NATURE DIARY

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20080124 冬の散歩道:オオオサムシ (山梨県)

Nature Diary #0235
Date: January 24th (Saturday), 2009
Place: Hokuto-shi, Yamanashi Pref.
Weather:cloudy, fair later


§ Diary §

本日は風が強くとても寒い。

こんな天気の日は、ベッドの中で本でも読みながらほっこりとしていたいが、意を決して北杜市明野の雑木林を散歩することにした------というのも、昨日は遠来の旧友と夕食を共にして、ついつい(腹12分目くらい)食べ過ぎてしまったからだ。少しカロリーを消費しないとね。

現地では、雪こそ無いが凍てつく雑木林の中の道を、ポケットに手を入れながらゆっくり歩いた。しばらくすると、突然雲が切れて、南アルプスの秀峰 甲斐駒ケ岳 が三角形の山容を見せてくれた。リンゴ林の向こうに聳える甲斐駒ケ岳は、薄く雪化粧してとても美しい。

深田久弥をして、「日本アルプスで、最も代表的なピラミッド」と言わしめた名山だ。

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甲斐駒ケ岳 (01月24日、北杜市)

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A landscape of Mt. Kaikomagatake
(Olympus E-3, ZD12-60mm)


ここはコナラ、ミズナラ、クヌギの混成林で、春はミヤマセセリ、初夏にはゼフ、晩夏にはゴマシジミが胸をときめかせてくれる。

今は木々が葉を落とし、虫たちの気配は無い。

林の中の小道は落ち葉の絨毯だ。

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雑木林 (01月24日、北杜市)

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A path in Copse
(Olympus E-3, ZD12-60mm)



アイノミドリシジミの越冬卵; Winter-passing egg of Chrysozephyrus brillantinus

シイタケのホダ木にするために伐採されたミズナラの枝先で、アイノミドリシジミの越冬卵を見つけた。冬芽の基部に産み付けられたアイノの越冬卵は、まるで「冬の森の宝石」だ。

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森の宝石:ミズナラの冬芽基部のアイノミドリシジミの越冬卵 (01月24日、北杜市)

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A winter-passing egg of Chrysozephyrus brillantinus would be regarded as “a jewel of forest”
(Olympus E-510, ZD50mm MACRO + X1.4 Telecon: EC-14)



オオオサムシ; Apotomopterus dehaanii

冬に崖を崩したり朽木を壊して越冬中のオサムシを出すことを「オサ堀り」という。

オサムシの仲間は通常、夜行性で、日中に出会うことは少ない。そこで、冬季のオサ堀は彼らに出会う有効な手段なのだ。しかし、彼らが越冬する土手や崖には好みがあって、どこでも掘れば良いというものでもない。

ずいぶん前ではあるが、虫林も一時期オサ掘りに熱中した時期があるので、オサムシたちが好んで越冬する場所は何となくわかるのだ(まあ、あまりアテにはならないが)。

雑木林の中の切り通しの土手を、手くわで少し崩してみると、オサムシの頭部だけが露出した。

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土中で越冬しているオオオサムシ (01月24日、北杜市)

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A walking beetle, Apotomopterus dehaanii, winter-passing in the soil.
(Olympus E-510, ZD50mm MACRO + X1.4 Telecon: EC-14、ストロボ)


土の中から出てきたオサムシは、いつも見るアオオサムシと体型は似ているが、体全体が青色を帯びた黒色だった。大きさもアオオサに比較して少し大きいようだ。

どうやらオオオサムシだ。

オオオサは今まで甲府市内では見たことが無いのでとても新鮮に感じる。図鑑をみると、その分布は山梨県以西となっているので、産しても不思議ではない。ここでは個体数が比較的多いようで、この土手から出てきたオサムシの多くはオオオサだった。

うまい具合に、同じ場所からヒメオサも出て来たので、大きさを比較するために並べて撮影。

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オオオサムシとヒメオサムシ (01月24日、北杜市)

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Apotomopterus dehaanii and Apotomopterus japonicus
(Olympus E-3, ZD12-60mm)

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オオオサムシとヒメオサムシ (01月24日、北杜市)

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Apotomopterus dehaanii and Apotomopterus japonicus
(Olympus E-510, ZD50mm MACRO + X1.4 Telecon)

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オオオサムシ(01月24日、北杜市)

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Apotomopterus dehaanii
(Olympus E-3, ZD12-60mm)


オオオサは、初めのうちは脚をたたんでじっとしていたが、しばらくするとのろのろと歩き始めた。そこで、gyoromeを装着して、虫の目写真を撮影することにした。

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オオオサムシ(01月24日、北杜市)

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Apotomopterus dehaanii
(Olympus E-510, ZD50mm MACRO + X1.4 Telecon + Gyrome-8、ストロボ)

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オオオサムシ(01月24日、北杜市)

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Apotomopterus dehaanii
(Olympus E-510, ZD50mm MACRO + X1.4 Telecon + Gyrome-8、ストロボ)



スズメバチの引越し?;

民家の蔵の屋根下にスズメバチの大きな巣を見つけた。見たところ直径40cmほどもあるようだ。巣は並んで2個あるが、近くで見ると一つの巣(左)は壊れて内部が露出している。

とすると、左が古い巣で、右が新しい(昨年に作られた)巣のようだ。今は女王ハチだけがどこかで越冬し、巣は空のはずである。

キイロスズメバチなのだろうか?リンク)。

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スズメバチの巣(01月24日、北杜市)

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(Olympus E-3, ZD12-60mm)


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§ Afterword §

今まで、平地やせいぜい里山の林でしかオサ掘りをやったことがない。いつか南アルプスや八ヶ岳などの標高が高い場所でオサ掘りを行い、憧れのホソヒメクロオサにも久し振りにあってみたい-----と思うが、寒がりで軟弱な虫林には無理かな。

大寒の時期なので寒いのは仕方がない。
甲府市では、あと1カ月もすればセツブンソウの花が咲く。

*写真はクリックすれば全て拡大できます

以上、 by 虫林花山
Commented by ヒメオオクワガタ at 2009-01-25 16:32 x
夜は活動しない私は、生きたオサムシの仲間をあまり
見たことがありません。
でもたまに出くわすと、蝶とは違う美しさにとても惹かれ
てしまいます。
Commented by banyan10 at 2009-01-25 17:31
オオオサムシは迫力ありますね。
個人的にはヒメオサムシの色彩にも惹かれます。
崖を掘って探す意欲はないので、ここの写真で楽しませてもらっています。
Commented by 緑一 at 2009-01-25 18:02 x
お久しぶりです、大阪の緑一です。いつも虫林さんのブログを楽しく拝見しております。私も“オサ堀”が大好きでして、昨日の崖の方からヤマトオサムシと杉の朽木からマイマイカブリを引っ張り出して楽しんでおりました。オサムシの分類は難しいですね。変異や種分化が激しくてついてゆきません。近畿地方ではヒメオサムシがヤマトオサムシと別種となって分布しないことになってしまっています。大阪の生命誌館や琵琶湖博物館でオサムシの分類について最新情報を集めています。
Commented by 蝶山人 at 2009-01-25 20:10 x
甲斐駒は典型的なコニーデですが
この角度で左肩にある摩利支天が特徴ですね。
クモツキを撮った帰りにいつも仰いでいました。

私の蝶友は東北のヒメギフを採りに行って
オサ掘りならぬ朽木のマイマイ掘りで
素晴らしい色のキタマイマイを収穫していました。
Commented by maeda at 2009-01-25 20:57 x
Gyoromeならではのオサムシの顔ですね。
こんな時、このレンズは威力を発揮するという典型ですね。
Commented by thecla at 2009-01-25 22:46 x
甲斐駒は黒戸尾根を登ってこそと言われますが、やっぱり北沢峠側からがらくちんでいいですね。
最初に登ったのは、南アスーパー林道が開通した年だったでしょうか。
アイノの卵は、真冬に見るとはっとするほど輝いて美しいですね。
Commented by 虫林 at 2009-01-25 23:46 x
ヒメオオオクワガタさん、
オサムシの仲間は、トラップや冬にオサ掘りをしない限りは、日中偶然に見ることはかなり少ないものです。甲虫としては人気の高いグループで、色も美しいものも含まれていて面白いですね。
Commented by 虫林 at 2009-01-25 23:49 x
banyanさん、
オオオサムシは、甲府では初めてお目にかかりましたが、印象よりも大きくて立派でした。ヒメオサムシの赤銅色もいいですね。おっと、そういえば、房総半島のアオオサムシは赤銅色で、確か亜種になっていたと思います。いつかルーミスで房総半島に行くときには、オサ掘りもしてみようかな。
Commented by 虫林 at 2009-01-25 23:52 x
緑一さん、
こちらこそご無沙汰です。そうですか、緑一さんはチョウばかりでなくオサもやるんですね。オサムシはおっしゃるとおりで、同定が難しくて困ります。でも、オサ屋さんにとってはそれも面白いのでしょうね。近畿地方のヒメオサのヤマトオサになったとは知りませんでした。驚きました。貴重な情報を有難うございました。
Commented by 虫林 at 2009-01-25 23:57 x
蝶山人さん、
甲斐駒は遠くからみると優雅に見えますが、摩利支天は近くでみると、ど迫力がありますね。
キタマイマイは、色が素晴らしく綺麗でいつか写真を撮影したいです。キタマイマイは崖よりも朽木で好んで越冬するかもしれませんね。また、東北ではマークオサも見逃せませんよ。
Commented by 虫林 at 2009-01-26 00:01 x
maedaさん、
Gyoromeは、通常のレンズと異なり、昆虫のいきいきとした表情が見えてくるように思えます。このオオオサも、肉食の猛獣のような獰猛さが少しでているかな。今では設定も安定しているので、結構気軽に撮影しています。
Commented by 虫林 at 2009-01-26 00:06 x
thecla さん、
そうですね、甲斐駒は正式には甲斐駒神社でお参りして、黒戸尾根を登るようです。ご存知のように、黒戸尾根は日本でも指折りの難所ですから、小生には無理かなと思っています。北沢峠からでも結構苦しいので---。アイノの卵は、ゼフの越冬卵のなかでも、メスアカと並んで美しいですね。見るたびに小生も感激しています。
Commented by ダンダラ at 2009-01-26 17:19 x
Gyoromeのオオオサは迫力ありますね。
魚眼とかGyoromeは個性的で迫力ある写真が撮れて魅力的ですが、レンズの個性に負けないタフな精神が必要ですね。


Commented by 蘭丸 at 2009-01-26 19:10 x
虫林san、こんばんは。
迫力の顔面UP ですね!!!
そして、アイノの卵画像。私も、寒がっていないで、卵を探さねば。。。
とは、何時も思っているのですが・・・・・。
Olympus から、発売予定の、ツインマクロフラッシュブラケットが、
Nikon のカメラでも使えるそうなので、楽しみです。
Commented by clossiana at 2009-01-27 08:07
子供の頃、ほんの少しの間ですがオサムシに魅かれていました。蝶採集の際に同行の友人が道路を歩いていたオオルリオサを拾ったからです。集めてもいないのに羨ましくて羨ましくてたまりませんでした。彼の手の中で妖しい光を放っていたからです。その頃本でオサ掘りを知りましたが寒いのでやった事はありません。
Commented by kmkurobe at 2009-01-27 19:10 x
お久しぶりですね。オサムシは最後に標本を集めたこともあり一番新鮮に記憶に残っています。オオオサムシはオサ堀りデビュー戦ではじめてゲットした種類でしたね。
場所はなんと今でも有名な谷汲のギフチョウポイントにある水路の護岸・・・・・
マヤサン・オオオサ・マイマイカブリが出てきました。懐かしいですね。
Commented by 虫林 at 2009-01-27 21:37 x
ダンダラさん、
Gyoromeのイメージは、クローズアップすることで昆虫の表情が生き生きとでるように思います。確かに癖があって難しいレンズですが、撮影条件さえ見出せば、意外に気軽の撮影できますよ。
Commented by 虫林 at 2009-01-27 21:40 x
蘭丸さん、
風が強くて寒い日に、散歩に出るには結構な決意が必要です。でも、出てしまえば、それなりに楽しいものです。こちらでは、シイタケのホダ木を作るための伐採が色々な場所でやられているので、ゼフの越冬卵は探しやすいですよ。宝探しかな。
Commented by 虫林 at 2009-01-27 21:43 x
clossianaさん、
オオルリオサやアイヌキンオサは、僕の憧れのオサムシですよ。いつか北海道で、これらのオサムシを撮影してみたいです。また、北海道には、エゾマイマイカブリ、ダイセツオサムシなど、素晴らしいオサムシがいるので、大変です(笑)。いいな~。
Commented by 虫林 at 2009-01-27 21:47 x
kmkurobeさん、
こちらこそご無沙汰しています。
そういえば、kmkurobeさんはオサムシにも造詣が深かったですね。オオオサムシは、甲府市内では見たことがなかったので、出てきたときは難だろうとおもいました。けっこう立派ですね。
またオサ堀りにはまりそうで怖いです(笑)。
Commented by カトカラおんつぁん at 2009-01-30 18:50 x
虫林さん はじめまして。
宮城で蝶と蛾を中心に虫とつきあっている老人虫屋です。
以前からよく拝見していたのですが、すばらしい写真の数々にいつも感嘆しておりました。

東北のオサの話が出てましたので、思わずお邪魔させていただきました。キタマイマイカブリもきれいですが、宮城では、マークオサムシが殆ど見られなくなってきて寂しい想いです。

私の住む県南では、コアオマイマイが採れますが、色合いが変化していて面白いです。マイマイは、崖もですが、切り株や松の倒木の他にも幹の皮の間にも入っているようです。
Commented by 虫林 at 2009-01-30 23:26 x
カトカラおんつぁん
コメント有難うございます。
お褒めいただき恐縮します。
マークオサムシは、岩手で掘り出した事がありますが(25年年前)、当時から少なくなりつつありましたので、現在の宮城では本当に「幻の昆虫」になってしまったのですね-----残念です。
宮城のコアオマイマイもなかなか綺麗でいつか出会ってみたいです。こちらでもヒメマイマイは、昨年、朽木の中から出てきました。マイマイカブリの仲間は崖よりも朽木が好きなのかもしれませんね。貴重な情報を有難うございました。
by tyu-rinkazan | 2009-01-25 15:38 | ■甲虫 | Comments(22)