったと思っています。
クロツの露出はおっしゃるとおり結構難しいと思います。
Commented by イワカガミ at 2006-09-26 22:41 x
虫林さん、こんばんは。久しぶりにお邪魔したら、素敵なブログに様変わりしていたのでびっくりです。このほうがコメントも入れやすくていいですね。家のベランダにもシジミチョウがよく来るのですが、なかなかじっとしていないので写真撮るのが大変です。こないだやっと一枚成功しました(笑)
すみれのほうも思い出編をやっとスタートしました。お時間のあるときに見ていただけたらと思います。
Commented by 虫林 at 2006-09-26 23:01 x
イワカガミさん、お久しぶりです。
数週間前に、日記をブログに変更しました。
まだまだ初心者ですので、宜しくお願いします。
またスミレのブログにまたお邪魔しますよ。
有難うございました。
by tyu-rinkazan | 2006-09-24 19:04 | ▣シルビアシジミ | Comments(30)