NATURE DIARY

tyurin.exblog.jp

20090531 曇り空の散歩道:ミズイロオナガ開翅と黒化ベニシジミ (山梨県)

Nature Diary #0256
Date: May 31st (Sunday), 2009
Place: Kofu, Yamanashi Pref.
Weather: Cloud and rain



§ Diary §

31日(日曜日)は天気が悪く、朝から「どん曇り」だ。

そろそろ時期的にクモツキが出る頃だが、この天気はどうみても「クモツキ日和」ではない。そこで、近場のポイントにゼフの様子を見に行くことにした。この時期にはすでにアカ、ウラナミアカは確認しているが、その他のゼフの発生状況も気になるところだ。ちょうど甲府にいらした「撮影日記」のダンダラさんから連絡が入ったのでご一緒していただいた。


ミズイロオナガシジミ; Black-banded Hairstreak

A山のポイントは、ダンダラさんのフランチャイズで、ブドウ畑が広がる丘の上に残されたコナラとクヌギの混成林。時期になればオオミドリシジミがテリ張りする場所があるということだが、実際に冬期にはオオミドリシジミの越冬卵が結構多く観察できた。

しばらく林縁を叩くと、ミズイロオナガシジミが飛び出して葉の上に静止した。
比較的低い場所のイタドリの葉上に静止してくれたので、2人でゆっくりと撮影。

驚いたことには、この個体は翅を開いてくれた

d0090322_5254016.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD8mm, EC-14


ミズイロオナガはなかなか翅を開いてくれないチョウ------という先入観念があったので、曇天の空の下で開翅した時はとても驚いた。むしろ、曇天がこのチョウの開翅に関係しているのかもしれない。

そういえば、以前にもミズイロオナガの開翅を撮影したが、その時も雨が降っていたことを思い出した (ND174 を参照)。

d0090322_5255679.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


この個体は、とても翅を開くのが好きなようで、少し飛んで別な葉に移動しても翅を開いてくれた。
この写真は後翅表面の紋がみえる開き方をした時のもの。

d0090322_526991.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


ミズイロオナガの後翅表面の辺縁に小さな白紋が並ぶ。この紋の発達は個体差があり、発達している個体では、ウスイロオナガに匹敵するほどらしい。この個体は、紋の発達が弱くグレー一色に見える-----グレーのスーツを着た紳士(腹部が太いので淑女かな?)。

尾状突起の先端部分が白く、なかなかオシャレなアクセントになっている。

d0090322_5262266.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


翅裏を拡大した。
前脚をたたんでいるので、4本脚のように見える。

d0090322_5263423.jpg
ミズイロオナガシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings closed
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14



黒化ベニシジミ; Blackened Small Copper

シルビアポイントに立ち寄ったが、すでに端境期になってしまったようで、その姿を見ることができなかった------ウーム、もう少し早くに来るべきだった?

時折、ベニシジミが足もとから飛び出すが、その中に小型で異様な雰囲気の個体がいた。

d0090322_5264910.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf
Olympus E-3, ZD8mm, EC-14

d0090322_52717.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


拡大して観察して見ると、翅裏の黒紋が前後翅ともほぼ消失し、翅の辺縁部が黒化している。いわゆる「流れ」の一種なのだろうか。ウーム、翅表が興味あるところである。

ダンダラさんがパスト連射で、このチョウの飛翔写真を撮影して、翅表を見せてくれた。モニターでみると、翅表が全体に黒化してベニモンカラスシジミのような雰囲気だ。

明らかに異常だ!

d0090322_5271690.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


しかし、この異常型はなかなか翅を開いてくれなかった。よし、こうなったら、チョウとの我慢比べである。(別にチョウの方は我慢しているわけでもないのだが)。

開かぬなら開くまで待とうクロベニシジミ(虫林)。
開けーゴマじゃなかったクロベニ!

開翅を待って30分以上が経過し、そろそろモティベーションが下がってきた時に、チョウは少しモゾモゾとした後、突然、翅を開いてくれた。

翅表をみると、残念な事に少しスレて鱗粉が脱落している。しかし、前翅表の黒紋や橙色の部分はほとんど消失して、明るい春型の面影がないばかりか、夏型よりも明らかに黒い。

d0090322_5272992.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14



クロベニシジミと比較するためのコントロールとして、通常型のベニシジミを同時に撮影してみた。
この個体は後翅に青紋が出現した綺麗な個体だ。

このベニシジミと前述のクロベニが同じ種とは、翅表の色彩からにわかに信じがたい。。

d0090322_5275624.jpg
通常型ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Small Copper, normal type, feeding on the flower
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14



その他; Miscellaneous

d0090322_5281153.jpg
ウラナミアカシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Zebra Hairstreak resting on the leaf
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14

d0090322_5282699.jpg
アカシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Orange Hairstreak resting on the ground
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


d0090322_528391.jpg
シロコブゾウムシ (5月31日、山梨県)

.
Episomus turritus
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, Gyorome

d0090322_5285438.jpg
シロコブゾウムシ (5月31日、山梨県)

.
Episomus turritus
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, Gyorome


**************************************************

§ Afterword §

本日は曇りで、時々小雨がばらつく生憎の天気だったが、面白い場面、貴重な変異種を撮影できたのは嬉しい。この曇天が逆に幸いしたのかも知れないと思う。

先週に引き続きご一緒したダンダラさんと楽しい散歩でした。ご苦労さまでした。
ゼフ叩きはやはり「タモ竿」の方が良さそうですね。検討して見ます。


30日(土曜日)はゴマシジミの保全のための会合(日本チョウ類保全協会主催)が山梨県で開かれたが、虫林は所用(父の卒寿のお祝い)で不在のために今回は欠席した。その会合に参加された方々に敬意を表したい。



以上、 by 虫林花山
Commented by maeda at 2009-06-01 05:59 x
ミズイロオナガの綺麗な開翅に驚いていたら、異常型のベニにすっかり見入ってしまいました。裏面からして異常型の雰囲気が十分に出ていますね。
普通種も侮れません。
Commented by ダンダラ at 2009-06-01 08:47 x
お疲れ様でした。
小雨交じりのあいにくの天気にもかかわらず収穫の多い一日でしたね。
ありがとうこざいました。
ミズイロオナガの開翅は前から撮影したかったので、イタドリの葉に止まったときからそんな予感はしていましたが、それでも撮影のチャンスがめぐってきて驚きました。
ベニの異常型は虫林さんの注意力のおかげですね。
たぶん一人では気がつかなかったと思います。
Commented by たにつち at 2009-06-01 12:45 x
私もmaedaさんのように、ミズイロオナガの綺麗な開翅にいいな~と思っていたら、黒型のベニシジミにびっくりです。
ヨーロッパに似たようなのがいたような?これはまた綺麗ですね。
相変わらず、すごいヒキです。
Commented by banyan10 at 2009-06-01 17:11
僕も今日は曇なのでミズイロの開翅を狙ったのですが、数個体とも開いてくれませんでした。(^^; 綺麗な翅表はとても羨ましいです。そろそろ山地のゼフも発生しそうですね。
ベニの異常型はなんか無気味ですが、すごいですね。
Commented by chochoensis at 2009-06-01 19:47
虫林さん、=ミズイロオナガ=の開翅写真に感激していたら・・・アララ!凄い写真にびっくりです!!!本当に凄い色彩ですね・・・驚いています!!!注意力の差でしょうね・・・私だったら見逃していたとおもいます、すばらしいです・・・。
Commented by maximiechan at 2009-06-01 23:05
ベニシジミは凄いですね。びっくりです。
私が31日に撮影した埼玉のミズイロオナガシジミもわずかの時間でしたが、翅を開いてくれました。後翅の白斑がよく発達した個体でした。
Commented by 蘭丸 at 2009-06-02 06:05 x
おはようございます。
水色の開翅。羨ましく見せて戴いていたら・・・この、ベニシジミはビックリな個体ですね。
採集していた頃なら・・・って、撮影に代わっても、やっぱり涎物です。。。
Commented by 虫林 at 2009-06-02 07:04 x
maedaさん、
有難うございます。
ミズイロオナガの開翅は以前にも撮影していましたが、今回ほどゆっくりと撮影できたのは初めてです。ラッキーでした。ベニシジミの異常型は見つけたときにはとても嬉しかったですね。
Commented by 虫林 at 2009-06-02 07:10 x
ダンダラさん、
ご苦労様でした。
天気はイマイチでしたが、その分、光線の関係で、しっとりとした発色になり嬉しく思います。ミズイロオナガは、ちょうど発生の初期で綺麗な個体でしたね。開翅した時はヤッター!でした。
ベニシジミの異常型の発見は、シルビアシジミがいなかった事も大きいと思います。もしもシルビアシジミが1頭でも見つかったら、ベニシジミに目はいかなかったかもしれません。
楽しい散歩でした。
Commented by 虫林 at 2009-06-02 07:13 x
たにつちさん、
コメント有難うございます。
天気が悪かった割には、面白いシーンが撮影できました。一人で行っていたら、これらのどちらも撮影できたかどうか自信がありません。ラッキーでした。それにしても、このところ週末が天気が悪いのでがっかりですね。
Commented by 虫林 at 2009-06-02 07:19 x
banyanさん、
有難うございます。
ミズイロオナガは初めは翅を閉じていましたが、のんびりと撮影していたら、翅をひらきました。そうですね、静止してから、15分くらいは経過していたと思います。さらに、ミズイロオナガが翅を開くのは、曇り空との関係があるかもしれませんが、以前に、曇り空から日が差したときにも見ています。ベニシジミはラッキーでした。
Commented by 虫林 at 2009-06-02 07:23 x
xhoxhoensisさん、
有難うございます。
ベニシジミの異常型は、シルビアシジミがいなかったことが大きいと思います。注意力がするどいchoxhoensisさんなら、僕よりも発見する確率は高いと思いますよ。でも、天気が悪いときでも、フィールドにでれば、何かは発見できることがわかりました。
Commented by 虫林 at 2009-06-02 07:27 x
maximiechanさん、
有難うございます。
そちらのブログの美しい白紋が発達したミズイロオナガの写真を見せていただきました。同じミズイロオナガなのに、白紋の発達が非常に違うのが良くわかりますね。
面白いものです。
Commented by 虫林 at 2009-06-02 07:30 x
蘭丸さん、
有難うございます。
このときは、ベニシジミ以外のチョウがほとんどいないので、時々飛び立つベニシジミだけを見ていました。もしも、目的のシルビアシジミが飛んでいたら、この異常型の発見はなかったと思います。何が幸いするかわかりません。フィールド散歩はやめられませんね。
Commented by cactuss at 2009-06-02 22:31
日曜日のあの天候でもいろいろと撮影できるものですね。こちらは雨ばかりで、ジャノメチョウ類を撮影できただけです。ミズイロオナガの開翅、ベニシジミの異常型とすばらしいですね。フィールドに出るといろいろと発見できるものですね。
Commented by KAZ at 2009-06-02 22:38 x
こんばんは。
なんと、同じ日にミズイロの開翅を撮影されていたんですね、偶然とは言え面白いものですね。
しかしこのベニシジミは面白いですね、外国産の種を見ている様に錯覚します。
隠れていた遺伝子の発現でしょうか?。
Commented by 虫林 at 2009-06-03 08:08 x
cactussさん、
コメント有り難うございます。
基本的に雨が強くなければ、散歩するようにしています。
曇りの日は光がやわらかいので、撮影には良いのですが、肝心の蝶がなかなか見ることができないのが苦しいところです。
今回は、ラッキーでした。
Commented by 虫林 at 2009-06-03 08:30 x
KAZさん、
コメント有り難うございます。
本当におなじ日にミズイロオナガの開翅を撮影できるなんて面白いです。
やはり開翅しやすい条件が揃ったのかも知れないですね。
ベニシジミの異常型の発見は嬉しかったです。これだから、散歩はやめられません。
Commented by thecla at 2009-06-03 23:28 x
このベニシジミ、ヨーロッパあたりのベニにいそうな感じですね。
同じ日に山梨県内をうろついていて、大した成果もなくSOSしようと思ったのですが、運良くアサマが見つかってSOSしなくて済みました。
でも、こんな変わったベニがいたなら電話したほうが良かったかもとちょっと思っています(^^;
Commented by N at 2009-06-03 23:52 x
 はじめまして、ほんとうに凄い!!すさまじいです。
写真も凄すぎで半端ない美しさ! 驚愕。そして感動しました。

また、お邪魔させてください!
Commented by 虫林 at 2009-06-04 06:06 x
theclaさん、
ヨーロッパには、ベニシジミの仲間(Copper)が多いですね。さしあたり、かなりこれと近いのは、Violet copperあたりかな。
なるほど、電話していただければ、お互いに情報交換ができましたね。
でも、アサマが見つかって何よりでした。これから、アサマやヒメの季節ですから楽しみです。
Commented by 虫林 at 2009-06-04 06:09 x
Nさん、
はじめまして、
そんなお褒め頂くと恐縮です。今回はどういうわけか(ラッキーそのもの)、たまたま面白い写真が撮影できました。こんなことは珍しいですよ。
ぜひとも、これからも宜しくお願い申し上げます。
Commented by mtana2 at 2009-06-05 17:06 x
出歩いていたので、2週間振りのブログ復帰です。
戻ってみたら、もうゼフシーズンも大分進みましたね。
ミズイロオナガの表の白斑、確かにばらつきが多いように思います。
折角開いたときには、できれば斑のはっきりした個体がよいです。
Commented by kmkurobe at 2009-06-05 20:43 x
ベニシジミ面白い。これは良いですね。どなたかも書いてらっしゃいますが、ヨーロッパの雰囲気がありますね。
シロコブゾウムシは小学生の時、名和昆虫研究所主催の採集会で生まれて初めて教えて貰った虫の名前です。どんな虫だったか忘れてしまいましたが、言葉の響きは一生忘れられなものですね。
Commented by grassmonblue at 2009-06-05 21:38 x
ミズイロオナガの開翅、先日遭遇しましたが、高いところで、ゴミ箱を引きずって踏み台にしましたが、やはり十分な高さはとれませんでした。
ベニシジミ異常型、そっくりな画像を一度だけ見ました。(ご存知かと思いますが、北海道の蝶というHPに転載されています。)それとなく注意はしていても簡単に会えるものではないですね。
Commented by clossiana at 2009-06-06 19:04
すっごーく出遅れてしまいました。ミズイロオナガの開翅は見た経験がありません。曇った日にも何度となく見ていますが、いつも閉じたまま佇んでいるところしか見ていません。どんな条件なんでしょうね?黒いベニシジミは凄いですね。今年はダンダラさんの赤い紋から始まってfanseabさんの青い紋、そして今回の黒化型。。。まだまだわからないことだらけですね。
Commented by 虫林 at 2009-06-07 02:55 x
mtanaさん、
お帰りなさい。
季節の変わりはとても速くて驚いています。
ミズイロオナガは低い位置で開いてくれたので嬉しかったです。
紋の有無は好みの問題で、僕はあまりこだわっていません。
Commented by 虫林 at 2009-06-07 03:05 x
kmkurobeさん、
有難うございます。
ベニシジミの流れは初めての経験でした。多分、シルビアがいたら見つけることが出来なかったかもしれません。なにが幸いするかわかりませんね。
シロコブゾウムシは、大きくて立派で、僕も好きです。
Commented by 虫林 at 2009-06-07 03:13 x
grassmonblueさん、
ミズイロオナガは開いても高い所だと悔しですね。今回も高い所で開いたのを見ました。
ホームページのご紹介、有難うございます。
のちほど、見せていただきます。
Commented by 虫林 at 2009-06-09 06:21 x
clossianaさん、
コメント有難うございます。
ミズイロオナガはたまたまこれで2度目の開翅を撮影できましたが、両方とも曇っていました。でも、日が当たった葉の上で翅を開いている場面を何度か目撃していますので、意外に翅を開いているのかもしれませんよ。それにしても不思議なのが、ミズイロオナガはこれだけ個体数がいるのに、交尾を見たことがありません。
わからないことが多くて面白いですね。
by tyu-rinkazan | 2009-06-01 05:46 | ▣ベニシジミ | Comments(30)