NATURE DIARY

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20120429 信州と越後上越の散歩道:ギフとヒメギフ

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Nature Diary 7(20):#445

<出版記念会>
土曜日(27日)は「フィールドガイド 日本のチョウ(日本チョウ類保全協会編)」の出版記念会が品川で催された。ちょうど学会出張で東京に滞在していたので、記念会には出席できなかったものの、無理やり時間調整して、記念会の二次会に駆け付けた。2次会は出版された本の話や虫好き仲間との蝶談義で盛り上がった。また昆虫写真家の海野和男さんにはメレ山メレ子さん「メレンゲが腐るほど恋したい」を紹介され、楽しさに時間を忘れて危なく甲府行の特急電車に乗り遅れるところだった。皆さん、ご苦労様でした。


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明けて日曜日の早朝6時には白馬村にいた----少し疲れた。
やっと雪が融け、小川の土手には沢山のフキノトウや土筆が伸び、見渡せば白馬の連山。

今日の白馬は春の女神「フローラ」が季節の遅れを取り戻そうとして突然ダッシュしたかのようにみえる。ちなみに、ミドリシジミでおなじみの西風の神「ゼフィルス」はフローラを追いかけて結婚したそうだ。フローラは美人でかつダッシュがけっこう速いに違いない----本当かよ?

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朝の白馬連山

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Morning view of Shirouma
Canon 7D, Sigma 24mm, ISO400 (2012-Apr-29, Hakuba-mura in Nagano)



ギフチョウ; The Luehdorfia

蝶友の kmkurobeさん(安曇野の蝶と自然)とのギフチョウ撮影は今年2回目になる。訪れた場所は2週間前に雪が残っていて入れなかった越後上越の林道だ。今回は雪も無く、ちょうど桜が満開で、林床には多数のタチツボスミレやショウジョウバカマなどの花々が咲いていた。ここには春の花の定番のカタクリは無いけど、足場も良く、食草も豊富でギフチョウ撮影ポイントとしては一級だ。

林床に群生するタチツボスミレの花にはギフチョウたちが三々五々に訪れていた。でも、本日は気温が高いためか(7月上旬並みの陽気)それとも思わせぶりな態度であざ笑っているのかわからないが、ギフチョウたちはいかにも止まりそうな飛び方をするがなかなか静止してくれない。

気が短い虫林にはけっこうこたえる。

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吸蜜するギフチョウ

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A male of the Luehdorfia nectering from the violet follower.
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-Apr-29, Echigo-johetsu, Niigata)


新鮮な♀個体がゆっくり飛んで小枝に静止した。メスの飛翔はオスに比較して穏やかでいいよね。みると、腹部に受胎嚢(矢印)とよばれる黒いシールが付いている(写真下)。受胎嚢とはようするに貞操帯のことだ。交尾する時にオスの分泌物で作られるらしい。

面白いことに受胎嚢の色はギフチョウでは黒色だがヒメギフチョウでは茶色。

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小枝に静止するギフチョウ♀

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A female of the Luehdorfia resting on the branch l
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-Apr-29,Echigo-johetsu, Niigata)


この場所の食草のカンアオイの葉は大人の手の平ほどもある。kmkurobeさんによればこの大きなカンアオイは「クビキカンアオイ」というらしい。白馬のカンアオイはとても小さく、富士川流域のものはその中間ぐらいかな。カンアオイと一口にいってもえらく違うものだね。

いかにも怪しい飛び方をする個体を見つけた。

追跡していくと、どうも産卵したいみたいで、ちょっと止まっては葉の様子を見ているようだ。とうとう、まだ開ききらない新葉を見つけてつかまるようにして産卵を始めてくれた。写真下は同じ個体を違う角度から撮影したものだ。

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ギフチョウの産卵

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A female of the Luehdorfia egglying on the feeding plant leaf.
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-Apr-29,Echigo-johetsu, Niigata)



ヒメギフチョウ; The Small Luehdorfia

白馬村のお目当ての桜の花は、八分咲きからほぼ満開。ちょうどkontyさんも来られていたので、一緒にヒメギフチョウの桜撮影を楽しんだ。

ヒメギフチョウは三々五々に桜の花を訪れたが、吸蜜時間は意外に短いので撮影するのが難しかった。ここにはソメイヨシノもあるけど、ヒメギフはこのんでピンクの桜(オオシマザクラ??)の花を訪れていた。ピンクの桜とヒメギフチョウと青い空の組み合わせは心がうずくな。

しかし、撮影が難しい。

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桜の花で吸蜜するヒメギフチョウ

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The Small Luehdorfia nectering from cherry flowers
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-Apr-29, Hakuba-mura, Nagano)


新鮮な♀個体を見つけた。ゆっくりと旋回するするように飛んで、枯れ草や小枝に静止する。みると、この個体は腹部に受胎嚢を付けていないようだ(未交尾)。もしかして-----。

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小枝に静止する未交尾の♀

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A fresh female of the Small Luehdorfia
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-Apr-29, Hakuba-mura, Nagano)


前の写真の未交尾♀個体を追いかけていたら、突然にオスが現れて水仙の葉で交尾になった。嬉しいことにオスの個体も新鮮で美しい。産卵シーンはある程度予想して撮影できるが、交尾シーンは運が良くないと見ることができないと思う。

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交尾するヒメギフチョウ

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Mating behavior of the Small Luehdorfia
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-Apr-29, Hakuba-mura, Nagano)

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交尾後のヒメギフチョウ♀ A female of the Small Luehdorfia after mating behavior.

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交尾後に枝につかまる♀。腹部に茶色の受胎嚢がすでに付着しているのがわかる。 事情を知っている虫林には何となくさびしそうな様子に見えるが----。
Ricoh GXR IV, ISO100 (2012-Apr-29, Hakuba-mura, Nagano)



§ Afterword §

今回もかなりのタイトなスケジュールになった。サメは生きるために泳ぎ続け、虫林は生きるためにフィールドに----意味不明。とにかく、忙しい日々の中での週末のフィールド散歩は、僕にとっては一種のカンフル剤(アドレナリン)注射のようなものなのだ。


今回もkmkurobeさんにお世話になりました。また、奥様にもお付き合いいただき感謝します。
楽しい一日でした。




以上、 by 虫林花山

by tyu-rinkazan | 2012-04-30 22:52 | ▣ギフ | Comments(18)

20120422 晩春の里山散歩:ネジロカミキリとゲンジスミレ

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Nature Diary 7(19):#444

<Information>
日本チョウ類保全協会編の 「フィールドガイド 日本のチョウ: 日本産全種がフィールド写真で検索可能」 が誠文堂新光社からいよいよ出版される。何しろアマチュアカメラマンたちが撮影した膨大な量のチョウ画像から厳しく選別された日本産全種の写真(恥ずかしながら、虫林の拙写真も含まれる)とその解説がこの本の中に凝縮されているのだから売れない筈はないよね。値段も安いし(1890円)。

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本日(日曜日)は朝からどん曇りで、どうやら午後からは雨模様みたいだ。

それでも午前中くらいはフィールドに出て春の自然を楽しみたい。そこで、茅ヶ岳山麓の里山をのんびりと散歩してみることにした。とにかく、この時期はパステルカラーに包まれて気持ちが良い。

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春の里山 A landscape of montane region

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新緑とはいえまだ浅葱色の仄々としたパステルカラーに包まれ、山桜の白からピンク色が複雑に混ざり合って何とも言えない色調を呈している。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)



ネジロカミキリ; Pogonocherus ( Eupogonocherus) seminiveus

春4月にタラノキを見ていくとネジロカミキリを時々見ることができる。春のカミキリのように思えるが、このカミキリは成虫越冬するといわれている。どこにでもいるものではなく、衰弱したタラノキを好むようだ。

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ネジロカミキリ Pogonocherus seminiveus

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衰弱したタラの木の先で交尾するネジロカミキリを見つけた。鞘翅の白い部分が目立つ。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)

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ネジロカミキリ Pogonocherus seminiveus

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ネジロカミキリの静止位置が目の高さよりも高いので、タラの木を紐でそっと引っ張り三脚に固定して接写した。拡大すると、ネジロカミキリの表面はトゲが多い。タラノキもトゲが多いが、このネジロカミキリもトゲが多い---トゲトゲコンビだ。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)

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ネジロカミキリ Pogonocherus seminiveus

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GXRで近接撮影すると、ネジロカミキリの脚や翅のトゲトゲがわかりやすくなるようだ。とにかく、ユニークな形のカミキリムシだと思う。
Ricoh GXR, S10, ISO100 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)



カメノコテントウ; Aiolocaria hexaspilota

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カメノコテントウ Aiolocaria hexaspilota

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越冬しているカメノコテントウは良く見るが、野外で活動しているものにはあまり出会うことが無いように思う。大きさといい色彩といい日本産のテントウムシの中でもぴか一だな。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)




イチモンジカメノコハムシ; Thlaspida cribrosa

カメノコテントウの傍にカメノコハムシを見つけた。両種とも鞘翅の形が亀の甲羅に似ているので「カメノコ」の名が付いたのだろう。ヘルメットにも似ているな。

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イチモンジカメノコハムシ Thlaspida cribrosa

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まるでヘルメットをかぶったようなユニークな形態の甲虫だ。下の甲虫はヒメクロオトシブミ。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)


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スミレの仲間; Violets

最近、昆虫ばかり撮影しているが、スミレも大好きだ。

この時期多くの種類のスミレを見ることが出来て楽しい。中でも、ゲンジスミレは山梨県以外ではなかなか見ることができないスミレだが、ここでは崩れて土が露出している斜面に多く見かける。

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ゲンジスミレ Viola variegata var nipponica

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ゲンジスミレは伐採地の周囲の土手に、群落を形成せずに点々と見かけた。しかしまだ時期的に少し早いようで、濃いピンクの蕾が多い。来週末あたりが最盛期だろうか。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)

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アケボノスミレ Viola rossii

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アケボノスミレの花が所々で咲いていた。撮影した株は花と同時に葉も開いているが、このスミレは花茎だけが伸びて葉は通常遅れてでる。。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)

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イブキスミレ Viola mirabilis

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イブキスミレの清楚な青い花がひっそりと林床に咲いていた。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)

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ノジスミレ Viola yedoensis

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開けた場所にノジスミレの大群落を見つけた。月並みな表現だが、まるで青い絨毯を敷き詰めたようだ。ここまで大きな群落は初めてだ。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)



ヒトリシズカ; Chloranthus japonicus

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ヒトリシズカ Chloranthus japonicus

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林床に小さなヒトリシズカの群落を見つけた。ヒトリシズカ という何とも優雅な名前だが、多くは群落を形成していてあまり一人とは言えないようだ。そういえば、亀何とかという大物政治家が党を出て文字通り「ヒトリシズカ」になってしまったな
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400 (2012-Apr-22, Kofu in Yamanashi)


§ Afterword §

雨が今にも降りそうな天気だったが(実際、午後から雨が降り出した)、何とか小甲虫やスミレの仲間を撮影できた。撮影には曇りの日の方がしっとりと色が出て適しているな。この時期には毎年ギフチョウやヒメギフチョウに目を奪われてしまい落ち着かないが、こんなのんびりと春を楽しむ散歩も良いものだ。

これから季節はまるでダッシュするように歩みを早めていくだろう。

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「フィールドガイド 日本のチョウ」の出版記念会が4月26日(土曜日)に開かれるが、都合が良いことに、ちょうど虫林は学会出張で東京に滞在している。そこで、是非出席したいと思うのだが、あいにく時間帯が別の重要会議と完全にぶつかってしまった。事務局代表の中村康弘氏には「遅れても出席するからね~」とは電話しておいたが-------どうなることやら。




以上、 by 虫林花山

by tyu-rinkazan | 2012-04-22 17:13 | Comments(12)

20120415 越中のギフチョウ散歩

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Nature Diary 7(18):#443


ギフチョウは晴天無風の暖かい日に飛ぶ。天気予報によれば、今週末(日曜日)の日本海側は高気圧に覆われ、まさしく 「ギフチョウ日和」 とのこと(ギフチョウ確率110%)。ウーム、行かねばなるまい。

例年だと初ギフ撮影は県南の富士川流域に行くのだが、今年の初ギフは蝶友 kmkurobe さん(安曇野の蝶と自然)(昨年もギフ撮影ではお世話になった)と勇躍「越中ギフ」の撮影に出かけることにした。嬉しいことに、O さん(ネイチャーKENDAMARの歳時記)+S さんもご一緒されました。

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日光浴するギフチョウ♂ A male of Luehdorfia japonica basking in the sun.

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ギフチョウは道路脇の地表近くをゆっくりと飛んでは、時折、地面や枯草の上で日光浴をしていた。黄色と黒のコントラストも鮮やかな新鮮な個体が多い。
Ricoh GRD IV, ISO 100 (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)

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ギフチョウ通常型 Luehdorfia japonica

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後翅遠位内側の大きな赤紋だけで小さな赤紋はみられない
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400 (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)



<赤紋の多型?>
ギフチョウの撮影に夢中になっていたので、当初は気づかなかったが、kmkurobe さんがいわゆる 「赤上がり」 個体を指摘してくれた。「赤上がり」 とは後翅表面の遠位内側にある大きな赤紋以外に小さな赤紋が黒帯の内側に沿って現れる美しい個体変異のことをいいます。

そんな目で観察してみると、ここのギフチョウは赤紋の多型(個体による違い)が目立つように思えた。赤紋の上がり程度からグレード1から3(3が最も顕著)の3段階で表すと、さすがに赤上がりグレードの3は少ないが、グレード1くらいなら結構見られるようだ。

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ギフチョウ赤上がり Luehdorfia japonica with additional red-spots

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(写真上)後翅遠位内側にある大きな赤紋以外にも小さな赤紋がいくつか出現しているのが認識することができる。(写真下)この♀個体では、赤紋の発達がより顕著でまさしく 「赤上がり」 と呼ぶに相応しい派手な印象を受ける(赤上がりグレード3 )。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400 (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)



<吸蜜>
このポイントの周辺には梅、桜、ショウジョウバカマ、タチツボスミレなどの花が咲いていた。今回、ギフチョウが最も多く訪れたのは桜(3分咲きソメイヨシノ)の花で、以下タチツボスミレ、ショウジョウバカマの順になる。前回、kmkurobeさんが吸蜜シーンを撮影したという梅は花期がすでに終わっていた-----残念。

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タチツボスミレでの吸蜜 Nectaring on the violet

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ギフチョウたちはスミレの花を巧みに見つけては吸蜜していた。ギフチョウにとってスミレの花はとても重要な吸蜜食堂なのだろう。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400 (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)


ショウジョウバカマはあまり群生せずに道路脇の斜面や湿った林床に点々とピンクの美しい花をつけていた。この花は古くなるととたんに色褪せてしまうが、ギフチョウたちは蜜が多い盛期の花で吸蜜していた。

ショウジョウバカマでの吸蜜も春らしい趣がある。

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ショウジョウバカマでの吸蜜 Nectaring on Heloniopsis orientalis

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斜面にひっそりと咲くショウジョウバカマの花で吸蜜するギフチョウの姿を何度も見ることができた。この花での吸蜜時間は思ったよりも長いのに驚いた。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400 (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)

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ショウジョウバカマでの吸蜜 Nectaring on Heloniopsis orientalis

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この角度からだと吸蜜しているストローが良く見える。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400 (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)


桜の花はまだ3-4分咲きで満開には数日早いようだった。しかし、そんな状態でもギフチョウたちは三々五々に訪れては吸蜜していた。梅とウグイス、桜とギフチョウだね。

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ソメイヨシノでの吸蜜 Nectaring on Prunus × yedoensis

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ギフチョウは開いている花を渡り歩いて吸蜜していた。見上げる状態で空バックの露出が難しい撮影だが、角度を工夫して何とか撮影できた。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400, trimming (+) (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)



<飛翔>
ギフチョウは他のアゲハチョウよりも飛翔速度がゆっくりしているので飛翔写真が撮影しやすい。桜や梅の花の周りで飛翔するギフチョウの姿を望遠マクロレンズで撮影した。

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ギフチョウの飛翔 Flying feature of Luehdorfia japonica

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ソメイヨシノを訪れたギフチョウ。花から花に移る時をねらって撮影してみた。望遠飛翔には使い慣れたSigma 150mm マクロが僕には楽だ。
Canon 7D, Sigma 150mm Macro, ISO400, Trimming (+) (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)

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ギフチョウの飛翔 Flying feature of Luehdorfia japonica

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梅の花はほぼ終わっていたが。名残を惜しむかのように時折ギフチョウが訪れていた。ピンはちょっと甘いがたまたま望遠飛翔写真が撮影できた。
Canon 7D, Sigma 150mm Macro, ISO400 (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)


広角レンズでの飛翔撮影では、地面近くにカメラを構えて撮影した。写真上では太陽が入ったが、何とかギフチョウの模様が認識できた。写真下はちょうどギフチョウが空中反転をした時のものが撮れていた。シャッター速度は1/1600秒だが翅先がぶれてしまった。やはり翅先を止めるには1/2000秒くらいは必要かな。

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ギフチョウの飛翔 Flying feature of Luehdorfia japonica

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カメラを地面近くにまで降ろして広角撮影した。
Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye + telecon X1.4, ISO500, Trimming (+) (2012-Apr-15, Certain place in Toyama)



§ Afterword §

やわらかな春の日差しの中で、越中の里山に舞うギフチョウたちを一日追いかけた。

夢中になって過ごせる時間は、人生にはそれほど多くない。日々の慌ただしい生活の中で、週末だけのフィールド散歩、チョウたちとの逢瀬、蝶友との会話と一杯のコーヒー、ささやかではあるが僕にとってはとても貴重な時間に思えるようになってきた。若い頃はそんな気持ちにならなかったし、時を振り返ろうともしなかった。そう思うと、昆虫写真を楽しむ理由がまた増えたようで、年を重ねるのもあながち悪くないなと思う。


とても楽しい一日でした。
ご案内頂いた kmkurobe さんはもちろんのこと、同行されたOさん、Sさんにも感謝いたします。



以上、 by 虫林花山

by tyu-rinkazan | 2012-04-17 22:50 | Comments(18)

20120408 県南散歩:スギタニルリシジミ開翅ほか


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Nature Diary 7(17):#442

午後に所用があるので、本日(日曜日)のフィールド散歩は午前中だけ。

時期的には、そろそろ富士川流域のギフチョウが気になるのだが、今年のサクラの開花を考慮するとまだ少し早いかもしれないな。そこで、先週訪れた県南部の林道をまたのんびりと歩いてみることにした。

晴れているが、気温が低くて風も強い。こういう天候を 「花冷え」 というのだろう。

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富士川土手の桜並木(南部町)

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富士川の土手は、この時期に薄桃色の桜の花に縁どられていた。桜の花は 「日本の春の象徴」 で、世の中を明るくする不思議な力があるように思う。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



コツバメ; The Tailless Hairstreak

コツバメはこの林道では決して少なくないが、常時見ることが出来る場所は一部に限られる。そこは最も日当たりが良く、背の低い灌木が茂って他の昆虫たちも多い。ただ、似たような場所は他にもあるのだがそこには見られないのが不思議だ。コツバメに理由を聞いてみたいものだな。

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コツバメ(南部町)

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午前10時を過ぎるとどこからともなく現れて、林道の地面や葉上で日光浴(テリ張り)をしていた。歩くとすぐに飛び出すがまた静止する。広角(上)と100㎜マクロレンズで撮影。
上:Canon 60D, Sigma 10mm + X1.4 Telecon, ISO200、下:Canon 7D, EF 100mm F2.8L, ISO400


昼近くなって気温が上がってくると、キブシの花やその周りには多くのコツバメやスギタニルリシジミが集まってきた。チョウたちにとってこのキブシの花はさしずめ「大人気の大衆食堂」なのだろうか。

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コツバメ(南部町)

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キブシの花に乗るコツバメ。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



スギタニルリシジミ; The Sugitani's Hedge Blue

あらためて見直してもここのスギタニルリシジミは大きい。

ここにはスギタニルリの一般的な食樹であるトチノキはないが、林道で出会わせた同好の方によれば、ここのスギタニルリはフジかキハダが食樹ではないかということだった。ここは個体数は少なくないので、いつかスギタニルリの産卵などが観察できたら良いなと思う。

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スギタニルリシジミ(南部町)

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スギタニルリは地面の近くをチラチラと飛んで湿った地面や石の上に静止する。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400

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スギタニルリシジミ(南部町)

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湿った石の上に静止するスギタニルリシジミをアップ。ルリシジミに比較して、翅裏の地の色は灰色がかっていて、斑紋の周りに白い縁取りがある。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400


<開翅>
スギタニルリシジミはなかなか開翅しないチョウだ。

過去に2回ほどスギタニルリの♀開翅を撮影したことがある。いつか♂の開翅も撮影したいと思っていたが、なかなかそのチャンスは無かった。今回は幸いなことに、3個体もの♂が翅を開いてくれた。

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スギタニルリシジミ(南部町)

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キブシの横の灌木の葉に静止した個体がおもむろに翅を開いてくれた。残念ながら目線よりも高い位置だったので、見下ろす形で上から翅全体を撮影できなかった。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400


縁毛幻光; Brilliance blue rim of wing

コツバメは翅縁に青い幻光が出現するときがある。逆光の限られた角度でしか見られない現象だ。スギタニルリもコツバメほどではないが、翅縁に青い幻光が現れた。そこで、両者を並べて掲載してみた。

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コツバメとスギタニルリシジミの青く輝く縁毛(南部町)

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両種とも翅の縁毛が青く輝いていたが、輝きの度合いはコツバメに軍配が上がる。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



ニッポンヒゲナガミツバチ; Tetralonia nipponensis

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ニッポンヒゲナガミツバチ♂(南部町)

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ニッポンヒゲナガミツバチは春に出現する。本種のオスの触角は体長以上もあってとても長い。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



シロジュウシホシテントウ; Calvia quatuordecimguttata

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シロジュウシホシテントウ(南部町)

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この小さなテントウムシを撮影しようとして眼鏡を壊した。因縁の甲虫になった。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L, ISO400



ニホンカモシカ;

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ニホンカモシカ(南部町)

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斜面から小石が落ちてきたので見上げるとカモシカがこちらを見ていた。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



§ Afterword §

花冷えの一日。本日は午後2時から所用があったので、現地をお昼近くには離れた。撮影中に眼鏡の片方のレンズが取れてしまい困った。車の中に偏光レンズのサングラスがあったので運転には問題がなかったもののメガネのスペアは持ちあるいていた方が無難。

今回は何と言ってもスギタニルリシジミの♂開翅が撮影できたことが嬉しかったが、気温や日照などの条件が揃った時だけ翅を開いてくれるのだろう。

そろそろギフチョウに対する禁断症状が出てきそうだ。





以上、 by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2012-04-08 23:46 | Comments(13)

20120401 春の散歩道:スギタニルリシジミなど

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Nature Diary 7(16):#441

<桜開花宣言>
東京では桜の開花宣言が土曜日(31日)に発表された。例年より5日ほど遅いそうだ。一方、山梨の開花予想は当初3月30日だったが、日曜日(4月1日)にやっと基準木の花がほころんで開花宣言がでた。やはり平年より5日、去年と比べても3日遅い開花となったそうだ。実は昨年末からの低気温でもっと遅れるかなと思ったのだが、このところの暖かさで平年並みに追い付いてきたのだろう。

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山サクラの花(南部町)

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ソメイヨシノはまだ蕾だったが、ヤマザクラは既に満開の木もあった。
桜の花は何度見ても幾つになっても心がワクワクするから不思議だ。

Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400


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今年はまだコツバメに出会っていない。そこで、今年のギフチョウシーズンの下見もかねて、コツバメが多い県南部の林道を訪れることにした。


コツバメ; The Tailless Hairstreak

温泉に続く林道を歩いてみた。

林道脇を素晴らしいスピードで飛ぶ小さなシジミチョウを発見した。慌てて近寄り確認すると目的のコツバメだった。コツバメたちは陽だまりでテリ張り(占有行動)していた。

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コツバメ(南部町)

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コツバメの翅裏は複雑な模様で、枯草と保護色になっている。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400

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コツバメ(南部町)

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笹の葉上に静止するコツバメとその飛翔直後の姿。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400



スギタニルリシジミ; The Sugitani's Hedge Blue

青色の小さなシジミチョウが林道上をチラチラと飛んでいた。スギタニルリシジミだ。

今回はスギタニルリシジミは期待していなかっただけに嬉しい驚きだった。昨年、偶然お会いしご一緒した昆虫写真家の海野和夫氏が指摘されていたが、ここのスギタニはとにかく大きい(通常のルリシジミと同じくらい)。また、ここには標準的な食樹であるトチノキが無いのも興味ある。

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スギタニルリシジミ(南部町)

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水場の湿った石の上で吸水するスギタニルリシジミ。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400

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スギタニルリシジミ(南部町)

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湧水が落ちてくる苔に覆われた岩壁には何頭もチラチラと飛んでいた。ここには通常のルリシジミもいるが、スギタニのブルーはルリよりも深くて暗いのでその鑑別は可能だ。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400

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スギタニルリシジミ(南部町)

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林道脇のキブシの花に沢山のスギタニが吸蜜に集まっていた。そこで、わざわざ車まで引き返して、脚立と300㎜の望遠レンズを持ってきて撮影した。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400

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スギタニルリシジミ(南部町)

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この時期、他に吸蜜植物がないためか、それともキブシの蜜が好きなのだろうか。とにかく、10頭近くのスギタニが吸蜜に訪れていた。
Canon 7D, EF 300mm F4L, ISO400



ルリシジミ; The Holly Blue

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ルリシジミThe Holly Blue(甲府市)

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道に落ちた桜の花で吸蜜していた。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400

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ルリシジミThe Holly Blue(甲府市)

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すでに長く茎をのばしたフキノトウの花で吸蜜するルリシジミを見つけた。ルリシジミは今年の初見の蝶だが、破損している翅先を見るとどうやらこの個体はメスだ。
Ricoh GXR, S10, ISO 100



ベニシジミ; The Small Copper

帰りは寄り道して富士宮市の丘陵にも立ち寄ってみた。富士山バックの写真が目的。
甲府市から見ると富士山の頂上は平だが富士宮市からはやや尖って見える。

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ベニシジミ(富士宮市)

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日光浴をするベニシジミの背景に林の間から顔を見せている富士山を入れた。富士山の全体像が撮影できる場所であればもっと良いのだが----。
Ricoh GXR, S10, ISO 100



シュンラン; Cymbidium goeringii

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シュンラン Cymbidium goeringii(甲府市)

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日本のシンビジウム(春蘭)はまだ春浅い雑木林の林床に、花茎をすっと伸ばしてうつむき加減な花をつける。でも、花茎が綺麗に伸びた株は意外に少なくて、撮影には苦労する。洋ランと異なる日本的な美しい花容に惹かれている。
Canon 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM, ISO400


§ Afterword §

本日はコツバメを目的に県南部を訪れたが、嬉しいことにコツバメばかりかスギタニルリシジミまで見ることができた。本日見た個体の中には、すでに古くなっているものもあったので、ここでの両種の発生はもっと(多分、2週間くらい)早いのだろう。来年には3月中旬に訪れてみたいとおもう。それにしても、撮影した水場は、上からの落石が頻繁に起こりとても危険。チョウの撮影で命を落としたくないものだ。


来週あたりはそろそろ春の女神様も出てくる頃だ。





以上、 by 虫林花山

by tyu-rinkazan | 2012-04-02 00:54 | Comments(16)