NATURE DIARY

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20110424 新緑の京都散歩:改造レンズで撮影

Diary#383

神戸での学会の後に会議のために京都に移動した。

すでに夕方で薄暗かったが、雨も上がったので小さな「たこやき屋」を訪ねてみた。そのお店はあまり綺麗とは言い難いが(失礼)、味はなかなかのもので、京都に出張した時のひそかな楽しみになっている。
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たこ焼き屋 (京都市, 4月23日)

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This is a small restaurant of Takoyaki where I prefer to call in Kyoto.
Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA800
(2011-April-23, Kyoto)


屋根の上に大きな猫を見つけた。

その猫は少し太っていてどことなく 不思議の国のアリス に出てくる チシャ猫 に似ているように思えた(飼い主の方失礼)。そういえば、こちらを見てニヤッと笑った----本当かよ。
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屋根の上のチシャ猫? (京都市, 4月23日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA800



» わらび採り ; Bracken, Pteridium aquilinum

明けて日曜日は午前中の数時間が空いたので、地下鉄で京都国際会議場がある丘の上まで行ってみた。

会議場から市街地までうらうら散歩しながら降りてくる途中で、偶然に夏の 「送り火」 のための草原に出た。どうやらここは、松ヶ崎西山(標高135m)という場所で、 「妙」の文字の送り火が灯されるらしい。ちなみにお隣の東山では「法」の文字が灯され、両方で 「妙法」 となる

この草原にはちょうど「ワラビ」が沢山出ていて、何人かの方々がのんびりとそれを摘んでいた。
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「送り火」の草原でワラビを摘む人 (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA800

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ワラビと背景の京都市街 (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA800



» 海野式改造レンズ ; Altered lens

今回、一眼レフは持参しなかったが、オリンパスのEP-1とズームレンズ、改造ズームレンズを持ってきた。下の写真はヒメクロオトシブミが葉っぱの揺りかごを作る様子を通常のズームレンズで撮影したものだ。
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葉を巻くヒメクロオトシブミ (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA200、ストロボ(+)


海野式改造レンズをEP-1に装着して、外部フラッシュにディフューザーを併用して撮影すると、体長数ミリの昆虫もかなり大きく撮影できる。この改造レンズでは自動露出は問題無いが、オートフォーカスは実用的ではない。改造レンズで撮影するときはMFに設定する方が良さそうだ。

まずは体長数ミリの小さなヒメクロオトシブミを撮影したが、鞘翅表面の点刻まで描出されていて、解像度は思ったよりも良いようだ。以下に改造レンズで撮影したその他の小型昆虫を供覧しておく。
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改造レンズで撮影したヒメクロオトシブミ (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, 改造ズーム, ASA200、ストロボ(+)

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クロボシツツハムシ (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, , 改造ズーム, ASA200、外部ストロボ

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セスジツツハムシ? (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, , 改造ズーム, ASA200、外部ストロボ

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ナナホシテントウ (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, , 改造ズーム, ASA200、外部ストロボ



» 土砂降り ; Downpour of rain

午後1時から会議だったので、お昼近くに急いでもどって着替えをしてから再び出かけた。会議する場所に向かって急いで歩いていると、突然、雷を伴ったドシャ降りになった。傘を持ってなかったので、軒下で雨宿りしたが、その時の様子がこのシーンだ。

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雷雨の街角 (京都市, 4月24日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA200



§ Afterword §

聞くところによると、京都でも福島原発の事故の影響で外国人観光客の姿が消えたそうだ。海外の人からみると、日本はすべて放射能に汚染されてしまったように見えるのだろう。全く早く目途がつくと良いのだが。

今回は少しだけ(午前中数時間)京都でフィールド散歩ができたのは良かった。それにしても、週末はよく雨が降ったな。これでは、良く言う「春雨じゃ濡れていこう」というわけにはいかない。海野式改造レンズは蝶よりも小さな昆虫を撮影するためのものだが、まだ慣れていないせいか、使用するのはなかなか難しい。でも、うまく撮影できると肉眼で見えなかった特徴が分かるのが面白い。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-04-25 23:02 | ■撮影機材ほか | Comments(6)

20110417 越中富山の里山散歩:ギフチョウ

=ギフチョウ詣で考=
毎年ギフチョウを撮影していても、桜が咲く頃になると天気予報を気にしてソワソワ、ドキドキ、ワクワクしてしまう。そしてやっと週末になると、カメラを片手にいそいそと車を飛ばしてギフチョウが棲むフィールドに出掛けるのだ。この 「春のギフチョウ詣で」 は、まるで 「パブロフの犬」 の条件反射のようになってしまっているのかもしれないな。そういえば、虫林は春になると涎(ヨダレ)が出て止まらないのだ(花粉症の鼻水だろ)。


§ Diary §

今回は蝶写友の kmkurobeさん(安曇野の蝶と自然)とご一緒して越中富山でギフチョウを追った。この時期の越中は桜の花が満開で、見はるかす先には切り立った輪郭を見せる北アルプスの名峰「剣岳」を筆頭にして雪をいただいた立山連峰が青空を背景に聳えていた(ブログタイトル写真)。

Kmkurobeさんにご案内いただいたギフチョウポイントは、棚田を囲むように点在する杉林や雑木林の周りで、その林床や土手には沢山のスミレ、カタクリ、キクザキイチゲの花が咲いていた。

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棚田とカタクリの花 (富山市, 4月17日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA200: Canon 7D, EF300mm, ASA400


到着した時は風が冷たく、空には雲が一面にかかっていた。

でも、しばらくして陽が差してくると目的のギフチョウが次々に現れ、道の脇の枯葉や枯草の上で日光浴をしてくれた。今年は今までギフチョウに会っていなかったので、ギフチョウと出会えただけで僕としては大満足だ。やはり虫屋であればギフチョウはね-----。

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日光浴するギフチョウ (富山市第2ポイント, 4月17日)

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Olympus EP-1, MZD14-42mm, ASA200


kmkurobeさんの呼ぶ声に急いで駆け付けてみると、1頭の新鮮なギフチョウのオスが斜面のタチツボスミレで吸蜜していた。スミレの花では吸蜜時間が短いのが普通だが(蜜の量が少ないためかな?)、この個体は比較的ゆっくりと吸蜜してくれた-----僕のように素早く撮れない撮影者にはとても有難かった。

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タチツボスミレで吸蜜するギフチョウ (富山市第1ポイント, 4月17日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400
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タチツボスミレで吸蜜するギフチョウ (富山市第1ポイント, 4月17日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


ここには、タチツボスミレの他に、ナガハシスミレやシハイスミレ、アオイスミレなどを認めたが、ギフチョウの吸蜜は、主としてタチツボスミレとシハイスミレで観察された。できれば、ナガハシスミレでの吸蜜を撮りたかったが、このスミレは距が長いので吸蜜し難いのかもしれないな。

でも、ここでは数が少ないシハイスミレでの吸蜜シーンをおさえることが出来たのは良かった。シハイスミレは山梨県には分布していないので、このスミレでの吸蜜は僕にとっては新鮮なものなのだ。

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シハイスミレで吸蜜するギフチョウ (富山市第1ポイント, 4月17日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


下の飛翔写真だけを見ると、タチツボスミレの花を訪れたギフチョウのようにも見える。

つまり、上と下を逆にすると自然なのだが、実際に連続撮影した写真で確認してみると、明らかにこの飛翔写真は吸蜜後に飛び立ったものだった。偶然に連射していて良かった。

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吸蜜後に飛翔したギフチョウ (富山市第1ポイント, 4月17日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


ギフチョウは吸蜜に飽きると、枯草の上でしばしば翅を広げて日光浴していた。

清書によれば、越中のギフチョウは越後や山形などのものに比較して、黄色い部分が少ないそうだ----どうだろうか。虫林には翅表の赤色紋の色が深くて目立つように感じたがかなり欲目が入ってしまったようだ。

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日光浴するギフチョウ (富山市第2ポイント, 4月17日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


第2ポイントでは、スギの林に面した斜面の上の道が「蝶道」になっていて、そこで待っていると次々にギフチョウが飛んできてくれた。ただ、複数が視野に入るとどちらを追いかけるか迷ってしまう。

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日光浴するギフチョウ (富山市第2ポイント, 4月17日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


下の写真の上左はシハイスミレ、上右はナガハシスミレ、下左は白花タチツボスミレ、下右はイカリソウ。

シハイスミレやナガハシスミレは甲府市内では見ることが出来ず、日本海側や関西に多いスミレである。また、山梨県で見かけるイカリソウはピンクから赤色なので、白いイカリソウ(トキワイカリソウ)はとても面白い。

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出会ったスミレとトキワイカリソウ (富山市第1ポイント, 4月17日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


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§ Afterword §

今年はフライングしたり、天候不順だったりとギフチョウには振られていた。
これが今年初めてのギフチョウ撮影になりました。

今年の冬は気温が低く雪も多かったので、ギフチョウの発生時期を読むのが大変難しいようです。でも、この越中撮影行ではちょうど良い時期に訪れたようで、結構な数の新鮮なギフチョウに会うことが出来ました。古い資料をもとに良いポイント開発されたkmkurobe さんのお蔭です。

越中の散歩道は、またいつか必ず訪れてみたいなと思います。





以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-04-19 21:35 | ▣ギフ | Comments(18)

20110414 前玉外し改造ズームレンズ

先日、昆虫写真家の海野和男氏にお会いした時に、オリンパスMZDの改造レンズを見せて頂いた----やはり実物をみるに限るからね。その時、その改造レンズではズームやオートフォーカスなどの機能は保ったままで昆虫をかなり大きく写せることがわかった。ウーム、虫林も前玉外しをやってみたい。

過日の東京出張の時に新宿のヨドバシで「カメラオープナー」という器具を見つけた。これは子供の頃に使用したコンパスに形が似ているが、尖った先が本体の横についている。そこで、さっそく購入して(3000円くらい)、その尖った先をレンズのカニ目に当てて回してみた。するとなんとも驚くほど簡単にレンズの前玉が外れてしまったのだ。それにしても、レンズ外しはスリルがありました----癖になりそう。

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オリンパスMZD14-42㎜レンズの前玉外し


そのままでは内部がむき出しになるので、保護フィルターを付けた。また、100円ショップで買ったプラスチックの白いお皿をくり抜いて自作のディフューザーも作成してみた。

ウームなかなか格好が良いな---自画自賛。

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海野式改造レンズを付けたオリンパスEP-1撮影システム



早速、お昼休みに大学の構内の草地で試し撮りしてみた。

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テントウムシの幼虫

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Olympus EP-1, 改造MZD14-42㎜, ASA200, フラッシュ

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タンポポの綿毛

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Olympus EP-1, 改造MZD14-42㎜, ASA200, フラッシュ

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セミの抜け殻

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Olympus EP-1, 改造MZD14-42㎜, ASA200, フラッシュ


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§ Afterword §

今までレンズの改造など試みたことが無かったので、はじめはかなり躊躇したが、僕自身はやってよかったと思う。このシステムは、すばやく動く昆虫の撮影には適応不可だが、越冬卵や幼虫、小さな甲虫(1cm以下)などには威力を発揮するかもしれない。南米でツノゼミを撮影した時にこのレンズがあれば良かったのにと思う。

とにかく、これからのシーズンには小さな昆虫たちにも注意してみよう。
海野さんの御教示に感謝します。

最後に、レンズの改造は失敗しても当方は責任は負いかねますので、すべて自己責任でお願いします。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-04-14 22:37 | Comments(13)

20110410 春の県南散歩:not my day but -----

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天気予報では、本日(日曜日)は朝から晴れて「ギフチョウ日和」のはずだった。しかし、天気は静岡方面に向かうほど悪くなり、現地に到着してみると空はどん曇りで霧まで出ていた

ウーム、これではギフはノーチャンスだ。Not my day!

そこで、「naoggio 写真日記」の naoggioさんと連絡をとって別なポイントで待ち合わせていると、なんとそこに 昆虫写真家の海野和男さんが突然姿を現した。ほどなく naoggioさんご夫妻も無事に合流され、お昼過ぎまで色々な蝶談義をしながらギフの飛来を待った-----がボウズ。

午後からは虫林が知る別な林道を、一緒に散歩してみることにした。

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3Dレンズで撮影する海野和男氏 (南部町, 4月10日)

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Canon 60D, Sigma 17-70mm, ASA800



河原の枯れた葦の間を黒褐色の動物がかなりのスピードで走って行ったので、はじめはイノシシかなと思ったが静止した動物を良く見るとカモシカだった。カモシカを見るのは久しぶりだ。

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カモシカ (南部町, 4月10日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



» スギタニルリシジミ ; The Sugitani's Hedge Blue

とにかくひどいドン曇り状態だったが、何とか道路上でチラチラ飛ぶブルーを1頭見つけた。

海野さんによれば、ここのスギタニルリは明らかに大きいとのことだ。確かにいわれてみれば、ここの個体は通常のルリシジミと大きさがほとんど変わりないように思う。この付近にはスギタニルリの食樹であるトチノキが無いので、幼虫はトチノキ以外を食べて成長するに違いない(多分、ミズキやキハダだろう)。すなわち、食樹の違いが成虫の大きさの違いに現れているのかも知れないな。

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地面で吸水するスギタニルリシジミ (南部町, 4月10日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



他の昆虫を探した後、スギタニルリの場所に戻ってみると、海野さんとnaoggioさんが奥様の写真を熱心に撮影していた。少し離れた場所からみるとどこか「モデル撮影会」 でもしているように見えなくもないな。

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一見、モデル撮影会? (南部町, 4月10日)

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Canon 60D, Sigma 17-70mm, ASA320



実はモデル撮影会ではなくて、どうやら海野さんの提案で奥様の指にスギタニを乗せたみたいだ。もちろん、せっかくの被写体なので、虫林もその「指乗りスギタニのモデル撮影会」に加わったのは言うまでもない。それにしても、このスギタニルリはかなり敏感だったのだが、指に乗って吸汁しはじめると、全く動かなかった。

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指乗りスギタニルリシジミ (南部町, 4月10日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



指乗りスギタニを撮影している海野さんを反対側から撮影した。

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指乗りスギタニルリシジミ (南部町, 4月10日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



突然、クロコノマチョウがどこからともなく飛来して斜面に静止した。そこまでは5m以上はありそうだったので、石を投げたりしていたら、海野さんが斜面を登ってしまった。斜面といってもかなり急だったので驚いた。

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斜面で撮影する海野和男氏 (南部町, 4月10日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



本日は薄暗いのでクルコノマが日中に出てきたのだろう。とにかく、このチョウは静止しても背景に溶け込んでしまうので、目に自信が無い虫林にはなかなか発見できない。

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クロコノマチョウ (南部町, 4月10日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



帰途、甲府市に入ったら晴れていたので、少しだけ寄り道してシュンランを撮影した。

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シュンラン (甲府市, 4月10日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



甲府市の郊外のブドウ棚の下には、ホトケノザがまるで絨毯のように群生していた。どういうわけか、ぶどう棚の下はホトケノザなどが群生するようだ。

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ホトケノザの群生とブドウ棚 (甲府市, 4月10日)

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Canon 60D, Sigma 17-70mm, ASA400



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§ Afterword §

残念ながら天候不良のために富士川流域のギフチョウの撮影はお預けになってしまった。
虫屋は「泣く子と天気には勝てない」のだ。

でも、naoggioさんご夫婦に久しぶりにまたお会いできたのはとても嬉しかったし、さらに昆虫写真家の海野和男さんとお会いし撮影をご一緒出来たのも幸運だった(ギフチョウに会うより難しいと思う)。

海野さんとは初対面だったが、とても気さくで素晴らしい人物でした。海野さんは分かれ際に、前玉を外したオリンパスMZDズームレンズで小さな昆虫を撮影するところをデモンストレーションしてくれた。僕も時間が出来たら自前のレンズで前玉を外してみようと思う-----多分、次回にその結果をアップできるだろう。

来週はまた忙しくなるので、週末が空くかどうかわからないが、そろそろ今年もギフを撮影したいな。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-04-10 22:30 | Comments(14)

20110402 春の県南散歩:スギタニルリシジミとトラフシジミ

ND#379

低山では茶褐色一色だった山肌に、桜の花が白色から淡いピンクのアクセントを添えています。
こんな春の景色は幾つになっても何度みても嬉しいものですね。

桜の花が咲き始めると「春の女神」と称されるギフチョウに会いたくなります。まだ少し早いかなとは思ったのですが、本日は天気が良さそうなので毎年訪れている県南の富士川流域を訪れてみることにしました。


» スギタニルリシジミ ; The Sugitani's Hedge Blue

ギフチョウはやはりちょっとフライングだったようで、飛来は1頭もありませんでした。そこで近くの林道にこの時期出現しているはずの スギタニルリシジミ を見に行くことにしました。スギタニルリシジミは地味な蝶ですが、山地に春を告げるれっきとした スプリングエフェメラル(春告蝶)なのです。

僕がスギタニルリシジミを見るために訪れるポイントは、崖からの湧水で湿った林道です。そこは上からの落石の危険がありますが(かなり危ない)、この時期、スギタニルリシジミが吸水に訪れているのでおそるおそる立ち寄ってみました。案の定、到着してすぐにちらちら飛ぶブルーを見つけることができました。

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吸水するスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA800


スギタニルリシジミの幼虫はトチノキの花穂を食べて成長します。しかし、この林道にはトチノキが無いので以前から不思議に思っていました。そこで調べてみると、トチノキが無い地域ではミズキ、キハダ、マメ科植物の花蕾を食することが記載されていました。ここもそれらを食樹にしているのかな。

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静止するスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


ここでもスギタニと通常のルリシジミが混在していますが、慣れると飛んだ時の色合いで両者を鑑別できます。でも、厳密には裏面の紋が決め手になるようです(特に九州産)。ルリに比べてスギタニは地色が暗色で、翅裏の黒紋が大きく、後翅には綺麗な「く」の字が見られます。

地面に静止するチョウを横から撮影するときには、やはり バリアングルファインダー があるととても便利です(虫林は屈むとお腹が苦しい---オーバーウェイト)。こんな時には、以前使用していたオリンパスE-3にするか、キャノンであれば60D か新発売のKiss X5が欲しくなってしまいます。

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吸水するスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400


ルリシジミに比較してスギタニの翅表はやや暗い青色です。でもスギタニはなかなか開翅しないので、飛翔写真を撮影してみました。下の2枚目の写真は、翅表の色合いがややルリっぽくて明るい青色に写っていますがやはりスギタニだと思います。いずれもトリミング拡大しています。

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飛翔するするスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA800, Trimming (+)

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飛翔するするスギタニルリシジミ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA800, Trimming (+)



» トラフシジミ ; The Japanese Flash

林道脇のアブラチャンの黄色い花を見ていたら、突然、暗青色のシジミチョウが現れて吸蜜し始めました。コツバメかなと思って目を向けると、トラ模様が鮮やかなトラフシジミでした。

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吸蜜するトラフシジミ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400


トラフシジミが吸蜜し始めると、コツバメが突然現れてボディコンタクトしてきました。初めは間違えて求愛行動でもしているのかなと思いましたが、どうやらそのコツバメはその木をテリトリーにしていたみたいで、邪魔者を排除しにやってきたみたいでした。なかなか気が強いやつです。

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吸蜜するトラフシジミ にアタックしてきたコツバメ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



» ミヤマセセリ ; The Spring Flat

スギタニが飛ぶ湿地には、ミヤマセセリも三々五々に訪れて吸蜜していました。

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吸水するミヤマセセリ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, Kenko X1.4, ASA400

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吸水するミヤマセセリ♂ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



» コツバメ ; The Spring Flat

コツバメが枝先に静止しましたが、逆光で縁毛が青く光っていました。今まであまり注意していなかったのですが、確かに青い光の縁毛はとても綺麗でした。これを見ると、写真仲間の縁毛の輝きへのこだわりが良く理解できました。これからはもっと注意して撮影していきます。

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逆光で静止するコツバメ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF300mm, ASA400



» その他 ; Miscellaneous

道路脇のミツマタの花でアカタテハ、ルリタテハ、テングチョウなどの越冬タテハ類が吸蜜に訪れていました。とくにアカタテハはミツマタの花がお気に入りのようで、かなりの数を見ることが出来ました。

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ミツマタの花で吸蜜するアカタテハ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA400


先週甲府市内でヤマトシジミのオスを初見しましたが、県南ではすでにメスが出ていました。

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枯れ草に静止して半開翅したヤマトシジミ♀ (南部町, 4月2日)

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Canon 7D, EF100mm Macro, ASA400



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§ Afterword §

今回は残念ながらギフチョウを見ることが出来ませんでした。桜の開花状況などをみると、やはり季節の歩みが例年よりも1週間ほども遅れているのかも知れませんね。スギタニルリシジミもまだ個体数は少なくて数頭がちらちらと飛ぶくらいでしたが、やはりこの蝶も春の使者ですので見るとホッとします。

いよいよ楽しい季節になってきましたが、山梨県では依然として東電による計画停電が行われています。これから電気の消費量が大きくなる季節に向かいますが一体どうなることやら少し心配です。

先日、ハービー山口さんという写真家の写真集 「雲の上はいつも青空」 を見る機会がありました。彼の写真は人間に対する愛情に満ち溢れていて、見ているだけでとても仄々とした気持ちになることが出来ました。その本のサブタイトルが、 Hope is always in your hand. というものでした。大震災・大津波の被災者の方たちが、是非とも希望をもって生きてほしいと願っています。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-04-03 16:02 | Comments(20)