NATURE DIARY

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20130101 謹賀新年 (第7回虫林大賞発表:タカネキマダラセセリとハクサンフウロ)


Nature Diary vol.8(01): #488


昨年中は拙写真と駄文にお付き合いいただき真に有難うございました。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。



虫林大賞 2013

虫林大賞は前年1年間の写真の中で最もお気に入りの一枚を虫林自身で選ぶもので、今年で第7回になります。
厳正かつ慎重なる審査の結果、本年度は タカネキマダラセセリとハクサンフウロ に決定しました。

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<選考理由>
「ハクサンフウロとタカネキマダラセセリ」は何年もの間こだわっていた組み合わせで、昨年の夏に上高地の○沢でやっと何とか満足がいく写真が撮影できました。日頃、チョウ撮影されている諸兄であれば、この感激はご理解いただけるのではないかと拝察いたします。


ノミネートされたその他の大賞候補の写真は以下の通りです。

メスアカミドリシジミ♀の開翅
イエローバンドの飛翔
ミズヒキアブに捕獲されたウラジロミドリシジミ
白馬のウラクロシジミ
大仙丈のクジャクチョウ
ジョウザンミドリシジミの開翅
海バックのサツマシジミ


その中でも昨年6月に、岩手の山中で撮影した「メスアカミドリシジミ♀の開翅」とkmkurobeさんのお世話で白馬で撮影した「白馬のウラクロシジミ」と「ミズヒキアブに捕獲されたウラジロミドリシジミ」はとても印象深いものだったので、虫林大賞の有力候補でした。

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甲虫では山形の永幡さんにお会いした時の「月山のシラハタネクイハムシ」がとても印象に残りました。
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過去の虫林大賞 (The best shot of the year by Tyurin)
第一回 (2007):オオイチモンジの集団吸水
第二回 (2008):アリに攻撃される岩手のチョウセンアカシジミ
第三回 (2009):カタクリで吸蜜する白馬のギフチョウ(イエローバンド)
第四回 (2010):福島のキマダラルリツバメ♂開翅
第五回 (2011):槍ヶ岳バックのタカネヒカゲ

第六回 (2012): クロミドリシジミ♂開翅


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それでは、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

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以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2012-12-31 23:57 | その他・雑 | Comments(42)

20121223 雑木林の散歩道:フユシャクなど


Nature Diary vol.7(62): #487


フユシャクという蛾の仲間は冬の最中に羽化するというユニークな昆虫です。フユシャクのメスは翅が小さかったりほとんど無くなっていたりして飛ぶことができません。そんなフユシャクのメスも蛹の段階では一度は翅が形成されるのですが、アポトーシス(apoptosis)によって縮んでしまうのです。ちなみに、アポトーシスとは個体をより良い状態に保つための管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のことです。

この生体の大事な機構を最初に提唱したのはイギリス人の病理学者Kerr教授です。
嬉しいことに、Kerr教授は「とても熱心な蝶屋」であることを彼のもとに留学した友人から教えてもらいました。

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Diary

午後からフィールド散歩。冬至を過ぎたばかりで日差しは弱々しく頼りない。

クヌギが主体の雑木林も今は冬枯れて静寂の時。
そんな雑木林を散歩してみると、綿毛についた霜が融けて水滴となって輝いていた。

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クヌギの雑木林 .

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi

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綿毛に水滴 .

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



チャバネフユエダシャク Erannis golda

桜の幹でチャバネフユエダシャクのメスを発見。

ヒメオオさんのブログで、この虫は「ホルスタイン」と呼ばれていることを知りました。確かに言われてみればホルスタインとは面白い表現です。他の候補としてはディズニーの「百一匹ワンちゃん」のダルメシアンにも模様が似ているかなと思いました。

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チャバネフユエダシャク . Erannis golda

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi

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チャバネフユエダシャク . Erannis golda

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi

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捕食された(?)チャバネフユエダシャク . Erannis golda

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



クロテンフユシャク Inurois membranaria

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クロテンフユシャク . Inurois membranaria

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



イチモジフユナミシャク Operophtera rectipostmediana

工事現場のバラックの壁でイチモンジフユエダシャクを発見。
少し刺激したら不器用にひらひらと飛んで行ってしまった。

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イチモジフユナミシャク . Operophtera rectipostmediana

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



キノカワガ Blenina senex

キノカワガを見ることができるケヤキに立ち寄ってみたが、どいうわけか見ることができなかった。しかし、大きな桜の幹に静止していた1頭を発見することができました。

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キノカワガ . Blenina senex

Canon 7D, Dec-23-2012, Kofu, Yamanashi



Afterword

今週は近くの雑木林でフィールド散歩ができました。
フィリピン、中国での記事が続いていたので、国内記事のアップは久しぶりになってしまいました。

午後から出かけたものの、冬至が過ぎてまだ間もないので、午後3時過ぎには陽が傾いてしまいます。フユシャクの仲間は少し薄暗い方が観察しやすいのですが、薄暗い中で一人で活動したくないのと、寒いので早々に引き揚げてしまった。根性なしの虫林だが、フユシャクの仲間はもっと観察してみたい昆虫たちだ。


以上、by 虫林花山







by tyu-rinkazan | 2012-12-24 20:20 | ■他の昆虫 | Comments(13)

20121209 中国福建省泉州の散歩道:お茶とアカネシロチョウ


Nature Diary vol.7(61): #486




泉州にて Quanzhou


泉州市の安渓県を案内していただいた。
安渓県は「茶都」という別称があるほどお茶の生産が盛んで、とくに「安渓鉄観音」は有名。

日本では烏龍茶(ウーロンチャ)のコマーシャルには決まって中国のシーンが出てきますので、「中国は烏龍茶」と思っている人が多いと思いますが、実際に中国で日常的に飲まれているのは「緑茶」や「ジャスミン茶」です。ちなみに、ネットで調べてみると、「烏龍茶は茶葉を摘んだ後に半発酵させたお茶で、緑茶は発酵の過程がなく、紅茶は完全に発酵させたものを乾燥させたもの」ということです。烏龍茶というのは緑茶と紅茶の中間なんですね。

とにかく、福建省まで来たからにはお茶畑に行ってみたいと思っていました。

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-----棚田のような安渓県のお茶畑 .

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China


安渓の茶畑は山の斜面に作られていました。
写真の左下に紅葉した葉が付いた木がありますが、これは柿の木だそうです。
茶畑は無農薬で作られているので、虫除けに柿の木を所々に植えるということでした。

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-----安渓県のお茶畑 .

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China

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-----安渓県のお茶畑 .

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China

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-----お茶の収穫風景 .

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China


お茶畑から帰る途中で本格的な中国茶(安渓鉄観音)を飲みました。

お茶をいれていただいた女性はその道のプロらしくて(実際、認定試験みたいなものがあるらしい)、流れるように美しい所作でお茶を出してくれました。虫林は中国茶についてあまりよく知りませんが、香り豊かな琥珀色の鉄観音茶は、何杯飲んでも飽きない味でした。

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-----安渓のお茶 .

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China



アカネシロチョウ Delias pasithoe curasena

レストランに通じる小径を歩いていくと、周囲に植えられた花にシロチョウが沢山飛んでいるのを目にしました。泉州の緯度は台湾とほぼ同じとはいえこの時期ですから、チョウを見ることなど期待していませんでした-------嬉しい驚き。

飛んでいたシロチョウは見覚えがあるアカネシロチョウでした。

アカネシロチョウは3年前に福建省よりもさらに南の広西チワン族自治区南寧市内の公園で撮影したことがあります。今回はその時よりもさらに個体数が多いようでしたが、残念ながら時期的には遅いようで新鮮な個体を見ることはできませんでした。

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-----アカネシロチョウ . Delias pasithoe curasena

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China

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-----アカネシロチョウ . Delias pasithoe curasena

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China


ちなみにアカネシロチョウが属するDelias というグループは名の意味は「妖婦」だという。そういわれてみれば、アカネシロチョウを見ていると、少しケバい化粧をしたその道のオネーさんのようにも見えてこないでもないな。僕はチョウの妖婦にはイチコロです。

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-----アカネシロチョウ . Delias pasithoe curasena

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China

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-----アカネシロチョウ . Delias pasithoe curasena

-------Olympus OM-D E-M5, Dec-10-2012, China



Afterword

泉州では以前から見てみたかった「安渓鉄観音」のホームタウンである安渓県に行くことができ、その広大なお茶畑を実際に見ることができました。さらにアカネシロチョウまで出てきてくれたのは嬉しい驚きというしかありません。福建省の泉州にくるのも大変ですが、さらに安渓県に足を伸ばす機会はなかなか無いでしょう。

でも、お茶の故郷とアカネシロチョウは僕の記憶の中でリンクしてしまいました。
これで、今回の中国行の記事は終了です。


以上、by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2012-12-22 12:20 | ● China | Comments(8)

20121209 中国福建省の散歩道:福州にて


Nature Diary vol.7(60): #485


中国の福建省福州市を訪れました。日中関係が尖閣諸島をめぐる領土問題で冷えこんでいるこの時期に中国に渡るのは少し心配でした。でも、幸いなことにその心配はまったくの杞憂に終わり、彼の地の大学の友人たちは以前と変わらぬ笑顔でわれわれを迎えてくれました。

友人の一人は、今の中国には貧困と富裕、民族と社会、農村と都会、個人と国家など----色々な問題があるといいます。
今はお互いに理解する努力こそが必要と思います。

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-----福州市の町並み(ドラマチックトーン) .
A landscape of Fuzhou
------Olympus OM-D, Dec-09-2012, Fuzhou, China


中国の大学では5年ごとにセレモニーを行うものらしい。このセレモニーは5のつく年より0がつく年の方がより派手だといいます。今回は大学創立75周年のセレモニーということで、より質素なはずなのですが、日本人の僕にとっては十分にど派手にみえました。

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-----大学創立75周年の垂れ幕 . The 75th anniversary of Fujian Medical University

------Olympus OM-D, Dec-09-2012, Fuzhou, China




三坊七巷 Three Lanes and Seven Alleys

三坊七巷という古い町をチョウさんにガイドしていただきました。

ここでは古い民家を改築した土産物屋や食堂がならび(観光地らしい)、その間に細い石畳の路地が規則正しく伸びています。この古い街並みの背景に新しいビルが聳え立ち、その新旧のコントラストは今の中国を象徴しているように見えました。

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-----三坊七巷の路地 .

------Olympus OM-D E-M5, Dec-09-2012, Fuzhou, China


外国の街角をぼんやりと歩いていると、時々ほっとするというかほっこりする光景に出会うことがあります。
そんな場面が撮影できるとちょっとばかり幸せな気分になることができます。

虫林にとって良いカメラとは、そんな場面を撮る勇気を与えてくれるカメラだと思います。

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-----笛を吹く人 .

-----Olympus OM-D E-M5, Dec-09-2012, Fuzhou, China

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-----スケッチする子供達と引率の先生 .

------Olympus OM-D E-M5, Dec-09-2012, Fuzhou, China

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-----柱の陰ではにかむ少年 .

------Olympus OM-D E-M5, Dec-09-2012, Fuzhou, China

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-----古い民家 .

------Olympus OM-D E-M5, Dec-09-2012, Fuzhou, China

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-----琵琶を弾く女性 .

------Olympus OM-D E-M5, Dec-09-2012, Fuzhou, China

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-----中国のマクドナルド .

------Olympus OM-D E-M5, Dec-09-2012, Fuzhou, China



Afterword

今回の渡中も3泊4日の駆け足訪問でした。いつもと変わらず熱烈歓迎していただいて嬉しく思いましたが、それにしても、福州料理は魚介類がとても多くておいしい。でも、量が多すぎてね-----この旅行で体重が2kgぐらい増えてしまいました。あぶない、あぶない。

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盛り沢山の夕食 .



今回もオリンパスのOM-Dに14-150mmの交換レンズ1本という気軽な装備でした。この組み合わせは少し頼りない気もしないではありませんが、旅行にはとても便利でした。難点を一つ言うとすればバッテリーのもちが今ひとつかな思います。

次回の記事では福州のお隣の泉州についての記事を掲載しようと思います。

以上、by 虫林花山


by tyu-rinkazan | 2012-12-16 13:16 | ● China | Comments(4)

20121130 フィリピンの虫たち


Nature Diary vol.7(59): #484


この時期でも少し歩けば汗がにじむほど蒸し暑く、どこの部屋にもクーラーが効いている。
やはりフィリピンは熱帯。

虫林は子供の頃から熱帯アジアに憧れていた。
そこには大きなジャングルがあり、原色の花々が咲き乱れ、珍奇な昆虫たちが群れ飛んでいると思っていた。
でも、仕事の合間のフィールド散歩ではなかなかそんな楽園には行けない----欲求不満。

いつまでも見果てぬ夢。


郊外の風景 A landscape of the suburb

パイナップル畑を抜けると草原。
そこにはのんびりと草を食む牛の姿。

おやおや、この牛の耳はなんて長いのだろう。

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フィリピンの牛 . Philippine ox

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Philippines



フィリピンのチョウたち Butterflies of Philippines

渓谷に覆うように枝を伸ばした木の葉上で、占有(テリトリー)行動を示すリュウキュウムラサキ(リュウムラ)の姿をところどころで見かけることができた。
このチョウをみると南国に来たなと思う。

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葉上で休むリュウキュウムラサキ . Hypolimnas bolina

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines


かなりのスピードで飛び回るシロチョウ。

シロチョウの仲間はいかにも葉に止まりそうな飛び方をするが、実際にはなかなか静止してくれないので気をもむ。静止したチョウをみると初めはタイワンシロチョウかなと思っていたら、どうやらクロヘリシロチョウという種類らしい。もちろん初見である。

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クロヘリシロチョウ . Cepora boisduvaliana

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines


川の横の日陰の葉に休む大きなチョウを見つけた。

シロオビダマシヒカゲという名前のチョウだ。
このチョウの名前にある「ダマシ」は、広く分布するシロオビヒカゲに似ているところからきているのだろう。

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シロオビダマシヒカゲ . Zethera pimplea

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines



その他の昆虫 Miscellaneous Insects

熱帯アジアは虫屋にとってのワンダーランド。
様々な奇妙奇天烈な昆虫たちに出会う。

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ペルフォラタコルリハナダカトンボ? . Aristocypha perforata

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines

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ツノゼミの1種 .

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines

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アワフキ?の1種 .

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines

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樹上性のクビウナガハンミョウの1種 .

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines

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葉に丸い食痕を残すジンガサハムシの一種 .

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines

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ひょうたん型のゾウムシの1種 .

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines



Afterword

これでフィリンピンの虫たちについての記事は終了。

フィリピンの虫たちは他の東南アジアの国々とも一味違う特徴があるように思えた。しかし、今回の訪問も学会の合間のフィールド散歩なので、フィールドには短時間しか出ることができなかったが残念だ-----仕方がないか。いつかゆっくりとフィリピンキシタアゲハやそのほかの昆虫たちともう一度戯れてみたいものだ。






以上、by 虫林花山





by tyu-rinkazan | 2012-12-11 20:39 | ● Philippines | Comments(10)

20121130 フィリピンの散歩道:UPのフィリピンキシタアゲハ


Nature Diary vol.7(58): #483


これまでもアジアの国々には何度か出張しているが、フィリピンを訪れるのは今回が初めてだ。

フィリピンのマニラ国際空港に到着してみると、法医学者のセシリアさんが出口で名前のボードを持って出迎えてくれた。さっそく彼女に案内されて空港から外に出てみると、夜の10時にもかかわらず蒸し暑く感じる。ウーム、この何ともいえないどよっと湿り気を帯びたような空気感------まさしく東南アジアの空気そのものだと勝手に納得してしまった。今ではこの熱帯アジアの空気感が妙に懐かしく思えるようになった。



マニラ Manila

フィリピンのルソン島に位置する首都マニラは急速に発展している街だ。2012年にアメリカのシンクタンクが公表したビジネス・人材・文化・政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて、世界第51位の都市と評価された(ちなみに東京はニューヨーク、ロンドン、パリについで第4位)。

宿泊するホテルの周りには、建設中の高層ビルが立ち並んでいる。いかにも「これからマニラに摩天楼を作りますよ~」という意気込みを感じる。ふと思い立って、これまでほとんどカメラを向けたことがなかった工事中のビル群を、オリンパスOM-Dに内蔵されているアートフィルターのドラマティックトーンで撮影してみることにした。ちなみに今回は荷物を軽くするために、オリンパスの一眼 OMD と交換レンズ2本だけ(14-150㎜、60㎜マクロ)を持参したのだ。小さいことは良いことだが、どことなく頼りない感じが拭いきれないな。ドラマティックトーンはただの景色をワンダーランドに変えてくれる。

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マニラのビル群(ドラマティックトーン) . A landscape of Manila

Olympus OM-D E-5, Nov-29-2012, Manila, Philippines



フィリピンキシタアゲハ Troides rhadamantus

学会主催者のエドナさんが「どこか行きたいところがある?」と尋ねてきた。

これは「飛んで火にいる夏の虫」ならぬ「飛んで火にいる冬のエドナさん」である。遠慮なく、「チョウのいる場所に連れて行って欲しい」と答えた。でも、自然のチョウが多い場所など、まっとうな人間(まして女性)であるエドナさんが知ろうはずもない。そこで、リクエストのキーワードを「チョウのいる場所」から「山の公園」に変えてみることにした。虫林曰く、「暑いときに人は海に行くが、虫屋は山を目指す」のだ。

朝、セシリアさんとレジデントのアンサリー君がホテルに迎えに来てくれ、「フィリピン大学 University of Philippines (UP)の森林公園」に行くことになった。UPの自然公園は、マニラ市内から車で2時間ほどのロスバニョス Los Banos にある。

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フィリピン大学の森林公園の入り口 . The entrance of Botanical garden in Philippine university

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Manila, Philippines


入り口を入ってすぐの広場で、森を見上げるとなんとそこにキシタアゲハが滑空していた。

キシタアゲハに限らずアゲハチョウの仲間は見ることはできても、いざ撮影するとなると結構骨が折れる。はやる気持ちを抑えて、じっと彼らが飛ぶ姿を観察していたところ、嬉しいことに、オレンジ色の花が咲くサンタンカの木に降りてきて、葉上に静止してくれた。思わず心の中でガッツポーズしながら撮影。

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サンタンカの木の葉上に静止するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines


実はフィリピンに来る前は学会での発表の準備で忙しくてどのような蝶が棲息するのかさえ調べていなかった。
もちろん、恥ずかしながらフィリピンキシタの存在すら念頭にはなかったのだ。

近藤典生氏と西田誠氏による「トリバネアゲハの世界」という本によれば、フィリンピンには広域分布種のヘレナキシタは分布せず、フィリピンキシタが生息する。どうやら、フィリピンキシタはフィリピンの島々にほぼ特産するといってよいらしい----嬉しいものだ。さらに、「フィリピンキシタは平地から低山に棲息するが、どこにでもいるわけではない」と記されている。ヘレナキシタに比べると、フィリピンキシタでは翅に白いすじが明瞭であることに加え、飛び方もやや力強さに欠けるようだ。

とにかく、大型美麗腫を行き当たりばったりで撮影できたのだから有難い。

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木の葉上に静止するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus resting on the leaf.

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines


待っているとゲートの近くの木の葉でも静止してくれた。虫林が立っている場所からかなり近い。
作業員が仕事の手を止めてこちらを見ているが、気にしないで撮影.
でも、その個体は右の翅の先が欠けていたのが残念だ。

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木の葉上に静止するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus resting on the leaf.

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines


飛翔写真にもチャレンジしてみたが、OMDに14から150㎜のズームレンズの組み合わせではうまく撮影できなかった。やはりこんな時はいつも撮り慣れている一眼レフに明るい単焦点レンズが有利だと思う。もう少し練習が必要だ。

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飛翔するフィリピンキシタアゲハ . Flying feature of a male of Troides rhadamantus

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines


フィリピンキシタアゲハはサンタンカのオレンジ色の花で吸蜜した。
ただ吸蜜時間は意外に短いのと、チャンスが少なかったこともあって、翅がぶれてしまった。
いつかもっとゆっくりと撮影してみたいものだ(いつも負け惜しみにそう思うのだが)。

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サンタンカの翅で吸蜜するフィリピンキシタアゲハ . A male of Troides rhadamantus feeding on the flowers.

Olympus OM-D E-M5, Nov-30-2012, Los Banos, Philippines



Afterword

フィリピンでは意外にチョウが少なかった。それでもUPの自然公園ではそこそこに見ることができたのは良かったと思う。学会主催者のエドナさんやお付き合いいただいたセシリアさんとアンサリー君に感謝したい。お世話になりました。

実はフィリンピンに棲息するもうひとつの大型美麗種アカネアゲハもUPの自然公園内の渓谷沿いで何度か見かけることができた。本当に大きくて綺麗だった。アカネアゲハは残念ながら撮影するチャンスを与えてくれず、目の前を飛び去っていった。いつかこのチョウも撮影してみたいものだな。

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虫林よ熱帯で何思う? .




フィリンピンの昆虫たちはまだいろいろと撮影したので、次回にそれを供覧する。

以上、by 虫林花山




by tyu-rinkazan | 2012-12-04 00:19 | ● Philippines | Comments(16)