NATURE DIARY

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20081228 今年最後の散歩道;房総のルーミスシジミ (千葉県)

Nature Diary #0230
Date: December 28th (Sunday), 2008
Place: Bohsoh peninsula, Chiba Pref.
Weather:Fine



【コラム】 ルーミス病
昨年の11月に房総半島に生息するルーミスシジミ(以下、ルーミス)の撮影デビューをめでたく果たし(Nature Diary 124)、以来、不治の病として恐れられる"ルーミス病"に罹患してしまったようだ。

ルーミス病の主症状は、①年末に房総半島に行かないと呼吸困難に陥る、②房総半島の一夜干しのイカ(時価580円)を食べないと不安になる、③駅の「ルミネ」の文字がルーミスに見えてしまう。副症状は、④肥満、⑤高血圧、⑥高脂血症、⑦高尿酸血症、⑧便秘、⑦痔、
(おいおい、これはすべて虫林の持病だろ!)。

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§ Diary §

撮影日記」のダンダラさんのお世話で、「蝶の観察記録」の霧島緑さん、「my蝶あるばむ」のgrassmonblueさんとご一緒して、房総半島にルーミスシジミの撮影に行くことになった。

これが、今年最後の撮影行になるだろう。


ルーミスシジミ; Tailess Bushblue

ルーミスポイントの駐車場には朝10時30分ころに到着した。

チョウのポイントに向かって歩いて行くと、すでに谷の入口付近で2人の先行者がルーミスの開翅写真を熱心に撮影をしていた。みると、ブログ仲間の「フィールドノート」のtheclaさんと「探蝶逍遥記」のfanseabさんだった。これは楽しくなってきたぞ。

お2人がルーミスを撮影していた谷の入り口付近は、日光が長時間あたる「陽だまり」になっていて、風も無い本日のような日では、年末といえども気温15℃(ルーミス活動気温)を超えているように思う。

このルーミスは、意外に活発に行動し、タブなどの常緑樹の葉や下草や地面を交互に飛び回っていた。

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葉上で開翅したルーミスシジミのシルエット (12月28日、房総半島)

A silhouette of Tailess Bushblue resting on the leaf with the wings opened
(Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO + X1.4 Telecon, f13.0, 1/250, EV-1.0, ASA400、トリミング)


大きな葉の上で、開翅するルーミスをみると、一見、ムラサキシジミのメスのようにも見える。しかし、実際の個体はムラシよりもかなり小さく、翅表の青色は、ムラシよりも明るく、空色に近い。

やはり、ルーミスは怪しい魅力を持つ蝶なのだ。

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タブノキの葉上で日光浴するルーミスシジミ (12月28日、房総半島)

A male of Tailess Bushblue resting on the leaf with the wings opened
( Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO + X1.4 Telecon, f13.0, 1/250, EV-1.3, ASA400)


近縁のムラサキシジミやムラサキツバメでは、♂♀は容易に区別できるが、ルーミスの雌雄差は少なくて、♂♀の鑑別は難しいらしい。一般的には、メスのほうが後翅表面の青色部分が広い。

とすると、この写真の個体はメス?

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タブノキの葉上で日光浴するルーミスシジミ (12月28日、房総半島)

A male of Tailess Bushblue resting on the leaf with the wings opened
( Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO + X1.4 Telecon, f13.0, 1/250, EV-1.3, ASA400)

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地上で日光浴するルーミスシジミ (12月28日、房総半島)

A male of Tailess Bushblue resting on the dry leaf with the wings opened
( Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO + X1.4 Telecon, f13.0, 1/250, EV-1.3, ASA400)



ルーミスシジミの集団越冬;

Papilaboさん, clossianaさん, mtanaさんによる ルーミスシジミの越冬集団の発見 のニュースは快挙であろう。是非とも、しかるべきところで、しっかりとした記録に残して欲しいものだ。

今まで我々は、冬のルーミスの越冬態に気づかなかっただけだとすると、来年以降にはルーミスの集団越冬の観察例が増えると思われる。しかし、もともと多数で越冬するものでは無さそうなので、今年のような大型の越冬集団を見ることは極めて難しいかも知れないのだ。

発見者に感謝しつつ撮影させていただく事にした。


ダンダラさんに越冬集団まで案内していただいたが、どこにその集団があるのか俄にはわからなかった。あらためて発見者の眼力(この場合は単に視力とはいえないだろう)に敬意を表したいと思った。

越冬集団は地上4mくらいの葉に形成されていた。

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ルーミスシジミの越冬集団 (12月28日、房総半島)

A group of Tailess Bushblue winter-passing on the leaf at the height of 4m.
(Canon Power Shot、ストロボ)

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ルーミスシジミの越冬集団 (12月28日、房総半島)

A group of Tailess Bushblue winter-passing on the leaf at the height of 4m.
( Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO + X1.4 Telecon, f13.0, 1/250, EV-1.3, ASA400)


越冬集団の個体は重なっているので、正確な数は判別しにくい。でも、色々な角度から検討すると、7頭なのは間違いないようだ。

この集団を形成している葉は、お昼前頃にはスポットライトを浴びる。その後、13時過ぎに木全体が太陽を浴びる。すなわち、越冬集団の部分が最も長く光が当たっているようだ。

ルーミスはスポットライトがお好き?

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。。。。。。。。。。スポットライトが当たる7頭の越冬集団 (12月28日、房総半島)

。。。。。。。。。。A group of Tailess Bushblue getting spot-light.
。。。。。。。。。。(Olympus E-3, ZD8mm + X1.4 Telecon, ASA400、トリミング)


越冬集団まではかなり距離があるので、愛用しているシグマ150mmF2.8 マクロレンズに1.4倍のテレコンをかまして、212mmにした。オリンパスのフォーサーズでは、さらに焦点距離が2倍相当にのびるので、このシステムの実質的な倍率は424mmになるのだ。

オリンパスのカメラ内蔵の手ぶれ補正効果は、5段階とも言われており、かなり強力とされている。こんな時には心強い味方になってくれる。

d0090322_720191.jpg
ルーミスシジミの越冬集団 (12月28日、房総半島)

A group of Tailess Bushblue winter-passing on the leaf at the height of 4m.
( Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO + X1.4 Telecon, f13.0, 1/250, EV-1.3, ASA400)


この集団で最も気がかりなのは、集団を形成している葉の上に、屋根が無いことである。この状態では、雨に直接当たってしまい、凍死してしまうかもしれない。

これからの継続観察の必要性を感じるね。

d0090322_7201688.jpg
ルーミスシジミの越冬集団 (12月28日、房総半島)

A group of Tailess Bushblue winter-passing on the leaf at the height of 4m.
( Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO + X1.4 Telecon, f13.0, 1/250, EV-1.3, ASA400、トリミング)



単独越冬;

Theclaさんが単独越冬の個体を見つけてくれた-----有難い。

この個体は、谷の奥の少し開けた部分に生えているビワの木(?)の葉上だった。ルーミスが越冬する葉は、半分枯れて褐色になっていて、チョウはそのた枯れた部分に静止して動かない。

今までいくつかのブログで書かれてきた枯葉の法則にしたがっていると思われる。

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単独越冬するルーミスシジミ (12月28日、房総半島)

A winter-passing Tailess Bushblue on the leaf at the height of 2m
(Olympus E-3, ZD8mm FISHEYE, f4.6, 1/400, EV-1.3, ASA400)

d0090322_7204940.jpg
単独越冬するルーミスシジミ (12月28日、房総半島)

A winter-passing Tailess Bushblue on the leaf at the height of 2m
(Olympus E-3, ZD50mm MACRO + X1.4 Telecon (EC-14) + Gyorome-8, f22, 1/160, EV-3.3, ASA400, ストロボ)


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§ Afterword §

今年最後の遠征をルーミスで締めた。

山梨から房総半島のルーミスシジミの撮影は、アプローチが長くて時間もかかる。しかし、ルーミスシジミはそれだけの労力に対してもなお余りある魅力を持つチョウだ。さらに、今年のような大きな集団越冬は、来年以降は見ることができない可能性がある。

撮影風景:左からthecla, grassmonblue, fanseab, ダンダラ、霧島緑の各氏

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越冬集団を撮影する各氏 (12月28日、房総半島)

Shooting scene
(Canon Power Shot G10, ASA100)

撮影後は全員で地魚が食べられる回転寿司で遅い昼食を摂り、イカの一夜干しを土産に帰路についた。

遠征のお世話していただいたダンダラさんをはじめ霧島緑さん、grassmonblueさん、そして現地でお会いしたtheclaさんとfanseabさん、今年最後の撮影行を有意義にかつ楽しく締めくくる事ができました。

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なお、今年1年を通して、お蔭様で楽しい撮影を行うことができました。色々な撮影行でご一緒させていただいた方々や現地でお会いした方々に心からの感謝を申し上げます。


以上、 by 虫林花山
Commented by fanseab at 2008-12-30 09:22
遠路はるばるお疲れ様でした。天気にも恵まれて遠征の甲斐がありましたね。小生も初めてのルーミス撮影に興奮し、すぐにルーミス病に感染したようです(笑)また、来年もどこかでご一緒しましょう!
Commented by ヒメオオクワガタ at 2008-12-30 14:35 x
いつも興味深く拝見しております。

ルーミスは、裏面の渋い模様と
表面の鮮やかなメタリックブルー
の対比が絶妙ですね!!
Commented by kenken at 2008-12-30 15:23 x
う~ん、私も感染しておくべきだったか・・・(笑)
見事な保護色の表現が最高です。
来年もどこかのフィールドで遭遇しました折は、よろしくお願いします。
Commented by 蝶山人 at 2008-12-30 16:49 x
御無沙汰です。
こちらはすっかりオフ体制でカメラはしまいこんでいます。
SIGMA150mmF2.8ボケ味も含め良心的価格で素晴らしい性能
愛用しており虫林先輩と同じレンズ心強いです。
郷台畑のT大演習林など入林許可正式に得ることが可能です。
年を改めいずれ御一緒させて頂くこと希望。
来年もフィールドで・・・
同業の大先達にお会いできること楽しみにしております。
Commented by cactuss at 2008-12-30 17:17
山梨からだとかなり遠いですが、お疲れ様でした。
楽しい観察会になり、良かったですね。
ルーミスの開翅はすばらしい色が出ています。
SIGMA150MACROはなかなか良さそうですね。ちょっと迷っています。
Commented by maeda at 2008-12-30 17:44 x
後ろ姿で何人かは同定可能ですね。
楽しそうです。回転寿司をみんなで食するというのがまた良いです。
「⑤高血圧、⑥高脂血症、⑦高尿酸血症」、これ、減量したら治りました。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 18:25 x
fanseabさん、
有難うございます。
何も知らずに現地でお会いできてとても嬉しかったです。さらに、ルーミスの開翅まで撮影できるとは、この時期に予想外の良い成果だと思います。ルーミスは感染しやすいので、是非ともご自愛ください。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 18:28 x
kenkenさん、
コメント有難うございます。
是非とも関東のルーミスに感染してみてください。東京駅からも車とレンタカーを乗り継いでいけるはずですので、来年は自分で試して見ます。
今年は白馬でお会いできて、とても楽しかったです。ことしもどこかでお会いできると思いますのが、その時は宜しくお願いします。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 18:30 x
ヒメオオクワガタさん、
コメント有難うございます。
ルーミスのアオは他のシジミチョウと違って独特で、小生は「ルーミスブルー」と読んでいます。
もし宜しければ、これからも時々お越しください。
宜しくお願いします。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 18:33 x
蝶山人さん、
有難うございます。
シグマの150mmは、僕の最もお気に入りのレンズです。このレンズのボケ味はとくに気に入っていますよ。お互い、このレンズで撮影行にいきたいですね。また、来年にはゆっくりとお話もしたいと思います。
これからも宜しくお願い申し上げます。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 18:36 x
cactussさん、
コメント有難うございます。
僕はどちらかといえば、遠距離が苦手です。でもチョウのためならエンヤコーラといったところですね。
シグマの150mmはオススメですよ(特にオリンパスには)。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 18:38 x
maedaさん、
有難うございます。
maedaさんはすでに何人かの方と会われているのですね。複数の方との撮影行は単独行と異なる魅力があって楽しいですね。いつかはmaedaさんともご一緒しましょう。
減量にチャレンジしなくては-----。
Commented by banyan10 at 2008-12-30 19:05
山梨からだと遠いですが、今回の集団は行く価値がありますね。
一夜干しのイカは食べたことありませんが、週末に行くときは房総名物の花などの模様の太巻きを買って行きます。
Commented by ダンダラ at 2008-12-30 19:12 x
お疲れ様でした。
ルーミスブルー、良い色が出ていますね。
集団越冬の写真もちゃんと撮れていて安心しました。
でもあの集団越冬は難しいですね。私はまだ満足できる写真が撮れていません。
Commented by 霧島緑 at 2008-12-30 22:55 x
先日は大変お世話になりました。今年の締めくくりとしては、申し分ない1日でしたね。
開翅・越冬とも虫林さん独特の構図が良いですね。またシルエットには意表を突かれました。同じ対象物を写しても雰囲気が違って、大変参考になります。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 23:15 x
banyanさん、
有難うございます。今回のような集団は、来年以降に観察できるチャンスは保障できませんよね。7匹の越冬集団はさすがに感激しました。
次回は「花模様の太巻き」を買ってみます。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 23:18 x
ダンダラさん、
色々とお世話になりました。お蔭様で、予想以上の成果があり、大満足の一日でした。待ち合わせ場所を間違えて、ご迷惑をおかけしました。
越冬集団は手持ち撮影ではこのくらいが限界かもしれません。でも、もっと長玉が欲しくなってしまいます。
Commented by 虫林 at 2008-12-30 23:22 x
霧島緑さん、
ご苦労様でした。帰りの車では、寝てしまったようで、申し訳なく思っています。今回のルーミスでは、期待以上の成果があがり驚いています。Gyoromeの特殊効果は、ツボにはまると面白いですね。
Commented by grassmonblue at 2008-12-30 23:30 x
その節は大変ありがとうございました。
現地でも教わるところが多かったですが、画像を拝見すると、同じシーンを撮っているだけに、カメラワークや構成の巧みさを実感しています。
ルーミスですが、まずカタカナ名前になんとないあこがれを抱くところから始まって、希少性や生息環境や生態の特異性に惹かれ、実物を見るにおよんであのライトブルーに魅せられてしまいますね。
Commented by chochoensis at 2008-12-31 09:52 x
虫林さん、随分遠いところまで遠征されたのですね・・・お疲れ様でした。かなりの成果が会ったようで、良かったですね。今年も随分お世話になりました、来年もご縁が出来ますように・・・よろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。
Commented by thecla@ルーミス病患者 at 2008-12-31 15:55 x
先日はお疲れ様でした。
出発時間を聞いて驚きましたが、絶好のタイミングでの現地入りでしたね。
撮影会の時はいつもサボって誰かが見つけてくれるのを待っているタイプの私が、珍しく単独越冬個体を見つけてしまったりしたもので、ルーミス病がさらに悪化しつつあります。
ルーミスブルーには底知れぬ魔力があるようです(^^;
Commented by ヘムレン at 2008-12-31 18:05 x
素晴らしいです!アップ・・集団越冬!ルーミス病は、ほかの病を忘れさせるという「いい」症状もあるようです。こんな写真を撮ってしまっては、ますますはまってしまいそうですね(^^)。。病気・・というより、病気を忘れさせてくれる麻薬・・のようなものの気がします(^^)。。禁断症状・・が怖いですね(^^)
素晴らしい写真をたくさん・・ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
Commented by 虫林 at 2008-12-31 19:35 x
grassmonblueさん、
お疲れ様でした。ご一緒できて楽しかったです。
ルーミスは、この時期ですから開翅までは考えていなかったのですが、ちょうど天気も良くて、色々と撮影できて良かったです。
来年も宜しくお願い申し上げます。
Commented by 虫林 at 2008-12-31 19:38 x
chochoensisさん、
有難うございます。
房総は結構遠いですが、ルーミスの褒美があったので苦になりませんでした。この時期ですからあまり期待していなかったのですが、嬉しい読み違いでした。
今年はchochoensisさんともご一緒できる機会があってよかったです。
来年もどうぞ宜しくお願いします。
Commented by 虫林 at 2008-12-31 19:41 x
theclaさん、
ご苦労様でした。
我々が到着時にちょうど開始時間になったみたいで「良いとこ取り」になってしまい、恐縮します。さらに単独越冬まで見つけていただき、theclaさん様様ですね。この調子で、是非とも来年も宜しくお願いします。
現地でお会いできてとても楽しかったです。
Commented by 虫林 at 2008-12-31 19:43 x
ヘムレンさん、
有難うございます。
なるほどルーミスは病気ではなく、病気や悩みを治す特効薬ということですね。さすがです。仰るとおりで、ルーミスの画像を見ていると心が和み、自然に笑みが出てしまいますね(気持ち悪いか)。
来年もどうぞ宜しくお願いします。
Commented by KAZ at 2008-12-31 19:44 x
一年を締めくくるのに相応しい、すばらしい画像ですね。
ルーミスが撮影出来たばかりか、集団越冬が見られるなんて本当にすばらしいです。
今年は夏に偶然お会いできて、ほんのひと時ながら、楽しい思いでとなりました。
いつかまた、どこかでお会いできることを楽しみにしています。
良いお年をお迎えください。
Commented by 虫林 at 2009-01-01 00:32 x
KAZさん、
コメント有難うございます。
久しぶりに出会えてとても嬉しかったです。
またお会いできると良いですね。
by tyu-rinkazan | 2008-12-30 08:15 | ▣ルーミスシジミ | Comments(28)