NATURE DIARY

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20071014 南アルプス散歩:タニグチコブヤハズカミキリ(山梨県)

天気予報は「曇り後雨」ということだったが、朝起きると雲はあるものの日が差している。
本日は完全休養日にしようと思っていたが、これでは散歩できそうだぞ。

しかしどこに行こうか?
ふと脳裏に浮かんだのは、蝶ではなく、タニグチコブヤハズカミキリの撮影だ。というのも、本種を山梨県内の山でまだ観察していないし、♂も未撮影だ。

場所は山梨県の南アルプス前衛の山(S山)に登ることにした。
この山には夏にベニヒカゲを目的に登ったが、残念ながらNullであった。しかし、その時に稜線下の森林内で比較的大きなマルバダケブキの群落があったのを覚えている。

世の中の小事はすぐに忘れてしまう虫林であるが、このようなことは不思議なくらいに忘れないのだ。
そこに行けば、タニグチに会えるかもしれない、会えるはず、うーむ絶対会える------。
まあ、ダメもとでチャレンジしよう。

------ということで、本日もフィールドに散歩に出ることになったのである。しかし、本日は午後に町内のお祭りの後片付けがあって、午前中に帰宅しなければならない。

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§紅葉 Red leaves§

登山口に到着すると、少し霧が出ていた。しかし、下界はまあまあの天気だったので、大丈夫だろうと判断して歩き始めた。この登山口でもすでに標高1600mを越えているので、樹林帯では綺麗な紅葉を見ることが出来る。
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。。紅葉

。。。Trees aflame with red leaves.
。。。 Pentax K100D, Sigma 18-50mm, ASA 200
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)


紅葉というと木の葉は主だが、草の葉もはっとする美しい紅葉を示すものがあった。
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。。紅葉

。。。Red leaves.
。。。 Pentax K100D, Sigma 18-50mm, ASA 200
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)

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最近、全く運動していないので、体が重い。
メタボの典型例と自称する虫林には、登りは結構きつく感じるのだ。それでも、何とか1時閑弱で、マルバダケブキの群落に到着することができた。
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。。マルバダケブキ(丸葉岳蕗)の群落

。。。Ligularia dentata
。。。 Pentax K100D, Sigma 18-50mm, ASA 200
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)


マルバダケブキは、林床のササの中に点々と立っている。その枯れたマルバダケブキまでは、ササ原を「やぶこぎ」するような感じでアプローチしなければならない。常に枯葉がついているとは限らないので、結構効率が悪いのだ。ここは、前回の場所(長野県)と異なり、まだ青い葉をつけているものが多い。。

タニグチを探し始めてから30分ほどもした時に、大きな枯葉の中に待望の甲虫が鎮座していた。何度見ても可愛いカミキリムシだ。
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。。枯葉の中にいたタニグチコブヤハズカミキリ

。。。A male of Mesechthistatus taniguchi found in the dead leaf
。。。 Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm, ASA 100
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)


見つけた個体は、やや小ぶりで(体長1.5cm)、触角が長い。
今回目的とした♂である!
嬉しさをかみ締めながら、枯葉の上でゆっくりと観察した。

この虫は本当に、「格好悪いけど格好が良い虫」なのだ。

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。。タニグチコブヤハズカミキリ♂

。。。A male of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm, ASA 100
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)

さらに見ていくと、今度は♀を見つけた。
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。。タニグチコブヤハズカミキリ♀

。。。A female of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm, ASA 100、Flash +
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)


そこで、見つけたタニグチコブヤハズの♂と♀を同じ葉の上で撮影してみた。
メスが左で、オスが右である。

写真を見て明らかなように、オスはメスに比較して、小型で、色も灰色味が強く、触角が長い。さらによく見ると、翅表にある一対の黒紋は、メスの方がオスよりも大きいようだ。
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。。タニグチコブヤハズカミキリ♂♀

。。。A pair of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Pentax K10D, Pentax D-FA 100mm, ASA 100、Flash +

。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)

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§広角§

広角写真といっても、葉に包まれていたものを出したのであるから、あまり意味が無いかも知れない。でも、GR-Dで周囲の環境を入れて撮影したいと思ったのだ。
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。。タニグチコブヤハズカミキリ♀

。。。A female of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Pentax K100D, Sigma 18-50mm, ASA 200
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)


d0090322_2152292.jpg
。。タニグチコブヤハズカミキリ♂

。。。A male of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Ricoh GR-D, GW-1, ASA 100
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)

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§虫の目像§

曇っており光量が不足しているので、いつものGX-8とGyorome-8のコンビで、ブレに注意しながら虫の目写真を撮影した。
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。。虫の目像:タニグチコブヤハズカミキリ

。。。Insect-eye image of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Ricoh Caplio GX-8, Gyorome-8, ASA 100
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)


拡大してみると、前胸背のコブがなかなか渋くて良い。
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。。虫の目像:タニグチコブヤハズカミキリ

。。。Insect-eye image of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Ricoh Caplio GX-8, Gyorome-8, ASA 100
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)


顔をアップにすると、目にサングラスでもかけているようにみえる。
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。。虫の目像:タニグチコブヤハズカミキリ

。。。Insect-eye image of Mesechthistatus taniguchi
。。。 Ricoh Caplio GX-8, Gyorome-8, ASA 100
。。。(2007-October-14, Nirasaki-shi, Yamanashi)

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§コブヤハズ類の分布図§

2004年10月号(No.404)の月刊「むし」に、高桑らによる日本のコブヤハズカミキリの座談会が掲載されていた。その中にコブヤハズ類各種の分布概念図があったので、ここにのせておこう。現在では、分布はかなり詳しいところまでわかっているらしいが(ギフチョウほどではないと思うけど)、それぞれの種の接点となる場所で、ハイブリッドが出ているらしい。

コブヤハズカミキリ分布図をみると、山梨県にはタニグチコブの他に、フジコブヤハズが産するのがわかるね。フジコブヤハズは富士山周辺の他に八ヶ岳に分布しているようだ。
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。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。日本のコブヤハズカミキリ類分布概念図


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§Epilogue§

先週、Spaticaさんのお陰で、長野県N山のタニグチコブヤハズカミキリを撮影でき、また棲息する環境も知ることができた。そこで、今回は山梨県内で、同じような環境の山にチャレンジしてみた。
思惑通りにタニグチコブに出会え、撮影できたのはとてもうれしかった。
同じ様な環境はまだいろいろあると思うので、いつかまた別の場所でチャレンジしたいものである。

山梨には前述のように、フジコブヤハズも分布している。こちらは富士山周辺と八ケ岳だろう。フジコブがこれからの課題になるかな?

本日は曇り模様の天気とは裏腹に、目的の甲虫も撮影できて、とても気持ちの良い一日だった。お昼までに帰宅しなければいけないことを思い出し、飛ぶように下山した。





Commented by 愛野緑 at 2007-10-15 00:01 x
この山は多分15年以上前にクモベニを探しに行った所かと思います。ベニヒカゲは採れましたが、クモベニは時期が悪いのか生息していないのか見つかりませんでしたね。
ああいう所にコブちゃん達はいるのですね。

結構辛い登りですよね(^^;
Commented by kmkurobe at 2007-10-15 08:33 x
うーんねらい打ちですね。すごいな・・・・・
もとカミキリ屋をしていた人間としては感動ものの絵ですね。いづれも環境が写し込まれてすばらしい生態写真になってますね。
この図をみるとこの辺りは、マヤサンとタダコブの接点のようですね。
いぜん読んだ本に小谷温泉から妙高側に分布調査をした記事が載っていたことを覚えています。
これは来年マルバダケブキの群落のチェックをしなければいけませんね。
Commented by spatica at 2007-10-15 18:08 x
連続タニグチ制覇、まずはおめでとうございます。たった半日で狙い通りに見つけられるとは…。
広角写真を見る限りではタニグチの環境はどこもそう変わらないのでしょうか?私は広角写真を撮り忘れてそのままです…。
Commented by 虫林 at 2007-10-15 19:42 x
愛野緑さん、
おっしゃるとおりの山かと思います。今年はどういうわけかベニヒカゲも見ることができませんでした。そうですね、ベニヒカゲが出現するあたりにコブちゃんもいるみたいでした。
僕はブロウにも書きましたが、スマートな愛野緑さんと違ってメタボですので、ことさらきつかったですね(笑)。
Commented by 虫林 at 2007-10-15 19:47 x
kmkurobeさん、
おっしゃるとおりで、白馬あたりはマヤサンとタダコブの接点で、分布上非常に面白いところですね。以前はこの境界の部分は「非武装地帯」といって、コブがいないといわれていましたが、生態が知られるとともに、実際にはハイブリッドがでる可能性が高いようです。
花の咲いている時期に是非ともチャックしておくと、面白いかもしれませんね。
Commented by 虫林 at 2007-10-15 19:51 x
Spaticaさん、
お陰さまで、同じような環境をたよりに山梨でもめでたく撮影することができました。Spaticaさんのお陰です。ありがとうございました。
これからも宜しくお願いします。
Commented by kenken at 2007-10-15 20:50 x
コブヤハズはえぇ虫ですなぁ~どんなところで見つけ易いは、だいぶ解明されてきたようですね。
私、以前に、お盆の頃にスミナガシの撮影に出かけていて、林道の枯れ葉の上にマヤサンコブヤハズを見つけたことがありますが、そりゃ嬉しかったですわぁ~
Commented by 虫林 at 2007-10-15 22:14 x
kenkenさん、
コブヤハズは本当になんともいえない雰囲気があって良いですね。
コブヤハズ観察はまだ初心者マークをつけた駆け出しモノですので、これからもうすこしその生態を見ていきたいと思っています。
こちらで訓練したら、新潟あたりでマヤサンにも挑戦してみたいです。
Commented by chochoensis at 2007-10-15 22:33
虫林さん、「山梨県」での新産地を一度で発見してしまうなんて、凄すぎます・・・流石、虫林さんというべきでしょうね・・・難しいことはわかりませんが、オスの写真も並べられると良く判ります・・・素晴らしいです。
Commented by 虫林 at 2007-10-15 22:41 x
chochoensisさん、
お褒めいただき恐縮です。
この日は気温が低く、見つけたコブヤハズはあまり動きませんでした。
それで、♂と♀を同時に撮影してみようと思ったのです。
並べてみると、思ったより興味深いですね。
Commented by grassmonblue at 2007-10-15 22:42 x
ベニヒカゲ探索の南アの山でのマルバタケブキの花、私も印象深く覚えていました。
それでこの希少種探索成功とは、ただただ感心して読ませていただきました。
Commented by 虫林 at 2007-10-15 23:23 x
grassmonblueさん、
覚えていていただき、真に有難うございます。
稜線にもかなりの数のマルバダケブキがありましたが、今回はその下の森林中の群落で撮影しました。でも、見つけたときは嬉しかったですね。
これからも、マルバダケブキをマークしていくつもりです。
Commented by cactuss at 2007-10-16 00:02
タニグチコブヤハズカミキリは小さいんですね。マルバダケブキの葉の中にいるとのこと、今度、機会があったらチェックはしておこうと思います。見付けるまでには、かなりの葉を調べたんでしょうね。
Commented by 虫林 at 2007-10-16 06:47 x
cactussさん、
タニグチは大きさが1.5cmくらいですので、カミキリとしては小さい方ではありません。マルバダケブキの枯葉の中にいますが、かならずいるわけではありませんので、見つけたときは嬉しいです。楽しいですよ。
Commented by thecla at 2007-10-16 23:12 x
タニグチの一枚目は、想像していたより小さかったので、どこにいるのか探してしまいました。マルバタケブキの葉が大きいだけかもしれませんが。
これからは、秋にマルバタケブキには注意して見ようと思います。もっとも簡単には見つけられないでしょうが、秋の山歩きの楽しみにはなりそうですね。
Commented by 虫林 at 2007-10-17 00:00 x
theclaさん、
コブヤハズは秋に成虫になり、枯葉に集まることが知られてから、身近な昆虫になったようです。theclaさんは山登りもされると思いますので、その時はマルバダケブキは是非とも見てください。可愛い虫ですよ!
by tyu-rinkazan | 2007-10-14 21:13 | ■カミキリムシ | Comments(16)