NATURE DIARY

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20080915 秋の武田の杜散歩(山梨県)

Nature Diary #0205
Date: September 15th (Monday), 2008
Place: Kofu-shi, Yamanashi Pref.
Weather:Cloudy



朝からドン曇りで、今にも雨が降ってきそうな天気だ(実際、夕方から雨)。

昼食の後、ゆるゆるとカメラを片手に近くのフィールド「武田の杜」を散歩することにした。武田の杜は冬から春にかけてはしばしば訪れる散歩道だが、とても暑がりの虫林は夏の間はなかなか足が向かなかった。

今回、短時間ではあるが、しばらくぶりでわが散歩道(My field)を楽しんでみよう。


§ Diary §

栃の実; Horse chestnut

今年整備された散策路を歩き始めてまもなく、道のわきに大きな栃の実を見つけた。足で踏んで皮を取ってみると、中から茶色い実が顔を出した。この実は見た感じがちょっと栗に似ていてとても美味しそうに見えるが、アクが強くてそのままでは食べることはできない。

以前に実の内部を舌で少しなめてみたことがあるが、ピリピリして刺激的な味わいだった。こんな実をあく抜きして食べる方法を確立した昔の日本人は、本当に偉いなと食いしん坊の虫林は思う。

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。。。。。。。。。。栃の実 (2008-September-15 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.6, 1/125, EV-0.7, ASA200



カンタン(邯鄲): Oecanthus indicus

クズの葉裏でコオロギの仲間のカンタンを見つけた。    
カンタンはルルルルルル----という連続的でどこかさびしげな声で鳴く秋の虫だ。

カンタンは昔から鳴き声が美しいので、「鳴く虫の女王」といわれている。でも、考えてみれば、鳴くのはオスだけなので、女王と呼ぶのは少し抵抗がある。まあ、ギフチョウはオスでもメスでも「春の女神」と呼ばれているので、この際、野暮なことは言わぬがよかろう。

カンタンは夜に鳴くので、日中にその姿を見ることはそうカンタン(簡単)ではない。

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クズの葉裏のカンタン (2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F3.5, 1/125, EV-0.7, ASA100



センチコガネ Geotrupes laevistriatus

金赤紫色のセンチゴガネを見つけた。

センチコガネは動物の糞に集まる糞虫の仲間である、名前のセンチは「雪隠:せっちん→トイレの意味」からきているらしい-----だとすれば、センチコガネの意味は「便所コガネ」ということになるではないか。うーむ、こりゃあ臭そうな名前である。

せめて手洗いコガネくらいにしてもらいたい----たいして変わらないか。

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センチコガネ (2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F13.0, 1/160, EV-0.7, ASA100 、ストロボ


センチコガネとオオセンチコガネの鑑別は、そう簡単ではない。この個体も体の輝きが強いので、オオセンチコガネかなと思っていた。

最も重要な両者の鑑別点は、前胸背中央部の溝の長さと頭盾と呼ばれる部分のかたちだろう。頭盾の前縁が半円形であればセンチ、やや長めで梯型であればオオセンチである。

この個体は頭盾前縁(→)が半円形なので、センチコガネと同定した。

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センチコガネの頭部前面アップ(2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F13.0, 1/160, EV-0.7, ASA100 、ストロボ、トリミング



メスグロヒョウモン Damora sagana liane

目の前にひらひらとメスグロヒョウモンのメスが飛んできた。黙って蝶の後を目で追っているとソメイヨシノの樹幹に静止した。先週、ミドリヒョウモンの産卵シーンを撮影していたので、それが何を意味するかはすぐにわかった。

あわてて駆け寄って、横位置から産卵シーンを撮影することができた。こんな、高い所に産卵されたら幼虫は苦労するだろうな------と思う。

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メスグロヒョウモンの産卵(2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.6, 1/100, EV-0.7, ASA400



セミ Cicada

曇っているにも関わらず、ミンミンゼミ、ツクツクホウシ、アブラゼミが盛んに鳴いていた。ミンミンゼミに目をやると、なんと数週間前にブログにアップした「ミカドミンミン」だったのには驚いた。やはり甲府盆地ではこの変種の発生率が高いようだ。

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ミカドミンミン(2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.0, 1/50, EV-0.7, ASA200



フキバッタの1種 Parapodisma sp.

フキバッタは翅が退化して飛ぶことができない。したがって、この仲間は種の分化が進んでいて、分類上はたくさんの種(26種)に分けられている。同定にはもっぱら交尾器の形態が重要視されるみたいなので、写真からだけでは難しいようだ。

見つけたフキバッタは、ヤマトフキバッタと言いたいところだが、ここはあまり断定せずにフキバッタの一種ということで逃げるのが賢明かな。

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。。。。。。。。。。フキバッタの1種 (2008-September-15 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F3.2, 1/250, EV-0.7, ASA100


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§Afterword§

しばらくぶりで近くの武田の杜を散歩したが、やはり歩きなれた散歩道は良いものである。とにかく、あわただしかった春から夏のシーズンも終了したので、これからは移りゆく季節を楽しみながら、のんびりと散歩してみよう。


以上、 by 虫林花山
Commented by spatica at 2008-09-18 00:25 x
暑さも収まってきたこの時期はゆるりと散歩するにはいい時期ですね。
カンタンの写真は光の選び方が素晴らしいです。
センチコガネもきれいに色が出ていてストロボ使用とは思えません。
それにしても色が綺麗な個体ですね~。
Commented by banyan10 at 2008-09-18 16:56
センチコガネの区別は勉強になりました。
メスグロの産卵、僕も高い位置で撮影したことがあります。
低くないと卵も探せませんね。
Commented by 虫林 at 2008-09-18 23:16 x
spaticaさん、
有難うございます。
夏も過ぎ、ゆっくりと撮影できる季節になりました。
センチコガネは、輝きが強かったので、オオセンチに違いないと思っていましたが、よく観察するとセンチでした。意外でした。
Commented by 虫林 at 2008-09-18 23:19 x
banyanさん、
センチコガネとオオセンチは体の輝きでは鑑別できないようです。目の弱い僕には肉眼での鑑別は困難で、虫眼鏡が必携です。
そうなんです。メスグロの産卵がもう少し低いといいのですが--.。幼虫が大変ですよね。
Commented by 緑一 at 2008-09-19 02:02 x
私、糞虫も大好きで、なぜか見ていて飽きない。センチにもこんな輝きをするのがいるのですね。私の家の近辺では輝き方でセンチとオオセンチはほぼ区別がつきます。しかし、時々「どちらかな?」と思う個体もあり、頭盾が丸くなっているのがセンチ、富士山のようなのがオオセンチ。「これはいったいどっちだろう」と迷って頭部を見たものは全てセンチコガネでした。
Commented by ヘムレン at 2008-09-19 21:12 x
センチコガネ・・・美しいですね~。見事に輝きをとらえていて、素晴らしいですね。メスグロって、そんなに高いところに卵を産み付けるんですか!初めて知りました。
トチの実で昔、石鹸を作ったことがあったような・・・。。
トチモチが食べたいです!(^^)
Commented by chochoensis at 2008-09-19 22:07 x
虫林さん、さすがに詳しいですね・・・センチコガネとオオセンチコガネの識別・・・とても勉強になります、ありがとうございます。この仲間も難しすぎていつも苦労しています・・・。撮影するときに、頭のほうの画像も撮影するのですが、未だに未熟です・・・。参考になりました・・・。
Commented by ぽんぽこ山本 at 2008-09-20 02:29 x
見事なセンチですね! 九州のレインボーセンチと呼ばれている個体群がありますが、その産地でもこんなに美しい赤は少ないですよ!
青・緑・赤・真っ黒・濃い茶、この5系統の色が見られますので、今度は他の色も紹介してください!期待いたします。【ぽん!】
Commented by 虫林 at 2008-09-20 07:23 x
緑一さん、
コメント有難うございます。
僕もセンチとオオセンチは輝きの違いである程度わかると思ってきました。しかし、こういう個体を見てしまうと体の輝きだけでは区別が難しいですね。
Commented by 虫林 at 2008-09-20 07:28 x
ヘムレンさん、
ありがとうございます。
糞虫は結構美しいので好きです。センチとオオセンチでは、オオセンチのほうが圧倒的にきれいだと思ってきましたが、この個体は今までみたセンチの中では最も美しいものでしょう。メスグロヒョウモンは高い所に卵を産んで、幼虫は大変ですよね。
Commented by 虫林 at 2008-09-20 07:32 x
chochoensisさん、
ありがとうございます。以前にオオセンチらしい個体のことでは失礼しました。今回のような個体を見てしまうと、センチとオオセンチは体の輝きで区別するのは無理ですね。糞虫は結構好きなのでこれからも撮影していきたいと思います。
Commented by 虫林 at 2008-09-20 07:37 x
ぽんぽこ山本さん、
ありがとうございます。
僕もこんなに輝きのセンチを見たのは初めてなので驚きました。
九州にはレインボーセンチというのがいるのですか。初めて聞きました。いつかレインボーを見てみたいです。
色違いのセンチを見かけたら撮影してみますね。
Commented by 蘭丸 at 2008-09-20 11:08 x
ごぶさたしております。
センチコガネの赤型。綺麗ですね。我が家周辺でも、職場でもDeep Purple の個体が多く、『赤』はめったに見る事ができません。
そして、『ミカドミンミン』素晴らしい色ですね。何色と表現したら良いのでしょう。今年も探したのですが、少し「緑」の面積が多い程度の個体しか見る事ができませんでした。
ミヤマフキバッタ属:私も先日撮影しましたが、全く区別出来ません・・・。
これからも、楽しみに見させて頂きます。
Commented by kmkurobe at 2008-09-20 18:49
センチコガネがきれいですね。私は東海地方で子供の頃銅色のものばかりでした。こんな色もいるのですね。カンタンもいちど本物の音色を聞いてみたい物です。
Commented by 虫林 at 2008-09-22 13:55 x
蘭丸さん、
お久しぶりです。
そうですねセンチコガネはDeep Purpleのタイプが一般的で、この個体はとても意外でした。
ミカドミンミンは甲府盆地では結構多いみたいですので、よく探せば見る機会があると思います。是非とも来年当たり、もう一度甲府盆地でお探し下さい。
ミヤマフキバッタは奥が深いみたいで、僕もまったくわかりません。
Commented by 虫林 at 2008-09-22 13:57 x
kmkurobeさん、
コメント有難うございます。
センチコガネの色は多彩で、色彩だけでは同定できないことが今回わかりました。オオセンチは地方によって色が異なるみたいなので、色々な地方の個体を見てみたいです。
カンタンは夕方になれば結構鳴いていますので、是非とも聞いてみてください。なかなか風情のある鳴き声です。
Commented by grassmonblue at 2008-09-22 19:28 x
夏場は my field には足が向きませんね。
いつもながら、話題豊富で、邯鄲ならぬ感嘆して読ませていただいています。
わたしの my field にもたくさん素材があるはずなんですが・・・
Commented by 虫林 at 2008-09-22 21:46 x
grassmonblue さん、
コメント有難うございます。
夏場は暑いのと、他に訪れたい場所が多くて、のんびりと近くのマイフィールドはなかなか訪れる事ができません。
1年を通じてじっくりと観察するのも良いですね。
by tyu-rinkazan | 2008-09-17 23:46 | ▣メスグロヒョウモン | Comments(18)