NATURE DIARY

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20080525 里山散歩:ウマノオバチとアカマダラコガネ (山梨県甲府市)

Nature Diary #0173
Place: Kofu-shi, Yamanashi Pref.
Date: May 25th (Sunday)
Weather:Cloudy after rain


<軽トラ>
田植えが終わった水田の横に止まる軽トラ。
自然の風景に機械的な人工物はいただけないが、軽トラはなぜかその存在を許せる車だ。いや、むしろ軽トラがあることで水田の風景が生き生きとしてくるようにも思う(気のせいでしょうか?)。日本の里山の自然、とくに水田風景にこれほど違和感のない車が他にあるだろうか。不思議な魅力を持った車である。

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水田と軽トラ (2008-May-25, 甲府市)

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A lanscape of rice fields with a light truck
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Pentax K10D, Sigma DC 18-50mm F2.8 EX MACRO


§ Diary §

日曜日は午後から雨もあがり、日まで差してきたので、少し遅めではあるが昨日の雑木林を訪れた。雨上がりの雑木林はしっとりとして気持ちがよいが、湿度のためにしばらくすると汗ばんでくる。

ゴマダラチョウ
樹液を出しているコナラの木をまず訪れると、やはりゴマダラチョウが集まっていた。そこで、この木の周囲を飛翔するゴマダラチョウの飛翔写真を撮影することにしたが、午後3時過ぎで曇っているので、飛翔写真を自然光で撮影するにはASA800でも光量が明らかに足りない。そこで外部ストロボを併用してみた。

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ゴマダラチョウの飛翔 (2008-May-25, 甲府市)

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Flying feature of A Japanese Circe
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OLYMPUS E-3, ZD 8mm FISHEYE + X1.4 TELECON (EC14)、External Flash(Olympus FL36R)、Trimming

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。。。。。。。。。。ゴマダラチョウの飛翔 (2008-May-25, 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Flying feature of A Japanese Circe
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。。。。。。。。。。 OLYMPUS E-3, ZD 8mm + EC14、FL36R、Trimming


ヒオドシチョウ
昨日の樹液のポイントには、多くのゴマダラチョウやヤマキマダラヒカゲなどが集まって、樹液を吸っていた。その中に羽化したばかりのヒオドシチョウを見つけた。

翅表の赤橙色の鮮やかさは目を見張るものがあり、鎧の緋縅(ひおどし)の名を冠するに充分な趣がある。しばらくすると夏眠してしまい秋まで出てこない面白いタテハチョウだ。

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ヒオドシチョウの新成虫 (2008-May-25, 甲府市)

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A large Tortoiseshell feeding tree sap on the trunk
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OLYMPUS E-3, ZD 50mm MACRO + X1.4 TELECON (EC14)


ウマノオバチ
コナラの木の幹を見回していたら、尾(産卵管)の異常に長いハチが樹皮の上に静止していた。ウマノオバチだ!かなり以前に、このハチを図鑑で知り、いつか見ることを熱望してきた憧れのハチだ。

まず、50mmマクロにX1.4テレコンで撮影したが、背景がうるさくて特徴的な長くて細い産卵管をうまく表現することができない。そこで、レンズを150mmマクロに変えようとしたがカバンの中にレンズが無い--------そうだ、レンズは車の中だ。オーマイガッ!

しばし考えたが、やはり150mmをとりに戻ることにし、全速力(メタボダッシュ)で車まで走り、レンズを持って引き返した。幸いにしてハチはそのままでいてくれたので、撮影することができた。久しぶりで本気で走ったので、動悸がなかなかおさまらなかった。

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。。。。。。。。。。ウマノオバチ (2008-May-25, 甲府市)

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。。。。。。。。。。 A bee with an extremely long ovipositor, Euurobracon yokohamae
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。。。。。。。。。。 OLYMPUS E-3, Sigma 150mm F2.8 APO MACRO DG HSM、Olympus FL36R


ウマノオバチは名前が示すようにとても長い産卵管(長さは世界で一番長いかもしれない)をもち、ユニークな形態をしている。このハチは環境庁のレッドデータブックで準絶滅危惧種に分類されていて、またいくつかの県では絶滅危惧種に指定されている。個体数は多くないようだ。。

ウマノオハチの尾は、生きているときは1本でまっすぐ伸びている。しかし、図鑑をみると(乾燥標本では)、産卵管は3本でクルリとカールしている(3本のうちの1本が産卵管で2本はそれを支える産卵管鞘らしい)。この虫に関しては、生きているものをみないと本当の姿はわからない。

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ウマノオバチ(2008-May-25, 甲府市)

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A bee with an extremely long ovipositor, Euurobracon yokohamae, on the trunk of quercus serrata
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OLYMPUS E-3, Sigma 150mm MACRO, 外部ストロボ


ウマノオバチは大きさ1cm以上あり、なかなか綺麗だ。しかし、こんな長い産卵管を持っていて飛べるのだろうか?その疑問をとくチャンスはすぐにやってきた、突然、飛んだのだ!

意外に上手にとぶものの、やはり飛翔速度は遅く、ふらふらと飛んで近くの木の葉の上に静止した。そして、うまい具合にまた同じ木の同じ場所に戻ってきたのだ。

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ウマノオバチ(2008-May-25, 甲府市)

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A bee with an extremely long ovipositor, Euurobracon yokohamae, on the trunk of quercus serrata
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OLYMPUS E-3, Sigma 150mm F2.8 APO MACRO DG HSM、Olympus FL36R


みるとこのハチは産卵する場所を探しているようで、樹皮の割れ目を見ながら少しずつ移動していた。そして、その場所を見つけたらしく、頭から中に入っていった。

ウマノオバチはシロスジカミキリの幼虫に産卵するといわれている。

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ウマノオバチ(2008-May-25, 甲府市)

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A bee, Euurobracon yokohamae, entering into the hole of the tree trunk
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OLYMPUS E-3, Sigma 150mm F2.8 APO MACRO DG HSM、Olympus FL36R


ウマノオバチはさらに奥に入ったみたいで、すでにあの長い産卵管の一部しか穴の外に出ていない。内部から木のくずが少し出てきた。内部で幼虫の存在を確かめているのだろうか?

もしも、あの長い産卵管で、シロスジカミキリの幼虫に産卵するならば、体は外に出て、産卵管を内部に入れるはずである。そこで、しばらくの間(20分ほど)、待っていると、穴から再び現れた。その後、今度は産卵管を穴の内部に入れることを期待して待っていたのだが、ハチは突然飛んでしまった。ウーム、残念である。

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ウマノオバチ(2008-May-25, 甲府市)

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A bee, Euurobracon yokohamae, entering into the hole of the tree trunk
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OLYMPUS E-3, Sigma 150mm F2.8 APO MACRO DG HSM、Olympus FL36R


アカマダラコガネ
このコナラの樹液に集まるのは、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウ、ルリタテハ、ヤマキマダラヒカゲなどのチョウばかりではない。ヨツボシオオキスイなどの甲虫も多く、とくに嬉しかったのは稀種アカマダラコガネが樹液を訪れていたことである。

アカマダラコガネは、山梨県以外ではかなり少ないもので、絶滅危惧種としている県も多いと聞く。初夏に出現し、姿を消した後、夏の終わりに再び現れる。暑がりなのかな?

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。。。。。。。。。。コナラの樹液に来たアカマダラコガネ (2008-May-25, 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Poecilophilides rusticola
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。。。。。。。。。。 OLYMPUS E-3, ZD50mm MACRO + X1.4 TELECON (EC14)


アカマダラコガネはまだら模様の斑紋が面白くて、虫の目で撮影して見たいと思っていた昆虫である。早速、Gyorome-8を装着して撮影した。

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樹幹のアカマダラコガネ (2008-May-25, 甲府市)

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Poecilophilides rusticola
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OLYMPUS E-3, ZD50mm MACRO + X1.4 TELECON (EC14)+ Gyorome-8, 内部ストロボ

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アカマダラコガネ (2008-May-25, 甲府市)

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Poecilophilides rusticola
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OLYMPUS E-3, ZD50mm MACRO + X1.4 TELECON (EC14)+ Gyorome-8, 内部ストロボ


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§Afterword§

午後からであったが、何とか面白いものを撮影できた。とくに、長年見ることを憧れてきたウマノオバチは嬉しい。図鑑で見てわかっていても、目の前で実際に見たときには新鮮な驚ろきがあった。このハチは、里山の虫の一つで近年減少しているのが残念だ。
Commented by 蝶山人@昼休み at 2008-05-27 12:19 x
ウマノオバチ
初めて見ました。
カミキリの幼虫に産卵するらしいことは聞いていましたが・・・
日本のファーブルにしか撮れない決定的瞬間ですね。

アカマダラコガネも虫の糞にしか見えないのに
虫の眼レンズだと格好良いですね。
糞虫やテナガコガネ真っ青な格好良さです。

Commented by nomusan at 2008-05-27 12:39 x
ウマノオバチですか・・・初めて見ました。不思議なもんですねぇ・・・。

>日本の自然の中でこれほど水田風景に違和感のない車が他にあるだろうか。不思議な魅力を持った車である。
 御意! 御意! まさに我が意を得たり! でございます。私も里山からちょっとした林道へ行くのにはこの車が最高だと考えております(笑)。
Commented by banyan10 at 2008-05-27 17:15
ヒオドシは随分早いですね。
ゴマダラの飛翔も見事です。飛翔以前に撮影チャンスがなかなかありません。
ウマノオバチは面白いですね。ダッシュでレンズを取りに行った価値のある写真です。
Commented by chochoensis at 2008-05-27 20:06
虫林さん、素晴らしい!!!「ウマノオバチ」・・・小生もたった一度だけ観察したことがありますが、写真には撮れずに悔しい思いをしております・・・特に=全身を入れた写真=はなかなか見るチャンスがなく、もの凄く興奮しました・・・近接撮影も鮮明で素敵ですね・・・。
私もチャンスを授かりたいと思っています・・・。おめでとうございました。
*アカマダラコガネ・・・ピントがシッカリ合っていて素晴らしいです。
Commented by 虫林 at 2008-05-27 23:44 x
蝶山人さん、
ウマノオバチは以前から憧れていたハチですので、目の前に見たときには驚くとともに緊張しました(笑)。アカマダラコガネは虫の目で拡大すると迫力がでました。それまでは----ちょっとね。
Commented by 虫林 at 2008-05-27 23:46 x
nomusanさん、
イヤー嬉しいな!軽トラで同じ価値観を持っている人がいるなんて。軽トラは日本の風景を邪魔しない唯一の車だと思っています。
いつか乗ってみたいな。
Commented by 虫林 at 2008-05-27 23:49 x
banyanさん、
ヒオドシは新鮮で、とても綺麗でした。
ゴマダラは樹液に集まってくるので、その周囲では飛翔写真もそれほど難しくないかもしれません。暗いので、ストロボを使用しました。
ウマノオバチのために100mくらい奪取しましたよ~。疲れました。
Commented by 虫林 at 2008-05-27 23:52 x
chochoensisさん、
有難うございます。ウマノオバチは以前から撮影したと思っていたので、目の前で発見し、撮影できたのはとても嬉しかったです。しかし、ウマノオバチを持続的に見るというわけには行かないでしょうね。
アカマダラコガネも山梨県以外ではなかな見ることができないそうです。
Commented by mhidehide at 2008-05-28 01:10
虫林さん☆ウマノオバチ・・・こんな奇妙な形のハチがいるなんて驚きました。あの長い尾でよくも動きまわれるものですね。産卵の様子もいつか見れるといいな。
アカマダラコガネ、ヨソイキの服ではなく、普段着とか作業着で動き回っている生活者の雰囲気。朴訥な印象がいいですね。
Commented by 深山葵 at 2008-05-28 09:53 x
羽化直後のヒオドシチョウの外縁のルリ色はキベリタテハに通じるものがあるように思います。
ウマノオバチは図鑑でしか見たことがなかったです。
とても感動的ですね。
アカマダラコガネの硬質感がとてもステキです。

以前飛騨の山奥で脱輪して途方にくれている時、地元の軽トラにアシストしてもらって難を逃れたことがありました。
まさに日本の田舎を象徴する必須アイテムだと思います。
Commented by 蝶山人 at 2008-05-28 16:55 x
軽トラでコメント入れ忘れたので一言。
泣く子も黙る2ストロークミッドシップ2シーターですから
ミッドシップ2シーターといえばフェラーリ、ランボルギーニ
そして国内ならMR-SやHONDA S2000などスポーツカー揃い。
軽トラも同じレイアウト引き継いでます。
Commented by 虫林 at 2008-05-29 06:37 x
mhidehideさん、
コメント有難うございます。
ウマノオバチの産卵シーンは今回かなり期待したのですが------。
大体、あの長い尾の先端をどうやって穴の中に入れるのでしょうか?
興味あります。
アカマダラの色彩はなるほど労働者的な雰囲気が感じ取れますね。
mhidehideさんのセンスがすばらしいです。
Commented by 虫林 at 2008-05-29 06:42 x
深山葵さん、
有難うございます。
ヒオドシチョウの新成虫を今までこのようにアップで見ることがなかったのですが、あの青い線の縁取りは素晴らしく綺麗ですよね。たしかにキベリタテハのものに類似するかもしれません。
ウマノオバチはおもしろそうなハチです。もっと見たいのですが------。
軽トラは弱弱しそうで、実はとても強いところが良いですね。そして、日本の里山の必須アイテムになっているのではないでしょうか。
Commented by 虫林 at 2008-05-29 06:47 x
蝶山人さん、
なるほど、軽トラは言われてみれば、ミッドシップ2シーターだ。機構的には、スポーツカーと同じなのですね。これから、ランボルギー軽トラと呼ぼう(笑)。それにしても、蝶山人さんは車にお詳しいですね。恐れ入りました。
Commented by nomusan at 2008-05-29 22:39 x
4~5年前の夏に、隠岐へ行ったのですが、同行の先輩のつてで、地元の方の軽トラをお借りできました。窓全開にして、首にタオルかけて林道を走りました。憧れの軽トラ、しかも地元ナンバーです。いつにもましてその土地に馴染ませてもらったような気がいたしました(笑)。
・・・・しょうもない話しでした・・・。
Commented by 虫林 at 2008-05-30 00:29 x
nomusanさん、
コメント有難うございます。
夏の隠岐で、軽トラを借りて走りまくり、さらに首にタオルをかけて-----。
こりゃ良いですね。ほんとに地元を体験できましたね。
そんな旅行を僕もしてみたいです。軽トラはそんなノスタルジックな思いを起こさせる車ですね。
Commented at 2008-05-30 17:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by fanseab at 2008-05-31 14:32
ウマノオバチ、素晴らしい画像です。この尾の撮影では、ピントを
全面に合わすのも難しいだろうなぁ~等と考えながら、拝見しました。
ヒオドシも結構発生が早くないですか?
Commented by 虫林 at 2008-05-31 20:14 x
fanseabさん、
ウマノオバチは以前から撮影したかったものですので、見たときは大人気なく狂喜しました(笑)。しかし、あの長い産卵管でどうやって木の中のカミキリムシの幼虫に産卵するのかを確かめたかったです。
ヒオドシの新成虫の時期はあまり意識していませんでしたが、幼虫を見守っている愛野緑さんが、まだ蛹だろうということでしたので、かなり早いみたいですね。
外部フラッシュによる飛翔写真は、お蔭様でなんとかできるようになりました。fanseabさんのおかげです。有難うございました。
by tyu-rinkazan | 2008-05-27 02:53 | ■他の昆虫 | Comments(19)