NATURE DIARY

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20110326 里山の春散歩

ND#378
車を駆って郊外の丘の上に立つと、日当たりのよい休耕田や土手にはタンポポやオドリコソウが絨毯のように咲き誇り、見渡す農地の所々で菜の花が春の風情に色を添えている。雑木林ではやっとコブシの花も綻んで、小路の脇ではイカリソウやスミレがひっそりと花をつけている。いよいよ里山にも春が訪れた。


» モンシロチョウ ; The Small White

農地のキャベツ畑ではモンシロチョウが飛び、時折、菜の花で吸蜜している。今までこの場所にこれだけ多くのモンシロチョウがいることさえも気づかずにいたことが恥ずかしい。モンシロチョウの幼虫はキャベツだけを食す偏食者だ。ここで最近数が増してきたのは、無農薬での野菜栽培が増えているからなのだろう。

蝶の仲間で害虫に指定されているのはモンシロチョウだけだ---人間とは勝手だな。

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菜の花とモンシロチョウ (甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



» ミヤマセセリ ; The Small Copper

僕はスプリングエフェメラルという言葉を聞くと心が動揺する。やはり、春先だけの植物や昆虫たちにはある種の憧れがあるからだろう。ミヤマセセリはけっして綺麗な蝶とは言えないが、正真正銘のスプリングエフェメラルなのだから見る目が違うのだ。人種差別ならぬ蝶種差別といわれても仕方がない。

本日は少し寒いので、ミヤマセセリは11時過ぎにやっと現れて日光浴をしたりスミレやセンボンヤリなどの小さな花で吸蜜したりしていた。この蝶は地面に水平に静止するので、広角撮影がなかなか難しい。でも、やっと石の上に静止してくれたので慎重に撮影してみた。

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日光浴するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, kenko X1.4, ASA400

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センボンヤリの花で吸蜜するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



» テングチョウ ; The European Beak

先週には小路のあちらこちらで日向ぼっこする様子が見られたテングチョウが、今週はほとんど姿を消していた。それでもちらちらと数頭は観察することができたが、いったい彼らはどこに消えたのだろうか。多分、越冬した場所から広範囲に散ってしまったのかも知れないな。

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日光浴するテングチョウ (甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, kenko X1.4, ASA400

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テリトリーを守るために飛翔したテングチョウ (甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, kenko X1.4, ASA800, Trimming (+)



» ベニシジミ ; The Small Copper

オオイヌノフグリ群落にベニシジミが数頭訪れていた。そういえば、今年はまだベニシジミを撮影していなかった。青いオオイヌノフグリの花と赤いベニシジミのコントラストはとても鮮やかで綺麗です。

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オオイヌノフグリの花で吸蜜するベニシジミ (甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400


求愛行動をしているベニシジミのペアを観察していたところ、2頭が並んで日光浴を始めた。写真では一見、2頭が仲良く日光浴しているようにも見えるが、実は何とも言えない緊張感を感じる。実際、数秒後に一頭がその場から逃げるように飛び立つと、すかさずもう一頭が追尾して視界から消えていった。

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日光浴するベニシジミのペア(甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


ベニシジミはとても美しいチョウであるが、あまりに数が多いのでその美しさが正当に評価されていないのが残念だ。とくに後翅表面に青い紋が出現するタイプは、翅に青い星を並べたようでとても綺麗だ。

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ベニシジミ(甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



» ヤマトシジミ ; The Pale Grass Blue

この春先に見つけたヤマトシジミは明らかに色が白っぽくて、低温型といえる個体だった。かなり敏感で、なかなか近づかせてくれなかったが、何とか近づいて撮影してみた。

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ヤマトシジミ(甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



» ルリシジミ ; The Holly Blue
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ルリシジミ(甲府市, 3月26日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



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§ Afterword §

このところ、大震災の影響で週末に予定されていた色々な行事が軒並み中止になっています。本日も知人の記念パーティがキャンセルになりました。また、山梨では計画停電が実施されていて、ウィークデイは毎日電気の供給が停止されるので仕事に大きな支障が生じそうです。でも、週末が空くのは虫屋の僕にとっては有難いことでもあります。

それにしても、フィールド散歩後の花粉症の症状が例年よりもかなりひどいな。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-03-28 00:35 | Comments(12)

20110319 早春の小径:コツバメ初見とミヤマセセリ

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<福島原発損傷>
日本全体が何とも言えない不穏な空気に包まれています。昨日、この4月から大学院への入学を予定していた外国の若者から突然来日をキャンセルしたいというメールを受けました。また、日本を離れて母国に一時帰国する留学生たちも増えています。やはり、福島原発の損傷による放射能汚染が不安なのです。今は日本のもてる放射線管理技術を信じ、早期の復旧を願いながら見守るしかありません。
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Nature Diary

「冬のもどり」のような昨日までの寒さが嘘のように暖かくなりました。ただ天気が良いと花粉症がね-----。今年はスギ花粉の飛散量が多くてアレルギー症状が強いといわれています。本日も朝からくしゃみや鼻水が止まりません。それなら、外に出なければ良いのだが、やはり早春のこの時期にはマスクをしてでもフィールドに出てしまいます。虫屋は花粉症などには負けていられないのです(本当かね?)。


» コツバメ ; The Tailless Hairstreak

まだ緑萌え始める前の雑木林の小径に沿ってくしゃみをしながら歩いて行くと、ちらちら飛ぶ小さな青いシジミチョウを見つけました。あわてて近づいて確認してみると春の蝶コツバメでした。この雑木林ではもともとコツバメはあまり多くないので、見つけた時には驚きました。

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笹の葉上に静止したコツバメ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA200


コツバメは蛹で冬を越し、ミヤマセセリとともに早春最も早く出現するチョウです。陽の光を浴びながら少し弱々しく飛んでは地面や枯れ葉、小枝上に静止していました。このチョウもミヤマセセリと同様に「春告蝶」で、この蝶をみると、これから春が始まるんだなと実感します。

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コツバメ(甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400


コツバメの翅の裏面は赤味のあるサビ色で、後翅には星を散りばめたようにな白い点が散在しています。地味だけど独特の味わいがあって、いわゆるワビ、サビのあるシジミチョウといえます。細い枯れ草の上に静止したコツバメをマクロレンズで撮影しましたが、まるで宙に浮いているような面白い写真になりました。

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コツバメ(甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



» ミヤマセセリ The Spring Flat;

足元から越冬明けのテングチョウとともに時折ミヤマセセリが飛び出しました。先週の日曜日にこのチョウを初見してから、まだ一週間ほどですが、本日はかなりの数が観察できました。
自然の歩みは思いのほか速いものですね。

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小枝の先で日光浴をするミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


出現したミヤマセセリの大部分はオスでした。

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翅を開いて日光浴するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


ミヤマセセリのメスはオスよりも少し遅れて出現します。これは効率よく子孫を残すための自然界の仕組みなのでしょう。実際、まだ出現初期のこの時期にはオスを多く認めますが、本日はメスも観察できました。ミヤマセセリのメスは、オスよりも翅表の地色が黒っぽくて、上翅には白い紋があるのですぐにわかります。

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翅を開いて日光浴するミヤマセセリ♀ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400


ミヤマセセリは通常翅を開いて静止しますが、なかには翅を閉じて静止するものもみられました。この違いは温度などによるものかもしれませんが、この個体ではゆっくりと撮影できました。

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翅を閉じて静止するミヤマセセリ♀ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400


お昼近くになって気温が上昇すると、ミヤマセセリのオスはメスを求めて飛び回ります。結構、不規則に飛翔するのでストロボを用いて撮影してみました。写真をみると脚をきっちりとたたんでいるのが分かりますね。

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飛翔するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA400, ストロボ



<吸蜜>
茶色一色の落ち葉の小路の脇に、ホトケノザやオオイヌノフグリなどの花が群落をつくり、また良く見ると、タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレなどのスミレの仲間がひっそりと花をつけていました。お昼近くになると、ミヤマセセリはこれらの花で吸蜜していました。

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ホトケノザで吸蜜するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400

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オオイヌノフグリで吸蜜するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400

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オオイヌノフグリで吸蜜するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400

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タチツボスミレで吸蜜するミヤマセセリ♂ (甲府市, 3月19日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400


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§ Afterword §
先週はかなり冷え込んだので、少しつらかったのですが(我が家では節電中)、そろそろ暖かくなって楽になってきました。でも暖かくなるとともに花粉症が出てしまい痛し痒しですね。本日は気温もかなり上がったので、色々なチョウたちを見ることができました。

スキンを新しくしましたが、やはりまだ慣れないためか違和感があります。タイトルエリアの写真は交換にそれほど手間がかからないのがわかったので、できればトップの写真は毎回変えていきたいと思っていますが、どうなることやら-----。



東日本大震災による被害状況がだんだんと明らかになるにつれ、その甚大さや悲惨さがとにかく未曾有の大きさであることに驚いています。実は家内の知り合いが東北(青森、岩手)に多くいるので、当初はかなり心配しましたが、幸いにして被災者はごく少数のようでほっとしました。それにしても、報道によると被災者への援助活動が少し混乱しているようで残念です。まだまだこれから援助活動を盛り上げていかなければなりませんね。東日本大震災の被害者救済のための義援金誘導バナーを張り付けました。






以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-03-20 18:40 | Comments(21)

20110313 早春の小径:ミヤマセセリ初見

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<東日本大地震>
金曜日は会議で京都に出張していました。会議中に小さな揺れを自覚しましたが、後に東北地方太平洋沖で マグニチュード9.0 もの巨大地震が発生したことを知って唖然としました。結局、その日は東海道新幹線も在来線もストップしてしまい、京都のホテルに宿泊せざるをえませんでした(ホテルが取れただけでもラッキー)。次の日(土曜日)も交通はまだ回復していなかったので、京都を朝出発したものの名古屋から塩尻を経由して甲府の自宅に着いたのは夜でした。我々人間の社会とは脆くてとても弱いものなのですね。

テレビでは終日、地震とともに津波による甚大な被害が放映されています。以前に岩手県盛岡市で生活したことのある僕には、その悲惨な映像を目にすると本当に胸が締め付けられる思いがします。彼の地の友人たちの無事を祈るとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げる次第です。
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Nature Diary #0376

日曜日の天気予報では、甲府市は気温が18℃くらいまで上がるとのこと。

そこで、近くの武田の杜にミヤマセセリを見に行くことにしましたが、家から車を出そうとしたら何と前のタイヤが完全にパンクしているのに気づきました。早速、車ディーラーに電話して、タイヤ交換とともに車検も兼ねて代車を出してもらいました。そんなドタバタで、武田の杜に到着したのは午前11時をまわってしまいました。でも、この時期のチョウたちは活動時刻が遅いのであまり問題になりませんね(常にポジティブ)。

とにかく、陽の当たる雑木林の小径を歩けるだけでも嬉しいものです。



» テングチョウ The European Beak;

落ち葉の絨毯を踏みしめながらゆっくり歩いて行くと、足元からテングチョウが飛び出しました。寒くて長い冬を越えたテングチョウたちは、地面の上や枝先などに静止して気持ちよさそうに日光浴をしていました。
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日光浴をするテングチョウ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Konko X1.4, ASA200


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日光浴をするテングチョウ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400




» ミヤマセセリ The Spring Flat;

地面が湿った場所にさしかかると、やや黒っぽいセセリチョウが飛び出しました。少し先の地面に降りたので、注意深く近づいて確認すると、やはり目的のミヤマセセリでした。今年はまだ少し早いかなと思っていましたが、やはりミヤマセセリは発生していたのです。
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日光浴するミヤマセセリ(甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



ミヤマセセリの飛ぶ後を追っていたら、犬の糞で吸汁し始めました。

他のセセリチョウもしばしば糞で吸汁するので、ミヤマセセリが犬の糞で吸汁しても何ら不思議ではありません。でも、今までミヤマセセリのそのようなシーンを見たことがなかったので少し驚きました。
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犬の糞で吸汁するミヤマセセリ(甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA200




» ヒオドシチョウ The Large Tortoisshell;

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日光浴するヒオドシチョウ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



» キタテハ The Chinese Comma;

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日光浴するキタテハ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400




» ニホンセセリモドキ; Hyblaea Fabricius

ニホンセセリモドキを見つけました。

この小さくて可愛いニホンセセリモドキは早春に見る蛾で、毎年、ミヤマセセリを探して雑木林を散歩すると見かけます。アップで見ると、かなり翅がスレていますが、実はこの蛾は昨年の7月頃に羽化するらしいのです。羽化後、行動せずにそのまま年を越し、この時期になって活動を開始するということです。だから、翅がスレているのもうなずけます。
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ニホンセセリモドキ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



面白いことに翅の模様がミヤマセセリに似ています。

ミヤマセセリの幼虫は無毒な植物を食べますが、このニホンセセリモドキの幼虫は、毒成分を含むと考えられるクマツヅラ科の植物を食します。ということは、ミヤマセセリがこの蛾に擬態したのかも知れませんね(ミューラー擬態)。

体の脇のヘアーペンシル(長い毛) からフェロモンを発散しているようです。
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毛からフェロモンを出すニホンセセリモドキ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



近くのメスを見つけて求愛行動を示しました。
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求愛するニホンセセリモドキ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



蝶と同じで、盛んにディスプレーをしながら近づいて交尾しました。
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交尾するニホンセセリモドキ (甲府市, 3月13日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



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§ Afterword §

東北が大惨事に見舞われているときに、呑気に散歩でもないだろうが、じっとテレビの被害情報を見ているのも忍びないのでフィールドに出ることにしました。本日は気温もかなり上がって、目的のミヤマセセリも顔を見せてくれ、またニホンセセリモドキも複数観察できました。そろそろ春も本格化してきて、これから日を追って色々な種類の蝶たちが出現してくるでしょう。楽しみです。

なお、金曜日に京都から帰宅できずに、ホテルに宿泊しましたが、夜にやることもないので、ブログのスキンを新しくしてみました。ブログを始めてからすでに5年になりますが、スキンを変更するのは今回が初めてです。エキサイトブログの出来合いスキンをアレンジしたものですが、以前に比べて写真を少し大きく掲載できるようになりました。

以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-03-13 20:48 | Comments(14)

20110227 米国サンアントニオの蝶たち (2)

Nature Diary #0375

§ Diary §

シカゴ上空に差し掛かった時、雲海の上にブロッケン現象(Brocken spectre)を見た。

ブロッケン現象の発生原理を考えれば、飛行機で見かけるチャンスはけっして少なくはないと思うが、山以外でこのブロッケンをみるのは初めてでした。

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雲海のブロッケン現象

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA200
(San Antonio, USA, 2月27日)



サンアントニオのお土産を物色していたら、お店の片隅に「コウロギと芋虫のお菓子?」を見つけました。箱の裏にnutrition agentと書かれていたので、 栄養食として販売されているのかも知れません。コウロギはサワークリーム味で、芋虫はチェダーチーズ味らしい。

日本をはじめアジアにもひろく食虫習慣はありますが、アメリカにもこのようなものがあるとは知りませんでした-----ちなみに帰国後、まだこれを味見した人はいない

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» アメリカチャマダラセセリ
Checkered Skipper; Pyrgus communis


サンアントニオ植物園の花壇では、沢山のチャマダラセセリが訪花していた。

チャマダラセセリといっても日本のものとは異なる種類のアメリカチャマダラセセリ(アメチャマ)です。アメチャマはこちらでは広く分布する普通種のようですが、日本のチャマを知る虫屋の僕には、見るとやはり感激してしまいます。

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黄色い花で吸蜜するアメリカチャマダラセセリ♀

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



アメチャマは、メスに比べてオスの方白斑の数が多い。

でも、ここにはミナミチャマダラセセリという別種がいるはずだが、アメチャマとミナミチャマの両種は非常に良く似ていて、翅表での判定は難しそうだ。まあ、常識的に考えると、撮影したチャマはアメリカチャマと考えるのが妥当と思いました。

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アメリカチャマダラセセリ♂

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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アメリカチャマダラセセリ♂

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)




» ホレースミヤマセセリ Horace's Duskywing;, Battus philenor

日本のミヤマセセリに良く似たセセリも出現した。
このセセリは花壇や白い木の花に沢山集まっていました。

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ホレースミヤマセセリ

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)




» ソウシキセセリ Funereal Skipper;, Erynnis funerelis

気の毒なことに、このセセリの名前には Funereal skipper (葬式セセリ) という。
そんな名前が付けられていれば、このセセリが少しオドロオドロしく見えてきてしまう。

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ソウシキミヤマセセリ

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)




» Clouded Skipper ; Lerema accius

このClouded Slipper という英名に、適当な和名は付けにくい。
付けにくいものには、無理につける必要がなかろうと思います。

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Clouded Skipper

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Canon 7D, EF Sigma 17-70mm, ASA400, Trimming (+)
(San Antonio, USA, 2月27日)




» その他 Miscellaneous

その他、まだまだ多くのチョウを見ることが出来ました。
以下に数種類のものを供覧します。

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クサトベラコノハチョウ:Goatweed leafwing

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Canon 7D, EF 300mm, ASA800
(San Antonio, USA, 2月27日)

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アメリカタテハモドキ Buckeye

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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アメリカヒメアカタテハ American Painted Lady

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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テングチョウ Snout Butterfly

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)

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ホクベイヒョウモンモドキ Field Crescent

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)


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§ Afterword §

ここ San Antonio はアメリカ合衆国テキサス州で、ちょうどメキシコとの国境の町です。そうすると、これらの蝶たちは、メキシコ北部とほぼおなじです。国境などは人間の社会の区分で、昆虫や植物には国境などはありません----当たり前。

まだ撮影したチョウたちは何種類かありますが、いつか供覧してみたいと思います。


これでサンアントニオの日記は終了します。





以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-03-07 06:39 | Comments(8)

20110227 米国サンアントニオの蝶たち

Nature Diary #0374


§ Diary §

日曜日(27日)は朝から雨。

しかたがないので、ホテルの部屋で遅れている原稿を書いていたところ、あにはからんや正午を過ぎるとそれまで空を覆っていた雲が突然切れて、雲の間から青空が顔を出すと同時に暖かな陽も差してきた。さらにしばらくすると青空はどんどんひろがってきた。

早速、サンアントニオ植物園 (San Antonio Botanical Garden) を訪問。

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サンアントニオ植物園 の入り口

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA200
(San Antonio, USA, 2月27日)




» トラフアゲハ Tiger Swallowtail; Papilio glaucus

植物園の自然観察路の脇でグミに似た低木を見つけました。

何気なくその木に目を向けると、遠目にもそれとわかるほど鮮やかな黄色のアゲハチョウが吸蜜に訪れていました。このアゲハチョウは トラフアゲハ Tiger Swallowtail という名前の米国で最もポピュラーなチョウです。

今まで過去に訪れた夏の米国では、何度もこのトラフアゲハが空中を素晴らしいスピードで飛び去る姿を目撃してきましたが、どういうわけか花での吸蜜を見ていませんでした。今回はやっと念願かなって 「空の韋駄天野郎 トラフアゲハ」 が花で吸蜜する姿を、至近距離でゆっくりと観察することがことができました。

見れば見るほど「水もしたたる良いチョウ」だな。

まだ発生初期のようで、見つけた個体はいずれも新鮮な♂のようでした。

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白い花で吸蜜するトラフアゲハ

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



トラフアゲハはキアゲハほど大きさで、翅表は黄色地に黒いラインが入っていわゆる虎(Tiger)模様のチョウです。チョウの中でトラ模様を示すチョウは意外に多い。多分、黄色一色よりもトラ模様の方が、背景に溶け込んで天敵たちに見つかりにくいためでしょう。

自然界の現象は、つきつめてみると常に合目的でその巧妙さに驚かされる。

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吸蜜するトラフアゲハ

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



花壇の花でもトラフアゲハの姿を見かけました。

しばらく観察していると、トラフアゲハ\は青いパンジーを特に好んで吸蜜していることに気づきました。そういえば、ギフチョウも青系統の色が好みですね。

蝶には花の色の好みがあるのは事実で、蝶の種類によって好きな花の色は異なるるようです。でも、どの蝶にも好まれるのは赤紫や青紫の花でしょう。トラフアゲハが青紫色のパンジーに惹かれたのは自然の生理ということになりますね。

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飛翔するTiger Swallowtail

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)




» アオジャコウアゲハ Pipe-Vine Swallowtail; Battus philenor

小型の黒いアオジャコウアゲハ Pipe-Vine Swallowtail を見つけた。

英名の Pipe-Vine とは ウマノスズクサ科のアリストロキアという植物の名前らしい。

一般にウマノスズクサを食べるジャコウアゲハの仲間は体に毒を持っていて、このチョウを食べた鳥は、2度と食べないことが実験的に証明されています。そのため、無毒のチョウがこのアオジャコウアゲハに擬態することが知られています。前述のトラフアゲハのメスもその一つです。

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吸蜜する アオジャコウアゲハ

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



この アオジャコウアゲハ もやはり翅裏にオレンジ色の大きな紋が並んでいてなかなか見ごたえのある美しさを示す。

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吸蜜する アオジャコウアゲハ

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



旋回飛翔(占有行動)を示すアオジャコウアゲハを見つけました。

この個体はテリトリーの独占欲が強くて、2時間ほどしてからまた同じ場所に戻ってみるとまだ木の周りで占有行動を示していました。

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飛翔するアオジャコウアゲハ

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA400, Trimming (+)
(San Antonio, USA, 2月27日)




» メスクロキアゲハBlack Swallowtail; Papilio polyxenes

Black Swallowtail は日本語にするとクロアゲハですが、実際はキアゲハに近い。

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飛翔するBlack Swallowtail

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400, Trimming (+)
(San Antonio, USA, 2月27日)




» イヌモンキチョウ Dog Face ; Colias cesonia

「Dog Face 犬の顔」という面白い名前のシロチョウです。

どうして「犬の顔」なのかというと、このチョウが翅を広げた時の様子が犬の顔に見えるからです。すなわち、尖った翅先が耳で、翅表の黒紋が目や鼻に見えます。

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吸蜜するイヌモンキチョウ

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Canon 7D, EF 300mm, ASA800
(San Antonio, USA, 2月27日)



チョウが花に飛び移る直前の姿勢を写したものか、それとも花から飛び立った直後かの2つの可能性が考えられます。多分、前者だと思いますが、自信はありません。

この写真を見る限り、チョウの翅は適度に柔らかくかつ適度に硬そうです。
多分、チョウの飛翔には硬軟のバランスがとれた翅が重要なのでしょう。

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飛翔するイヌモンキチョウ

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Canon 7D, EF 300mm, ASA800
(San Antonio, USA, 2月27日)




» オオムラサキシジミGreat Purple Hairstreak ; Atlides halesus

白い花に集まったチョウ達の中に、大きな黒いシジミチョウを見つけました。

しかし、発見した時には木の上方の花で吸蜜していたので、撮影は困難でした。
そこで、心の中で「降りて来い!」と叫んだのですが、チョウは一向に降りてきてくれませんでした。最後には「お願いだから降りてきてください!」と丁寧にお願いしたら撮影可能な下枝まで降りてきたのです(本当かい?)。

このチョウはオオムラサキシジミというシジミチョウで、英名を Great Purple Hairstreak というが、Great Blue Hairstreak とも呼ばれている。

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吸蜜するオオムラサキシジミ

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



このシジミチョウは、名前に Great という文字が冠せられているように Hairstreak の仲間では最も大きいようです。ちなみにButterflies of Houston and Southeast Texas という図鑑をみると「最も大きくて最も豪華な熱帯性のシジミチョウ」と記載されていました。

カメラに100ミリのマクロレンズを装着して近接してみると、翅裏の基部に毒々しいほど派手な赤紋が目に飛び込んできました。また、後翅尾部の近くには青銀色の紋が怪しく輝き、長さが著しく異なる尾状突起が2対(4本)あります。

一度お目にかかったら忘れることができないシジミチョウです。

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吸蜜するオオムラサキシジミの♀

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400
(San Antonio, USA, 2月27日)



同じ木の花で。吸蜜に訪れていたオオムラサキシジミのオスも発見。

この個体は残念ながら翅の尾部が欠損していましたが、翅裏はメスと同様の赤紋に加えて、鮮やかな青い紋が翅裏にひろがっていて、メスよりも派手な印象を受けます。良く見ると腹部が明るいオレンジ色なのもどことなくトロピカルな配色です。

少し逆光だったので、外部フラッシュを使用しました。

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吸蜜するオオムラサキシジミ ♂

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Canon 7D, EF 100mm Macro, ASA400, 430EXII
(San Antonio, USA, 2月27日)



チョウを上から見ると、尾状突起が何かの昆虫の長い触角のように見えます。
また、横に広がった部分は虫の頭部を模倣していそうです。

つまり、鳥などに体の前と後ろを誤認させる擬態かも知れませんね。

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オオムラサキシジミ の翅後端が横に広がる

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Canon 7D, EF 300mm, ASA800
(San Antonio, USA, 2月27日)


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§ Afterword §

今から6年前にも同じ時期にこの植物園を訪れました。その時に比べて、今回の方が花は少なかったですが、チョウの種類数、個体数ともかなり多く観察できたように思います。

サンアントニオ植物園はダウンタウンから車で10分ほどの至近距離にある上に、敷地がかなり広くて、自然の林を残した散歩道もつくられています。また、チョウだけでなく鳥の種類も豊富なようですので自然愛好者にはお勧めの場所といえるでしょう。

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以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-03-03 23:58 | Comments(14)