NATURE DIARY

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カテゴリ:■カミキリムシ( 25 )

20170718 富士山の散歩道:ミドリヒメスギカミキリとチャイロヒメコブハナカミキリ


DIARY Vol.11 (749): #13, 2017 :

ミドリヒメスギカミキリという美しくて稀なカミキリの産地は極めて限られていて(栃木県の日光や長野県の一部)、これまで見たことはなかった。しかし、信州で偶然出会った方からこの虫が富士山にも棲息することを教えていただいた。自宅で調べてみると、昨年の「月間むし12月号」の短報特集号(550号, 64pp)に富士山での記録が載っていた。こりゃあ、カミキリ好きの虫林にはたまらないな。いてもたってもいられず、とにかく富士山に出かけてみることにした。


ミドリヒメスギカミキリ(緑姫杉天牛、学名:Callidium kuratai)

現地に到着してみると、そこは植林カラマツ、天然カラマツ、モミなどが混在する森。数年前に伐採されたときに設けられた林道のわきに大きな天然カラマツが見られた。ミドリヒメスギの食樹はカラマツだ。

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----天然カラマツの森
----
(July-19-2017, Yamanashi, Canon EOS M6, EF-M 28mm F3.5 IS STM)


ふとみると、カラマツの樹皮にカミキリムシの姿。
目的のミドリヒメスギカミキリに違いない。

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----樹幹のミドリヒメスギカミキリ
----
(July-19-2017, Yamanashi, Canon EOS 7D M-II, EF8-15mm F4L USM)


大きさや形はは普通種のヒメスギカミキリに似ているが、鞘翅は細かい凹凸があり緑色を帯びる。やはりどことなく只者ではない雰囲気を持っているな。
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----ミドリヒメスギカミキリ
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(July-19-2017, Yamanashi, Canon EOS 7D M-II, EF-S60mm Macro F2.8 USM)


目の前の幹に来たので、さらにアップで撮影できました。
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----ミドリヒメスギカミキリ
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(July-19-2017, Yamanashi, Canon EOS 7D M-II, EF-S60mm Macro F2.8 USM)



チャイロヒメコブハナカミキリ(茶色姫瘤花天牛、学名:Pseudosieversia japonica)

チャイロヒメコブハナカミキリもなかなか出会えないカミキリムシだ。このカミキリは花にも来るが、むしろ大きなカツラの幹のひこばえに来集するといわれている。やや薄暗い林の中の大きなカツラの木を見回ると、いつのまにか木漏れ日が当たる葉の上にひっそりと休むチャイロヒメコブハナを見つけた。

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----チャイロヒメコブハナカミキリ
----
(July-19-2017, Yamanashi, Canon EOS M6, EF-M 28mm F3.5 IS STM)



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----チャイロヒメコブハナカミキリ
----
(July-19-2017, Yamanashi, Canon EOS 7D M-II, EF-S60mm Macro F2.8 USM)



虫眼鏡ノート

これまで蝶の撮影をメインにしてきたが、やはり元カミキリ屋の虫林はカミキリの姿を見つけると胸がどきどきしてしまう。やはり三つ子の魂百までなのかな。カメラで小さなカミキリムシを拡大してしまうと大きさはわからなくなる。つまり、小さな虫をあえて小さく写す努力もしないとね。



Written by 虫林花山


Written by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2017-07-28 22:24 | ■カミキリムシ | Comments(0)

20170717 信州の散歩道:憧れのアカムネハナカミキリ


DIARY Vol.11 (748): #12, 2017 :

昆虫写真を撮影していると、「あの時にもっと撮っておけばよかったな」と思うことがある。それは初めて出会う珍しい昆虫や貴重な生態シーンに遭遇した時などに多い。そんな過去の苦い経験を思い出させる虫の一つがマクロピドニアことアカムネハナカミキリだ。アカムネハナカミキリの産地は極めて限られていて、この虫に出会うためには信州のある場所に行くしかない。今回はその棲息地を散歩してみた。


アカムネハナカミキリ(赤胸花天牛、学名:Macropidonia ruficollis)

朝のうちは涼しかったが、日が高くなるにしたがいとても暑くなってきた。刺すような夏の日差しに目を細めながら、
ホストのクロツバラの木が散在する草原をひたすら歩き回った。

2時間ほど過ぎただろうか、Tシャツに汗がにじむ頃になってやっとススキの葉上に黒っぽいカミキリを見つけた。慌てて近づいてみると、目的のアカムネハナカミキリだった。アカムネハナカミキリは、前胸背の赤と鞘翅の漆黒の鮮やかなコントラストを呈する。このような配色はホタルカミキリ、クビアカモモブトホソ
カミキリ、チャイロホソヒラタカミキリ、クビアカトラカミキリなどがあり、また最近話題のクロジャコウカミキリも同様の色彩だ。

赤と黒は毒虫の警戒色の擬態
かな。


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----アカムネハナカミキリ
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(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF100mm F2.8L IS USM, EF8-15mm F4.0L USM)


メスは何頭か撮影できたものの、オスにはなかなか出会えなかった。
現地で出会ったカミキリ屋の方がクロツバラの木の幹にオスを見つけて呼んでくれ。

メスに比べてオスの体は細身で、触覚が長くて格好が良い。
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----アカムネハナカミキリ♂
----
(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF100mm F2.8L IS USM,)


クロツバラの枝を丁寧にみていくと交尾個体も見つけることができた。
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----アカムネハナカミキリ交尾
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(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF100mm F2.8L IS USM,)



ヌバタマハナカミキリ(射干玉花天牛、学名:Judolidia bangi)

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----ヌバタマハナカミキリ
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(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF100mm F2.8L IS USM)



ウンモンテントウムシ(雲紋瓢虫、学名:Anatis halonis)

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----ウンモンテントウムシ
----
(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF100mm F2.8L IS USM)



ウラジャノメ(裏蛇の目、学名:Lopinga achine)

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----ウラジャノメ
----
(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF100mm F2.8L IS USM)



アイノミドリシジミ(アイノ緑小灰、学名:Chrysozephyrus brillantinus)

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----▶アイノミドリシジミ
----
(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF100mm F2.8L IS USM)



虫眼鏡ノート

久しぶりにアカムネハナカミキリが撮影できました。このカミキリと最後に出会ったのは10年以上も前なので、嬉しくもあり、懐かしくもありだ。このカミキリは稀種という意識があるためか何ともクールで美しく思える。

アカムネハナカミキリの棲息地では、東京と神奈川から来られたというカミキリ屋の方と知り合った。お二人ともいわゆる虫目をお持ちのようで、何頭ものアカムネハナカミキリを見つけたようでした。虫屋というのは、見知らぬ仲であってもすぐに打ち解けて話し込んでしまうから面白い。また、どこかでお会いしましょう。



Written by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2017-07-23 19:35 | ■カミキリムシ | Comments(8)

20170715 白馬の散歩道:久しぶりにコトラカミキリをみた


DIARY Vol.11 (747): #11, 2017 :

ブログ(Nature Diary)は僕のフィールド散歩(昆虫写真)のアーカイフなのだが、今年はこれまで更新がほとんどできませんでした。これからは少しダウンサイジングして定期的に更新していこうと思っています。


コトラカミキリ(小虎天牛、学名:Plagionotus pulcher)

コトラカミキリは小さなトラカミキリという意味だが、けっして小さくない。
むしろトラカミキリの仲間では大型の部類に入る。
最近はなぜか個体数が減ったようで、このカミキリになかなか出会えなかった。
今回、白馬村の道路脇のコナラの材上にその姿を見ることができた。

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----交尾するコトラカミキリ
----
(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF8-15mm F4L USM)


Written by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2017-07-22 21:55 | ■カミキリムシ | Comments(1)

白馬の散歩道:久しぶりにコトラカミキリをみた


DIARY Vol.11 (747): #11, 2017 :

ブログ(Nature Diary)は僕のフィールド散歩(昆虫写真)のアーカイフなのだが、今年はこれまで更新がほとんどできませんでした。これからは少しダウンサイジングして定期的に更新していこうと思っています。


コトラカミキリ(小虎天牛、学名:Plagionotus pulcher)

コトラカミキリは小さなトラカミキリという意味だが、けっして小さくない。
むしろトラカミキリの仲間では大型の部類に入る。
最近はなぜか個体数が減ったようで、このカミキリになかなか出会えなかった。
今回、白馬村の道路脇のコナラの材上にその姿を見ることができた。

d0090322_21540477.jpg
----交尾するコトラカミキリ
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(July-17-2017, Nagano, Canon EOS 7D M-II, EF8-15mm F4L USM)


Written by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2017-07-22 21:55 | ■カミキリムシ | Comments(0)

20160731 南アルプスの散歩道:マッチ棒のようなホソツツリンゴカミキリ

DIARY Vol.11 (725): #21, 2016 :  

いつの間にか8月に入り、ミンミンゼミやアブラゼミの声が聞こえる季節となった。今年も夏の終わりになったことを感じて少し寂しい気分になります。これまでしばらくブログの更新をしていませんでしたが、そろそろ再開しなければと思います。今回はマッチ棒のように細い「ホソツツリンゴカミキリ」に会いに南アルプスの河原を訪れることにしました。。

南アルプスの峪

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広く明るい谷--
Valley of South Alps

July-31-2016, Yamanashi, Canon EOS5D M-III, EF8-15mm Fisheye

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木から木が出ている変な木--
Strange Tree

July-31-2016, Yamanashi, Canon EOS5D M-III, EF8-15mm Fisheye



ホソツツリンゴカミキリ

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----葉上で休むホソツツリンゴカミキリ Oberea nigriventris
------
July-31-2016, Yamanashi, Canon EOS5D M-III, EF8-15mm Fisheye, flash (+)

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----ホソツツリンゴカミキリ Oberea nigriventris
------
July-31-2016, Yamanashi, Canon EOS5D M-III, EF8-15mm Fisheye, flash (+)

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----マッチ棒のようなホソツツリンゴカミキリ Oberea nigriventris
------
July-31-2016, Yamanashi, Canon EOS7D M-II, EF100mm Macro, Twin flash (+)



アカハナカミキリとフタスジハナカミキリの異種間交尾

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----異種間交尾 Mating of different species
------
July-31-2016, Yamanashi, Canon EOS7D M-II, EF100mm Macro, Twin flash (+)



ミドリシジミ

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----ミドリシジミ The Green Hairstreak
------
July-31-2016, Yamanashi, Canon EOS7D M-II, EF100mm Macro, Twin flash (+)



虫眼鏡ノート

これまで数か月もブログを休止していました、やはり時間的な余裕がなかったのがその原因ですが、これからは不定期になるかもしれませんが、ブログを継続していきたいと思っています。ブログにはFBと違った魅力がありますからね。


Written by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2016-08-03 23:08 | ■カミキリムシ | Comments(4)

20160522 富士山麓の散歩道:イワワキセダカコブヤハズカミキリなど

DIARY Vol.11 (724): #20, 2016 :  

<虫屋の魂百まで>
思い起こせば、若い時(高校生)はカミキリムシに傾倒し、当時活発だった京浜昆虫同好会(昔の虫屋さんは知っているね)に入って、大人たちのなかで背伸びしていた(生意気だった)。時は過ぎ、現在では昆虫とは関係がない仕事についているが、週末になると相変わらず虫を追っている。人の本質的な趣味嗜好は、若い時に形成され、年が経ってもほとんど変わりがないのかもしれないな。ということで、本日はFBでお知り合いになった虫虫さんとラスカルさんの甲虫探索行にご一緒させていただいた。


富士山コーラ

最近、道の駅に行くと「ご当地もの」が並んでいることが多い。この道の駅で見つけた「富士山サイダー」、「富士山コーラ」は多分ご当地清涼飲料なのだろう。さっそく、富士山コーラを購入して飲んでみることにした。驚いたことにというか、このコーラはカルピスのような乳白色をしているが、味はまさしくコーラであった。以前、ペプシから季節限定で「ホワイトコーラ」なるものが発売されていたが、富士山コーラもその類なのだろうか。

曰く、「富士にはコーラがよく似合う?」。

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----富士山コーラ--
There were some local products at the Michi-no-eki Narusawa, I bought a “Fuji-san Cola” and took a picture of it in the background of Mt. Fuji

May-22-2016, Yamanashi, Panasonic Lumix CM-10



ゴマダラオトシブミ

途中待ち合わせ場所に向う途中でちょっと寄り道してみた。
クリの葉で揺籃を作るゴマダラオトシブミを見つけた。

今年は春先からオトシブミ類を追っているが、この仲間の中でもゴマダラオトシブミは黄色時に黒い点が鮮やかで、なかなかフォトジェニックな虫だ。彼らの揺籃作りをみると、メスはとても力持ちで、設計図もないのに葉を折りたたんで綺麗に葉を巻いていく。揺籃作りは学習したものではなくて、生まれ持ったものなのだろうか。オスは揺籃作りしているメスの周りをウロウロしているだけで、あまり役にたっていないようだ。むしろ邪魔しているようにみえるから情けないな。

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---- Paroplapoderus pardalis
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May-22-2016, Yamanashi, Canon EOS 6D, EF100mm Macro, Twin flash (+)

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---- Euurobracon jokohamae
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May-22-2016, Yamanashi, Olympus Stylus TG-3 Tough



イワワキセダカコブヤハズカミキリ

ある花を探しながら山の斜面を登った。
結構急な斜面で、日頃の不摂生が身にしみる。

そろそろ汗ばんできた時に、虫虫さんが大きな立ち枯れの幹でセダカコブヤハズカミキリを見つけてくれた。ちょうど大きなサルノコシカケの下で少し薄暗い場所だが、よく見つけたものである。宮下、白州、渡辺らによる「富士山のフジコブとセダカコブの調査報告」によれば、富士山では両種が同所的に混棲するが、セダカコブの分布は狭く、個体数も少ないようだ。ちなみに富士山のセダカコブはイワワキセダカコブヤハズカミキリ(本州:関東中部太平洋側、近畿地方中南部)という名前が付いている。

これまで山梨県産のコブヤハズ3種の中で、セダカコブだけは撮影したことがなかったので喜んで撮影させていただいた。初見の昆虫をみると、どうも冷静になれずに納得する写真を撮るのが難しい。まだまだ未熟ということかな。

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---- Parechthistatus gibber shibatai
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May-22-2016, Yamanashi, Canon EOS 70D, EF8-15mm Fisheye, flash (+)

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---- Parechthistatus gibber shibatai
------
May-22-2016, Yamanashi, Canon EOS 6D, EF100mm Macro, Twin flash (+)



トウカイコルリクワガタ

大きな倒木に腰掛けて、ラスカルさんからオキナワホソコバネカミキリ発見のお話を聞いたり、写真を見せてもらったりしていた。すると、虫虫さんが小さな甲虫を持ってきた。なんとコルリクワガタではないか。昆虫を見つける能力は、人によって大きく差があるようだが、その違いは、経験、知識、性格とともに「センス」が大きな要因になるように思う。虫虫さんはもっていますね。

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---- Platycerus acuticollis takakuwai
------
May-22-2016, Yamanashi, Canon EOS 6D, EF100mm Macro, Twin flash (+)



ルイスクビナガハムシ

別の林道に移動して、ラスカルさんと話しながら歩いていると、虫虫さんが小さなハムシを持ってきてくれた。ラスカルさんによれば、この虫はちょうど話に出たルイスクビナガハムシということだ。美麗かつ局所的なハムシで、その道の愛好者に人気が高いらしい。富士山以外にはなかなかお目にかかれないということなので撮影させていただいた。

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---- Lilioceris lewisi
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May-22-2016, Yamanashi, Canon EOS 6D, EF100mm Macro, Twin flash (+)


オオモンキゴミムシダマシ

サルノコシカケで大きな甲虫を見つけた。てっきりオオキノコムシだと思っていたが、調べてみるとオオモンキゴミムシダマシのようだ。このムシは北海道~九州に分布するが,山地帯に局地的に分布し個体数も少ないとのこと。

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---- Diaperis niponensis
------
May-22-2016, Yamanashi, Canon EOS 6D, EF100mm Macro, Twin flash (+)



虫眼鏡ノート

今回の散歩では、当初目的とした昆虫は撮影できなかった。多分、鹿の食害が影響しているのかもしれない。鹿や猿による自然破壊が富士山ばかりでなく多くの地域で深刻な問題となっている。動物の保護と自然破壊、動物愛護と被害(食害)-----難しいが、我々ナチュラリストが最も感じることができる問題だね。そろそろ真剣に対処しないと取り返しがつかない事態になる。今回は、虫虫さんとラスカルさんにご一緒させていただき、大変楽しい時間を過ごすことができました。感謝します。

春は瞬く間に過ぎ、夏も短い-----うーむ、なんとなく焦ってくるな


Written by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2016-05-30 23:08 | ■カミキリムシ | Comments(8)

20151010 錦秋の山の散歩道:タニグチコブヤハズとタダコブヤハズを探して

DIARY Vol.10 (692): #54, 2015 :  

この時期になると無骨だが可愛い(ぶこ可愛い)コブヤハズカミキリムシの仲間に会いたくなる。このカミキリムシは秋になると枯葉に集まる習性がある。そこで、この連休初日(土曜日)は枯葉に潜むタニグチコブヤハズカミキリ(以下タニグチコブ)とコブヤハズカミキリ(以下タダコブヤハズ)を探索することにした。嬉しいことに、今回も昆虫写真家の花虫さん花と虫の地球)が同行してくれることになった。


錦秋の山

アルプスの谿間にて。

見渡す山肌はダケカンバやブナなどの葉が黄変し、カエデ、ナナカマドなどの紅がそれに複雑に混ざり合って錦のように美しい。写真の下は幹をデコレーションしたようなツタウルシの葉。逆光に色づくカエデ。その光景はまさに「錦秋」と呼ぶにふさわしい艶やかさだ。

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---- 錦秋の山-Autumn mountain

-----(Nagano, 10/October/2015, Canon EOS6D, EF100mm F2.8/L Macro IS USM



タニグチコブヤハズカミキリ

南アルプス前衛の山でタニグチコブヤハズカミキリを探した。

ポイントに到着してマルバダケブキの枯葉をめくっていくと、ほどなく同行の花虫さん(昆虫写真家:花と虫の地球)から「見つけたよ」という声があがった。みると枯葉の中にまさしくタニグチコブヤハズの姿があった。

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---- タニグチコブヤハズカミキリ-Mesechithistatus taniguchii

-----(Nagano, 10/October/2015, Canon EOS70D, EF8-15mm Fisheye F4/L USM


鞘翅の黒紋は水戸黄門の印籠みたいなものだ。

この紋所(黒紋)が目に入らぬか。ここにおわす御方を、どなたと心得る。
こちらにおわすは、タニグチコブヤハズカミキリ様であらせられるぞ。
頭が高い、控えおろう


----と助さん、格さんにいわれそうだ。

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---- タニグチコブヤハズカミキリ-Mesechithistatus taniguchii

-----(Nagano, 10/October/2015, Canon EOS6D, EF100mm F2.8/L Macro IS USM, Macro twin light MT-24EX, Olympus Stylus tough TG-3

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---- タニグチコブヤハズカミキリ-Mesechithistatus taniguchii

-----(Nagano, 10/October/2015, Canon EOS6D, EF100mm F2.8/L Macro IS USM, Macro twin light MT-24EX



タダコブヤハズカミキリ

南アルプスでタニグチコブヤハズを撮影した後、タダコブヤハズ探しに北アルプスの谷に向かった。

到着後、しばらく探したがポイントを絞りきれず見つけることができなかった。場所を移動するために車に帰る途中、林の中の小径で花虫さんが目的のタダコブヤハズを見つけてくれた。

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---- コブヤハズカミキリ-Mesechthistatus binodosus binodosus

-----(Nagano, 10/October/2015, Canon EOS70D, EF8-15mm Fisheye F4/L USM


その後、この場所でさらに♂♀2頭のタダコブヤハズを見つけることができた。

鞘翅に大きなコブがある。
コブヤハズらしいコブヤハズ。

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---- コブヤハズカミキリ-Mesechthistatus binodosus binodosus

-----(Nagano, 10/October/2015, Canon EOS6D, EF100mm F2.8/L Macro IS USM, Macro twin light MT-24EX、Olympus Stylus tough TG-3

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---- コブヤハズカミキリ-Mesechthistatus binodosus binodosus

-----(Nagano, 10/October/2015, Olympus Stylus tough TG-3


??虫眼鏡ノート

僕はもともと天牛虫(カミキリ)屋だったので、コブヤハズカミキリの仲間には特別な興味と憧憬がある。今年はチュウブマヤサンコブヤハズとフジコブヤハズをすでに撮影しているので、今回のタニグチコブヤハズとタダコブヤハズで、中部・関東に分布するコブヤハズカミキリ4種を全て撮影できたことになる。これは コブヤハズ年間グランドスラム Mesechthistatus Grand Slam:MGS) になるのだ。最後に、今回も同行していただいた花虫さんに感謝。

Written by 虫林花山





by tyu-rinkazan | 2015-10-12 00:03 | ■カミキリムシ | Comments(8)

20150927 高原の散歩道:「ゲレンデトノサマバッタ」と「フジコブヤハズカミキリ」に出会う

DIARY Vol.10 (691): #53, 2015 :  

朝晩が涼しくなって、昆虫たちの姿も少なくなってきた。少し寂しいが、自然界の生物にとって晩秋から冬は総じてお休みの季節だ。十分に栄養と休息をとって、きたる春に備えなければならない。ところが、人間は秋でも冬でも変わりなく活動を続けている。これは「大自然の摂理」、「生物共通の生理」に反しているにちがいない-----などとホラを吹いて周囲を煙に巻いているが誰も耳を貸さない。

本日(土曜日)は「ゲレンデトノサマバッタ」に会いに、昆虫写真家のYさんと信州の小さなスキー場に向かった。


高原のスキー場でトノサマバッタに出会う

トノサマバッタといえば、子供の頃に「裏の原っぱで追いかけた虫」だ。ところが八ヶ岳のあるスキー場(標高1800メートル)のゲレンデにはトノサマバッタがたくさん棲息しているという--------うーむ、面白い。


到着してみると、この時期のスキーゲレンデはススキの原。

曇り空で肌寒い。これではトノサマバッタも出てきそうもないが、とにかく探してみることにした。歩き始めてほどなく、Yさんがきれいなトノサマバッタを見つけてくれた--------さすがプロの目(お世辞)。トノサマバッタは本来警戒心が強くてなかなか近づけない虫だが、本日は動きが鈍いようだ。

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---- トノサマバッタ-Locusta

-----(Nagano, 27/September/2015, Canon EOS70D, EF8-15mm F4/L Fisheye USM


TG-3の顕微鏡モードで顔をアップ。
トノサマバッタは「仮面ライダー」(挿入図)。

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---- トノサマバッタ-A close-up image of the face of locusta

-----(Nagano, 27/September/2015, Olympus Stylus TG-3 tough



白樺林とキノコ

フォトジェニックなベニテングダケは白樺林に出るという。そこで、この可愛いキノコを探して白樺林の中をゆっくりと歩いてみたが、残念ながらみることはできなかった。しかし、林の中には色々なキノコが豊富で楽しめた。

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---- 白樺林とキノコ-White birch forest and mushrooms

-----(Nagano, 27/September/2015, Canon EOS6D, EF100mm F2.8/L Macro IS USM



フジコブヤハズカミキリ

白樺林の中にマルバダケブキの群落を発見。葉の一部が枯れて垂れ下がり、いかにもコブヤハズの仲間が入っていそうに見えた。早速、同行のYさんに声をかけて、枯葉を少しめくってみた。

ほどなく、枯葉の中にぶこ可愛いコブヤハズカミキリを見つけた。
鞘翅に大きな白い紋があるのでフジコブヤハズカミキリだ。

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---- フジコブヤハズカミキリ-Mesechthistatus fujisanus

-----(Nagano, 27/September/2015, Olympus Stylus TG-3 tough


TG−3の顕微鏡モードで、フジコブヤハズカミキリを近接深度合成。

この写真は斜めから撮影しているので、翅の表面のゴツゴツ、デコボコした感じがよく出ている。さらに顕微鏡モードでかなり近接しても、深度合成を用いれば背景も写し出すことができるので便利だ。

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---- フジコブヤハズカミキリ-Mesechthistatus fujisanus

-----(Nagano, 27/September/2015, Olympus Stylus TG-3 tough


コブヤハズカミキリの仲間は飛ぶことができない。

そのため、オサムシみたいに地方変異が多い。フジコブヤハズカミキリは南アルプスと八ヶ岳に分布するみたいだが、両者は非連続的な分布を示す。

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---- フジコブヤハズカミキリ-Mesechthistatus fujisanus

-----(Nagano, 22/September/2015, Canon EOS6D, EF100mm Macro F4/L IS USM



??虫眼鏡ノート

秋は学会シーズンなので、あっちへ行ったりこっちへ行ったりとまるで渡り鳥のようだ。昨日(土曜日)も昼はつくば市の国際会議場で開催された学会に出席し、夜は夜で新宿の京王プラザホテルで行われた知人の教授就任パーティに出向いた。当然、帰宅は夜遅くなったが、日曜日は朝からフィールドへ-----。毎日慌ただしい日常の中で、週末のフィールド散歩は「自分を取り戻す時間」になっていると思う。そんな時間を大事にしたいと思います。


Written by 虫林花山





by tyu-rinkazan | 2015-10-02 22:23 | ■カミキリムシ | Comments(6)

20150922 シルバーウィークの散歩道3:ぶこ可愛いマヤサンコブヤハズカミキリを探してブナの森を歩く

DIARY Vol.10 (690): #52, 2015 :  

本日(火曜日)はチュウブマヤサンコブヤハズカミキリ(以下マヤサンコブ)という長ーい名前のちょっと無骨だが何とも可愛い(ぶこ可愛い)カミキリムシを探しに長野県の某所へ遠征することにした。相変わらず「行き当たりばったり、出たとこ勝負の撮影行」だが、とにかく行かないことには百年たっても撮影できないからね。

Cross Finger!


補虫網を持った少年

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途中、白馬村に立ち寄った。

今日は空気が澄みわたってすこぶる気持ちが良いので、少し斜面を登って高い場所から白馬村を見渡した。

雲の間から顔を出した鹿島槍(一番奥の高い山)をみながら秋晴れの村景色を楽しんでいると、長い柄の補虫網を肩に担いだ少年が歩いてきた。

そんな光景をみていると、遠い昔に「虫捕り少年」だった頃の自分の姿が、灰色の脳細胞にある記憶の倉庫からにわかにリトリーブされ、その少年の姿に重ね合わされた。

なんとなく “ピースフル
そこはかとなく “ノスタルジック
どことなく “ほっこり”する。






ブナの森

マヤサンコブが棲息する大きくて豊かなブナの森に到着した。

ブナの太い幹にはヒラタケに似た大きなキノコが付いていた。
ここの木にも、あそこの木にも、ブナの木はキノコだらけだ。

これはヒラタケなどではなく、毒キノコのツキヨタケにちがいない。ツキヨタケの誤食による中毒は毎年のように出ているので注意しないとね。ちなみにツキヨタケのヒダは夜になると緑色に怪しく光るらしい。いつか夜に訪れて怪しく光るツキヨタケを撮影してみてみたいと思う------。

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---- ブナの木とツキヨタケ-A beech tree with moonlight mushrooms

-----(Nagano, 22/September/2015, Canon EOS6D, EF24-70mm F4/L IS USM



オオルリボシヤンマの産卵する池にて

森に囲まれた静かな池には、ヤンマ類がたくさん飛んでいた。
どうやら、大きいヤンマは高地生のオオルリボシヤンマらしい。
しばらく観察すると、メスが岸の近くで盛んに産卵している。
産卵場所の近くで待機しているとかなり近くで広角撮影できた。

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---- オオルリボシヤンマの産卵-A egg-lying dragonfly (Aeshna crenata)

-----(Nagano, 22/September/2015, Canon EOS70D, EF8-15mm F4/L Fisheye USM



チュウブマヤサンコブヤハズカミキリを発見

道路脇に刈られて数日たったと思われる枝を見つけた。
まだ萎れた葉が付いていたので、ゆっくりと見て行く。
ほどなく葉の間にカミキリムシの触角が伸びているのを発見。
うーむ、この触角は目的としているマヤサンコブかな?

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---- チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ♀- A female of Mesechthistatus furciferus meridionalis

-----(Yamanashi, 22/September/2015, Canon EOS6D, EF100mm F2.8/L Macro IS USM


手前の葉を取り除くと無骨だが可愛い(ぶこ可愛い)姿が現れた。
鞘翅の後ろにやや小型の黒い紋------まさしくマヤサンコブの♀だ。

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---- チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ♀- A female of Mesechthistatus furciferus meridionalis

-----(Yamanashi, 22/September/2015, Canon EOS6D, EF100mm F2.8/L Macro IS USM


周りを探すとマヤサンコブの♂も数頭見つけることができた。
ここはマヤサンコブの密度がけっこう濃いみたいだな。
これで、ミッションインポッシブルでなくミッションクリア。
撮影後は、ご当地サイダーの「雪解けサイダー」で祝杯だ。

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---- チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ♂- A male of Mesechthistatus furciferus meridionalis

-----(Yamanashi, 22/September/2015, Canon EOS6D, EF8-15mm F4/L Fisheye USM

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---- チュウブマヤサンコブヤハズカミキリ♂- A male of Mesechthistatus furciferus meridionalis

-----(Yamanashi, 22/September/2015, Olympus Stylus Tough TG-3


??虫眼鏡ノート

鮮やかな原色でピカピカしたムシも良いが、コブヤハズカミキリの仲間ように土色でゴツゴツしているムシも味わい深いものだ。日本の焼き物でいえば美濃焼に近いものかも-----うーむ、どうかな。「侘び寂びの心」がわかる諸兄には、コブヤハズカミキリの良さをきっと理解してもらえるにちがいないと思うがどうだろう。

コブヤハズカミキリの仲間は鞘翅が癒着(退化or 進化?)していて飛べないため、それぞれの地域で色や体つきが異なる。川をはさんで白馬村はただのコブヤハズ地帯でこちらはマヤサンコブヤハズ地帯になる。これまで、この時期にここまで来ることがなかったが、こんかいやっと念願のマヤサンコブを撮影できた。これで中部に産するコブヤハズ4種の撮影ミッションはコンプリートできたことになる。

心残りはセダカコブヤハズだが、これがまたすこぶる異形で「ぶこ可愛い」。こちらは慌てず来年の楽しみに取っておこうと思う。

Written by 虫林花山



by tyu-rinkazan | 2015-09-26 23:36 | ■カミキリムシ | Comments(4)

20150807 ブナの森の散歩道:ソリダの木にて

DIARY Vol.10 (680): #42, 2015 :  

夏休みをとって虫と戯れたいが、相変わらず忙しくて時間が取れない。毎週のように東京と山梨を行ったり来たりしている。こんな暑くて忙しい時のウィークエンドくらいは、涼しい家の中で好きな推理小説でも読みながらのんびりしたくなる。いやいや、とにかくフィールド出よう。夏は残り少ないのだから-----。


ソリダの木にて

カミキリ屋だった虫林は、今でもブナの森の散歩では立ち枯れを目で追ってしまう。
そこに、ソリダがいるかもしれないからだ。
ソリダとはオオホソコバネカミキリNecydalis solidaのことだ。
 
でも、そう簡単にソリダは見ることができない。
それで良いのだ。
憧れの虫に簡単に出会ってはいけない。
憧れの虫に無理やり出会ってはいけない。
会った途端に憧れでなくなるから--------。

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---- ソリダの木-A blighted beech tree of Solida

-----(Otari-mura, 07/August/2015, Canon EOS 70D, EF8-12mm Fisheye



ヒゲナガゴマフカミキリ

ほとんどの昆虫たちは、多かれ少なかれ何かに擬態している。
それは樹皮だったり、枯葉だったり、花だったりする。
ヒゲナガゴマフカミキリの樹皮擬態はトップクラスだろう。
静止していると、まるで樹皮の溶け込んでしまうようだ。

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---- ヒゲナガゴマフカミキリ-Palimna liturata.

-----(Otari-mura, 08/August/2015, Canon EOS70D, 8-12mm Fisheye, TG-3 + ワイコン



ウスバカミキリ

ブナの立ち枯れには大きな穴が多い。
キツツキがつついた穴だろう。
穴の中を覗いてみるとウスバカミキリを見つけた。
相変わらず怪しいやつだ。

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---- ウスバカミキリ-Aegosoma sinicum sinicum

-----(Otari-mura, 08/August/2015, Canon EOS70D, 8-12mm Fisheye, TG-3 + ワイコン



ルリボシカミキリ

この立ち枯れには何頭ものルリボシカミキリが付いていた。
光の加減でこのカミキリは美しく輝く。

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---- ルリボシカミキリ-Rosalia batesi

-----(Otari-mura, 08/August/2015, Canon EOS70D, EF100mm Macro


??虫眼鏡ノート

昨年、信州のブナの森で見つけた立ち枯れ「ソリダの木」に、今年は2度ほど立ち寄ってみた。しかし、これまでオオホソコバネカミキリ(ソリダ)に出会っていない。虫を見つけるセンスが無いのか、眼が悪いのか、個体数が少ないためだろうか、それとも虫林の行いが悪いためだろうか、理由はわからない。多分、虫林の日頃の行いの悪さが問題なのかな。うーむ、反省。

近いうちにまた訪れてみたいと思っている。
虫屋とは健気なものなのだと思う。

Written by 虫林花山





by tyu-rinkazan | 2015-08-11 21:06 | ■カミキリムシ | Comments(1)