NATURE DIARY

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20080330 シュンランとヒメマイマイカブリ (山梨県甲府市)

Nature Diary #0159

Place: Kofu-shi (Yamanashi Pref.)
Date: March 30th (Sunday)
Weather:Cloudy, Rain later



§Diary§

本日は昨日と打って変わって、朝から雲が多く、気温も低い。

昼食後に家内の買い物に付き合った後、午後2時近くにフィールドに出たが、空は今にも泣き出しそうだ(実際に雨になった)。この天気では蝶の撮影は絶望的なので、毎年シュンランを撮影している近くの雑木林に向かった。

車で15分ほどの雑木林につくと、空にヘリコプターがやたら飛んでいて、やかましいことこの上ない。どうやらヘリコプターは甲府市北部の昇仙峡で起きた山火事の消火作業に出向いているみたいだ。先月も石和の山林で山火事が起きたばかりなのに------こんなに頻繁に山火事が起こるのは気持ち悪い。

雑木林を散策すると、シュンランの花はちょうど見ごろだった。

シュンラン(春蘭)はシンビジウムの仲間である。
洋ランのシンビジウムは豪華で派手なものが多いが、日本のシュンランはどこか優しく、はかなげで、慎ましやかな大和撫子の風情をまとっているように思う。

シュンランは江戸時代の昔から人気があるらしく、野外で見つけた葉変わり、花変わりに名前をつけて、大事に栽培されてきた(古典園芸)。このような、変異株はマニアの間で高値で取引されていると聞く。でも、このようなランは野山の中で見るのが最も美しいのでは?


。。。。。。。。。シュンラン:春蘭 (2008-March-30, 甲府市)
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。。。。。。。。。。。 Cymbidium goeringii

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。。。。。。。。。。。 Olympus E-3, ZD50mm + EC14mm, ASA 200, FL-36R



シュンランの花は、通常は一株に1~2輪の花をつけて、林の斜面にひっそりと咲いている。しかし、驚いたことに多数の花をつけた大株を見つけた。伐採した後の林では、このように多数の花をつけることがあると何かの本で読んだことがある。

一般的に蘭の生長は、他の植物に比較してきわめて遅いと思われる。シュンランも同様で、株の増殖はかなりゆっくりしているはずだ。下の写真のような大株になるのにはいったい何年くらいかかるのだろうか(10年以上は少なくとも必要かな)。


シュンラン:春蘭 (2008-March-30, 甲府市)
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Cymbidium goeringii

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Olympus E-3, ZD50mm + EC14mm, ASA 200, FL-36R



大きな朽木を少しだけ崩して見たら、ヒメマイマイカブリが2頭出てきた。啓蟄はとうに過ぎているのに--------まだ朽木の中で眠っていたのだ。

春眠暁を覚えずという言葉はヒメマイマイ君に献上しよう。

マイマイカブリは面白い形をした甲虫なので、いつか撮影したいと思っていた。
ヒメマイマイカブリは、マイマイカブリの亜種で、関東から中部、北陸にかけて分布する。頭部から前胸背の色彩は地域により差があり、山梨県産は綺麗な青藍色になるようだ。

出てきたヒメマイマイ君は、初めは寝ぼけまなこだったが、直ぐに目覚めると長い足で活発に歩き始めた。かなり速く歩くので、広角レンズでのピンとあわせが結構難しかった。


。。。。。。。。。ヒメマイマイカブリ(2008-March-30, 甲府市)
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。。。。。。。。。。。 Damaster blaptoides oxuroides

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。。。。。。。。。。。 Olympus E-3, ZD8mm + EC14mm, ASA 200, FL-36R



マイマイカブリは日本特産のオサムシの仲間である。マイマイとはカタツムリのことだが、カタツムリの殻に頭を入れて食べているところからその名前がついたのであろう。清書によれば、この虫はカタツムリを食べないと産卵できないらしい。カタツムリには卵胞ホルモンのような物質があるのだろうか?

体も細長いが、顔も長く、肉食なので大きな牙を持っている。


ヒメマイマイカブリ(2008-March-30, 甲府市)
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Damaster blaptoides oxuroides

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Olympus E-3, ZD50mm + EC14mm, ASA 200, FL-36R



虫林が子供の頃に育った海辺の町では、マイマイカブリは少なく、憧れの甲虫だった。その後、少し大きくなり冬に「オサ堀り」をするようになってから、時々目にすることができた。しかし、今でもこのユニークな格好の大きな甲虫は、虫林の心を揺さぶるのだ。

マイマイカブリは、後翅が退化しているだけでなく、左右の翅が癒着して飛ぶことができない。そのため長い足で地面を走るように進むのだ。夜行性なので、日中にその姿を見かけることは少ない。


ヒメマイマイカブリ(2008-March-30, 甲府市)
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Damaster blaptoides oxuroides

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Olympus E-3, ZD50mm + EC14mm, ASA 200, FL-36R


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§Afterword§
午後からフィールドに出たが、途中から雨が降ってきてしまい、早々に退散せざるを得なかった。でも、綺麗なシュンランを撮影できたし、予想外のマイマイカブリにも会うことができたので満足だ。

今回昇仙峡で起きた山火事は一体何が原因だったのだろうか。普通に考えればタバコの火が怪しいが、1ヶ月前にも石和で山火事が起きているところをみると、必ずしもそうとはいえないような気がする。

今は春爛漫、どこにいっても花盛りで、日本の美しさを満喫できる。
そんな時期にはできるだけフィールドにでようと思うが、花粉症がね-----------。
Commented by banyan10 at 2008-04-02 16:28
このシュンランの花の数はすごいですね。
僕は花が3つぐらいの株までしか見たことありません。
マイマイカブリも見たことない虫です。特性を知って探さないと見つけるのは難しいようですね。
Commented by chochoensis at 2008-04-02 18:32 x
虫林さん、=マイマイカブリ=の写真を撮影したくて頑張っているのですが未だに撮影できません・・・昼間は撮影が難しいのでしょうか?いつか撮影してみたいです、昔・・・オサ堀りしたときに見かけただけです・・・。
Commented by kenken at 2008-04-02 19:14 x
じわっとした首の青さがヒメマイマイの良さですね。
1つ前、ギフも良いですが、トラフの春型いいなぁ~探すと、なかなか見つからないんですよ。
ところで、レッカー大変でしたね。是非、最低地上高が20cmくらいある車にされることをお勧めします。
Commented by 虫林 at 2008-04-02 21:41 x
banyanさん、
このシュンランは多分特別ですね。
僕もこんなに沢山の花をつけたシュンランは見たことありません。
撮影した場所では、これより少し少ないもの(5本程度)もいくつか
ありました。
マイマイカブリは稀に道路を歩いているのを見かけますが、もともと
夜行性なので、昼間はなかなか見ることができないかもしれませんね。
Commented by 虫林 at 2008-04-02 21:45 x
chochoensisさん、
マイマイカブリは日中はあまり活動しないようなので、なかなか
見ることが難しいですね。でも、この場所で越冬するみたいですので、
来年でももし宜しければご案内しますよ。
Commented by 虫林 at 2008-04-02 21:50 x
kenkenさん、
ヒメマイマイは青藍色で、なかなか渋い美しさでした。
いつかエゾマイマイやキタマイマイなどの美麗種も撮影してみたいですね。
トラフは予期していなかっただけに驚きました。
確かに意識して見に行った事はありませんが、見ようとしてもそう簡単
に見れないかもしれませんね。
車はこれからどうしようか考えています。地上上20cmあれば心強いと
おもいます。やはり車種を変えたほうが良さそうですね。
Commented by KAZ at 2008-04-02 23:43 x
こんばんは。
いやあ~、虫林さんの所は時々オサやカミキリが出てきて嬉しくなりますね。
学生時代に採卵をしていた頃、オサ堀なるものがしてみたくて、冬の山中をよく歩きました。
ヒメオサにも何度かお目にかかりましたが、茨城の個体は胸が青ではなくて紫っぽい色合いでしたね。
懐かしいものを見させていただきました。

お車、災難でしたね。
Commented by ここっとさん at 2008-04-03 04:02 x
マイマイカブリ、フランスのオーガニックガーデニングの本には、必ずガーデナーズ・フレンドとして載っているのですが、、まだお会いできない、憧れの虫です!
Commented by 虫林 at 2008-04-03 07:20 x
KAZさん、
おはようございます。
有難うございます。僕はもともと甲虫が好きだったので、面白い甲虫を
目にすると、カメラが向いてしまいます。
オサ掘りもかなりやりましたね。東北地方ではマークオサを見つけて喜
んだことがあります。
マイマイカブリは、茨城ではムラサキっぽいのは面白いですね。東北の
キタマイマイが赤紫ですから、ちょうど中間的な色なのかもしれません。
車はこりごりです。
Commented by 虫林 at 2008-04-03 07:25 x
ここっとさん、
ガーデナーズフレンドという言葉はとてもよい響きです。
さしずめ日本だと、ナチュラリストフレンドということになりますかね。
このようなオサムシ類は、夏に会うのは特殊なトラップ(オサムシを集め
るためのわな)を使わないと難しいですね。簡単なのは冬に崖を崩してみ
るとか朽木を少し崩すと見ることができますね。
フランスのものも見てみたいな。
Commented by 空飛ぶhaha at 2008-04-03 18:46 x
シュンランの淡い黄緑色がきれいですね。あの独特な形と色合いが絶妙にマッチしているように思います。

「春眠暁を覚えずという言葉」、ヒメマイマイ君だけでなく、私にもください。朝、なかなか目が覚めません。(笑)
ヒメマイマイ君は歩幅が大きそうな足をしていますね。
Commented by 虫林 at 2008-04-03 21:33 x
シュンランはとても好きな花ですが、姿形の良いものが少ないので、色々
探さなくてはならないのです。この個体はすっきりと茎が伸びていて良か
ったです。
春眠暁を覚えずという言葉は、空飛hahaさんにももちろんあげますが、
よく考えたら僕もついでに頂いておきます(笑)。
ヒメマイマイ君は何しろ長い足を持っているので、韋駄天でした。
Commented by kmkurobe at 2008-04-03 21:33
白馬のマイマイカブリは胸がややブルーに光り小型ですが、安曇野のものはかなり大きい個体が多いようです。
オサ堀りのときアオオサ、やオオオサの体表にはなにも付いていなくてピカピカしているのに、なぜかマイマイカブリは土が付いて薄汚いと思いませんか?体表の構造がちがうのですかね?
Commented by 虫林 at 2008-04-03 21:39 x
kmkurobeさん、
マイマイカブリは地方変異が強いので、白馬周辺と安曇野で、大きさや
色彩が異なるのもうなずけますね。確かに、アオオサやオオオサはピカピ
カしていて土が付き難い体表を持っていると思います。マイマイカブリと
光沢が違いますよね。上のマイマイカブリの最初の写真は、すでに雨に
濡れてしまっていてあんな色になりました。少し変でしょ?
Commented by アッキーマッキー at 2008-04-03 22:07 x
虫林さん、お久しぶりです。見事なシュンランの群生ですね。こんな群生、初めてお目にかかります。また面白い!?スミレを見つけました。詳しくはサイトをご覧下さい。
Commented at 2008-04-03 22:12 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ぴくぱ at 2008-04-03 23:35 x
マイマイ、カッコ良いですよね。私も大好きです。中学生の頃、飼育していて、カタツムリがあまりいないので、餌としてナメクジをたくさん与えたら、食べすぎでおなかをパンパンにして死んでしまった経験があります。
Commented by 虫林 at 2008-04-03 23:49 x
アッキーマッキー さん、
お久しぶりです。
シュンランの群生は、なかなかありませんが、この場所では毎年見かけ
ます。生育に適しているのかもしれませんね。後ほど、貴サイトにもお邪
魔しますね。
Commented by 虫林 at 2008-04-03 23:52 x
ぴくぱ さん、
マイマイは形といい、大きさといい、色といい、なかなかユニークで、小生
は大好きです。ナメクジやミミズも食べるみたいですね。でも、上にも書き
ましたけど、カタツムリを食べないと産卵できないみたいですよ。
マイマイにとってはカタツムリは特別食なのですね。
Commented by アッキーマッキー at 2008-04-04 22:04 x
虫林さん、サイト訪問ありがとうございました。問題のスミレ、葉っぱの形、花の大きさから、ウスバかなと思ったんですが、腑に落ちなかったのはかなり日当りが良い場所に咲いていたことです。再度拡大して、距の形(ずんぐりむっくりしてそりくり返っている)、雌しべの形(かぎ状)から、アオイスミレに間違いないと判断しました。ありがとうございました。
ナガバノスミレサイシン、やっぱりこれだけピンク色はめずらしいでうよね。今週末に周辺を確認してこようかと思ってます。
Commented by 虫林 at 2008-04-04 23:29 x
アッキーマッキー さん、
アオイスミレの白花は僕も間違えた事があるのです。ですからあまり偉そ
うなことはいえませんが、これからは見るとすぐ分かると思いますよ。
ナガバノスミレサイシンはかなり見ているつもりですが、のピンク系の花
はあまり見たことがありません。良かったですね。
Commented by Noreen05 at 2008-04-05 05:40
大和撫子のようなシュンランを雑木林の中で見てみたくなりました。可憐なお花ですね。
今年初撮影のギフチョウおめでとうございます!やはり春はギフチョウからですね~!
車のトラブルでも、冷静にレッカー車を待つ間の撮影は流石!と感心いたしましたぁ。
蝶を追いかけて山道を走る車選びは悩みますね。私も随分と愛車を酷使してしまいました(汗)。
Commented by 虫林 at 2008-04-06 06:19 x
Noreenさん、
シュンランはおっしゃるとおりで可憐な花で、好きです。
ギフチョウはこの時期だけですので、この時期になるとそわそわしてしま
います。でも出会えたときには、毎年ほっとしますね。
車の方はオイルパンでは無さそうで、エンジンがお釈迦になりそうです。
でも幸いにして保険にも入っていたので、それでカバーできそうです。
いずれにしても、山道ではなにが起こるかわかりませんので、Noreen
さんも、どうぞご注意くださいね。
by tyu-rinkazan | 2008-04-01 23:06 | ■甲虫 | Comments(23)