NATURE DIARY

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20101016 イグアス散歩 (4):ゴンドワナの申し子

Nature Diary #0359
Date: October 16 (Saturday), 2010
Place: Iguazu National Park in Brazil
Weather: Cloudy


§ Diary §

南米は世界で最もチョウの種類が多い(およそ世界の1/2の種)。

プレートテクトニクスによれば、南米は現在のアフリカ大陸やオーストラリアなどとともに一つの大陸(ゴンドワナ)をつくり、一方、アジアは北アメリカ大陸、ヨーロッパなどとともにローラシア(Laurasia)大陸にあった。また、この超大陸の間で生物に違いがあるといわれている。

南米のチョウたちは、いわば ゴンドワナ(Gondwana) の申し子だ。



ヒロオビアゲハ; Broad-banded Swallowtail, Papilio astyalus

ジャングルに沿ったトレールをぶらぶらと歩いていると、湿った地面には小型のチョウたちに混ざって大きなアゲハチョウが吸水に訪れていた。

この翅表の黄色い帯が目立つアゲハチョウは、メキシコからアルゼンチンにかけて広く分布する。

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#1: トレールの湿地で吸水するヒロオビアゲハ

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A Broad-banded Swallowtail feeding minerals on the ground.
Olympus EP1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Iguazu in Brazil)




ルーリッククロアゲハ; Rurik, Mimoides lysithous rurik

イグアスで出会ったアゲハチョウでは、目を見張るほど大きなものはなく、色彩もいわゆる玄人好みの地味目な種類が多いように思う。

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#2: 吸水するルーリッククロアゲハ

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A Rurik feeding on the wet ground.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-15, Igazu)




コケイロカスリタテハ ; Variable Cracker, Hamadryas feronia

現地の人のシャツの袖に2頭のカスリタテハが静止した。

カスリタテハの仲間はカチカチという音を出すことでも知られている。実際にその音を聞いてみると、意外に大きな音なので驚いた。このチョウは、いつもカチカチしているのでは無くて、飛び立つ時にだけに音を出すようだった。

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#3: 袖に静止したカスリタテハ

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Two Variable Crackers resting on the shirt.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




デモフーンオオルリオビタテハ ; Archaeoprepona demophoon

それにしても、このオジサンのシャツはよほどチョウたちに魅力的な匂いを発しているようで(洗濯してないかも)、前述のカスリタテハを撮影していたらなんと  オオルリオビタテハ までがどこからともなく飛来して袖に静止した。

このオオルリオビタテハはアフリカのフタオチョウの代置的な存在で、その大きさは日本のオオムラサキほどもある。今回、是非とも見たいと思っていたチョウの1つだったので嬉しい。

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#4: デモフーンオオルリオビタテハ 

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Archaeoprepona demophoon
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ルリオビアメリカコムラサキ; Turquoise Emperor, Doxocopa cherubina


人家の横の砂地で翅に鮮やかな青い紋を持つタテハチョウを見つけた。
ここでは個体数が多いようで、何頭もの本種が吸水に訪れていた。

ちなみに、このチョウの英名は  Turquoise Emperor というが、翅表の紋の色はまさに トルコ石 の色だ。

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#5: 吸水するルリオビアメリカコムラサキ

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A male of Turquoise Emperor feeding water on the wet ground.
Olympus EP1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Igazu)

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#6: 吸水するルリオビアメリカコムラサキ

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A male of Turquoise Emperor feeding water on the wet ground.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ホソツルギタテハ; Red Daggering, Marpesia petreus

尾が長いヘンテコリンなタテハチョウが吸水に訪れていた。
このチョウは英名を Red Daggering (赤い短剣)、和名は ホソツルギタテハという。

このツルギタテハはイシガケチョウに近縁らしい。
そういえば、イシガケチョウと同様にどことなく曲者的な雰囲気が漂うチョウだな。

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#7: 吸蜜するホソツルギタテハ

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A Red Daggering feeding water on the ground.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




チャスジツルギタテハ; Purple-washed Daggerwing, Morpesia Themistocles


黒い線を持つ地味な色をしたツルギタテハも見ることができた。

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#8: チャスジツルギタテハ

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Purple-washed Daggerwing
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ルリツヤタテハ ; Orsis Bluewing, Myscelia orsis

ルリツヤタテハ(Orsis Bluewing)は中型の美しいタテハで、とくにオスは翅表全体が青く輝き艶やかだ。今回はそのメスを撮影することが出来たが、メスもやはりベッピンさんだな。

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#9: ルリツヤタテハ♀

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Orsis Bluewing
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ミツボシタテハ; Catonephele numilia

この赤と白い紋が目立つ美しいタテハチョウは、トューカン(オオハシ)を追っていた時に、たまたまトレールの脇に静止したものを撮影した。

色彩が特徴的なのですぐに種名が判明するかと思ったが、調べた限りではまだ不明だ。


注:本種はミツボシタテハであることを yoda-1さんにご教示いただいた。このミツボシタテハの♂は羽表に大きな黄色い紋があり、雌とは色彩が全く異なります。驚きました。

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#10: タテハチョウの1種

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?
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




アガチナアメリカコムラサキ; Doxocopa agathina

日本のコムラサキに似ているが、翅の輝きはこちらが強い。

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#11: アガチナアメリカコムラサキ

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Bechina Purplewing
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




アカヘリタテハ; Red Rim, Biblis hyperia

翅表が黒地に赤い紋の縁取りを持つタテハチョウが目の前の草上で静止した。

このチョウはカバタテハの仲間で「アカヘリタテハ」という和名がついていた。
メキシコからパラグアイ北部の熱帯、亜熱帯に分布する。

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#12: アカヘリタテハ

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Red Rim, Biblis hyperia
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




アカガネタテハ; Mylitta Butterfly, Dynamine mylitta

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#13: アカガネタテハ

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Mylitta Butterfly
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



オドリコシジミタテハ; Dancer, Riodine lysisca lysisca

初めてこのチョウを見た時には、てっきり蛾と思った。
図鑑を見ると、どうやらシジミタテハの仲間らしい。

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#14: オドリコシジミタテハ

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Dancer
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ラサイアシジミタテハ; Black-spotted Bluemark, Lasaia agesilas esmeraida

シジミタテハ科のチョウは南米で繁栄していて、およそ9割が南米特産となっている。

このシジミチョウでもタテハチョウ、セセリチョウでもないけったいなシジミタテハは、翅が青く輝きとても美しい。吸水性が強く、しばしば湿った地面で見つけることができた。

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#15: ラサイアシジミタテハ

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Black-spotted Bluemark
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




Dark Epafos; Siproeta epaphus trayja

このチョウは図体が大きくて、翅表に白い帯がめだつ。
トレールを歩いていると、しばしば明るい場所にも現れてくれた。

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#16: Dark Epafos

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Dark Epafos
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




Passova Firetip; Passova passova

頭と尾端に真紅のアクセントを持つ綺麗なセセリチョウが葉に静止していた。
大きさはアオバセセリくらいで、大型の部類に入るセセリだ。

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#17: Passova Firetip

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Passova Firetip
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



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§ Afterword §

ヘンリー・ベイツ(Henry W. Bates 1825-1892)や アルフレッド・ラッセル・ウォレス(Alfred Russel Wallace, 1823 - 1913)といった博物学者は、今から約150年以上も前に南米を訪れて重要な発見をした。当時の南米はそれこそ暗黒大陸で、多くの苦難があったことは想像に難くない。彼らの目から見た南米のチョウたちは、さぞや魅力的に見えたことだろう。

虫林にもベイツ先生やウォレス先生の気持ちがほんの少~しだけわかった----生意気。



イグアスは蝶が多く安全で、素晴らしい散歩フィールドだった。

撮影できたチョウの全てをブログで供覧するのは困難だし、虫林にはそこまでやるだけの時間的な余裕も無い。残りはまたいつかね------といいたいが、生来、レイジーな性格なのでいつになることやら。

とにかく、これで「中締め」としよう。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-11-23 08:29 | ● Brazil | Comments(30)

20101015 イグアス散歩 (3):トンボ(スカシ)マダラ

Nature Diary #0358
Date: October 16 (Saturday), 2010
Place: Iguazu National Park in Brazil
Weather: Cloudy



§ Diary §

イグアスで最も大きい「悪魔の喉笛」と呼ばれる滝への入り口を過ぎて、キャンプ場に至るトレールを歩いた。ここまでくると、滝を見学する観光客の姿は一切無くなり、鳥たちやホエザルの声だけがジャングルに響いていた。


オオハシ; Tucano

突然、カラスほどの大きさの鳥が少し先の木に静止した。
みると、中南米だけに特産する トュ-カンTucan(和名 オオハシ) だった。

トューカン(アルゼンチンではトュカーノ) はイグアスを代表する鳥で、土産物屋にはこの鳥の置物などが沢山並んでいた。大きなクチバシを持つトュ-カンは、ディズニー映画のキャラクター的な愛嬌があって、まるでオモチャの鳥が動いているようだ。
 
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#1: トュ-カン Tucan (オオハシ)

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A Tucan resting on the branch of the tree.(#1) and suddenly took off (#2)
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Iguazu, Brazil)




クリスタルスカシトンボマダラ; Episcada hymenae

小道の脇に咲く黄色い花で、ヒメシロチョウほどの大きさの透明な翅を持つチョウを発見。このチョウは、翅がトンボのように透明で、まるでガラス細工のようだ。

ところで、下の写真でその蝶がどこにいるかお分かりだろうか。

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#3: 吸蜜するトンボマダラ

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A Glass Wing Butterfly feeding nectar on the flower.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Igazu)



トンボマダラ科(スカシマダラ科)の蝶は、大部分が中南米に特産する。この仲間はトンボのように透明な翅を持つものが多く、英名ではグラスウィングと呼ばれている。

下の写真の蝶はブラジルの蝶の図鑑ではCrystalinaと呼ばれているので、クリスタルトンボマダラチョウとしておく。

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#4: 吸蜜するトンボマダラ

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A Glass Wing Butterfly feeding nectar on the flower.
Olympus E-620, ZD8mm, EC-14, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



ひらひらと花から花へと飛び移りながら吸蜜を繰り返していたが、前後翅とも透明で透けているので、いったん目を離すと背景に溶け込んでしまう。

このスカシトンボマダラの仲間は似た種類が多いので同定がなかなか難しい。

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#5: 吸蜜するスカシマダラ

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A Glass Wing Butterfly feeding nectar on the flower.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA800
(2010-October-16, Igazu)

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#6: スカシマダラ

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Glass Wing Butterfly
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA800
(2010-October-16, Igazu)

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#7: スカシマダラ

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Glass Wing Butterfly
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA800
(2010-October-16, Igazu)




クロフチトンボマダラ; Epityches eupompe

こちらは別の種類で和名をクロフチトンボマダラという。

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#8: クロフチトンボマダラ

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Epityches eupompe
Olympus E-3, ZD35mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)

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#9: クロフチトンボマダラ

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Epityches eupompe
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Igazu)




トンボマダラ; Greta oto



途中で雨が強くなってきたので、林の中の大きな木の下で雨宿りをしていたら、目の前の葉でトンボマダラを見つけた。。南米の透明な翅を持つチョウでは、しばしば写真に掲載されているのがこの学名がGreta otoというトンボマダラGlass Wing Butterflyだろう。



トンボマダラの仲間はジャングルの中の下草で生活するものが多いといわれている。
とにかく光量が少ないのでストロボを用いて撮影した。

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#9: トンボマダラ

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Glass Wing Butterfly
Olympus E-620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




キボシカバタテハマダラ; Tithorea harmonia pseudonyma

この蝶はキボシカバタテハマダラという名前らしい。

キボシカバマダラというチョウは、亜種も含めてかなり多彩なので、種の同定には自信が持てない。

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#11: キボシカバタテハマダラ

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Tithorea harmonia pseudonyma
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



林の縁でマダラチョウの一種を追っていたら、虫林の利き手の指で汗を吸い始めた。

そのままではカメラが持てないで困っていると、ちょうどそこにドイツから来たという観光客(若い女性)が通りかかり、虫林の指のチョウを興味深そうに見ていた。

そこで、彼女にお願いして指を出してもらい、虫林の指に静止しているチョウを彼女の指にそっと移した。彼女は思いがけない出来事に目を輝かせて驚いていた。その後、是非とも写真がほしいというので、後程メールとともにこの写真を送り届けた。

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#12: キボシカバタテハマダラ

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Tithorea harmonia pseudonyma
Olympus E-3, ZD35mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)


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§ Afterword §

近頃忙しいので、ブラジルで撮影できた写真の整理がなかなかできなかったが、やっとスカシマダラの仲間をアップすることができた。とにかく南米の蝶たちはユニークなものが多くて興味深い。しかし、どの種も良く似ていて同定には苦労する。

上の写真で種名が間違っていたら、教えていただければ幸いです。




次回でそろそろイグアス散歩のチョウの日記を終了。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-11-14 17:57 | ● Brazil | Comments(12)

20101015 イグアス散歩 (2):蝶の乱舞とモルフォ飛翔

Nature Diary #0357
Date: October 15 (Friday), 2010
Place: Iguazu National Park in Brazil
Weather: Fine after cloudy



§ Diary §

フォス・ド・イグアスの郊外を現地のガイドを雇って一日だけドライブした。

郊外に出るとほどなく舗装は途絶え、Laterite (ラテライト) と呼ばれる赤土の道が遥か遠くまで伸びていた。このラテライトの道は、雨に濡れるととたんにぬかるみ、反対に乾くとひび割れてコンクリートのように固くなる。

虫林が育った日本の関東ロームよりもこのラテライトの方が赤味がより強いようだ。多分、赤い色のもとである酸化鉄などの成分がこちらの方が多いのかもしれない。

イグアスは 「赤い大地」 だった。
 
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#1: ラテライトの赤い道

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A red road of Laterite
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Iguazu, Brazil)



ジャングルに隣接した農家の裏手で黄色い蝶が飛ぶのを見かけた。

早速、様子を観察したところ、そこは私有地の中なので、無断で入れば銃で撃たれても文句はいえない(日本とは違うからね)。そこで、呼び鈴の代わりに門の前で手を叩いて呼んでみたところ、家の中からやや褐色の浅黒い肌をしたオジサンが現れた。

「こんにちは、私は日本から蝶を撮影にやって来た虫林というものですが、お宅の敷地の中に入って蝶の撮影をしても宜しいですか?」----と虫林。

「何だって!日本から蝶の写真を撮影にきたっていうのかい、それはまた酔狂なことだね。うちの土地ならどこでも入って遠慮なく撮影してってくれ」-----とオジサン

(ポルトガル語なので良くわからないが、多分)。
ちなみに下の写真で、池の周りの小さな白い点は蝶。

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#2: イグアス郊外の農家と池

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A farmer’s house and pond in Iguazu
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Iguazu)



壊れた柵を越えて敷地の内部に入ると、豚、鶏、七面鳥や犬たちがにぎやかに迎えてくれた。母屋の裏は大きな窪地で、そこにはまるで水たまりを巨大にしたような池があった。この池は家畜たちの水飲み場であろう。

池の縁や窪地の斜面に群れ飛ぶ黄色い蝶たちを見つけた。

ラテライトの赤土をバックにして、遠目にもそれとわかるほどに鮮やかなコントラストを見せて飛ぶ蝶に胸の高鳴りを禁じ得ない。

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#3: 池畔の蝶集団

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A group of butterfly by the pond.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-October-15, Iguazu)



吸水集団にそっと近づいてみると、集まっている蝶の数に息を飲んだ。
(後日、写真で確認すると200頭以上)。

さらに、このような集団はここ一か所ではなくて、他にも数か所で見られたのだから、いったいどれだけ多くの蝶たちがこのあたりに集まっていたのだろうか。

南米イグアスの「驚くべき自然力」だ。

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#4: 蝶の吸水集団

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The butterflies were found in large group, imbibing moisture from damp sand on pondbank.
Olympus E620, Sigama 150mm Macro, ASA200
(2010-October-15, Iguazu)



不思議に思うのは、蝶たちはそれぞれが触れ合うほど隙間なく密に集まって「満員電車状態」を呈していたことだ。蝶たちはどうしてそんな「満員電車状態」で吸水するのだろう。

もしかして、海のイワシのように、多数の個体が密に集合して大きな生き物に見せかけているのかも知れない。あるいは、集合することで「蝶と認識させない」という効果の方が大きいかも知れない。実のところ良くわからないが、天敵に対する防御的な理由によるものだろう。

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#5: 蝶の集団

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The groups are tightly packed, with up to 200 butterflies clustered together.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Igazu)



吸水に訪れている蝶の多くは オオキチョウ(Phoebis) の仲間だった。


黄色で後翅の先が少し飛び出している蝶:
ツバメオオキチョウ Tailed Sulphur (Phoebis rurina)

翅の色が少し赤っぽい色の蝶:
オレンジオオキチョウ Apricot Sulphur (Phoebis argante)

白っぽくて翅裏に線の入った蝶:
Yellow Leaf (Rhabdodryas trite banksi)


どれも通常のキチョウよりも二回り以上も大きくて、日本の蝶でいえばヤマキチョウほどもある大きさだった(ヤマキチョウよりも大きいかも)。

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#6: オオキチョウ

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The butterflies intermingled amongst mixed aggregations of Rhabdodryas, Phoebis, and other predominantly white or pale yellow species.
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA400
(2010-October-15, Igazu)



前3種の他にも別な種類も混ざっていて、下の写真で飛んでいる白いチョウはStatira (Aphrissa statira statira)という種類らしい。Statiraはビーナスの神様の名前で、白くて内側に黄色が入り綺麗だ。この蝶は数が少なかった。

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#7: オオキチョウ

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Yellow Leaf (Rhabdodryas trite banksi)
Olympus E620, Sigama 150mm Macro, ASA200
(2010-October-15, Igazu)



集団に不用意に近づくと、蝶たちは一斉に飛び立って文字どおり「蝶の乱舞」となる。

イグアスでの蝶の乱舞は、ネットのブログなどで見てイメージはしていたが、実際に乱舞する蝶たちに囲まれてみると、はるばる南米までやってきた甲斐があったと思う。

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#8: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)

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#9: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)

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#10: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)

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#10: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)




アキレナモルフォ; Morpho achilaena

オオキチョウの乱舞を撮影後、道に戻ってみると、モルフォチョウが飛んできた。

モルフォチョウはゆうゆうと飛翔し、その点滅するような青い輝きはかなり離れた場所からでもわかるほど強い。初めてこのチョウを見た時には、その貫録十分の大きさと翅の青い閃光に圧倒されてしまい、カメラを構えるのも忘れてただ見送ったものだった。

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#11: アキレナモルフォ

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Morpho achilaena
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Igazu)



そこは蝶道となっているみたいで、モルフォはしばしば訪れてくれた。

彼らはいかにもすぐに静止するみたいにゆっくりと飛ぶが、どっこい、全く止まってくれなかった。そこで、汗だくになりながらモルフォを追い回して飛翔写真を撮影した。まったく、いい年をして何をしているのかとふとおもってしまう。

飛翔写真を分析してみると、このモルフォはアキレナモルフォだった。

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#12: アキレナモルフォ

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Morpho achilaena
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)




虫マニアの漫画家「やくみつる」氏が新婚旅行を兼ねて訪れたボリビアで、アキレナモルフォを夫婦協力して採集したという話を「昆虫少年記」という本で読んだ。アキレナモルフォがウェディングケーキということらしいが、羨ましい話である。

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#13: アキレナモルフォ

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Morpho achilaena
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)




モルフォというと、レテノールモルフォのように翅全体が青く輝く蝶を思い浮かべるが、アキレナモルフォは青い部分が少ない----でもモルフォはモルフォだね。

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#14: アキレナモルフォ

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Morpho achilaena
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)



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§ Afterword §

虫屋のはしくれである虫林は、今までにもキチョウ、アゲハ類の集団吸水に出会ったことは何度かあるが、これほど多くのチョウが集まったものは経験していない。

モルフォは蝶屋なら一度は憧れる蝶だろう。
このアキレナモルフォは、この日の後にイグアス国立公園内でも何度か見る機会があった。とくにブラジル側のイグアスの滝の前にあるホテルの裏手には個体数が多かった。しかし、こんな時に限って飛翔写真用のレンズを忘れているのだ。まったく、残念だった。

赤い大地の上で見た「黄色い絨毯のようなオオキチョウの集団吸水」と「ジャングルの青い精アキレナモルフォ」は、ブラジルの自然力を感じるに十分な迫力だった。

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至福の時






以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-11-03 18:57 | ● Brazil | Comments(21)