NATURE DIARY

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20070830 空蝉の術:ミカドミンミン (山梨県)

虫林の部屋がある研究棟の外ではアブラゼミやミンミンゼミが毎日やかましいくらいに鳴いている。
セミ時雨とはよくいったものである。
この2種に加えてニイニイゼミ、ツクツクホウシの声が加わり、さらに近年ではクマゼミの鳴き声まで聞こえるようになった。

セミ、セミ、セミ。日本はなんとセミの多い国なんだろう。
以前に滞在した英国では、チッチゼミしか分布していないので、夏になってもセミの声がちっとも聞こえず、寂しく思ったものだ。

セミ時雨は日本の夏だ------。

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研究室の窓からぼんやりと外を見ていたら、目の前の木にミンミンゼミが止まり、ミーン、ミーンと鳴き始めた。何気なくそのセミを見ると、あれ!! 背中に黒紋が無いぞ。
なるほど、これが噂に聞く 「ミカド型のミンミンゼミ」 というやつか。

早速、次の日にカメラを持参し、昼休みに大学の構内で、セミを観察してみることにした。
今だとまだ夏休み期間中で、学生の数もそれほど多くないので良いだろう。

歩き始めるとすぐに、そこかしこでセミの抜け殻を見つけた。
セミの抜け殻のことを 「空蝉:うつせみ」 というが、この空蝉をみていると、子供の頃に見た忍者番組を連想する。すなわち、そこにいるように見せかけて、実はも抜けの空という「空蝉の術」だ。

そうだ、これから昼休みは「空蝉の術」を使おう。
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。。空蝉

。。。 Cast-off skin of a cicada
。。。. Ricoh GR-D, GW-1, ASA 100
。。。.(2007-August-30, Chuo-shi, Yamanashi)

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§通常型ミンミンゼミ§

見かけたミンミンゼミは、頭背部の模様から、通常型、緑化型(中間))、ミカド型(黒紋完全消失)に分けられる。その割合は、通常型>緑化型>ミカド型であるが、緑化型の頻度もかなり高いのに驚く。全く紋の無いミカド型はさすがに少ない。

ミンミンゼミはアブラゼミと違って、なかなか幹の低いところで静止しないので、広角写真が殊の外難しいが、何とかワイコン(GW-1)を装着したGR-Dで撮影できた。
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。。。。。。。。。。通常型ミンミンゼミ Oncotympana maculaticollis

。。。。。。。。。。。 Oncotympana maculaticollis resting on the tree
。。。。。。。。。。。. Ricoh GR-D, GW-1, , ASA 100
。。。。。。。。。。。.(2007-August-30, Chuo-shi, Yamanashi)


通常型は体のほぼ全体が黒色で、頭胸部に黄緑色から青緑色の小紋が散在する。
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。。通常型ミンミンゼミ Oncotympana maculaticollis

。。。 Oncotympana maculaticollis resting on the tree
。。。. Pentax K10D, Tamron 70-300mm, ASA 400
。。。.(2007-August-30, Chuo-shi, Yamanashi)

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§緑化型ミンミンゼミ§

通常型とミカド型の間には中間型が存在し、それを「緑化型」とする。
当初は、頭胸部の黒紋がかなり消退し、緑色に見えるものはすべてミカド型だと思っていたが、よくよく調べてみると、純粋のミカド型というものは黒紋が完全に消えたもののみを指すらしい。

しかし、この緑化型でも通常型とは一目で区別がつき、見たときにかなり異様な感じがする。
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。。。。。。。。。。緑化型ミンミンゼミ Oncotympana maculaticollis

。。。。。。。。。。。 Oncotympana maculaticollis resting on the tree
。。。。。。。。。。。. Ricoh GR-D, GW-1, , ASA 100
。。。。。。。。。。。.(2007-August-30, Chuo-shi, Yamanashi)

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。。緑化型ミンミンゼミ Oncotympana maculaticollis

。。。 Oncotympana maculaticollis resting on the tree
。。。. Pentax K10D, Tamron 70-300mm, ASA 400
。。。.(2007-August-30, Chuo-shi, Yamanashi)

d0090322_1833849.jpg
。。緑化型ミンミンゼミ Oncotympana maculaticollis

。。。 Oncotympana maculaticollis resting on the tree
。。。. Pentax K10D, Tamron 70-300mm, ASA 400
。。。.(2007-August-30, Chuo-shi, Yamanashi)

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§ミカド型ミンミンゼミ§

ミカド型ミンミンゼミのことは、虫林の幼な友達で虫友でもあるI君(神奈川県在住)が送ってくれた昆虫の資料の中に少し書かれていた。ミンミンゼミの変種で、分布はかなり局所的で少ないものらしい。しかし、嬉しいことに甲府盆地では比較的多くみられるということだ。
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。。ミカド型ミンミンゼミ Oncotympana maculaticollis

。。。 Oncotympana maculaticollis resting on the tree
。。。. Pentax K10D, Tamron 70-300mm, ASA 400
。。。.(2007-August-30, Chuo-shi, Yamanashi)

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米国には17年セミというのがいて、17年に1回、大発生し、話題になるが、ミンミンゼミの幼虫期も比較的長く、約7年くらいだといわれている。
長い地中の生活だ。地中生活が長い分だけ、地上に出たときにはこの世の春を謳歌するように鳴くのであろうか。

緑化型およびミカド型ミンミンゼミは一般に少ないが、局所的に多産する地域があるみたいだ。甲府盆地では、この型のミンミンゼミが多く認められるのは嬉しいことだ。

これからも少し「空蝉の術」を使って、お昼休みに探索してみよう。
Commented by ma23 at 2007-08-30 21:50 x
ミカドミンミン、初めて聞く名前、そしてまるで羽化したてのようなやわらかい色合いにびっくりしました。私が子供の頃、大阪市内の都市部ではミンミンゼミは貴重な存在でしたが、それでも鳴き声はたまに聞けました。しかし、今となってはまったくいなくなり、涼しい郊外までいかないと声が聞けないことに気づきました。
Commented by 虫林 at 2007-08-30 23:06 x
ma23さん、
コメントありがとうございます。
ミカド型は通常型のものとは見た感じがかなりことなり、綺麗です。こちらでは、今まであまり気が付きませんでしたが、それほど稀ではなさそうです。大阪市内中心部でミンミンゼミがいなくなるのは残念ですね。
Commented by アッキーマッキー at 2007-08-30 23:21 x
虫林さん、ご無沙汰してました。ミンミンゼミは高い所で鳴いてることが多いと思ったのですが、山梨では結構低いところでも鳴いているんですね。あるいは、僕がちゃんと見つけられてないのでしょうか?いずれにしても、ミカドミンミン、初めてです。勉強になりました。
Commented by nomusan at 2007-08-30 23:29 x
ミンミンゼミ、九州で山地性の蝉という印象が強いのですが、関東ではそうでもないのですね。特に今年は毎朝N○Kの気象予報のコーナーでBGMで鳴き声が聞こえているので不思議な感じがしていました。
 「緑色型」、「ミカド」初めて知りました。蝉も奥が深いのですね・・・。
Commented by ぽんぽこ山本 at 2007-08-31 01:41 x
ミカドミンミンは私も大好きな虫です。甲府盆地周辺と筑波山周辺では発見できますが他の産地ではこの型に出会うのは至難の業でしょうね!
至難の業といえばこの緑色を残して標本を作る事が大変難しいのです。博物館の依頼でミカドの標本に着色をした経験があります。 写真と一緒に展示すればすむのに・・・・・・
Commented by chochoensis at 2007-08-31 11:39
虫林さん、「ミンミンゼミ」未だ未撮影なので羨ましいです。緑型、ミカド型とあるんですか・・・これは貴重な知識をありがとうございます。これから意欲が湧いてきました・・・。
Commented by 虫林 at 2007-08-31 17:08 x
アッキーマッキー さん、ご無沙汰です。
相変わらずお元気そうですね。ミンミンゼミは比較的高いところにとまるので、低い木の林で探せばよいと思います。ミカドミンミンは静岡では多いのか少ないのか良く分かりませんが、かなり局所的な発生を示すみたいです。
Commented by 虫林 at 2007-08-31 17:18 x
nomusanさん、
山梨では山地性のセミといいますと、エゾハルゼミ、エゾゼミ、コエゾゼミ、アカエゾゼミなどで、ミンミンゼミなどはむしろ平地のセミとなります。
セミは日本では35種ほどおり、世界では1000種をゆうにこえますので、奥が深いですね。
Commented by 虫林 at 2007-08-31 17:23 x
ぽんぽこ山本さん、
コメントありがとうございます。
ミカドは黒紋が完全に消失するものを呼ぶみたいですので、緑化型は良く見ることができますが、純粋なミカドはやはり少ないみたいですね。
この緑を保存して標本するのは難しいのですか?はやり、死んだものの色は完全に生前と同じにはなりえないと思います。
Commented by 虫林 at 2007-08-31 17:25 x
chochoensisさん、
甲府盆地では、緑化型やミカド型のミンミンゼミが多産するので、是非ともお出でください。それほど苦労しないでも緑化型は見ることができますよ。面白いですよ。
Commented by furu at 2007-08-31 20:19 x
数年前に蝶撮影の後に立ち寄った甲府盆地の運動公園で、ミカドミンミンを初めて見ました。探すとかなりの確率で発見できました。
他の地域では緑化型ですら見た事が無いので驚きました。
Commented by 虫林 at 2007-08-31 22:34 x
furuさん、
ミカド型(緑化型も含)のミンミンゼミは通常型と同じくらいの頻度見られましたが、場所によると、大部分がこのタイプらしいですね。今までその存在は知っていましたが、探して撮影した事はありませんでした。
なかなか明瞭な変異で興味あります。
Commented by mtana2 at 2007-09-02 15:29 x
半世紀前、東京の郊外の住宅地ではミンミンゼミ自体が珍しかったので、ミカド型、緑化型、初めて聞きます。
きれいなので一度見たいものです。
今後、ミンミンを見る目が変りそうです。
Commented by 虫林 at 2007-09-02 16:59 x
matanaさん、
コメントありがとうございます。
緑化型やミカド型は、小生も見たのはこれが初めてでした。灯台下暗しとはこのことですね。甲府盆地では、このような変種が多く見られますので、こちらに来られたときには是非とも見てください。
Commented by miyagi at 2007-09-03 15:57 x
虫林さん☆ミンミンゼミもバラエティに富んでますね。緑化型のは沖縄にいるオオシマゼミの色に似てます。
Commented by 虫林 at 2007-09-03 22:24 x
miyagiさん、
コメントありがとうございます。
ミンミンゼミの緑化型やミカド型は甲府盆地の特徴らしいです。
今回撮影してみて、その頻度が高いので、僕も驚いています。
沖縄のオオシマゼミも見てみたいです。
Commented by jijisemi at 2010-07-21 22:52 x
ミカドミンミン、すばらしいですね。
まだ本物を見た事がないのでうらやましいです☆
私ももっとセミ道を極めたいです(^^)
Commented by 虫林 at 2010-07-22 00:13 x
jijisemi さま
ようこそおいでいただきました。
ミカドミンミンは甲府盆地では珍しくありません。
小生の務める大学の構内でも見ることができます。
時期が来ましたら、甲府市内でミンミンゼミを見てください。
これからも宜しくお願いします。
by tyu-rinkazan | 2007-08-30 18:10 | ■他の昆虫 | Comments(18)