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20100814 下北半島の散歩道 (1):カバイロシジミ

Nature Diary #0344
Date: August 14 (Saturday), 2010
Place: Aomori
Weather: fine, later, occasionally cloudy and rain




<ブラキストン線>

北海道と本州を隔てる津軽海峡には、イギリスの動物学者のトーマス・ブラキストンが提唱したブラキストン線 (Blakiston Line)が存在する。このブラキストン線は動植物の分布境界線で、南北でそれぞれ固有の種類が多い。しかし、クマゲラをはじめプラキストン線を越えた分布を示す大陸系生物が存在するのも事実である。

カバイロシジミはこのブラキストン線を越えた蝶だ。


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§ Diary §

久しぶり(3年ぶり)のお墓参りで、家内の実家がある青森県八戸市を訪ねた。
現在では東北新幹線「はやて」に乗ると、東京駅から八戸駅までなんと3時間20分ほどで行くことができる------時代は便利になったものだ。


八戸は海辺の町だ。駅から外に出ると、潮の香りが風に乗って漂ってくる。

海岸までドライブしてみると、浜には人影も少なく、薄茶色の綺麗な砂浜と岩礁がどこまでも続いていた。久しぶりに聞く潮騒の音も耳に心地よい。

砂浜に咲く黄色いキク科植物の花に、何頭ものモンキチョウが訪れていた。

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#1: モンキチョウと八戸の海岸

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A landscape of seashore in Hachinohe.
Olympus E-620, ZD8mm, EC-14, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



お盆のお墓参りも無事済んで、土曜日はレンタカーを借りて 下北半島突端 (本州北端)の海岸までドライブした。目的はプラキストン線を越えた蝶 「カバイロシジミ」の撮影。


到着後、前回(3年前)の記憶を頼りに、カバイロシジミの食草であるヒロハノクサフジを探して海岸線を散歩した。しばらく浜辺に沿ってブラブラと歩いていくと撮影者の姿を発見した。

どうも後ろ姿には見覚えがあるが、まさかこの場所にいるはずもない。

とにかく声をかけてみると、振り返った笑顔はそのまさかの蝶友 fanseab さん(探蝶逍遙記)だった。あまりの奇遇さにお互いに驚いたのは言うまでもないだろう。

下北半島の海岸でチョウを探すfanseabさんを撮影。

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#2: 下北半島の海岸風景

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A landscape of seashore of Shimokita peninsula
Olympus E-620, ZD8mm Fisheye, EC-14, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



ニイニイゼミ; Platypleura kaempferi

海岸を歩いていたら不思議な光景に出会った。
それは、ニイニイゼミがススキに止まっていたからだ。

たしか以前に Celastrinaさん(青森のチョウたち)が、津軽の海岸で同様のことを観察してブログに出していた。つまり、ニイニイゼミがススキに静止するのは、単なる偶然では無くて、津軽海峡に面した海岸ではしばしば見られる行動らしい。

海岸のススキにセミの組み合わせはとても意外で興味あるが、stranger には調べる時間が無い。

♪アアアア~津軽海峡~セミ景色♪

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#3: ススキに止まるニイニイゼミ

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A cicada resting on the Japanese Silver Grass.
Olympus E-620, ZD8mm Fisheye, EC-14, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



ヒメシロチョウ; Eastern Wood White

少し日が高くなってくると、ヒメシロチョウがあちらこちらで飛び出した。このチョウは逆光で撮影するとなかなか綺麗だな。

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#4: ヒメシロチョウ

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A Eastern Wood White feeding on the flower against sun
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



オオモンシロチョウ; Large White

外来種のオオモンシロチョウも見つけた。

オオモンシロチョウ15年ほど前に北海道で発見されて以来、その分布を急速に広げ、今では海を越えてこの下北半島に土着してしまっているらしい。


ここにはモンシロチョウもいたが、オオモンシロチョウの方が体も大きくて(当たり前)、飛翔も明らかに力図強くて速度も速かった。

慣れてくると、遠くからでも本種とわかる。

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#6: オオモンシロチョウ

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A Large White feeding on the flower.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



カバイロシジミ; Lycormas Blue

浜辺に点々とあるヒロハノクサフジの群落を観察するが、なかなかお目当てのカバイロシジミは姿を現してくれなかった。

そこで、fanseabさんが昨日カバイロを撮影した場所に移動することにした。そこは大きな崖の裏側で、浜から岩場を少し歩いた奥にあって、カバイロの食草である海浜植物ヒロハノクサフジが繁茂していた。よくぞ探したものである。


しばらくすると、どこからともなくカバイロシジミが吸蜜に訪れてくれた。写真の個体は決して新鮮ではないが、この時期としてはまともな部類に入る---良かった。

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#6: 食草のヒロハノクサフジの花で吸蜜カバイロシジミ♂

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A male of Lycormas Blue suckling a nector the flower of feeding plant.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)

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#7: 吸蜜するカバイロシジミ♂

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A male of Lycormas Blue suckling a nector the flower of feeding plant.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



海浜植物であるヒロハノクサフジの群落は、波打ち際からほんの数メートルなので、海が荒れれば波をかぶることになる。この草は海水によほど強いのだろう。

飛翔速度は意外に速いが、何とか撮影してみた。

d0090322_22223290.jpg
#8: 飛翔するカバイロシジミ♂

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Flying feature of a male of Lycormas Blue .
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)


新鮮な♂も何度か見ることができたが、ほとんど止まらず、撮影には手も足も出なかった。

吸蜜するカバイロの♂はしばしば開翅するが、簡単に撮影できる個体はさすがに翅表が痛んでしまっている。このチョウはどうしてカバイロというのだろか、かば色は普通は茶褐色を意味するからだ。このチョウからはカバイロのイメージがピンとこない。

d0090322_22224996.jpg
#9: 開翅するカバイロシジミ♂

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A male of Lycormas Blue feeding on the flower with the wings opened.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



fanseabさんが比較的新鮮な♀を発見して呼んでくれた。
撮影チャンスは少なかったが、綺麗な♀が撮影できて嬉しかった---感謝。

d0090322_2223430.jpg
#10: カバイロシジミ♀

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A female of Lycormas Blue feeding on the flower .
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)

d0090322_22231923.jpg
#11: カバイロシジミ♀

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A Lycormas Blue resting on the grass leaf of feeding plant.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



少し古い♀が開翅してくれた。

下北半島の♀は北海道のものと異なり、♀の翅表には青色が非常に乏しく黒褐色一色に見える。

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#12: カバイロシジミ♀の開翅

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A female of Lycormas Blue resting on the grass leaf with the wings semi-opened.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)



さらにヒロハノクサフジが多く繁茂する海岸に移動したが、肝心のカバイロシジミはとても少なくてかなり古い♀を一頭観察できただけにとどまった。

d0090322_2225548.jpg
#13: カバイロシジミ♀

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Afemale of Lycormas Blue resting on the feeding plant.
Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA200
(2010-August-14, Aomori)


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§ Afterword §

3年ぶりに下北半島を訪ねることができた。

今回は尻屋岬方面には行かずに、津軽海峡面した海岸で1日を費やした。現地で図らずもご一緒できたfanseabさんには色々とお世話になりました。

下北の海岸線は実に気持ちが良く、あくせくとチョウなどを追い求めるのがバカらしく思えてきます。今回も日帰りの忙しい訪問でしたが、次回は民宿などに泊まって、のんびりと海岸線の風景や海の幸を楽しみたいと思います。


下北突端の 大間原子力発電所 が近い将来(2014年?)に操業開始、今年、東北新幹線が青森駅まで開通予定になっている。便利さと引き換えに美しい海岸線が破壊されないことを祈るばかりです。





下北散歩の第2部は、北端のゴマシジミの記事をアップしたいと思います。



以上、 by 虫林花山
Commented by dragonbutter at 2010-08-18 22:57
お疲れ様でした。
お盆になってもカバイロは十分見られるんですね。
新鮮さは私が行ったときとそう変わらない気がします。
あのあたりではカバイロばかりに目が行って、オオモンシロもヒメシロも目に入りませんでした。
次の記事も楽しみです。
Commented by Celastrina at 2010-08-19 01:37 x
遠いところ御苦労様です。
下北はカバイロ・ゴマとも青森県内で最も多い地域ですが、両者の適期が異なるところが厳しいですね。
カバイロやゼフ重視なら7月をオススメしますが、ゴマだけでなくオオモンシロやヒメシロ、ベニモンマダラ、オオルリハムシといった面白い虫も普通に見られる8月の方が楽しめると思います。


Commented by fanseab at 2010-08-19 07:29
お疲れ様でした。ニイニイゼミにはビックリしましたね。もちろんあの地で貴殿にお会いしたことが最大の驚きでしたが…。カバイロ飛翔、小生にはそこまで頑張る元気がありませんでしたが、流石です。ゴマシリーズも期待しております。
Commented by clossiana at 2010-08-19 07:48
下北半島にまで遠征されましたか。。ひょっとしてお盆の時期に?そうだとすれば帰省ラッシュに巻込まれませんでしたか?それだけでも凄いのに目的のカバイロを綺麗に撮影されていて、しかも背景に海が見えているのが、とても良い雰囲気ですね。こういう場所でカバイロと戯れていたいです。
Commented by banyan10 at 2010-08-19 14:57
日帰りですか。すごいですね。
東京からだと車でもと思いましたが、ちょっと遠いかな。(笑)
海を背景に撮れるのがいいですね。
Commented by 蝶山人 at 2010-08-19 17:52 x
1週間のニアミス?残念でした。
家内の親戚も八戸に居るので
八戸~下北方面は馴染みが深いです。
そのうちご一緒させて下さい。
Commented by chochoensis at 2010-08-19 23:34 x
虫林さん、下北の=カバイロ=素敵ですね・・・海の見える環境での素晴らしい写真に感激しました!書物で読んで憧れていました・・・。
Commented by 虫林 at 2010-08-20 06:29 x
dragonbutterさん
コメント有難うございます。
やはりカバイロの綺麗な個体は7月中が良さそうですが、この時期でもピンシャンと思われる♂も飛んでいました。でも、飛翔スピードが速いのと止らないので、手も足も出ませんでした。オオモンシロはそこそこ、ヒメシロはかなり個体数は多かったように思います。
Commented by 虫林 at 2010-08-20 06:34 x
Celastrinaさん、
コメント有難うございます。
下北はまだまだ一部の海岸しか行っていないのですが、素晴らしいところですね。いつか、海岸のカシワでのゼフ狙いや山側でのゼフもしてみたいなと思っています。原子力発電所や新幹線でのこれからの影響が心配ですね。
Commented by 虫林 at 2010-08-20 06:39 x
fanseabさん、
色々有難うございました。
ニイニイゼミは海岸だと木が少ないので、ススキに止るのかもしれませんが、面白い生態ですね。
めったに関東から行けない場所で、あれだけ広い海岸で、同じ時期に、あの時間にちょうど会う確率は極めて少ないので、奇遇でした。
Commented by 虫林 at 2010-08-20 06:42 x
clossianaさん、
コメント有難うございます。
下北半島は、カバイロ、ゴマとともに海岸線がとても綺麗ですので、のんびりとされたら良いかと思います。
お盆の時だったので、新幹線や在来線はとても混んでいました。でも、義父の墓参りには行ってこようと思いました。
Commented by 虫林 at 2010-08-20 06:46 x
banyanさん、
コメント有難うございます。
八戸からは片道150kmあり、高速道路などはないので車で4時間以上かかります。日帰りもできますが、できれば民宿にでも泊ってのんびりと撮影したいと思っています。海背景の写真は気持ちが良いですよね。
Commented by 虫林 at 2010-08-20 06:49 x
蝶山人さん、
コメント有難うございます。
今回の下北では蝶山人さんはとても良い時間を持てたみたいですね。
八戸にはなかなかそう簡単には行くことができませんが、7月中の海岸のゼフ狙いもいつかやりたいな。ご一緒できれば良いのですが。
Commented by 虫林 at 2010-08-20 06:52 x
chochoensisさん、
コメント有難うございます。
カバイロは北海道にいけばもっと撮影できるかもしれませんが、ブラキストン線を越えた本州の下北や津軽で撮影するということにこだわりました。もう少し新しい個体の写真が出せれば良かったのですが---。
Commented by ダンダラ at 2010-08-21 07:56 x
お疲れ様でした。
東北のこのあたりには一度も足を踏み入れたことがないので、興味を持って拝見しました。
最初のモンキチョウの写真も秀逸ですね。
Commented by 虫林 at 2010-08-21 10:15 x
ダンダラさん
コメント有難うございます。
下北は東北でも第一級の蝶の観察場所だと思います。でも、小生はこお時期にしか行ったことがないので、いつかは7月に新鮮なカバイロを見てみたいと思います。
背景が良ければ、普通種でも十分に綺麗な写真が撮れるところがこの趣味の良いところですね。
Commented by ゆたか at 2010-08-28 00:59 x
初めまして!
いつも楽しく拝見させていただいてます。
自分のような素人がコメントするのもどうかと思ったのですが。
実は、自分も妻の父が八戸に住んでまして、毎年訪れているのですが、蝶を撮り始めて3年になりますが、3年連続でカバイロに会いに行っています。
今年は7月の最後の週に行って、綺麗な個体を撮って来ました。
残念ながらゴマには早かったようで・・・。
以前、虫林さんのブログでオオヒカゲがいると、記憶してたので今年はそれらしいとこを探したのですが、帰りがけに車の前を横切ったのを見ただけで撮れませんでした。
車を止めて林に入ろうとしたら、新しそうな熊の足跡を見つけて諦めました。
来年以降の目標です。
それと、岩手のチョウセンアカシジミはいつごろ訪れればはずれないのでしょうか?
1度は見てみたいので。
今度は津軽のカバイロにも・・・。
でも遠いいからなぁ。
あっ、長々と失礼しました。
いろいろたくさん勉強させていただいてます。
これからも素敵な写真拝見させたいただきますのでよろしくお願いします。
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by tyu-rinkazan | 2010-08-18 22:33 | Comments(17)