20100731 北アルプス散歩(再):ヤリガタケシジミほか
2010年 08月 02日
<山梨県北杜市に生息するゴマシジミの保全活動へご協力のお願い>
ゴマシジミの生息地である山梨県北杜市の2ヵ所(旧明野村で1ヶ所、旧須玉町で1ヶ所)で、2009年よりゴマシジミの生息環境の保全活動が、地元、 北杜市オオムラサキセンター、日本チョウ類保全協会により行われています。保全活動を進めるにあたり、草刈りなどの管理活動にご協力いただけるボランティアを募集しております。
本活動にご協力いただける方は、ご連絡をお願いいたします。
NPO法人 日本チョウ類保全協会
**************************************************
Nature Diary #0339
Date: July 31 (Saturday), 2010
Place: Nagano
Weather: Cloudy and rain
このところ毎日暑くて弱っています。
こんなに暑いと、下界から逃げ出して、涼しい風が吹く高原で、昆虫たちと遊ぶのが一番の贅沢に思えます。昔、高山和尚(?)が残した下の言葉 の心境には当分なれそうもありません。
「安禅必ずしも山水を用いず、心頭滅却すれば火もまた涼し」
§ Diary §
前回のアルプス散歩では、今まで未見だったヤリガタケシジミの♀を確認できましたので、今回は求愛、交尾、産卵などの生態シーンをもっと観察する目的で、再び同地を訪れることにしました。まだ、前回の疲れ(筋肉痛も)が残っているので、少々辛いのですが、今回は banyan さんが同行してくれることになりましたので少し安心です。
▶ヤリガタケシジミ; Sky Blue
ヤリガタケシジミの棲息地に到着した時には、今にも雨が降りそうでした(実際、後で雨が降ってきました)。こんな天気では、高山性のチョウ達は全く飛ばないので、棲息地内をルッキングで探してみることにしました。
しばらくすると、少数ながらもヤリガタケシジミが観察できました。一安心です。
#1: 葉上で休むヤリガタケシジミ♂
.
A male of Sky Blue resting on the leaf.
Olympus E-620, ZD8mm Fisheye, EC-14,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
本日は終始曇り空でしたが、それでも雲の切れ間で周囲が明るくなってくると、開始するシーンが容易に観察できるようになりました。
#2: クサボタンで吸蜜するヤリガタケシジミ♂
.
A male of Sky Blue feeding on the flower with the wings opened.
Olympus E-620, ZD12-60mm,ASA800
(2010-July-31, Nagano)
ヤリガタケシジミとヒメシジミの鑑別は翅裏の黒紋をみれば両者は区別できますが、この紋は翅を閉じていると後翅の下に隠れていることが多く、また個体によって紋の形や大きさが異なることもあるようで鑑別に苦慮することが多いようです。
結局、オスの場合は一番確実なのは、翅を開いたときでしたね。
#3: ヤリガタケシジミ♂
.
A male of Sky Blue resting on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
クローズアップしてみると、翅の縁毛がずいぶんと長くて驚きました。
虫林の場合は、バックのボケ味を楽しむので、絞り優先モードで、絞りをなるべく浅くして、真横からピントがあうように撮影します。でも、2本の触角の両方にピントが合うようにした方が良いかもしれないと今は思っています。
#4: ヤリガタケシジミ♂
.
A male of Sky Blue resting on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA350
(2010-July-31, Nagano)
大きなホタルブクロの花の上で休んでいるヤリガタケシジミのメスを撮影しました。
メスは数が少なく、残念ながら新しい個体は見られませんでした。
#5: ヤリガタケシジミ♂
.
A female of Sky Blue resting on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-July-31, Nagano)
クサボタンの上で開翅するヤリガタケシジミのオスとメス。
両方の蝶にピントが合うように撮影しましたが、なかなか難しいかったです。
#6: クサボタンの花上のヤリガタケシジミ♂と♀
.
A male and female of Sky Blue resting on the flower.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
<求愛>
比較的新しいオスを追跡していると、しばしばメスに求愛するシーンが観察できました。
#7: ヤリガタケシジミの求愛
.
A pair of Sky Blue showing a courtship behavior.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
<産卵>
本種の産卵は食草の根本で行われていました。草が邪魔をして大変見にくかったので、産卵を目で確認できるように草を手で押さえて撮影した。
#8: ヤリガタケシジミの産卵
.
A female of Sky Blue egg-lying on the grass stalk.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
<飛翔>
一応、飛翔も少しだけ撮影してみました。
#9: ヤリガタケシジミの産卵
.
A flying feature of male of Sky Blue
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
▶コヒョウモン; Ino Fritillary
#10: コヒョウモン
.
An Ino Fritillary resting on the leaf with the wings opened.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-July-31, Nagano)
▶コムラサキ; European Purple Emperor
#11: コムラサキ
.
European Purple Emperor
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
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§ Afterword §
虫林が勤める大学の構内で、「オーシーツクツク、オーシーツクツク」という蝉の声を聞きました。このツクツクホーシの鳴き声は、虫屋の端くれである虫林にとって、今年の夏の終わりが近いことを意味します------何となくメランコリックになってきます。
うーむ、今年も夏休みの宿題(仕事)が山積みで、散歩どころではなくなってきました。
by 虫林花山
ゴマシジミの生息地である山梨県北杜市の2ヵ所(旧明野村で1ヶ所、旧須玉町で1ヶ所)で、2009年よりゴマシジミの生息環境の保全活動が、地元、 北杜市オオムラサキセンター、日本チョウ類保全協会により行われています。保全活動を進めるにあたり、草刈りなどの管理活動にご協力いただけるボランティアを募集しております。
本活動にご協力いただける方は、ご連絡をお願いいたします。
NPO法人 日本チョウ類保全協会
Nature Diary #0339
Date: July 31 (Saturday), 2010
Place: Nagano
Weather: Cloudy and rain
このところ毎日暑くて弱っています。
こんなに暑いと、下界から逃げ出して、涼しい風が吹く高原で、昆虫たちと遊ぶのが一番の贅沢に思えます。昔、高山和尚(?)が残した下の言葉 の心境には当分なれそうもありません。
「安禅必ずしも山水を用いず、心頭滅却すれば火もまた涼し」
§ Diary §
前回のアルプス散歩では、今まで未見だったヤリガタケシジミの♀を確認できましたので、今回は求愛、交尾、産卵などの生態シーンをもっと観察する目的で、再び同地を訪れることにしました。まだ、前回の疲れ(筋肉痛も)が残っているので、少々辛いのですが、今回は banyan さんが同行してくれることになりましたので少し安心です。
▶ヤリガタケシジミ; Sky Blue
ヤリガタケシジミの棲息地に到着した時には、今にも雨が降りそうでした(実際、後で雨が降ってきました)。こんな天気では、高山性のチョウ達は全く飛ばないので、棲息地内をルッキングで探してみることにしました。
しばらくすると、少数ながらもヤリガタケシジミが観察できました。一安心です。
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A male of Sky Blue resting on the leaf.
Olympus E-620, ZD8mm Fisheye, EC-14,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
本日は終始曇り空でしたが、それでも雲の切れ間で周囲が明るくなってくると、開始するシーンが容易に観察できるようになりました。
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A male of Sky Blue feeding on the flower with the wings opened.
Olympus E-620, ZD12-60mm,ASA800
(2010-July-31, Nagano)
ヤリガタケシジミとヒメシジミの鑑別は翅裏の黒紋をみれば両者は区別できますが、この紋は翅を閉じていると後翅の下に隠れていることが多く、また個体によって紋の形や大きさが異なることもあるようで鑑別に苦慮することが多いようです。
結局、オスの場合は一番確実なのは、翅を開いたときでしたね。
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A male of Sky Blue resting on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
クローズアップしてみると、翅の縁毛がずいぶんと長くて驚きました。
虫林の場合は、バックのボケ味を楽しむので、絞り優先モードで、絞りをなるべく浅くして、真横からピントがあうように撮影します。でも、2本の触角の両方にピントが合うようにした方が良いかもしれないと今は思っています。
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A male of Sky Blue resting on the leaf.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA350
(2010-July-31, Nagano)
大きなホタルブクロの花の上で休んでいるヤリガタケシジミのメスを撮影しました。
メスは数が少なく、残念ながら新しい個体は見られませんでした。
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A female of Sky Blue resting on the flower
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-July-31, Nagano)
クサボタンの上で開翅するヤリガタケシジミのオスとメス。
両方の蝶にピントが合うように撮影しましたが、なかなか難しいかったです。
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A male and female of Sky Blue resting on the flower.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
<求愛>
比較的新しいオスを追跡していると、しばしばメスに求愛するシーンが観察できました。
.
A pair of Sky Blue showing a courtship behavior.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
<産卵>
本種の産卵は食草の根本で行われていました。草が邪魔をして大変見にくかったので、産卵を目で確認できるように草を手で押さえて撮影した。
.
A female of Sky Blue egg-lying on the grass stalk.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
<飛翔>
一応、飛翔も少しだけ撮影してみました。
.
A flying feature of male of Sky Blue
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
▶コヒョウモン; Ino Fritillary
.
An Ino Fritillary resting on the leaf with the wings opened.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-July-31, Nagano)
▶コムラサキ; European Purple Emperor
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European Purple Emperor
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro,ASA200
(2010-July-31, Nagano)
§ Afterword §
虫林が勤める大学の構内で、「オーシーツクツク、オーシーツクツク」という蝉の声を聞きました。このツクツクホーシの鳴き声は、虫屋の端くれである虫林にとって、今年の夏の終わりが近いことを意味します------何となくメランコリックになってきます。
うーむ、今年も夏休みの宿題(仕事)が山積みで、散歩どころではなくなってきました。
by 虫林花山
お疲れ様でした。
翌日タカネキマダラ狙いで上高地に入りました。
現地でタクシーの運転手さんに聞いたら前日はあまり天気がよくなかったとのことだったので、どうなったかなと心配しましたが、無事撮影できてよかったですね。
とくに雌雄のツーショットと産卵行動の写真は素晴らしいです。
これから忙しいとのことですが、がんばってください。
翌日タカネキマダラ狙いで上高地に入りました。
現地でタクシーの運転手さんに聞いたら前日はあまり天気がよくなかったとのことだったので、どうなったかなと心配しましたが、無事撮影できてよかったですね。
とくに雌雄のツーショットと産卵行動の写真は素晴らしいです。
これから忙しいとのことですが、がんばってください。
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by
banyan10 at 2010-08-03 18:27
お世話になりました。
おかげさまで綺麗なヤリガタケの雄を撮影できて嬉しかったです。
クサボタンのツーショットは僕がいないときでしょうか。これはよいシーンですね。
ホタルブクロとの組み合わせも写真的に素晴らしいです。
おかげさまで綺麗なヤリガタケの雄を撮影できて嬉しかったです。
クサボタンのツーショットは僕がいないときでしょうか。これはよいシーンですね。
ホタルブクロとの組み合わせも写真的に素晴らしいです。
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蝶山人
at 2010-08-03 19:19
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by
dragonbutter at 2010-08-03 22:54
ヤリガタケシジミの絡みのシーンが素晴らしいのは言うまでもありませんが、何と言ってもすごいのは虫林さんの体力かも知れません。
それはさておき、私はヤリガタケがいても翅を開いてくれなかったらヒメシジミと片付けて通り過ぎそうです。
それはさておき、私はヤリガタケがいても翅を開いてくれなかったらヒメシジミと片付けて通り過ぎそうです。
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thecla
at 2010-08-03 23:35
x
ヤリガタケの産卵シーンは本当に凄いですね。
アサマとヒメの区別点、オスは後翅裏面の紋が13個(丸いのが12個)がアサマ12個がヒメ(一番内側の腹よりの点があるかどうかで擦れると判別が難しい)と判断していますが、例外が無いかはちょっと自信ありません。
アサマの方が後翅が大きく少しバランスが悪い、ヤリガタケの場合飛翔時にブルーが白っぽいなども気にしていますが極めて感覚的なものであてになりません(^^;
アサマとヒメの区別点、オスは後翅裏面の紋が13個(丸いのが12個)がアサマ12個がヒメ(一番内側の腹よりの点があるかどうかで擦れると判別が難しい)と判断していますが、例外が無いかはちょっと自信ありません。
アサマの方が後翅が大きく少しバランスが悪い、ヤリガタケの場合飛翔時にブルーが白っぽいなども気にしていますが極めて感覚的なものであてになりません(^^;
おはようございます。
ヤリガタケシジミの薄いブルーに条線が入ると、ナントモ際立って美しいですね。
コムラサキの集団も憧れです。
実は、数日前まで京都美山町の我奥様生家で過ごし、
ダム放水時の沈水林に生える、ヤナギをチェックしていたのですが、高い場所ばかりで難儀しました。
石の上・・・・・ウラヤマシイ場面です。。。
ヤリガタケシジミの薄いブルーに条線が入ると、ナントモ際立って美しいですね。
コムラサキの集団も憧れです。
実は、数日前まで京都美山町の我奥様生家で過ごし、
ダム放水時の沈水林に生える、ヤナギをチェックしていたのですが、高い場所ばかりで難儀しました。
石の上・・・・・ウラヤマシイ場面です。。。
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yoda-1 at 2010-08-04 18:44
YODAもこの土曜日に上高地の沢渡まで行ったので、
天気に係わらず、行っていれば、この場での虫林さん・banyanさんに
気がつく可能性があったのかもです。
しかし、あの天候の中で、再度素晴らしい画像の数数ですね。
特に、♂・♀両方の開翅画像が快挙だと感じます。
天気に係わらず、行っていれば、この場での虫林さん・banyanさんに
気がつく可能性があったのかもです。
しかし、あの天候の中で、再度素晴らしい画像の数数ですね。
特に、♂・♀両方の開翅画像が快挙だと感じます。
ダンダラさん
コメント有難うございます。
天気は曇りで、雨まで降ってきましたが、何とか数頭見つかったので撮影できました。やはり、♂♀そろって見ることができたのは今年が初めてでしたので、もう少し色々撮影したかったのですが、仕方がありません。
コメント有難うございます。
天気は曇りで、雨まで降ってきましたが、何とか数頭見つかったので撮影できました。やはり、♂♀そろって見ることができたのは今年が初めてでしたので、もう少し色々撮影したかったのですが、仕方がありません。
banyanさん、
ご苦労様でした。
天気が悪かった割には色々と撮影で来て良かったですね。
クサボタンのツーショットは、オスの求愛を撮影していたら、上手い具合に撮影できました。わからないものですね。
ご苦労様でした。
天気が悪かった割には色々と撮影で来て良かったですね。
クサボタンのツーショットは、オスの求愛を撮影していたら、上手い具合に撮影できました。わからないものですね。
蝶山人さん、
コメント有難うございます。
過去3年間通っていますが、♂♀ツーショットは初めてです。
このようなときには集中して撮影したいと思いました。
実は交尾を狙っていたのですが、来年以降の宿題になりました。
コメント有難うございます。
過去3年間通っていますが、♂♀ツーショットは初めてです。
このようなときには集中して撮影したいと思いました。
実は交尾を狙っていたのですが、来年以降の宿題になりました。
theclaさん、
コメント有難うございます。
ヒメとの鑑別点である一番内側の腹よりの点ですが、これはここのヒメシジミでも出現しますので、これでの判断は困難です。
飛翔中の個体も鑑別が難しくて、何回か間違えました。
コメント有難うございます。
ヒメとの鑑別点である一番内側の腹よりの点ですが、これはここのヒメシジミでも出現しますので、これでの判断は困難です。
飛翔中の個体も鑑別が難しくて、何回か間違えました。
yodaさん、
コメント有難うございます。
沢渡まで来られていたのですね。
我々のいた場所まではかなり歩かなければならないので、少し不安でしたが、何とか雨も少量でしたので助かりました
♂♀は今年初めてです。
コメント有難うございます。
沢渡まで来られていたのですね。
我々のいた場所まではかなり歩かなければならないので、少し不安でしたが、何とか雨も少量でしたので助かりました
♂♀は今年初めてです。
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by
clossiana at 2010-08-05 18:11
♂♀のツーショットは素晴らしいですね。クサボタンという花の上であることや構図も凄いと思いました。ホタルブクロとの組合わせも何ともいえず良いですね。。やはり暑い日には上高地のような涼しいところで撮影を楽しんでいたいです。
by tyu-rinkazan
| 2010-08-02 22:56
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Comments(16)