NATURE DIARY

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20110213 寒い夜に見る虫屋の夢:変な虫たち

Nature Diary #0371
Date: October 10 (Sunday), 2010
Place: Sao Paulo
Weather: Fine




§ Diary §

雪が積もった。
こんな寒い夜に虫屋が見る夢は------南米の面白い虫たち。


» アリ; Ant

南米のハキリアリ (leafcutter ants) の仲間は、葉を切り取って巣に運ぶ。

彼らは巣に運んだ葉でキノコ(アリタケ)を栽培して食料にしている。また、巣内にはアブラムシも飼っているというのだからまさしく 「アリ農場」 だね。

サンパウロ植物園では、このアリたちを何度も見ることができた。

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ハキリアリ

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Leafcutter ants carrying the leaf fragments which they cut.
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Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(Sao Paulo, Brazil, Oct-10-2010)



» ツノゼミ; Treehopper

ツノゼミの幼虫は、樹液を吸って過剰の糖分を排泄している。
そのため、アリがその糖分を求めて集まってくる。

アリたちはただ集まって糖分をなめるのではなく、ツノゼミの幼虫たちを保護しているらしい。

ツノゼミからすれば、アリは逞しいボディガードなのだ。

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ツノゼミの幼虫とアリ

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larvae and ants
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Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(Sao Paulo, Brazil, Oct-10-2010)



ツノゼミの仲間は小さいが(体長1cm以下)、とてもユニークで面白い形をしている。
この面白い形の正確な理由は、進化の専門家でさえも良く分からない。

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ツノゼミ

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Treehopper
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Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(Sao Paulo, Brazil, Oct-10-2010)




» ヘンテコリンな昆虫; Strange insect

葉の上で、大きさ 7mm ほどの「鳥の糞」を見つけた。
でも、良く見ると、その糞みたいな塊の下に頭部が見えた。

どうやら昆虫の仲間らしいが----怪しいやつだ。

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ヘンテコリンな昆虫

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Strange insect
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Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(Sao Paulo, Brazil, Oct-10-2010)



» セイボウの仲間; Chrysididae sp.

セイボウの仲間はとても綺麗だ。

日本のセイボウは青く輝くものとこの虫のように緑と赤のツートンのものがいる。
こちらのセイボウは後者のような色彩だが、日本のものと同じかどうかは定かではない。

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セイボウの仲間

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Chrysididae sp.
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Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(Sao Paulo, Brazil, Oct-10-2010)


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§ Afterword §

今週末は3連休だったが、知人の退職パーティやお葬式で東京を行ったり来たりだった。
そのため、フィールド散歩が出来なかった。

寒い夜には、暖かったブラジルの虫で暖まろう。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2011-02-14 00:11 | Comments(6)

20101016 イグアス散歩 (4):ゴンドワナの申し子

Nature Diary #0359
Date: October 16 (Saturday), 2010
Place: Iguazu National Park in Brazil
Weather: Cloudy


§ Diary §

南米は世界で最もチョウの種類が多い(およそ世界の1/2の種)。

プレートテクトニクスによれば、南米は現在のアフリカ大陸やオーストラリアなどとともに一つの大陸(ゴンドワナ)をつくり、一方、アジアは北アメリカ大陸、ヨーロッパなどとともにローラシア(Laurasia)大陸にあった。また、この超大陸の間で生物に違いがあるといわれている。

南米のチョウたちは、いわば ゴンドワナ(Gondwana) の申し子だ。



ヒロオビアゲハ; Broad-banded Swallowtail, Papilio astyalus

ジャングルに沿ったトレールをぶらぶらと歩いていると、湿った地面には小型のチョウたちに混ざって大きなアゲハチョウが吸水に訪れていた。

この翅表の黄色い帯が目立つアゲハチョウは、メキシコからアルゼンチンにかけて広く分布する。

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#1: トレールの湿地で吸水するヒロオビアゲハ

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A Broad-banded Swallowtail feeding minerals on the ground.
Olympus EP1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Iguazu in Brazil)




ルーリッククロアゲハ; Rurik, Mimoides lysithous rurik

イグアスで出会ったアゲハチョウでは、目を見張るほど大きなものはなく、色彩もいわゆる玄人好みの地味目な種類が多いように思う。

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#2: 吸水するルーリッククロアゲハ

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A Rurik feeding on the wet ground.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-15, Igazu)




コケイロカスリタテハ ; Variable Cracker, Hamadryas feronia

現地の人のシャツの袖に2頭のカスリタテハが静止した。

カスリタテハの仲間はカチカチという音を出すことでも知られている。実際にその音を聞いてみると、意外に大きな音なので驚いた。このチョウは、いつもカチカチしているのでは無くて、飛び立つ時にだけに音を出すようだった。

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#3: 袖に静止したカスリタテハ

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Two Variable Crackers resting on the shirt.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




デモフーンオオルリオビタテハ ; Archaeoprepona demophoon

それにしても、このオジサンのシャツはよほどチョウたちに魅力的な匂いを発しているようで(洗濯してないかも)、前述のカスリタテハを撮影していたらなんと  オオルリオビタテハ までがどこからともなく飛来して袖に静止した。

このオオルリオビタテハはアフリカのフタオチョウの代置的な存在で、その大きさは日本のオオムラサキほどもある。今回、是非とも見たいと思っていたチョウの1つだったので嬉しい。

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#4: デモフーンオオルリオビタテハ 

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Archaeoprepona demophoon
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ルリオビアメリカコムラサキ; Turquoise Emperor, Doxocopa cherubina


人家の横の砂地で翅に鮮やかな青い紋を持つタテハチョウを見つけた。
ここでは個体数が多いようで、何頭もの本種が吸水に訪れていた。

ちなみに、このチョウの英名は  Turquoise Emperor というが、翅表の紋の色はまさに トルコ石 の色だ。

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#5: 吸水するルリオビアメリカコムラサキ

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A male of Turquoise Emperor feeding water on the wet ground.
Olympus EP1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Igazu)

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#6: 吸水するルリオビアメリカコムラサキ

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A male of Turquoise Emperor feeding water on the wet ground.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ホソツルギタテハ; Red Daggering, Marpesia petreus

尾が長いヘンテコリンなタテハチョウが吸水に訪れていた。
このチョウは英名を Red Daggering (赤い短剣)、和名は ホソツルギタテハという。

このツルギタテハはイシガケチョウに近縁らしい。
そういえば、イシガケチョウと同様にどことなく曲者的な雰囲気が漂うチョウだな。

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#7: 吸蜜するホソツルギタテハ

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A Red Daggering feeding water on the ground.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




チャスジツルギタテハ; Purple-washed Daggerwing, Morpesia Themistocles


黒い線を持つ地味な色をしたツルギタテハも見ることができた。

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#8: チャスジツルギタテハ

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Purple-washed Daggerwing
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ルリツヤタテハ ; Orsis Bluewing, Myscelia orsis

ルリツヤタテハ(Orsis Bluewing)は中型の美しいタテハで、とくにオスは翅表全体が青く輝き艶やかだ。今回はそのメスを撮影することが出来たが、メスもやはりベッピンさんだな。

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#9: ルリツヤタテハ♀

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Orsis Bluewing
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ミツボシタテハ; Catonephele numilia

この赤と白い紋が目立つ美しいタテハチョウは、トューカン(オオハシ)を追っていた時に、たまたまトレールの脇に静止したものを撮影した。

色彩が特徴的なのですぐに種名が判明するかと思ったが、調べた限りではまだ不明だ。


注:本種はミツボシタテハであることを yoda-1さんにご教示いただいた。このミツボシタテハの♂は羽表に大きな黄色い紋があり、雌とは色彩が全く異なります。驚きました。

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#10: タテハチョウの1種

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?
Olympus E-3, ZD50mm Macro, EC-14, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




アガチナアメリカコムラサキ; Doxocopa agathina

日本のコムラサキに似ているが、翅の輝きはこちらが強い。

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#11: アガチナアメリカコムラサキ

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Bechina Purplewing
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




アカヘリタテハ; Red Rim, Biblis hyperia

翅表が黒地に赤い紋の縁取りを持つタテハチョウが目の前の草上で静止した。

このチョウはカバタテハの仲間で「アカヘリタテハ」という和名がついていた。
メキシコからパラグアイ北部の熱帯、亜熱帯に分布する。

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#12: アカヘリタテハ

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Red Rim, Biblis hyperia
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




アカガネタテハ; Mylitta Butterfly, Dynamine mylitta

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#13: アカガネタテハ

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Mylitta Butterfly
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



オドリコシジミタテハ; Dancer, Riodine lysisca lysisca

初めてこのチョウを見た時には、てっきり蛾と思った。
図鑑を見ると、どうやらシジミタテハの仲間らしい。

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#14: オドリコシジミタテハ

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Dancer
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




ラサイアシジミタテハ; Black-spotted Bluemark, Lasaia agesilas esmeraida

シジミタテハ科のチョウは南米で繁栄していて、およそ9割が南米特産となっている。

このシジミチョウでもタテハチョウ、セセリチョウでもないけったいなシジミタテハは、翅が青く輝きとても美しい。吸水性が強く、しばしば湿った地面で見つけることができた。

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#15: ラサイアシジミタテハ

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Black-spotted Bluemark
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




Dark Epafos; Siproeta epaphus trayja

このチョウは図体が大きくて、翅表に白い帯がめだつ。
トレールを歩いていると、しばしば明るい場所にも現れてくれた。

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#16: Dark Epafos

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Dark Epafos
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




Passova Firetip; Passova passova

頭と尾端に真紅のアクセントを持つ綺麗なセセリチョウが葉に静止していた。
大きさはアオバセセリくらいで、大型の部類に入るセセリだ。

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#17: Passova Firetip

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Passova Firetip
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



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§ Afterword §

ヘンリー・ベイツ(Henry W. Bates 1825-1892)や アルフレッド・ラッセル・ウォレス(Alfred Russel Wallace, 1823 - 1913)といった博物学者は、今から約150年以上も前に南米を訪れて重要な発見をした。当時の南米はそれこそ暗黒大陸で、多くの苦難があったことは想像に難くない。彼らの目から見た南米のチョウたちは、さぞや魅力的に見えたことだろう。

虫林にもベイツ先生やウォレス先生の気持ちがほんの少~しだけわかった----生意気。



イグアスは蝶が多く安全で、素晴らしい散歩フィールドだった。

撮影できたチョウの全てをブログで供覧するのは困難だし、虫林にはそこまでやるだけの時間的な余裕も無い。残りはまたいつかね------といいたいが、生来、レイジーな性格なのでいつになることやら。

とにかく、これで「中締め」としよう。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-11-23 08:29 | ● Brazil | Comments(30)

20101015 イグアス散歩 (3):トンボ(スカシ)マダラ

Nature Diary #0358
Date: October 16 (Saturday), 2010
Place: Iguazu National Park in Brazil
Weather: Cloudy



§ Diary §

イグアスで最も大きい「悪魔の喉笛」と呼ばれる滝への入り口を過ぎて、キャンプ場に至るトレールを歩いた。ここまでくると、滝を見学する観光客の姿は一切無くなり、鳥たちやホエザルの声だけがジャングルに響いていた。


オオハシ; Tucano

突然、カラスほどの大きさの鳥が少し先の木に静止した。
みると、中南米だけに特産する トュ-カンTucan(和名 オオハシ) だった。

トューカン(アルゼンチンではトュカーノ) はイグアスを代表する鳥で、土産物屋にはこの鳥の置物などが沢山並んでいた。大きなクチバシを持つトュ-カンは、ディズニー映画のキャラクター的な愛嬌があって、まるでオモチャの鳥が動いているようだ。
 
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#1: トュ-カン Tucan (オオハシ)

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A Tucan resting on the branch of the tree.(#1) and suddenly took off (#2)
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Iguazu, Brazil)




クリスタルスカシトンボマダラ; Episcada hymenae

小道の脇に咲く黄色い花で、ヒメシロチョウほどの大きさの透明な翅を持つチョウを発見。このチョウは、翅がトンボのように透明で、まるでガラス細工のようだ。

ところで、下の写真でその蝶がどこにいるかお分かりだろうか。

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#3: 吸蜜するトンボマダラ

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A Glass Wing Butterfly feeding nectar on the flower.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Igazu)



トンボマダラ科(スカシマダラ科)の蝶は、大部分が中南米に特産する。この仲間はトンボのように透明な翅を持つものが多く、英名ではグラスウィングと呼ばれている。

下の写真の蝶はブラジルの蝶の図鑑ではCrystalinaと呼ばれているので、クリスタルトンボマダラチョウとしておく。

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#4: 吸蜜するトンボマダラ

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A Glass Wing Butterfly feeding nectar on the flower.
Olympus E-620, ZD8mm, EC-14, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



ひらひらと花から花へと飛び移りながら吸蜜を繰り返していたが、前後翅とも透明で透けているので、いったん目を離すと背景に溶け込んでしまう。

このスカシトンボマダラの仲間は似た種類が多いので同定がなかなか難しい。

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#5: 吸蜜するスカシマダラ

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A Glass Wing Butterfly feeding nectar on the flower.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA800
(2010-October-16, Igazu)

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#6: スカシマダラ

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Glass Wing Butterfly
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA800
(2010-October-16, Igazu)

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#7: スカシマダラ

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Glass Wing Butterfly
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA800
(2010-October-16, Igazu)




クロフチトンボマダラ; Epityches eupompe

こちらは別の種類で和名をクロフチトンボマダラという。

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#8: クロフチトンボマダラ

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Epityches eupompe
Olympus E-3, ZD35mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)

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#9: クロフチトンボマダラ

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Epityches eupompe
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-16, Igazu)




トンボマダラ; Greta oto



途中で雨が強くなってきたので、林の中の大きな木の下で雨宿りをしていたら、目の前の葉でトンボマダラを見つけた。。南米の透明な翅を持つチョウでは、しばしば写真に掲載されているのがこの学名がGreta otoというトンボマダラGlass Wing Butterflyだろう。



トンボマダラの仲間はジャングルの中の下草で生活するものが多いといわれている。
とにかく光量が少ないのでストロボを用いて撮影した。

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#9: トンボマダラ

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Glass Wing Butterfly
Olympus E-620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)




キボシカバタテハマダラ; Tithorea harmonia pseudonyma

この蝶はキボシカバタテハマダラという名前らしい。

キボシカバマダラというチョウは、亜種も含めてかなり多彩なので、種の同定には自信が持てない。

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#11: キボシカバタテハマダラ

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Tithorea harmonia pseudonyma
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)



林の縁でマダラチョウの一種を追っていたら、虫林の利き手の指で汗を吸い始めた。

そのままではカメラが持てないで困っていると、ちょうどそこにドイツから来たという観光客(若い女性)が通りかかり、虫林の指のチョウを興味深そうに見ていた。

そこで、彼女にお願いして指を出してもらい、虫林の指に静止しているチョウを彼女の指にそっと移した。彼女は思いがけない出来事に目を輝かせて驚いていた。その後、是非とも写真がほしいというので、後程メールとともにこの写真を送り届けた。

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#12: キボシカバタテハマダラ

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Tithorea harmonia pseudonyma
Olympus E-3, ZD35mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Igazu)


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§ Afterword §

近頃忙しいので、ブラジルで撮影できた写真の整理がなかなかできなかったが、やっとスカシマダラの仲間をアップすることができた。とにかく南米の蝶たちはユニークなものが多くて興味深い。しかし、どの種も良く似ていて同定には苦労する。

上の写真で種名が間違っていたら、教えていただければ幸いです。




次回でそろそろイグアス散歩のチョウの日記を終了。


以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-11-14 17:57 | ● Brazil | Comments(12)

20101015 イグアス散歩 (2):蝶の乱舞とモルフォ飛翔

Nature Diary #0357
Date: October 15 (Friday), 2010
Place: Iguazu National Park in Brazil
Weather: Fine after cloudy



§ Diary §

フォス・ド・イグアスの郊外を現地のガイドを雇って一日だけドライブした。

郊外に出るとほどなく舗装は途絶え、Laterite (ラテライト) と呼ばれる赤土の道が遥か遠くまで伸びていた。このラテライトの道は、雨に濡れるととたんにぬかるみ、反対に乾くとひび割れてコンクリートのように固くなる。

虫林が育った日本の関東ロームよりもこのラテライトの方が赤味がより強いようだ。多分、赤い色のもとである酸化鉄などの成分がこちらの方が多いのかもしれない。

イグアスは 「赤い大地」 だった。
 
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#1: ラテライトの赤い道

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A red road of Laterite
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Iguazu, Brazil)



ジャングルに隣接した農家の裏手で黄色い蝶が飛ぶのを見かけた。

早速、様子を観察したところ、そこは私有地の中なので、無断で入れば銃で撃たれても文句はいえない(日本とは違うからね)。そこで、呼び鈴の代わりに門の前で手を叩いて呼んでみたところ、家の中からやや褐色の浅黒い肌をしたオジサンが現れた。

「こんにちは、私は日本から蝶を撮影にやって来た虫林というものですが、お宅の敷地の中に入って蝶の撮影をしても宜しいですか?」----と虫林。

「何だって!日本から蝶の写真を撮影にきたっていうのかい、それはまた酔狂なことだね。うちの土地ならどこでも入って遠慮なく撮影してってくれ」-----とオジサン

(ポルトガル語なので良くわからないが、多分)。
ちなみに下の写真で、池の周りの小さな白い点は蝶。

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#2: イグアス郊外の農家と池

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A farmer’s house and pond in Iguazu
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Iguazu)



壊れた柵を越えて敷地の内部に入ると、豚、鶏、七面鳥や犬たちがにぎやかに迎えてくれた。母屋の裏は大きな窪地で、そこにはまるで水たまりを巨大にしたような池があった。この池は家畜たちの水飲み場であろう。

池の縁や窪地の斜面に群れ飛ぶ黄色い蝶たちを見つけた。

ラテライトの赤土をバックにして、遠目にもそれとわかるほどに鮮やかなコントラストを見せて飛ぶ蝶に胸の高鳴りを禁じ得ない。

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#3: 池畔の蝶集団

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A group of butterfly by the pond.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-October-15, Iguazu)



吸水集団にそっと近づいてみると、集まっている蝶の数に息を飲んだ。
(後日、写真で確認すると200頭以上)。

さらに、このような集団はここ一か所ではなくて、他にも数か所で見られたのだから、いったいどれだけ多くの蝶たちがこのあたりに集まっていたのだろうか。

南米イグアスの「驚くべき自然力」だ。

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#4: 蝶の吸水集団

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The butterflies were found in large group, imbibing moisture from damp sand on pondbank.
Olympus E620, Sigama 150mm Macro, ASA200
(2010-October-15, Iguazu)



不思議に思うのは、蝶たちはそれぞれが触れ合うほど隙間なく密に集まって「満員電車状態」を呈していたことだ。蝶たちはどうしてそんな「満員電車状態」で吸水するのだろう。

もしかして、海のイワシのように、多数の個体が密に集合して大きな生き物に見せかけているのかも知れない。あるいは、集合することで「蝶と認識させない」という効果の方が大きいかも知れない。実のところ良くわからないが、天敵に対する防御的な理由によるものだろう。

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#5: 蝶の集団

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The groups are tightly packed, with up to 200 butterflies clustered together.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Igazu)



吸水に訪れている蝶の多くは オオキチョウ(Phoebis) の仲間だった。


黄色で後翅の先が少し飛び出している蝶:
ツバメオオキチョウ Tailed Sulphur (Phoebis rurina)

翅の色が少し赤っぽい色の蝶:
オレンジオオキチョウ Apricot Sulphur (Phoebis argante)

白っぽくて翅裏に線の入った蝶:
Yellow Leaf (Rhabdodryas trite banksi)


どれも通常のキチョウよりも二回り以上も大きくて、日本の蝶でいえばヤマキチョウほどもある大きさだった(ヤマキチョウよりも大きいかも)。

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#6: オオキチョウ

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The butterflies intermingled amongst mixed aggregations of Rhabdodryas, Phoebis, and other predominantly white or pale yellow species.
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA400
(2010-October-15, Igazu)



前3種の他にも別な種類も混ざっていて、下の写真で飛んでいる白いチョウはStatira (Aphrissa statira statira)という種類らしい。Statiraはビーナスの神様の名前で、白くて内側に黄色が入り綺麗だ。この蝶は数が少なかった。

d0090322_18484478.jpg
#7: オオキチョウ

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Yellow Leaf (Rhabdodryas trite banksi)
Olympus E620, Sigama 150mm Macro, ASA200
(2010-October-15, Igazu)



集団に不用意に近づくと、蝶たちは一斉に飛び立って文字どおり「蝶の乱舞」となる。

イグアスでの蝶の乱舞は、ネットのブログなどで見てイメージはしていたが、実際に乱舞する蝶たちに囲まれてみると、はるばる南米までやってきた甲斐があったと思う。

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#8: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)

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#9: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)

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#10: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)

d0090322_18494851.jpg
#10: 乱舞する蝶

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The numerous butterflies flying in the air
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)




アキレナモルフォ; Morpho achilaena

オオキチョウの乱舞を撮影後、道に戻ってみると、モルフォチョウが飛んできた。

モルフォチョウはゆうゆうと飛翔し、その点滅するような青い輝きはかなり離れた場所からでもわかるほど強い。初めてこのチョウを見た時には、その貫録十分の大きさと翅の青い閃光に圧倒されてしまい、カメラを構えるのも忘れてただ見送ったものだった。

d0090322_1850725.jpg
#11: アキレナモルフォ

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Morpho achilaena
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Igazu)



そこは蝶道となっているみたいで、モルフォはしばしば訪れてくれた。

彼らはいかにもすぐに静止するみたいにゆっくりと飛ぶが、どっこい、全く止まってくれなかった。そこで、汗だくになりながらモルフォを追い回して飛翔写真を撮影した。まったく、いい年をして何をしているのかとふとおもってしまう。

飛翔写真を分析してみると、このモルフォはアキレナモルフォだった。

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#12: アキレナモルフォ

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Morpho achilaena
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)




虫マニアの漫画家「やくみつる」氏が新婚旅行を兼ねて訪れたボリビアで、アキレナモルフォを夫婦協力して採集したという話を「昆虫少年記」という本で読んだ。アキレナモルフォがウェディングケーキということらしいが、羨ましい話である。

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#13: アキレナモルフォ

.
Morpho achilaena
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)




モルフォというと、レテノールモルフォのように翅全体が青く輝く蝶を思い浮かべるが、アキレナモルフォは青い部分が少ない----でもモルフォはモルフォだね。

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#14: アキレナモルフォ

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Morpho achilaena
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA800
(2010-October-15, Igazu)



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§ Afterword §

虫屋のはしくれである虫林は、今までにもキチョウ、アゲハ類の集団吸水に出会ったことは何度かあるが、これほど多くのチョウが集まったものは経験していない。

モルフォは蝶屋なら一度は憧れる蝶だろう。
このアキレナモルフォは、この日の後にイグアス国立公園内でも何度か見る機会があった。とくにブラジル側のイグアスの滝の前にあるホテルの裏手には個体数が多かった。しかし、こんな時に限って飛翔写真用のレンズを忘れているのだ。まったく、残念だった。

赤い大地の上で見た「黄色い絨毯のようなオオキチョウの集団吸水」と「ジャングルの青い精アキレナモルフォ」は、ブラジルの自然力を感じるに十分な迫力だった。

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至福の時






以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-11-03 18:57 | ● Brazil | Comments(21)

20101015 イグアス散歩 (1):ウラモジタテハと滝

Nature Diary #0356
Date: October 15 (Friday), 2010
Place: Iguazu National Park, Brazil and Argentina
Weather: Cloudy and sometimes fine


<サンパウロからイグアスへ>

あたふたとタクシーでサンパウロ空港に駆け付け、国内線のTAM航空の飛行機に乗ってクリチーバ (Curitiba) 経由でフォス・ド・イグアス (Foz do Iguacu)に移動した。フォス・ド・イグアス到着時、時計の針はすでに夜の11時を回っていた。

フォス・ド・イグアスは国境の小さな町で、サンパウロの喧騒はここにはない。
この町を起点にブラジル側とアルゼンチン側のイグアス国立公園を散歩してみた。



§ Diary §

イグアス川はラプラタ川水系のパラナ川の支流。
その流域には有名な「イグアスの滝」がある。

ブラジルとアルゼンチンの国境にかかる橋から見るイグアス川は、幅が広くゆったりと流れ、これが少し下流で景色を一変させる大瀑布に変わるとは想像もできないほど、どこまでも穏やかで平和な風景を見せていた。

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#1: イグアス川

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Iguazu river
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Iguazu, Brazil)



「イグアスの滝」は5年前(2005年)にも訪れた。

その時の記憶では、想像を絶する水の固まりが数キロにもわたり大迫力で落下し、周りの自然のすべてを飲み込み押し流していた。それは恐ろしいほどの豪快さで、その姿に単なる滝以上の何かを感じたものだ。

そんな恐ろしくも魅惑的なイグアスの滝を、もう一度見てやろうと心に決めてやってきた。

しかし、今回の滝には少しがっかりした。人間に飼いならされてその野生を失ったネコのように少しお行儀よく見えたからだ。思うに虫林は、南米という未知の大陸が持つ計り知れない自然力の象徴をイグアスの滝に思い描いていたのかもしれない。

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#2: イグアスの滝(アルゼンチン側)

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Iguazu fall
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-15, Igazu)



クリメナウラモジタテハ; Eighty-eight (88), Diaethria clymena

雨宿りした建物の壁で、ウラモジタテハを発見した。

ここイグアス国立公園では、ウラモジタテハをしばしば見ることが出来たが、彼らはジャングルの中よりもむしろ人が集まるような場所に好んで棲息しているようにみえた。

もともとウラモジタテハたちは、ジャングルで動物たちとともに生きていたに違いない。しかし、ジャングルが切り開かれ、観光客が入るようになってから、彼らは人に近づいた。今や観光客の周りを飛び回り、人工的な建物の壁で休む蝶になってしまったのだ。

それは堕落ではなく、適応、順応といっておこう。

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#3: 壁に静止するクリメナウラモジタテハ

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An Eighty-eight resting on the wall of the house.
Olympus E620, ZD8mm Fisheye, EC-14, ASA400
(2010-October-16, Argentina)



クリメナウラモジタテハはイグアス国立公園を代表する蝶の一つだ。

この蝶は英名をEighty-eight(Cramer’s eighty-eight)という。いっそのこと和名もハチジュウハチウラモジタテハとした方が分かりやすいかも知れないな。この88の紋は、単なる自然界の偶然といえるものだが、紋が数字に見えるというだけでこの蝶に特別な親しみがわくのだから人間とは勝手なものだ。

ウラモジタテハの姿をみると、南米イグアスまで来たことがしみじみと実感できる。

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#4: クリメナウラモジタテハ

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An Eighty-eight resting on the wall of the house.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Argentina)



ウラモジタテハはなかなか敏感で、翅を十分に開いてくれなかった、しかし、しばらく後を追っていると陽が差した時にしばし開翅してくれた。

この蝶は派手な裏面に比べると、翅表は黒地に青い紋の2色だけで意外に地味にみえる。

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#5: クリメナウラモジタテハ

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An Eighty-eight resting on the house wall.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Argentina)



ブラジル側の滝が一望できる展望台では、一頭のウラモジタテハが観光客の周りを飛びまわり、時おり体に静止したりしていた。そこで、ステレオタイプの発想とは思ったが、イグアスの滝をバックに蝶を撮影してみようと考えた。

しかし、虫林の思惑通りに、滝をバックにした良い場所に蝶が静止するはずもない。30分ほども経過しただろうか、そろそろあきらめかけた時に、展望台の手すりに静止してくれた。

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#6: クリメナウラモジタテハ

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An Eighty-eight resting on the bar
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye, EC-14, ASA400
(2010-October-17, Brazil)



さらに、カメラ片手に汗をかきかきウラモジタテハの後を追っていたら、とうとう自分の腕や指に静止した。この蝶は人の体で汗(塩分)を吸うのがとても好きなのだ。

やっと満足できるウラモジタテハとイグアスの滝のコラボ写真の撮影成功。

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#7: クリメナウラモジタテハとイグアスの滝

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An Eighty-eight resting on my fist in the background of Iguazu fall.
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye, EC-14, ASA400
(2010-October-17, Brazil)



実はこの写真が撮影できたのは、イグアス滞在最終日の午前中で、正午過ぎにはここを離れて空港に向かわなければならなかったので、文字通りのラストチャンスだったといえる。

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#8: クリメナウラモジタテハとイグアスの滝

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An Eighty-eight resting on my fist in the background of Iguazu fall.
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye, EC-14, ASA400
(2010-October-17, Brazil)




キャンドレナウラモジタテハ; Eighty (80), Diaethria candrena

クリメナの88の紋がつぶれているように見えるウラモジタテハを見つけた。

当初はクリメナの個体変異なのだろうと思って気にもかけなかったが、この蝶は別種のキャンドレナウラモジタテハだった。両者は色彩、紋も似ているし、同所的に混在して棲息しているので紛らわしい。

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#9: キャンドレナウラモジタテハ

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An Eighty resting on the wall.
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye, EC-14, ASA400
(2010-October-16, Argentina)



こちらは英名Eighty(80)と呼ばれている。
しかし、8の文字の輪郭があまりはっきりと読み取れないものが多い。

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#10: キャンドレナウラモジタテハ

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An Eighty resting on the wall.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Argentina)



キャンドレナの翅表は、クリメナよりも青い部分の面積が広くなかなか綺麗だった。キャンドレナがクリメナと別種であることは、翅裏よりも翅表をみれば明確だ。

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#11: キャンドレナウラモジタテハ

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An Eighty resting on the ground with the wings opened..
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Argentina)




ウズマキタテハ; Para Mini

ウラモジタテハよりも一回り小さく、黒っぽく見えるウズマキタテハもよく見かけた。性質はウラモジタテハとほぼ同様で、両者は一緒に見られることが多い。

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#12: ヒダスペスウズマキタテハ

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A Para Mini resting on the table
Olympus E-3, ZD8mm Fish-eye, EC-14, ASA400
(2010-October-16, Argentina)

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#13: ヒダスペスウズマキタテハ

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Para Mini.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Argentina)



この蝶の翅表は黒地に大きな赤い紋があってながなが美しい。

昆虫写真家の海野和夫氏によれば、ウズマキタテハの色彩は不思議なことに南米を代表する美麗種ミイロタテハ(Agrias)に良く似ているそうだ。

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#14: ヒダスペスウズマキタテハ

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Para mini
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Argentina)

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#15: ヒダスペスウズマキタテハ

.
Para mini
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-16, Argentina)


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§ Afterword §

今回は5年前よりも少しゆっくりとできたが、ブラジルは雨季に入っていたので、毎日、曇りや小雨の時間が長くて困った。たとえ、蝶が多いといわれているイグアスでも、天気が悪いと蝶たちは一切飛ばないからだ(どこでも同じか)。

でも、陽が差した時には、イグアスも本領を発揮する。

次回のNDでは乱舞する蝶たちとモルフォの飛翔をお目にかけたいと考えているが、帰国後、仕事に忙殺されていてなかなか整理できないでいるのが悩みの種だ。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-10-29 11:21 | ● Brazil | Comments(12)

20101012 ブラジル散歩:サンパウロの虫たち(2)

Nature Diary #0355
Date: October 12 (Tuesday), 2010
Place: Sao Paulo, Brazil
Weather: fine



§ Diary §

サンパウロ植物園では、長野県からブラジルのサンパウロに移り住んですでに40年以上になるという日本人の方と偶然に知り合った。

彼は植物園の内部にとても詳しくて、虫林にアリの巣を見せてくれた。その巣というのはまるで大きな土の塊で(古くて崩れてもいた)、一見するとアリの巣には見えなかった。彼によればこの数倍も大きなものがあるという------驚くほかはない。

アリの巣の大きさを比較するために、彼に巣のそばに立っていただいて撮影した。

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#1: アリの巣

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A nest of ants looking like a castle
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-11, Sao Paulo, Brazil)



植物園の入り口でチャイロドクチョウを見つけた。

この蝶は英名を Julia (学名Dryas julia) という女性名で呼ばれている。
日本ではチャイロドクチョウとして知られているが、この蝶は茶色というよりも綺麗なオレンジ色なので、この味気ない和名では ジュリア Julia が少し可哀そうに思う。

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#2: チャイロドクチョウ Julia

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A butterfly, Julia, resting on the leaf.
Olympus E-3, ZD8mm Fisheye, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo)



ドクチョウの仲間は中南米に特有で、名前のごとく体内にある種の毒を持っている。そのため、天敵である鳥たちはこのチョウを食べないといわれている。

多くのドクチョウは優雅にゆったりと飛ぶが、チャイロドクチョウの飛翔はかなり速くて、近縁のヒョウモンチョウのそれに近いように思えた。

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#3: チャイロドクチョウ

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A butterfly, Julia, resting on the leaf.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo)



エラートドクチョウ(Erato)は地理的変異があって、多くの亜種があるという。

サンパウロで見かけたエラートは、黒地に赤と白い紋がくっきりとしていてとても美しかった。この蝶がひらひらと樹林の間を飛んでいる姿はいかにも南米的だった。

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#4: エラートドクチョウ

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Heliconius erato phyllis
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo)



チュウベイトラフスカシマダラ Multicolorだろうか。
とてもカラフルな模様のスカシマダラチョウが目の前の葉に静止した。

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#5: チュウベイトラフスカシマダラ

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Mechanitis lysimnia
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo)



脚にクリーム色の長い毛を持つヘンテコリンなシジミチョウを見つけた。

日本のムモンアカシジミも羽化直後には脚に灰色の長い毛を持つ。それはおもにアリの攻撃に対する防御のためらしく、羽化後まもなくその毛は取れてしまうという。

この蝶の毛も日本のムモンアカシジミのようにアリとの関係があるのかもしれないな。でも、この蝶は翅の表面が少し傷んでいて、羽化直後の新鮮な個体とはちょっといえなさそうだ。この足の毛は本当に消失するのかなそれとも残るのかな?

現在までのところ、虫林の持っている資料ではこの蝶の名前は同定できていない。

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#6: 足に毛を付けたシジミチョウ(ケアシシジミ)

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A butterfly having legs with long hairs
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo)


注:Yodaさんがこのケアシシジミの正体は、Anteros kupris であることを教えてくれた。ネットで見てみるとやはり脚には長い毛がついていたので、このチョウは羽化直でなくても脚には長い毛を持つ種類みたいです。一応、教えていただいたネットのアドレスも記しておきます。情報を有難うございました。

http://fr.treknature.com/gallery/photo121412.htm


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#7: 足に毛を付けたシジミチョウ (ケアシシジミ)

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A butterfly having legs with long hairs.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo)



面白い模様のメリベアシジミ 英名 Melibeaを見つけた。

このシジミチョウは木漏れ日の差す林の低木で、ちらちらと飛んでは日光浴をしていた。翅の表面は綺麗な瑠璃色をしていたが、残念ながら虫林の前では翅を開いてはくれなかった。

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#8: メリベアシジミ

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A male of Melibea resting on the leaf.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo)




シジミタテハの仲間で英名Red Ribbonという種類かな。実は黒地に赤い紋が入る蝶は南米では複数いるので、この蝶の同定には少し自信がない。

シジミタテハ仲間は東南アジアにもいるが(日本には産しない)、とくに南米で繁栄している。とにかくこれもヘンテコリンな蝶で、セセリに似ていたり、アゲハに似ていたり、もちろんシジミに似ているものもあってなんだか良くわからない。

この蝶もアゲハのようでいてタテハのようでもある。

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#9: 赤いリボン Red Ribbon

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A Red Ribbon feeding on the flower of Lantana
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



ジャングルの中を歩いていたら、突然、足元からヒカゲチョウが飛び出した。

ジャノメチョウやヒカゲチョウの仲間は、ここ南米でも地味なものが多いようだ。しかし、この蝶は翅表に大きなオレンジ色の紋があって、飛ぶとそのオレンジの紋が点滅して美しかった。飛んでいる姿は日本のツマジロウラジャノメに似ていた。

すぐに名前が判明するかと思ったが、種の同定はまだできていない。

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#10: 色鮮やかなヒカゲチョウ

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A butterfly found in the woods.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)


(注:yodaさんとchochoensisさんから、このジャノメはシロオビコバネジャノメ=Pierela nereis nereis Drury であることをご指摘いただいた。有難うございました。)

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#11: 色鮮やかなヒカゲチョウ

.
A butterfly found in the woods.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)




ツノゼミ; Tree hopper

虫林は子供の頃、本の写真などに掲載されている奇妙奇天烈、摩訶不思議、奇奇怪怪な形の角をもったツノゼミの姿にいつも心を躍らせた。

ツノゼミは世界の色々な国で見ることができるが(日本でも)、なんといっても中南米にその種類が多いようだ。今回のブラジル行では是非ともツノゼミを見てみたいと思っていた。ただ、ツノゼミの棲息環境などの情報は皆無なので、探し出せるかは少し不安ではあった。


植物園を散歩しながら、林縁の低木の葉や細い枝先などを見て歩くと、やや大きめの葉の上に小さな黒い虫(大きさ5㎜程度)を発見した。目の悪い虫林ではあるが、その小さな黒い虫はどうやらツノゼミらしいことくらいはわかる。・

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#12: 葉上のヨツコブツノゼミ

.
A treehopper having a big horn
Olympus E3, ZD35mm, EC-14, ASA400, Flash(+)
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



そこで、カメラに35㎜マクロレンズおよびテレコンバーター(1.4倍)を取り付けてフラッシュをたいて撮影してみると、その小さな虫はまさしく憧れの「ヨツコブツノゼミ」だった。ヨツコブツノゼミは最も会いたかったツノゼミだ-----嬉しい。

まるで、想像上の昆虫のような亜面白い角をしている。

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#13: ヨツコブツノゼミ

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A treehopper having a big horn
Olympus E3, ZD35mm, EC-14, ASA400, Flash(+), Trimming (+)
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



ヨツコブツノゼミはみればみるほど面白い形をしている。

こんなに大きくてヘンテコリンな角を頭の上につけているのは何のためだろうか。
この角をつけて、バランスをとって本当に飛べるのだろうか。

そんなことを考えていたら、ピンと飛んで目の前から消えた。

d0090322_4512280.jpg
#14: ヨツコブツノゼミ

.
A treehopper having a big horn
Olympus E3, ZD35mm, EC-14, ASA400, Flash(+), Trimming (+)
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



ヨツコブツノゼミで勢いを得たので、その他のツノゼミも探してみた。

左上:アブドブリサボシツノゼミ、
左下:ツノゼミの1種、
右上:シロスジカブトツノゼミ、
右下:ツノゼミの1種

シロスジカブトツノゼミは少し大きくて1cm前後あるが、その他は5-7mmといった小型である。

d0090322_4513790.jpg
#15: ツノゼミの仲間たち

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Treehoppers
Olympus E3, ZD35mm, EC-14, ASA400, Flash(+), Trimming (+)
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)


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§ Afterword §

ブラジルから帰国してから時差ボケ(現地との時差12時間)がぬけず夜眠れない。
でも、眠れない夜にはブラジルでの写真を整理しながらND(Nature Diary)を書いています。

今回で、サンパウロでのフィールド散歩の記事を終了します。サンパウロでは他にも何種類かの蝶たちを撮影しているが、それらは冬の間にでも気が向いたらアップしたい。


次回からいよいよ本命の散歩道イグアス国立公園での記事になります。




以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-10-23 05:10 | ● Brazil | Comments(24)

20101012 ブラジル散歩:サンパウロの虫たち(1)

Nature Diary #0354
Date: October 12 (Tuesday), 2010
Place: Sao Paulo, Brazil
Weather: fine



帰国しました。
サンパウロとイグアスでそれぞれ撮影した昆虫たちをブログでアップしていきたいと思います。


§ Diary §

ブラジルはこの時期雨季に入ったところだ。

サンパウロに滞在してから数日経つのに曇り空と小雨で肌寒い日が続いていた。
まあその分、本来の目的である国際学会に専念できるので、悪天候それ自体はけっして悪くはない。しかし、虫屋の虫林にとってこの天気はいただけない。

そんな虫屋を神様は不憫に思ったのだろうか、本日は朝起きると晴れていた。

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----#1: 朝のサンパウロ

----- A landscape of Sao Paulo at sun rising time
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



調べてみると、ホテルから車で15分ほどに 「サンパウロ植物園 Jardim Botânico de São Paulo」 があった。これなら、学会のセッションの合間に散歩したりできる。

早速、タクシーで訪れてみると、そこは広い敷地の公園のようで、散歩道が良く整備されていた。嬉しいことには一番奥に自然の亜熱帯林もあって、そこには樹林の中を歩くための木道まである。湿った土と木々の匂い、緑の林は遠路はるばる訪れた虫林を癒してくれた。
入場料はブラジル通貨で3レアル(日本円にすると130円くらい)だ。

ウーム、虫屋の血が騒ぐ。

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----#2: サンパウロ植物園

---- The botanical garden of Sao Paulo
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-12, Sao Paulo)



ゆっくりと歩いていると、突然、尾の長いアゲハが飛来して木の枝に静止した。

あわてて近づいてみると。その蝶は長い尾をもち、一見アジアのオナガタイマイの仲間に姿が似ていた。このアゲハは ゼブラアゲハの一種らしい。この仲間は南米ではよく発達しているということだ。

d0090322_1501491.jpg
----------#3: 木の枝で休むゼブラアゲハ
. Zebra Swallowtail
----------Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
----------(2010-October-12, Sao Paulo)



このアゲハチョウは純白の地に黒い線状紋をまとい、上翅端は透明で基部は緑色を配し、翅裏には赤い紋のアクセントをつけていた。尾状突起は細くて長い。南米の派手な蝶というイメージからは少し異なり、どこか上品で繊細な印象を受けた。

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--------------------------#4: 木の枝で休むゼブラアゲハ
. Zebra Swallowtail
-------------------------Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
-------------------------(2010-October-12, Sao Paulo)

d0090322_1504276.jpg
--------------------------#5: 木の枝で休むゼブラアゲハ
. Zebra Swallowtail
------------------------- Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
-------------------------(2010-October-12, Sao Paulo)



広い公園の中でも蝶たちが多い場所がある。

そこは自然状態の亜熱帯林に入る手前の小さな湿地で、まるで集会所か何かのように色々な種類の蝶たちが集まってきて、葦のような少し背が高い草の葉上で日光浴していた。ここでは、労せずして10種類以上の蝶たちを観察できた。

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---#6: 湿地
. Marsh
----- Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



綺麗なタテハが、葉上で日光浴をしていた。

この蝶はその後色々な場所で見かけたので、ブラジルではポピュラーな種類なのだろうと思っていたが、実はほとんど同じような色彩、紋のタテハチョウは数種類あるみたいだ。なぜこんなに類似したタテハチョウがいるのか不明だ。

このタテハはSerpa (Adelpha serpa serpa)という名前で、アカタテハほどの大きさだ。翅に大きな白い紋とその上部にオレンジの紋がよく目立って美しかった。

d0090322_1511150.jpg
#7: タテハの1種Serpa (Adelpha serpa serpa)

.
A Serpa basking on the leaf with the wings opened.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)

d0090322_1512575.jpg
#8: タテハの一種Serpa (Adelpha serpa serpa)

.
A Serpa basking on the leaf with the wings opened.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



目の前の葉に大きなセセリが静止しるのを発見。

全身が茶色で地味な色合いのものだと思い、大胆に後ろに回り込んでみたところ、翅の基部の輝くように鮮やかなメタリックブルーの大きな紋が目に飛び込んできた。

なんという配色なのだろうか-----思わず息を飲んだ。

この蝶のポルトガル名は Brillante、英名をFlashy というらしい。どちらも光り輝くという意味だろう。たしかにこの青の輝きはとても印象的だった。

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#9: 青い翅のセセリFlashy (Astraptes fulviluna)

.
A Brillante basking on the leaf.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)

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#10: 青い翅のセセリFlashy (Astraptes fulviluna)

.
A Brillante basking on the leaf.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



この公園でもランタナの花が咲いていた。

東南アジアでこの花はとても強く蝶たちを引きつけるので、この花を発見するととても嬉しい。しかし、南米では期待したほどの誘因力はなさそうだ。

この綺麗な蝶は、英名を 赤い姫 Red Princess (Anartia amthea roeselia)と呼ばれ身近な蝶の一つだろう。決して少ないチョウでないことは確かだが、地球の裏側のアジアからはるばるやってきた虫屋には、その色彩や模様の美しさ、形態の面白さだけが目に映るのだ。


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#11: 赤いプリンセス Red Princess

.
A Red Princess resting on the leaf with the wings opened.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



湿地では、葉上で小さな青いタテハを見かけた。
この蝶は小型で、英名はBlind Dropと呼ばれている。

大きさは日本のサカハチチョウよりも少し小さいほどだ。普通種のようで、後日に訪れたイグアスでは多数の本種が水たまりに集まっているのを何度も見かけた。

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#12: 青い小さなタテハBlind Drop

.
A blind Drop perching on the leaf with the wings opened.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)

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#13: 青い小さなタテハBlind Drop

.
A Blind Drop perching on the leaf with the wings opened.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



この公園では、尾の長い大きなセセリ(英名:Simple Long Tail)をしばしば見ることができた。とくにランタナの花に多く見られたが、動きが激しいためか長い尾が途中で折れているものが大部分だった。

派手な蝶がお目当ての虫林はあまり本気で撮影しなかったが、学会後に訪れたイグアス国立公園ではとうとう本種を1頭も見ることができなかった。やはり、見知らぬ町ではどんな種類の蝶でも丁寧に撮影しておくべきだな----いつも後でそう思う。

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#14: 尾の長いセセリSimple Long Tail

.
A Simple Long Tail feeding on the flower.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



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§ Afterword §

虫林は外国の町では、そこの植物園を訪ねてみることが多い。そこにはその国固有の植物や花などを見ることができるし、蝶やその他の昆虫も期待できるからだ。また、何と言っても植物園はとても静かで、訪れる人もとりわけ少なくゆっくりとできるのが良い。

サンパウロは晴れると、今までのどんよりとした景色がまるで嘘のように、すべてが輝きを増し、人々の姿も生き生きとして見えた----やはり亜熱帯の街だった。

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#15: サンパウロ植物園にて


「サンパウロ植物園の虫たち」はもう一つアップしてみたいと思います。



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-10-20 01:57 | Comments(16)

20101009 ブラジル散歩:サンパウロの街角にて

Nature Diary #0353
Date: October 09 (Saturday), 2010
Place: Sao Paulo, Brazil
Weather: Cloudy and rain



まだ、ブラジルに滞在中です。
でも、サンパウロの第一弾をアップしておきます。


§ Diary §

遠い南米の国ブラジル(サンパウロ市)に学会出張。


トランジットで立ち寄ったアトランタ空港では、突然に思い立って日本円をドルに替えた(現在、円が高騰して1ドル82円)。南米では何ていったって日本円よりも米ドルを持っている方が安心だし便利だからね(お土産屋やタクシーでは米ドルもOKらしい)。

ロビーの椅子に腰かけて、ノンビリ、ボンヤリ、ホッコリと沈みゆく夕日を眺めた。
ウーム、まだまだ 「旅の途中」、目的地ははるか先。

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-----#1: 夕暮れのアトランタ空港
. A landscape of sunset time at Atlanta airport in US.
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-08, Atlanta,US)



アトランタからさらに9時間もかけて、やっととサンパウロ国際空港(別名グアルューリョス空港)に無事到着した。

ここは地球の裏側、南半球。
昼夜逆転(時差12時間)、季節は春。

♪♪思えば遠くに来たもんだ~♪♪

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-----#2: サンパウロの風景
. A landscape of Sao Paulo
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



ホテルの窓からサンパウロ市を見渡すと、民家の向こうに高層ビルが立ち並ぶ。

現在のブラジルは、世界でも発展著しい国 (BRIC)の一つと見なされている。とくにサンパウロは南米一の大都市なのだ。でも、中国の都市に見られるような土地開発や道路工事、雨後の竹の子のようなビル建設などの光景はここサンパウロでは見かけなかった。

以前、ポルトガル領だったためだろうが、西欧的な落ち着いた街に思える。

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-----#3: サンパウロの町並み
. New buildings and old houses in Sao Paulo
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



曇り空ではあったが、サンパウロの街中を散歩してみた。
外の気温は意外に低くて、上着が無いと肌寒く感じるのには驚いた。

実際、道路の「気温情報」を見ると、もう昼近くなのに14℃しかなかった。


知人の知人であるサンパウロ在住の人に「サンパウロの今頃はいつもこんなに寒いの?」と尋ねたら、「標高が600mほどもあるので寒いときは寒い」という返事が返ってきた。どうやら、この寒さは異常気象ではなさそうだ------ガイドブックの嘘つき!

こう寒いと、蝶はまったく飛ばず、他の昆虫たちも姿を見せてくれないだろう。
そして、虫たちとともにこの虫林も元気がなくなるのだ------勝手にしなさい。

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-----#4: 気温情報
. Temperature information on the road.
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



サンパウロの町のあちらこちらで満開の青い花を見かけた。
「ジャカランダの花」だ。

このジャカランダはブラジルの国樹で、今回の訪問では是非ともそれが咲く様子を撮影してみたいと思っていた。春のブラジルで咲き誇る青いジャカランダの花は、日本の「桜」に匹敵するといわれている。

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------#5: ジャカランダの花
. National flower: Jacaranda mimosifolia
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



満開のジャカランダの青い花はとても鮮やかで目にしみる。
原色を好む南米の人々にこの花が愛される理由が何となく理解できるな。

このジャカランタは世界の三大花木の一つになっているらしい。ちなみに三大花木とは、ジャカランダ(紫雲木)、ホウオウボク(鳳凰木)、カエンボク(火焔木)ということだ。さらに四大花木までも提唱されているらしいが誰が選んでいるのだろうか?

選ぶのが虫林なら、春を知らせる「コブシの花」を入れたいな。

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-----#6: ジャカランダの花の下を走る人
. A jogger running under the Jacaranda tree
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



ジャカランダの花色は紫と表現されているが、紫は紫でもかなり青味がかっている。

ところが、この花色を写真で再現するのは極めて難しい。オリンパスでは青が強くのってしまうので、下の写真はレタッチソフトで少し赤味を加えている。それでも、実際の花の色とは微妙に異なるような気がしてならないのだ。

多分、他の会社のカメラでも、青やピンク系の花色の再現は容易ではないだろう。

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-----#7: ジャカランダの花
. Flowers of Jacaranda mimosifolia
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



サンパウロ市内には大きなバニアンの木が多い。

このバニアンの木は、南の国のシンボルみたいにどこでも見ることができる。したがって、この木を見ると南国に来たことが実感できるのだ。

公園はもちろんのこと道路脇などに見かけるが、この木は気根というものを出して、大きくなるのでその存在が目立つようだ。下の写真のものではまだまだ大木とはいえない。

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-----#8: バニアンの木
. A banyan tree with Tyurin
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----((2010-October-09, Sao Paulo)



大きくなると気根の1本1本がそれぞれ木になって、下の写真のように何本もの木が連結いるようになる。この様子を初めて見たときはとても不思議な気がしたものだ。

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------#9: バニアンの木
. A banyan tree in Sao Paulo
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



大きな木の幹に、結婚前のカップルの名前、恋人の名前あるいは恋い焦がれる人の名前が刻まれていた(想像だが、多分そうだよね)。心をこめて樹皮に刻んだ若者たちの熱い思いを、微笑ましくそしてうらやましく思うのだ------グッドラックだね。

木の幹に好きな人の名前を彫るのは古来より万国共通(?)のことなのだ。

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------#10: 樹皮に掘る名前
. Names of lover in the tree skin
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
------(2010-October-09, Sao Paulo)



散歩していると、ヤシの実を売る露店を見つけた。

今までヤシの実のジュースを飲んだことが無かったので1個注文してみた。値段は2レアルなので、日本円にすると100円ほどになる。注文すると、器具を使ってすぐに穴を開けてストローを差し込んでくれた(器具の衛生状態が少し気になったけど目をつぶろう)。

味は思ったよりも癖が無くて、さわやかな甘さだった。

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-----#11: ヤシの実を売る露店
Coconut shop
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)

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-----#12: ヤシの実のジュース
. Coconut juice
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



サンパウロの犯罪発生率は、東京よりも20倍高いと聞いた。でも、知人の知人であるサンパウロ在住の日本人に聞いてみたところ、現在のサンパウロ市内の治安は昔に比べるとかなり良くなりそれほど心配することはないそうだ。

現在、ブラジルの中で最も危ない都市はリオデジャネイロだという。


住宅地の家を観察してみると、出入り口や窓という窓には鉄格子が付けられていた。また、塀の上にトゲ付ワイヤーが巻かれていることも多い----とても厳重な防犯対策。

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------#13: 鉄格子で防御された家
. Houses protected by iron bars
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



公園を散歩してみると、しばしば警察官を見た。
犯罪に対する危機管理が強く感じられたので安心だった。

ちなみに、下の写真のお巡りさんの乗り物は、パトカーならぬパト‐マウンテンバイクだ。
日本のお巡りさんが町内を巡回するのに普通の自転車(通称ママチャリ)でも悪くはないが、マウンテンバイクかロードランナーにすれば気合の入り方も違うかもしれないぞ。

サンパウロの「チャリポリス」はなかなか格好が良かったな。

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-----#14: マウンテンバイクに乗る警察官
. Policemen riding on the mountain bike
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)



タクシーに乗っていた時、あろうことか前を走る車が追突事故を起こした。

事故ために車が渋滞すると、物売りの人や車の窓を拭く人たちがどこからともなく集まってきた。まるで、動物の落し物(糞)に集まってくるある種のコガネムシみたいだ。サッカーボールをいくつも抱えたオジサンがこちらにやってきて、窓からタクシーの運転手に綺麗なボールを1個渡した。どうやら、この両者には協力関係が出来ているようだ。

運ちゃんがこのボールを買うか?----とこちらに尋ねた(ポルトガル語だがわかる)。
当然、買わないと首を横に振った。

「ボール売りオジサン」は悲しそうな顔をして、何やらブツブツ言いながら去って行った。
                          
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-----#15: ボール売りのオジサン
.A chap selling succor balls.
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-09, Sao Paulo)





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§ Afterword §

ブラジルはやはり遠かった。

成田-アトランタ間の飛行時間:12時間20分
アトランタでのトランジット:6時間20分
アトランタ-サンパウロ間の飛行時間:9時間40分
結局、我が家からのトータルは?----ウーム、長すぎて計算ができない(アホ)。

でも、サンパウロでの学会も無事に終了したので、現在(16日)はフォスド・イグアスという町にいます。ここからはアルゼンチン側とブラジル側のイズアスの滝国立公園に簡単にアクセスできます。

ホテルのネットが使えるので、サンパウロの第一弾をアップしました。

昆虫写真は、後日、調べてからアップしたいと思います。
こうご期待!



以上、 by 虫林花山
by tyu-rinkazan | 2010-10-16 09:20 | ● Brazil | Comments(6)