NATURE DIARY

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<   2012年 06月 ( 5 )   > この月の画像一覧

20120622 ベトナムの散歩道:キアネハレギチョウなど

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Nature Diary vol.7(32):#457


ベトナム南部の都市ホーチミン市(サイゴン)に公務出張。
ホーチミンへは成田から6時間強のフライト。


<ホーチミン市内>
日本の交通渋滞は車だが、ホーチミンシティの渋滞はオートバイ。

信号待ちしているオートバイの群れが一斉に動き出すと、堰き止められていた水がいっせいに流れ出したかのようで壮観だ。バイクには3人乗り、4人乗りは当たり前、ヘルメットもカラフルで見ているだけで楽しい。

ベトナムはオートバイ天国なのだ。

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オートバイの群れ

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Troop of motorbikes
Canon 7D, Sigma 17-70mm, ISO400 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



天秤棒で物を運ぶ女性の姿。
よく見ると荷物はフランスパン------そういえば、ベトナムは過去フランスが統治

戦争と平和、独立と自由、民族と社会、個人と国家----ベトナムには難しい過去がある。

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ホーチミン市の街角にて

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A landscape of Ho Chi Minh City
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



夜はレストランではなく街角の「めし屋」に行った。

公共の道路上に置かれた粗末なテーブルで、汗を拭きながらベトナム料理(鳥の空揚げ風のものと炒めごはんなど)を賞味した。どれも独特の香草がきいていて美味い。

「サイゴンビール」や「タイガービール」は当地の気候に合って爽やかな薄味だ。

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街角のめし屋

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Domestic restaurant in Ho Chi Minh City
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


露店ではマンゴスチン、ライチ、ジャックフルーツなどをしこたま買い込んだ。これら果物を袋一杯につめて、値段は40000ドンの請求。4万と聞くと、えらく高いように感じるかもしれないが、実は日本円に換算すると160円ほどなのでとても安い。

果物の王様といわれる立派なドリアンも並んでいたが、切り身の匂いでNG。

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ドリアン売り

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A durian seller
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


夜店が立ち並ぶ中心街。

すぐに物売りが袖を引く。中には10歳くらいの子供の袖引きもいて、片言の日本語で話しかけてくる。断ってもしつこく100mほどついてくる子もいた。少し微妙な気持ちになった。

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夜の露店

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Street booths in the night
Canon 7D, Sigma 17-70mm, ISO400 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



キアネ(ツマグロ)ハレギチョウ; Cethosia cyane

留学に来ることになったベトナム人のShin君が、我々を郊外の公園(ザンディーン・ウォーターフォール公園)に車で案内してくれた。この整備された公園内には滝があって、その周りの散策路には花もありチョウの飛ぶ姿も多くみられた。


黄色い花で大きなオレンジ色の蝶が吸蜜。
遠目でカバマダラとたかをくくっていた。

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吸蜜するオレンジ色の蝶

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Cethosia cyane
Ricoh GXR S10, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


近くでみると翅裏辺縁のジグザグ模様はまごうことなきハレギチョウ。
翅の模様から調べてみると、キアネハレギチョウらしい。

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キアネハレギチョウ

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Cethosia cyane
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


キアネハレギチョウの開翅した様子は、やはりカバマダラに似ている。
比較のために、下の写真の下に日本で撮影したカバマダラを掲載した。

<ミューラー型擬態>
カバマダラの幼虫は毒植物のトウワタの葉を食べる。一方、ハレギチョウも毒草のトケイソウの仲間が食草だ。両種とも成虫の体内には毒を持つので、鳥たちには襲われない。この毒蝶どうしの関係をミューラー型擬態という。

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キアネハレギチョウ(上)のカバマダラ(下)への擬態?

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Cethosia cyane
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



その他の蝶; Other butterflies

他にも沢山のチョウたちに会うことができた。詳細は別の機会に譲ることにして、ここではそのうちの何種類かを組み写真で掲載することにする。

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ヘリグロホソチョウ、リュウキュウムラサキ、ルリボシタテハモドキ、ウスキシロチョウ

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Other buttterflies
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



クラッシコミスクビナガハンミョウ; Neocollyris crassicomis

眼の前の葉上で、樹上性のクビナガハンミョウを見つけた。
このハンミョウは図鑑では知っていたが、実際に見るのは初。

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クラッシコミスクビナガハンミョウ

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Neocollyris crassicomis
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


一般的なハンミョウとは異なる体型で面白い。
この仲間は日本では沖縄に一種類だけ分布しているらしい。

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クラッシコミスクビナガハンミョウ

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Neocollyris crassicomis
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



ハンミョウ; Cicindela chinensis, Tiger beetle

道を歩くと足元からハンミョウが飛んだ。
日本のハンミョウにも似ているが、模様が異なる。

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ハンミョウ

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Cicindela chinensis
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)


川の脇の湿地でニワハンミョウの仲間を発見。
地味だが渋い美しさ。

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ハンミョウの一種

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Tiger beetle
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



フチトリベッコウトンボ; Neurothemis sp.

南国ではフチトリベッコウトンボは良く見る。
翅の網目模様が面白いので、クローズアップで撮影した。

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フチトリベッコウトンボ

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Neurothemis sp.
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



セミの一種; cicada

セミが鳴いていた。
撮影してみると日本のヒグラシに似ていた。

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セミの一種

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cicada
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO200 (2012-June-22, Ho Chi Minh City)



§ Afterword §

滞在最終日、帰りの飛行機の出発時間が夜中12時だったので、その日は数時間だけだがフィールド散歩をさせてもらった(いつも強引)。ご配慮いただいた同行者の皆さんに感謝したい。

今回散歩した公園はかなり整備されているので、危険性はなく、蝶も撮影しやすかった。しかし、整備され過ぎているためか、実は今回のベトナム行で撮影したかったツノゼミの仲間は全く見ることが出来なかったのが心残りとなった。




以上、 by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2012-06-26 01:29 | ● Vietnum | Comments(10)

20120617 山形の散歩道:朝日型ヒメシジミほか

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Nature Diary vol 7(31):#456


帰路に立ち寄った朝日連峰に棲息するヒメシジミは、俗に「朝日型」と呼ばれていて、ブルース愛好家の間では結構人気が高いそうだ。今回の山形行で是非とも撮影してみたいものの一つだった。


ヒメシジミ; Plebejus argus, The Silver-studded Blue

教えて頂いた河原を適当に歩いてみると、やけに青さがめだつヒメシジミが沢山飛んでいた。今年の山形地方は、冬の豪雪でチョウの発生がかなり遅れているということを永幡さんからお聞きしていたので、時期的に少し早いかなと思ったのだが------ひと安心だ。

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河原のヒメシジミ♂

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A male of the Silver-studded Blue resting on the fruit of wild rose in the background of the river.
Canon 7D, Sigma 10mm, fisheye, x1.4 telecon, ISO400 (2012-June-17, Yamagata-ken)

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ヒメシジミ♂

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Four males of the Silver-studded Blue basking on the leaf with the wings opened.
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)



<朝日型ヒメシジミ>
ここのヒメシジミは青い部分が広く、翅脈や後翅辺縁の黒い帯が狭くて点状紋が明瞭。

以前に上高地で撮影したヒメシジミも同様の特徴が出現していたように思えるが、大きさはこちらの方が大きくて、僕にはとてもゴージャスにみえた。

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朝日型ヒメシジミ♂

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An Asahi subtype of the Silver-studded Blue is characterized by the broad blue area in the wing surfaces.
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)


下の写真は2頭のオスが開翅しているが、左側は翅辺縁の黒帯が狭いが右側の個体では黒帯がより広い。基本的な表現型は朝日型だが、個体によって青い部分の面積は差があるな。

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ヒメシジミ♂

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The Silver-studded Blue
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)

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ヒメシジミ♂の裏面

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A male of the Silver-studded Blue resting on the leaf with the wings closed.
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)



<♀の斑紋多型>
朝日型というと、オスの青い面積の広さで有名だが、メスの色彩はどうかな?

メスの色彩は思った以上に多様で興味深い。

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ヒメシジミ♀

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A female of the Silver-studded Blue
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)


下の写真の上に掲載した個体は、後翅後部辺縁に並ぶ白紋がとても明瞭だ。

今までに他の場所で撮影した個体を見返してみても、この白紋の明瞭さは格別だと思う。他にもみられたので、この地方の美しい色彩変異かなと思っている。

一方、下の写真の下のように、橙色紋がほぼ消失して真っ黒になった個体も見られた。

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ヒメシジミ♀の斑紋多型

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Coloring polymorphism in female of the Silver-studded Blue .
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)



<求愛行動や交尾、産卵>

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ヒメシジミ求愛

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Courtship display of the Silver-studded Blue
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)

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ヒメシジミ交尾

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Mating of the Silver-studded Blue
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)

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ヒメシジミ♀の産卵

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Egg-lying of the Silver-studded Blue
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)




マルツヤニジゴミムシダマシ; Addia scatebrae

<虹色の虫>
古い材木上にマルツヤニジゴミムシダマシを見つけた。

拡大してみると、翅の虹色がとても奇麗だった。

昆虫の翅が虹色といっても知らない人は信じてくれないだろう。
でも、実際に数種のゴミムシダマシでは虹色の翅を持つのだ。

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マルツヤニジゴミムシダマシ

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Addia scatebrae
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata)



イタヤハマキチョッキリ; Byctiscus (Byctiscus) venustus

<オトシブミの最美麗種>
カエデの葉を巻くオトシブミ。紅色の金属光沢が美しい。

このオトシブミは虫林が以前より最美麗種として注目していたもので、是非ともクローズアップで撮影したいと思っていた。

しかし、カエデの葉を巻く様子は撮影できたものの、クローズアップしようとしたら落ちてしまった。
とても残念だが、次回に期待しよう。

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イタヤハマキチョッキリ

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Byctiscus (Byctiscus) venustus
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-17, Yamagata-ken)



§ Afterword §

ブルースブラザース(アサマ、ヒメ、ミヤマ)は僕のお気に入りのチョウたちなので、今回の朝日型ヒメシジミは記事のメインディッシュとした。色彩変異が明瞭な朝日型のヒメシジミはやはり興味がつきないものだったな。山形から帰路、ちょうどポイントが山形市から新潟に出る途中だったので、次回は行きと帰りに2回寄れることになるだろう。

ちょっと海外出張していたので、「朝日型ヒメシジミ」をアップするのが遅れてしまった。これで一応、山形での記事は終了となります。





以上、 by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2012-06-23 16:53 | Comments(16)

20120615 山形の散歩道:ユキグニコルリクワガタなど

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Nature Diary 7(30):#455

<ブナの森>
中学生の頃、丹沢山塊の檜洞丸という山で、立派なブナの木を見て感激した。その後、カミキリムシを追ってブナの森をしばしば散策するようになると、そこに棲む多様な生物の存在に驚き、ブナの森が見せる四季の美しさに胸が震えたものだ。ブナの林には特別な思いがある。今回は山形のブナの森を歩いた。

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今週末は山形市に出張した。車で夜移動して時間をつくり、月山を訪れてみた。

月山は冬の豪雪の影響で、例年に比べて雪がかなり多く残っている。中腹にある湿地にはミズバショウの花が満開で、古い個体ながらも春の蝶であるギフチョウやコツバメまで飛んでいたのには驚いた。

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月山

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Mt. Gassan
Canon 7D, Sigma 24mm, ISO400 (2012-June-15, Yamagata-ken)



ユキグニコルリクワガタ; Platycerus albisomni albisomni

日本のコルリクワガタは現在では4種に細分類されている(コルリクワガタ、ユキグニコルリクワガタ、トウカイコルリクワガタ、ニシコルリクワガタ)。なかでもユキグニコルリクワガタはここ月山を基産地として記載され、東北地方を中心に分布(青森県以外)することが知られる。この美しい甲虫は、ブナの新芽に好んで集まる性質があるので、残雪の周りのブナの幼木を見回ってみた。

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ブナの幼木

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Young tree of the Japanese beech
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)


残雪が残る斜面はとても歩きにくくて閉口するが、やっとユキグニコルリが集まる幼木を見つけることができた。ユキグニコルリの♂は光沢のある深い青色でとても美しい。

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ブナの新芽に来たユキグニコルリクワガタ♂

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A male of Platycerus albisomni resting on the spout of Japanese beech
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)

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ユキグニコルリクワガタ♂

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Platycerus albisomni albisomni
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)


メスは褐色で、オスに比べると体も小さい。

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ユキグニコルリクワガタ♀

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Platycerus albisomni albisomni
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)

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ユキグニコルリクワガタ交尾

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Platycerus albisomni albisomni
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)



ネクイハムシ; Plateumaris

永幡さんによれば、月山の中腹に散在する沼や湿地には、ここを基産地として記載されたシラハタネクイハムシをはじめスゲハムシ、ヒラタネクイハムシの3種が棲息しているということだ。ネクイハムシの仲間は形態的にとても良く似ている。とくにシラハタネクイハムシとスゲハムシは触角の第2節、3節の長さの比で区別できるようだが、野外での同定はすこぶる難しい。

3者の同定には自信が無いので、間違っていたら是非とも指摘してほしい。

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シラハタネクイハムシと残雪の山

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Plateumaris shirahatai
Canon 7D, Sigma 24mm, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)


シラハタは青色から茶色まで色彩は変化に富む。
(注:下の写真の上はスゲハムシです。永幡さん有難うございます)

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シラハタネクイハムシ

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Plateumaris shirahatai
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)


褐色型のシラハタの交尾。

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シラハタネクイハムシ

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Plateumaris shirahatai
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)


湿地に咲くコウリンカの黄色い花を訪れたスゲハムシ。
この個体は光沢のある鮮やかな赤色でとても綺麗だ。

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スゲハムシ

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Plateumaris sericea
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)

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ミズバショウの葉上で交尾するスゲハムシ

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Plateumaris sericea
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)


もう一種はヒラタネクイハムシだが、それらしい個体を撮影していた。

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ヒラタネクイハムシ?

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Donacia (Donaciomima) splendens splendens
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)




オオハンミョウモドキ; Elaphrus japonicus

オオハンミョウモドキは湿地をゆっくりと歩くと足もとから這い出す。

鞘翅に並ぶ青い紋がなかなか渋くて美しい甲虫だが、動きが意外に素早くて落ち着きがない。
ゆっくりと撮影させてもらえないのが難点だ。

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オオハンミョウモドキ

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Elaphrus japonicus
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)



アマゴイルリトンボ; Platycnemis echigoana

アマゴイルリトンボはモノサシトンボの仲間だが、オスの体は青色を呈する。今年は出現が遅れているみたいで、個体数は非常に少なかった。青色が乏しい羽化後間もない個体を一応撮影できた。

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アマゴイルリトンボ

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Platycnemis echigoana

Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-15, Mt. Gassan)



§ Afterword §

今回はある学会の山形県支部会学術集会にお招きいただきました。古い友人である県立病院のT先生や事務局のWさんなど色々な方にお世話になりました。感謝します。

また、山形在住の昆虫写真家でブナの森研究家の永幡嘉之さん世界のブナの森)ともお会いして、食事を共にしながら(飲みながら)ゆっくりと話すことができました。彼のフィールドとする山形の昆虫や極東ロシアなどの話に興味津々でした。永幡さんも甲虫とくにカミキリムシにも少なからず興味があるようで、しばらくぶりでチョウばかりではなく、甲虫談議にも花を咲かすことが出来てとても楽しかったな。永幡氏のこれからの活躍に陰ながら応援したいと思う。

次回の Nature Diary は、マニアの間で朝日型と呼ばれているヒメシジミの画像をアップすることにする。




以上、 by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2012-06-19 00:08 | Comments(13)

20120610 クヌギ林の散歩道:クロミドリシジミ

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Nature Diary 7(29):#454

<ストロボ近接撮影システム>
昨日(土曜日)は東京出張の折に、新宿のヨドバシカメラに立ち寄ってE-TTL調光が可能な「オフカメラシューコード OC-E3」を購入した。目的はキャノンEF100㎜マクロレンズのレンズフードに純正小型ストロボ270EXを、本体から離して逆向き(表裏を逆)に取り付けるためだ(ベルクロと輪ゴム)。本来、7Dであれば連結しなくても、内臓フラッシュと同調させて270EXを使用できるが、僕のカメラは内臓フラッシュが故障中。このストロボ近接撮影システムは、単純だけど意外にカメラとのバランスが良くて使いやすい。

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このところ、公私ともにバタバタと忙しく、フィールド散歩にも出ることが出来なかった。気がつけば、季節はいつの間にか初夏から夏になろうとしている。この時期は一年で最も昆虫の種類が多くて、趣味の撮影と仕事の狭間で悩むのが常だ。撮影は中止してもだれも痛まないが仕事は周りに迷惑がかかるので、手を抜くことはできない。若い時は何日も寝ないで両立できたものだが------。

本日(日曜日)は天気があまり良くなさそうなので、近くのクヌギ林にゼフィルス(ゼフ)の様子を見に行くことにした。今年はこれまでゼフをまったく撮影していない。


ウラナミアカシジミ; The Zebra Hairstreak

クヌギの枝を少し叩くとほどなくウラナミアカシジミが次々に飛び出した。ウラナミアカは近年全国的に数が減っているそうだが、ここでの個体数は少なくない。

下草のウラナミアカをシグマ24㎜マクロで撮影した。このレンズは広角域をカバーする「寄れる広角レンズ?」という位置づけだが、背景はかなりボケる。適度な画角(環境をほどほどに入れた)とやわらかい背景のボケ具合はお気に入りだ----まあ、ボケ味は好みの問題だけどね。

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ウラナミアカシジミ

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The Zebra Hairstreak resting on the leaf.
Canon 7D, Sigma 24mm, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)



クロミドリシジミ; The Copper Hairstreak

クロミドリシジミ(クロミ)は飛び出してもなかなか撮影に適した場所に止まってくれない(当たり前)。例によって見失っていると、偶然目の前のクズの草上にクロミ♂を見つけることができた。クズの葉上には、昨夜の雨による水滴が沢山ついていた。

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葉上に静止するクロミドリシジミ

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A male of the Copper Hairstreak resting on the leaf.
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)


しばらく観察していると翅を開き始めたので、その様子を時系列撮影することができた。チョウの撮影ではこの瞬間はいつもドキドキする。

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クロミドリシジミの開翅

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Photographs of a male of the Copper Hairstreak taken in time series
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)

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クロミドリシジミの開翅

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A male of the Copper Hairstreak
Canon 7D, Sigma 24mm, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)


少しずつ移動して開翅のアップを撮影したところ、翅の表面に少しスリキズがあった。♂は活動が激しいので、よほど新しくないと翅表に傷がついしまうのだろう。

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クロミドリシジミの開翅

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A male of the Copper Hairstreak resting the leaf with the wings opened.
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)



ハラグロオオテントウムシ; Callicaria superba

葉の上に大きなテントウムシを見つけた。

オオテントウムシに違いない(ハラグロオオテントウムシ)。虫林は以前からオオテントウムシに憧れていたが、個体数が少ないためか、それとも局所的な分布を示すためなのか、これまで出合えずにいた。憧れの虫にやっと出会えた。

やはり、この虫はどことなく重厚で、特別なオーラがあるな。

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ハラグロオオテントウムシ

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Callicaria superba
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)



モノサシトンボ; Copera annulata

モノサシトンボは大型のイトトンボ。腹部に等間隔の線が入っているので、その名前の由来は容易に想像できる。命名した人はなかなかセンスがある。

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モノサシトンボ

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Copera annulata
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)

オスの体色は黒っぽいが、メスはオスに比べて黄色みが強い。

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モノサシトンボの♂(上)とメス(下)

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Copera annulata
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)


イトトンボの頭部を拡大してみた。大きな複眼が面白い。撮影していたら、突然視界から消えた。戻ってきたときには、口にブヨのような昆虫を加えていた(下の写真の上)。

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モノサシトンボ

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Copera annulata
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)



その他;Miscellaneous

少し山側に行くと、道路上に多数のテングチョウ、ミスジチョウが吸水に来ていた。こんなに多数のミスジチョウを見たことがなかった。ミスジチョウの食樹のカエデの木が多いのかなと思ったが、さして多いようにも見えなかった。今年のオフシーズンの幼虫さがしが面白そうだ。

スミナガシも何頭か見かけたが、飛び去ってしまい、撮影することはできなかった。

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ミスジチョウ

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The Sailer
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)

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ウスアカオトシブミ

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Apoderus rubidus
Canon 7D, EF100mm Macro, ISO400 (2012-June-10, Kofu-shi)



§ Afterword §

本日は久しぶりに近場のチョウたちを見ることができた。クロミドリは時期的に少し早いかなと思ったが、元気な姿を何頭か見ることができた。虫林には以前から会いたいと思っていたオオテントウムシに出会えたのがとても嬉しかった。

来週からの週末は、3週連続で出張が予定されている。何とか(強引に)時間を見つけて、フィールド散歩に出たいと願っているが、ちょうど梅雨の時期なのでどうなることやら。



以上、 by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2012-06-11 00:17 | ▣クロミドリシジミ | Comments(27)

20120526 バリ島の散歩道(3):べリサマカザリシロチョウ

Nature Diary 7(28):#453

午前中は高原のデリアスなどを撮影しましたが、お昼近くになって雲が出てきて曇ってしまいました。曇るととたんにチョウたちも飛ばなくなったので、とにかく高原を下りて陽が射す別な場所(全く当てはないが)を探索することにしました。

<予期せぬ光景>
日差しを求めてある村の中を走っていた時、道路脇を一頭のシロチョウがフワフワ飛んでいました。あわてて車を道の脇に止めてもらい、そのチョウを追跡しました。

チョウに導かれるように農家に通じる細い小道に入っていくと、驚いたことに、そこには20~30頭のデリアス(カザリシロチョウ)たちが、大きなネムノキ(ギンネム)の周りを乱舞していました------「予期せぬ夢のような光景」。

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.......乱舞するカザリシロチョウたち

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.......The butterflies of Delias dancing around the tree
....... Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, ISO400, 外部ストロボ, Trimming



<青い自転車の少年>
乱舞するチョウたちを見ていると、青い自転車に乗った少年がやってきました。

写真を撮影しようとすると、少年は少しきどったポーズをとってはにかんだ。そのあと、無言で僕を家(写真後ろの小さな小屋)に案内し、作物?の分別作業をしていた母親や多分まだ1歳ちょっとくらいの弟を紹介してくれた(といっても言葉はバリ語でわからない)。けっして裕福ではないが、少年はとても幸せそうに見えました。

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青い自転車の少年



ベリサマカザリシロチョウ; Delias belisama

乱舞していたカザリシロチョウは、午前中に高原で見たオライアと色彩がよく似ていました。でも翅表の黒い部分がより広く、翅裏の色彩も少し異なるように見えます。どうやらオライアとは別種のベリサマカザリシロチョウで間違いないでしょう。

彼らは曇ると周囲の木の葉の上で休み、陽が差すと吸蜜に訪れて、盛んに求愛行動などをしていました。曇ってチョウが飛ばなくなった時には、彼らが止まっている木の幹を足で蹴飛ばすと沢山の個体がいっぺんに飛び出して壮観でした---何度もやって足が痛くなった。

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......吸蜜するベリサマカザリシロチョウ

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.......A male of Delias belisama feeding on the flower
....... Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400


ここには何種類もの花が咲いていましたが、彼らが好むのは圧倒的にネムノキでした。ネムノキといっても通常のピンクの花が咲く種類ではなくて、ギンネムと呼ばれる白い花がさくものです。日中は花を閉じていて、まるで傘のような面白い形です。

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.......吸蜜するベリサマカザリシロチョウ

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....... A male of Delias belisama feeding on the flower
....... Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400


ベリサマは赤いブーゲンビリアの花にも時々吸蜜に訪れました。やはりブーゲンビリアの赤い花との組み合わせは南国を感じさせてくれます。写真は翅を開いたベリサマの♀ですが、黒い部分の面積がかなり広いのがわかりますね。

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吸蜜するベリサマカザリシロチョウ

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A female of Delias belisama
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-May-26, Bali in Indonesia)


かれらはしばしば求愛行動を示しました。これだけ沢山のチョウがいると、一頭の♀に数頭の♂がアタックしてきます。♀の尾端を上げた交尾拒否姿勢は万国共通のものですね。

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.......ベリサマカザリシロチョウの求愛行動

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.......Courtship behavior of Delias belisama
....... Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-May-26, Bali in Indonesia)


彼らが静止するのは木の高い部分で、あまり下草や低い場所に静止してくれません。しかし、下の低い場所に止まっていた♀を見つけて広角レンズで撮影することができました。

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葉上に静止するベリサマカザリシロチョウ♀

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A female of Delias belisama resting on the leaf
Canon 7D, Sigma 10mm Fisheye, ISO400, 外部ストロボ(2012-May-26, Bali in Indonesia)



ぺリボエアカザリシロチョウ; Delias periboea

この白い花のネムノキには、ベリサマ以外にもう一種類のカザリシロチョウを見ることができました。ぺリボエアカザリシロチョウです。数はベリサマに比べると圧倒的に少ないようでしたが、何とか数頭は撮影することができました。

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飛翔するぺリボエアカザリシロチョウ

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Delias periboea flying around the tree
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-May-26, Bali in Indonesia)

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吸蜜するぺリボエアカザリシロチョウ♂

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A male of Delias periboea feeding on the flower
Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400 (2012-May-26, Bali in Indonesia)

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.......吸蜜するぺリボエアカザリシロチョウ♀

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....... A female of Delias periboea feeding on the flower
....... Canon 7D, EF 300mm F4L IS USM, ISO400


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<バリ島のデリアス?>

寺院の広場で人々が正装して集まっていました。男性の服は白一色でとてもシンプルですが、女性は赤や黄色などの色とりどりでとてもカラフルでした。

女性たちが並んで座っている様子をみると、まるでバリ島のカザリシロチョウたちがそこに静止しているかのように見えてきます------この症状からすると、虫林はバリ島特有の風土病である「デリアス病 Delias disease」に罹患してしまったのかもしれませんね。

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.......正装したバリの女性

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.......Ceremony of the temple
....... Canon 7D, EF 100mm Macro, F2.8 IS USM, ISO200 (2012-May-26, Bali in Indonesia)


§ Afterword §

今回のフリータイムは1日だけでしたが、バリ島に棲息するカザリシロチョウを撮影することができました。とくに最後のベリサマカザリシロチョウの乱舞にはとても驚きました。

今回は、時間的な余裕が無いので一部の場所しか訪れることができませんでしたが、海あり山(3000m級)ありで、とくに西部にはかなり広い未踏?の森林地帯もあります。もっと調べてみれば面白い発見があるかもしれません。

これでバリ島散歩は終わります。

Selamat tinggal


以上、 by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2012-06-03 21:15 | Comments(14)