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20101107 台湾(高雄)の散歩

Nature Diary #0360
Date: November 07 (Sunday), 2010
Place: Kaohsiung in Taiwan
Weather: fine




§ Diary §

所属する学会の日台合同セミナーで、台湾南部の都市「高雄 Kaohsiung 」 を訪問した。
 
台湾にはこれまでに何度か訪れたが、その度ごとにこの国の豊かな自然や人々の暖かい人情などに触れることができた。しかし、今回は忙しい中での駆け足的訪問なので、せっかくの台湾南部なのに、フィールド散歩の時間をほとんど捻出することができなかった。

まあ、仕事と趣味の優先順位を考えれば仕方がない-----なんだか未練がましいぞ。



下の写真は、高雄市内を流れる「愛川Love river」の風景。

日が傾き黄昏時になると、川面を渡る風も頬に気持ち良く、河畔に並ぶ小さなお店に灯がともった。見上げれば、空一面のイワシ雲が夕日を映して赤く色づいていた。

こんな時、虫林の心は時空を飛ぶ。

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#1: 黄昏の愛川

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A landscape of Love river at the sunset time.
(2010-November-07, Kaohsiung)



ミドリオオハマキモドキ; Saptha beryllitis

観光客が行きかう賑やかなメインロードから、林の中に向かう脇道に入ってみた。せっかくの訪問なので、台湾南部の虫を少しでも見たかったからだ。自由な時間はせいぜい20分ほどなので、急いで歩いて行くとすぐに汗がにじんできた。

その道は林に囲まれた広場に続いていた。

草叢を見渡してみると、キク科の黄色い花に緑と赤茶色のメタリックツートンの綺麗な蛾を見つけた。雰囲気はヒゲナガガの仲間に似ているが、正確な種名は後日ゆっくりと調べることにする。

注:ze_ph さんより本種が日本では八重山に産するミドリオオハマキモドキであるとご教示いただいた。有難う御座いました。

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#2: 蛾の一種(ミドリオオハマキモドキ)

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A beautiful moth resting on the flower.
(2010-November-07, Kaohsiung)



コウシュンルリシジミ; Chilades lajus koshunensis

これまで見たことが無いシジミチョウを見つけた。
コウシュンルリシジミという

コウシュン「恒春」とは高雄のさらに南に位置する県の名前で、このチョウは台湾では南部だけに分布するらしい。ここ高雄では普通種だと思うが、今までの訪問地が台北周辺や台中だったので、このチョウをこれまで見かけなかったのだろう。

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#3: コウシュンルリシジミ

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A butterfly, Chilades lajus koshunensis, perching on the leaf.
(2010-November-07, Kaohsiung)




ホリイコシジミ ; Zizula hylax

地面の上をちらちら飛ぶ小さなシジミチョウを見つけた。

当初、見た感じから小型のヒメシルビアシジミかヤマトシジミと思っていたが、どうやらホリイコシジミらしい。このホリイコシジミはシルビアやヤマトよりも一回り以上も小さい。

ちなみに、本種とタイワンヒメシジミが台湾で最も小さいチョウらしい。

このチョウは、小さくて一見ひ弱に見えるが、アジアはおろかアフリカまで広く分布するとてもタフなコスモポリタン なのだ。蝶は見かけによらない。

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#4: ホリイコシジミ

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A small butterfly, Zizula hylax , resting on the leaf.
(2010-November-07, Kaohsiung)




ヤエヤマシロチョウ; Appias libythea

葉の上で、やや大きなシロチョウが何頭も日光浴をしていた。まるで傾く陽の光を惜しむかのように翅をひろげて静止していた。

少し白化したマダラシロチョウなのだろうか。

*台湾在住のDさんから、本種はヤエヤマシロチョウであるとのご教示を受けました。
調べたところ、確かにヤエヤマシロチョウですね。有難うございました。
ヤエヤマシロチョウは近年に台湾南部に土着し、また、最近、沖縄で撮影されたとかで話題になった蝶のようです。

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#5: ヤエヤマシロチョウ

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Appias libythea
(2010-November-07, Kaohsiung)




その他; Miscellaneous

今回の高雄訪問でも感じたことだが、台湾の街角では子供の頃にどこかで見たような回帰的な風景に遭遇する。そういう感覚は デジャブdéjà vu と言うのかも知れないが、とにかく懐かしくて親しみがある風景を見ることができる。

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#6: 釣人

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Fisherman
(2010-November-07, Kaohsiung)



参加した日台合同セミナーは医学関係者の集まりだが、台湾の参加者の一人に虫屋を見つけた。曹美華さん という名前の方で、虫林の趣味を伝え聞いた台湾側のスタッフが親切にも紹介してくれたのだ。早速、お会いしてみたところ、嬉しいことに彼も昆虫写真を写すことが趣味ということだった。

驚いたことに、昆虫に関する本も出版していて、1冊を虫林にプレゼントしてくれた。それは図鑑シリーズの一つで台湾のハムシに関するものだった。掲載されている標本写真は極めて精密かつ明瞭で、虫体の裏表、側面はもちろん、幼虫や蛹まで掲載されているのには驚いた。図鑑としてもかなりハイレベルなものだった。

せっかくなので、彼から頂いた本を紹介しておく。

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#7: プレゼントされた図鑑

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§ Afterword §

台湾は訪れる度に好きになる国だ。

冒頭でも述べたが、台湾には素晴らしい自然(小さな面積なのに400種以上のチョウが棲む)がある。しかし、虫林がとくに感銘を受けるのは、「人情」がこの国ではまだまだ色濃く生きていることだ。現在の日本はどうだろうか?


今回の台湾訪問では、自然の中に少しだけしか身を置くことができなかったが、お会いできた虫屋の曹さんとは次回は必ずご一緒しましょうと約束した。

次回に台湾を訪れるのがとても楽しみだ(多分、来年の5月かな)。





以上、 by 虫林花山
Commented at 2010-12-05 19:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 虫林 at 2010-12-05 20:23 x
非公開コメントさん、
有難うございました。
台湾の古い図鑑にはヤエヤマシロチョウが記載されていませんでしたので、なかなか同定できませんでした。本文を修正しました。
台湾の訪問は楽しみですが、仕事の関係で時間が取れないこともあります。来年こそと思っていますが、どうなる事やら---。
もし、よろしければ、その頃にご連絡いただけると嬉しいです。
Commented by himeoo27 at 2010-12-05 20:49
一番上の玉虫のようなメタリックな輝きの蛾は素晴らしいとしか言いようがありません。蛾にはあまりカメラを向けぬヒメオオですが、この子なら文句なくシャッターを押してしまいます。綺麗ですね!!
Commented by bjynp at 2010-12-05 22:26
虫林さん、こんにちは
高雄に行かれたんですね。愛川、なつかしいですね。数年前に行った時はここのすぐ近くのホテルに泊まりました。
20分しか時間がないなか、よくここまでいっぱい蝶を見つけて写真を撮られましたね。さすが、虫林さん。
高雄、僕もぜひ再度行ってみたいと思ってます。
アッキーマッキー
Commented by ze_ph at 2010-12-06 01:25 x
いつも楽しみに拝見しています。
熱帯の蝶は目の毒ですね。
ところで、2枚目の画像の緑色の蛾は、八重山にも分布しているミドリオオハマキモドキだと思います。
一昨年父が南ベトナムで撮影した写真にもこの種らしき蛾が写っていたので、結構広域に分布する種類なのかもしれません。
Commented by yoda-1 at 2010-12-06 08:18
ここでホリイコにお会いになったのですね。
あの長く垂れる触覚に癒されます。
海外で同好の趣味の人のネットワークが広がるのは楽しいことですね。
YODAもうまく仕事に絡めて出陣したいですが、これだけは簡単でありません。
Commented by ダンダラ at 2010-12-06 11:29 x
虫林さん、台湾はそのうち行きたいと思っている場所ですが、人情とかが生きているというお話を聞くと、なぜか安心します。
時間がなくてあわただしい撮影だったようですが、たっぷり時間を取って撮影したい場所ですね。
Commented by 虫林 at 2010-12-06 18:51 x
ヒメオオさん、
メタリックな蛾は僕も綺麗なのでカメラを向けました。
どんな昆虫でも美しい種類は良いですよね。
Commented by 虫林 at 2010-12-06 18:53 x
アッキーマッキーさん、
高雄は台湾でもかなり南なので、11月でも本気で探せば色々な腸を見ることが出来るはずです。でも、20分ほどの自由時間内ではこれぐらいがせいぜいでした。
高雄にいかれたとのこと、良いところなので僕もまた行きたいな。
Commented by 虫林 at 2010-12-06 18:56 x
ze_ph さん、
有難う御座いました。
確認しましたら仰るとおりミドリオオハマキモドキですね。
とにかく、蛾の仲間は種類が多いので大変です。
ベトナムでも撮影されているとのこと、やはりかなり普遍的に分布する種類なのですね。
Commented by 虫林 at 2010-12-06 18:58 x
Yodaさん、
Yodaさんの以前のホリイコに関するブログの記事で、触角の記載はとても参考になりました。それにしても小さくてかわいいシジミチョウですね。
Commented by 虫林 at 2010-12-06 19:00 x
ダンダラさん、
台湾の人たちは皆さんとても親切です。
日本からも近いし、面積は小さいのにチョウの数は多いので、撮影にはとても良いところだと思います。
安全ですので、お勧めです。
Commented by furu at 2010-12-06 22:30 x
近い国だとスケジュールがタイトになるんでしょうね。それでもなかなかの成果ですね。
ミドリオオハマキモドキは八重山ではお馴染みです。ヤエヤマシロチョウは看板に偽りありですね。タイではよく見ました。
高尾の蝶には詳しいですが、高雄の蝶も見てみたいです。
Commented by 虫林 at 2010-12-10 19:10 x
furuさん、
レスが遅れてすいません。
コメント有難う御座います。
ミドリオオハマキモドキは八重山ではおなじみなのですね。
蛾の仲間でも綺麗なものがいるのを再認識しました。
ヤエヤマシロは八重山に分布しないのにどうしてこの名が付いたのか不思議ですね。
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by tyu-rinkazan | 2010-12-05 17:29 | ● Taiwan | Comments(14)