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20101012 ブラジル散歩:サンパウロの虫たち(1)

Nature Diary #0354
Date: October 12 (Tuesday), 2010
Place: Sao Paulo, Brazil
Weather: fine



帰国しました。
サンパウロとイグアスでそれぞれ撮影した昆虫たちをブログでアップしていきたいと思います。


§ Diary §

ブラジルはこの時期雨季に入ったところだ。

サンパウロに滞在してから数日経つのに曇り空と小雨で肌寒い日が続いていた。
まあその分、本来の目的である国際学会に専念できるので、悪天候それ自体はけっして悪くはない。しかし、虫屋の虫林にとってこの天気はいただけない。

そんな虫屋を神様は不憫に思ったのだろうか、本日は朝起きると晴れていた。

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----#1: 朝のサンパウロ

----- A landscape of Sao Paulo at sun rising time
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



調べてみると、ホテルから車で15分ほどに 「サンパウロ植物園 Jardim Botânico de São Paulo」 があった。これなら、学会のセッションの合間に散歩したりできる。

早速、タクシーで訪れてみると、そこは広い敷地の公園のようで、散歩道が良く整備されていた。嬉しいことには一番奥に自然の亜熱帯林もあって、そこには樹林の中を歩くための木道まである。湿った土と木々の匂い、緑の林は遠路はるばる訪れた虫林を癒してくれた。
入場料はブラジル通貨で3レアル(日本円にすると130円くらい)だ。

ウーム、虫屋の血が騒ぐ。

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----#2: サンパウロ植物園

---- The botanical garden of Sao Paulo
-----Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-12, Sao Paulo)



ゆっくりと歩いていると、突然、尾の長いアゲハが飛来して木の枝に静止した。

あわてて近づいてみると。その蝶は長い尾をもち、一見アジアのオナガタイマイの仲間に姿が似ていた。このアゲハは ゼブラアゲハの一種らしい。この仲間は南米ではよく発達しているということだ。

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----------#3: 木の枝で休むゼブラアゲハ
. Zebra Swallowtail
----------Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
----------(2010-October-12, Sao Paulo)



このアゲハチョウは純白の地に黒い線状紋をまとい、上翅端は透明で基部は緑色を配し、翅裏には赤い紋のアクセントをつけていた。尾状突起は細くて長い。南米の派手な蝶というイメージからは少し異なり、どこか上品で繊細な印象を受けた。

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--------------------------#4: 木の枝で休むゼブラアゲハ
. Zebra Swallowtail
-------------------------Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
-------------------------(2010-October-12, Sao Paulo)

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--------------------------#5: 木の枝で休むゼブラアゲハ
. Zebra Swallowtail
------------------------- Olympus E-3, Sigma 150mm Macro, ASA400
-------------------------(2010-October-12, Sao Paulo)



広い公園の中でも蝶たちが多い場所がある。

そこは自然状態の亜熱帯林に入る手前の小さな湿地で、まるで集会所か何かのように色々な種類の蝶たちが集まってきて、葦のような少し背が高い草の葉上で日光浴していた。ここでは、労せずして10種類以上の蝶たちを観察できた。

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---#6: 湿地
. Marsh
----- Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
-----(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



綺麗なタテハが、葉上で日光浴をしていた。

この蝶はその後色々な場所で見かけたので、ブラジルではポピュラーな種類なのだろうと思っていたが、実はほとんど同じような色彩、紋のタテハチョウは数種類あるみたいだ。なぜこんなに類似したタテハチョウがいるのか不明だ。

このタテハはSerpa (Adelpha serpa serpa)という名前で、アカタテハほどの大きさだ。翅に大きな白い紋とその上部にオレンジの紋がよく目立って美しかった。

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#7: タテハの1種Serpa (Adelpha serpa serpa)

.
A Serpa basking on the leaf with the wings opened.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)

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#8: タテハの一種Serpa (Adelpha serpa serpa)

.
A Serpa basking on the leaf with the wings opened.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



目の前の葉に大きなセセリが静止しるのを発見。

全身が茶色で地味な色合いのものだと思い、大胆に後ろに回り込んでみたところ、翅の基部の輝くように鮮やかなメタリックブルーの大きな紋が目に飛び込んできた。

なんという配色なのだろうか-----思わず息を飲んだ。

この蝶のポルトガル名は Brillante、英名をFlashy というらしい。どちらも光り輝くという意味だろう。たしかにこの青の輝きはとても印象的だった。

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#9: 青い翅のセセリFlashy (Astraptes fulviluna)

.
A Brillante basking on the leaf.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)

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#10: 青い翅のセセリFlashy (Astraptes fulviluna)

.
A Brillante basking on the leaf.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



この公園でもランタナの花が咲いていた。

東南アジアでこの花はとても強く蝶たちを引きつけるので、この花を発見するととても嬉しい。しかし、南米では期待したほどの誘因力はなさそうだ。

この綺麗な蝶は、英名を 赤い姫 Red Princess (Anartia amthea roeselia)と呼ばれ身近な蝶の一つだろう。決して少ないチョウでないことは確かだが、地球の裏側のアジアからはるばるやってきた虫屋には、その色彩や模様の美しさ、形態の面白さだけが目に映るのだ。


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#11: 赤いプリンセス Red Princess

.
A Red Princess resting on the leaf with the wings opened.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



湿地では、葉上で小さな青いタテハを見かけた。
この蝶は小型で、英名はBlind Dropと呼ばれている。

大きさは日本のサカハチチョウよりも少し小さいほどだ。普通種のようで、後日に訪れたイグアスでは多数の本種が水たまりに集まっているのを何度も見かけた。

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#12: 青い小さなタテハBlind Drop

.
A blind Drop perching on the leaf with the wings opened.
Olympus EP-1, MZD 14-42mm, ASA200
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)

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#13: 青い小さなタテハBlind Drop

.
A Blind Drop perching on the leaf with the wings opened.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



この公園では、尾の長い大きなセセリ(英名:Simple Long Tail)をしばしば見ることができた。とくにランタナの花に多く見られたが、動きが激しいためか長い尾が途中で折れているものが大部分だった。

派手な蝶がお目当ての虫林はあまり本気で撮影しなかったが、学会後に訪れたイグアス国立公園ではとうとう本種を1頭も見ることができなかった。やはり、見知らぬ町ではどんな種類の蝶でも丁寧に撮影しておくべきだな----いつも後でそう思う。

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#14: 尾の長いセセリSimple Long Tail

.
A Simple Long Tail feeding on the flower.
Olympus E620, Sigma 150mm Macro, ,ASA400
(2010-October-12, Sao Paulo, Brazil)



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§ Afterword §

虫林は外国の町では、そこの植物園を訪ねてみることが多い。そこにはその国固有の植物や花などを見ることができるし、蝶やその他の昆虫も期待できるからだ。また、何と言っても植物園はとても静かで、訪れる人もとりわけ少なくゆっくりとできるのが良い。

サンパウロは晴れると、今までのどんよりとした景色がまるで嘘のように、すべてが輝きを増し、人々の姿も生き生きとして見えた----やはり亜熱帯の街だった。

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#15: サンパウロ植物園にて


「サンパウロ植物園の虫たち」はもう一つアップしてみたいと思います。



以上、 by 虫林花山
Commented by fanseab at 2010-10-20 07:29
中南米は魅力的ですが、短い休暇と格闘しているサラリーマンにとっては永遠の憧れの地であります。植物園は確かに魅力的ですね。ただサンパウロあたりだと治安の悪さが頭をよぎって、ちょっと尻込みするかも知れません。やはり大型のセセリがいいですね!南米に行ったら先ず押えたい絵です。イグアスの滝で恐らく登場するウラモジタテハの絵も期待しております。
Commented by 蘭丸 at 2010-10-20 10:15 x
虫林san、おかえりなさい。
サンパウロの蝶。楽しみに待っておりました。
ヘリオス をジックリ見る事がナカッタのデスガ、こうして虫林sanの写真で拝見すると、
タイマイやアオスジアゲハ、果ては尾状突起周辺にキアゲハの影まで見られる様で、
「収斂なのかな?」と、改めて多様性を楽しませてもらえました。
海外へ行くと(ナカナカ行ケマセンガ…)、植物園や動物園の植栽は嬉しい観察ポイントですね。
続編もたのしみにしております!!!
Commented by yoda-1 at 2010-10-20 12:31
お疲れ様でした。
仕事の合間の探蝶は、確かに植物公園が身近でいいですね。
どの蝶も当然ですが、異国情緒満点で、YODAも現地でみたらどんなにか興奮することでしょう。
今回、虫林さんの綺麗な画像で拝見できて、さらに海外視察欲がビルトアップされて、よかった?です。
しかし、ヘリオスは優雅ですね。
タイマイ類とアゲハ類の違いをよく知らないので、勉強しなくてはとも思いました。
Commented by ダンダラ at 2010-10-20 21:33 x
お帰りなさい
私が行ったのは随分昔で、場所もベロオリゾンテという場所で、サンパウロよりもかなり内陸になりますけど、随分蝶層が違うのに驚きました。
私も植物園に行きましたけど、そこでは毒蝶の仲間が多かったです。
翅の付け根が紫色に輝くセセリ、格好いいですね。
イグアスの様子もどうなっているか楽しみです。
その時撮影したスライドはそのままなのですが、褪色する前にデジタル化しなくてはと思いました。
Commented by himeoo27 at 2010-10-20 21:44
どのチョウも色合いが日本のそれと比較して斬新でワクワク、ドキドキしながら眺めています。私だったらこの中のどの1種でも出会ったら心臓パクパクで旨く写せないのではと思いました。
Commented by hirax2 at 2010-10-21 01:01
海外出張ご苦労様でした。土産蝶写真楽しみにしておりました。
さすがに熱帯の蝶が次々と綺麗にアップされており溜息ばかり出ております。Heliosは透けてる翅と長い尾が印象的で感激しました。また青いセセリには驚きました。さすがはブラジル、イメージ通りです^^; それとSerpaはブラジル版オオイチモンジのように見えました。
次回も楽しみにしてます。
Commented by banyan10 at 2010-10-21 09:07
南米まで行くと見る蝶はすべて目新しい種類なのかもしれませんね。
どれもインパクトがあって魅力あります。
さすがに南米は行く機会がない可能性の方が高いと思うので、ここで楽しませていただきます。
Commented by 虫林 at 2010-10-21 12:12 x
fanseabさん、
コメント有難う御座います
南米にはドクチョウヤモルフォなど魅力的な種類が多いので是非とも訪れて見られたら良いかと思います。サンパウロに治安は日本でいほど悪くなさそうです。問題ありませんよ。
イグアスは仰るとおり、ウラモジタテハなどの写真が登場します。ご覧いただければ幸いです。
Commented by 虫林 at 2010-10-21 12:15 x
蘭丸さん、
コメント有難う御座います。
ブラジルは2度目なのでのが、興味尽きない国です。
Heliosはとても優雅な蝶ですが、ここでは何とか撮影できてよかったです。サンパウロは大都市なので、植物園しかいけませんでした。
Commented by 虫林 at 2010-10-21 12:17 x
yada-1さん、
コメント有難う御座います。
海外での撮影は、まず安全が第一ですので、あまり無理な計画を立てないことを前提にしています。でも、やはり色々な蝶を目の前にすると燃えますね(笑)。
是非とも、海外にも行けれてみると楽しいですよ。
Commented by 虫林 at 2010-10-21 12:22 x
ダンダラさん、
コメント有難う御座います。
ベロオリゾンテでも大きな都市ですね。たしかブラジルではリオに次ぐ人口の街ではなかったかと思います。ベロオリゾンテのほうが標高が高いので、蝶の種類も幾分違うかもしれません。ドクチョウはサンパウロでも沢山見ることができました。今回のイグアスでは色々なものを撮影できましたのでご期待下さい。スライド写真のデジタル化は厄介ですね。
Commented by 虫林 at 2010-10-21 12:24 x
ヒメオオさん、
コメント有難う御座います。
アジアと南米では共通腫が少なくて、南米ではどんな種類もエキサイティングです。もっと撮影したいのですが、時間が無いのが難点です。
Commented by 虫林 at 2010-10-21 12:27 x
hirax2 さん、
コメント有難う御座います。
南米の蝶に関しては、まだまだ初心者なのですが、ブラジルを旅行してみると、地球の観光保全が心配になってきます。アジアと全く違うチョウたちは見ているだけで楽しいですよ。
Commented by 虫林 at 2010-10-21 12:30 x
banyanさん、
コメント有難う御座います。
南米の蝶はアジアとは全く異なるものが多いので全ての種が興味深く目に映ります。
南米はやはりと遠いですね。30時間以上かかり、時差ぼけもかなりシビアです。でも、行くだけの価値があるますよ。
機会をつくって是非ともおいでになればよいかと思います。
Commented by yoda-1 at 2010-10-27 22:17
虫林さんの示す、P.heliosが画像検索で出てこないので、なんとも言えない状況ですが、YODAは
 Protesilaus protesilaus プロテシラウス・オナガタイマイ
の方だと推測します。
上で、chochoensisさん御指摘のP.telesilaus もよく似ていますよね。
http://en.butterflycorner.net/Eurytides-protesilaus-Zebra-Swallowtail-Zebraschwalbenschwanz.478.0.html
ここにあるEurytides属は、今ではその部分がProtesilaus属に分岐しているようです。この属の分布は下記に詳しいです。
http://www.funet.fi/pub/sci/bio/life/insecta/lepidoptera/ditrysia/papilionoidea/papilionidae/papilioninae/protesilaus/index.html
Commented by 虫林 at 2010-10-28 08:59 x
Yodaさん、
有難う御座います。
僕はmisionesの図鑑で、調べていましたが、misionesの地域にはサンパウロが少し外れているので困っていました。
南米のこのアゲハの仲間は、似た種類が多くてこまりますね、僕もHeliosはどうかな?と思っていました。
基本的には、Zebra Swallowtailという一般的かつ総括的な名前にしておいた方が無難ですね。
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by tyu-rinkazan | 2010-10-20 01:57 | Comments(16)