NATURE DIARY

tyurin.exblog.jp

<   2009年 06月 ( 6 )   > この月の画像一覧

20090628 クロミドリシジミと天牛 (山梨県)

Nature Diary #0261



§ Diary §

週末(土日)は新宿の京王プラザホテルでの学会に出席したために、フィールド散歩はできなかった。少し残念ではあるが、こちらが本職なので仕方がない。

今週のNature Diary (ND)は、今年6月の未公開写真を供覧してみようと思う。



クロミドリシジミ; Copper Hairstreak

今年はチョウ類保全協会のフィールド図鑑用に、クロミドリシジミ(以下、クロミ)の裏面と表面をキチッと撮影しなければならない。そこで、発生初期の新鮮なクロミの♂を撮影するために、6月12日の早朝(出勤前)に、家から車で10分ほどの距離にあるポイントに出かけた。

文字どおり「朝飯前のクロミ撮影」-----だ。

前日の夜は晴天で、放射冷却現象のために朝は気温が下がり、クヌギの木を少し叩いて飛び出したクロミは飛び去ることなく地面に静止してくれた。さらに、日が昇って明るくなると、思惑通りに翅を開いてくれたので一安心。



クロミのオスは黒いけど黒くない------銅色というのが適切だね。
(英名は Copper Hairstreak)。

新鮮なクロミドリのオスの翅表は、他のファボ(Favonius)仲間のミドリシジミ(オオミドリ、ジョウザンミドリなど)のような青いメタリックな輝きは無く、翅全体にダークブラウン(銅色)のベルベットをまとっているように怪しい質感がある。また、面白いのは、よく見ると翅表の辺縁は、他のミドリシジミのように黒い(濃い茶色)帯で縁取られている

地味ではあるが品のある独特の色合いで、「侘びや寂の世界」を理解する虫林は(嘘つけ!)、この落ち着いた色調が好みだ。(この蝶の怪しい美しさは蝶屋以外は理解困難であろう)。

この写真はもちろんトリミングはしていない。厳しいN氏もOKだとよいのだが.....。

d0090322_1304068.jpg
クロミドリシジミ♂開翅 (6月12日、山梨県)

.
A male of Copper Hairstreak resting with the wings opened.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


体の大きさに比べて目が大きく、前脚を完全に折りたたんでいるので、脚が4本にみえる。
翅裏の地色も濃い銅色で、その色は他のミドリシジミの翅裏の地色よりも濃い。

d0090322_1314644.jpg
クヌギの葉で休むクロミドリシジミ♂ (6月12日、山梨県)

.
A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mmMacro, EC-14


後翅端には大きなオレンジの紋がある。
尾状突起は非常に長い。

d0090322_1315959.jpg
クロミドリシジミ♂ (6月12日、山梨県)

.
A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14



カミキリムシ; Long-horned beetle

長野県でのベニモンカラスシジミの撮影(すでにNDにアップ済み)のときに、数種類のカミキリムシを撮影していたが、特別な場合を除いて通常は週一回しか更新しない(更新できない)虫林は、カミキリムシをアップする機会を逸してしまっていた。少し遅すぎた感があるが、ちょうど良い機会なので、供覧することにした。


ポイントの近くのカラムシ(ラミーカミキリの食草)の群落で、ラミーカミキリを見つけた。ラミーカミキリはもともと関西以西に分布するカミキリムシだったが、近年は東進(北上)して山梨県や長野県でも見ることができようになった。甲府市内では、虫林はまだ見つけていないのでとても嬉しい。

谷の上の道脇なので、広角レンズで背景の広がりを意識して撮影した。

d0090322_1321299.jpg
ラミーカミキリ (6月13日、長野県)

.
Paraglenea fortunei
Olympus E-3, ZD8mm FIsheye, EC-14

d0090322_1322748.jpg
ラミーカミキリ (6月13日、長野県)

.
Paraglenea fortunei
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

d0090322_1324392.jpg
ラミーカミキリの飛翔 (6月13日、長野県)

.
Paraglenea fortunei
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、トリミング


ベニカラのポイントで咲いていたウツギの花に来集していた。ミヤマホソハナは山地性のハナカミキリで、ユニークな形態が気に入っているので喜んで撮影した。

d0090322_1325752.jpg
ミヤマホソハナカミキリ (6月13日、長野県)

.
Idiostrangalia contracta
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

d0090322_1331156.jpg
ミヤマホソハナカミキリの飛翔 (6月13日、長野県)

.
Idiostrangalia contracta
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、トリミング


ススキの葉上でブロウニングカミキリを見つけた。
ブロウニングカミキリが属するSaperdaの仲間には、美しい種類が多いので好きだ

このカミキリは樹上性(クルミなど)なので、木の葉をスィーピングする以外になかなか見る機会が無い。また個体数も多くはなさそうである。

ススキの葉上で見ることができたのはとても幸運だと思う。

d0090322_1332440.jpg
ブロウニングカミキリ (6月13日、長野県)

.
Saperda breuningi
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


**************************************************

§ Afterword §

今週末はフィールドに出ることができなかったので、6月の未公開写真を掲載してみた。
たまにはこんなことも良いかなと思う。

でも、やっぱり週末は散歩したいものだ。

以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-06-29 13:04 | ▣クロミドリシジミ | Comments(20)

20090621 みちのくにて:メスアカミドリと天牛(岩手県)

Nature Diary #0260
Date: June 21st (Sunday), 2009
Place: Iwate Pref.
Weather: Cloud and rain



§ Diary §

岩手では毎日雨にたたられた。
まあ、梅雨の時期に雨に文句をいう方が間違っているね--------。

写真は、岩手を離れる日(23日)の午前中に撮影したもので、この時だけ雲が切れて、南部富士(岩手山:2038m)の雄姿を少しだけ拝むことができた。

風さむき岩手の山にわれらいま校歌をうたふ先生もうたふ (宮沢賢治)

d0090322_1821569.jpg
南部富士 (6月23日、岩手県)

.
Mt. Iwate
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14



メスアカミドリシジミ; Smaragdius Green Hairstreak

林の周りを歩きながら、下草や葉を見たがゼフの影は無い。そこで、少し枝を叩いてみたが、やはりチョウが飛び出す気配は無かった。天気(小雨が降っていた)のせいなのだろうか、それとも時期が早すぎたのだろうか(今年の東北のゼフの発生は例年並みか少し遅れ気味だ)。

しばらくして、クリの花からシジミチョウが飛び立って下草の葉上に静止した。近づいてみるとメスアカミドリシジミだった。こんな時は1頭のメスアカミドリでも、とても貴重で愛おしく感じるものだ。

そういえば、メスアカミドリは今年の初見である。

d0090322_18225673.jpg
メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)

.
A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14

d0090322_18231197.jpg
メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)

.
A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14


メスアカミドリの静止した葉に、木漏れ日があたると、おもむろに翅を開いた。
半開翅のときに見える鮮やかな青は、何度見ても、幾つになっても、胸が高鳴る。

d0090322_18243486.jpg
メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)

.
A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14


クリソゼフ(Chrysozeph)の翅の輝きは強烈だ。

標本では、クリソゼフの仲間(アイノミドリ、メスアカミドリ、ヒサマツミドリ)は金緑色に輝く。しかし、野外で太陽光の元で彼らを見ると、翅表の金属的な輝きは緑色よりは青色の色調が勝っているようだ(野外で綺麗に金緑色を出すのは至難の技である)。

多分、光源の違いによるものだろうか。

d0090322_18245090.jpg
メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)

.
A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14


そこで、ためしにストロボを用いて撮影して見たところ、かなり緑色を帯びることがわかった。緑色を出したい時にはストロボを用いるのも1考である。

d0090322_1825534.jpg
メスアカミドリシジミ (6月21日、岩手県)

.
A male of Smaragdius Green Hairstreak
Olympus E-3, ZD50mm、EC-14



フタスジチョウ; East European Sailer

北海道や東北のフタスジチョウは、中部亜種に比較して白い帯がより太い

フタスジチョウに会いたくて、ある場所まで車を走らせた。そこは一昨年に訪れたときに、多数の個体を見かけたユキヤナギの垣根だ。しかし、残念ながらフタスジチョウを見ることができなかった。たぶん、まだ未発生なのだろう。

少しがっかりして車を走らせていると、道路上に飛ぶフタスジチョウを見つけた。静止したところを数枚撮影することができたが、このチョウは後から来た車に轢かれてしまった。

d0090322_1826649.jpg
フタスジチョウ東北亜種 (6月21日、岩手県)

.
East European Sailer
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

d0090322_18261831.jpg
フタスジチョウ東北亜種 (6月21日、岩手県)

.
East European Sailer
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



天牛:カミキリムシ; Long-horned beetle

キモンハナカミキリを路傍のセリ科(たぶんハナウド)の白い花上で見つけた。

本種を見るのは何年ぶりになるだろう。最初にキモンハナに出会ったのは、高校生の頃に訪れた裏日光(群馬県)の片品村大沢の村内の栗の花だった。キモンハナは稀というほどではないが、少ないハナカミキリなので、出会ったときには喜んだのを覚えている。

岩手の山中では、このキモンハナの個体数が比較的多いようだ。

ハナウドの花には、キモンハナの他に、ニンフホソハナ、クロルリハナ、ヒメアカハナ、ツヤケシハナなどのハナカミキリの仲間が多く集まっていた。実のところ北上山地のモモブトハナカミキリを期待したのだが、残念ながらみることができなかった。

d0090322_18263227.jpg
キモンハナカミキリ (6月21日、岩手県)

.
Leptura duodecimguttata
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


イラクサの葉上で、小さな赤い甲虫を見つけた。よく見るとアカイロニセハムシハナカミキリである。この虫がカミキリムシの仲間であることを看破したヒトは慧眼である

アカイロニセハムシハナは珍しいとまではいえないが、やや局地的で、どこでも見られるものではない。関東地方ではピックニセハムシハナやヒナルリハナなどとともに春にカエデの花に集まることが多い。

d0090322_18264642.jpg
アカイロニセハムシハナカミキリ (6月21日、岩手県)

.
Lemula nishimurai
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



伐材にキンケトラカミキリが集まっていた。みるとかなり多くの個体が這い回っている。
この虫は一見、キイロトラに似ているが、キイロトラよりも小型で、キイロトラに比べると見る機会はかなり少ない。

キンケトラも久し振りの出会いなので嬉しい。

d0090322_182774.jpg
キンケトラカミキリ (6月21日、岩手県)

.
Clytus auripilis
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



赤いカミキリムシが飛翔してきた。ヘリグロベニカミキリかなと目で追っていたら、どうも違う。もしかして稀種のムモンベニカミキリかも知れないと思いあわてて近寄ると、ベニカミキリだった。

ベニカミキリは竹を食べるカミキリである。ここには竹など見当たらないが、いったい何を食べているのだろうか。

d0090322_18272213.jpg
ベニカミキリ (6月21日、岩手県)

.
Purpuricenus (Sternoplistes) temminckii
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



**************************************************

§ Afterword §

ここ数年、岩手に来ているが、ゼフに会うのが楽しみである。しかし、今回は残念ながら、連日の雨で、ゼフにはほとんど会うことが出来なかったのが残念だ。

今年の東北は、6月の天候不順のためなのか、蝶の発生が遅れているようだ。というのも、この時期(6月20日前後)ならすでに発生していてもおかしくない陸中のチョウセンアカシジミが、盛岡市や宮古市のいずれの棲息地でも全く見ることができなかったからだ。そして他のゼフもほとんどnull 状態。

いつか、みちのくでゼフの乱舞にまた出会いたいものだ。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-06-26 18:28 | ▣メスアカミドリシジミ | Comments(18)

20090620 みちのくの桐林にて:キマダラルリツバメ (福島県)

Nature Diary #0259
Date: June 19th (Saturday), 2009
Place: Fukushima Pref.
Weather: Cloud and Fine




友人のS教授から大学での講演と学生講義を依頼されたので、22日(月曜日)と23日(火曜日)に岩手県の盛岡市に行くことになった。問題は天気かな。

ウーム、この時期に岩手県に行けるのなら、今週末を東北での昆虫散歩に利用しない手はない。そこで、S教授から送って頂いた特急券、新幹線の特急券、往復切符(グリーン席)などを全てキャンセルして、わが愛車のジムニーで東北に向けて出発した。

出発に際して、蝶山人さんから福島県のキマダラルリツバメ(通称キマルリ)情報を頂いた。キマルリは、今まで何度かチャレンジしてきたが(別の場所)、未だ撮影に成功していない「目の上のタンコブ的蝶」なのだ。福島県は岩手行のちょうど途中になるので、是非とも立ち寄ってこの目の上のタンコブを取りたい。

しかし、そもそも虫林は、長距離運転は苦手---------キマルリのためならエンヤコーラ-。



§ Diary §

甲府を金曜日に出発して昼前に福島県のある村に到着した。

村は伝統的な農村のイメージがそのまま当てはまるような長閑な風景で、村の辻には笠を頭にのせたお釈迦さまが立っていた。なお、石の一つに飯豊山の文字が彫られているが、これは飯豊山の「飯豊山神社」の本宮が福島にあって、「飯豊山」は信仰の対象になるのだろう。

-------少し不謹慎ながらキマルリ撮影成功をお祈りしてまずは合掌。

d0090322_1524397.jpg
辻のお釈迦様 (6月19日、福島県)

.
Ksitigarbha
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14



キマダラルリツバメ; Japanese Silverlines

キマダラルリシジミ(キマルリ)の生息地は、桐や桑の古木が点在する耕作地の中にあった。キマルリの幼虫は、ハシブトシリアゲアリというアリの巣の中で、このアリに育てられる。このアリは古木に巣をつくるので、東北地方のキマルリは桐や桑の古木にいることが多い。


農地に踏み込まないように注意しながら桐の木のそばのヒメジオンの花をゆっくりとルッキングしてみたが、なかなか発見できない。午後3時40分を過ぎて気温が少し降下し始めた頃、1頭の小さな蝶が目の前のススキから突然飛び立った。

このチョウは小さい上にかなりのスピードで旋回飛翔するので、もしやと思いながら見失わないように必死で蝶の行方を見守っていると、背の低い草の葉上で静止した。

慌てて近づいて確認すると、そこには青く輝くキマルリのオスの姿があった。

d0090322_1526562.jpg
葉の上で開翅しているキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened.
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14


キマルリのテリ張りは、午後3時40分ごろに始まり、陽が山の陰に隠れてあたりが薄暗くなった午後5時30分ころまで続いた。

この写真は、テリ張り時間終盤のもので、夕方の雰囲気を壊さずにキマルリのみを強調するために外部ストロボを併用して弱い光をあてている。

d0090322_15303527.jpg
キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings closed
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14


キマルリは目線よりも下のススキの葉上やクズの葉上に静止した。テリ張の間、何度か他のオスが訪れてスクランブルを行ったが、まだ発生初期なのか、おおむねゆっくりと静止してくれたのは良かった。

広角レンズの最短撮影距離で撮影。

d0090322_15311618.jpg
キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye、EC-14


ところで、キマダラルリツバメという名前だが、ルリというのは良いが、どこがキマダラなのだろうか?------わからない。

d0090322_15315974.jpg
キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


東北キマルリ♂が青い紋が発達してとても美しい。とくに、青紋が後翅全体に広がり、輝きも強い。

キマルリは活動が激しいので、翅表は羽化後早期に傷つくと聞いた。撮影した個体はいずれも傷は目立たない新鮮な個体であった。

d0090322_15324564.jpg
キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14

d0090322_15333112.jpg
キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


青い紋の大きさは個体によって異なるようである(遺伝子多型を示唆しているのだろうか)。

観察した個体の中には、青い部分の面積が極端に少ない個体も見いだされた。
これはこれで結構美しい。

d0090322_1534185.jpg
青い紋が少ないキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14

d0090322_1535116.jpg
青い紋が少ないキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines perching with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


キマルリの裏面は、個体により微妙に異なる。

拡大してみると、翅裏を走る黒い線の内部にはさらに銀色の線が入ってとても豪華で美しい。また、後翅端のオレンジと4本の尾状突起も本種独特で面白い。

d0090322_15355312.jpg
キマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
Japanese Silverlines
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


<吸蜜>
土曜日には蝶山人ご夫妻と友人のH氏と合流し、日中は皆でヒメジオンに吸蜜するキマルリを探した。最初のポイントでは見なかったが、2番目のポイントで蝶山人さんの奥様が見つけてくれた。

キマルリを発見する目(キマ目)はさすがである。

d0090322_15364864.jpg
ヒメジオンで吸蜜するキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines feeding on the flowers
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


テリ張りする個体が吸蜜するのは稀な行動のようである。

この写真は夕方にテリ張りしている個体を観察していたら、ヒメジオンの花の上に静止した。近づいてみると、ストローを出して吸蜜していた。
d0090322_15375187.jpg
テリ張り中に吸蜜しているキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines feeding on the flowers
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14


前の写真と同じもので、吸蜜している個体がそのまま翅をひろげた。

d0090322_15384078.jpg
吸蜜中に開翅したキマダラルリツバメ (6月19日、福島県)

.
A male of Japanese Silverlines feeding on the flowers with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm Macro、EC-14

**************************************************

§ Afterword §

キマルリはとても美しいが、その行動や生態も特徴的で魅力的なチョウだ。
今回、ちょうど岩手まで行く途中で福島に立ち寄り、今まで苦手としていた「目の上のタンコブ蝶のキマルリ」を何とか撮影することができた。

キマルリはちょうど出はじめだったようで、個体数は少なかったものの、目撃したものはすべてオスで、おおむね新鮮な個体だった。

このキマルリの撮影に協力いただいた蝶山人さんに感謝。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-06-22 15:40 | ▣キマダラルリツバメ | Comments(32)

20090614 ベニモンカラスシジミの林にて (長野県)

Nature Diary #0258
Date: June 14th (Sunday), 2009
Place: Nagano Pref.
Weather: Cloud and Fine




§ Diary §

ベニモンカラスシジミ(ベニカラ)を探して、湿度が高く蒸し暑い林の中をしばらく徘徊し、少し下って川辺に出るとそこは別天地だった。

人に人相があるように、川には渓相というものがある。渓相評論家(ウソつけ)の虫林は、水清く大岩に飾られたこの川は文句なく第一級の渓相と判定した。

このT川流域は昔からヤマビルの多産地として登山者や釣り人たちから恐れられている。

以前、ルーミスシジミの撮影時にヒルにたかられた経験がある虫林は、川辺の大岩に腰を下ろして、靴の中やズボンの中まで念いりにヒルをチャックしてみた。幸いにしてヒルは発見できなかったので一安心だったが、山ビル対策はしておくべきだったと反省した(後で聞いた話では、ヒル以外にここではダニも多いそうなので、そちらも要注意だ)。

d0090322_2124564.jpg
大岩に飾られた渓流 (6月14日、長野県)

.
Rockbound mountain stream
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14



ベニモンカラスシジミ; Red-spotted Hairstreak

先週の金曜日(6日)、名古屋のある大学で会合があり、その帰りに(7日の午後に)、ベニモンカラスシジミ(ベニカラ)の生息地に立ち寄ってみた。その時は現地の様子を観察するにとどまり、ベニカラには出会うことはできなかった。

そこで、今週末の土日は「幻の蝶:ベニカラ」の探索にかけるみることにした。


土曜日は朝から曇り。
現地に到着して天気の回復と気温の上昇を待っていると、心強い味方が現れた。kenkenさんだ。ベニカラに関してのkenkenさんからの話や今までの知見などを総合的に判断すると、ひたすら花で待つという以外に彼らと出会う術はなさそうだ。

気温が上がり、蝶が飛び出し始めた10時30分頃、クリの木の下に咲く白いウツギの花に、ひっそりと訪れていたベニカラをついに発見!

ファインダーを見ながら心の中で小さくガッツポーズをしたのは言うまでもない。

d0090322_21265348.jpg
ベニモンカラスシジミ (6月13日、長野県)

.
A female of Red-spotted Hairstreak feeding on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ


さらに、午後3時過ぎ、一人でハナカミキリを撮影していたら、目の前の満開のウツギの花でベニカラを見つけることができた。良い位置に静止していたので、もっとゆっくりと撮影したかったが、数枚の写真を撮影した後、この個体は慌ただしく飛び去ってしまった。

ベニカラは色彩や模様がミヤマカラスシジミに似ているが、ミヤマカラスよりも地色が濃いためか黒っぽく見え、妙に怪しい姿に目に映る。

d0090322_21271114.jpg
ベニモンカラスシジミ (6月13日、長野県)

.
A female of Red-spotted Hairstreak feeding on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ

d0090322_21272711.jpg
ベニモンカラスシジミ (6月13日、長野県)

.
A female of Red-spotted Hairstreak feeding on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ


明けて日曜日(14日)は、ダンダラさんと甲府市内で待ち合わせて、ベニカラポイントに再び向かった。現地ではkenkenさん、福井のSさん、kmkurobeさんらも合流して、蝶談義をしながらベニカラの飛来をひたすら待った。

この日は、晴れていたにも関わらず、ベニカラはなかなか姿を見せてくれなかったが、丁度、午後2時半頃に、kmkurobeさんが日陰の花に訪れたベニカラを発見して知らせてくれた。本日はそろそろあきらめムードが漂っていたので、起死回生の1頭だったと思う。

翅の欠損もあまりなく綺麗な個体だったが、しばらく吸蜜したのち上方に飛び去った(多分、飛び去った方向からクリの花に向かったのだろうと思うが定かではない)。

d0090322_2127471.jpg
ベニモンカラスシジミ (6月14日、長野県)

.
A female of Red-spotted Hairstreak feeding on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ


ベニカラの植樹である「クロウメモドキ」をkenkenさんから教えて頂いた。林の中には実を持つような大きな木は少なかったが、幼木は意外に多くあるようだ。多分、この林で繁殖しているのは間違いないが、残念ながら卵を見つけることはできなかった。

d0090322_2128637.jpg
ベニカラ食樹のクロウメモドキ (6月14日、長野県)

.
Feeding plant, “Kuroumemodoki”, of caterpillar of Red-spotted Hairstreak
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ



クロコノマチョウ; Dark Evening Brown

ベニカラの棲む林にはクロコノマがとても多い。

日中は歩いていると足下からアゲハチョウほどもある大きなクロコノマが飛び立ってしばしば驚かしてくれた。夕方になると、クロコノマはオープンランドにも出てきて活発に活動し、クザギの花で吸蜜したりもした。

d0090322_21295323.jpg
クロコノマチョウ (6月7日、長野県)

.
Dark Evening Brown
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ


産卵したそうにゆっくりと飛翔する個体を見つけたので、見守っていると案の定、スゲの仲間(?)の葉に産卵した。産卵時間は思いのほか短く、卵は2個(円内に挿入)ほど確認することができた。

d0090322_21301241.jpg
産卵するクロコノマチョウ (6月7日、長野県)

.
Dark Evening Brown egglying on the leaf
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ



その他; Miscellaneous

大岩の上に腰を下ろしてタオルで汗を拭っていると、目の前にイチモンジチョウが舞い降りた。見ると岩の上の動物のフンに来集したようだ。

150mmマクロ(実質300mm)のレンズを装着していたが、ふと、思い立って、背景の急流が分かるように絞りを入れて(F22まで)手持ち撮影してみた。300mm望遠マクロでの背景は、白波のたつ川面が程よくボケてなかなか面白い絵になったと思う。

d0090322_21303277.jpg
イチモンジチョウ (6月14日、長野県)

.
A White Adminal resting on the rock with wings closed in the background of stream
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

d0090322_21304928.jpg
アサマイチモンジ (6月14日、長野県)

.
An Asama White Adminal feeding on the flowers.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ

d0090322_2131641.jpg
ウラゴマダラシジミ (6月14日、長野県)

.
Blue Hairstreak
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ

d0090322_21312429.jpg
キマダラセセリ (6月14日、長野県)

.
Japanese Dart
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro、外部ストロボ

d0090322_21314296.jpg
サカハチチョウ (6月14日、長野県)

.
Large Map Butterfly
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

d0090322_2132145.jpg
ウラギンシジミ (6月14日、長野県)

.
Angled Sunbeam
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


**************************************************

§ Afterword §

結局、下見を含むのべ3日間で、3頭のベニカラに出会うことができてとても嬉しかった。

ベニカラの訪花は、午前中にも見ることがあるが、実際には午後2時30分から3時過ぎに始まる(活発になる)みたいだ。したがって、その時刻に花を訪れたベニカラを発見できることが多いようだ。さらに粘れば可能性があるように思うが、あまり実績がでていないのと、遠方から来ていると遅くまではいられないので撮影した時点で帰宅した。


虫林にとってベニカラは「まったく得体の知れない幻の蝶」だった。

今回の撮影では、愛知のSeさんや原村のPさんからベニカラに関する情報や知見を親切に教えていただいた。この情報がなければ、撮影は不可能であっただろうし、そもそも挑戦することもなかったであろう。両氏に心から感謝する次第です。

現地でお会いしたkenkenさんや福井のSさん、名古屋のIさん、kmkurobeさん、今回も行動を共にしていただいたダンダラさんらの各氏に感謝したいと思います。根性無しの虫林一人では、とても長時間にわたり探す意欲をキープできなかったと思います。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-06-15 21:43 | Comments(32)

20090607 北ア散歩:クモツキ求愛行動と水無月ギフ (長野県)

Nature Diary #0257
Date: June 7th (Sunday), 2009
Place: Hakuba, Nagano Pref.
Weather: Cloud and Fine




§ Diary §

日曜日は3週間ぶりに良い天気(クモマツマキチョウ日和)になったので、勇躍、北アの峪に棲むクモマツマキチョウ(通称:クモツキ)に会いに行くことにした。

早朝、kmkurobeさん宅で蝶山人さんご夫妻と合流し、ある林道に向かった。車を駐車すると間もなく、theclaさんが到着した。また兵庫から来られたKさんにも初めてお会いし、道中をご一緒することにした。

クモツキに会うには林道をしばらく歩かなければならない。でも、この林道はブナ、ミズナラを主体に、トチやホウノキなどが混成するすこぶる気持ちの良い散歩道だ。この時期、エゾハルゼミが合唱し、林道脇にはサワウツギのピンクの花がとても鮮やかだ。

6月とはいえ沢筋にはまだ雪も残っている。

d0090322_2210752.jpg
残雪を抱く北アの沢 (6月7日、長野県)

.
Valley in North Alps with sknow
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



クモマツマキチョウ; Orange Tip

到着してみると、多くのブログ仲間がすでに活動を開始していた。ほとんどの方が顔見知りなので、人数が多くてもお互いに協力しあいながら撮影できるので問題ない (この辺が採集と違う写真のメリットかな)。

どうも、クモツキの撮影には渓を挟んで対岸の草つきの方が良さそうにみえる。そこで、渡渉点を確認した後、思い切って渓を渡ってみることにした。このような流れは雪解け水が入るので、気温が上がる昼前には戻らないといけない。増水して戻る事ができなくなるからだ。

対岸に到着してみると、すぐに何頭かのクモツキが期待通りに飛び出した。

北アの広い峪に棲むオレンジ(♂)の妖精は、眩しいほどに鮮やかで、怪しいほどに魅力的で、胸の鼓動を聞きながら何度かシャッターを押すことができた。

d0090322_22102977.jpg
ハタザオで吸蜜するクモマツマキチョウ♂ (6月7日、長野県)

.
A male of Orange Tip feeding on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


クモツキは高山蝶に名を連ねているだけあって、非常に毛深い。

前翅のオレンジ色の部分にある小さな黒い点は北ア亜種の特徴である円形だ。
(南ア亜種はくの字形)。

d0090322_2240372.jpg
ハタザオで吸蜜するクモマツマキチョウ♂ (6月7日、長野県)

.
A male of Orange Tip feeding on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro




<求愛行動>

一頭のメスのクモツキを追っていたら、突然、どこからともなく(多分、地面の花で吸蜜していた)オスが現れてメスに絡んで来た。

オレンジ色の翅を有するオスはメスの周りを回りながら、何度もアタックを繰り返す-----求愛行動だ(Courtship behavior)。実は今回の目的の一つがクモツキの交尾写真だったので、これは千載一遇のチャンスとばかりにオスの健闘を心の中で祈りながら見守った。

しかし、オスが空からアタックすると地面に静止しているメスは翅を大きくひろげ、腹部を高くあげる「交尾拒否姿勢」。ウーム、このメスは交尾後だったのだ。

交尾後のメスは、オスが求愛しても交尾を拒否する。

d0090322_2211152.jpg
クモマツマキチョウの求愛行動 (6月7日、長野県)

.
Courtship behavior of Orange Tip
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, Triming(+)


別な場所にメスが移動しても、オスは求愛を繰り返した。

目の前で行われているクモツキの求愛行動を撮影しようと、連続してシャッターを押していたら、(偶然ではあるが)オスがメスに被さるまでの経過が時系列で撮影できた。

d0090322_22113052.jpg
クモマツマキチョウの求愛行動 (6月7日、長野県)

.
Courtship behavior of Orange Tip
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, Triming(+)

とうとう、オスは交尾を諦めたように飛び去ったが、残されたメスはオスが飛び去った後もしばらく交尾拒否姿勢のままで地面に静止していたのが印象的だった。


**************************************************

ポンポコ山本さんからクモツキの交尾行動について、大変興味あるメッセージが寄せられましたので、原文のままで紹介させていただきます。

<クモマツマキチョウの交尾について>
実は大きなケージを使ってクモマツマキの交尾行動を前に調べました。 交尾拒否と言われている尻上げ行動ですが、蛹から羽化してすぐの未交尾の個体でも行うのです!  どうも今までの考えでは上手く説明できません。 複数のオスがアタックを繰り返すうちについに交尾が成立しました。 面白い事に このオスはその日のうちに他のメスとも交尾をし、その後数日に渡り交尾を繰り返しました。
交尾が出来ないオスは徹底的にメスに排除され?交尾が出来ずじまいでしたので、メスがオスを選んでいるように思われました。
 

**************************************************


つまり、クモツキメスの交尾拒否は、従来言われている交尾後を意味するだけでは無さそうで、メスがオスを選んでいる可能性があるみたいですね。さらにnを増やして工夫すれば、大変面白い新知見になりますね。
ポンポコさん、貴重なご意見を有難うございました。




ギフチョウ; Luehdorfia

季節はすでに6月(水無月)だというのに、林道を歩いているとギフチョウを数頭見ることができた-----ウーム、水無月のギフチョウだ。

d0090322_22115526.jpg
ギフチョウ (6月7日、長野県)

.
A female of Luehdorfia resting on the grass leaf
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro


ギフチョウをみると、尾状突起などはしっかりとしているが、さすがに前翅の色は少し白っぽくなっている。しかし後翅はまだ黄色味を帯びて新鮮さを失っていない。

多分、このギフチョウは5月後半くらいに羽化したのだろう。

d0090322_22121120.jpg
ギフチョウ (6月7日、長野県)

.
A female of Luehdorfia resting on the grass leaf
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro

d0090322_2212242.jpg
ギフチョウ (6月7日、長野県)

.
A female of Luehdorfia feeding on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



ヤマキマダラヒカゲ; Japanese Labyrinth

林道を歩いていると、妙に黒っぽいキマダラヒカゲが飛び出した。今年はサトキマダラヒカゲを真面目に撮影したので、ヤマキマダラヒカゲも妙に気になるのだ。

d0090322_22124775.jpg
ヤマキマダラヒカゲ (6月7日、長野県)

.
Japanese Labyrinth
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro



ヒメシジミ; Silver-studded Blue

朝、山に行く前に少し時間があったので、河川敷の散歩道をkmkurobeさんと一緒に少しだけ歩いた。談笑しながら、ゆっくりと歩いて行くと、足もとの草上に今年初のヒメシジミが朝日に輝いて開翅していた。

白馬連山が背景に入る角度を狙って広角レンズで撮影してみた。

d0090322_2213365.jpg
ヒメシジミ (6月7日、長野県)

.
A Silver-studded Blue resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD8mm, EC-14


**************************************************

§ Afterword §

しばらくぶりの晴れの日曜日ということもあって、多くの方々(kmkurobeさん、蝶山人さんご夫妻、theclaさん、兵庫のKさん、ダンダラさん、banyanさん、Nさん、mtanaさん、ヘムレンさん、cactussさん、蝶狂人さん、栃木のOさん)が撮影に来られていた。明らかにクモツキの数よりも撮影者の数の方が多くなってしまったようだ。

でも、クモツキのように飛来にインターバルのある蝶の撮影では、仲の良い知り合いの方たちと蝶談義しながら待つのも良いものだ(蝶談義だけで終わる可能性もあるが)。

実はこの日は他の場所にクモツキ撮影に行こうと考えていたが、結果的にはここに来て良かったと思う。声を掛けていただいたkmkurobeさんに感謝します。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-06-08 22:45 | Comments(41)

20090531 曇り空の散歩道:ミズイロオナガ開翅と黒化ベニシジミ (山梨県)

Nature Diary #0256
Date: May 31st (Sunday), 2009
Place: Kofu, Yamanashi Pref.
Weather: Cloud and rain



§ Diary §

31日(日曜日)は天気が悪く、朝から「どん曇り」だ。

そろそろ時期的にクモツキが出る頃だが、この天気はどうみても「クモツキ日和」ではない。そこで、近場のポイントにゼフの様子を見に行くことにした。この時期にはすでにアカ、ウラナミアカは確認しているが、その他のゼフの発生状況も気になるところだ。ちょうど甲府にいらした「撮影日記」のダンダラさんから連絡が入ったのでご一緒していただいた。


ミズイロオナガシジミ; Black-banded Hairstreak

A山のポイントは、ダンダラさんのフランチャイズで、ブドウ畑が広がる丘の上に残されたコナラとクヌギの混成林。時期になればオオミドリシジミがテリ張りする場所があるということだが、実際に冬期にはオオミドリシジミの越冬卵が結構多く観察できた。

しばらく林縁を叩くと、ミズイロオナガシジミが飛び出して葉の上に静止した。
比較的低い場所のイタドリの葉上に静止してくれたので、2人でゆっくりと撮影。

驚いたことには、この個体は翅を開いてくれた

d0090322_5254016.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD8mm, EC-14


ミズイロオナガはなかなか翅を開いてくれないチョウ------という先入観念があったので、曇天の空の下で開翅した時はとても驚いた。むしろ、曇天がこのチョウの開翅に関係しているのかもしれない。

そういえば、以前にもミズイロオナガの開翅を撮影したが、その時も雨が降っていたことを思い出した (ND174 を参照)。

d0090322_5255679.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


この個体は、とても翅を開くのが好きなようで、少し飛んで別な葉に移動しても翅を開いてくれた。
この写真は後翅表面の紋がみえる開き方をした時のもの。

d0090322_526991.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


ミズイロオナガの後翅表面の辺縁に小さな白紋が並ぶ。この紋の発達は個体差があり、発達している個体では、ウスイロオナガに匹敵するほどらしい。この個体は、紋の発達が弱くグレー一色に見える-----グレーのスーツを着た紳士(腹部が太いので淑女かな?)。

尾状突起の先端部分が白く、なかなかオシャレなアクセントになっている。

d0090322_5262266.jpg
ミズイロオナガシジミの開翅 (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


翅裏を拡大した。
前脚をたたんでいるので、4本脚のように見える。

d0090322_5263423.jpg
ミズイロオナガシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Black-banded Hairstreak resting on the leaf with the wings closed
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14



黒化ベニシジミ; Blackened Small Copper

シルビアポイントに立ち寄ったが、すでに端境期になってしまったようで、その姿を見ることができなかった------ウーム、もう少し早くに来るべきだった?

時折、ベニシジミが足もとから飛び出すが、その中に小型で異様な雰囲気の個体がいた。

d0090322_5264910.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf
Olympus E-3, ZD8mm, EC-14

d0090322_52717.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


拡大して観察して見ると、翅裏の黒紋が前後翅ともほぼ消失し、翅の辺縁部が黒化している。いわゆる「流れ」の一種なのだろうか。ウーム、翅表が興味あるところである。

ダンダラさんがパスト連射で、このチョウの飛翔写真を撮影して、翅表を見せてくれた。モニターでみると、翅表が全体に黒化してベニモンカラスシジミのような雰囲気だ。

明らかに異常だ!

d0090322_5271690.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


しかし、この異常型はなかなか翅を開いてくれなかった。よし、こうなったら、チョウとの我慢比べである。(別にチョウの方は我慢しているわけでもないのだが)。

開かぬなら開くまで待とうクロベニシジミ(虫林)。
開けーゴマじゃなかったクロベニ!

開翅を待って30分以上が経過し、そろそろモティベーションが下がってきた時に、チョウは少しモゾモゾとした後、突然、翅を開いてくれた。

翅表をみると、残念な事に少しスレて鱗粉が脱落している。しかし、前翅表の黒紋や橙色の部分はほとんど消失して、明るい春型の面影がないばかりか、夏型よりも明らかに黒い。

d0090322_5272992.jpg
黒化ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A blackened Small Copper resting on the leaf with the wings opened
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14



クロベニシジミと比較するためのコントロールとして、通常型のベニシジミを同時に撮影してみた。
この個体は後翅に青紋が出現した綺麗な個体だ。

このベニシジミと前述のクロベニが同じ種とは、翅表の色彩からにわかに信じがたい。。

d0090322_5275624.jpg
通常型ベニシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Small Copper, normal type, feeding on the flower
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14



その他; Miscellaneous

d0090322_5281153.jpg
ウラナミアカシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Zebra Hairstreak resting on the leaf
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14

d0090322_5282699.jpg
アカシジミ (5月31日、山梨県)

.
A Orange Hairstreak resting on the ground
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14


d0090322_528391.jpg
シロコブゾウムシ (5月31日、山梨県)

.
Episomus turritus
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, Gyorome

d0090322_5285438.jpg
シロコブゾウムシ (5月31日、山梨県)

.
Episomus turritus
Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, Gyorome


**************************************************

§ Afterword §

本日は曇りで、時々小雨がばらつく生憎の天気だったが、面白い場面、貴重な変異種を撮影できたのは嬉しい。この曇天が逆に幸いしたのかも知れないと思う。

先週に引き続きご一緒したダンダラさんと楽しい散歩でした。ご苦労さまでした。
ゼフ叩きはやはり「タモ竿」の方が良さそうですね。検討して見ます。


30日(土曜日)はゴマシジミの保全のための会合(日本チョウ類保全協会主催)が山梨県で開かれたが、虫林は所用(父の卒寿のお祝い)で不在のために今回は欠席した。その会合に参加された方々に敬意を表したい。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-06-01 05:46 | ▣ベニシジミ | Comments(30)