NATURE DIARY

tyurin.exblog.jp

20080106 国蝶:オオムラサキの越冬幼虫を探して(山梨県甲府市)

§Information§

第2回チョウ類保全シンポジウム-ギフチョウ・ヒメギフチョウ-が開催されます。

◆日時:2008年2月10日(日)10:00~16:30
◆場所:群馬県渋川市民会館
◆主催:特定非営利活動法人(NPO法人)日本チョウ類保全協会
◆共催:群馬昆虫学会・赤城姫を愛する集まり
◆後援:群馬県教育委員会・渋川市教育委員会・(財)日本自然保護協会・日本鱗翅学会
◆参加費:無料(どなたでも参加することができます)


詳しい内容はここをクリックしてください →Information


**************************************************

§Preface§

日本の“国蝶”が、タテハチョウ科のオオムラサキであることは、虫屋なら誰でも知っているだろう(知らない人はモグリだぞ)。問題は“国蝶”という名誉ある称号が、チョウだけにあることだ。なぜ、国蜻蛉、国甲虫、国蛾、国蜂、国セミ等はないのだ! 蝶だけが特別扱いなのか?

ウーム、これは人種差別ならぬ、昆虫種差別に他ならないではないか! チッチキチーだ。
まあ、昆虫を代表して、“国蝶”だけでもあったほうが良いに決まっているので許しましょう。

ちなみに、”県蝶”が制定されているのは、埼玉県のミドリシジミだけですが、もし山梨県の県蝶が制定されるのであれば、多分オオムラサキになるだろうと思う。

山梨県でのオオムラサキは、「オオムラサキの里」として有名な長坂町ばかりでなく、日野春から韮崎、甲府そして塩山あたりまでの雑木林に広く分布し、また個体数も多い。しかし、今までオオムラサキの越冬幼虫のまともな写真を撮っていなかった。

**************************************************

§Diary§

本日は天気もよく、とても穏やかな日和で、気持ちが良い。
そこで、朝食後にオオムラサキの越冬幼虫を探して、近くの雑木林を散歩してみる事にした。

現地に到着して(自宅から車で10分程度)、最初に幼虫の食樹であるエノキの木を探した。エノキは、木の形、樹皮の様子、そして落ち葉を参考に捜すと比較的簡単に見つけることができた。
d0090322_2312174.jpg
エノキ Nettle tree

.
It was very fine today. In the morning, I visited the forest to see the caterpillars of the Great Purple. First, I found that it was not easy to find the nettle tree which is a feeding plant of Great Purple. However, it became easy when I could recognize the nettle tree from the tree bark and tree shape.
.
Ricoh GR-D, ASA 100

(2008-January-6, Yamanashi)


オオムラサキの越冬幼虫は、10月に木から降りて、エノキの根元の周囲の枯れ葉にくっついて越冬する。また、越冬幼虫は、根元の北側で多く見つけた。しかし、北海道では、幼虫の越冬位置は、根元の南側とされている。この違いは冬の温度や積雪に関係するのかな?
d0090322_23151763.jpg
エノキの樹幹 The trunk of nettle tree

.
The wintering caterpillars of the Great Purple resting under the dry leaves srounding the tree trunk.
.
Olympus E-3, ZD 100mm MACRO, EC-14, F4.5, 1/800, ASA 100

(2008-January-6, Yamanashi)


道路脇で、エノキの根元の周囲の枯葉をめくっていくと、、時折、散歩している方たちが好奇のまなざしを投げかけてきた。眼差しだけならまだよいが、時には笑顔で話しかけてきて、質問攻めになることも多い。丁寧にお答えすると、最後には一様に「頑張ってください!」と励ましのお言葉を頂く。

探し始めて30分もしただろうか、やっと枯葉に付着した越冬幼虫を見つけることができた。幼虫は体長は1cmちょっとくらいで、頭に大きな突起を有し、一目でそれとわかる。
d0090322_23153159.jpg
オオムラサキthe Great Purpleの幼虫

.
The wintering caterpillars of the Great Purple.
.
Olympus E-3, ZD 8mm FISHEYE, EC-14, F8.0, 1/160, ASA 100

(2008-January-6, Yamanashi)


幼虫が越冬する枯れ葉は、やはりエノキの葉が多いが、他の樹種の枯葉にもしばしば付いていた。
また、一つの枯れ葉に複数の個体が付いていることもあった。写真はオオムラサキの幼虫2頭と3頭がそれぞれ一枚の葉に静止したものを並べてある。
d0090322_2317922.jpg
1枚の葉に複数のオオムラサキ the Great Purple の幼虫が付着

.
Several wintering caterpillars of the Great Purple resting on one leaf.
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO, EC-14, F11.0, 1/100, ASA 100

(2008-January-6, Yamanashi)


越冬する幼虫は、3齢ないし4齢だが、一般的には4齢幼虫のほうが多いということになっている。虫林は3齢と4齢を区別できないので、ここでは両者を分けることはできない。
d0090322_23181215.jpg
エノキの葉上で越冬するオオムラサキの幼虫

.
A wintering caterpillar of the Great Purple resting on the leaf.
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO, EC-14, F11.0, 1/100, ASA 100

(2008-January-6, Yamanashi)


オオムラサキの越冬幼虫は、葉の表面に薄く吐糸し、座をつくって静止する。拡大して見たが、座の様子はなかなか観察しにくいみたいだ。
d0090322_23182453.jpg
オオムラサキ越冬幼虫のアップ

.
Close-up view of a wintering caterpillar of the Great Purple on the leaf.
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO + Gyorome-8, EC-14, F32.0, 1/160, EV-3.7, ASA 400, Flash (+)

(2008-January-6, Yamanashi)


幼虫の付いた葉を直射日光にさらしていたら、幼虫が動き出してしまった。

一端、動き出してしまうと頭部を上にあげたりする。オオムラサキの幼虫の顔は、とても可愛かったので、Gyoromeで拡大して撮影して見た。
d0090322_2318367.jpg
動き始めたオオムラサキの幼虫

.
A caterpillars of the Great Purple get started in move.
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO + Gyorome-8, EC-14, F32.0, 1/160, EV-3.7, ASA 400

(2008-January-6, Yamanashi)


オオムラサキの幼虫は、正面から見ると角をもった妖精のようで、とても可愛い。
d0090322_23192259.jpg
オオムラサキの幼虫の正面

.
Frontal view of the face of wintering caterpillars of the Great Purple
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO + Gyorome-8, EC-14, F32.0, 1/160, EV-3.7, ASA 400, Flash (+)

(2008-January-6, Yamanashi)

d0090322_23193374.jpg
オオムラサキの幼虫の顔の拡大像

.
Close-up view of the face of caterpillar of the Great Purple.
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO + Gyorome-8, EC-14, F32.0, 1/160, EV-3.7, ASA 400, Flash (+)

(2008-January-6, Yamanashi)

d0090322_2323727.jpg
オオムラサキの幼虫の顔の拡大像

.
Close-up view of the face of caterpillar of the Great Purple.
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO + Gyorome-8, EC-14, F32.0, 1/160, EV-3.7, ASA 400, Flash (+)

(2008-January-6, Yamanashi)

d0090322_23195967.jpg
。。。。。。。。。。オオムラサキの幼虫

.
。。。。。。。。。。A wintering caterpillar of the Great Purple resting on one leaf.
.
。。。。。。。。。。 Olympus E-3, ZD 50mm MACRO + Gyorome-8, EC-14, ASA 400, Flash (+)
。。。。。。。。。。(2008-January-6, Yamanashi)


オオムラサキの幼虫を探していたら、大きなキンカメムシの幼虫が出てきた。やはり、葉の間で越冬していたようだ。足を縮めて動かないので、顔の拡大写真を撮影した。
何となく面白い。
d0090322_23211858.jpg
アカスジキンカメムシの幼虫の顔のアップ

.
Close-up view of calicoback’s face
.
Olympus E-3, ZD 50mm MACRO + Gyorome-8, EC-14, F22.0, 1/160, EV-3.3, ASA 400, Flash (+), Trimming (+)

(2008-January-6, Yamanashi)

**************************************************

§Afterword§

今回、初めてオオムラサキの越冬幼虫を撮影できた。
当初、なかなか幼虫を見つけることができずに苦労したが、このような幼虫探しは、1頭見つけてしまえば、その生態が理解できるので、以後は簡単に見つかるものだ。

今年はもう少しオオムラサキの幼虫たちにも注意を払っていこうと思う。
Commented by KAZ at 2008-01-07 02:12 x
こんばんは。
学生の頃は何度か見つけましたが、もう年々もお目にかかっていません。
葉っぱを1枚1枚裏返して出て来るゴマダラやオオムラサキを探すのは冬の楽しみでしたね。
キティちゃんみたいな顔で可愛いですよね。
ところで最近冬に鳥の写真をよく撮るのですが、雑木林で葉っぱを1枚1枚ひっくり返して餌を探す鳥のなんと多い事!。
自然が少なくなってきた今、落葉の裏に隠れる越冬法はあまり得策ではない様です。
そのせいか、アカホシゴマダラはかなり生息密度が高くなってきた様です、最近は東京西部でもずいぶん見られる様になったとか。


Commented by maeda at 2008-01-07 06:40 x
この幼虫も観察していると冬の間にだんだん痩せてくる個体が出てきます。
その個体から脱落していくようです。
Commented by ここっとさん at 2008-01-07 08:57 x
うわ。本当にかわいい。さりげなく気弱そうな顔立ちですね。これなら、幼虫苦手な私でも、大丈夫そうです。国蝶とはいえ、東京生まれの東京育ち、曾祖母、祖母、母と続く超幼虫嫌いの家に生まれた私は、実はオオムラサキを図鑑やテレビでしかみたことがないのです。最近は昆虫の知識が増えて、かなり幼少のころからすり込みされてきた幼虫恐怖症が克服できてきましたが、未だに不意打ちされると(突然目の前に現れると)100mダッシュで逃げてしまいます。困ったものです・・・。
Commented by banyan10 at 2008-01-07 16:13
オオムラサキの幼虫、さすがに山梨は多く見つかるようですね。
埼玉などでもいるのですが、数が少ないので探すのは大変です。
正面からの写真や太陽を入れた写真が素晴らしいですね。
Commented by kmkurobe at 2008-01-07 20:45
そちらはやはり雪が少ないのですね。
多雪のところはどんな感じで越冬しているのでしょう。
それぞれ素晴らしい写真ですが、なかでもオオムラサキの最後の写真綺麗な逆光ですばらしい・・・・恐れ入りました。
Commented by cactuss at 2008-01-07 22:02
オオムラサキの幼虫は前から見ると、かわいい顔をしていますね。
こんな写真は今まで撮ったことがありませんが、顔を拡大して撮るのもおもしろそうですね。こんど幼虫を見付けたらチャレンジしてみます。
Commented by 虫林 at 2008-01-07 22:42 x
KAZさん、
オオムラサキの幼虫は初めてでしたので、見つけたときは嬉しかったです。これからはもう少し幼虫にも気おつけたいと思います。
なるほど、ツグミなどの地面で餌をとる鳥は気になりますね。元気で育ってくれる事を祈りたいと思います。
Commented by 虫林 at 2008-01-07 22:45 x
maedaさん、
幼虫のいる場所は適度な湿気がある北側でしたので、場所によっては乾燥したりすると、弱って死んでしまうことも十分にあると思います。
撮影した後はちゃんと戻したつもりですが、少し心配です。
Commented by 虫林 at 2008-01-07 22:47 x
ここっとさん、
有難うございます。
幼虫嫌いのここっとさんもカワイイといってくれて、これ以上の幸せはありません(笑)。僕も幼虫は少し苦手だったのですが、ファインダーを覗きながら本当に可愛いと思いましたよ。
Commented by 虫林 at 2008-01-07 22:51 x
banyanさん、
オオムラサキの幼虫の撮影は初めてでいたので、とくに成虫を沢山見かけた林に行きました。ここで幼虫が見られないはずが無いと思われる場所なので、今期強く探す事ができたと思います。幼虫探しも根気がいりますね。
Commented by 虫林 at 2008-01-07 22:55 x
kmkurobeさん、
札幌での報文では、南側で多いそうですが、こちらでは主に北側でした。多分、雪が溶ける時期や凍結などが関係するのかもしれませんね。
あの逆光写真は、ゴーストやフレアとの戦いです。
Commented by 虫林 at 2008-01-07 22:57 x
cuctussさん、
貴殿は幼虫のエキスパートですから、是非とも幼虫の正面からの顔を見てください。かわいいですよ。
僕も写真を撮りながら驚きました。
Commented by fanseab at 2008-01-07 23:24
オオムラサキもゴマダラも越冬幼虫あたりの顔つきが一番可愛いですね。終齢になるとちょっと・・・・(笑)
顔拡大像背景の青空の表現も素晴らしい!この発色は独特ですね。
Commented by 虫林 at 2008-01-08 07:09 x
fanseabさん、
幼虫は僕の苦手な分野でして、是非とも秋冷幼虫も観察してみたいと思います。大分、一眼Gyoromeに実用的になったように思います。もう少し、厳しく条件設定が必要かと思いますが、頑張ります。
Commented by chochoensis at 2008-01-08 19:26 x
虫林さん、今年は未だ探していないことに気がつきました・・・「オオムラサキ」の顔の拡大写真・・・可愛らしいですね・・・このような角度で撮影した事がなかったので新鮮な驚きです。素晴らしい!!!
Commented by spatica at 2008-01-08 22:17 x
虫林さんがオオムラサキの幼虫を探していなかったとは…ちょっとびっくりです。ゴマダラもオオムラサキも顔の正面アップは絵になりますね。特にgyoromeをつかった顔のアップはインパクトもすごいです。
私はイモムシ系は結構好きなんですが、オオムラサキの肌のブツブツはちょっと気持ち悪いなぁと思ったことがありましたね…。
Commented by 虫林 at 2008-01-08 23:52 x
chochoensisさん、
オオムラサキの幼虫は、よくブログなどで拝見しますが、今まで撮影していませんでした。でも、幼虫探しは宝探しみたいで面白いですね。
僕もファインダーを通して幼虫の顔を見たときは驚きました。
Commented by 虫林 at 2008-01-08 23:55 x
spaticaさん、
コメント有難うございます。
僕は幼虫系は苦手意識があって、今までオオムラサキの幼虫は探していませんでした。ゴマダラも今度アップしようと思っていますが、よく似ていて、かわいい顔をしていますね。
まだまだ、分からない事が多いので教えてくださいね。
Commented by ぴくぱ at 2008-01-09 14:42 x
さすが山梨。ちょっと探せばオオムラサキが見つかるんですね。神奈川では夏の間に、成虫がテリトリーを張っている場所を見つけておいて、冬に探しています。確かに木の南側にはいないですよね。寒暖の差が大きすぎるからなのか、湿度の問題なのか・・・不思議です。gyorome、こういう使い方もあるんですね。
Commented by 虫林 at 2008-01-09 22:50 x
ぴくぱ さん、
小生の家の近くにオオムラサキが多いクヌギ林があるので、そこで探してみたら、比較的容易に見つけることができました。
北側に多いのは、仰るとおりで、気温と湿度の変化が少ないからでしょう。オオムラサキの幼虫は乾燥に弱いのかもしれません。
by tyu-rinkazan | 2008-01-06 23:23 | ▣オオムラサキ | Comments(20)