夏の季節だと、まるでハンターのように虫を追い求めてしまい、周りの風景などを愛でる余裕もなくなるが、この時期(真冬)のフィールド散歩は、精神的にものんびりできるし、また撮影機材も少なくて済むので、肉体的にも楽なのだ-----と強がりをいってはみるが、やはりナチュラリストにとっては花が咲き虫が飛ぶ春・夏が恋しいものだ。
 先日、いつもご一緒させてもらっている友人と一緒にオオムラサキの越冬幼虫を探した。そこは市街地からほど近い谷地(谷戸ともいう)で、田んぼの周りにはコナラ・クヌギの雑木林が広がり、いわゆる「里山の原風景」が今でも残っている。憩いの場所だ。
****************************************************************************************************

Nature Diary Vol.13 (774): #05, 2019

ほとんどの生物がじっとしている冬なのに、猿の群れが林道を横切り、慌ただしく斜面を登っていった。サルたちを気にしながら小川に続く小道を下り、古い橋を渡ると雑木林にでる。そこにある一本の大きなエノキの木は「ご神木」のようなもので、オオムラサキの越冬幼虫が多い。
 枯れ葉で厚く覆われた木の根元で、友人と競いながら枯れ葉をめくると、ほどなくオオムラサキの越冬幼虫を見つけることができた。

d0090322_11374141.jpg

----オオムラサキの越冬幼虫 (山梨県北杜市、2019年01月)



d0090322_11375721.jpg

----オオムラサキの越冬幼虫が多いエノキ (山梨県北杜市、2019年01月)



d0090322_11380845.jpg
d0090322_11381914.jpg

----オオムラサキの越冬幼虫 (山梨県北杜市、2019年01月)



虫眼鏡ノート

このようなのどかな里山にも、虫食いのように太陽光パネルが並んでいる。地主にしてみれば、コストパフォーマンス的に雑木林より良いに違いないが、里山の雑木林が切り開かれ、ぺんぺん草も生えない太陽光パネルの設置は景観を著しく損ね、我々のようなナチュラリストにとっては自然破壊以外の何者でもないのだ。日本には「里地里山法(2011年施行)」というのがあるらしいが、何とかならないものだろうか。


Written by 虫林花山



# by tyu-rinkazan | 2019-01-11 11:40 | ▣オオムラサキ | Comments(1)
There is always light behind the cloud” これはLouisa May Alcottの言葉で、日本語に訳すと「雲の向こうはいつも青空」となる。つまり、「失敗の後はかならず成功があるよ」なのだ。この言葉を今年の年賀状の文面に是非使おう!と意気込んだが、いざ印刷しようとしたら突然プリンターが壊れてしまったのだ(ということで、まだ年賀状を出していない)-----何とも言い訳がましいね。ネバーマインド、「雲の向こうはいつも青空」なのだ、年賀状の失敗のこと、原稿執筆の遅れのこと、メタボのことなど忘れて、本日は今年最初のフィールド散歩に出よう。ちなみに「雲の向こうはやっぱり雲」にならないようにね。
****************************************************************************************************

Nature Diary Vol.13 (772): #03, 2019

今年初めてのフィールド散歩は、昆虫写真家の山口進さんと一緒にフユシャクのメスを探してみることにした。フユシャクが観察できる桜並木は丘の上にある。車を止めて、道路わきに並ぶ桜の幹を丹念に見ていくと、数頭のメスを見つけることができた。ここからの景色は最高で、甲府市の町の向こうに富士山が一望できる。そこでフユシャク撮影の背景に市街地と富士山を入れて撮影することにした。これが結構難しく、絞りを入れ、露出をマイナス補正し、LEDなどライティングした。一枚の写真の裏に努力あり!

d0090322_18124441.jpg

----イチモンジフユナミシャク雌 (山梨県甲府市、2019年01月)


見つけたのはイチモンジフユナミシャク:Operophtera rectipostmedianaで、体長は1センチに満たず、体全体に毛が密生し、体長の半分ほど小さな翅をもっている。このフユシャクのメスは、長い脚を持ち、少し指で刺激するとけっこうなスピードで歩く。そっと掌の上に乗せてみると、とても軽くて、風が吹くと飛ばされてしまう。

d0090322_18125996.jpg
d0090322_18131759.jpg

----イチモンジフユナミシャク雌 (山梨県甲府市、2019年01月)



虫眼鏡ノート

真冬に出現するフユシャクガのメスは口が無いうえに翅まで退縮して飛ぶこともできない。昆虫には口が無いものや退縮して痕跡程度のものが結構多い。これらの昆虫たちは、交尾、産卵し子孫を残すこと以外の機能はすべて省かれ、おしなべて短命である(カゲロウは数時間の命)。さらに、口が無いということは、体の中の消化器系、泌尿器系の器官なども必要が無くなり、同時に欠如ないしは退縮しているに違いない。ヒトで考えるならば、お腹の中身が空っぽであることを意味する。自然界とは驚きだね。


Written by 虫林花山



# by tyu-rinkazan | 2019-01-04 18:20 | ■他の昆虫 | Comments(3)
DIARY Vol.13 (771): #02, 2019

このところ、食事の量が増え、運動量が減り、必然的に体重が増える。年末年始の「不健康シークエンス」だ。ウーム、このままでは体によくないな。そうだ「シモバシラ」を見に行こう。ここでいう「シモバシラ」とは、いわゆる冬の地面の霜柱ではなくシソ科の多年草のことだ。この植物は冬になって気温が下がると枯れた茎に氷ができるのが面白い。命名者はこの氷でシモバシラと名付けたらしいが、同名異義は紛らわしいな。

d0090322_18414669.jpg
d0090322_18420283.jpg
d0090322_18430512.jpg
d0090322_18434614.jpg

----シモバシラの氷 (2018年12月)



シモバシラがみられる日陰に白く輝くものがあった。近づいてみると越冬するウラギンシジミだった。こんなシモバシラの氷がみられる寒い場所では越冬は無理かもしれないな。
d0090322_18440108.jpg

----ウラギンシジミ (2018年12月)



Notes
一眼ないしは一眼レフカメラで等倍以上の撮影は、三脚、補助も必要になり物々しいばかりではなく難しくもある。等倍以上の撮影では、オリンパスのTough TGは手軽だし使いやすいので重宝している。特に近年は機材をダウンサイジングしたいと思っているのでTG使用は合目的だと思う。これまでTG3を5年も使用してきたが、さすがに本体は傷が目立ち、モニターも見難くなってきた。そこで年末にTG5を購入した。今回使用してみて、LEDや広角レンズをつけたときに、TG5ではストッパーがついていて安心だった。

# by tyu-rinkazan | 2019-01-02 18:45 | ■野花 | Comments(1)

2019年元旦 A HAPPY NEW YEAR

DIARY Vol.13 (770): #01, 2019 :

謹賀新年

旧年中はいろいろとお世話になりありがとうございました
本年もよろしくお願い申し上げます
平成三十一年 元旦

d0090322_00244912.jpg
d0090322_00104425.jpg

----ボルネオ島にて (2018年5月)


d0090322_00105741.jpg

----マレーシアにて (2018年5月)


d0090322_00111418.jpg

----マレーシアにて (2018年5月)


Notes
虫林花山のブログ”Nature Diary”も今年で13年目に入りました。ずいぶん長くやってきたものです。しかし、昨年は大学を定年退職して、仕事場を変えたこともあり、これまで毎週更新してきたブログを8月以降は更新ができませんでした(Facebookはやっていたが)。こんな長期の休止はブログ開設以来初めてのことでした。
 今年は以前よりも時間的余裕がありそうなので、Nature Diaryの充実を楽しみたいと思っています。

# by tyu-rinkazan | 2019-01-01 00:20 | ● Malaysia | Comments(6)

DIARY Vol.12 (769): #13, 2018 :

このところの暑さで、虫好きの虫林は“虫の息”です。
オオゴマシジミは、大きなブルース(青色の蝶)ですが、翅表の青色は青というよりも空色に近くて独特の美しさある。また。そこに点在する黒紋の範囲が個体や地域によって異なるのが面白く、今回訪れた北アルプスの棲息地は、黒化した個体が出現するらしい。オオゴマシジミの棲息地は近年急減していて、簡単に出会える蝶ではなくなったが、今回は、虫友にご案内いただき、北アルプス山中のオオゴマシジミの撮影にチャレンジしました。

オオゴマシジミ
到着するとすでに何頭かのオオゴマが飛び回っていました。一頭の新鮮な雌が葉上で開翅してくれたので、G9のバリアングルファインダーを用いて上から撮影できました。みると後翅の青紋が著しく退縮して黒っぽくみえる。この地域の特徴かな。

d0090322_22520477.jpg

----開翅するオオゴマシジミMaculinea arionides 雌の黒化型?


出現したオオゴマはハナウド、クガイソウ、サラシナショウマの花で吸蜜してくれた。

d0090322_22523522.jpg
d0090322_22524755.jpg
d0090322_22530014.jpg
d0090322_22535043.jpg


d0090322_22544849.jpg

----オオゴマシジミMaculinea arionides




6Kプリ連射のトライアル。意外に簡単だったが、あまり欲張ってはいけない。

d0090322_22550116.jpg
d0090322_22551189.jpg




Notes


**********



# by tyu-rinkazan | 2018-08-04 23:15 | ▣オオゴマシジミ | Comments(2)
DIARY Vol.12 (769): #13, 2018 :

<オウシツノゼミLeptocentrus taurus>
オウシツノゼミは東南アジアに広く分布していますが、どういうわけかこれまで1度しかお目にかかっていませんでした。今回のCat Tienでは、天候なあまりよくないので、ツノゼミ探しをしてみたところ、背が高い草の茎に本種をしばしば見ることができました。オウシツノゼミは、水牛のように長い角を持つ立派なツノゼミですね。


d0090322_08231403.jpg
----オウシツノゼミLeptocentrus taurus
----
(July-14-2018, Cat Tien National Park, Lumix DC-G9 + Lumix G Maco 30mm)


d0090322_08233002.jpg
----オウシツノゼミLeptocentrus taurus
----
(July-14-2018, Cat Tien National Park, Lumix DC-G9 + Lumix G Maco 30mm)


d0090322_08234851.jpg
d0090322_08240353.jpg
----オウシツノゼミLeptocentrus taurus
----
(July-14-2018, Cat Tien National Park, Lumix DC-G9 + Lumix G Maco 30mm)


Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2018-07-19 08:25 | ● Vietnum | Comments(1)
DIARY Vol.12 (768): #12, 2018 :

<嗚呼!カテイエンは今日も雨だった>
Cat Tien National Parkは、ホーチミン市の北150㎞に位置し、ベトナムに残る最も広大な低地熱帯雨林といわれています。公園内には宿泊施設ありますが、残念ながら宿泊する時間的余裕はありません。なんとか数時間だけでも熱帯雨林の中を歩いてみることにしました。しかし、ベトナムは雨期なので、時々目も開けていられないような雨が降。

それでも、雨の合間に綺麗なアオスソビキアゲハが撮影できました。この小さなアゲハチョウは、東南アジアの熱帯雨林では時々見かけるが、尾が長くてとてもフォトジェニックです。


d0090322_08261140.jpg
----アオスソビキアゲハ Lamproptera meges
----
(July-01-2018, Kofu, Lumix DC-G9 + LEICA DG 50-200mm)


d0090322_08262241.jpg
----アオスソビキアゲハ Lamproptera meges
----
(July-01-2018, Kofu, Lumix DC-G9 + LEICA DG 50-200mm)


Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2018-07-17 08:27 | ● Vietnum | Comments(1)
DIARY Vol.12 (765): #11, 2018 :

<The Fungus of Terror>
昔の東宝特撮に「マタンゴ」というのがあります。この映画は南海の孤島に繁殖するキノコを食べた人間の体が次々に醜くデコボコ化してしまうというものです。このアトコブゴミムシダマシは、サルノコシカケを食べる甲虫で、キノコを食べてマタンゴ化してしまったのだろうか。

d0090322_06295462.jpg
----アトコブゴミムシダマシ Phellopsis suberea
----
(July-01-2018, Kofu, Lumix DC-G9 + LEICA DG 12-60mm + Flash)


d0090322_06301389.jpg
----アトコブゴミムシダマシ Phellopsis suberea
----
(July-01-2018, Kofu, Lumix DC-G9 + LUMIX G MACRO 30mm + Flash)


d0090322_06302319.jpg
----アトコブゴミムシダマシ Phellopsis suberea
----
(July-01-2018, Kofu, Olympus Tough TG3)


Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2018-07-09 06:31 | ■甲虫 | Comments(1)

DIARY Vol.12 (766): #10, 2018 :


<キリンのような虫>
山の上のアブラチャンの葉の上でヒゲナガオトシブミを見つけた。この虫は長い触角を持つので、ヒヒゲナガという和名が付いています。でも、この虫はキリンのように首が長いので、クビナガオトシブミと呼びたくなってしまいます。

d0090322_11431145.jpg
----ヒゲナガオトシブミ Paratrachelophorus longicornis
----
(July-01-2018, Kofu, Lumix DC-G9 + LEICA 30mm Macro + Flash)


Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2018-07-08 11:43 | ■甲虫 | Comments(0)

DIARY Vol.12 (765): #09, 2018 :


<ヒカゲ(日陰)者>
ヒカゲチョウの仲間は「ヒカゲ(日陰)者」と呼ぶらしい。ウラジャノメは高原の住人(住蝶?)で、翅に並ぶ大きな蛇の目紋は特徴的だ。僕の好きな蝶の一つで、この蝶を見るとカメラを向けてしまう。ヒカゲ者には何とも言えない魅力がある。


ウラジャノメ


d0090322_09460344.jpg
----ウラジャノメの開翅
----
(July-01-2018, Kofu, Lumix DC-G9 + LEICA 50-200mm)




Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2018-07-07 09:46 | ▣ウラジャノメ | Comments(2)

My Photographic Adventures


by 虫林花山
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28