20061125 南紀の海辺散歩1 (和歌山県紀伊半島)
2006年 12月 09日
台湾から帰国後まもなく、今度は和歌山県和歌山市を訪れた。この学会には、虫林の知るポルトガルや米国の研究者が特別講演に招待されており、昨夜は久しぶりに彼らと会い夕食を共にした。こんな機会をつくってくれたW医大のK教授に感謝したい。
ワークショップ終了後、何気なくホテルの窓から外を見ると、和歌山城のシルエットが夕日に映え、少し色づいたイワシ雲が空を飾っていた。
。◆和歌山城とうろこ雲◆ 。= Ricoh GR-D, ASA 100=
学会は金曜日(24日)に終了したので、和歌山での滞在を1日延長し、紀伊半島の南にある小さな海辺の町に向かった。サツマシジミとヤクシマルリシジミを撮影するためだ。
両種ともまだ見たことがないが、いくつかのブログやホームページで掲載された素晴らしい写真が目に焼きついていた。すでに11月も下旬だが、この両種はまだ健在だろうか-------。
虫林の乗る特急「くろしお」は、リゾート地として全国的に有名な白浜を過ぎると、乗る人も急に少なくなり、暗闇の中に時おり垣間見える海の気配がさびしげな列車の音とともに、南紀の旅情を演出していた。
列車の中で、ノートパソコンを学会場に忘れてきたのに気づいた。
発表の際のファイルの受け渡しの時に、PCセンターのデスクの上に置いてきてしまったのだ。
うーむ、どうしよう。
そこで、明日の講習会に参加するM助教授に電話して、預かってもらうことにした。
Mさん、有難う。
結局、宿に到着したのはすでに夜9時をまわっていた。
思えば遠くに来たものだ~♪。--------ということで、今回は和歌山県の海辺散歩である。
**************************************************
数日前の天気予報では、土曜日は晴れの予想だった。しかし、朝起きて外をみると、空は厚い雲で覆われ、さらに風が音をたてているではないか。
週間天気予報にはいつも裏切られているような気がするぞ。
少し寒いので、上着を着て、海沿いの細い道を歩いてみたが、案の定、蝶の姿は全く見なかった。仕方が無いので砂浜をしばらく散歩したところ、波打ち際にほら貝?が波に洗われて転がっているのを見つけた。
。◆南紀の海岸◆ = Pentax K100D, Pentax 100mm MACRO, ASA 200=
途中から小雨まで降り出してしまった-----------。
弱り目に祟り目(things go from bad to worse)とはこのことだ。でも諦めずに、忍耐強く木の葉や草などをじっくり見ていくと、少しめくれたマテバシイの葉にやっと白いシジミチョウを見つけた。
目的のサツマシジミだ!
サツマシジミは翅を硬く閉じ、じっとしている。
時期的に遅すぎるのか、破損した翅が哀れさを感じさせた。
よくぞ生きていてくれたね。
。◆マテバシイの葉裏に静止するサツマシジミ Albocaerulean ◆ 。= Ricoh GR-D, ASA100 =
散々苦労してやっと見つけた蝶である。大事に観察したいものだ。
完璧に綺麗な羽を持った蝶は素晴らしい被写体だ。
しかし、発生時期も終盤で、翅が破損し、尾羽打ち枯らし、哀れな姿を見せる個体にも何ともいえない愛おしさを感じるのである。
それにしてもサツマシジミの地色は本当に白い。
美しい蝶だ。
今度は是非とも天気の良い時に出会ってみたいものだ。
。◆サツマシジミ Albocaerulean ◆ 。= Ricoh GR-D, ASA100 、ストロボ=
。◆サツマシジミ Albocaerulean ◆ 。= Ricoh GR-D, ASA100 、ストロボ=
海辺の観察を諦め、山の中の遊歩道を歩いてみた。
すると、葉の上に静止する茶色いシジミチョウを見つけた。
ムラサキシジミかムラサキツバメのどちらかだろう。
ムラサキシジミは山梨でもしばしば見かけるが、ムラサキツバメは少なく、まだ観察したことがない。
ゆっくり観察してみると、尾状突起が見えた。ムラサキツバメだ!
色々工夫しながら、広角とアップの写真を何とか撮った。
しかし、いかんせん暗いのでストロボをたいた。
。◆ムラサキツバメ Powdered Oakblue ◆ 。= Ricoh GR-D, ASA100 =
。◆ムラサキツバメ Powdered Oakblue ◆ 。= Pentax K100D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200, ストロボ(+) =
林の中の暗い道で、曲者クロコノマチョウに出会った。この蝶は今年山梨でも見かけた蝶である。
やはり敏感でなかなか近づくことが出来ない。
何とか数枚の写真を撮った。
。◆クロコノマチョウ Dark Evening Brown ◆ 。= Pentax K100D, Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200, トリミング =
************************************************** 結局、曇り時々雨+強風の中を、傘をさして歩き回ったが、目的のヤクルリは撮影できず、サツマも1頭だけで終わってしまった。
でも、これで良いのだ。これが自然というものだ。
サツマ、ヤクルリの写真撮影は将来の楽しみにしよう。
最後に、色々アドバイスをいただいた「蝶にあそぶ」のma23さんに感謝します。
--------------南紀の海辺散歩2につづく
ワークショップ終了後、何気なくホテルの窓から外を見ると、和歌山城のシルエットが夕日に映え、少し色づいたイワシ雲が空を飾っていた。
。◆和歌山城とうろこ雲◆
学会は金曜日(24日)に終了したので、和歌山での滞在を1日延長し、紀伊半島の南にある小さな海辺の町に向かった。サツマシジミとヤクシマルリシジミを撮影するためだ。
両種ともまだ見たことがないが、いくつかのブログやホームページで掲載された素晴らしい写真が目に焼きついていた。すでに11月も下旬だが、この両種はまだ健在だろうか-------。
虫林の乗る特急「くろしお」は、リゾート地として全国的に有名な白浜を過ぎると、乗る人も急に少なくなり、暗闇の中に時おり垣間見える海の気配がさびしげな列車の音とともに、南紀の旅情を演出していた。
列車の中で、ノートパソコンを学会場に忘れてきたのに気づいた。
発表の際のファイルの受け渡しの時に、PCセンターのデスクの上に置いてきてしまったのだ。
うーむ、どうしよう。
そこで、明日の講習会に参加するM助教授に電話して、預かってもらうことにした。
Mさん、有難う。
結局、宿に到着したのはすでに夜9時をまわっていた。
思えば遠くに来たものだ~♪。--------ということで、今回は和歌山県の海辺散歩である。
数日前の天気予報では、土曜日は晴れの予想だった。しかし、朝起きて外をみると、空は厚い雲で覆われ、さらに風が音をたてているではないか。
週間天気予報にはいつも裏切られているような気がするぞ。
少し寒いので、上着を着て、海沿いの細い道を歩いてみたが、案の定、蝶の姿は全く見なかった。仕方が無いので砂浜をしばらく散歩したところ、波打ち際にほら貝?が波に洗われて転がっているのを見つけた。
途中から小雨まで降り出してしまった-----------。
弱り目に祟り目(things go from bad to worse)とはこのことだ。でも諦めずに、忍耐強く木の葉や草などをじっくり見ていくと、少しめくれたマテバシイの葉にやっと白いシジミチョウを見つけた。
目的のサツマシジミだ!
サツマシジミは翅を硬く閉じ、じっとしている。
時期的に遅すぎるのか、破損した翅が哀れさを感じさせた。
よくぞ生きていてくれたね。
。◆マテバシイの葉裏に静止するサツマシジミ Albocaerulean ◆
散々苦労してやっと見つけた蝶である。大事に観察したいものだ。
完璧に綺麗な羽を持った蝶は素晴らしい被写体だ。
しかし、発生時期も終盤で、翅が破損し、尾羽打ち枯らし、哀れな姿を見せる個体にも何ともいえない愛おしさを感じるのである。
それにしてもサツマシジミの地色は本当に白い。
美しい蝶だ。
今度は是非とも天気の良い時に出会ってみたいものだ。
。◆サツマシジミ Albocaerulean ◆
。◆サツマシジミ Albocaerulean ◆
海辺の観察を諦め、山の中の遊歩道を歩いてみた。
すると、葉の上に静止する茶色いシジミチョウを見つけた。
ムラサキシジミかムラサキツバメのどちらかだろう。
ムラサキシジミは山梨でもしばしば見かけるが、ムラサキツバメは少なく、まだ観察したことがない。
ゆっくり観察してみると、尾状突起が見えた。ムラサキツバメだ!
色々工夫しながら、広角とアップの写真を何とか撮った。
しかし、いかんせん暗いのでストロボをたいた。
。◆ムラサキツバメ Powdered Oakblue ◆
。◆ムラサキツバメ Powdered Oakblue ◆
林の中の暗い道で、曲者クロコノマチョウに出会った。この蝶は今年山梨でも見かけた蝶である。
やはり敏感でなかなか近づくことが出来ない。
何とか数枚の写真を撮った。
。◆クロコノマチョウ Dark Evening Brown ◆
でも、これで良いのだ。これが自然というものだ。
サツマ、ヤクルリの写真撮影は将来の楽しみにしよう。
最後に、色々アドバイスをいただいた「蝶にあそぶ」のma23さんに感謝します。
--------------南紀の海辺散歩2につづく
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chochoensis
at 2006-12-09 08:59
x
虫林さん、和歌山までお疲れ様でした・・・それにしても悪天候の中で、凄い粘りようですね・・・ビックリしました。未だ観察した事が無いサツマシジミ・・・羨ましいです・・・。天候や時期が合えば沢山いるのでしょうね?
元気になったら、是非観察したいチョウです。
元気になったら、是非観察したいチョウです。
0
chochoensisさん、
擦れた個体ですが、何とかサツマシジミを見つけることが出
来ました。
この時期はまだサツマやヤクルリがかなりいると思いますが、
天候が悪いと全く出てこなくなります。
chochoensisさん、ここにはイソヒヨドリもかなりいますので、
是非とも訪れてみてください。オススメです。
擦れた個体ですが、何とかサツマシジミを見つけることが出
来ました。
この時期はまだサツマやヤクルリがかなりいると思いますが、
天候が悪いと全く出てこなくなります。
chochoensisさん、ここにはイソヒヨドリもかなりいますので、
是非とも訪れてみてください。オススメです。
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6422j-nozomu2 at 2006-12-09 20:50
ホオー、この時期にサツマまだいましたか。ヤクルリの方が多いはずなんですが、こちらの方は見れませんでしたか。確かにサツマかなり汚損しておりますが、時期が時期だけに貴重な写真だと思います。是非来年は、機会があれば10月下旬のピカピカの♂全開写真にチャレンジしてくださいね。
ノゾピーさん
この時期、天候の不順は、蝶の撮影には致命的ですね。
実は日記には書きませんでしたが、ヤクルリのオスらしい
飛翔個体を目撃はしているのですが------、残念ながら、
飛び去りました。
以前のブログでは、ヤクルリ、サツマとも素晴らしい写真でしたね。
次回に訪れるときは今回のリベンジをしたいものですな。
でもこれではサツマは依然として、憧れの蝶のままです。
表を見てみたいな~。
この時期、天候の不順は、蝶の撮影には致命的ですね。
実は日記には書きませんでしたが、ヤクルリのオスらしい
飛翔個体を目撃はしているのですが------、残念ながら、
飛び去りました。
以前のブログでは、ヤクルリ、サツマとも素晴らしい写真でしたね。
次回に訪れるときは今回のリベンジをしたいものですな。
でもこれではサツマは依然として、憧れの蝶のままです。
表を見てみたいな~。
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banyan10 at 2006-12-09 22:59
今度は南紀ですか。各所へ行く機会が多くていいですね。
しかし、条件が悪い中でサツマ以外にもムラツにクロコノマを撮影しているのはさすがですね。
しかし、条件が悪い中でサツマ以外にもムラツにクロコノマを撮影しているのはさすがですね。
ピカピカサツマもいいですが、「良く頑張ったね」と思わず声をかけたくなるようなこんな画像も蝶への愛情が感じられて素敵だと思います。
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fanseab at 2006-12-10 00:08
サツマやムラツのように南にルーツを持つシジミにとって、黒潮に洗われる紀伊半島南部は晴れていれば、理想的な環境でしょうが、一連の画像のように晩秋の雨はかなりのダメージになるでしょう。そうした試練を潜り抜けて北上している・・・そんなことを考えさせるシットリとした絵ではありませんか?触角を前方に下げたムラツのポーズから観察された気温の低さが伝わってきます。
banyanさん、
コメント有難うございます。
色々行くのですが、大体ついでにということですので、
いつも欲求不満気味です。
今回も、実質半日(その日の午後には帰宅)でしたので、
天候不順の中では頑張ったつもりですよ。
ムラツは実は初めて見る蝶で、それなりに嬉しいのです。
コメント有難うございます。
色々行くのですが、大体ついでにということですので、
いつも欲求不満気味です。
今回も、実質半日(その日の午後には帰宅)でしたので、
天候不順の中では頑張ったつもりですよ。
ムラツは実は初めて見る蝶で、それなりに嬉しいのです。
theclaさん、
生態写真の場合は、綺麗な個体はもちろん素晴らしいのですが、
このようにシーズン末期のボロボロの蝶でも、被写体としてはそれ
なりの雰囲気があるような気がします。
おっしゃるように声をかけてあげました!
生態写真の場合は、綺麗な個体はもちろん素晴らしいのですが、
このようにシーズン末期のボロボロの蝶でも、被写体としてはそれ
なりの雰囲気があるような気がします。
おっしゃるように声をかけてあげました!
fanseabさん、
晴れていれば多分、まだかなりの個体が見えたのかもしれませんが、
曇り時々雨+強風では絶望的な1日になってしまいました。
やはり、この時期の蝶は天候に大きく左右されると思われます。
なるほど、触覚の向きがその蝶の活性をみる一つの目印になる
のですね、。うーむ、面白いです。
有難うございました。
晴れていれば多分、まだかなりの個体が見えたのかもしれませんが、
曇り時々雨+強風では絶望的な1日になってしまいました。
やはり、この時期の蝶は天候に大きく左右されると思われます。
なるほど、触覚の向きがその蝶の活性をみる一つの目印になる
のですね、。うーむ、面白いです。
有難うございました。
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by
maeda
at 2006-12-10 07:25
x
冬とは思えない風景ですね。
花が懐かしく感じます。こちらは外に出るのも億劫になってきましたが、生活のために仕方なく外出しています。
花が懐かしく感じます。こちらは外に出るのも億劫になってきましたが、生活のために仕方なく外出しています。
maedaさん、
有難うございます。
そちらはすでに雪が降っていると思いますが、
落ち着いて来年度の準備をできてかえっていいかもしれませんね。
やはりオフはあったほうが、色々多様性ができていいということも出来ます。
有難うございます。
そちらはすでに雪が降っていると思いますが、
落ち着いて来年度の準備をできてかえっていいかもしれませんね。
やはりオフはあったほうが、色々多様性ができていいということも出来ます。
by tyu-rinkazan
| 2006-12-09 02:40
| ▣サツマシジミ
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Comments(12)