NATURE DIARY

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20070121 ゼフ越冬卵シリーズ5(エゾミドリシジミ)

新宿の紀伊国屋書店で、信州に住む昆虫写真家の栗田貞多男さんによる「ゼフィルスの森」という写真集を購入した。この本は日本蝶類学会第3回江崎賞を受賞したらしい。ページをめくってみると、次から次へとゼフィルスたちの素晴らしい写真が登場し、見ているだけで飽きない。

僕が初めてゼフィルスを見たのは、上野の科学博物館で標本箱の中にならぶアイノミドリシジミだった。その時、この蝶の緑の幻光に驚かされ、何時までも見入っていたのを覚えている。
中学生の時だ-----以後、ゼフィルスは特別な蝶になった-------。

思い入れの強いアイノミドリシジミの成虫の開翅写真を載せておく。
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。。アイノミドリシジミの幻光(山梨県甲府市, 2005-Jul-03)

。。。Pentax istDS, Pentax D-FA 100mm MACRO, ASA200

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今年は本当に暖かい。
ニュースでは山梨県のヤマネの冬眠が1ヶ月も遅れているようだ。

北杜市に行く途中で、湿原にアシの仲間のような植物を見つけた。
穂が綿のようにふさふさしていて面白い。今まで見たことが無いので一応撮影してみた。
名前は今までのところ不明だ。
注:コメントでこの植物がが綿状の種を持った蒲である事を教えていただいた。Kasyaさんに感謝いたします。
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。。綿状の種を持った蒲(山梨県北杜市, 2007-Jan-20)

。。。Ricoh GR-D

林の中で綺麗な実を見つけたので、虫の目レンズで撮影した。
この実は甲府市の武田の杜でも見たことがある。
注:コメントでこの実がタンキリマメの実である事を教えていただいた。fanseabさんに感謝いたします。
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。。タンキリマメの実(山梨県北杜市, 2007-Jan-20)

。。。Ricoh Caplio GX8, Fit gyorome-8, ASA 64, Panasonic PE28S

本日は午後から北杜市の伐採跡を訪れた。まだ見ていない伐採枝が残っているのだ。
だんだんとゼフの越冬卵探しも慣れてきたようで、越冬卵が産付されている枝がわかるようになってきた気がする。-----気のせいかな?
この宝探しもあと1回か2回で終わるだろう。でも枝が乾燥してしまわないうちに観察したい。見つけた越冬卵を生木に付けとこうと思う。

クヌギの伐採枝から探し始めた。ミズイロオナガシジミの卵をやっと見つけたが、その後が続かない。先週見つけたクロミドリシジミの越冬卵はやはり少ないのだろう。
30分で飽きてしまい、ミズナラ、コナラの伐採枝の方に移った。
すると、アイノミドリシジミ、ウラミスジシジミ、ミズイロオナガシジミの越冬卵を次々に見つけることが出来た。


<エゾミドリシジミ>
観察し終わった枝を整理していると、太い枝(直径5cmくらいはある)の樹皮の部分に越冬卵を見つけた。どうやらオオミドリシジミかエゾミドリシジミの越冬卵らしい。この両者はいずれも樹皮に産付されることが多く、また形態的にも非常に良く似ている。

注:当初、オオミドリシジミとしたが、産卵場所が太い側枝の樹皮であることから、エゾミドリシジミの可能性の方が高そうです。コメントいただいた方々に感謝いたします。
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。。ミズナラの樹皮に産付されたエゾミドリシジミの越冬卵 (山梨県北杜市, 2007-Jan-21)

。。。Ricoh Caplio GX8, Fit gyorome-8, ASA 64, Panasonic PE28S


良く見ると、近くの樹皮の皺の間にもう1つ別な卵が産み付けられている。
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。。ミズナラの樹皮に産付されたエゾミドリシジミの越冬卵 (山梨県北杜市, 2007-Jan-21)

。。。Ricoh Caplio GX8, Fit gyorome-8, ASA 64, Panasonic PE28S

この卵はやや小型で、表面の突起が短く、gyorome-8で近接撮影しても突起の形態がわかりづらい。
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。。ミズナラの樹皮に産付されたエゾミドリシジミの越冬卵 (山梨県北杜市, 2007-Jan-21)

。。。Ricoh Caplio GX8, Fit gyorome-8, ASA 64, Panasonic PE28S


<アイノミドリシジミ>
アイノミドリシジミの産卵は、北向きの林の大きな木(樹高5m以上)の梢の頂芽で行われることが多い。確かにこの伐採地は北向きで、大きなミズナラが伐採されているので、アイノミドリの越冬卵が見つかるのだろう。
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。。コナラの冬芽基部に産まれたアイノミドリシジミの越冬卵 (山梨県北杜市, 2007-Jan-20)

。。。Ricoh Caplio GX8, Fit gyorome-8, ASA 64, Panasonic PE28S

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。。コナラの冬芽基部に産まれたアイノミドリシジミの越冬卵 (山梨県北杜市, 2007-Jan-20)

。。。Ricoh Caplio GX8, Fit gyorome-8, ASA 64, Panasonic PE28S

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GX8とgyrome-8の組み合わせがなぜ昆虫の撮影に良いかお分かりかな?
それは両者の8という数字にその謎の答えが隠されているのだ、すなわち、8 X 8=64で64:ムシ→虫
Commented by kmkurobe at 2007-01-21 20:11
栗田さんの写真集すばらしいでしょ。地元ということもあり昔からのファンです。

手紙のやりとりをするくらいのお付き合いですが、他の作品を見るにつけ人柄がしのばれます。
Commented by maeda at 2007-01-21 20:46 x
この卵は難しいですね。
エゾミドリは太い幹に産む傾向があるようですが、卵塊になることが少なくないようです。オオミドリはどちらかというと細枝に産むように思いますが、傾向があるというだけで絶対ではありません。
ジョウザンミドリのいない九州ではエゾミドリが休眠芽に産むようですから、地域により産卵習性も異なりますし、鑑別は難しいですね。
Commented by chochoensis at 2007-01-21 21:39 x
虫林さん、今度はオオミドリシジミですか、羨ましいです。天気が良かったので、今日自宅近くの雑木林に行きました、自宅近くでは、ミズイロオナガシジミ、オオミドリシジミの2種が多く、アカ、ウラナミアカが稀に見つかるだけですが私の家の近くのオオミドリは割り箸以下ぐらいの小枝に産み付けることが多いみたいですが、地方によっても異なるのでしょうね・・・。
Commented by 虫林 at 2007-01-21 22:08 x
kurobeさん、
栗田さんとお知り合いとはうらやましいですね。
「ゼフィルスの森」の内容は、綺麗な成虫の単なる写真集を越えて、ゼフィルスの理解に非常に良い本だと思います。日本全種の成虫、幼虫、越冬卵を揃えるだけでもかなりの努力が必要でしょうね。
値段の割りにとても内容が濃い本でビックリしましたよ。
Commented by 虫林 at 2007-01-21 22:15 x
maedaさん、
困りました-----。
オオミドリかエゾミドリかは原色日本蝶類幼虫図鑑で判断したのですが、
「ゼフィルスの森」の記載では、オオミドリは雑木林の高さ1m足らずのコナラの幼木やヒコバエに産卵するとしています。一方、エゾミドリはミズナラの枝分かれの多い太目の枝に産卵される。---としています。
すると、可能性はおっしゃるとおりでエゾミドリの方がかなり高いみたいですね。コメント有難うございました。後ほど修正します。
Commented by 虫林 at 2007-01-21 22:19 x
chochoensisさん、
仰るとおりです。オオミドリはかなり細い枝に産卵されるみたいで(↑にも書きました)、私の見つけた太い枝にはかなり稀みたいですね。
越冬卵は色々と判断に困る事が多いのですが、ゼフィルスの生態を理解するには非常に重要ですね。
オオミドリ→エゾミドリにしたいと思います。
これからもご教示宜しくお願い申し上げます。
Commented by 霧島緑 at 2007-01-21 23:24 x
今冬の越冬卵探索は大成果ですね。羨ましいです。
卵の形状は両種ともよく似ていて判別しにくいようですが、この卵は、産卵場所などから推測すると確かにエゾミドリかもしれませんね。
でも、どちらも卵は見つけにくい種だと思いますし、次は是非オオミドリを見つけてください。
Commented by banyan10 at 2007-01-22 06:02
またまた数種類の越冬卵ですね。
良い場所を発見しましたよね。
最後のアイノの卵の写真がいいですね。
J1との組み合わせだと蜂の撮影に転向しないと駄目でしょうか。(^^;
Commented by 虫林 at 2007-01-22 06:55 x
霧島緑さん、
今年はgyorome-8を導入したおかげで、ゼフの越冬卵で楽しむ事ができました。この伐採された枝だけで、今のところ計5種類ですね。
次はオオミドリあたりが見つかると有難いです。
Commented by 虫林 at 2007-01-22 07:01 x
banyanさん、
有難うございます。確かに良い場所です。越冬卵が乾燥しないうちに見つけて、生木に移そうと思っています。カミキリ→蝶に移行したので、あまりゼフの知識もありませんでしたが、越冬卵を探していると、卵を産んだ蝶の気持ちが少し理解できるような気がしてきました。
どういうわけか、gyoromeは最近ピントが合い難くなりつつあります。シーズン前に8X8コンビ解消になると困ります(笑)。
Commented by ダンダラ at 2007-01-22 15:41 x
ゼフの越冬卵撮影の眼の良いフィールドとテクニックを習得されたようで、これで冬の間も苦になりませんね。
こちらは成虫一本なので、これから1ヶ月が一番しんどいです。
例年もう少しすると夢に出てくるようになります。
Commented by 虫林 at 2007-01-22 21:13 x
ダンダラさん、
いやいや、まだ越冬卵では駆け出しで、これからもう少し観察してみたいと思っています。
楽しみ方は人それぞれで色々ですので、成虫へのこだわりは理解できますよ。小生も早く、野に舞う蝶や甲虫たち(僕の場合)に会いたいです。
Commented by 愛野緑 at 2007-01-22 21:49 x
越冬卵シリーズ、最高ですね。
まだエゾミやクロミの卵は見つけたことが無いですね~。
伐採地があると木に登らなくてよいのでらくですよね。
ほとんどやったことがないですけど、もう木登りする体力が無さそうです。そちらの方はまだ伐採地が多いのでしょうか?
Commented by fanseab at 2007-01-22 22:08
後から2枚目のアイノの越冬卵の画像、背景と光の回り方が最高ですね。上から3枚目の黒い実があまりにも見事なので、ネットで検索したら、マメ科の「タンキリマメ」なんだそうです。痰を切る薬効が本当にあるかは疑問・・・・等と書かれていました。ご参考まで。
Commented by 虫林 at 2007-01-22 22:32 x
愛野緑さん、
有難うございます。
越冬卵は伐採枝で楽して見つけています。でも、伐採枝でさがすことで、その林で産するゼフを一網打尽に理解するのに良いかもしれませんね。
クロミはともかく、エゾミは太い枝に産み付けられるので、通常の自然状態では見つけるのがかなり困難らしいです。ラッキーでした。
こちらは伐採地が結構ありますが、できれば山の中の新しい伐採地が良いみたいですね。小生は木登りもできず、さらに目が悪いときていますので苦労しています。
Commented by kenken at 2007-01-22 22:32 x
アイノの卵、決まっていますねぇ。8×8=64とはお洒落な。しかし、GX-8とGyorome8は相性が良さそうです。樹皮の越冬卵は、私もぱっと見、エゾのように思いました。こちらでは、オオミドリは産んでも指の太さの枝くらいまでですね。
Commented by 虫林 at 2007-01-22 22:44 x
fanseabさん、
タンキリマメの情報有難うございました。小生の持っている図鑑では調べがつかなかったので、胸のつかえが取れたようで、スッキリしました。後ほど名前を入れさせていただきます。

ところで、fanseabさんはキリシマミドリのとても素晴らしい写真を昨年撮影されていましたね。もし時間ができましたら、その越冬卵などいかがでしょうか?「ゼフィルスの森」によると、湿性の林内のアカガシの幼木やひこばえ、中木の下枝に産み付けられるみたいです。カシ類は1年おきに休眠芽をつけるので、休眠芽のあることが絶対条件らしいです。越冬卵が見つかれば、幼虫も観察できますよね。
ごめんなさい、昨年のキリシマミドリがあまりに素晴らしかったので、余計なことを書いてしまいました。お許しください。
Commented by 虫林 at 2007-01-22 22:55 x
kenkenさん、
有難うございます。GX8とgyoromeは実は色々と苦労しているのですが、何とか見ることのできる写真が撮れる様になりました。
エゾミドリの件、お恥ずかしいかぎりです。越冬卵はまだ駆け出しで、皆さんのご指導を仰ぎながら、勉強しています。これからもご指導宜しくお願いします。今週末あたりは、本物のオオミドリの越冬卵を探してみようとファイトをもやしていますが、どうなることやら。でも見つかったら、エゾとオオミドリの卵の実体顕微鏡写真を撮って比較したいと夢見ています。
Commented by kasya5 at 2007-01-23 20:25
卵の事はあまり解りませんが探し始めるとはまってしまいそうですね。
私もたまに探しに行こうとは思うのですが寒くてなかなか腰が持ち上がりません。
上から2枚目の写真、蒲の穂が綿状になったものだと思います。
Commented by 虫林 at 2007-01-23 22:52 x
Mamoさん、
蒲の種の情報、有難うございました。
助かります。
今回は皆さんにご教示いただきボロボロになってしまいましたが、本当に嬉しく思います、早速、上に書かせていただきますね。
Commented by 6422j-nozomu2 at 2007-01-24 22:08
小さな小さなゼフ卵を撮影するのはかなり難しいようですね。GX8とgyoromeなかなかエエ組み合わせだと思います。確かケンコー製のクローズアップレンズなるものがあると思うのですが、デジ一眼にセットしてこのような写真が撮れるものなのでしょうか?ご存じあれば教えてください。
Commented by 虫林 at 2007-01-24 22:57 x
ノゾピーさん、
ゼフの越冬卵は、ご存知のように1mm以下のものが多いので、かなりの近接撮影が要求されます。デジ1眼のマクロレンズにクローズアップレンズを装着しても、もちろんある程度の撮影はできます。しかし、卵表面の突起までわかる超接写では、クローズアップレンズだけでは無理ですね。拡大倍率が低すぎるのとピントの合う幅(被写界深度)が浅すぎるためです。むしろ、コンデジの近接能力のすぐれたものを使用する方が、ある程度深い被写界深度を維持できますので、楽に撮影できると思います。その場合はシャープにさえ写されていれば、トリミングして結構みることのできる写真になります。

gyoromeの場合は、ほとんどレンズ表面まで近づいてピントがあうことと、被写界深度がものすごく深いので、いわゆる虫も目像が撮影できるメリットがあります。この場合、あまり画質の良い写真は期待できないことと、超近接で撮影するので、被写体前面が陰になりやすく、通常のストロボでも光の周りが難しくなります。
小生もまだまだ試行錯誤でもだえながら楽しんでいます。
コメントありがとうございます。
Commented by mhidehide at 2007-01-25 20:45
虫林さん☆トップのアイノミドリシジミの光沢が素晴らしいですね。翅脈が発光体のようです。特別な蝶になったというのもわかるような気がします。木の芽とともに厳しい冬を耐えて春を待つ越冬卵。まさに命の営みの象徴ですね。木の芽と卵が一体になった美しいオブジェ☆
Commented by 虫林 at 2007-01-25 22:20 x
mhidehideさん、
アイノシジミの放つ光は今でも心を揺さぶります。
下の越冬卵がこの素晴らしい蝶になるのかと思うと、嬉しくなります。
木の芽と越冬卵について、暖かくすばらしいコメント有難うございました。
by tyu-rinkazan | 2007-01-21 19:03 | ▣エゾミドリシジミ | Comments(24)