NATURE DIARY

tyurin.exblog.jp

2011年 07月 05日 ( 1 )

201100703 白馬村散歩:アサマシジミほか

=Mission:Impossible=
日曜日(3日)は、kmkurobeさんと「例のチョウ」の撮影のために北陸方面に行くことにしていました。この企画はなんと数年越しのものなのです。でも、数日前に 「週末は天気があまり芳しくないので、今回のメインターゲットのチョウは無理だろう」 というメールを受け取りました。残念ですが、問題のチョウの撮影はまたまた来年に繰り越しになりました。梅雨時に快晴の条件は ウィークエンド虫屋 には厳しすぎますよね。でも気にしません。故事曰く、人間万事 塞翁が馬---ですからね。

**************************************************

Nature Diary #398

節電対策による暑さのためかそれとも多忙のためか、今年は早々に夏バテ気味です。土曜日は東京で1日厚労省の研究班会議があり、そのままあまり寝ないで白馬に出向きました。でも、蝶友 kmkurobeさんに笑顔で迎えていただき、ネイチャーkendamarさんとも久しぶりの再会でした。白馬は良いところです。


» アサマシジミ; Lycacides subsolana, The Sky Blue
最初のポイント(第一)は、長野県北部のやや標高が高い場所です。そこは食草のエビラフジをまじえるススキの草原で、ゆっくりと観察しながら歩いて行くと、翅表の青鱗が素晴らしく発達したアサマシジミ♂を見ることができました。まるでヤリガタケシジミのような色彩ですが、大きさは通常のアサマシジミとかわりません。

♂はスレがやや目立ちましたが、1頭だけピンシャンの個体をkmkurobeさんが見つけてくれました。
d0090322_6222911.jpg
キンポウゲの花で吸蜜するアサマシジミ (長野県北部第一ポイント、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



第一ポイントから第二ポイントに移動しました。ここは距離にしたら第一ポイントからは数十キロ?離れている程度で、標高は大差無いように思いました(正確には計測していないのでわからないが-----)。

そこのアサマシジミ♂は通常型(下の組み写真の下)で、第一ポイントのアサマシジミ(下の組み写真の上)に比べると青紋の広がりには明らかな差があります。ただ、青紋の面積が少ない通常型の個体でも、山梨県産のものよりは青紋が広いように思えます。
d0090322_2114865.jpg
アサマシジミ♂の地域差 (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



下の写真は第二ポイントで、ネイチャーkendamarさんの長靴に寄ってきたアサマシジミ♂ですが、見ての通りで第一ポイントと同程度に青紋が発達している個体でした。つまり第二ポイントは青紋拡大型と通常型が混在して見られるようです。第二ポイントは両者の境界域にあたるのかも知れませんね。
d0090322_21241.jpg
長靴に絡むアサマシジミ♂ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



この辺りのアサマシジミの食草のエビラフジ は主として日本海側に自生する植物です。青から紫色に変化する美しい花が束状に咲いてなかなか綺麗ですね。エビラフジの名前となっているエビラとは「矢を入れる籠」のことらしいのですが、この花が矢を入れて背負う籠(エビラ)に形が似ているのでその名前が付けられたように思われます。

下の写真はエビラフジの花で吸蜜するアサマシジミの吸蜜シーンを撮影したものです。

実は今回白馬で撮影した写真の中では、このエビラフジの花での吸蜜シーンが最もお気に入りです。
d0090322_2121967.jpg
エビラフジの花で吸蜜するアサマシジミ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




第一ポイントでは、アサマシジミのメスも見ることができました。メスのアサマシジミを良く見ると、前翅表面に橙色の紋が出現するタイプ(下の写真の上)とそれが全く出ないタイプ(下の写真の下)があるようでした。
d0090322_2123362.jpg
アサマシジミ♀ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



アサマシジミの求愛行動は一度ならず見ることが出来ましたが、交尾までには至らなかったのが残念でした。メスが出現するとオスはスレが多くなりますが、生態面では逆に面白いシーンを見ることができます。
d0090322_2124657.jpg
アサマシジミの求愛行動 (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




» メスアカミドリシジミ; Crysozephyrus smaragudinus, The Smaragudinus Green Hairstreak
午前11時近くになったので、メスアカミドリシジミの占有行動を観察するために白馬村内の某所に移動しました。でも、本日は気温が高すぎるせいかなかなかメスアカミドリシジミは現れてくれませんでした。

それでも、少し曇ると活発に占有行動を示してくれました。
d0090322_213083.jpg
メスアカミドリシジミの占有行動 (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400, Trimming (+)

d0090322_2131324.jpg
メスアカミドリシジミの占有行動 (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 300mm F4L IS USM, ASA400, Trimming (+)




» エゾミドリシジミ; Favonius jezoensis, The Jezo Green Hairstreak
d0090322_2132953.jpg
サオに静止しているエゾミドリシジミ♂ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




» コヒョウモンモドキ;
Mellicta ambigua niphona, The Anbiguna Fritillary

d0090322_213442.jpg
コヒョウモンモドキ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400

d0090322_214495.jpg
コヒョウモンモドキ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




» ハッチョウトンボ; Nannophya pygmaea
ハッチョウトンボは日本一小さいトンボとして知られています。

以前から見てみたいと思っていましたが、どういうわけか見る機会がこれまでありませんでした。本日はコヒョウモンモドキの撮影場所に行く途中でこのトンボが生息する沼地に立ち寄ることができました。

初めて見るハッチョウトンボはやはりその小ささがとても印象的でした。下の写真はメスが産卵する上を飛ぶハッチョウトンボの♂を撮影したものです。水面の光が玉ボケとなってなかなか面白い写真にりました。
d0090322_2141872.jpg
飛翔するハッチョウトンボ♂ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400

d0090322_2143611.jpg
ハッチョウトンボ♂ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400

d0090322_2145069.jpg
ハッチョウトンボ♀ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




» マヤサンコブヤハズカミキリ; Masechthistatus furciferus
kmkurobeさんが第一ポイントでコブヤハズカミキリを見つけてくれました。

このあたりは通常のコブヤハズから分けられている「マヤサンコブヤハズカミキリ」と呼ばれる一群で、その中でもmeridionalis と称されるものと思われます。カミキリフリークの虫林には興味ある種類です。

通常のマヤサンコブヤハズであれば、褐色の地に黒い紋がありますが、この個体は雨に濡れたせいでしょうか全体黒色で、地色や紋がまったくわかりませんでした。そこで、別な場所に移して乾かした後にまた撮影しようと不用意に手を出したら下に落ちてしまいました-----ウーム、残念です。
d0090322_215578.jpg
マヤサンコブヤハズカミキリ (長野県北部、7月3日)

.
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



§ Afterword §

今回の白馬散歩では、kmkurobeさんが今まで調査をされた場所をご紹介いただきました。曇り時々晴れという天気にもかかわらず、おかげさまで多くの種類のチョウが観察できました。やはりバテ気味にもかかわらず訪れてみて良かったと思います。また、kmkurobeさんはもちろん同行されたネイチャーkendamarさんとも楽しく撮影できて嬉しく思います。ご苦労様でした。

今回の訪問で観察したチョウたちの中で、青紋が拡がったタイプの高標高のアサマシジミは、アサマニアならずとも興味あるもので、また学術的にも貴重なものだと思われます。棲息場所などに関する問い合わせにはお答えできません。ご理解ください。

今年も「問題のチョウ」は先送りになりましたが、いつか撮影できることを夢見ています。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-07-05 21:26 | Comments(14)