NATURE DIARY

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20111127 初冬の蛾: ウスタビガとクロスジフユエダシャク

Nature Diary #421

土曜日は埼玉県熊谷市の郊外にあるヘリテイジ・リゾートというホテルでセミナーが開かれた。ここはゴルフ場を初めとするいくつかの施設が併設されているいわゆる総合リゾートをいう位置づけだろう。周りはクヌギやコナラを主体とする雑木林に囲まれているので6月頃にはゼフも観察可能かも知れない。

葉を落とした冬の雑木林では、枝から提灯のようにぶら下がった黄緑色の繭を見る。冬がれて褐色一色になった雑木林では、この緑色の繭がとても目立つので見る機会も多い--------ウスタビガの繭。この繭から糸を紡いで服を作ったらさぞや綺麗だろうに----と思うが、残念ながらこの繭から糸は紡げないそうだ。

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ウスタビガの繭

Olympus Tough


セミナー終了後に外に出てみると、電燈の周りを飛ぶ大きな蛾を見つけた。しばらく電燈の下で待ったが、降りてこない。そこで、電柱上部に静止した個体(別な個体が電燈の周り飛んでいる)をコンデジで撮影した。暗いとコンデジではなかなかオートフォーカスが合わないが、何とか証拠写真は撮影できた、

時期的にはウスタビガに違いない(10月末から11月に羽化)。

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電柱に静止するウスタビガ

Olympus Tough


明けて日曜日の朝、朝食後に電燈の周りを歩いた。
黄葉した葉にひっそりと静止するウスタビガを見つけた。

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静止するウスタビガ (埼玉県熊谷市、11月26日)

Olympus Tough


ウスタビガはヤママユガの仲間で、赤褐色の地に白い紋が良く目立ってとても美しい。

以前から撮影したいと思っていたが、これまでその機会が無かったのだ。このヤママユを見ていると、ヘルマンヘッセの小説「少年の日の思い出」に出てくるヨーロッパのクジャクヤママユが思い起こされる。虫林はクジャクヤママユを見たことはないが、日本のヒメヤママユは美しさでそれを凌駕しているように思えるし、このウスタビガはそれとは異なる色彩だがやはり美しいと思う。

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静止するウスタビガ (埼玉県熊谷市、11月27日)

Olympus Tough


熊谷から帰宅し、昼食後に近くの雑木林を散歩した。
小道上や脇の繁みでは多くの「クロスジフユエダシャク」が飛んでいた。

このクロスジフユエダシャクは昼行性のフユシャクで、口吻が無いので飲まず食わずでメスを探して交尾する。飲まず食わずでもどうやら数週間は生きるようだ。この時期は発生の最盛期のようで、いたるところでこのフユシャク♂がひらひら飛ぶ姿を見ることができた。飛び始めると、なかなか静止してくれない。

やっと枯葉上に止まってくれた。

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クロスジフユエダシャク (甲府市、11月27日)

Canon7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400


§ Afterword §

これまで出張続きで週末がつぶれていたが、これからは少しゆっくりと散歩してみたいものだ。今週末は思いがけずにウスタビガが撮影できたので良かった。この寒さの中、夜元気よく飛ぶウスタビガを見ると何となく不思議な感じがする。とにかく低温期型のヤママユだなと思う。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-11-27 21:39 | ■他の昆虫 | Comments(12)

20111123 小春日和の散歩道:ムラサキツバメと蛾

Nature Diary #420

このところ急に寒くなったが、本日(勤労感謝の日)は日中気温が上がった。こういう天気を「小春日和」とかインディアンサマー(indian summer)とかいうのだろう。小春というのは現在の太陽暦では11月のことで、このころの陽気が春に似ていることからきているようだ。何はともあれこんな気持ちの良い日は、少しだけでもフィールド散歩してみよう。

立ち寄った甲府市北の丘には「ぶどう棚」が多い。
この時期、赤く色付いたブドウの葉が鮮やかに輝いていた。

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赤く色付いたぶどう棚 (甲府市、11月23日)
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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


丘の斜面の公園。
突然、一頭の褐色のシジミチョウが現れて、少し先のサザンカの葉上で日光浴を始めた。
見ると、ムラサキツバメだった。

ムラサキツバメといえば北上するチョウの代表選手で、関東でも各地で見つかっている。虫林は県南部でこのシジミチョウを見つけているが、甲府市内では見るのはこれが初めてだった。実は今までムラサキツバメを甲府市内で何年も探していたので、身近な場所でのこの突然の出合いはとても嬉しかった。本種はマテナジイが食樹だが、探してみると樹高4mほどの木を1本だけ見つけた。意外にしょぼい木だったが、ここで発生したのだろうか。

ムラサキツバメはシャッターを3度ほど切った後、残念ながら飛び去ってしまった。

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日光浴するムラサキツバメ (甲府市、11月23日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400, Trimming (+)


雑木林の小道を歩いた。

ふと見ると、下草にカバエダシャクを見つけた。
この蛾はこの時期には時々見るが、しばらくするといなくなる。

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カバエダシャク (甲府市、11月23日)

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Ricoh GXR, S10 24-72mm, ASA100


アケビコノハを見つけた。
この蛾は大型でかつ立派なので、以前から是非とも撮影したいと思っていた。
枯葉への擬態が有名だが、青い葉の上では結構目立っていた。

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アケビコノハ (甲府市、11月23日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


ヘンテコリンな小さな蛾を見つけた。
拡大してみると、結構怖い顔をしていた。

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蛾 (甲府市、11月23日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


オツネントンボは小枝に擬態。

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オツネントンボ (甲府市、11月23日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




§ Afterword §

先週末は学会出張でフィールドに出ることができなかった。今週の祝日も実は東京出張だったが所用があって帰宅したので、フィールドに出ることができたのだ。人生はもっと余裕を持って生きたいものだね。

今回の散歩での一番の収穫は、甲府市内でムラサキツバメを見つけたことだった。甲府市内では何年か前から探していたので、今回見つけた時にはとても嬉しかった。マテバジイのある公園は他にもあるので、この冬の間にもう少し探してみようと思う。

今週末のフィールド散歩も結構厳しいかな。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-11-24 23:35 | Comments(15)

20111113 立冬の候:キノカワガとオオムラサキ幼虫

<立冬の候>
暦の上では冬になってしまった。立冬とは太陽黄経が225度のときだというが、これでは何だかチンプンカンプンだ。どうやら、黄道(天球上における太陽の見かけの通り道)上で、春分の日を黄経0度としたときに、秋分が180度、立冬は225度ということらしい。とにかく、ここから冬が始まる。この頃、たしかに日暮れが早くなって朝夕には空気の冷たさを感じる。虫屋の虫林もそろそろ冬眠かなと思うが-------。

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Nature Diary #419

本日は天気が良いので、散歩がてらまたオオムラサキの幼虫でも探しに近くの雑木林に行ってみることにする。先週は複数観察できたが、今週はまだ見れるだろうか興味がある。

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雑木林の小道 (甲府市、11月13日)

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Canon 60D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400



» キノカワガ;

大きなエノキの幹に何気なく目をやると、そこにキノカワガを見つけた。昆虫たちは保護色や擬態を駆使して捕食者から身を守るが、キノカワガの保護色はとりわけ巧みだ。「樹皮化け名人」だね。

目を離すと存在が消えてしまう。

下の写真は幹に静止したキノカワガ。
そのままでは分かり難いので黄色い矢印(→)を付けた。

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エノキの幹に静止するキノカワガ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


この木にはキノカワガ多く、ゆっくりと見てみると計6頭も見つけることができた。

キノカワガが静止しているのは、幹の東からやや南側だけだった。さらに、不思議なことにこの木以外にはこの蛾を見つけることができなかった。昆虫を探しているとこういうことは良くあることで、昆虫たちが集まる木には我々が認識できない特別な条件があるのだろう。

組み写真の下にキノカワガの輪郭を黄色く囲った。

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エノキの幹に静止するキノカワガ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


キノカワガの色彩、模様は個体差があって面白い。

巧みに黒っぽい色彩の個体は暗色の樹皮に、白っぽい色彩の個体は樹皮の白っぽい部分に静止していた。そんな様子を観察すると、彼らは自分の色彩がわかっているようにも思えてくる。

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エノキの幹に静止するキノカワガ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



» オオムラサキの幼虫; A caterpillar of the Great Purple

先週、オオムラサキの幼虫を見つけたので、今週は少し探索範囲を広げて歩いてみた。

今まで気づかなかったが、雑木林にはずいぶん沢山のエノキがあるのに驚いた。観察可能なのは目が届く範囲なので、せいぜい2-4mくらいの範囲なのだが、ぽつぽつと葉上に幼虫の姿を見つけることができた。ただ、すでに黄葉してしまっている木では、食痕があっても幼虫はみられず、まだ青い葉が残っている木で見つけることができた。この時期の幼虫探しは、宝探しのようでなかなか面白い。

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オオムラサキの幼虫 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


幼虫は例外なく葉の表面に静止しているので、下から見るとシルエットになっている。

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オオムラサキの幼虫のシルエット (甲府市、11月13日)

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Canon7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400


オオムラサキの幼虫の色彩は多様で、緑色一色のものから褐色のものまで認められた。さらに緑色の個体はふくよかに見えるが、褐色の個体はすっきりとやせて見える。越冬している個体が例外なく褐色であることを考えると、幼虫たちはこの時期に体重を落とし色彩を変化させて越冬に備えていくのだろう。

ほとんど緑色、中間、褐色個体を組み写真にした。
体の前半分を持ちあげているのは、ヤマビルにでも擬態しているのだろうか?

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オオムラサキ幼虫の色彩変化 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


定番であるがオオムラサキの幼虫の顔は可愛い。

でも、オオムラサキの幼虫は小さくて、顔をアップするにはかなりの近接撮影になる。以前はPanfocusになるgyorome8を用いたことがあるが、最近はこのレンズを持参していないので、被写界深度が深く1㎝まで寄れるリコーGXR S10を用いた。さらにトリミング拡大している。 

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オオムラサキの幼虫の顔 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400
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オオムラサキの幼虫の顔 (甲府市、11月13日)

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Ricoh GXR, S10 24-72mm, ASA100



» ゴマダラチョウの幼虫; A caterpillar of the Japanese Circe

背中の突起が3対(オオムラサキは4対)のゴマダラチョウの幼虫も3頭ほど見つけた。
全てが緑色で、褐色になった個体はなかった。

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ゴマダラチョウの幼虫 (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400



» その他; Miscellaneous

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ネットに静止したヤマトシジミ青♀ (甲府市、11月12日)

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Ricoh GXR, S10 24-72mm, ASA100

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ウラギンシジミ♀ (甲府市、11月13日)

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Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400

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アシグロツユムシ (甲府市、11月13日)

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Canon 60D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400



§ Afterword §

すでに立冬をすぎたとはいえ、とても暖かく穏やかな1日だった。半日だけとはいえ、こんな気持ちよく晴れ渡った日にフィールドをのんびりと散歩できたのは嬉しい。

来週はまた忙しくなる。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-11-13 17:23 | Comments(8)

20111105 落ち葉の季節:オオムラサキ幼虫発見

Nature Diary #418

この時期、動物たちは冬眠に向けて栄養を蓄え、木々は葉を落として冬に備える。本来、多くの動植物にとって「冬は休息の期間」であるべきなのだが、おろかな人間だけが冬でもあくせく働き休むことを知らない。これは自然界の普遍的な摂理に著しく反し、加えて健康にも大変よろしくない行動パターンである!

イソップ物語のアリさんよりもキリギリスさんタイプに属するレイジーな虫林は、勝手にそんなことを主張して冬眠しようとするのだが、なかなか周りがそうさせてくれない。

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やっと週末に時間がとれたので、本日(土曜日)は午後から近くの雑木林を散歩してみた。
ここは家から車で15分程度の近場なのだが、この場所を訪れるのは初めてだ。

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林の中の小道 (甲府市、11月05日)

Canon 7D, Sigma 17-70mm, ASA 400


小さな池の周りに発達したセンダングサの群落ではヤマトシジミが飛んでいた。静止して翅を開いたヤマトシジミの♂の翅表の色合いは明るく白っぽい。ヤマトシジミの秋型あるいは低温期型の色彩変化は♀に出ることがよく知られているけど、オスの翅表の色彩もやはり夏に見られるものとは異なる。

鮮やかに紅葉した背景の中で際立って美しく感じた。

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ヤマトシジミ♂ (甲府市、11月05日)

Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400

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ヤマトシジミ♂ (甲府市、11月05日)

Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400

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ヤマトシジミ♂ (甲府市、11月05日)

Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400



» オオムラサキの幼虫; A caterpillar of the Great Purple

本日初めて歩く散歩道だったが、道の脇に樹高2-3mの若いエノキが並んでいた。

何気なくエノキの葉に目をやると、オオムラサキの幼虫(4齢幼虫)が何頭も静止していた。この時期の幼虫はまだ緑色で、なかなか見つけにくいが、慣れるとあちらこちらにその姿を見かけることができた。

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オオムラサキの幼虫 (甲府市、11月05日)

Canon 60D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400

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オオムラサキの幼虫 (甲府市、11月05日)

Canon 60D, Sigma 10mm Fisheye, X1.4TC, ASA400


越冬色の黒褐色に色を変えている個体も見ることができた(下の写真の下)。
まもなく、彼らは越冬のための枯葉のベッドに入るためにエノキを降りる。

でも、褐色の個体のように、明らかに葉の表面に糸を出して越冬ベッド(?)を作っているものも見られた。すると、全ての個体が木の幹を這って下るのではなくて、葉に付いたままで落葉を利用して地面に降りるものもあるのかも知れないなと思う。葉っぱと一緒に落ちるのであれば、いつかその様子を観察してみたい。

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オオムラサキの幼虫 (甲府市、11月05日)

Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400




幼虫の顔を正面から撮影すると、「コアラ」のような愛嬌があるので楽しい。

ただ、顔の両側にある可愛い目のように見える黒点は、目そのものではなくてただの黒点(偽眼?)にすぎない。ご丁寧に少し隆起していたりして驚く。もちろん、オオムラサキの幼虫の頭部にも、触角、口、目(単眼が左右に6個づつ)の3点セットは備わっているはずだ。

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オオムラサキの幼虫 (甲府市、11月05日)

Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ASA400


§ Afterword §

このところ、色々と忙しくてフィールドに出ることができず、NDの更新もままならなかったが、やっと散歩することができた。あまり期待しないで歩いたのだが、思いもかけずオオムラサキの4齢幼虫を何頭も見つけることができた。オオムラサキの幼虫の食樹であるエノキは、道の脇に転々と見られたが、樹高が1-3mほどの若木や幼木が多く、幼虫の発見や観察にはとてもよかった。

これまでにも、冬期にエノキの木の下で枯葉について冬眠しているオオムラサキの幼虫は何度も見てきたが、今回のような時期には探したことがなかった。この場所は幼虫の観察に適していそうなので、来年はさらに5齢、6齢幼虫、蛹や羽化の観察もできる可能性が生まれた-------楽しみだな。





以上、 by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2011-11-06 14:45 | Comments(6)