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Nature Diary Vol.13 (779): #10, 2019

<丘の頂上の吹き上げ>丘の上で「吹き上げ」の昆虫たちを待っていると、ビートルズの歌「Fool on the hill 丘の上の阿呆」を思い出す。Day after day, alone on the hill で始まるこの歌は、丘の上で何かをひたすら待つ変人のことを歌っている。この歌の変人(阿保)って、もしかして吹き上げで虫を待つ虫屋のことかも?

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キアゲハ春型 Papilio machaon

明るいコナラ林の中の小道を友人たちと歩いていくと、やっと頂上に出た。そこからは町並みが一望でき、涼しい風が吹き抜ける。腰を下ろして汗をぬぐっていると、目の前にキアゲハやアゲハがテリトリー争いをしていた。飛翔力ではキアゲハが勝っているのだろうか、空中戦の後に残るのはキアゲハのようだ。久しぶりに飛翔写真を撮影することにした。ここは「吹き上げ」でいつも昆虫たちが集まる。

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▶飛翔するキアゲハ

Kofu, April-13-2019, Canon EOS 5D MIII, EF16-35mm F2.8 L II USM




ミヤマセセリErynnis montanus

時々小さな黒いチョウが飛び出す。ミヤマセセリだ。虫林はこの蝶を見ると春が実感できる(春告チョウ)。数はかなり飛んでいるけどいっこうに止まってくれないのが思わせぶりだ。丘の頂上に咲く桜の花にミヤマセセリのメスが吸蜜に来ていた。ミヤマセセリはオスよりもメスのほうが艶やかで綺麗だ。

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▶桜の花とミヤマセセリ雌

Kofu, April -13-2019, Canon EOS 5D MIII, EF100mm F2.8 L Macro


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▶桜の花とミヤマセセリ雌

Kofu, April -13-2019, Canon EOS 5D MIII, EF100mm F2.8 L Macro


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▶ミヤマセセリ雄

Kofu, April -13-2019, Canon EOS 5D MIII, EF100mm F2.8 L Macro




キスジコガネ Phyllopertha irregularis

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▶キスジコガネ

Kofu, April -13-2019, Canon EOS 5D MIII, MP-E65mm F2.8 L Macro




虫眼鏡ノート

4月に入って春本番といっても虫林にとっては花粉症の時期で鼻がむずむず目もかゆい。それでなくともレイジーな虫林はさらにボーとしてやる気がなくなる。いっそのこと、この時期は日本を逃げ出して海外に行きたいと思うが------実はヨーロッパやアメリカにも花粉症はある。友人からの花粉が無い新品種のスギ(無花粉スギ)やヒノキ(無花粉ヒノキ)が開発されたことを聞いた。また、無花粉スギの遺伝子も発見され、交配の幅や可能性が広がっているらしい。ありがたいことだが、スギにとってはどうなんだろう。

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Written by 虫林花山


# by tyu-rinkazan | 2019-04-20 11:03 | ▣キアゲハ | Comments(0)


Nature Diary Vol.13 (778): #09, 2019

ゲンカチャン国立公園(Kaeng Krachan National Park)は、数多あるタイの国立(自然)公園のなかで最も広く、生物多様性の宝庫。ナチュラリストを自認する虫林にとっては思望の散歩道だった。ウーム、ここで「虫見トレッキング」できるのであればそれ以上に何を望もうか。しかし、残念ながら現在はトレイルが工事中のため、途中までしか入れないとのこと------ネバーマインド!

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小川の岸の「蝶たちの水飲み場」にて

綺麗な水がトレイルを横切って流れる小川の岸に「蝶たちの水飲み場」があった。そこは砂地で到着したときはシロチョウ20頭ほどが集まっていた。そこで、ペットボトルに貯めたオ〇ッ〇(自前)を撒いてみたところ、アゲハ、タテハの仲間も加わって100頭をこえる大集団になった-----やはり僕のナニは集蝶効果があるな。ちなみに虫林は糖尿ではない。

同行の友人たちが地面に寝転ぶように(実際、寝転びながら)撮影している姿をみると、「あの~そこは僕のナニを撒いたんですけど-----」と一言注意しようとは思ったが最後まで言い出せなかった。まあ、たとえ注意したところで、「あっそ、何か問題?」と一蹴されてしまうに違いないけどね。そういう人たちなのだ。

<吸水集団の構成種>
タイリクアサギシロチョウ (Common Wanderer)、
フトヘリキシタシロチョウ (Orange Gull)、
ウスキシロチョウ (Lemon Emigrant)、
スジグロマダラシロチョウ (Redspot Sawtooth)
モンキアゲハ(Red Helen)、
ミカドアゲハ(Common Joy)、
ナガサキアゲハ(Great Mormon)、
アリステウスオナガタイマイ (Chain Swordtail)

これはゲンカチャンの自然力の大きさを示しているといえよう

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▶チョウの集団吸水

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>



吸水集団におけるチョウたちの人口密度ならぬ「蝶口密度」が高く、まるで「押し競まんじゅう状態」。後から加わるチョウは、他の蝶を押しのけるように押し入るみたいだ。

体力勝負の世界かな。

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▶チョウの集団吸水は「蝶口密度が高い」

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶アゲハの仲間

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>


フタオチョウの仲間

この吸水場ではフタオチョウも撮影できた。初めて見たフタオチョウの姿は、想像を超えて大きく(日本のオオムラサキくらいかな)、白地を基調に線模様が入るデザインは、清潔であでやか。一言でいえばとても気品があった(このくらい褒めても足りない)。

ここのフタオチョウは日本のものと姿かたちがよく似ているが、翅の模様が若干違う。

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▶タイリクフタオチョウ Polyura eudamippus nigrobasalis

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶ガンマフタオチョウPolyura gamma

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶チビフタオチョウPolyura athamas attalus

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>


その他の蝶たち

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▶オナガタイマイ Fivebar Swordtail

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶ナガサキアゲハ Great Mormon

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶チャイロタテハ Cruiser

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶イワサキコノハ Autumn Leaf

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>

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▶エグリバセセリ Chestnut Angel

<Kaeng Krachan National Park, Feb-21-2019, Lumix G9 pro + Laica Elmart 50-200mm f2.8-4>



虫眼鏡ノート

チョウの吸水集団をみれば、その場所の自然力を推定できるかもしれないな。虫林の吸水集団評価は、構成するチヨウの①数と②質(種類)で決まる。①と②を5段階評価で見れば、今回の集団は100頭くらいで①の項目は中の上で3.5点ぐらいかな。一方、集団を構成しているチョウは、シロチョウ科が多いものの多彩で、アゲハチヨウ科、タテハチヨウもかなり混ざっていた。とくに、3種類のフタオチョウは僕にとっては圧巻だったな。質の点の評価は文句なく5点ですね。合計で8.5点はかなり上質な吸水集団とみなすことができる。友人の話によると、ゲンカチャンの集団吸水は本来もっと数が多いとのことですので、いつか10点満点の吸水集団を見てみたいと思います。

ゲンカチャン国立公園の入り口
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Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2019-03-26 08:59 | ● Thailand | Comments(1)


タイの国立自然公園を散歩していると、今まで見たことも無い珍奇な虫たちに出会うことがあります。そんなとき、虫林の灰色の脳細胞の奥底に沈んでいたフレーズ「あっと驚くタメゴロウ!」が、突如として蘇ってくるのです。今や化石的フレーズだが、驚いた時には思わず口から出てしまうのだ(誰にも聞こえない小さな声でね)。今回も何度か「あっと驚くタメゴロウ!」が出た。

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Nature Diary Vol.13 (777): #08, 2019

ラフレシアの花に向かう山道で、同行のTさん(マメ子商会)が何ともけったいなキリギリスの仲間を見つけてくれた。頭部の付け根の周りがオレンジ色に膨らんでいて、まるで襟巻を巻いているようにみえる。さらに、驚いたことに、このオレンジ色の襟巻は、しばらくすると跡形もなく無くなるのだ。どうやら警戒した時に相手を威嚇するための襟巻らしい。ウーム、何とも面白い虫だ。とにかく、僕のXファイルに入れておこう。

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▶エリマキキリギリス?

<Khao Sok National Park in Thailand, Feb-17-2019, Olympus Tough TG5>

テングビワハゴロモはタイを代表する美虫だ。レンジャーの話によれば、Khao Sok NPには数種類のテングビワハゴロモがいるようだ。虫林も意識して探したのだが、目が悪いためか、日頃の行いが悪いためかなかなか見つけることができなかった。でもラフレシアに花を見に行く途中でやっと深緑色の個体(1頭だけ)にお目にかかることができた。

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▶テングビワハゴロモ (タイ王国、2019年02月)



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▶ナナフシの仲間(タイ王国、2019年02月)


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▶カレハカマキリの幼虫 (タイ王国、2019年02月)


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▶シュモクバエ (タイ王国、2019年02月)


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▶ワックスを纏った虫 (タイ王国、2019年02月)



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▶トゲトゲハムシの仲間 (タイ王国、2019年02月)



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▶テングスケバの仲間 (タイ王国、2019年02月)


虫眼鏡ノート

これでKhao sok国立自然公園の記事は終わります。でも、タイ王国の旅はまだ続きます。Khao sok国立自然公園を後にした我々は、いったんバンコクに戻り、バンコクから車で3時間ほどの距離にあるケーンクラチャン国立公園を訪れた。この公園の記事は次回からです。



Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2019-03-15 22:12 | ● Thailand | Comments(0)

この時期のタイは乾期で過ごしやすいが、雨期に比べて蝶(昆虫)の姿が少ないとのことだ。でも、日本では真冬なのに虫の姿を追って歩けるのだから幸せなことだね。とくに、気の置けない友人たちと一緒の虫撮行は本当に楽しい。

今回はカオソック国立公園で撮影した蝶たちを紹介したい

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Nature Diary Vol.13 (776): #07, 2019

ゴムのプランテーションを通り抜けると高床式の小屋が現れた。東南アジアではこのようなスタイルの家をよく見かける。やはり高温多湿な国では、高床式の住居は風通しよくて快適そうだ。機能的にもロジカルな構造といえるね。そういえば、虫林が子供の頃によく家の床下に潜り込んで遊んだものだが、今思えば、日本の家屋も低い高床式だったんだな。

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高床式の家 (タイ王国、2019年02月)



トレイルを歩いていたら、カニクイザルの群れが出てきた。サルたちを刺激しないようにそっと見ていたら、母サルが子ザルにグルーミングしていた。耳の後ろをなめられている子ザルの気落ちよさそうな顔が印象的だった。

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▶カニクイザルのグルーミング (タイ王国、2019年02月)



Khao Sok NPの蝶たち

東南アジアでは尾が長いシジミチョウが多い。そんな蝶たちを見るとタイの森にやってきたことが実感できる。下の写真は目の前の葉に静止したモリノオナガシジミを撮影していたら、風が長い尾を跳ね上げた。

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モリノオナガシジミ (タイ王国、2019年02月)


トレイルを歩いてみると、時折イナズマチヨウが素晴らしいスピードで横切り、陽だまりではジャミダス(ウラナミシジミ)の仲間が乱舞し、林の中をシマジャノメや大きなワモンチョウの仲間が飛ぶ。


撮影した蝶を組み写真にしてみた。

一列目:マレーヒメイナズマ Cynita godarii、オオイナズマ Lexias cyanipardus、ホサバネッタイヒョウホモン Cirrochroa emelea、2列目:トラフタテハ Parthenos sylla、リュウキュウムラサキ Hypolimnas bolina、ウラジロコウモリワモン Amathusia ochraceofusca、3列目:ムラサキルリワモン Thaumantis klugius、ヒメワモン Faunis canens、アオタテハモドキ Junonia orithya、4列目:カバシタビロードタテハ Terinos clarissa、タイリクシマジャノメ Ragadia crisilda、ウラキンフタオシジミ Pseudotajuria donatana、5列目:オナガシンジュシジミ Neomyrina nivea、サイトウフタオルリシジミ Hypolycaena othona、ナカジロムラサキシジミ Arthopala perimuta

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トレイルから戻り、アイスクリームを食べたとき、近くの木でフタオチョウの幼虫を見つけてくれた。初めて見たフタオチョウの幼虫は、大きくて、角がいかめしくて、格好良い。

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フタオチョウの幼虫 (タイ王国、2019年02月)



バナナの葉を円筒状に巻いたバナナセセリの幼虫。成虫は夕方に出現するということで、見ることができなかった。

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バナナセセリの幼虫 (タイ王国、2019年02月)


虫眼鏡ノート

今回ご一緒した方たちは、ナチュラリストで「むし道の達人」。各人が自分のスタイルで虫を探し、それぞれが個性的で工夫されたシステムで撮影している。

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虫林は小さなもの(蝶の卵など)から大きな虫まで幅広く撮影したいので(基本的に欲張り)、必然的に装備が大きく重くなってしまう。でも、今回のタイ王国撮影行では小型化を図り、カメラはパナソニックのLumix G9 proで、レンズはLeica DG Vario-Elmarit 50-200mm/F2.8-4.0 X1.4テレコンを用いた。

良いシステムは「撮る勇気を与えてくれる」ものだ

Written by 虫林花山




# by tyu-rinkazan | 2019-03-12 17:23 | ● Thailand | Comments(2)

虫林は「花より団子」ではなく「花より虫」なので、「ラフレシアを見に行こうとよ」いわれた時も「フーン、ラフレシアね---」という感じでした。でも、この花について知れば知るほど、世界の珍花と呼ぶにふさわしい魅力を感じ、ナチュラリストの端くれとして是非とも見てみたいなと思うようになりました。

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Nature Diary Vol.13 (775): #06, 2019

南タイの カオソック (Khao sok) 国立公園 は、ラフレシアの花の自生地として有名で、入り口にも大きな看板?が飾ってあった。事務所で開花状況を尋ねてみると(タイ語を話せる同行者がいると大変ありがたい)、ちょうど開花後3日目の花があるとのことだった。聞くところによると、ラフレシアの花は蕾の期間がとても長く(約1年)、その一方で開花期はわずか5日間ほどらしい。ウーム、ラフレシアの自生地でも「きれいな花に出会うのは結構難しい」のだ。


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The entrance of Khao sok NP (タイ王国、2019年02月)



トレイルといっても直登の登山道のようなもので、あまりジグザグになっていない。歩き始めたときはすこし話す余裕もあったが、登りがきつくなると次第に無口になった。日頃の不摂生を憂いながら、汗だくになってレンジャーの後についてひたすら登った。1時間半ほど登るとやっとラフレシアの蕾をみることができた。ここからがラフレシアの自生地だ。

ラフレシアには葉、茎、根が無く、ジャングルの地面を這うブドウ科の植物に完全寄生している。蕾は宿主の樹皮を突き破って姿を現わし,まるで瘤のようだ。この蕾は開花するまでに約1年もかかる。


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Flower bud of Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)



この蕾は開花間近でキャベツくらいの大きさがあります。

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Flower bud of Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)




さらにしばらく登るとといとう念願のラフレシアの花を見ることができました。

ラフレシアの花は80センチほどもあり、肉厚で赤褐色の花びらには白っぽい斑点がたくさん付いています。一言でいえばぼってりとした印象でした。この花は開花後3日目ということでしたが、かなり良い状態でした。とにかく、ラフレシアは開花後わずか数日で腐り始め,最後にはどろどろした黒い塊になってしまいます。

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Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)



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Rafflesia kerrii (タイ王国、2019年02月)




5枚の花びらに囲まれた中央部分には大きな椀状の穴が空いていて、内部を覗くと多数の突起が見えた。噂となっているひどい匂いはあまり感じなかったが、ハチやハエが飛ぶ大きな羽音が聞こえた。ラフレシアには雄花と雌花がありこれらのハエやハチが受粉に一役買っているのだと思いますが、見たところ近くには開花している花が無い(我々の知らない場所で咲く花があるのかも)。

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Fly and Bee inside the flower (タイ王国、2019年02月)





虫眼鏡ノート

ラフレシアは31種類もある。今回のタイ南部(Khao sok NP)撮影行で目指したのはラフレシア・ケルリイ Rafflesia kerrii という種で、有名な アルノルディイ R. arnoldii(スマトラ・ボルネオに分布)についで2番目に大きな花だ。ちなみに、この学名の kerrii はアイルランド人の医師 Arthur Francis George Kerr の名にちなんでいる。彼は20世紀初頭にタイにわたり、医師としての活動よりも植物相の解明に没頭したようだ。現在では タイの植物相の父 "founding father" とよばれている。

今回、難行苦行の末にケルリイに出会うことができた。ラフレシア・ケルリイはびっくりするような大きさ、個性的な形、色など実に面白い花でした。それにしても、後で見返してみると、ラフレシアの写真を十分に撮影できていないことに気づきました。疲れていたとはいえ、もっとたくさん撮影しておくべきでした。

Written by 虫林花山



# by tyu-rinkazan | 2019-03-06 09:01 | ● Thailand | Comments(1)

夏の季節だと、まるでハンターのように虫を追い求めてしまい、周りの風景などを愛でる余裕もなくなるが、この時期(真冬)のフィールド散歩は、精神的にものんびりできるし、また撮影機材も少なくて済むので、肉体的にも楽なのだ-----と強がりをいってはみるが、やはりナチュラリストにとっては花が咲き虫が飛ぶ春・夏が恋しいものだ。
 先日、いつもご一緒させてもらっている友人と一緒にオオムラサキの越冬幼虫を探した。そこは市街地からほど近い谷地(谷戸ともいう)で、田んぼの周りにはコナラ・クヌギの雑木林が広がり、いわゆる「里山の原風景」が今でも残っている。憩いの場所だ。
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Nature Diary Vol.13 (774): #05, 2019

ほとんどの生物がじっとしている冬なのに、猿の群れが林道を横切り、慌ただしく斜面を登っていった。サルたちを気にしながら小川に続く小道を下り、古い橋を渡ると雑木林にでる。そこにある一本の大きなエノキの木は「ご神木」のようなもので、オオムラサキの越冬幼虫が多い。
 枯れ葉で厚く覆われた木の根元で、友人と競いながら枯れ葉をめくると、ほどなくオオムラサキの越冬幼虫を見つけることができた。

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----オオムラサキの越冬幼虫 (山梨県北杜市、2019年01月)



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----オオムラサキの越冬幼虫が多いエノキ (山梨県北杜市、2019年01月)



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----オオムラサキの越冬幼虫 (山梨県北杜市、2019年01月)



虫眼鏡ノート

このようなのどかな里山にも、虫食いのように太陽光パネルが並んでいる。地主にしてみれば、コストパフォーマンス的に雑木林より良いに違いないが、里山の雑木林が切り開かれ、ぺんぺん草も生えない太陽光パネルの設置は景観を著しく損ね、我々のようなナチュラリストにとっては自然破壊以外の何者でもないのだ。日本には「里地里山法(2011年施行)」というのがあるらしいが、何とかならないものだろうか。


Written by 虫林花山



# by tyu-rinkazan | 2019-01-11 11:40 | ▣オオムラサキ | Comments(1)

There is always light behind the cloud” これはLouisa May Alcottの言葉で、日本語に訳すと「雲の向こうはいつも青空」となる。つまり、「失敗の後はかならず成功があるよ」なのだ。この言葉を今年の年賀状の文面に是非使おう!と意気込んだが、いざ印刷しようとしたら突然プリンターが壊れてしまったのだ(ということで、まだ年賀状を出していない)-----何とも言い訳がましいね。ネバーマインド、「雲の向こうはいつも青空」なのだ、年賀状の失敗のこと、原稿執筆の遅れのこと、メタボのことなど忘れて、本日は今年最初のフィールド散歩に出よう。ちなみに「雲の向こうはやっぱり雲」にならないようにね。
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Nature Diary Vol.13 (772): #03, 2019

今年初めてのフィールド散歩は、昆虫写真家の山口進さんと一緒にフユシャクのメスを探してみることにした。フユシャクが観察できる桜並木は丘の上にある。車を止めて、道路わきに並ぶ桜の幹を丹念に見ていくと、数頭のメスを見つけることができた。ここからの景色は最高で、甲府市の町の向こうに富士山が一望できる。そこでフユシャク撮影の背景に市街地と富士山を入れて撮影することにした。これが結構難しく、絞りを入れ、露出をマイナス補正し、LEDなどライティングした。一枚の写真の裏に努力あり!

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----イチモンジフユナミシャク雌 (山梨県甲府市、2019年01月)


見つけたのはイチモンジフユナミシャク:Operophtera rectipostmedianaで、体長は1センチに満たず、体全体に毛が密生し、体長の半分ほど小さな翅をもっている。このフユシャクのメスは、長い脚を持ち、少し指で刺激するとけっこうなスピードで歩く。そっと掌の上に乗せてみると、とても軽くて、風が吹くと飛ばされてしまう。

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----イチモンジフユナミシャク雌 (山梨県甲府市、2019年01月)



虫眼鏡ノート

真冬に出現するフユシャクガのメスは口が無いうえに翅まで退縮して飛ぶこともできない。昆虫には口が無いものや退縮して痕跡程度のものが結構多い。これらの昆虫たちは、交尾、産卵し子孫を残すこと以外の機能はすべて省かれ、おしなべて短命である(カゲロウは数時間の命)。さらに、口が無いということは、体の中の消化器系、泌尿器系の器官なども必要が無くなり、同時に欠如ないしは退縮しているに違いない。ヒトで考えるならば、お腹の中身が空っぽであることを意味する。自然界とは驚きだね。


Written by 虫林花山



# by tyu-rinkazan | 2019-01-04 18:20 | ■他の昆虫 | Comments(3)

DIARY Vol.13 (771): #02, 2019

このところ、食事の量が増え、運動量が減り、必然的に体重が増える。年末年始の「不健康シークエンス」だ。ウーム、このままでは体によくないな。そうだ「シモバシラ」を見に行こう。ここでいう「シモバシラ」とは、いわゆる冬の地面の霜柱ではなくシソ科の多年草のことだ。この植物は冬になって気温が下がると枯れた茎に氷ができるのが面白い。命名者はこの氷でシモバシラと名付けたらしいが、同名異義は紛らわしいな。

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----シモバシラの氷 (2018年12月)



シモバシラがみられる日陰に白く輝くものがあった。近づいてみると越冬するウラギンシジミだった。こんなシモバシラの氷がみられる寒い場所では越冬は無理かもしれないな。
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----ウラギンシジミ (2018年12月)



Notes
一眼ないしは一眼レフカメラで等倍以上の撮影は、三脚、補助も必要になり物々しいばかりではなく難しくもある。等倍以上の撮影では、オリンパスのTough TGは手軽だし使いやすいので重宝している。特に近年は機材をダウンサイジングしたいと思っているのでTG使用は合目的だと思う。これまでTG3を5年も使用してきたが、さすがに本体は傷が目立ち、モニターも見難くなってきた。そこで年末にTG5を購入した。今回使用してみて、LEDや広角レンズをつけたときに、TG5ではストッパーがついていて安心だった。

# by tyu-rinkazan | 2019-01-02 18:45 | ■野花 | Comments(1)

2019年元旦 A HAPPY NEW YEAR

DIARY Vol.13 (770): #01, 2019 :

謹賀新年

旧年中はいろいろとお世話になりありがとうございました
本年もよろしくお願い申し上げます
平成三十一年 元旦

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----ボルネオ島にて (2018年5月)


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----マレーシアにて (2018年5月)


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----マレーシアにて (2018年5月)


Notes
虫林花山のブログ”Nature Diary”も今年で13年目に入りました。ずいぶん長くやってきたものです。しかし、昨年は大学を定年退職して、仕事場を変えたこともあり、これまで毎週更新してきたブログを8月以降は更新ができませんでした(Facebookはやっていたが)。こんな長期の休止はブログ開設以来初めてのことでした。
 今年は以前よりも時間的余裕がありそうなので、Nature Diaryの充実を楽しみたいと思っています。

# by tyu-rinkazan | 2019-01-01 00:20 | ● Malaysia | Comments(6)


DIARY Vol.12 (769): #13, 2018 :

このところの暑さで、虫好きの虫林は“虫の息”です。
オオゴマシジミは、大きなブルース(青色の蝶)ですが、翅表の青色は青というよりも空色に近くて独特の美しさある。また。そこに点在する黒紋の範囲が個体や地域によって異なるのが面白く、今回訪れた北アルプスの棲息地は、黒化した個体が出現するらしい。オオゴマシジミの棲息地は近年急減していて、簡単に出会える蝶ではなくなったが、今回は、虫友にご案内いただき、北アルプス山中のオオゴマシジミの撮影にチャレンジしました。

オオゴマシジミ
到着するとすでに何頭かのオオゴマが飛び回っていました。一頭の新鮮な雌が葉上で開翅してくれたので、G9のバリアングルファインダーを用いて上から撮影できました。みると後翅の青紋が著しく退縮して黒っぽくみえる。この地域の特徴かな。

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----開翅するオオゴマシジミMaculinea arionides 雌の黒化型?


出現したオオゴマはハナウド、クガイソウ、サラシナショウマの花で吸蜜してくれた。

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----オオゴマシジミMaculinea arionides




6Kプリ連射のトライアル。意外に簡単だったが、あまり欲張ってはいけない。

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Notes


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# by tyu-rinkazan | 2018-08-04 23:15 | ▣オオゴマシジミ | Comments(2)