NATURE DIARY

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20090628 クロミドリシジミと天牛 (山梨県)

Nature Diary #0261



§ Diary §

週末(土日)は新宿の京王プラザホテルでの学会に出席したために、フィールド散歩はできなかった。少し残念ではあるが、こちらが本職なので仕方がない。

今週のNature Diary (ND)は、今年6月の未公開写真を供覧してみようと思う。



クロミドリシジミ; Copper Hairstreak

今年はチョウ類保全協会のフィールド図鑑用に、クロミドリシジミ(以下、クロミ)の裏面と表面をキチッと撮影しなければならない。そこで、発生初期の新鮮なクロミの♂を撮影するために、6月12日の早朝(出勤前)に、家から車で10分ほどの距離にあるポイントに出かけた。

文字どおり「朝飯前のクロミ撮影」-----だ。

前日の夜は晴天で、放射冷却現象のために朝は気温が下がり、クヌギの木を少し叩いて飛び出したクロミは飛び去ることなく地面に静止してくれた。さらに、日が昇って明るくなると、思惑通りに翅を開いてくれたので一安心。



クロミのオスは黒いけど黒くない------銅色というのが適切だね。
(英名は Copper Hairstreak)。

新鮮なクロミドリのオスの翅表は、他のファボ(Favonius)仲間のミドリシジミ(オオミドリ、ジョウザンミドリなど)のような青いメタリックな輝きは無く、翅全体にダークブラウン(銅色)のベルベットをまとっているように怪しい質感がある。また、面白いのは、よく見ると翅表の辺縁は、他のミドリシジミのように黒い(濃い茶色)帯で縁取られている

地味ではあるが品のある独特の色合いで、「侘びや寂の世界」を理解する虫林は(嘘つけ!)、この落ち着いた色調が好みだ。(この蝶の怪しい美しさは蝶屋以外は理解困難であろう)。

この写真はもちろんトリミングはしていない。厳しいN氏もOKだとよいのだが.....。

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クロミドリシジミ♂開翅 (6月12日、山梨県)

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A male of Copper Hairstreak resting with the wings opened.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


体の大きさに比べて目が大きく、前脚を完全に折りたたんでいるので、脚が4本にみえる。
翅裏の地色も濃い銅色で、その色は他のミドリシジミの翅裏の地色よりも濃い。

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クヌギの葉で休むクロミドリシジミ♂ (6月12日、山梨県)

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A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mmMacro, EC-14


後翅端には大きなオレンジの紋がある。
尾状突起は非常に長い。

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クロミドリシジミ♂ (6月12日、山梨県)

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A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14



カミキリムシ; Long-horned beetle

長野県でのベニモンカラスシジミの撮影(すでにNDにアップ済み)のときに、数種類のカミキリムシを撮影していたが、特別な場合を除いて通常は週一回しか更新しない(更新できない)虫林は、カミキリムシをアップする機会を逸してしまっていた。少し遅すぎた感があるが、ちょうど良い機会なので、供覧することにした。


ポイントの近くのカラムシ(ラミーカミキリの食草)の群落で、ラミーカミキリを見つけた。ラミーカミキリはもともと関西以西に分布するカミキリムシだったが、近年は東進(北上)して山梨県や長野県でも見ることができようになった。甲府市内では、虫林はまだ見つけていないのでとても嬉しい。

谷の上の道脇なので、広角レンズで背景の広がりを意識して撮影した。

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ラミーカミキリ (6月13日、長野県)

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Paraglenea fortunei
Olympus E-3, ZD8mm FIsheye, EC-14

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ラミーカミキリ (6月13日、長野県)

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Paraglenea fortunei
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

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ラミーカミキリの飛翔 (6月13日、長野県)

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Paraglenea fortunei
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、トリミング


ベニカラのポイントで咲いていたウツギの花に来集していた。ミヤマホソハナは山地性のハナカミキリで、ユニークな形態が気に入っているので喜んで撮影した。

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ミヤマホソハナカミキリ (6月13日、長野県)

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Idiostrangalia contracta
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

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ミヤマホソハナカミキリの飛翔 (6月13日、長野県)

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Idiostrangalia contracta
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、トリミング


ススキの葉上でブロウニングカミキリを見つけた。
ブロウニングカミキリが属するSaperdaの仲間には、美しい種類が多いので好きだ

このカミキリは樹上性(クルミなど)なので、木の葉をスィーピングする以外になかなか見る機会が無い。また個体数も多くはなさそうである。

ススキの葉上で見ることができたのはとても幸運だと思う。

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ブロウニングカミキリ (6月13日、長野県)

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Saperda breuningi
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


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§ Afterword §

今週末はフィールドに出ることができなかったので、6月の未公開写真を掲載してみた。
たまにはこんなことも良いかなと思う。

でも、やっぱり週末は散歩したいものだ。

以上、 by 虫林花山
Commented by 蘭丸 at 2009-06-29 18:55 x
虫林san、こんばんは。
クロミドリシジミ、シックな佇まいに感動です。
羽を閉じて静止している姿が様になる種ですね。
翅表を拝めない私には、裏だけでも楽しめそうな種です。
ラミーは、西多摩地区に棲む、友人のフィールドで見る事が出来ますが、
飛んで逃げられる事が多いのに、今まで、飛翔シーンを撮ろうと思わなかった事を、
虫林sanの画像で後悔させられました。。。
次に出逢う機会があれば、私も飛翔写真を是非納めたい。と、思いました。
Commented by 虫林 at 2009-06-29 19:06 x
蘭丸さん、
ありがとう御座います。
週末はフィールドに出ることが出来なかったので、未公開の写真を少し掲載しました。クロミドリの裏面はミドリシジミの中でもかなり綺麗な方だと思います。
ラミーはかなり敏感で、カメラを近づけただけで飛ばれてしまいます。
しかし、食草からそれほど離れるカミキリではないので、朝の気温が比較的低い時間帯であれば、じっとしていますので(葉裏が多いかも)、ゆっくり撮影できます。是非とも朝方(朝9時くらいまでかな)にポイントに出かけられて撮影すると、良い写真が撮影できるかもしれませんよ。
Commented by kmkurobe at 2009-06-29 20:20
ラミーカミキリいたのですね。
どうやら川沿いの明るい空間のようですね。
これがいるなら来年も行ってみようかな・・・・・
Commented by ヘムレン at 2009-06-29 22:20 x
クロミドリは、さすがですね。これは、迫力です。オスは独特な色合いですね。素晴らしいです。
ブロウニングカミキリ・・・綺麗ですね。ミヤマホソハナカミキリも面白い。
見たことがないものばかりで、カミキリは奥が深いです!(^^;)。。
Commented by cactuss at 2009-06-29 22:23
クロミドリの開翅が鮮明に撮影されていますね。これならば、図鑑用には完全に合格ですね。Nさんは厳しいのですか、小生の写真などなかなか採用してもらえないかもしれませんね。クロミドリの開翅を来年、また、挑戦してみたいと思います。
Commented by アッキーマッキー at 2009-06-30 00:13 x
虫林さん、こんばんは
クロミドリシジミ、表もきれいですね。確かに怪しい美しさですね。
ラミーカミキリは正面向くとめちゃユーモラスな顔つきですね。
話は変わりますが、日曜日の朝、僕も東京で雑務してました。午後は、スタートレックの映画を観ました。めっちゃ面白かったです。
Commented by maeda at 2009-06-30 05:58 x
クロミドリの表の光はこの角度では絶対に出ないですよね。ちょっと斜めが良いのですが、それでは図鑑用にはならないですし。
Commented by fanseab at 2009-06-30 07:46 x
課題用クロミの開翅画像、これで駄目出しが出たら罰当りでしょう。平坦な舗装道路でないと、このようなベタ開翅は狙い難いですね。構造色が出る緑系ゼフでは、逆にこのアングルが最適とは言えませんが…。
Commented by 蝶山人 at 2009-06-30 09:04 x
実家の近所に多産したクロミ実は写真は一枚も撮っていません。
最近埼玉などで新産地どんどん見つかっていますが
地元の探索がおろそかになっています。
(この時期クモツキやキマルリが忙しい)
来年は甲府を訪れようかな?
実はクロシジミ、ゴマと並んでクロミドリは一番撮りたかった蝶です。
来年の課題となりました。
裏面眼状紋の上に散らした白色鱗泣かせます。
Commented by furu at 2009-06-30 21:55 x
さすがクロミドリの第一人者の虫林さん、撮影距離の近さが尋常ではないですね。
ラミーカミキリは実家の周辺では一番多く見かけるカミキリですが、クマゼミ、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモンと同様、私が子供の頃には見たことありませんでした。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:23 x
kmkurobeさん、
ラミーカミキリはカラムシという食草のある場所にだけ見られました。かなり狭い場所に棲息していましたが、個体数は少なくありませんでした。
来年でも行かれれば、確実に見ることができると思いますよ。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:25 x
ヘムレンさん、
クロミドリは家の近くの場疎なので、気軽に見ることができますが、朝早くおきなくてはならないのが難点ですね。散歩のヒトも多いし(笑)。
カミキリムシは意識して探さないとやはり見つけることが難しいと思います。最近のヘムレンさんは、伐採枝に集まる色々なカミキリを撮影されていてすごいですね。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:37 x
cactussさん、
今年はご一緒できませんでしたが、クロミドリは降下する場所が問題で、良い場所になかなか下りてくれませんね。でも、Eさんをはじめ、皆さんのクロミドリの撮影、おめでとう御座います。
Nさんはかなり写真に対してのこだわりがあるみたいです。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:40 x
アッキーさん、
コメントありがとう御座います。久しぶりに土日が完全に仕事でつぶれました。かなり今までは無理してフィールドに出ていたのですが、今回は残念でした。アッキーさんも近くにいらっしゃったのですね。
クロミドリの開翅はやっとまともな写真が撮影できました。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:41 x
maedaさん、
仰るとおりで、クロミドリの怪しい輝きはこの角度では表現できません。もう一工夫が必要です。うまく撮影してみたいものです。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:44 x
fanseabさん、
コメントありがとう御座います。
図鑑用の写真は、通常のものと区別して、すこしゆっくりと揃えたほうが良い物ができると思います。アングルもなるべく統一できたらより良いのですが、難しいかな。クロミはこれでOKだと嬉しいのですが----。
アングルはもっと工夫してみる価値がありそうですね。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:47 x
蝶山人さん、
コメントありがとう御座います。
蝶山人さんの住んでいる場所にはクロミが多産すると聞いていましたので、今までかなり撮影されていると思いました。もしよろしければ、来年お越しいただければ、ご一緒したいと思います。楽しみですね。
Commented by 虫林 at 2009-07-01 16:50 x
furuさん、
ありがとう御座います。クロミドリの第一人者なんと過分なお言葉恐縮します。クロミドリは数年前に家の近くに生息しているのがわかり、今や身近な蝶になりました。でも、なかなか撮影に出ることができずにいまして、今回やっとまともな撮影が出来たしだいです。
ラミーは関東でも、公園に棲息するカミキリムシになりさがった見たいですが、以前はこのカミキリにあこがれていました。色々な昆虫たちが北上していて、昔とはかなり異なるようですね。
Commented by chochoensis at 2009-07-02 08:29
虫林さん、素晴らしいです!=クロミドリシジミ=完璧な写真ですね・・・いまの図鑑計画が上手く行くように願っています・・・。ラミーカミキリ・・・昨日、埼玉県:熊谷市にもいました・・・山の方の=カミキリムシ=見た事が無いユニークな姿に唖然としました・・・すばらしいですね!!!
Commented by 虫林 at 2009-07-02 19:09 x
chochoensisさん、
ありがとう御座います。
小生はクロミドリシジミの多産地の中に住んでいますので、この蝶は責任をもってきっちりと撮影してみたくなりました。幸いにして、図鑑に適した撮影が出来たと思っています(少なくとも自分では)。
ラミーカミキリは子供の頃には、関西以西の虫でしたので、図鑑で見ながらあこがれていたものですが、最近は神奈川、東京、さらに埼玉でも見ることができる虫になってしまいましたね。でも、虫の品格は飛び切り高いです。美しいですよね。
by tyu-rinkazan | 2009-06-29 13:04 | ▣クロミドリシジミ | Comments(20)