NATURE DIARY

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20090923 秋の河原散歩:シルビアシジミ他

Nature Diary #0282
Date: September 23rd (Wednesday), 2009
Place: South Alps-shi, Yamanashi Pref.
Weather: Cloud and Fine



§ Diary §

本日は午後からシルビアシジミのポイントを一人で散歩してみた。
今年はこれが初めてのシルビア撮影になる。


柘榴(ザクロ)の実; Pomegranate tree

子供の頃、近所の家の庭に大きな柘榴の木があった。

秋になるとその木はオレンジ色の実を沢山つけてとても綺麗だった。しかし、何かの本で柘榴の実は人肉の味という文章を読んで以来、子供心に柘榴には変な恐怖感を持つようになった。そして、毎年秋になると柘榴の木を避けるように歩いたものだ。

先日、スーパーの食料品売り場で大きな柘榴の実が販売されていた(多分、カルフォルニアあたりからの輸入もの)。しかし、虫林はどんなにおいしそうに見えても、石榴の実を食べる気がしない。だって----ね。

三つ子の魂百まで---ではないが、子供の頃の記憶は大人になっても消えないものだ。

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柘榴(ザクロ)の実 (9月23日、甲府市)

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Fruits of pomegranate tree
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200, FL-36R (+)



シルビアシジミ; Lesser Grass Blue

虫林以外に誰もいない広い河原の土手をゆっくりと歩いた。すでに9月も半ばを過ぎているのに、まだ夏の厳しさを残した日差しは容赦なく虫林を照りつける。

うーむ、それにして暑い。

そういえば、せっかく新調した帽子を車の中に置いてきた-----なんてこった。虫林はいつも大事な時に大事なものが無いような気がする。おっちょこちょいでそそっかしいのは生来のことなので、仕方がないと諦めるしかないか。

思えば、昨年ここを訪れた時には、暑さ対策として「ゴルフ用の傘」を日傘として持参した。こんな場所では小さな帽子よりも、できるだけ面積の大きい傘が有用だ。

しばらくしてやっと1頭の小さなシジミチョウが足元から飛び出して近くの草に静止した。

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河原の草上に静止するシルビアシジミ♀ (9月23日、南アルプス市)

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A female of Lesser grass blue resting on the leaf.
Olympus E-510, ZD8mm, EC-14, ISO200、外部ストロボ


その小さなシジミチョウはあまり飛ぶことも無く葉の上で静止してくれた。さっそく、ファインダーを通して翅裏の紋の並びを一応確認してみる。

ウーム、やっぱりシルビアだ。今年も会うことができて良かった。

突然、ラジコンの飛行機を持った男性が、満面の笑みを浮かべながら近寄ってきた。
ラジコン氏  「何を撮っているのですか?」
虫林     「シルビアシジミというチョウを撮影しています」
ラジコン氏  「チョウなら先日も網を持った人がけっこう来ていましたよ」
虫林     「---------」

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シルビアシジミ♀ (9月23日、南アルプス市)

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A female of Lesser grass blue resting on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200


このシルビアシジミのメスは、虫林の前で恥ずかしいのか、人見知りをしているのか、体の調子でも悪いのか、それとも機嫌が悪いのか、まったく翅を開いてくれなかった。

でも、しばらくすると、エノコログサの穂の上で、角度にすればたかだか10度くらいではあるが、おもむろに翅を開いてくれたので、その瞬間を逃さずに何とか撮影。その後もこの個体を追跡したのだが、これ以上はついぞ翅を開くことがなかった。

まあ、こんなこともあるさ。

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シルビアシジミ♀ (9月23日、南アルプス市)

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A female of lesser grass blue
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200


エノコログサの穂の上のシルビアを撮影していたら、オスが突然乱入してきて求愛を始めた。メスは翅を震わせて拒否を示しているようだ。

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シルビアシジミ求愛(9月23日、南アルプス市)

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A courtship behavior of lesser grass blues
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200


メスが別の場所に移動してもオスは求愛を繰り返していた。

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シルビアシジミ求愛(9月23日、南アルプス市)

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A courtship behavior of lesser grass blues
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200、トリミング


シルビアシジミは良く2頭でからむような飛翔をする。オスとメスの組み合わせなので、たぶん求愛飛翔といってよいと思うが、多くの場合、その後の交尾は成立しないのだ。

となれば、求愛拒否飛翔と呼ぶべきかな。

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シルビアシジミ求愛飛翔(9月23日、南アルプス市)

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A courtship flight of lesser grass blues
Olympus E-3, ZD8mm, EC-14, ISO200、トリミング



ウラナミシジミ; Pea Blue

9月も中旬を過ぎると、ウラナミシジミやイチモンジセセリの数が急激に増えてくる。

このチョウたちは南から渡ってくる旅人いな旅チョウだが、ここ山梨県に渡ってきた大部分のチョウ達は冬を越せずに死んでしまう運命なのだ。

無邪気に飛び交うチョウたちをゆっくりと楽しもう。

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ウラナミシジミ(9月23日、南アルプス市)

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A pea blue feeding on the flowers.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200



ベニシジミ交尾; Small Copper

ベニシジミの交尾を見るのは初めてのような気がするが、あまりに身近なチョウなので、交尾シーンを見た記憶さえも曖昧なのだ。いかん、脳の神経細胞がかなり脱落したようだ。

ヨーロッパや内モンゴルを訪れてみると、ベニシジミの仲間が結構気になる。日本と同じSmall copper を異国でみると妙に懐かしくなったりもするのだ。

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ベニシジミ交尾(9月23日、南アルプス市)

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A mating of small copper
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200



エビガラスズメAgrius convolvuli

日中なのに足もとから大きなスズメガが飛び出して、直線的に20mほど飛翔した後、地面に静止した。走り寄ってみると複雑な模様が有してなかなか立派なので撮影した。

蛾に詳しくないので、図鑑で調べてみると、どうやらエビガラスズメというらしい。

エビガラスズメは広く分布するスズメガで長さ10cmにおよぶ長い口吻で吸蜜するらしいが、何時か10cmの口吻で吸蜜している姿を見てみたいものである。

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エビガラスズメ(9月23日、南アルプス市)

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A male of moth, Agrius convolvuli
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200



クダマキモドキ; Holochlora japonica

クダマキモドキをハンノキの葉上で見つけた。

クダマキ+モドキという名前は、「酔っぱらってクダをまく人に似ている虫」の意味-------ウソ、漢字では「管巻」で、機織りの部品の一部らしい。


体色と葉の色とが絶妙にマッチして、よく見ないとそこに虫がいるのに気づかないくらいだ。このムシはクツワムシに近縁だが、クツワムシが地面の草で棲息するのに対して、クダマキモドキは樹上性で地面に降りることがない。

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クダマキモドキ(9月23日、南アルプス市)

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A grasshopper, Holochlora japonica, resting on the tree leaf
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200



カツオゾウムシ; Lixus impressiventris

イタドリの花をみてみたが、興味ある昆虫を見ることができなかった。しかし、葉の上をみると、点々とカツオゾウムシが静止していた。活動性の高い時期には、カツオゾウムシはすぐに落ちてしまうか、葉の裏に隠れてしまう。

しかし、本日は動きも鈍くてゆっくりと近接撮影させてもらった。

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カツオゾウムシ(9月23日、南アルプス市)

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An elephant beetle, Lixus impressiventris, resting on the leaf
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO200



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§ Afterword §

9月13日付の読売新聞の1面に、環境省によるオガサワラシジミの人工飼育失敗の記事が載った。その記事によれは、オガサワラシジミはかなりクリティカルな状態(まるでトキみたい)みたいだ------大新聞がやたら世論をあおるのはどうかなとも思う。このチョウの保全はもっと科学的かつ冷静に取り組むべきだ。

でも、今まで昆虫(チョウ)について保全が問題視されることはあまりなかったので、今回のこの記事がチョウの保全活動のブレイクスルーになればと願う。


そろそろシーズンも終盤にさしかかり、撮影できるチョウや昆虫も限られてきた。少し寂しくなったが、観察できる昆虫たちを丁寧に撮影できるというメリットもある。とくに撮影技術を磨いたり、新しく揃えた撮影機材を試したりするには最も良い時期かも知れない

秋を楽しもう!



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-09-27 07:57 | Comments(26)

20090920 秋の諏訪散歩:憧れのアカジマトラカミキリ

Nature Diary #0281
Date: September 20th (Sunday), 2009
Place: Nagano Pref.
Weather: Fine



§ Diary §

日曜日の朝起きてみると快晴無風。

そういえば、昨日(土曜日)から5連休の シルバーウィーク(SW) なので、帰省や行楽目的の車で高速道路がオーバーフローしているに違いない。案の定、ニュースを見ると中央道はすでに所々でスタックしているみたいだ。でも、甲府に住む虫林には、渋滞の影響はさほどなさそうなので、家内を誘って諏訪までドライブに出かけた。


この季節、収穫期を迎えた稲田は黄金色に輝いている-----「黄金の国ジパング?」

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.....黄金色の稲田 (9月20日、高根町)

..........Harvest time
........ Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100



アカジマトラカミキリ; Akajimatora bella bella

今日の目的はトラカミキリの 美麗種アカジマトラカミキリ の撮影だ。このカミキリは晩夏から秋に出現し、ケヤキの太い木に来集するが、かなり局所的な分布をしめすようで見つけることは容易ではない。虫林も自宅近くのケヤキ林で何度か探したが、まだ見つけたことは無い。

目の上のタンコブならぬ目の上のアカジマトラなのだ。

教えていただいたポイントがある諏訪方面に行く前に、県内のある場所に寄り道した。そこは大きなケヤキの木がご神木になった神社で、残念ながら、アカジマトラは不在だったが、その木の大きさには驚いた(幹周囲12m以上)。まるでトトロでも出てきそうだね。

家内にたのんで巨木の横に立ってもらい撮影した。

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ケヤキの巨木 (9月20日、北杜市)

...... A great tree of Zelkova in old shrine
..... Panasonic DMC LX3, ISO100


昼食を食べてから現地に向かったので、ポイントに到着したのは午後1時くらいになった(アカジマトラの活動時間は午後のはずなので遅くはない)。

早速、アカジマトラを探して大きなケヤキの木を一本一本丁寧に見て歩いたが、残念ながら見つけることが出来なかった。そこで、この場所はもう一度訪れる事にして、すぐに、近くの別なポイントに移動した。

別ポイントにあるケヤキの木は小さくて若いものが多い。
なので、それほどの期待もしないで、何気なく目の前の幹に目をやった-------なんとそこには赤い縞のトラカミキリが歩いているではないか。
そう、紛れも無いアカジマトラカミキリだ!

やっと見つけた本種はとても立派で、とても大きくて、とても綺麗で、とても鮮やかで、とても可愛くて、とてもさわやかで----ンート、もう褒め言葉は無いか。

しばらくの間注視していると、このカミキリは嬉しいことに目の高さの幹まで降りてきてくれた。

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アカジマトラカミキリ (9月20日、諏訪)

...... A long-horned beetle, Akajimatora bella bella, on the tree trunk.
.....Olympus 510, ZD8mm, EC-14, FL36R (+)


PanasonicのLX3は3種類の画角が使用できる(4:3, 3:2, 16:9)。そこで、ためしに3:2と16:9で画像を組み写真にしてみた。今回のものはただのテストケースだが、16:9のパノラマモードを縦位置で撮影して組み写真を撮影すればおもしろそうだ。

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アカジマトラカミキリ (9月20日、諏訪)

...... A long-horned beetle, Akajimatora bella bella, on the tree trunk.
..... Panasonic DMC LX3, ISO100


良く見ると幹の別の場所でもう一頭の個体を見つけた。両方とも触角の長さから♀のようだが、体色が少し異なっている(1頭は赤色、他の1頭はオレンジ色)。

両方の個体が何とか画面に入るように後ずさりしながら撮影した。

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2頭のアカジマトラカミキリ (9月20日、諏訪)

...... Two long-horned beetles, Akajimatora bella bella, on the tree trunk.
.....Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, ASA400、トリミング


さらに近くの葉の上で、もう1頭のアカジマトラを見つけた。そこは最初に見た時にはいなかったので、撮影している間にどこからか飛来したのだろう。

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葉上に静止したアカジマトラカミキリ (9月20日、諏訪)

...... A long-horned beetle, Akajimatora bella bella, resting on the grass.
.....Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, ASA400


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アカジマトラカミキリ (9月20日、諏訪)

...... A long-horned beetle, Akajimatora bella bella, resting on the tree trunk.
......Olympus 510, ZD8mm, EC-14, ISO100, FL36R (+)


アカジマトラがいた部位は、直射日光が当たらない半日陰部分だった。絞りを入れるために、ASA400でストロボを用いて撮影した。

通常、トラカミキリは日中に活動するが、アカジマトラは夕方に活動するみたいだ。また、一般的なトラカミキリの仲間の動きは落ち着きがなく敏感で素早い。それと比較すると、アカジマトラの動きはとても遅くて撮影が楽だ。

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アカジマトラカミキリ (9月20日、諏訪)

..... A long-horned beetle, Akajimatora bella bella, resting on the tree trunk.
.....Olympus E-3, ZD50mm, EC-14, ISO400, FL36R (+)


アカジマトラを横から撮影したものだが、見てわかるとおり、鞘翅ばかりでなく腹部の方まで赤い縞がはいっているのが面白い。

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アカジマトラカミキリ (9月20日、諏訪)

. .... A long-horned beetle, Akajimatora bella bella, resting on the tree trunk.
..... Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO400, FL36R (+)


幹の上のアカジマトラを観察していると、樹皮の割れ目などに産卵していた。

アカジマトラカミキリはケヤキの枯死部や衰弱部に産卵すると思っていたので、太い幹の樹皮下に産卵するとは意外であった。

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アカジマトラカミキリの産卵 (9月20日、諏訪)

..... A long-horned beetle, Akajimatora bella bella, ovipositing on the trunk
..... Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO400, FL36R (+)



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拡大:アカジマトラカミキリ(9月20日、諏訪)

. ....
A high-power view of long-horned beetle, Akajimatora bella bella on the trunk
..... Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO400, FL36R (+)


サビカミキリの仲間などでは驚くと擬死姿勢をとることがあるが、トラカミキリでは少ないみたいだ。アカジマトラは擬死姿勢をとることが知られている。

そこで、アカジマトラの傍を手のひらで叩いてみると、写真のように手足を縮めて擬死姿勢をとってくれた。擬死姿勢のままでいるのは10秒程度だった。

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擬死:アカジマトラカミキリ(9月20日、諏訪)

. ....Death mimicry of long-horned beetle, Akajimatora bella bella
..... Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ISO400, FL36R (+)

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§ Afterword §

今回は、目がふしあなでは無い 「ふしあな日記」Spaticaさんに、ポイント情報も含めてお世話になった。Spaticaさんによれば、アカジマトラは神出鬼没で、あるとき出現しても、あるときは全く見ないという。

今回は3頭も発見できたのでラッキーだったのかもしれない。

諏訪には「古畑」という名前の鰻屋があって、家内と諏訪を訪れたときにはよく立ち寄る。ここのうな重は柔らかくて美味いのだ。

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アカジマトラカミキリは昔から虫林の憧れの虫だったが、今回、Spaticaさんのおかげでやっと撮影できてとても嬉しい。同じような環境は甲府市内にもあるので、これから市内でも探してみようと思う。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-09-22 08:52 | Comments(26)

20090913 白馬村散歩:アサギマダラ撮影会

Nature Diary #0280
Date: September 13th (Sunday), 2009
Place: Hakuba-mura, Nagano Pref.
Weather: Cloud and fine




§ Diary §

出張先の宇都宮から夜に帰宅し、少しウトウトとしただけで、早朝には白馬村に出発した。

今回の白馬行は、kmkurobe さんのお世話による 「アサギマダラ撮影会」 に参加するためだ。虫林としては、写真もさることながら、久し振りに蝶仲間の皆さんにお会いできることが嬉しくて、日程的には少し強行軍となったが喜んで参加した。


<<虹>>

中央道を豊科インターで降りて白馬村に向かう途中(信濃大町付近)で、「虹」を見た。

ちょうど花期を迎えて純白の花をつけたソバ畑の向こうに、黄色く色付いた稲田が広がっている。虹はその後ろに控えた北アルプスの山々に、あまり自己を主張することなく、うっすらと控えめに半アーチでかかっていた。

ウーム、昔どこかでみたような、どこか懐かしく感じる 初秋の信濃路 の光景で、なんとも虫林の デジャブ(既視感) を刺激してくれるのだ。

そういえば、虹を見るのはいったい何年ぶりになるのだろう-----。

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蕎麦の花と虹 (9月13日、信濃大町)

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A Soba (Buckwheat) field of flower season and rainbow appeared at the mountains of the Northern Alps
Panasonic DMC LX3 , DMW-LW46, f8.0, 1/500, EV-1.0, ISO100


集合場所には無事到着した。

まだ気温が低く、アサギマダラの飛来には少し時間があるので、集合場所のすぐ裏にある石堤で時間をつぶす。朝日があたる白馬の山(唐松か五龍?)をバックにツメレンゲに静止したミヤマシジミをコンデジのパノラマモードで撮影----------ん!何か変?

そう、本来の組み合わせはツメレンゲとクロツバメシミコマツナギとミヤマシジミだ。

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ツメレンゲに静止したミヤマシジミ (9月13日、白馬村)

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A male of Argyrognomon Blue perching on the flowerstalk of Orostachys japonicus. Please note the background mountain.
Panasonic DMC LX3 , DMW-LW46, f5.0, 1/80, EV-1.3, ISO100



アサギマダラ; Chestnut Tiger

アサギマダラは秋に南下「渡り」をするチョウだ。

聞くところによれば、この白馬村で小学生(白馬北小)によってマーキングされた個体が、海を渡って1500kmも離れた沖縄で捕獲されたというから驚くほかはない。

白馬村には毎年この時期になると色々な地域からチョウたちが集まってくるという。

アサギマダラが長距離ドライバーだとするならば、白馬村は彼らにとって 「サービスエリア」 あるいは 「道の駅」 といえる憩いの場所なのだろう。ここでゆっくり休んで、蜜をたっぷり吸って、安全に旅立ってほしいものだ。


<<アサギマダラポイント>>

kmkurobeさんが村内のアサギマダラが集まるポイントに案内してくれた。

そこはアサギマダラの吸蜜植物であるフジバカマが栽培されていて、数日前には100頭以上の蝶が見られたという。このフジバカマの花はヒヨドリバナの花と色、形がそっくりサンで、虫林には両者の区別がとても難しい。

朝方は少なかったアサギマダラであるが、気温の上昇とともに周囲の林から湧き出るように三々五々にフジバカマ群落に集まってきて、昼近くにはかなりの数になった。

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フジバカマで吸蜜するアサギマダラ♂ (9月13日、白馬村)

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A male of Chest Nuts Tiger feeding on the flowers.
Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, f9.0, 1/800, EV-0.3, ISO400, FL36R (+)


子供の頃、大きくて美しいこのアサギマダラは憧れの的だった。

このチョウに初めてお目にかかれたのは高尾山の登山道だが、当時まだ中学生だった虫林の眼の前でフワフワ飛ぶアサギマダラを見た時にはいたく感激したものである。

そんな蝶が数百頭も集まるとは、白馬とはなんと贅沢な場所なのだろう。


<<望遠飛翔>>

かなりの数のアサギマダラが、フジバカマの花で吸蜜しながら飛びまわっているので、150mmの望遠マクロレンズ(フォーサーズでは実質300mm)で飛翔を撮影してみた。

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飛翔するアサギマダラ♂ (9月13日、白馬村)

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A flying Chest Nuts Tiger
Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, f4.0, 1/2500, EV-1.0, ISO400, FL36R (+)

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飛翔するアサギマダラ♂ (9月13日、白馬村)

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A flying Chest Nuts Tiger
Olympus E-3, Sigma 150mm MACRO, f7.1, 1/1600, EV-0.3, ISO400, FL36R (+)



<<広角飛翔>>

広角飛翔写真は、アサギマダラのように大きくてゆっくり飛ぶ蝶では比較的楽だ。いつものように8mm魚眼に1.4倍のリアコンをかませて撮影。

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フジバカマ群落の上を飛ぶアサギマダラ♂ (9月13日、白馬村)

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A flying Chest Nuts Tiger
Olympus E-3, ZD 8mm FISHEYE,, EC-14, f6.3, 1/3200, EV0, ASA400, FL36R


今まで8mmの魚眼レンズを使用する時には、魚眼の効果をなるべく緩和する目的で、EC-14 というリアコンバータを使用してきた。しかし、今回はEC-14を使用せずに積極的に魚眼の効果を利用して撮影してみることにした。

広角マクロ撮影では、チョウと背景のバランスが難しいように思う。

この写真はピンクのフジバカマの群落が程良く入り、青空に浮かぶ雲も広角独特のパースペクティブを表現できた。蝶が少し小さいが、チョウと空、雲、花と全体のバランスが良いので、虫林にとってはお気に入りの一枚となった。

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フジバカマ群落の上を飛ぶアサギマダラ♂ (9月13日、白馬村)

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A flying feature of Chest Nuts Tiger
Olympus E-3, ZD 8mm FISHEYE, f6.3, 1/3200, EV0, ASA400, FL36R


この写真では、チョウは申し分ない大きさで撮影できた。弱くストロボも当てているので色もしっかりでているように思う。

アサギマダラの「あさぎ」はたぶん「浅黄」なのだろうが、とすれば、アサギマダラのアサギはどうみても浅黄色ではない。正確には淡いブルーといった方が良いかも知れないね。

*アサギは浅葱(浅黄ともいうが)で青緑らしいので、アサギマダラのアサギは浅葱色でOKかも?
Apaturistさん、ご指摘有難うございます。


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フジバカマ群落の上を飛ぶアサギマダラ♂(9月13日、白馬村)

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Chest Nuts Tigers
Olympus E-3, ZD 8mm FISHEYE、f5.0, 1/8000, ASA400, FL36R


風に吹かれながら、広い斜面に立って見下ろすと青空には太陽をまるで隠すように大きな雲が浮かび、フジバカマの群落の上には数頭のアサギマダラが舞う。

至福の時間。

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空と雲とアサギマダラと (9月13日、白馬村)

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A flying Chest Nuts Tiger
Olympus E-3, ZD 8mm FISHEYE f5.0, 1/8000, EV-0.3, ASA640、FL36R


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フジバカマとアサギマダラ (9月13日、白馬村)

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A flying Chest Nuts Tiger
Olympus E-3, ZD 8mm FISHEYE f5.0, 1/8000, EV-0.3, ASA640、FL36R



<<群飛>>

そこはアサギマダラの密度が非常に高くて群飛撮影も可能。しかし、この群飛というのが曲者で、群飛を超広角レンズで表現することは簡単ではない。

そこで、マクロ50mmにEC-14を装着して(実質140mm相当)、なるべく多くの個体を入れるように試みた。こちらの方が楽に多くの個体を画面に入れることができる。しかし、この場所は斜面で、順光だと背景に建物が入ってしまうのがとても残念だった。

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アサギマダラの群飛と霧島緑さん (9月13日、白馬村)

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Flying Chest Nuts Tigers in group
Olympus E-3, ZD 50mm Macro, EC-14、トリミング(+)


そこで、背景に建物が入らない位置まで移動して撮影したのがこの写真だ。見降ろしているので、群飛という迫力は乏しいのが残念である。

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アサギマダラの群飛 (9月13日、白馬村)

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Flying Chest Nuts Tigers in group
Olympus E-3, ZD 50mm Macro, EC-14、トリミング(+)


このマーキングされたアサギマダラが、これから南下して、あるものは海を越えて沖縄まで行くと思うと、船出を祈ってあげたいものである。

bon voyage!

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その他; Others

アサギマダラの撮影後に、ミヤマシジミとクロツバメシジミが多い河川敷に立ち寄っった。そこはヌルデの木が多くて、一部の葉ではすでに紅葉が始まっていた。

ミヤマシジミの個体数は非常に多くて驚いたが、新鮮なものはあまり多くないので選んで撮影しなければならない。このオスは翅辺縁の白い縁毛がしっかりと残っている。

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ミヤマシジミ♂ (9月13日、安曇野)

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Argyrognomon Blue
Olympus E-3, ZD 50mm Macro, EC-14


ここはクロツの個体数も非常に多くて、今が最盛期なのだろう。数年前まではクロツバメシジミには目の色を変えて撮影したものだが、毎年撮影していると、当時の興奮が薄れて、冷静に見てしまう自分が残念である。

どんなチョウの撮影にもパッション(passion)をいつまでも持ち続けたいものだ。

ヌルデの紅葉した葉で静止したクロツを cactuss さんが見つけて教えてくれた。ヌルデの紅葉は本当に鮮やかな色で、カラフルな写真が撮影できた。

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クロツバメシジミ (9月13日、安曇野)

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Black Cupid
Olympus E-3, ZD 50mm Macro, EC-14


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§ Afterword §

今回の参加者は、kmkurobeさん、ダンダラさん、霧島緑さん、Hemlenさん、fanseab さん、cactussさん、蝶狂人さん、、シャクガ君親子さんと虫林だ。皆さんご苦労様でした。御蔭さまで楽しい一日でした。

とくにkmkurobeさんには世話人として色々とお世話いただき心から感謝する次第です。

アサギマダラの群飛は満足のいくものが撮影できなかったので来年の課題になってしまった。来年もまた、この時期に白馬を訪れてみたいと思う。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2009-09-16 19:41 | Comments(29)

20090902-08 晩夏の中国散歩 (中華人民共和国)

Nature Diary #0279
Date: September 2nd to 8th, 2009
Place: China



§ Diary §<

<中国行>
9月2日から8日まで、遼寧省瀋陽市内蒙古自治区呼和浩特市、そして北京市を訪れた。

今回の訪問の目的は大学間交流で、スケジュール表をみるとそれぞれの大学での講義や会議の予定ばかりがぎっしり詰まっているではないか。こんなタイトスケジュールでは、虫林が好きなフィールド散歩は時間がとれなさそうだ-------甘いぞ虫林!

訪問地の気候を考えれば、チョウや花を観察するには時期的に遅すぎるのだが、もともと7月初旬だったこの中国行を強引に今の時期に変更したのは何を隠そう虫林自身なので(英国行と重なったため)、文句が言える筋合いのものではないのだ。

しかし、何はともあれ中国の友垣に久しぶりに会えるのは嬉しいことなのだ。

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瀋陽空港(瀋陽市、9月2日)

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Shenyang airport
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


<瀋陽(しんよう)にて>

成田空港を飛び立って最初に訪れたのは遼寧省の瀋陽市だ。

瀋陽は人口が700万人を超す東北地方の中核都市だが、接する人々にはどこか親しみがあって、どこかノンビリしていて、いわゆる地方都市独特の雰囲気がまだ残っているのが嬉しい。

我々が宿泊したホテル(遼寧賓館)の前には毛沢東の像が立つ広場があって、その周りはいつも車でいっぱいだ。

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毛沢東の像が立つ広場(瀋陽市、9月2日)

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A statue of Mao Tse-tung standing in the square
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


瀋陽にある中国医科大学で、講義と交流会議を行った。

この大学にはJ教授がいる。虫林は以前に彼からの留学生を世話したことがあるので、連絡して顔をだしたところとても喜んでくれた。彼は数年前に定年したが、現在でも学生の講義や病院業務などを行っているとのことだった。しかし、昼間からカラオケ(こちらではKTVと書かれている)に誘われたのには参った------ますますお元気になっているようだ。

当然のことだが、会議の後の会食は近くの中華料理店で行われた。

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中国料理レストラン(瀋陽市、9月2日)

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Chinese restaurant
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


会食ではあまり日本では見たことのない料理の皿が次々に出てきた。「大食いのテレビチャンピオン」でなければとても食べきれる量ではない------残されるのが中国式歓待。

中国人は椅子以外の4つ脚は何でも食べるといわれている。

すなわち、中国料理の食材は多種多様というわけだ。今回も「ロバの肉料理」や「アヒルの舌料理」などは、食通(ウソ)の虫林でも初めて食べるものだった。味は------ウーム、珍味としか言いようがない。

中国料理は油分が多いので、蒸留酒の白酒(バイジュ)が合う。しかし、この酒はアルコール度が43-48度(50度以上も)もあるので、交流事業とはいえ相手側に催促されてむやみに乾杯を繰り返すとすぐに酔っぱらってしまう。

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中国料理(瀋陽市、9月2日)

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Chinese cooking
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100



<呼和浩特(フフホト)にて>

瀋陽の後に内蒙古自治区の省都である呼和浩特市を訪れた。この街の名前の呼和浩特という文字を「フフホト」と読める人はいないと思う(読めたら異常だね)。

呼和浩特市を訪れるのはこれで5度目になるが、現在の中国の経済発展を象徴するように町は異常な速度で変わっている。とくに、空港から市内への道沿いに立ち並ぶ大きなビル群をみると違う町に来たかの印象をもってしまう。

町の急速な発展は、大きな経済効果と利便性をもたらすが、失うものも大きいのだ。

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ホテルの窓から撮影した昼と夜の町並み(呼和浩特市、9月3日)
 
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A landscape of Hohhot
Olympus E-3, ZD12-60mm


フフホト市内にある内蒙古医学院での講義の翌日に、「草原観光」に連れて行ってくれた。草原というと日本の野原のようなものを想像してはいけない、内モンゴルの草原は想像を絶する広さを持ち、西の果てはゴビ砂漠に続いているのだ。

近年、フフホト市内から草原の手前まで高速道路が開通してアプローチが楽になったとはいえ、それでも草原までは車で2時間を要する。

目的地までの途中1回停車して外に出てみると、どこまでも続くなだらかな地平線には風力発電機が並んでいた。この草原は風力発電の重要なパワーステーションになっているのだ。

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草原(呼和浩特市、9月5日)
 
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Grass land
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


到着した場所は草原の中にある大きな岩が連なる谷だ。

遊歩道にそって歩きだしたが、ここは標高2000m以上もあるので、曇っているととても寒い(気温5度以下だった)。ちなみに、冬には零下30度になるそうだ。

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草原(呼和浩特市、9月5日)
 
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Grass land
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


大きな岩の間を縫うように遊歩道がつくられていて、面白い景色を見せている。岩はたぶん花崗岩のようで、どこか山梨の昇仙峡に似ているように思う。

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草原(呼和浩特市、9月5日)
 
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Grass land
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


歩き始めてしばらくすると、風が強くなって、雨まで降り出した。気温もさらに下がって、耳は痛くなり、手まで悴んだ-----こんな天気ではさすがの虫林も散歩は中止せざるをえない。

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岩に咲き残るキクの花。
(呼和浩特市、9月5日)
 
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Grass land
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100



<北京にて>

オリンピック後に北京を訪れるのはこれが初めてだ。

確かに車の数が増え、町も格段に綺麗になったように思える。しかし、虫林は北京の裏通りに見られる素朴なそして雑然とした風景がむしろ好きだったのだ。そんな庶民の生活風景が少なくなったことが少し残念である。

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ホテルの窓からの北京(北京市、9月7日)
 
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A landscape of Beijing
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


交流会議も無事終わって、やっと日本に帰ることになった。

午前中、数時間が空いたので、親しいW教授(北京大学)の学生さんに大学構内を案内してもらった。案内してくれた学生君(女性)は、吉林省の出身で、とても控え目ではにかみ屋さんだったが、片言の日本語を話してくれた。

北京大学の構内は広いので、門の数も多いようだが、最も綺麗で美しいのはこの西門だ。

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北京大学西門(北京市、9月8日)
 
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Teacher’s uncle and aunt
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


北京大学の構内は良く整備されていて池なども多い。写真の池は、その中での決して大きい方ではないが、ハスが密生してひっそりとしていた。

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構内のハス池(北京市、9月8日)
 
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A pond with colony of lotus
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100

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黄色い花の水連(北京市、9月8日)
 
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Yellow flowers of water lily
Panasonic DMC LX3, DMW-LW46, ISO100


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§ Afterword §

この旅行では、多くの中国の友人にお会いすることができ、旧交を温めることができたのが嬉しい。とりわけ、朋友である北京大学W教授には道中色々とお世話になった。W教授によると、中国の雲南は自然も美しく、チョウも多いという。

いつか二人で雲南を旅してみたい--------。

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以上、 by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2009-09-09 21:30 | Comments(10)