NATURE DIARY

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20080923 県南の林道散歩2:ハンミョウ (山梨県)

Nature Diary #0208
Date: September 23rd, 2008
Place: Nanbu-cho, Yamanashi Pref.
Weather:Cloudy and sometime sunshine



§ Diary §

しばらくぶりの晴天で、本日は稲刈り日和のようだ。

トラクターで稲を刈る様子を、座ってじっと見守るお年寄り。ノスタルジックでとても平和な光景だと思う。
--------収穫の候だ。

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。。。。。。。。。。収穫の候 (2008-September-23 南部町)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


道路脇に彼岸花(ヒガンバナ)の大きな群落を見つけた。彼岸花はアルカロイド(リコリン)含む有毒植物で、誤食すると死ぬこともあるらしい。

この花は曼珠沙華という別名の他に、死人花(しびとばな)、地獄花(じごくばな)、幽霊花(ゆうれいばな)などと呼ばれているが、この毒々しい赤色とその有毒性からそんな恐ろしい名前が付いたのだろう。

彼岸花の群落は何となくおどろおどろしい気がする。

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。。。。。。。。。。彼岸花 (2008-September-23 南部町)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-510, ZD8mm FISHEYE + EC-14, ASA200



ハンミョウ; Cicindela japonica

今回の県南の林道散歩の目的はハンミョウの撮影にあった。

林道の脇の裸地で足もとから黒っぽい甲虫が飛び立ち数メートル先の路上に降りた。目を凝らして見てみるとどうやら目的のハンミョウだ。あっさりと見つけてしまった。

ハンミョウは非常に俊敏で、慎重に近づいたつもりでも、1.5mほどの近さまでくるとまるで虫林をあざ笑うかのように飛び立ってしまう。この虫は昔から「道教え」と呼ばれているが、虫林には道を教えなくても良いから少しじっとしていて欲しいものだ。

そんな思いが通じたのだろうか、何とか近づいて近接撮影に成功した。赤と青の模様の中に白い斑点をちりばめ、金属光沢があり、とても美しくフォトゲニック (photogenic) な甲虫だね。

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ハンミョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


ハンミョウと出会うのは何年ぶりであろうか。というのも、甲府市内ではミヤマハンミョウ、ニワハンミョウ、コニワハンミョウは時々見かけるが、未だハンミョウの姿を見たことがないのだ。県南では個体数が多い。

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ハンミョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


ハンミョウは英語で「Tiger Beetle」といわれ、幼虫、成虫ともに肉食性のハンターである。美しい姿とは裏腹に獰猛な性質が垣間見えるのが虫林にはとても魅力的にうつるのだ。

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ハンミョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


正面からハンミョウの頭部を見ると、大きな複眼とともに白くて異様に長い牙をもっている。この牙を見ただけで、この虫が恐ろしいハンターであることがわかるだろう。

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ハンミョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400



オジロアシナガゾウムシ; Mesalcidodes trifidus

クズの葉上で白黒模様のオジロアシナガゾウムシを見つけた。このゾウムシは吻が太くて長いので少しユーモラスな癒し系の甲虫で、色彩から「パンダゾウムシ」と呼びたくなってしまう。

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オジロアシナガゾウムシ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400



センノカミキリ; Acalolepta luxuriosa

数本の直径5cmほどのセンノキの衰弱木にセンノカミキリが来集していた。かなり大型のカミキリムシだが、保護色になっているのでうっかりすると見逃してしまう。

オスは触覚が長くて立派だ。

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センノカミキリ♂ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


しばらく別な場所で撮影した後に再びセンノキのところに戻ってみると、驚いたことにセンノカミキリが交尾していた。時期的にはかなり遅いと思われる9月下旬でも結構多くの個体が見られたのは意外であった。

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センノカミキリの交尾 (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


真っ白なクリームに塗り込められたようなセンノカミキリの死骸を見つけた。以前にもこのように白くなったカミキリの死骸を見たことがある。

この白いクリームのようなものはカビの1種でたぶんボーベリア菌だろう。ボーベリア菌は昆虫に寄生し、その生長に伴ってその宿主を殺すそうだ。松の大害虫であるマツノマダラカミキリの駆除のために生物農薬として空中散歩されたことがある。

ボーベリア菌は昆虫にとっては恐ろしいカビ(真菌)のようだ。

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カビに犯されたセンノカミキリ(2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


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§Afterword§

今回の県南散歩は、ハンミョウの撮影が本来の目的だった。思惑どおり、多くのハンミョウが虫林を迎えてくれた。ハンミョウは綺麗なのでこれからも撮影してみたい。

秋分の日は昼と夜の長さが同じになるというが、日に日に昼が短くなっていくのがわかる。
さびしいが、多くの生物には冬の休養が必要なのだ。虫林にもね。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-25 23:46 | ■甲虫 | Comments(6)

20080923 県南の林道散歩:黒いクロコノマチョウ (山梨県)

Nature Diary #0207
Date: September 23rd, 2008
Place: Nanbu-cho, Yamanashi Pref.
Weather:Cloudy and sometime sunshine



§ Diary §

本日は秋分の日。
しばらくぶりで国道52号を南下した。

南部町の林道入口に車を止めて歩き始めると、多くの蝶たちが飛び出してくる。今日は久し振りに良い天気なので、今まで欲求不満だった蝶たちがいっせいに飛び出したようだ。



ウラギンシジミ; Angled Sunbeam

林道上にはウラギンシジミがとても多い。

ウラギンはその名の通り純白の翅裏をチラチラと点滅させて飛ぶ。この白い点滅は非常にめだち、樹上を飛翔しているウラギンはかなり遠くからでも視認できる。こんなに目立って鳥に食べられたりしないのだろうか?---------と「他人事」いな「他チョウ事」ながら心配してしまう。

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ウラギンシジミ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


葉上に静止したウラギンを見ていたらゆっくりと翅を開いてくれた。目の前に現れた翅表のオレンジはとても鮮やかで息を飲む美しさだった。まるで葉上に花が咲いたようである。
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ウラギンシジミ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400



クロコノマチョウ; Dark Evening Brown

ハンミョウを追って林道から少し外れた時に大きな褐色のチョウが飛び出した。大きさの印象はオオヒカゲほどもあろうか。クロコノマチョウだ!

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クロコノマチョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


ここはクロコノマの密度が高い場所のようで、驚いたことに10頭ほどの個体が物陰から飛び出した。虫林はこれほど多数のクロコノマを一度に見るとは、ここが南国のような妙な気持になった。
まだ認知症なるには早すぎる。

翅裏の色調はかなり多彩で、褐色のものから黒っぽい色のものまで見ることができた。

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クロコノマチョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


サプライズはまだ続いた。クロコノマの後を追って、土手を下り河原に出てみると、ススキの葉裏にクロコノマを見つけた。このチョウはほとんど動く様子がない。しかし、どうも様子が変だ。

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クロコノマチョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-510, ZD 8mm MACRO + Telecon (EC-14), ASA200 、ストロボ


拡大して見ると、チョウの裏側に蛹の殻があるではないか!
このチョウは羽化直後の個体だったのだ。

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羽化直後のクロコノマチョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


もっと驚いたのは、傍のススキの葉裏に、蛹殻の傍に静止した羽化直後の別なクロコノマを見つけたことだ。1日で2回もこのような場面に出くわすなんて運が良いね。

久しぶりの晴天で気温が上昇し(発見時はおおむね正午)、今まで羽化待機していた蝶たちがいっせいに羽化したのだろうか。

2頭目の羽化直個体は、見たとたん異様な雰囲気がした。
明らか黒化しているようなのだ(黒化型?)。この個体はとにかく黒いので、カラスクロコノマという名前にしようかと思ったが「マックロクロスケ」の方がかわいいのでそちらにした(勝手にせい)。

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黒いクロコノマチョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


このマックロクロスケは突然飛んで、近くの葉上に静止したので、E-510に広角レンズと外部ストロボを装着して、弱いストロボ光を用いて撮影してみた。

クロコノマだから黒くても良い気がするが、それにしても本当に黒い------。

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黒いクロコノマチョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-510, ZD 8mm MACRO + Telecon (EC-14), ASA200 、ストロボ


マックロクロスケが飛び去った後に葉裏に残された蛹の抜け殻を撮影して見た。

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クロコノマチョウの蛹殻 (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-510, ZD 8mm MACRO + Telecon (EC-14), ASA200 、ストロボ



ツマグロキチョウ; Angulated Grass Yellow

南部町はツマグロキチョウが棲息している。飛んでいる黄色い蝶に気を配って歩いたが、キチョウばかりで、ツマグロキチョウはなかなか見つけることが出来なかった。

キチョウの集団吸水を撮影していた時に、近くの草上にそれらしいチョウを見つけた。走り寄って確認するとやはりツマグロキチョウだった。もう秋型になっている。

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ツマグロキチョウ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400



ナガサキアゲハ; Great Marmon

林道を歩いていた時に、大きな黒いアゲハチョウが目の前を横切ったが、そのチョウは尾状突起が無かった-----ナガサキアゲハかもしれないと思った。

その後、樹上に静止しているナガサキアゲハらしき個体を撮影したが、少し遠かったので目に自信がない虫林は、それがナガサキアゲハであることをその時は確信できなかった。

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ナガサキアゲハ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400


ヒガンバナで吸蜜している正真正銘のナガサキアゲハのオスを撮影することができた

ナガサキアゲハは静岡県ではすでに広く分布し、山梨県にも進出しているという噂は耳にしていたが、虫林は実際に県内でこのチョウを見るのは初めてだったので驚いた。

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ナガサキアゲハ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400



オナガアゲハ; Long tail Spangle

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オナガアゲハ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400



モンキアゲハ; Red Helen

モンキアゲハは山梨県でも見かけることがあるが、少ないので一応撮影しておいた。

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モンキアゲハ (2008-September-23 南部町)

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Olympus E-3, Sigma 150mm, ASA400



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§Afterword§

今回の県南散歩は、ハンミョウの撮影が本来の目的だったが、多数のクロコノマやナガサキアゲハなどを見ることができ、まるで南国を歩いているような気分になった。

これも温暖化の影響なのだろうか。

蛹殻の傍で静止しているクロコノマの羽化直の個体を2頭も偶然に見つけることができたのはとても驚いたが、その内の1頭は真っ黒だったのでさらに驚いた。これほど黒いクロコノマチョウは写真でも見たことはない。このマックロクロスケの翅表も見たかった。

今回はハンミョウなどの甲虫類もいくつか撮影したので、近いうちにそちらもアップしてみたい。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-24 01:49 | ▣クロコノマチョウ | Comments(24)

20080921 武田神社の林散歩 (山梨県)

Nature Diary #0206
Date: September 21st, 2008
Place: Kofu-shi, Yamanashi Pref.
Weather:Cloudy and rain



§ Diary §

土曜日の夜に東京からもどり、日曜日の朝は少しゆっくりと起きた。朝食を食べながら窓の外をみるとドン曇りだ。台風の去った後は良い天気(台風一過)になるはずだがおかしいね。

朝食後、家内の用事に付き合って甲府市の北にある武田神社の近くまで行った。この武田神社は、戦国時代の武将「武田信玄」を奉った神社で、参拝すると「勝運」のご利益があるといわれている。そこで、近くまで来たついでに神社の境内にいって参拝した後、カメラを片手に神社の林の中をぶらぶらと散策することにした。2時間ほどあるので散歩にはちょうど良いだろう。



バニバナボロギク; Crassocephalm crepidioides

林をぬけて明るい草はらにでると、綺麗な冠毛をつけた植物を見つけた。どうやらバニバナボロギクの冠毛みたいだ。この冠毛はタンポポのものにも似ているが、タンポポのように綺麗に整列していない。綺麗なのでストロボを用いて接写してみた。

バニバナボロギクはアフリカ原産の植物で、戦後九州に入って急速に関東まで広がった外来植物のひとつである。このボロギクの仲間は山火事の後によく生えるので、アメリカでは「火の草:fire weed」と呼ばれるらしい。河川敷の野焼きの後にも繁茂するのだろうか。

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ベニバナボロギクの冠毛 (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, ZD50mm MACRO, Telecon(EC-14), F5, 1/160, EV0.0, ASA200 、ストロボ



アカタテハ; Vanessa indica

小道の上に先日のゲリラ豪雨で落ちたと思われる柿の実が沢山あった。そっと近づいてみると、そのうちのいくつかにアカタテハとウラギンシジミが吸汁していた。ウラギンシジミは敏感で、すぐに気配を感じて飛び去ったが、アカタテハの方は少しだけ撮影させてくれた。

アカタテハは秋になると多くみられるチョウだ。こちらでは秋にはヒメアカタテハの方が圧倒的に多く、アカタテハはヒメに比べると見る機会が格段に少ない。どちらも身近な秋のチョウであることには変わりない。

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落柿で吸汁するアカタテハ (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma150mm MACRO, F2.8, 1/1250, EV-0.7, ASA200

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開翅したアカタテハ (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma150mm MACRO, F2.8, 1/1600, EV-0.7, ASA200



スナゴミムシダマシ; Gonocephalum perslmlle

下草に静止している黒っぽい甲虫を見つけた。初めはハムシの仲間と思っていたが、這いつくばってよく見るとどうやらゴミムシダマシの仲間のようだった。

帰宅後に図鑑で調べてスナゴミムシダマシによく似ているが、大きさはスナゴミムシダマシよりも明らかに小さかったので、ヒメスナゴミムシダマシだろうと思う。

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ヒメスナゴミムシダマシ (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, ZD50mm MACRO, Telecon(EC-14), F5, 1/160, EV-0.7, ASA200、ストロボ



シマハナアブ; Eristalis cerealis

草むらの上に目をやるとアブの仲間のシマハナアブがホバリングしていた。しばらく見ていたが、かなり長い時間同じ場所でホバリングしているので、望遠マクロで撮影して見た。曇っているためにシャッタースピードを上げられないので、翅を止めることはできない。

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シマハナアブのホバリング (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma150mm MACRO, F3.5, 1/1250, EV-1.3, ASA200、トリミング

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シマハナアブのホバリング (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma150mm MACRO, F5.6, 1/400, EV-2.0, ASA200 、トリミング



キマワリ; Gonocephalum perslmlle


朽木についたキノコ(?)の仲間をキマワリが摂食していた。とても暗い場所なのでストロボを用いた。キマワリはいつ見ても怪しげな甲虫である。

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キマワリ (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, ZD50mm MACRO, Telecon(EC-14), F5, 1/160, EV0.0, ASA200、ストロボ

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キマワリ (2008-September-21 甲府市)

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Olympus E-3, ZD50mm MACRO, Telecon(EC-14), F11, 1/160, EV0.0, ASA200、ストロボ


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§Afterword§

武田神社の森の木は大きくて、内部はやや薄暗く、昆虫の観察にはあまり向いていないようだ。でも、ゆっくりと散歩するとそれなりに昆虫たちは姿を見せてくれた。こんな身近な昆虫たちを撮影するのも気楽で良いものだね。

昼食を食べていたら、強い雨が降り出した。ウーム、気分がめいる。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-22 21:34 | ▣アカタテハ | Comments(4)

20080915 秋の武田の杜散歩(山梨県)

Nature Diary #0205
Date: September 15th (Monday), 2008
Place: Kofu-shi, Yamanashi Pref.
Weather:Cloudy



朝からドン曇りで、今にも雨が降ってきそうな天気だ(実際、夕方から雨)。

昼食の後、ゆるゆるとカメラを片手に近くのフィールド「武田の杜」を散歩することにした。武田の杜は冬から春にかけてはしばしば訪れる散歩道だが、とても暑がりの虫林は夏の間はなかなか足が向かなかった。

今回、短時間ではあるが、しばらくぶりでわが散歩道(My field)を楽しんでみよう。


§ Diary §

栃の実; Horse chestnut

今年整備された散策路を歩き始めてまもなく、道のわきに大きな栃の実を見つけた。足で踏んで皮を取ってみると、中から茶色い実が顔を出した。この実は見た感じがちょっと栗に似ていてとても美味しそうに見えるが、アクが強くてそのままでは食べることはできない。

以前に実の内部を舌で少しなめてみたことがあるが、ピリピリして刺激的な味わいだった。こんな実をあく抜きして食べる方法を確立した昔の日本人は、本当に偉いなと食いしん坊の虫林は思う。

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。。。。。。。。。。栃の実 (2008-September-15 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.6, 1/125, EV-0.7, ASA200



カンタン(邯鄲): Oecanthus indicus

クズの葉裏でコオロギの仲間のカンタンを見つけた。    
カンタンはルルルルルル----という連続的でどこかさびしげな声で鳴く秋の虫だ。

カンタンは昔から鳴き声が美しいので、「鳴く虫の女王」といわれている。でも、考えてみれば、鳴くのはオスだけなので、女王と呼ぶのは少し抵抗がある。まあ、ギフチョウはオスでもメスでも「春の女神」と呼ばれているので、この際、野暮なことは言わぬがよかろう。

カンタンは夜に鳴くので、日中にその姿を見ることはそうカンタン(簡単)ではない。

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クズの葉裏のカンタン (2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F3.5, 1/125, EV-0.7, ASA100



センチコガネ Geotrupes laevistriatus

金赤紫色のセンチゴガネを見つけた。

センチコガネは動物の糞に集まる糞虫の仲間である、名前のセンチは「雪隠:せっちん→トイレの意味」からきているらしい-----だとすれば、センチコガネの意味は「便所コガネ」ということになるではないか。うーむ、こりゃあ臭そうな名前である。

せめて手洗いコガネくらいにしてもらいたい----たいして変わらないか。

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センチコガネ (2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F13.0, 1/160, EV-0.7, ASA100 、ストロボ


センチコガネとオオセンチコガネの鑑別は、そう簡単ではない。この個体も体の輝きが強いので、オオセンチコガネかなと思っていた。

最も重要な両者の鑑別点は、前胸背中央部の溝の長さと頭盾と呼ばれる部分のかたちだろう。頭盾の前縁が半円形であればセンチ、やや長めで梯型であればオオセンチである。

この個体は頭盾前縁(→)が半円形なので、センチコガネと同定した。

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センチコガネの頭部前面アップ(2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F13.0, 1/160, EV-0.7, ASA100 、ストロボ、トリミング



メスグロヒョウモン Damora sagana liane

目の前にひらひらとメスグロヒョウモンのメスが飛んできた。黙って蝶の後を目で追っているとソメイヨシノの樹幹に静止した。先週、ミドリヒョウモンの産卵シーンを撮影していたので、それが何を意味するかはすぐにわかった。

あわてて駆け寄って、横位置から産卵シーンを撮影することができた。こんな、高い所に産卵されたら幼虫は苦労するだろうな------と思う。

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メスグロヒョウモンの産卵(2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.6, 1/100, EV-0.7, ASA400



セミ Cicada

曇っているにも関わらず、ミンミンゼミ、ツクツクホウシ、アブラゼミが盛んに鳴いていた。ミンミンゼミに目をやると、なんと数週間前にブログにアップした「ミカドミンミン」だったのには驚いた。やはり甲府盆地ではこの変種の発生率が高いようだ。

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ミカドミンミン(2008-September-15 甲府市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.0, 1/50, EV-0.7, ASA200



フキバッタの1種 Parapodisma sp.

フキバッタは翅が退化して飛ぶことができない。したがって、この仲間は種の分化が進んでいて、分類上はたくさんの種(26種)に分けられている。同定にはもっぱら交尾器の形態が重要視されるみたいなので、写真からだけでは難しいようだ。

見つけたフキバッタは、ヤマトフキバッタと言いたいところだが、ここはあまり断定せずにフキバッタの一種ということで逃げるのが賢明かな。

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。。。。。。。。。。フキバッタの1種 (2008-September-15 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F3.2, 1/250, EV-0.7, ASA100


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§Afterword§

しばらくぶりで近くの武田の杜を散歩したが、やはり歩きなれた散歩道は良いものである。とにかく、あわただしかった春から夏のシーズンも終了したので、これからは移りゆく季節を楽しみながら、のんびりと散歩してみよう。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-17 23:46 | ▣メスグロヒョウモン | Comments(18)

20080914 秋のシルビア散歩(山梨県)

Nature Diary #0204
Date: September 14th, 2008
Place: Minami-Alps-Shi
Weather:Cloudy and sometimes sunshine



エコログサが夕日に輝いていた。

エコログサはどこにでもあって、昔からネコジャラシという名前で親しまれてきた。そういえば子供の頃にこのエコログサ(ネコジャラシ)で、本当に猫と遊んだことを思い出した。

今まで夕日に輝くエコログサを何度見てきただろうか-------。

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夕日に輝くエコログサ (2008-September-13 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F9.0, 1/200, EV-0.7, ASA100



§ Diary §

banyanさん、chochoensisさん、mtanaさん、ヘムレンさんと待ち合わせて、シルビアシジミ、クロツバメシジミの撮影に行った。

シルビアシジミ Lesser Grass Blue

現地に到着して、しばらく歩いてみたが、なかなかシルビアシジミを見つけることができなかった。しかし、気温の上昇とともに数頭のシルビアシジミが飛び出し撮影することができた。これでひと安心である。

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シルビアシジミ♀ (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F7.1, 1/160, EV-0.7, ASA100

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シルビアシジミ♀ (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F7.1, 1/100, EV-0.7, ASA100


シルビアシジミのオスを追いかけていたら、突然、交尾してしまった。本日はシルビアの個体数が少なかったので、何とラッキーなのだろうか。

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。。。。。。。。。。シルビアシジミの交尾 (2008-September-14 南アルプス市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F13.1, 1/80, EV-0.7, ASA100


banyanさんたちがオスの開翅に呼んでくれたが、のんびりしていた虫林は、撮影できなかった。そこで、「奥の手」の望遠マクロ(150mm)での飛翔写真に切り替えて、オスの翅表を撮影した。

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シルビアシジミ♂の飛翔 (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F3.5, 1/1250, EV-0.7, ASA100,トリミング



ヤマトシジミ Pale Grass Blue

ヤマトシジミとシルビアシジミは斑紋がよく似ているので紛らわしい。でも静止時であれば、斑紋の位置などで、鑑別できるのだ。

飛翔時に両者を鑑別する事はなかなか難しいだろう------野外での4つの鑑別点をあげてみる。

1)シルビアはヤマトよりも小型、
2)オスの飛翔速度はシルビアの方が速い、
3)飛翔している雄の色彩はシルビアの方が濃い、
4)ヤマトシジミの方が根性が座っている?

などの点で区別できるようになる。慣れてくれば、これで正解の確率は90%くらいかな(10%は間違える)。実は、飛翔時のシルビアにもっともよく似ているのはツバメシジミ。こやつとの鑑別は大きさや色合いからは困難で、しばらく追った後にツバメとわかると頭にくる--(チョウ差別はやめよう)。


葉上に静止しているシルビアシジミのメスを見ていたら、オスが飛来して交尾を迫っていた。当然、シルビアシジミのオスかと思っていたら、画像を確認すると明らかにヤマトシジミのオスであった。この交尾は成立しなかったが、異種間交尾寸前であった。

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シルビアの♀に求愛するヤマトの♂ (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F7.1, 1/200, EV-0.7, ASA100


正真正銘のヤマトシジミの交尾も観察できた。

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ヤマトシジミの交尾 (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.6, 1/400, EV-0.7, ASA400



ベニシジミ Small Copper

求愛飛翔をするベニシジミのペアを見つけたので、望遠マクロのままで撮影した。最近は広角レンズに交換するのが煩わしく思えて、飛翔も150mmマクロレンズ(実質300mm)で撮影することが多くなった。

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ベニシジミの求愛飛翔 (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F3.5, 1/1000, EV-0.7, ASA100,トリミング

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ベニシジミの求愛飛翔 (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F3.5, 1/1000, EV-0.7, ASA100,トリミング



クロツバメシジミBlack Cupid

昼食を近くのそば屋でとった後に、クロツバメシジミの撮影に行った。皆さん過去にクロツバメシジミの撮影はされているので、もっぱら幼虫探しになってしまった。

まず初めに見つけたのは、やはり幼虫探しの名手のchochoensisさんだった。早速、ストロボで撮影させていただいた。かなり、赤色が入った幼虫だった。

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クロツバメシジミ (2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.0, 1/200, EV-0.7, ASA100


幼虫探しは次のクロツポイントまで続き、とうとう最後にmtanaさんがめでたく幼虫を見つけたので、全員が幼虫を見つけたことになった。

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クロツバメシジミの幼虫(2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F5.0, 1/250, EV-0.7, ASA100、ストロボ


さらに、banyanさんが、石の下からクロツの「前蛹」を見つけてくれた。
これは凄いと思う。Thanks, Mr. banyan !

後日、蛹になったかどうか確認したいと思う。


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クロツバメシジミの前蛹(2008-September-14 南アルプス市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F6.3, 1/250, EV-0.7, ASA100、ストロボ

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§Afterword§

時期的に最盛期のはずだが、意外にシルビアシジミの個体数は少なかった。

実は前日の夕方、下見にこの場所を訪れたところ、ネットマンが二人いたのでお話を聞いたところ、ここを訪れた採集者の中にはシルビアシジミを1日で70頭も採集した人がいたそうだ。虫林は採集行為を否定しないが、やはりものには限度があるというものだ。こんな話を聞いてしまうと同じ昆虫の愛好者の一人として悲しくなってしまうとともに憤りも禁じえない。

今回は何とか全員がシルビアシジミの撮影に成功したので良かった。
banyanさん, chochoensisさん, mtanaさん, ヘムレンさん、ご苦労様でした。また楽しい一日をありがとうございました。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-15 01:17 | ▣シルビアシジミ | Comments(28)

20080907 秋蝶散歩 (山梨県)

Nature Diary #0203

§ Diary §

週末は、土曜の午後から石和温泉のホテルで行われた合宿形式の検討会に参加した。この会は日曜日の正午少し前に終わったので、さっそく帰宅したところ、自宅のドアが開かない。そういえば、家内は夕方まで外出すると言っていたことを思い出した。

オーマイガッ!------ドアのキーは部屋の中だ。

うーむ、夕方までまだ時間があるので、しぶしぶ、いやいや、仕方なく(ウソ、顔が笑っている)普通の服と革靴のままでフィールド散歩に行くことにした(なぜかカメラはリュックの中にちゃんとあるから不思議だ)。


黄金の国ジパング?

途中、緑から黄色に色付き始めた稲田が豊かな実りを約束したように輝いていた。これこそマルコポーロが見た黄金の国ジパングの景色かもしれない----と言いたいところだが、実際にはマルコポーロは日本を訪れていないという説がある。

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黄金の国ジパング (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Olympus 50mm MACRO + Telecon (EC-14), F4.0, 1/160, EV0, ASA100



オオハルシャギク(大春車菊): Cosmos bipinnatus

コスモスは誰もが知る日本の花の一つといっても過言ではないだろう。しかし、コスモスという名前は実は学名で、オオハルシャギク(大春車菊)という名前が正式な和名であることを知る人は少ない。どうして名前が大春車菊なのだろうか、大秋車菊という名前の方がよさそうだ。 

♪薄紅の 秋桜(コスモス)が 秋の日に------- ♪

さだまさし作詞作曲で、モモエちゃんが歌った「秋桜」という歌があるが、このコスモスの部分をオオハルシャギクに変えたら歌えないぞ。

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オオハルシャギク(大春車菊)Cosmos bipinnatus (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-510, ZD50mm MACRO + Telecon (EC-14), F5.6, 1/360, EV0.0, ASA100



キタキチョウ(北黄蝶)の望遠飛翔写真: Common Grass Yellow

今までキチョウと呼ばれてきたものはキチョウ(南西諸島)とキタキチョウ(本州から南西諸島)になった。虫林としてはキチョウでもキタキチョウでもあまりこだわりはない。

河原にはキタキチョウがメドハギの葉にタッチングを繰り返しながらからむように飛んでいた。どうやら産卵行動らしい。望遠レンズ(Sigma 150mmマクロは実質300mmの望遠になる)のままで飛翔写真が撮影した。慣れてくると行動を推測してピントが合わせられる。

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飛翔するキタキチョウ (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F2.8, 1/4000, EV-0.7, ASA100, トリミング

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飛翔するキタキチョウ (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.5, 1/1600, EV-0.7, ASA100, トリミング


キタキチョウたちはよほどメドハギがお気に入りのようで、飛びながらこの草を探しては産卵行動を繰り返していた。キタキチョウの産卵シーンを今までちゃんと撮影していなかったことに気づいた。良い機会なのでしっかりと撮影しよう。

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メドハギに産卵するキタキチョウ (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.5, 1/800, EV-0.7, ASA100



カラスアゲハ(烏揚羽蝶)のメス: Bianor Peacock

日本の黒系アゲハで好きなものは何か?

と問われれば、虫林は第一に北海道産のミヤマカラスアゲハの春型をあげるだろう。そして、次点がカラスアゲハのメスといいたい。それほどカラスアゲハのメスは綺麗だと思う。

カラスアゲハのメスがマルバダケブキの花を訪れた。
すでに9月なのに現れたカラスのメスはとても新鮮で美しかった。ここは標高1600mもあるのに、どういうわけかミヤマカラスよりカラスアゲハが多い。

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カラスアゲハ (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.0, 1/320, EV-0.7, ASA200

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カラスアゲハ (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.0, 1/320, EV-0.7, ASA200


カラスアゲハは忙しく花を変えながら吸蜜していたので、花から離れた瞬間を撮影して見た。トリミングしているが、なかなか面白い写真になったと思う。残念なことにピントがあまい。

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。。。。。。。。。。カラスアゲハ飛翔 (2008-September-7 北杜市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, ASA200



ミドリヒョウモン(緑豹紋蝶): Silver-washed Fritillary

マルバダケブキの群落がある場所に到着すると、多数のミドリヒョウモンが吸蜜に集まっていた。しかし、少し離れた場所にいるメスの様子がおかしいのに気づいた。

どうやら、針葉樹の幹を登りながら、樹皮の割れ目やコケの間に産卵しているようである。

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。。。。。。。。。。産卵するミドリヒョウモン (2008-September-7 北杜市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, ASA100


気がつくと、あちらこちらで、ミドリヒョウモンの産卵行動を見ることがきた。今までも単発で見たことがあるが、これほど多くの個体が産卵するのを見るのは初めてだ。

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通常型ミドリヒョウモンの産卵(2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.0, 1/200, EV-0.7, ASA100, Flash (+)


ミドリヒョウモンのメスは、「暗色型」と呼ばれるタイプが知られている。この個体は翅の表面全体が黒っぽい黄緑色でどうやら暗色型と呼んでもよさそうだ。

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暗色型ミドリヒョウモン♀(2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.0, 1/500, EV-0.7, ASA100


産卵場所は針葉樹の幹が多かったが、中には大きな石についたコケの間にも産卵した(残念ながら写真は撮影できなかった)。

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暗色型ミドリヒョウモンの産卵 (2008-September-7 北杜市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F4.0, 1/250, EV-0.7, ASA100



クロツバメシジミ(黒燕小灰蝶): Black Cupid

帰り際にクロツの発生地にも寄って見た。あまり個体数は多くなかったが、花茎が伸び始めたツメレンゲの周りでちらちら飛ぶこのシジミを見ることができた。

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クロツバメシジミ (2008-September-7 韮崎市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F2.8, 1/2500, EV-0.7, ASA100

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クロツバメシジミの産卵 (2008-September-7 韮崎市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F2.8, 1/2500, EV-0.7, ASA100



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§Afterword§

ネクタイはしていないものの、ワイシャツ姿に、普通の革靴でフィールドを遠慮がちに散歩した。ところが、午後4時くらいから突然の激しい雷雨に見舞われ、車まで走って戻ったもののかなり濡れてしまった。無理してフィールドに出たバチが当たったということだね。

でも、大好きなミヤマカラスのメスや暗色型のミドリヒョウモンの産卵などを撮影できたことはとても嬉しく、さだまさしの「秋桜」を口ずさみながら上機嫌で帰宅したのだから懲りない虫林である----------家内はご立腹のようだった。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-09 23:57 | ▣ミドリヒョウモン | Comments(11)

20080906 夏の終わりの構内散歩:ミカドミンミン(山梨県)

Nature Diary #0202

黒色紋がほぼ消失して体全体が黄緑色になったミンミンゼミの変種を「ミカドミンミン」という。このミカドミンミンは色々な場所から記録されているが、その出現率はかなり低く、多くの場所では稀である。しかし、虫林の住む山梨県の甲府盆地では、この珍奇なミンミンゼミが稀ならず見られるのだから嬉しい。

昨年、あろうことか大学の構内でミカドミンミンを見ることができた。
今年も帝(ミカド)様におめもじ賜ろう。


§ Diary §

虫林がいる研究棟の周りには、クスノキを主とするちょっとした林があって、そこではこの時期とてもセミが多い。部屋の窓を開けると、アブラゼミやミンミンゼミは言うに及ばず、ツクツクホーシや時にはクマゼミの声も聞こえてくる。

昼休みに、誰にも気づかれずにそっと部屋を抜け出した(忍者の空蝉の術を使ってね)。別に昼休みならば、そんな術を使わなくても良いのだが、セミの撮影には空蝉の術を使うのだ。


ミンミンゼミ・通常型: Oncotympana maculaticollis

ミーン ミーン、ミーンという声を頼りにそっと木に近づいて幹を見回すと、大きな声の主がすぐに見つかった。黒っぽいので、どうやら通常型のミンミンゼミようだ。

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ミンミンゼミ通常型 (2008-September-6 中央市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F10, 1/250, EV-0.7, ASA800, Flash (+)


通常型では前胸背の黒い紋がはっきり見え、遠目には黒っぽくみえる。こうして木の幹にとまっていると、結構な保護色になっているのがわかる。鳴いていなければ、見つけることは困難だろう。

セミが鳴くのは求愛行動だといわれている。セミは地中生活がとても長く、地上に出て鳴くのは1-2週間である。だから、鳴くことは彼らにとってみれば極めて大事な行動だろう。

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ミンミンゼミ通常型 (2008-September-6 中央市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F7.1, 1/250, EV-0.7, ASA800, Flash (+)


通常型では、腹部の腹弁の色も真っ黒くなる。円内にその拡大写真を出した。

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。。。。。。。。。。ミンミンゼミ通常型 (2008-September-6 中央市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F7.1, 1/400



ミンミンゼミ・ミカド型: Oncotympana maculaticollis, f. mikado

ミカド型にみえる個体でも、少量の黒紋を有している場合が多く、黒紋が完全に消失する真のミカドはかなり少ないようだ。やや太い木の幹にアブラゼミのそばに静止しているミンミンゼミをみつけた。

黒紋がない----ミカドミンミンだ!

ミカドミンミンは黒紋が消失し、体全体が緑色になる。見たとたんに明らかに違和感があり、さらにいえばどこか異様な感じがする。この個体くらい黒紋が消失すれば、ミカドミンミンと呼んでもよいだろう。

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ミカドミンミン (2008-September-6 中央市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F9.0, 1/80, EV-0.7, ASA800, Flash (+)

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。。。。。。。。。。ミカドミンミン (2008-September-6 中央市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F11, 1/250


どこからミカドミンミンと呼ぶかについてはよくわからないが、ミカドミンミンでは腹弁の色が白色に近いそうである。確かにこの個体は腹弁の色が白く(円内)、通常型の黒腹弁と比べてみると明らかだ。

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ミカドミンミン (2008-September-6 中央市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F9.0, 1/80, EV-0.7, ASA800, Flash (+)



ミンミンゼミ・中間型: Oncotympana maculaticollis

通常のミンミンゼミと黒紋が完全消失するミカドミンミンの間には、緑化型ともいえる中間型がある。つまり、黒紋の面積がかなり少なくなるが、完全には消えていないものである。

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ミンミンゼミ中間型 (2008-September-6 中央市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F7.1, 1/40, EV-0.7, ASA800, Flash (+)


枝にとまって鳴いているかなり緑化の進んだミンミンゼミを見つけた。逆光にシルエットを際立たせてとても綺麗だ。ウーム、セミを美しく撮るのは難しいものだ。

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逆光のミンミンゼミ中間型 (2008-September-6 中央市)

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Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, F8.0, 1/250, EV-0.7, ASA800, Flash (+)


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§Afterword§

夏が舞台の日本のドラマや映画では、必ずセミ(とくにミンミンゼミ)の声がバックに使われる。一方、ヨーロッパやアメリカの映画でセミの声を聞いたことがない。すなわち、セミの声は、日本の夏の風物詩として、子供の頃からわれわれ日本人の意識の中に組み込まれているのだ。

今年もミカドミンミンを見ることができた。こんなセミが自分の周りに棲息しているのは面白い。一説によれば、甲府盆地は夏の気温が高いので、ミカド型の発生率が高くなるそうだ。反対に気温の低い北海道のミンミンゼミでは黒化傾向が強いそうだ。その伝でいけば、青森あたりのミンミンゼミはどうなのだろうか--------気になるところだ。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-07 22:19 | ■他の昆虫 | Comments(16)

20080831 うろこ雲と虫撮り散歩:ミヤマシジミ、シルビアシジミ (山梨県)

Nature Diary #0201

§ Diary §

土曜日はかなり雨が降ったが、日曜日は朝から晴れて日中は暑くなった。

ヨーロッパから帰国してまだ疲れが完全には抜けていないが、自宅からほど近い(車で10分)河原に、「虫撮り」散歩に行くことにした。昼食後に出発したが、晩夏とはいえ河原の日差しは思いのほか強く、すでに気温は30℃を越え、じりじりと刺すように照りつけた。

軟弱な虫林は、暑さ対策として頭の上にタオルをのせ、その上に帽子をかぶった。さらに今まで虫撮り散歩の禁じ手にしてきた「派手な日傘」をとうとう解禁したのだ---どうみても奇人・変人ファッションだね。


うろこ雲(巻積雲): Cirrocumulus

河原に着いて「空見ing」してみると、綺麗な「うろこ雲;Cirrocumulus」が見上げる空一面に広がっていた。うろこ雲(巻積雲)は秋の雲で、季語にもなっている。

うろこ雲、蝶と遊べし、秋の一日 (虫林)

うろこ雲はシノニムでいわし雲ともいうらしいが、雲の形はどう見てもイワシには見えないので不思議に思っていた。調べてみると、どうやらいわし雲という名前は、この雲がいわしの大漁をあらわすという言い伝えからつけられたものみたいだ。

われわれ虫屋にとってこの雲は、秋蝶の季節を示唆するので、ルーミス雲、クロツ雲、シルビア雲などと呼んだらいかがだろうか-------うーむ、我ながらバカバカしい。

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うろこ雲 (2008-August-31 甲府市)

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Olympus E-510, Olympus 8mm FISH EYE, F22, 1/125, EV-0.7, ASA100



ミヤマシジミ: Argyrognomon Blue

ミヤマシジミの棲息する河原は、昨年、大規模な河川敷の整備工事が行われた。幸いにして、ミヤマシジミの発生ポイントは保護され、工事による破壊から辛くも免れた。しかし、周りの環境の変化により、今年になって増殖力の強い木生植物(例えばニセアカシアなど)やセイタカアワダチソウなどの背の高い草がポイント近くまで迫ってきているのが気になる。

到着して少し歩いてみると、この炎天下でもミヤマシジミ達はちらちらと食草のコマツナギの木の周囲を飛び回っていた。でも、飛んでいるほとんどが少し古いのが残念だ。

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コマツナギの周りを飛ぶミヤマシジミ♂ (2008-August-31 甲府市)

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Olympus E-3, ZD 8mm FISHEYE


ファインダーを通して見るミヤマシジミの新鮮なオスの翅表は、日本産のブルースの中でもピカイチの美しさだと思う。いや、まだ見ぬカラルリやイシダ、タイツなどもいるので、ここはあまり気張らずにピカ2くらいにしておいた方が無難かな。

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ミヤマシジミ♂開翅 (2008-August-31 甲府市)

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Olympus E-3, Olympus 50mm Macro + Telecon (EC-14), F16, 1/160, EV-0.7, ASA100, Flash (+)


先日、成田からの帰途、中央線が大雨で不通になったために新宿から高速バスで帰宅した。新宿西口の高速バスターミナルの目の前には幸か不幸かヨドバシカメラのカメラ館があり、バスの時間待ちの間にケンコーのストロボディフューザーを衝動買いした。
(どうも高速バスを利用するたびに、ヨドバシカメラで衝動買いをする癖がある)

この衝動買いディフューザーはレンズの先につけるタイプであるが、装着にフレキシビリティがあってレンズ口径を問わないのが秀逸だ。またたたむと小さくなることのも良い。

今回はオリンパスのマクロ50mmにレンズフードをつけたままで、そのディフューザーをレンズフードの先に装着し、内臓ストロボで日中シンクロを行ってみた。

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ミヤマシジミ♂の翅裏 (2008-August-31 甲府市)

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Olympus E-3, ZD 50mm Macro + EC-14, Flash (+)


撮影していた時には気づかなかったが、メスの開翅写真をみると、翅表にすでにブルーの燐粉がわずかではあるがのっている。まだ暑いこの時期からすでに低温期型になり始めているのだろうか?

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ミヤマシジミ♀開翅 (2008-August-31 甲府市)

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Olympus E-3, Olympus 50mm Macro + Telecon (EC-14), F7.1, 1/250, EV-0.7, ASA100, Flash (+)

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ミヤマシジミ♀産卵 (2008-August-31 甲府市)

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Olympus E-3, Olympus 50mm Macro + Telecon (EC-14), F7.1, 1/250, EV-0.7, ASA100, Flash (+)



シルビアシジミ: Lesser Grass Blue

午後1時くらいから、昨年見つけたシルビアシジミのポイントまで発生状況を見に行った。

まだ食草のミヤコグサは花をつけていなかったが、小型のブルーがミヤコグサの群落のある草地をすごいスピードで飛びまわっていた。このブルーは小さいのとスピードが速いので、一生懸命に目で追ってみても、すぐに見失ってしまう--------悔しい。

まあ、本日は様子見なので、しばらくして帰ろうとした時に、足もとのツルボの花で吸蜜しているシルビアシジミのオスを見つけた。やはり、飛んでいたのはシルビアシジミのオスだったのだ。

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ツルボで吸蜜するシルビアシジミ (2008-August-31 甲府市)

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Olympus E-3, Olympus 8mm FISHEYE, Flash (+)


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。。。。。。。。。。ツルボで吸蜜するシルビアシジミ (2008-August-31 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Olympus 50mm Macro + Telecon (EC-14)


1年ぶりでシルビアシジミに会うことができてひと安心である。このオスの翅表の深い色のブルーはなかなか格調が高くて好きだ。

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。。。。。。。。。。シルビアシジミ (2008-August-31 甲府市)

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。。。。。。。。。。 Olympus E-3, Olympus 50mm Macro + Telecon (EC-14), Flash (+)

午後3時少し前にパラパラと雨が降ってきたので、急いで車に戻り帰宅した。

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§Afterword§

夏もそろそろ終わり、秋に向かって河原のミヤマシジミもシルビアシジミもこれからその数が増えていくはずだ。今年の秋はゆっくりと彼らを撮影してみようと思う。

ミヤマシジミの棲息地の河原の河川敷整備工事は、河原の木をすべて抜き、整地しただけだ。その後はそのまま放置されているので、木は生えてきているし、雑草も生い茂っている。いったい、なにを目的にこのような工事を行ったのかが皆目わかないのだ。年度内の繰越できない工事費の消費を目的に行ったのだとすれば、これは大変に迷惑な話だ。


最後に先週の「ゲリラ豪雨」で被害に見舞われた方々には、心からのお悔やみを申し上げます。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2008-09-02 21:49 | ▣シルビアシジミ | Comments(12)